(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061994
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ブロックコポリマーの自己組織化のための新規組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C08F 112/08 20060101AFI20230425BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20230425BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20230425BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
C08F112/08
C08F8/00
G03F7/26
H01L21/30 502D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023013720
(22)【出願日】2023-02-01
(62)【分割の表示】P 2021014975の分割
【原出願日】2017-12-19
(31)【優先権主張番号】62/437,426
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジウン
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ジエンホゥイ
(72)【発明者】
【氏名】バスカラン・ドゥライラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン・エムディ-・エス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新規スチレン系ポリマー、及び該ポリマーを含む新規組成物を提供する。
【解決手段】1~1.3の多分散性を有し、更に、スチレン系ポリマーの各々のポリマー鎖は、構造1)の一つの末端基でキャップされており、式中、L
1は、直接原子価結合、-O-、-(C=O)-O-、-O-(C=O)-O-からなる群から選択される連結基であり;L
2は、C1~C20のスペーサまたは直接原子価結合であり、Rは、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分、またはC1~C20アルキルオキシ部分であり、mは1~3の整数であり;そして
末端基1)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す。本発明の他の観点の一つでは、グラフトしたフィルムを基材上に形成するためのこの組成物の使用に関し、及び更に別の観点の一つでは、このグラフトしたフィルムは、誘導自己組織化プロセスに使用し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系ポリマーであって、このスチレン系ポリマーは1~1.3の多分散性を有し、更に、このスチレン系ポリマーの各々のポリマー鎖が、構造1)の一つの末端基でキャップされている前記スチレン系ポリマー。
【化1】
式中、L
1は、直接原子価結合、オキシ(-O-)、カルボニルオキシ、(-(C=O)-O-)、及びカーボネート(-O-(C=O)-O-)からなる群から選択される連結基であり; L
2は、C1~C20の置換されたもしくは置換されていないアルキレンスペーサ、アリーレンスペーサ及び直接原子価結合からなる群から選択され、Rは、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分、及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、mは1~3であり; そして
【化2】
末端基1)を、該スチレン系ポリマーの末端ポリマー鎖に結合する直接原子価結合を表す。
【請求項2】
mが1または2である、請求項1に記載のスチレン系ポリマー。
【請求項3】
前記末端基が構造1a)を有する、請求項1または2に記載のスチレン系ポリマー。
【化3】
【請求項4】
前記末端基が構造1b)を有する、請求項1~3のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化4】
【請求項5】
L2がC1~C20アルキレンスペーサであり、L1がオキシ(-O-)である、請求項1~4のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項6】
L2がC2アルキレンスペーサであり、L1がオキシ(-O-)である、請求項1~5のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項7】
Rが水素である、請求項1~6のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項8】
Rがハライドである、請求項1~6のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項9】
RがC1~C20アルキル部分である、請求項1~4のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項10】
RがC1~C20アルキルオキシ部分である、請求項1~4のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項11】
1~1.1の多分散性を有する、請求項1~10のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項12】
1000g/モル~50000g/モルのMwを有する、請求項1~11のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項13】
構造3)を有する、請求項1に記載のスチレン系ポリマー。
【化5】
式中、R
1はC1~C20アルキルであり、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して、水素及びC1~C20アルキル部分からなる群から選択され、R
6、R
6a、R
6b、R
6c及びR
6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、Rは、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数であり、そしてmは1~3の整数である。
【請求項14】
mが1または2である、請求項13に記載のスチレン系ポリマー。
【請求項15】
構造3a)を有する、請求項13または14に記載のスチレン系ポリマー。
【化6】
【請求項16】
構造3b)を有する、請求項13~15のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化7】
【請求項17】
前記末端基が構造1)を有し、更に、L1は直接原子価結合であり、そしてL2は、アリール基で置換されたC1~C20アルキレンスペーサである、請求項1に記載のスチレン系ポリマー。
【請求項18】
前記末端基が構造2)を有し、そして更に、L
3はC1~C19アルキレン基であり、R’及びR’’は独立してハライド、C1~C20アルキル部分、及びC1~C20アルキルオキシ部分から選択され、そしてm’は1~3の整数であり、そして
【化8】
末端基2)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す、請求項1または17に記載のスチレン系ポリマー。
【化9】
【請求項19】
前記末端基が構造2a)を有し、そして更に、L
3はC1~C19アルキレン基であり、R’及びR’’は独立して水素、ハライド、C1~C20アルキル部分、及びC1~C20アルキルオキシ部分から選択され、そしてm’は1~3の整数であり、そして
【化10】
末端基2)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す、請求項1または17~18のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化11】
【請求項20】
末端基が構造2b)を有し、そして更に、L
3はC1~C19アルキレン基であり、そして
【化12】
末端基2a)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す、請求項1または17~19のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化13】
【請求項21】
構造4)を有し、式中、R
1はC1~C20アルキルであり、R’
2、R’
3は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R
6、R
6a、R
6b、R
6c及びR
6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、R’は、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数であり、そしてnはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、そしてm’は1~3の整数である、請求項1~4、または9もしくは10、または請求項17~20のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化14】
【請求項22】
構造4a)を有し、式中、R
1はC1~C20アルキルであり、R’
2、R’
3は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R
6、R
6a、R
6b、R
6c及びR
6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、R’は、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数である、請求項1~4、または9もしくは10、または請求項17~21のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化15】
【請求項23】
構造4b)を有し、式中、R
1はC1~C20アルキルであり、R’
2、R’
3は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R
6、R
6a、R
6b、R
6c及びR
6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、R’及びR’’は、独立して、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数である、請求項1~4、または9もしくは10、または請求項17~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【化16】
【請求項24】
R1がC1~C6アルキルであり、R’2、R’3が、独立して、水素及びC1~C4アルキル部分からなる群から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dが、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてR’及びR’’が水素である、請求項18~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項25】
R1がC1~C6アルキルであり、R’2、及びR’3が水素であり、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dが、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてR’及びR’’が水素である、請求項18~21のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項26】
R1がC1~C6アルキルであり、R’2、R’3が水素であり、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dが水素であり、そしてR’及びR’’が水素である、請求項18~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項27】
R’及びR’’が水素である、請求項18~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項28】
R’及びR’’がハライドである、請求項18~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項29】
R’及びR’’がC1~C20アルキル部分である、請求項18~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項30】
R’及びR’’がC1~C20アルキルオキシ部分である、請求項18~22のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項31】
1000g/モル~50000g/モルのMwを有する、請求項17~30のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項32】
1~1.1の多分散性を有する、請求項17~31のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一つに記載のスチレン系ポリマー及び溶剤を含む、組成物。
【請求項34】
熱酸発生剤を更に含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
基材上にピン止め層をグラフトする方法であって、次のステップ:
a) 請求項33または34の組成物で基材をコーティングして、コーティングされた層を形成するステップ;
b) コーティングされた層を、140℃~170℃の温度で加熱してグラフトを起こすステップ; 及び
c) 前記の加熱されたコーティングされた層を有機溶剤で処理して、グラフトしていないポリマーを除去して、不溶性のグラフトピン止め層を基材上に残すステップ、
を含む、方法。
【請求項36】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化方法であって、次のステップ:
a1) グラフト可能な中性層ポリマー前駆体で基材をコーティングして、コーティングされた層1を形成するステップ;
b1) コーティングされた層1を、90℃~180℃の温度で加熱して、溶剤を除去するステップ;
c1) ステップb1)後のコーティングされた層1を、200℃~300℃の温度で加熱して、グラフトを起こすステップ;
d1) ステップc1)後のコーティングされた層1を有機溶剤で処理して、未グラフト中性層ポリマーを除去して、不溶性のグラフト中性層を基材上に残すステップ;
e1) 前記グラフト中性層の上にフォトレジスト層をコーティングするステップ;
f1) 前記フォトレジスト層中にネガパターンを形成して、それによって、前記グラフト中性層がレジストで覆われている領域とレジストで覆われていない領域とを形成し、ここでレジスト中のパターンは、小さいナノメータサイズの繰り返しパターンと、繰り返しナノメータサイズパターンを含まない画像形成プロセス中に除去されたレジストの広い領域との両方を含む、ステップ;
g1) エッチングして、ステップf1)で覆われていない中性層領域を除去して、これらの領域中に裸の基材を残すステップ;
h1) ステップg1)後の基材からレジストをストリッピングして取り除いて、パターン化された基材を残し、ここでステップf1)においてレジストで覆われずに残った基材の領域は、グラフト中性層を含まず、そしてステップf1)においてレジストで覆われた領域はグラフト中性層を保持する、ステップ;
i1) パターン化された基材を、請求項33または34の組成物でコーティングして、コーティングされた層2を形成するステップ;
j1) コーティングされた層2を、120℃~190℃の温度で加熱するステップ;
k1) 加熱ステップj1)後のコーティングされた層2を有機溶剤で処理して、未グラフトポリマーを除去して、グラフト中性層を含まない領域において基材上に不溶性グラフトピン止め層材料を残して、ピン止め層領域と中性層領域との両方を有する基材を形成するステップ;
l1) 耐エッチング性スチレン系ブロックと高エッチング可能な脂肪族ブロックとを含むブロックコポリマーのコーティングを、パターン化中性層及びピン止め層を含む基材上に施与して、パターン化中性層及びパターン化ピン止め層の両方を含む基材を形成するステップ;
m1) 基材の小さいナノメータサイズ繰り返しパターンで誘導自己組織化が起こるまでブロックコポリマー層をアニールし、ただしこの際、ブロックポリマードメインの垂直な配向は、グラフトピン止め層を含む広い領域では起こらない、ステップ;
n1) 前記ブロックコポリマーをエッチングして、該コポリマーの高エッチング可能なブロックを除去し、そしてステップm1)においてブロックコポリマーの誘導自己組織化が基材上で起こった領域において、繰り返しナノメータサイズのパターンを形成する、ステップ;
を含む、前記方法。
【請求項37】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化方法であって、次のステップ:
a2) 架橋可能であるか、または架橋可能でかつ基材上にグラフト可能である、中性層ポリマー前駆体のコーティングを形成するステップ;
b2) 架橋可能である中性ポリマー層前駆体コーティング、または架橋可能でかつグラフト可能な前駆体コーティングを90℃~180℃の温度で加熱して溶剤を除去するステップ;
c2) 架橋可能である中性層ポリマー前駆体コーティング、または架橋可能でかつグラフト可能な前駆体コーティングを200℃~300℃の温度で加熱して、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層を形成するステップ;
d2) この架橋した中性層上にまたは架橋かつグラフトした中性層上に、フォトレジスト層のコーティングを供するステップ;
e2) 前記フォトレジスト層中にネガパターンを形成して、それによって、前記架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層がレジストによって覆われている領域と覆われていない領域とを形成し、ここで、レジスト中の前記パターンは、小さいナノメータ繰り返しパターンと、繰り返しナノメータサイズパターンを含まない画像形成プロセス中に除去されたレジストの広い領域との両方を含む、ステップ;
f2) ステップe2)における覆われていない中性層領域において、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層をプラズマを用いてエッチングして除去して、ステップe2)において覆われていない領域において裸の基材を残すステップ;
g2) ステップf2)後の基材からレジストをストリッピングして取り除いてパターン化された基材を残し、ここで、ステップe2)においてレジストで覆われずに残った領域の基材は、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層を含まず、及びステップf2)においてレジストによって覆われた領域は、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層を保持する、ステップ;
h2) パターン化された基材を、請求項33または34の組成物でコーティングして、コーティングされた層を形成するステップ;
i2) コーティングされた層を、120℃~190℃の温度で加熱するステップ;
j2) 加熱ステップi2)後のコーティングされた層を有機溶剤で処理して、グラフトしていないポリマーを除去し、そうして、架橋した中性層を含まない領域または架橋かつグラフトした中性層を含まない領域において基材上に不溶性の架橋したまたは架橋かつグラフトしたピン止め層を残して、パターン化された中性層とパターン化されたピン止め層の両方を含む基材を形成するステップ;
k2) 耐エッチング性スチレン系ブロックと高エッチング可能な脂肪族ブロックとを含むブロックコポリマーのコーティングを、パターン化中性層及びピン止め層を含む基材上に施与するステップ;
l2) 基材の小さいナノメータサイズ繰り返しパターンで誘導自己組織化が起こるまでブロックコポリマー層をアニールし、ただしこの際、ブロックポリマードメインの垂直な配向は、グラフトピン止め層を含む広い領域では起こらない、ステップ;
m2) 前記ブロックコポリマーをエッチングして、該コポリマーの高エッチング可能なブロックを除去し、そしてステップl2)においてブロックコポリマーの誘導自己組織化が基材上で起こった領域において、繰り返しナノメータサイズのパターンを形成する、ステップ;
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリマー、新規組成物、及び誘導自己組織性ブロックコポリマー(BCP)のマイクロドメインを整列するための該新規組成物を使用する新規方法に関する。該組成物及び方法は、電子デバイスの製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
ブロックコポリマーの誘導自己組織化は、ナノスケールオーダーの図形の微小寸法(CD)を達成できる、微細電子デバイスの製造のためのより一層小さなパターン化された図形を生成するために有用な方法である。誘導自己組織化法は、マイクロリソグラフィ技術の解像能力を拡張するために望ましい。慣用のリソグラフィ法では、基材または層状基材上にコーティングされたフォトレジスト層に対してマスクを介して露光するために紫外線(UV)を使用し得る。ポジ型もしくはネガ型フォトレジストが有用であり、そしてこれらは、慣用の集積回路(IC)プラズマ加工を用いた乾式現像を可能とするためにケイ素などの耐火性元素を含むこともできる。ポジ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、フォトレジスト中で光化学的反応を引き起こして、露光された領域が、現像剤溶液を用いてまたは慣用のICプラズマ加工によって除去されるようになる。これとは反対に、ネガ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、放射線に曝された領域を現像剤溶液を用いてまたは慣用のICプラズマ加工では除去され難くする。ゲート、ビアまたはインターコネクタなどの集積回路図形が次いで基材または層状基材中にエッチングされ、そして残ったフォトレジストが除去される。慣用のリソグラフィ露光プロセスを用いた場合は、集積回路図形の図形寸法に限界がある。パターン寸法の更なる縮小は、収差、焦点、プロキシミティ効果、達成可能な最小露光波長及び達成可能な最大開口数に関連した制限の故に放射線露光を用いては達成が困難である。大規模集積へのニーズの故に、デバイスの回路寸法及び図形は絶え間なく縮小されてきた。過去には、図形の最終の解像度は、それ自体に限界のある、フォトレジストの露光に使用される光の波長に依存してきた。ブロックコポリマー画像形成を用いたグラフォエピタキシ及びケモエピタキシなどの誘導集合技術は、CD変動を減少しながら解像度を向上するために使用される非常に望ましい技術である。これらの技術は、慣用のUVリソグラフィ技術を増強するか、あるいはEUV、電子線、ディープUVまたは液浸リソグラフィを使用する方策において更により高い解像度及びCDコントロールを可能とするために使用することができる。誘導自己組織化ブロックコポリマーは、エッチング耐性のコポリマー単位のブロックと、エッチングされやすいコポリマー単位のブロックを含み、このブロックコポリマーは、基材上でコーティング、整列及びエッチングされた時に、非常に高密度のパターンの領域を与える。グラフォエピタキシ誘導自己組織化方法では、ブロックコポリマーは、慣用のリソグラフィ(紫外線、ディープUV、電子線、極端紫外線(EUV)露光源)を用いてプリパターン化されてライン/スペース(L/S)またはコンタクトホール(CH)パターンなどの繰り返しのトポグラフィ図形が形成されている基材の周りに自己組織化する。L/S誘導自己集合アレイの一例では、ブロックコポリマーは、予めパターン化されたライン間のトレンチ中に異なるピッチの並行なライン-スペースパターンを形成できる自己整列したラメラ領域を形成して、トポグラフィカルライン間のトレンチ中の空間をより微細なパターンに分割することによりパターン解像度を増強することができる。例えば、ミクロ相分離することができ、かつプラズマエッチングに耐性のある炭素を豊富に含むブロック(例えばスチレンや、またはSi、Ge、Tiのような何らかの他の元素を含むもの)とプラズマエッチングまたは除去性が高いブロックとを含むジブロックコポリマーは、高解像度のパターン画定を供することができる。高エッチング性ブロックの例には、酸素を豊富に含みかつ耐火性元素を含まず、更に高エッチング性ブロックを形成することができるモノマー、例えばメチルメタクリレートを含み得る。自己集合パターンを画定するエッチングプロセスに使用されるプラズマエッチングガスは、典型的には、集積回路(IC)の製造に用いられるプロセスに使用されるガスである。このようにして、慣用のリソグラフィ技術によって画定可能なものと比べて非常に微細なパターンを典型的なIC基材中に生成でき、そうしてパターンの増倍が達成される。同様に、慣用のリソグラフィによって画定されるコンタクトホールまたはポストのアレイの周りでの誘導自己集合によって適当なブロックコポリマーがそれ自体で整列するグラフォエピタキシを用いることによってコンタクトホールなどの図形もより密度高く生成でき、そうしてエッチングした時にコンタクトホールのより密度の高いアレイを与えるエッチング可能なドメイン及び耐エッチング性のドメインの領域のより密度の高いアレイを形成する。その結果、グラフォエピタキシは、パターン修正及びパターン増倍の両方を提供する可能性を持つ。
【0003】
化学エピタキシまたはピン止め化学エピタキシ(別称としてケモエピタキシ)では、ブロックコポリマーの自己アセンブリは、異なる化学親和性の領域を持つが、自己集合化プロセスを誘導するトポグラフィを持たないかまたは僅かにしか持たない表面の周りに形成される。例えば、基材の表面を、慣用のリソグラフィ(UV、ディープUV、電子線、EUV)を用いてパターン化して、表面ケミストリーが放射線により変性された露光された領域が、未露光で化学的変化を示さない領域と交互しているラインアンドスペース(L/S)パターンとして異なる化学的親和性の表面を生成することができる。これらの領域はトポグラフィの差異は持たないが、ブロックコポリマーセグメントの自己組織化を誘導する表面化学的差異またはピン止めを示す。具体的には、耐エッチング性の繰り返し単位(例えばスチレン繰り返し単位)及び高速エッチング性の繰り返し単位(例えばメチルメタクリレート繰り返し単位)を含むブロックセグメントを持つブロックコポリマーの誘導自己組織化は、パターン上での耐エッチング性ブロックセグメントと高エッチング性のブロックセグメントの正確な配置を可能とするだろう。この技術は、これらのブロックコポリマーを正確に配置すること、及びその後に、プラズマまたはウェットエッチング加工の後に基材中にパターンをパターン転写することを可能にする。化学的エピタキシは、これを、化学的差異の変化によって微調整して、ラインエッジラフネス及びCDコントロールの向上を助けて、パターンの修正を可能とすることができるという利点を有する。繰り返しコンタクトホール(CH)アレイなどの他のタイプのパターンも、ケモエピタキシを用いてパターン修正することができる。
【0004】
中性層は、誘導自己集合に使用されたブロックコポリマーのいずれのブロックセグメントにも親和性を持たない、基材上の層または処理された基材の表面である。ブロックコポリマーの誘導自己組織化のグラフォエピタキシ法では中性相が有用である、というのも、これらは、基材に対する耐エッチング性ブロックポリマーセグメント及び高エッチング性ブロックポリマーセグメントの適切な配置をもたらす誘導自己集合のためのブロックポリマーセグメントの適切な配置または配向を可能とするからである。例えば、慣用の放射線リソグラフィで画定されたライン・アンド・スペース図形を含む表面では、中性層は、ブロックセグメントが基材の表面に対して垂直に配向するようにブロックセグメントを配向することを可能とするが、このような配向は、慣用のリソグラフィで画定されるライン間の長さに対するブロックコポリマー中のブロックセグメントの長さに依存してパターン修正とパターン増倍の両方に理想的な配向である。基材が、ブロックセグメントのうちの一つとあまりに強く相互作用すると、このセグメントがその表面上に平坦に横たわって、セグメント及び基材との間の接触面が最大化されるだろう; このような表面は、慣用のリソグラフィにより生成された図形に基づいたパターンの修正またはパターンの増倍のいずれかを達成するために使用できる望ましい垂直な整列を乱すことになるであろう。基材の選択された小さな領域を変性またはピン止めして、これらを、ブロックコポリマーの一方のブロックと強く相互作用するようにし、基材の残部はピン止め層でコーティングされた状態で残すことは、ブロックコポリマーのドメインを所望の方向に整列させるのに有用であり得、そしてこれは、パターン増倍のために使用されるピン止めケモエピタキシまたはグラフォエピタキシの基本となる。
【0005】
ピン止め層を使用するケモエピタキシ誘導層における現行の方法の一つの問題は、SiまたはSiO2などの基材上に慣用のブラシ型前駆体を用いて、広い領域上に均一で緻密なフィルムを形成する能力である。誘導層のこのような緻密なフィルムの形成は、スチレン系ブロック及び脂肪族ブロックを含む上層としてのブロックコポリマーの自己組織化の間にブロックコポリマードメインの垂直な形態をより効果的に形成するのに有利であろう。このようなブロックコポリマーの非限定的な例は、メチルメタクリレートのブロックとスチレンのブロックとを含むものである。本発明者らは、ベンジルアルコール末端基部分を含みかつ1~約1.3の低多分散性を有する新規のグラフト可能なスチレン系ポリマーをここに開示するものである。これらの新規材料は、溶剤を含む調合物からコーティングされそしてベークされた時に、驚くべきほどに緻密でかつ均一なグラフト層を形成することができる。これらの緻密にグラフトした層は、スチレン系ブロック及び脂肪族ブロックを含むブロックコポリマーの場合にドメインの垂直な配向がケモエピタキシ誘導自己組織化の間に起こる、驚くべきほどに効果的なピン止め層を与える。グラフト可能であるかまたは架橋性のあるいは架橋性でかつグラフト可能な中性層前駆体と組み合わせ使用した場合には、これらの新しいピン止め層前駆体は、驚くべきことに、ケモエピタキシ誘導自己組織化スキームへのアクセスを可能とし、この場合に、中性層及びピン止め層を含む小さいナノメータサイズのパターンはケモエピタキシ誘導自己組織化を起こし得るが、それと同時に、ピン止め層でコーティングされただけの基材の大きな未パターン化領域の形成を可能にする。これは、他の場合ではエッチングの間の基材中へのパターン転写の間の望ましくない欠陥形成を引き起こすであろう、これらの領域におけるブロックポリマードメインの垂直な配向を許さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US8,835,581
【特許文献2】US9,181,449
【特許文献3】US9,093,263
【特許文献4】US8691925
【特許文献5】US20140335324A1
【特許文献6】US20160122579A1
【特許文献7】米国出願第14/885,328号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Erik W.Edwards et.al.,Macromolecules 2007,40,p.90-96
【発明の概要】
【0008】
その観点の二つにおいて、本発明は、新規スチレン系ポリマーに関し、及びこのポリマーと溶剤とを含む新規組成物に関し、ここで前記スチレン系ポリマーは1~1.3の多分散性を有し、更に前記スチレン系ポリマーの各々のポリマー鎖は、構造1)の一つの末端基でキャップされており;
【0009】
【0010】
更にここで、L1は、直接原子価結合、オキシ(-O-)、カルボニルオキシ、(-(C=O)-O-)、カーボネート(-O-(C=O)-O-)からなる群から選択される連結基であり; L2は、C1~C20の置換されたもしくは置換されていないアルキレンスペーサ、アリーレンスペーサまたは直接原子価結合であり、Rは、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分、またはC1~C20アルキルオキシ部分から選択され、mは1~3の整数であり; そして
【0011】
【化2】
末端基1)を、スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す。他の観点の一つでは本発明は、グラフトしたフィルムを基材上に形成するためのこの組成物の使用に関し、及び更に別の観点では、このグラフトしたフィルムは、誘導自己組織化プロセスに使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ポリスチレンブラシ処理Si及びSiO
2表面のAFM画像1a) Si基材上にグラフトした比較例1; 1b) Si基材上にグラフトした合成例2; 1c)SiO
2基材上にグラフトした比較合成例2; 1d)SiO
2基材上にグラフトした合成例2
【
図2】ポリスチレンブラシ処理基材上のPS-b-PMMA(Lo=30nm)フィルムの自己組織形態; 2A:“比較合成例2”、2B:“合成例2”
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方とも例示的なものであって、特許請求の範囲に記載の発明を減縮するものではないと理解するべきである。本願において、単数形の使用は複数を包含し、他に具体的に記載がなければ、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分を包含する。ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は、他に指示が無ければ排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、記載の要素の任意の組み合わせを指す。
【0014】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の技術事項を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0015】
本明細書において、アルキルとは、線状、分岐状(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル及び類似物)または環状(例えば、シクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル及び類似物)であることができる炭化水素基を指す。
【0016】
アルキルオキシは、オキシ(-O-)部分を介して結合した先に定義したようなアルキル基を指す(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及び類似物)。
【0017】
フルオロアルキルは、水素が部分的にもしくは完全にフッ素に置き換えられた先に定義したような線状、環状または分岐状飽和アルキル基を指す(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロシクロヘキシル及び類似物)。
【0018】
フルオロアルキルオキシは、オキシ(-O-)部分を介して結合した先に定義したようなフルオロアルキル基を指す(例えば、トリフルオロメチルオキシ、パーフルオロエチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、パーフルオロシクロヘキシルオキシ及び類似物)。
【0019】
ここで、C1から始まる可能な炭素原子範囲を有するアルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ部分、例えば非限定的な例として「C1~C10アルキル」または「C1~C10フルオロアルキル」に言及するときは、この範囲は、C1から始まる線状アルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル及びフルオロアルキルオキシを包含するが、C3から始まる分岐状アルキル、分岐状アルキルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、分岐状フルオロアルキル及び環状フルオロアルキルのみを指定する。
【0020】
ここで、アルキレンという用語は、線状、分岐状または環状であることができかつ二つの結合点を有する炭化水素基を指す(例えば、メチレン、エチレン、1,2-イソプロピレン、1,4-シクロへキシレン及び類似物)。この場合もまた、可能な炭素範囲、例えば非限定的な例としてC1~C20を指定する時は、この範囲は、C1から始まる線状アルキレンを包含するが、C3から始まる分岐状アルキレンまたは分岐状シクロアルキレンを指定する。アルキレンという用語は、置換されていないアルキレン(別称は、水素だけ存在する線状、分岐状または環状アルキレン)、及び置換されたアルキレン(別称は、水素以外の置換基を含む線状、分岐状または環状アルキレン)も包含し、ここでこれらの置換されたアルキレンは、一つ以上の水素が、アリール基、ハライド、C1~C20アルキルまたはC1~C20アルキルオキシから選択される置換基によって置き換えられているものである。
【0021】
ここで、アリールという用語は、一つの結合点を有する芳香族炭化水素部分を指し、この部分は、単一のベンゼン部分(例えばフェニル)、一つの結合点を有する多環式芳香族部分、例えばナフタレン、アントラセン、ピレン及び類似物から誘導される部分、または一つの結合点を有する連鎖した複数のベンゼン環(例えば1,4-ビフェニル)を指す。アリールという用語は、置換されていないアリール(言い換えれば、置換基としては水素のみ)または置換されたアリールである上記の部分も包含し、ここで前記置換基は、ハライド、C1~C20アルキルまたはC1~C20アルキルオキシから選択される置換基である。
【0022】
ここで、アリーレンという用語は、二つの結合点を有する芳香族炭化水素部分を指し、この部分は、単一のベンゼン部分(例えば1,4-フェニレン、1,3-フェニレン及び1,2-フェニレン)、二つの結合点を有する多環式芳香族部分、例えばナフタレン、アントラセン、ピレン及び類似物から誘導される部分、または二つの結合点を有する連鎖した複数のベンゼン環(例えばビフェニレン)を指す。
【0023】
Loは、Erik W.Edwards et.al.,Macromolecules 2007,40,p.90-96(非特許文献1)に定義されるような、ブロックコポリマーのバルクリピートピリオド(bulk repeat period)である。
【0024】
二つの連結部分が互いに隣接しそして両者が単原子価結合として指定される場合には、この指定は、単原子価結合である単連結部分を表す(例えば、連結部分L1及びL2が両方とも単原子価結合と指定される場合は、これは、単原子価結合である単連結部分を表す)。
【0025】
第一の態様は、1~約1.3の多分散性を有しかつ該スチレン系ポリマーの各々のポリマー鎖が構造1)の一つの末端基でキャップされているスチレン系ポリマーである;
【0026】
【0027】
式中、L1は、直接原子価結合、オキシ(-O-)、カルボニルオキシ、(-(C=O)-O-)、カーボネート(-O-(C=O)-O-)からなる群から選択される連結基であり; L2は、C1~C20の置換されたもしくは置換されていないアルキレンスペーサ、アリーレンスペーサまたは直接原子価結合であり、Rは、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分、またはC1~C20アルキルオキシ部分であり、mは1~3であり; そして
【0028】
【化4】
末端基1)を、スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す。
【0029】
構造1)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様の他の態様の一つでは、L1またはL2部分のいずれか一つは直接原子価結合から選択されない。
【0030】
構造1)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様の他の態様の一つでは、mは1または2である。
【0031】
構造1)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様の他の態様の一つでは、mは1である。
【0032】
構造1)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様の他の態様の一つでは、mは2である。
【0033】
構造1)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様の他の態様の一つでは、mは3である。
【0034】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、末端基は構造1a)を有する。
【0035】
【0036】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、末端基は構造1b)を有する。
【0037】
【0038】
該スチレン系ポリマーの構造1)、1a)または1b)を有する末端基を有する上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L1は直接原子価結合である。
【0039】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L1はオキシ(-O-)である。
【0040】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L1はカルボニルオキシ(-(C=O)-O-)である。
【0041】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L1はカーボネート(-(C=O)-O-)である。
【0042】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はC1~C20の置換されているかまたは置換されていないアルキレンスペーサである。
【0043】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はC1~C20の置換されていないアルキレンスペーサである。
【0044】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はC1~C20の置換されているアルキレンスペーサである。
【0045】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はアルキレンスペーサである。
【0046】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2は直接原子価結合である。
【0047】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、Rは水素である。
【0048】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、Rはハライドである。
【0049】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はC1~C20アルキレンスペーサであり、L1はオキシ(-O-)であり、そしてRは水素である。
【0050】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はC2アルキレンスペーサである。
【0051】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、L2はC2アルキレンスペーサであり、L1はオキシ(-O-)であり、そしてRは水素である。
【0052】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、Rがハライドである態様では、このハライドは、F、Cl、BrまたはIからなる群から選択してよい。この態様の他の態様の一つでは、ハライドはFであり、他の態様の一つではハライドはClであり、他の態様の一つではハライドはBrであり、更に別の態様の一つではハライドはIである。
【0053】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、RはC1~C20アルキル部分である。この態様の他の観点の一つでは、RはC1~C15アルキル部分であり、RはC1~C10アルキル部分であり、RはC1~C5アルキル部分であり、RはC1~C4アルキル部分であり、RはC1~C3アルキル部分であり、RはC1~C2アルキル部分であり、またはRはC1アルキル部分である。
【0054】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、RはC1~C20アルキルオキシ部分である。この態様の他の観点の一つでは、RはC1~C15アルキルオキシ部分であり、RはC1~C10アルキルオキシ部分であり、RはC1~C5アルキルオキシ部分であり、RはC1~C4アルキルオキシ部分であり、RはC1~C3アルキルオキシ部分であり、RはC1~C2アルキルオキシ部分であり、またはRはC1アルキルオキシ部分である。
【0055】
構造1)、1a)または1b)を有する末端基を持つ該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つでは、これは、より具体的な構造1c)を有する。
【0056】
【0057】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L1は直接原子価結合である。
【0058】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L1はオキシ(-O-)である。
【0059】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L1はカルボニルオキシ(-(C=O)-O-)である。
【0060】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L1はカーボネート(-O-(C=O)-O-)である。
【0061】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L1はカーボネート(-O-(C=O)-O-)である。
【0062】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC1~C20の置換されているかまたは置換されていないアルキレンスペーサである。
【0063】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC1~C20の置換されていないアルキレンスペーサである。
【0064】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC1~C20の置換されているアルキレンスペーサである。
【0065】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はアリーレンスペーサである。
【0066】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2は直接原子価結合である。
【0067】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、Rは水素である。
【0068】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、Rはハライドである。
【0069】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、RはC1~C20アルキル部分である。
【0070】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、RはC1~C20アルキルオキシ部分である。
【0071】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC1~C20アルキレンスペーサであり、L1はオキシ(-O-)であり、そしてRは水素である。
【0072】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC2アルキレンスペーサである。
【0073】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L1はオキシ(-O-)である。
【0074】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、Rは水素である。
【0075】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC2アルキレンスペーサであり、L1はオキシ(-O-)であり、そしてRは水素である。
【0076】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、Rは水素である。
【0077】
該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有し、Rがハライドである態様では、このハライドは、F、Cl、BrまたはIからなる群から選択してよい。この態様の他の観点の一つでは、ハライドはFであり、他の態様の一つではハライドはClであり、他の態様の一つではハライドはBrであり、更に別の態様の一つではハライドはIである。
【0078】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、RはC1~C20アルキル部分である。この態様の他の観点の一つでは、RはC1~C15アルキル部分であり、RはC1~C10アルキル部分であり、RはC1~C5アルキル部分であり、RはC1~C4アルキル部分であり、RはC1~C3アルキル部分であり、RはC1~C2アルキル部分であり、またはRはC1アルキル部分である。
【0079】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、RはC1~C20アルキルオキシ部分である。この態様の他の観点の一つでは、RはC1~C15アルキルオキシ部分であり、RはC1~C10アルキルオキシ部分であり、RはC1~C5アルキルオキシ部分であり、RはC1~C4アルキルオキシ部分であり、RはC1~C3アルキルオキシ部分であり、RはC1~C2アルキルオキシ部分であり、またはRはC1アルキルオキシ部分である。
【0080】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC1~C20アルキレンスペーサであり、L1はオキシ(-O-)であり、そしてRは水素である。
【0081】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、L2はC2アルキレンスペーサである。この態様の他の観点の一つでは、Rは水素である。
【0082】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1c)を有する態様では、Rは水素である。
【0083】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1、1a)、1b)または1c)を有する態様では、L2は、アリール基で置換されたC1~C20アルキレンスペーサである。
【0084】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1、1a)、1b)または1c)を有する態様では、L1は直接原子価結合であり、そしてL2は、アリール基で置換されたC1~C20アルキレンスペーサである。この態様の更に別の観点の一つでは、末端基は構造2)を有し、ここでL3はC1~C19アルキレン基であり、R’及びR’’は独立して水素、ハライド、C1~C20アルキル部分またはC1~C20アルキルオキシ部分から選択され、そしてm’は1~3の整数であり、そして
【0085】
【化8】
末端基2)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す。
【0086】
【0087】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、L3はC1~C5アルキレン部分である。
【0088】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、L3はC1~C2アルキレン部分である。
【0089】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、L3はC1アルキレン部分である。
【0090】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、m’は1である。
【0091】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、m’は2である。
【0092】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、m’は3である。
【0093】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、m’は1または2である。
【0094】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’は水素である。
【0095】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’はハライドである。
【0096】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’はC1~C20アルキル部分である。
【0097】
該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’はC1~C20アルキルオキシ部分である。
【0098】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’’は水素である。
【0099】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’’はハライドである。
【0100】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’’はC1~C20アルキル部分である。
【0101】
該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’’はC1~C20アルキルオキシ部分である。
【0102】
該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’及びR’’は両方とも、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分またはC1~C20アルキルオキシ部分から選択される同じ置換基から選ばれる。
【0103】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、R’及びR’’は水素である。
【0104】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有し、この末端基が以下のより具体的な構造2a)を有し、L3がC1~C19アルキレン基である態様では、R’及びR’’は、独立して、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分またはC1~C20アルキルオキシ部分から選択され; そしてm’は1~3の整数であり; そして
【0105】
【化10】
末端基2a)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す:
【0106】
【0107】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、L3はC1~C5アルキレン部分である。
【0108】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、L3はC1~C2アルキレン部分である。
【0109】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、L3はC1アルキレン部分である。
【0110】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’は水素である。
【0111】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’はハライドである。
【0112】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’はC1~C20アルキル部分である。
【0113】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’はC1~C20アルキルオキシ部分である。
【0114】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’’は水素である。
【0115】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’’はハライドである。
【0116】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’’はC1~C20アルキル部分である。
【0117】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’’はC1~C20アルキルオキシ部分である。
【0118】
該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’及びR’’は両方とも、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分またはC1~C20アルキルオキシ部分から選択される同じ置換基から選ばれる。
【0119】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2a)を有する態様では、R’及びR’’は水素である。
【0120】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2)を有する態様では、この末端基は以下のより具体的な構造2b)を有し、ここでL3はC1~C19アルキレンであり、そして
【0121】
【化12】
末端基2b)を該スチレン系ポリマーのポリマー鎖の末端に結合する直接原子価結合を表す:
【0122】
【0123】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2b)を有する態様では、L3はC1~C5アルキレン部分である。
【0124】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2b)を有する態様では、L3はC1~C2アルキレン部分である。
【0125】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造2b)を有する態様では、L3はC1アルキレン部分である。
【0126】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1)、1a)、1b)、1c)、2)、2a)、2b)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは1~約1.1の多分散性を有する。この態様の他の観点では、該ポリマーは、1~約1.09、1~約1.08、1~約1.07、1~約1.06、1~約1.05、1~約1.04、1~約1.03、1~約1.02、または1~約1.01の多分散性を有する。
【0127】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、末端基が構造1)、1a)、1b)、1c)、2)、2a)、2b)を有する態様の一つでは、該スチレン系ポリマーは約1000g/モル~約50000g/モルのMwを有する。本発明のこの観点の他の態様では、該スチレン系ポリマーは、約1000g/モル~約40000 g/モル、約1000~約30000、約1000~約20000、約1000~約10000、約1000~約9000、約1000~約8000、約1000~約7000、約1000~約6000、約2000~約6000、約3000~約6000、約4000~約6000、約5000~約6000、約5100~約5500または約5100~約5400のMwを有してよい。
【0128】
本発明の他の態様の一つでは、該スチレン系ポリマーは、1~約1.3の多分散性を有し、及び構造3)を有する:
【0129】
【0130】
式中、R1はC1~C20アルキルであり、R2、R3、R4及びR5は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、Rは、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数であり、そしてmは1~3である。
【0131】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3を有する態様において、mは1である。
【0132】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3を有する態様において、mは2である。
【0133】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3を有する態様において、mは3である。
【0134】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3を有する態様において、R2、R3、R4及びR5は全て水素である。
【0135】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3を有する態様において、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは全て水素である。
【0136】
該スチレン系ポリマーの上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3を有し、スチレン系ポリマーがより具体的な構造3a)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは1~約1.3の多分散性を有する。
【0137】
【0138】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3a)を有する態様において、R2、R3、R4及びR5は全て水素である。
【0139】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3a)を有する態様において、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは全て水素である。
【0140】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造3a)を有する態様において、該スチレン系ポリマーはより具体的な構造3b)を有する。
【0141】
【0142】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3b)を有する態様において、R2、R3、R4及びR5は全て水素である。
【0143】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3b)を有する態様において、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは全て水素である。
【0144】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3b)を有する態様において、R1はC1~C6アルキルであり、R2、R3、R4及びR5は、独立して、水素及びC1~C4アルキル部分からなる群から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてRは水素である。
【0145】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3a)または3b)を有する態様において、R1はC1~C6アルキルであり、R2及びR3は水素であり、そしてR4及びR5は、独立して、水素及びC1~C4アルキル部分からなる群から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてRは水素である。
【0146】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、該スチレン系ポリマーは、R2が水素であるものである。
【0147】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、該スチレン系ポリマーは、R2がC1~C4アルキル部分であるものである。
【0148】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R3は水素である。
【0149】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R3はC1~C4アルキル部分である。
【0150】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R4は水素ある。
【0151】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R4はC1~C4アルキル部分である。
【0152】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R5は水素である。
【0153】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R5はC1~C4アルキル部分である。
【0154】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様において、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは水素である。
【0155】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが3)、3a)または3b)を有する態様において、R1はC1~C6アルキルであり、R2、R3、R4及びR5は水素であり、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてRは水素である。
【0156】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが3)、3a)または3b)を有する態様において、R1はC1~C6アルキルであり、R2、R3、R4及びR5は水素であり、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは水素であり、そしてRは水素である。
【0157】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは、Rがハライドであるものであり、このハライドは、F、Cl、BrまたはIからなる群から選択してよい。この態様の他の観点の一つでは、前記ハライドはFであり、他の態様の一つでは前記ハライドはClであり、他の態様の一つでは前記ハライドはBrであり、更に別の態様の一つでは前記ハライドはIである。
【0158】
上記の態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは、Rがアルキル部分であり及びRがC1~C20アルキル部分であるものである。この態様の他の観点の一つでは、RはC1~C15アルキル部分であり、RはC1~C10アルキル部分であり、RはC1~C5アルキル部分であり、RはC1~C4アルキル部分であり、RはC1~C3アルキル部分であり、RはC1~C2アルキル部分であり、またはRはC1アルキル部分である。
【0159】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造3)、3a)または3b)を有する態様では、Rはアルキルオキシ部分であり、RはC1~C20アルキルオキシ部分である。この態様の他の観点の一つでは、RはC1~C15アルキルオキシ部分であり、RはC1~C10アルキルオキシ部分であり、RはC1~C5アルキルオキシ部分であり、RはC1~C4アルキルオキシ部分であり、RはC1~C3アルキルオキシ部分であり、RはC1~C2アルキルオキシ部分であり、またはRはC1アルキルオキシ部分である。
【0160】
本発明の他の態様の一つでは、該スチレン系ポリマーは1~約1.3の多分散性であり及び構造4)を有し、式中、R1はC1~C20アルキルであり、R’2、R’3は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、R’は、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数であり、そしてm’は1~3の整数である。
【0161】
【0162】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)を有する態様では、R’2及びR’3は、独立して、C1~C10アルキレン部分から選択される。
【0163】
構造4)を有するスチレン系ポリマーの他の態様の一つでは、該スチレン系ポリマーはm’が1または2であるものである。
【0164】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは、R’及びR’’は水素であるものである。
【0165】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素からなる群から選択されるものである。
【0166】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)を有する態様では、該スチレ系ポリマーはより具体的な構造4a)を有し、式中、R1はC1~C20アルキルであり、R’2、R’3は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、R’は、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数である。
【0167】
【0168】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4a)を有する態様では、R’2及びR’3は、独立して、C1~C10アルキレン部分から選択される。
【0169】
構造4a)を有するスチレン系ポリマーの他の態様の一つでは、該スチレン系ポリマーは、R’及びR’’が水素であるものである。
【0170】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4a)を有する態様では、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素からなる群から選択される。
【0171】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造4)または4a)を有する態様では、該スチレン系ポリマーはより具体的な構造4b)を有する。
【0172】
式中、R1はC1~C20アルキルであり、R’2、R’3は、独立して、水素またはC1~C20アルキル部分から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素、C1~C20アルキル、C1~C20アルキルオキシ、C1~C10フルオロアルキル、C1~C10フルオロアルキルオキシ、トリアルキルシリル基、(トリアルキルシリル)アルキレン基、及び(トリアルキルシリル)アルキレンオキシ基からなる群から選択され、R’は、水素、ハライド、C1~C20アルキル部分及びC1~C20アルキルオキシ部分からなる群から選択され、nはポリマー鎖中の繰り返し単位の数であり、0以外の正の整数である。
【0173】
【0174】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’2及びR’3は、独立して、C1~C10アルキレン部分から選択される。
【0175】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’及びR’’は水素である。
【0176】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’及びR’’は水素である。
【0177】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは水素である。
【0178】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R1はC1~C6アルキルであり、R’2、R’3は、独立して、水素及びC1~C4アルキル部分からなる群から選択され、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてR’及びR’’は水素である。
【0179】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R1はC1~C6アルキルであり、R’2及びR’3は水素であり、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは、独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、そしてR’及びR’’は水素である。
【0180】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R1はC1~C6アルキルであり、R’2、R’3は水素であり、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは水素であり、そしてR’及びR’’は水素である。
【0181】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’及びR’’は水素である。
【0182】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’及びR’’はハライドである。
【0183】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’及びR’’はC1~C20アルキル部分である。
【0184】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’及びR’’はC1~C20アルキルオキシ部分である。
【0185】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R6、R6a、R6b、R6c及びR6dは水素である。
【0186】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’2は水素である。
【0187】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’2はC1~C20アルキル部分である。
【0188】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つにおいて、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’3は水素である。
【0189】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、スチレン系ポリマーが構造4)、4a)または4b)を有する態様では、R’3はC1~C20アルキル部分である。
【0190】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、ポリマーが構造3)、3a)、3b)、4)、4a)または4b)を有する態様では、このポリスチレンは1~約1.1の多分散性を有する。この態様の他の観点の一つでは、該ポリマーは、1~約1.09、1~約1.08、1~約1.07、1~約1.06、1~約1.05、1~約1.04、1~約1.03、1~約1.02、または1~約1.01の多分散性を有する。
【0191】
上記態様のいずれか一つの他の態様の一つであって、ポリマーが構造3)、3a)、3b)、4)、4a)または4b)を有する態様では、該スチレン系ポリマーは、約1000g/モル~約50000g/モルのMwを有する。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、該スチレン系ポリマーは、約1000g/モル~約40000g/モル、約1000~約30000、約1000~約20000、約1000~約10000、約1000~約9000、約1000~約8000、約1000~約7000、約1000~約6000、約2000~約6000、約3000~約6000、約4000~約6000、約5000~約6000、約5100~約5500または約5100~約5400のMwを有してよい。
【0192】
本発明の他の観点の一つは、スチレン系ポリマー及び溶剤を含む組成物であり、ここで該スチレン系ポリマーは、該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれか一つから選択される。
【0193】
本発明の他の態様の一つでは、該スチレン系ポリマーは、該スチレン系ポリマーの上記の態様のいずれかから選択される二種以上の異なるスチレン系ポリマーの混合物であってよい。
【0194】
該新規組成物の他の観点の一つでは、該組成物は、成分として更なる添加剤、例えば界面活性剤、レベリング剤、安定化剤、熱酸発生剤、光酸発生剤及び類似物を含んでよい。
【0195】
該新規組成物の上記の態様において、上記溶剤は、該新規スチレン系ポリマー及び任意の他の追加的な成分を溶解するものである。この溶剤は、単一の溶剤または複数種の溶剤の混合物であってよい。適当な溶剤は、有機溶剤であり、これには、例えばグリコールエーテル誘導体、例えばエチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、またはジエチレングリコールジメチルエーテル; グリコールエーテルエステル誘導体、例えばエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA); カルボキシレート、例えばエチルアセテート、n-ブチルアセテート及びアミルアセテート; 二塩基性酸のカルボキシレート、例えばジエチルオキシレート及びジエチルマロネート; グリコール類のジカルボキシレート、例えばエチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート; 及びヒドロキシカルボキシレート、例えば乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、グリコール酸エチル、及び3-ヒドロキシプロピオン酸エチル; ケトンエステル、例えばピルビン酸メチルまたはピルビン酸エチル; アルキルオキシカルボン酸エステル、例えば3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、またはエトキシプロピオン酸メチル; ケトン誘導体、例えばメチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2-ヘプタノン; ケトンエーテル誘導体、例えばジアセトンアルコールメチルエーテル; ケトンアルコール誘導体、例えばアセトールまたはジアセトンアルコール; ケタールまたはアセタール、例えば1,3ジオキサラン及びジエトキシプロパン; ラクトン、例えばブチロラクトン; アミド誘導体、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド、アニソール及びこれらの混合物などが挙げられ得る。
【0196】
該新規組成物は、溶剤の他に、コーティングを容易にするための添加剤として界面活性剤を含んでよい。
【0197】
また、該新規組成物は、任意選択的に、酸発生剤、例えば熱酸発生剤及び/または光酸発生剤を含んでよい。このような添加剤は補助のために要求されるものではないが、これらの添加剤は、酸を放出することによって、基材上で該新規スチレン系ポリマーのベンジルアルコール末端基部分がグラフト反応してピン止め層を形成することを補助し得る。これは、基材表面でのグラフト反応のより高いレベルを達成するのを助け得る他、またコーティング後のグラフトを起こすのに必要なベーク温度を低めることも可能にする。
【0198】
適当な熱酸発生剤には、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、パーフルオロベンゼンスルホネートエステル、パーフルオロアルカンスルホネートエステルなどが挙げられる。非限定的に、上記の調合物のための例示的な熱酸発生剤には、トリ-C1~C8-アルキルアンモニウムp-トルエンスルホネート、C1~C8-アルキルアンモニウムデデシルベンゼンスルホネート、トリ-C1~C8-アルキルアンモニウムパーフルオロブタン-1-スルホネート、トリ-C1~C8-アルキルアンモニウムトリフルオロメタン-スルホネート、N-ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン-スルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-1-オクタンスルホネート、ビス(フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、2-ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4-ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2-ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4-ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、または上記物質の少なくとも一つを含む組み合わせなどが挙げられる。適当な光酸発生剤には、例えば、芳香族及び脂肪族のスルホニウム塩及びヨードニウム塩などが挙げられる。
【0199】
本発明の他の観点の一つは、次のステップを含む、基材上にピン止め層をグラフトする新規方法である:
a) 態様1または2の該新規スチレン系ポリマーのいずれかを含む上記の組成物のいずれかで基材をコーティングして、コーティングされた層を形成するステップ;
b) ポリマーの前記コーティングされた層を、約120℃~約190℃の温度で加熱して、溶剤を除去して、グラフトを起こすステップ;
c) 前記の加熱されたコーティングされた層を有機溶剤で処理して、グラフトしていないポリマーを除去して、不溶性のグラフトピン止め層を基材上に残すステップ。
【0200】
基材上にピン止め層をグラフトする新規方法の他の観点の一つでは、溶剤を除去しそして基材上にコポリマーをグラフトする該新規組成物ステップb)において、このステップは、約140℃~約170℃、または150℃~約170℃の範囲の温度で行ってよい。溶剤を除去し、基材上に該新規スチレン系ポリマーをグラフトするための時間は、約1~10分間または約1~5分間である。
【0201】
ピン止め層をグラフトする新規方法の他の観点の一つでは、ステップc)における未グラフト材料の除去の前の典型的な初期フィルム厚は、加熱後に約10nm~約200nm、または約20nm~約100nm、または約20nm~約80nm、または約30nm~約60nm、または約40nm~約60nmの範囲である。
【0202】
熱酸発生剤が添加剤として存在する場合には、ステップb)において溶剤除去及びグラフトを起こすために必要な温度は、約90℃~約170℃または約100℃~約170℃であってよい。この場合もまた、溶剤を除去し及び基材上に該新規スチレン系ポリマーをグラフトするための時間は、約1~10分間または他の態様の一つでは約2~5分間であってよい。
【0203】
光酸発生剤が存在する場合には、約90~約150℃の範囲での溶剤のみを除去するためのベークの後に、UV、ディープUVまたはVUV放射線を用いた任意選択のブランケット照射ステップの間に酸が放出される。高酸性度光酸(すなわち、pKa<-2)を放出する光酸発生剤のための照射ステップに続いて、後続のグラフトベークステップは無しにグラフトを行うこと、または約90~約150℃の温和なグラフトベークステップを続けることができる。他の場合は、比較的低い酸性度光酸(すなわちpHa≧-2)を放出するための光酸発生剤のためには、約90~約200℃の範囲のベーク温度を使用し得る。一般的に、溶剤を除去し及び基材にコポリマーをグラフトさせるための加熱時間は1~10分間または他の態様の一つでは1~5分間である。
【0204】
本発明の他の観点の一つは、次のステップを含む、画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化のための新規の第一の方法である:a1) グラフト可能な中性層ポリマー前駆体で基材をコーティングして、コーティングされた層1を形成するステップ;
b1) コーティングされた層1を、90℃~180℃の温度に加熱して、溶剤を除去するステップ;
c1) ステップb1)後のコーティングを、200℃~300℃の温度に加熱して、グラフトを起こすステップ;
d1) ステップc1)後のコーティングを有機溶剤で処理して、未グラフト中性層ポリマーを除去し、そうして不溶性のグラフト中性層を基材上に残すステップ;
e1) 前記グラフト中性層の上にフォトレジスト層をコーティングするステップ;
f1) 前記フォトレジスト層中にネガトーンパターンを形成して、それによって、前記グラフト中性層が、レジストで覆われている領域とレジストで覆われていない領域とを形成し、ここでレジスト中のパターンは、小さいナノメータサイズの繰り返しパターンと、繰り返しナノメータサイズパターンを含まない画像形成プロセス中に除去されたレジストの広い領域との両方を含む、ステップ;
g1) エッチングして、ステップf1)で覆われていない中性層領域を除去して、これらの領域中に裸の基材を残すステップ;
h1) ステップg1)後の基材からレジストをストリッピングして取り除いて、パターン化された基材を残し、ここでステップf1)においてレジストで覆われずに残った基材の領域は、グラフト中性層を含まず、そしてステップf1)においてレジストで覆われた領域はグラフト中性層を保持する、ステップ;
i1) パターン化された基材を、請求項26または27の組成物でコーティングして、コーティングされた層2を形成するステップ;
j1) コーティングされた層2を、120℃~190℃の温度で加熱するステップ;
k1) 加熱ステップj1)後のコーティングされた層2を有機溶剤で処理して、未グラフトポリマーを除去し、そうして、グラフト中性層を含まない領域において基材上に不溶性グラフトピン止め層材料を残して、ピン止め層領域と中性層領域との両方を有する基材を形成するステップ;
l1) 耐エッチング性スチレン系ブロックと高エッチング可能な脂肪族ブロックとを含むブロックコポリマーのコーティングを、パターン化中性層及びピン止め層を含む基材上に施与して、パターン化中性層及びパターン化ピン止め層の両方を含む基材を形成するステップ;
m1) 基材の小さいナノメータサイズ繰り返しパターンで自己組織化が起こるまでブロックコポリマー層をアニールし、ただしこの際、ブロックポリマードメインの垂直な配向は、グラフトピン止め層を含む広い領域では起こらない、ステップ。
【0205】
ステップj1)におけるケモエピタキシの上記の新規の第一の方法の他の観点の一つでは、本発明の新規コポリマーのグラフト架橋コーティングを形成する方法について先に述べたように、グラフトを起こすための温度は変えることができる。また、このステップのベーク時間も先に記載したように変えることができる。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、ステップm1)の後にステップn1)を設けて、自己組織化したブロックコポリマードメインを使用して、基材中へのエッチングに対して選択的なバリアを供することによって、基材中に画像を形成する。この選択的エッチングは、それぞれ基材をエッチングするために使用される、化学的エッチング液に対する組織化ブロックドメインの異なる反応性によってまたはプラズマエッチングステップに対する異なる反応性によって付与し得る。一例は、一方のブロックがプラズマエッチング耐性ブロックであり、他方がプラズマで高エッチング可能である場合である。自己組織化ブロックコポリマーによる基材中への選択的エッチングは、基材中への画像の提供のために使用し得る。次いで、この画像は、メモリまたは論理デバイスを製造するための方法に使用される特定の層中に構造を画定することによって微細電子デバイスの製造に使用し得る。ネガ型もしくはポジ型レジストを、ステップe1)及びf1)で使用し得る。ポジ型レジストの場合ではあるが、それらのトーンは、TMAHベースの現像剤の代わりに有機溶剤を用いて現像することによって反転させて、ポジの代わりにネガ画像を得る。また、ステップf1)で形成されるフォトレジストパターンを形成するために使用される放射線は、電子線、ブロードバンド、UV、193nm液浸リソグラフィ、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nm放射線から選択してよい。
【0206】
本発明の他の観点の一つは、次のステップを含む、画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化のための新規の第二の方法である:a2) 架橋可能であるか、または架橋可能でかつ基材上にグラフト可能である、中性層ポリマー前駆体のコーティングを形成するステップ;
b2) 架橋可能である中性ポリマー層前駆体コーティング、または架橋可能でかつグラフト可能な前駆体コーティングを約90℃~約180℃の温度で加熱して溶剤を除去するステップ;
c2) 架橋可能である中性層ポリマー層前駆体コーティング、または架橋可能でかつグラフト可能な前駆体コーティングを約200℃~約300℃の温度で加熱して、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層を形成するステップ;
d2) この架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層上に、フォトレジスト層のコーティングを供するステップ;
e2) 前記フォトレジスト層中にネガトーンパターンを形成して、それによって、前記架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層がレジストによって覆われている領域と覆われていない領域とを形成し、ここで、レジスト中の前記パターンは、小さいナノメータ繰り返しパターンと、繰り返しナノメータサイズパターンを含まない画像形成プロセス中に除去されたレジストの広い領域との両方を含む、ステップ;
f2) ステップe2)における覆われていない中性層領域において、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層をプラズマを用いてエッチングして除去して、ステップe2)において覆われていない領域において裸の基材を残すステップ;
g2) ステップf2)後の基材からレジストをストリッピングして取り除いてパターン化された基材を残し、ここで、スッテプe2)においてレジストで覆われずに残った領域の基材は、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層を含まず、及びステップf2)においてレジストによって覆われた領域は、架橋した中性層または架橋かつグラフトした中性層を保持する、ステップ;
h2) パターン化された基材を、請求項26または27の組成物でコーティングして、コーティングされた層を形成するステップ;
i2) コーティングされた層を、120℃~190℃の温度で加熱するステップ;
j2) 加熱ステップi1)後のコーティングされた層を有機溶剤で処理して、グラフトしていないポリマーを除去し、そうして、架橋した中性層を含まない領域または架橋かつグラフトした中性層を含まない領域において基材上に不溶性の架橋したまたは架橋かつグラフトしたピン止め層材料を残して、パターン化された中性層とパターン化されたピン止め層の両方を含む基材を形成するステップ;
k2) 耐エッチング性スチレン系ブロックと高エッチング可能な脂肪族ブロックとを含むブロックコポリマーのコーティングを、パターン化中性層及びピン止め層を含む基材上に施与するステップ;
l2) 基材の小さいナノメータサイズ繰り返しパターンで誘導自己組織化が起こるまでブロックコポリマー層をアニールし、ただしこの際、ブロックポリマードメインの垂直な配向は、グラフトピン止め層を含む広い領域では起こらない、ステップ。
【0207】
ステップj2)におけるケモエピタキシの上記の新規の第二の方法の他の観点の一つでは、本発明の新規コポリマーのグラフト架橋コーティングを形成する方法について先に述べたように、グラフトを起こすための温度は変えることができる。また、このステップのベーク時間も先に記載したように変えることができる。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、ステップl2)の後にステップm2)を設けて、自己組織化したブロックコポリマードメインを使用して、基材中へのエッチングに対して選択的なバリアを供することによって、基材中に画像を形成する。この選択的エッチングは、それぞれ基材をエッチングするために使用される、化学的エッチング液に対する組織化ブロックドメインの異なる反応性によってまたはプラズマエッチングステップに対する異なる反応性によって付与し得る。一例は、一方のブロックがプラズマエッチング耐性ブロックであり、他方がプラズマで高エッチング可能である場合である。自己組織化ブロックコポリマーによる基材中への選択的エッチングは、基材中への画像の提供のために使用し得る。次いで、この画像は、メモリまたは論理デバイスを製造するための方法に使用される特定の層中に構造を画定することによって微細電子デバイスの製造に使用し得る。ネガ型もしくはポジ型レジストを、ステップd2)及びe2)で使用し得る。ポジ型フォトレジストの場合ではあるが、それらのトーンは、TMAHベースの現像剤の代わりに有機溶剤を用いて現像することによって反転させて、ポジの代わりにネガ画像を得る。また、ステップf2)で形成されるフォトレジストパターンを形成するために使用される放射線は、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nm放射線から選択してよい。
【0208】
一般的に、但し理論的に拘束されずに、基材が、ラメラ形成性ジブロックコポリマーの一方のドメインに対し他方に対するよりも好ましい界面エネルギーを有する場合には、基材と好ましいドメインとの間の相互作用は、ラメラを、垂直な配向の代わりに薄いフィルム中に基材に対して並行に配向させる。薄いフィルムのこの並行な形状は、BCPフィルム厚さ及びBCPドメインと周囲環境(例えば空気またはN2)との間の界面エネルギーに依存して、非対称的構造、対称的構造、及びホール-アイランド構造などの三つの典型的な構造を有する。N2雰囲気中でポリスチレン(PS)をグラフトし、BCPをコーティングしかつアニールした基材上では、PSドメインとPMMAドメインの両方が同じ界面エネルギーを有する。その結果、PSドメイン及びPMMAドメインの両方を、基材表面に対して並行な配向で配置することができる。
【0209】
具体的には、該新規ポリスチレン系ポリマーの層を裸の基材上にグラフトできる上記の方法において中性層が除去された広い領域では、このグラフト層は、驚くべきほどに強く、緻密でかつ均一なピン止め層を形成し、これらのピン止め層は、スチレン系ブロック(または、該新規ポリマーから形成した該新規グラフトポリスチレン系層に類似の極性を持つ他の耐エッチング性ポリマーブロック)と脂肪族ブロック(または、前記スチレン系ブロックとは異なる極性を持つ他のエッチング可能なポリマーブロック)とのジブロック型ラメラ形成性ブロックコポリマーの場合に起こるであろうこれらの広い領域における欠陥形成を避けるために使用し得る。このような驚くべきほどに強いピン止め層の形成は、グラフトピン止め層を有する広い表面全体上に一貫して、該ブロックコポリマーの一貫した並行なラメラ配向にとって非常に好ましい表面を生成する。これらの並行なラメラ型配向は、その配向均一性と同時に、パターンエッチングの間に表面全体にわたって一般したエッチング速度を与えるブロックコポリマーコーティングをもたらす。広い領域上での該ブロックコポリマーコーティングのエッチングのこの均一性は、一貫してないエッチング速度の欠陥領域の形成を防止する。これは、該ブロックコポリマーコーティングが、自己組織化の間に、自己組織化されたアイランドまたはホール構造形状を形成した時に起こるであろう。このような形状は、他の場合には、該ブロックコポリマードメインの並行なラメラ型配向を有する非対称的または対称的構造のいずれかを良好なピン止め領域上で形成するであろう所与のLoを有する、ラメラ形成性ジブロックコポリマーの所与のコーティングの場合に基材で起こるであろう。それ故、纏めると、該新規スチレン系ポリマーから形成したグラフトしたピン止め層では、ライン及びスペースまたはトレンチなどのナノメータサイズの繰り返しパターンを含まない広い領域全体上に、並行なラメラ形成の一貫した形成をもたらす驚くべきほどに強くかつ均一なピン止め層が形成する。
【0210】
上記のグラフトプロセスにおいてかつケモエピタキシ方法1または2において、グラフトしていない新規スチレン系ポリマーを除去するために必要な溶剤は、これらの材料を溶解してここに記載の該新規組成物を形成するのに適したものとして先に記載した溶剤であってよい。
【0211】
同様に、上記のケモエピタキシ方法1または2では、グラフトしていない中性層前駆体、架橋していない中性層前駆体、またはグラフトも架橋もしていない中性層前駆体を除去するのに適した溶剤は、適当な中性層材料の記載のために使用した本明細書に掲載するものとして先に記載した文献に適したものとして記載のものである。
【0212】
上記のケモエピタキシ方法1または2では、ピン止め層を形成することができる該新規スチレン系組成物と組み合わせて使用するためのブロックコポリマーは、自己組織化を介してドメインを形成できる任意のブロックコポリマーであることができる。自己会合する傾向のある同じタイプのブロックによって、ミクロドメインが形成される。典型的には、この目的に使用されるブロックコポリマーは、モノマーから誘導された繰り返し単位が、組成的に、構造的にまたはその両方で異なりかつ相分離及びドメイン形成ができるブロックに整列するポリマーである。これらのブロックは、一方のブロックは削除し、他方のブロックは表面上にそのまま維持でき、そうして表面上にパターンを供するのに使用できるという異なる性質を有する。それ故、このブロックは、プラズマエッチング、溶剤エッチング、水性アルカリ性溶液を用いた現像剤エッチングなどによって選択的に削除することができる。有機モノマーをベースとするブロックコポリマーでは、一方のブロックは、ポリジエンを始めとするポリオレフィン系モノマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)及びこれらの混合物などのポリ(アルキレンオキシド)を始めとするポリエーテルからできていることができ; 他方のブロックは、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマン及び/またはこれらの混合物などを始めとした様々なモノマーからできていることができる。ポリマー鎖中のこれらのブロックは、それぞれ、モノマーから誘導された一種またはそれ超の繰り返し単位を含むことができる。必要なパターン及び使用する方法のタイプに依存して、異なるタイプのブロックコポリマーを使用し得る。例えば、これらは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ターポリマーまたはマルチブロックコポリマーからなっていてよい。これらのブロックコポリマーのブロックは、それら自体が、ホモポリマーまたはコポリマーからなっていてよい。異なるタイプのブロックコポリマーも自己組織化に使用でき、例えば樹脂状ブロックコポリマー、超分岐ブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、有機ジブロックコポリマー、有機マルチブロックコポリマー、線状ブロックコポリマー、星形ブロックコポリマー、両親媒性無機ブロックコポリマー、両親媒性有機ブロックコポリマー、または少なくとも異なるタイプのブロックコポリマーからなる混合物などがある。
【0213】
有機ブロックコポリマーのブロックは、C2~C30オレフィンなどのモノマー、C1~C30アルコールから誘導される(メタ)アクリレートモノマー、無機含有モノマー、例えばSi、Ge、Ti、Fe、Alをベースとするモノマーから誘導される繰り返し単位を含んでよい。C2~C30オレフィンをベースとするモノマーは、単独で高エッチング耐性のブロックを構成し得るか、または一つの他のオレフィン性モノマーとの組み合わせでこのようなブロックを形成し得る。このタイプのオレフィン性モノマーの具体例は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1,3-ブタジエン、イソプレン、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4-ヒドロキシスチレン、4-アセトキシスチレン、4-メチルスチレン、アルファ-メチルスチレンまたはこれらの混合物である。高エッチング可能な単位の例は、(メタ)アクリレートモノマー、例えば(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物から誘導することができる。
【0214】
一つのタイプの高エッチング耐性繰り返し単位を含むブロックコポリマーの説明に役立つ例は、スチレンから誘導される繰り返し単位のみを含むポリスチレンブロックと、メチルメタクリレートから誘導された繰り返し単位のみを含む他のタイプの高エッチング可能なポリメチルメタクリレートブロックであろう。これらは一緒になって、ブロックコポリマーであるポリ(スチレン-b-メチルメタクリレート)を形成し、ここでbはブロックのことを指す。
【0215】
パターン化された中性層の領域とパターン化された新規ポリスチレン系ピン止め層の領域とを含むパターン化された基材上での誘導自己組織化のために使用されるグラフォエピタキシ、ケモエピタキシまたはピン止めケモエピタキシに有用なブロックコポリマーの具体的な非限定的な例は、ポリ(スチレン-b-ビニルピリジン)、ポリ(スチレン-b-ブタジエン)、ポリ(スチレン-b-イソプレン)、ポリ(スチレン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン-b-アルケニル芳香族類)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-(エチレン-プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド-b-カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-t-ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-b-t-ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド-b-プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン-b-イソプレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート-b-ジメチルシロキサン)、または上記のブロックコポリマーの少なくとも一つを含む組み合わせである。これらの全てのポリマー性材料は、ICデバイスの製造に典型的に使用されるエッチング技術に対し耐性のある繰り返し単位に富む少なくとも一方のブロックと、これらの同じ条件下に迅速にエッチングされる少なくとも一つのブロックの存在という点で共通する。これは、誘導自己組織化されたポリマーが、基材にパターン転写を行い、パターン修正またはパターン増倍のいずれかをもたらすことを可能とする。
【0216】
典型的には、グラフォエピタキシ、ケモエピタキシまたはピン止めケモエピタキシなどでの誘導自己組織化に使用されるブロックコポリマーは、約3,000~約500,000g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)、及び約1,000~約60,000の数平均分子量(Mn)、及び約1.01~約6、または1.01~約2、または1.01~約1.5の多分散性(Mw/Mn)を有する。Mw及びMn両方の分子量は、例えば、ポリスチレン標準に対して較正して、普遍的な較正法を用いたゲル透過クロマトグラフィにより決定できる。これは、ポリマーブロックが、所定の表面に付与された時に自然発生的に、または純粋に熱的な処理を用いることで、または自己組織化が起こるようにセグメントの流れを高めるためにポリマーフレームワーク中に溶剤蒸気を吸収させることでアシストされた熱的プロセスを介して、自己組織化するための十分な可動性を持つことを保証する。
【0217】
フィルムを形成するためのブロックコポリマーの溶解に適した溶剤は、ブロックコポリマーの溶解性要件で変わり得る。ブロックコポリマーアセンブリのための溶剤の例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオネート、アニソール、乳酸エチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、アミルアセテート、n-ブチルアセテート、n-アミルケトン(MAK)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、トルエン及び類似物などが挙げられる。一つの態様では、特に有用なキャスト溶剤には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、またはこれらの溶剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0218】
該ブロックコポリマー組成物は、無機含有ポリマー; 小分子、無機含有分子、界面活性剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャ、硬化剤、架橋剤、鎖延長剤、及び類似物などを包含する添加剤; 並びに上記の少なくとも一つを含む組み合わせからなる群から選択される追加の成分及び/または添加剤を含むことができ、ここで前記追加の成分及び/または添加剤の一種以上は、ブロックコポリマーと一緒に集合化して、ブロックコポリマーアセンブリを形成する。
【0219】
該ブロックコポリマー組成物は、パターン化された中性層の領域を含むパターン化された基材上に施与され、そして該パターン化された新規ポリスチレン系ピン止め層の領域は、先に記載したような慣用のリソグラフィによって表面上に画定され、ここで該中性層表面は、先に記載したような材料によって形成され、そして該ピン止め層は、本明細書に記載の該新規スチレン系ポリマーによって形成される。適用及び溶剤除去した時、ブロックコポリマーは、慣用のリソグラフィ加工で生成された基材表面のパターン化された化学的差異を介して、中性層上で、慣用のリソグラフィ加工によって形成された特定のパターンによって誘導されて自己組織化を起こす。パターン転写のための標準的なIC加工の後でのパターンとミクロ相分離距離との相対的なピッチに依存して、同じ解像度を維持したパターン修正が達成され、及び/または慣用のリソグラフィで画定された図形の間に多相境界が形成される場合にはパターン増倍も達成し得る。
【0220】
スピン技術(スピンドライイングも含む)によるブロックコポリマーの施与が、自己誘導化ブロックコポリマー組織を形成するのに十分であり得る。自己誘導化ドメイン形成の他の方法は、施与時、ベーク時、アニール時またはこれらの操作の一つ以上の組み合わせの時に起こり得る。こうして、上記の方法によって配向したブロックコポリマーアセンブリが作製され、これは、中性表面に対し垂直に配向したシリンダ型のミクロドメインを含むかまたは中性表面に対し垂直に配向したラメラ型ドメインを含むミクロ相分離ドメインを有する。一般的に、ミクロ相分離ドメインは、中性表面に対し垂直に配向したラメラ型ドメインであり、これは、ブロックコポリマー組織に並行なライン/スペースパターンを供する。こうして配向したドメインは、後の加工条件下に熱的に安定していることが望ましい。そのため、有用なジブロックコポリマー、例えばポリ(スチレン-b-メチルメタクリレート)を含むブロックコポリマーアセンブリの層をコーティングし、及び任意選択的にベーク及び/またはアニールした後に、ブロックコポリマーのドメインは、中性表面上に形成しかつそれに対し垂直に留まり、そうして基材表面上に高耐性領域と高エッチング可能領域とを与え、これを、更に基材層中にパターン転写することができる。誘導自己組織化ブロックコポリマーパターンは、既知の技術を用いて下にある基材中に転写される。一つの例では、湿式エッチングまたはプラズマエッチングを、任意にUV露光と組み合わせて、使用し得る。湿式エッチングは酢酸を用いたものであることができる。標準的なプラズマエッチングプロセス、例えば酸素を含むプラズマを使用してよく; 追加的に、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、CF4、CHF3もプラズマ中に存在してよい。
【0221】
本発明では、誘導自己組織化パターンを形成するために使用される最初のネガトーンフォトレジストパターンは、ネガ型もしくはポジ型フォトレジストのいずれかを用いて、ネガトーン現像プロセスで画定でき、そして慣用のリソグラフィ技術、例えば電子線、イオンビーム、X線、EUV(13.5nm)、ブロードバンド、またはUV(450nm~10nm)露光、液浸リソグラフィなどを用いて画像形成可能である。一つの態様では、本発明は、乾式リソグラフィまたは液浸リソグラフィのいずれかを用いた193nm像様露光に特に有用である。193nmリソグラフィには、商業的に入手できるポジ型193nmフォトレジストを使用でき、例えば非限定的な例には、AZ AX2110P(ニュージャージー州、ソマービル在のEMD Performance Materials Corp.から入手可能)、Shin-Etsu Chemical Corp.のフォトレジスト、Japan Synthetic RubberのJSR Micro、及びFjiFilm、TOKから入手できる他のフォトレジストなどがある。これらのフォトレジストは、露光後及びポスト露光ベーク後に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む水性アルカリ性現像剤を用いて現像してポジトーンパターンとすることができるか、またはn-アミルケトン(MAK)、n-ブチルアセテート、アニソールなどの有機溶剤を用いて現像して、ネガトーンパターンとすることができる。その代わりに、193nm露光にも、商業的に入手可能なネガトーンフォトレジストを使用してよい。本発明の一つの格別な特徴は、中性層の高レベルの架橋にもかかわらず、驚くべきことに、ブロックコポリマーに対する中性層の中性が維持されることである。高レベルの架橋は、フォトレジストでのオーバーコート、フォトレジストのベーク、フォトレジストの露光、各々のタイプのフォトレジストについて上述したような使用した現像剤を用いたフォトレジストパターンの現像、剥離条件などのプロセスステップが行われる時に必要とされ; しかし、該新規中性フィルムはなおも中性を維持して、トポグラフィリソグラフィ図形間でのブロックコポリマードメインの適切な配向を可能とする。中性は、
図1a~1cに示すように、配列プロセスの間に、ブロックコポリマーのドメインが中性表面上に形成しかつそれに対し垂直に留まるように、ブロックコポリマーの配向を制御するために必要である。
図1a~1cは、該ブロックコポリマーがどのようにそれ自体で、基材に対して垂直なドメインへと配向し、そしてこれらのドメインの一つが除去されて基材上にパターンが形成されるかを示している。
【0222】
これらの本発明によるケモエピタキシ及びグラフトプロセスを用いた場合に有用な基材は、ICデバイスの製造で必要とされる任意のものであってよい。一つの例では、基材は、ケイ素もしくはチタン含有ARC(酸素プラズマに対し高エッチング耐性)のコーティングが上面に施された高炭素含有有機層の層でコーティングされたウェハである。これは、パターン化されたブロックコポリマーからこれらのコーティング中へのパターン転写を可能にする。適当な基材には、限定はされないが、ケイ素、金属表面でコーティングされたケイ素基材、銅でコーティングされたケイ素ウェハ、銅、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、金属、ドープした二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ガラス、コーティングされたガラス; ヒ化ガリウム及び他のこのような第III/V族化合物などが挙げられる。これらの基材は、反射防止コーティング(複数可)でコーティングしてよい。基材は、上記の材料からできた任意数の層を含んでよい。
【0223】
本発明にとっては、ピン止めケモエピタキシを含む様々な方法を、US8,835,581(特許文献1)、US9,181,449(特許文献2)、US9,093,263(特許文献3)、US8691925(特許文献4)、US20140335324A1(特許文献5)、US2016-0122579A1(特許文献6)または米国出願第14/885,328号(特許文献7)に記載のような既知の中性層を該新規スチレン系ポリマー組成物と一緒に用いて、上記のブロックコポリマーの誘導自己組織化を達成するために使用できる。なおこれらの文献の内容は、本明細書中に掲載されたものとする。このパターンは、次いで更に基材中に転写することができる。このようにして、様々な高解像度図形を基材中にパターン転写して、パターン修正、パターン増倍またはこれらの両者を達成し得る。
【0224】
ケモエピタキシでは、基材表面は、ブロックコポリマーの一方のブロックに対して特定の化学的親和性を有するピン止め表面図形を該新規中性層中に提供し、そしてこの親和性及び中性層の存在がブロックコポリマーの整列を配向させる。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持する中性層を上述のように使用し得る。上述の該新規ケモエピタキシ方法1及び2におけるピン止め図形は、ここに記載の該新規スチレン系ポリマーを含む組成物から形成される。
【0225】
該新規コポリマーは、該新規ポリマー及び溶剤から構成される組成物中に配合されそして該新規方法を介して基板上にコーティングされた時に、非常に良好なフィルム均一性を持って、グラフトした層を提供及び維持でき、及び自己組織化を含む加工中にブロックコポリマーに対しピン止め層として働くことも図らずしも見出された。これは、先に詳しく述べたように、上面を覆うブロックコポリマーの自己組織化の間に、ライン・アンド・スペースやトレンチなどのナノメータサイズの繰り返しパターンを含まない広い領域全体にわたって並行なラメラの一貫した形成を可能とするという利点を持つ。他方で、これは、パターンを含まない基材のこの広い領域を覆うブロックコポリマーフィルムにおいて、ポリマーブロックドメインの垂直なラメラ配向のランダムな形成を回避する。上面を覆うブロックコポリマーフィルムのこのランダムな垂直配向は、基材中へのパターン転写中に欠陥を生じさせるであろう劇的に異なる耐エッチング性を持つランダムに分布した領域を有するブロックコポリマーを結果として与えるであろう。
【実施例0226】
以下、本発明のより具体的な態様と、このような態様をサポートする実験結果について説明する。しかし、以下の開示は、例示のみを目的としたものであり、それ故、請求項に記載の発明の範囲を如何様にも限定することを意図したものではない点を指摘しておく。
【0227】
ポリマー分子量は、一つのShodex KF-801カラム、二つのKF-802カラム、一つのKF-804カラム、及びデュアル紫外線検出器(Model 2487)及び示差屈折率検出器(モード2414)を備えたウォーター2695アライアンスモジュールゲル浸透クロマトグラフ(Waters Corporation,34 Maple Street,Milford,MA)を用いて決定した。使用した溶剤はテトラヒドロフランであり、40℃で0.7mL/分の速度で流し、そしてキャリブレーションは、標準のポリスチレンサンプルを用いて行った。
【0228】
全ての化学品は、ミリポア・シグマ(Billerica Ma)から得た。
【0229】
リソグラフィ露光は、ハママツ・フォトニクス(250 Wood Avenue Middlesex,NJ08846)、EX-ミニを用いて行った。エッチング試験は、ソードソン・マーチ(300 Nordson Dr.M/S 47 Amherst,OH 44001 USA)RIE-1700を用いて行った。フィルム及びパターンのスピンコート及び現像は、リソ・テック・ジャパン(Litho Tech Japan Corporation,3320034日本国埼玉県川口市並木2-6-6-201在)、LARC1012またはソクド(SOKUDO)(600-8009日本国京都府下条区四条通室町東入函谷鉾町88、K・I四条ビルディング5階在)デュオトラックを用いて行った。走査電子顕微鏡写真は、AMAT(Applied Materials,Inc.3050 Bowers Avenue,P.O.Box 58039 Stanta Clara,CA95054-3299 USA)SEMを用いて得た。ヒタチ(Hitachi High Technologies America Inc.10North Martingale Road,Suite 500 Schaumburg,Illinois 60173-2295)S-5500を用いて、生成したビアアレイの断面SEMを検査した。接触角は、共和(共和界面科学、352-0011日本国埼玉県新座市野火止5-4-41在)インターフェース・サイエンス・ドロップ・マスターDY-700を用いて測定した。
【0230】
合成例1:CH2CH2OHで末端キャップしたポリスチレンの合成
シングルネック1Lガラス製反応器に、N2の施与及び反応器の減圧を容易にするセプタムアダプタを取り付けた。動的真空(dynamic vacuum)下にヒートガンを用いて反応器を乾燥し、そしてN2を充填した。約600mLの無水シクロヘキサンを、N2下にステンレススチールカニューラを用いて反応器中に移した。次いで、110mL(99.66g)のスチレン(脱気及びN2下に貯蔵したもの)を、N2洗浄したシリンジを用いて前記反応器中に加えた。該モノマー溶液中の不純物を消滅するためにsec-BuLi(1.4M)を滴下した。ほのかな蜂蜜色が溶液中に持続するようになるまでこの滴定を行った。即座に、14.5mLの0.020モルのsec-BuLi(1.4M)を、シリンジを用いてこの反応に加えた。溶液は色がオレンジ色に変化した。この反応を水浴中で45℃で4時間維持した。このリビングポリスチリルリチウムアニオンをエチレンオキシド(EO)で末端キャップした。少量のsec-BuLi上で蒸留した精製されたEO(2mL)を、カニューラを介して上記反応器中に移した。このリビングポリスチリルリチウムのオレンジ色は、EOを添加すると直ぐに消失した。45℃に維持したこの反応器に低沸点モノマー溶液を添加する間は特別な注意を払うべきである。この添加の後に、熱水浴を取り除き、そしてエンドキャップ反応を、25℃で2時間継続した。この反応混合物を、0.5mlの1M HClで停止し、そして入口N2バブリングチューブを挿入した。窒素を反応中にバブリングして、残った過剰EOを、出口カニューラからセプタムを介して、水中のNaOH溶液を含むフラスコ中に15分間追い出した。この反応混合物を、30mLのTHFで希釈し、そして過剰のエタノールまたは10%の水を含むエタノール溶液中に析出させた。濾液が中性になるまでポリマーをエタノールで洗浄し、そしてポリマーを真空中55℃で10時間乾燥した。収率は100%であった。Mw=5250及びMn=5021g/モル
合成例2:CH2CH2OPhCH2OHで末端キャップしたポリスチレンの合成
窒素ガス保護下に、95gのメチレンクロライド中に溶解した例1で製造したポリマー100gを、3Lフラスコ中に仕込んだ。これに、240gのメチレンクロライド中に溶解した30gのp-トルエンスルホニルクロライドを加えた。この溶液を攪拌しながら、18.3gのトリエチルアミンを数回にわけて加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した後、この溶液を激しく攪拌しながらメタノール中にゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーを濾過して単離した。このポリマーを、最初は水中に、そして最後に再びメタノール中に析出させて精製した。この精製されたポリマーを、重量が一定となるまで45℃真空中で乾燥して93gの白色のポリマーを得た。プロトンNMRは、OH末端基が首尾良くOTsに転化されたことを示した。
【0231】
窒素保護下に、5gの4-ヒドロキシベンジルアルコールを95gのDMF中に溶解し、そしてTHF中の32gの1Mカリウムtert-ブトキシドを加えた。室温で約30分間攪拌した後、80gのDMF中に溶解した先に製造したポリマー23gをゆっくりと加えた。この反応混合物を室温で24時間攪拌した、この溶液を1Lの1:1(V/V)水/イソプロパノール中に激しく攪拌しながら注ぎ入れた。生じたポリマーを濾過して単離した。このポリマーを、水中に、そして最後に再びイソプロパノール中に析出させて精製した。この精製されたポリマーを、重量が一定となるまで50℃減圧炉中で乾燥して20gの白色のポリマーを得た。HNMR NMRはOTs末端基[OTs基は二つの識別可能なピークを有する: CH
3
Ph中の三つのHには2.5ppm、及びCH3Ph中の芳香族プロトンには7.5ppm]が首尾良くベンジルアルコール(H-1 NMR 2H(3.6ppm)、-CH2CH2OPhCH2OH; 2H(4.6ppm)、-CH2CH2OPhCH2OH)に転化されたことを示した。GPC分子量は、Mw=5408g/モル、Mn=5153g/モル、D=1.05であることが分かった。
【0232】
比較合成例1(ベンジルアルコール基を有するアゾ開始剤)
(1)5.0gの4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)を約100mLのメタノール中に攪拌しながら溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、メタノール中の等モル量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物からなる溶液を攪拌しながらゆっくりと加え、攪拌を、添加完了後に30分間続けた。次いで、この溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて室温で濃縮し、そして残渣をジエチルエーテル中に注ぎ入れた。これは、攪拌した時に、粘性の油状物を生成した。前記油状物を、ジエチルエーテルとアセトンとの混合物中に混ぜ入れることによって、白色の固形物に変えた。室温で乾燥すると、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)のアンモニウム塩5.5gが生じた。
(2)4gの4-(クロロメチル)ベンジルアルコールを30mlのアセトン中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、25gのアセトン中に溶解した5.7gのヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を、室温で17時間攪拌した。生じた塩化トリウムを濾過して除去した。次いで、濾液をロータリーエバポレーターを用いて小体積にまで濃縮し、そして攪拌された脱イオン水中に注ぎ入れた。得られた白色の固形物を単離し、脱イオン水で徹底的に洗浄し、そして減圧炉中で乾燥した。収量:5gの4-(ヨードメチル)ベンジルアルコール。
(3)ステップ(2)で得られた4-(ヨードメチル)ベンジルアルコール4.9gをジメチルスルホキシド(DMSO)11g中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、DMSO100g中に溶解したステップ(1)で製造されたアンモニウム塩4.3gを加えた。この反応混合物を室温で18時間攪拌した。テトラメチルアンモニウムアイオダイドをろ別して濾液を得た。この濾液を攪拌しながら脱イオン水中に注ぎ入れた。生じた固形物を濾過し、水で徹底的に洗浄し、そして室温で乾燥して、二つのベンジルアルコール基を持つアゾ開始剤4g、すなわち(E)-ビス(4-ヒドロキシフェニル)4,4’-(ジアゼン-1,2-ジイル)ビス(4-シアノペンタノエート)H-1を得た(収率 45%)。H-1 NMR(HOCH2PhCH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)N)2:6H(1.7ppm)、8H(2.5ppm)、4H(4.6ppm)、4H(5.1ppm)及び8H(7.4ppm)
比較合成例2(ベンジルアルコール停止型PSホモポリマー)
合成例1で調製したアゾ開始剤1.43g、及び2-ブタノン54g中に溶解したスチレン28.6gを用いて、磁石棒及び冷水凝縮器を備えた250mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で18時間、重合反応を行った。次いで、生じた溶液を室温まで放冷し、そしてメタノール中に析出させた。粗製ポリマーを、濾過して単離し、そしてこれを2-ブタノン中に溶解し、次いでこれをメタノールで再析出させることによって精製した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(16.4g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した(収率57%)。このポリマーは、15175g/モルのMw及び9783g/モルのMnを有することが確認された。ベンジルアルコール末端基に割り当てられる特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明確に観察された。
【0233】
合成例3:tert-ブチルジメチル((3-(1-フェニルビニル)ベンジル)オキシ)シラン(3-TBDMPVBOS)で末端キャップしたポリスチレンの合成
約55mLのスチレン(カラムに通しかつ脱気したもの)を、二つのロータフローストップコック及び19F接続ガラスジョイントを備えたキャリブレート済みのアンプル中に取り入れた。スチレンを低温に維持しながら動的真空下に注意深く脱気した後、所望量のスチレン(55mL)モノマーを集め、そしてストップコックを用いてアンプルを真空下に閉じた。グローブボックス中で、必要量の3-TBDMPVBOSをバイアル中に計り取り(Sec-BuLiに対して1.2モル過剰量)、そして約5~10mLのトルエン中に溶解し、そして単一のロータフローストップコック及び19Fジョイントを備えたキャリブレート済みのアンプル中に移した。希薄なリチウム3-メチル-1,1-ジフェニルペンタン-1-イド溶液を、sec-ブチルリチウムと1,1-ジフェニルエタン(DPE)とを暗色が生じるまでトルエン中で反応させることによって調製した。3-TBDMPVBOSの該溶液を、リチウム-3-メチル-1,1-ジフェニルペンタン-1-イドの該希薄溶液で、淡いオレンジ/赤色が持続性になるまで急いで滴定した。ストップコックを閉じた後、このアンプルをグローブボックスから取り出した。スチレンアンプル及びDPEアンプルの両方を、ガラスジョイント及びイエローグリースを用いて前記フラスコに取り付けた。このフラスコに真空をかけ、そしてヒートガンを用いて乾燥した。10分後、このフラスコを室温にし、そしてアルゴンを充填した。正圧下に、約600mLの無水THFを、カニューラ移送を介して前記フラスコに移した。このフラスコの温度を、ドライアイス/アセトン浴を用いて-78℃に低下した。THF溶液を、持続性のレモン黄/黄色が得られるまでsec-BuLi(1.4M)で滴定した。このフラスコを-78℃にしつつ、スチレンアンプルにアルゴンを充填し、そして圧力均衡ストップコックを閉じた。5分後、ドライアイス/アセトン浴を取り除き、そしてフラスコを室温(RT)にした。15~30分後に、sec-BuLiの黄色が色あせ(過剰のsec-BuLiの完全な崩壊)そして無色の溶液が得られた。無色の溶液が得られた後、フラスコの温度を-78℃に低下し、そしてsec-BuLiの必要量を、気密ガラスシリンジを用いて加えた。2~3分後、開始剤溶液を高速な攪拌の下に維持しつつ、3~6分間でスチレンを滴下した。この反応を更に30分間継続し、そして3mLの脱気したメタノールで停止した。このフラスコをRTにし、そしてMeOH中に析出することによってポリマーを回収した。析出したポリマーを濾過し、そして真空中で80℃で乾燥すると、3-TBDMPVBOSで末端キャップされたポリスチレン(PS)が定量的な収率で得られた。
【0234】
tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)保護基の解保護化:
シングルネック500mL丸底フラスコに、乾燥ポリマーとしての3-TBDMPVBOSで末端キャップしたポリスチレン(PS)を取り、そして約200mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解した。このフラスコをゴム製セプタムで閉じ、そして過剰のテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)(1:6)をカニューラを介して加えた。反応を室温で>24時間実行した。シロキシ基の完全な解保護化の後、(3-(1-フェニルビニル)フェニル)メタノールでキャップされたポリスチレン(PS-DPE-CH2OH)を、大過剰のメタノール中に析出することによって回収した(約5kのMnを有するPS-DPE-CH2OHは、メタノール中に部分的に溶解する傾向があるため、析出の間の損失を避けるように注意する必要がある)。脱イオン水/メタノール混合物(1:1)を使用して、シラノール及びLiOH副生成物を除去した。濾過した後、ポリマーを減圧炉中80℃で24時間乾燥すると、その結果、PS-DPE-CH2OHのような白色の粉末が42gの収率で得られた。プロトンNMRでは、tert-ブチルジメチルシリル保護基に割り当てられる特徴的なプロトンピーク(-0.9ppm)の消失が明確に観察された。
【0235】
図1の比較例
「合成例2」のポリマー及び「比較合成例2」のポリマーを別々にPGMEA中に溶解して2重量%の溶液を調製した。これらの溶液を、個別にナイロンフィルタ(Entegris,Billerica,Ma)を用いて濾過した。次いでこれらの二つの溶液を別々にSiウェハ及びSiO
2ウェハの両方に1500rpmでコーティングし、そしてこれらのウェハを次いでそれぞれ150℃で5分間ベークした。このベークの後に、これらのウェハをPGMEAで1分間洗浄して、未グラフトポリマーをウェハから除去し、これらを次いで、「1,500ppm」で回転させることによってスピン乾燥し、その後、110℃で1分間ベークした。加工した基材のAFM画像を撮り、スキャンした表面画像を
図1に示す。「合成例2」からの製造したグラフトブラシ型ポリマーは、b)Si基材及びd)SiO2基材の両方上で均一で緻密なフィルムを示した。これとは対照的に、「比較合成例2」のポリマーで処理したウェハは、非グラフト領域(ホワイトホール)を有し、これは、グラフトポリマーブラシフィルムは、a)Si基材及びc)SiO
2基材のいずれでも均一ではないことを示す。
【0236】
図2A及び2Bの比較例
Siウェハを、フジフイルム(419West Avenue Stamford,CT06902)から得たSi反射防止コーティング(ARC)(SHB A940)で1500rpmでコーティングし、そして220℃で90秒間ベークし、次いでこれらのウェハをTMAHですすいだ。次いで、これらのARCコートウェハを、「合成例2」のポリマーまたは「比較例2」のポリマーのいずれかのPGMEA中の2重量%濾過溶液で個別にコーティングして、51nmの厚さを得た。コーティングした後、これらのウェハのそれぞれを160℃で5分間ベークし、次いでPGMEAで1分間すすいで、未グラフトスチレン系ポリマーを除去し、そしてこのベークの後に、1500rpmでスピン乾燥し、そして110℃で1分間ベークして、ポリスチレンがグラフトしたウェハを製造した。これらのポリスチレングラフトウェハのそれぞれの上に、ブロックコポリマー(BCP)フィルムを、メチルメタクリレート(MMA)並びに30nmのLo及び約40~60%のポリスチレンVfを有するAZEMBLY EXP PME-190(EMD Performance Materials,70 Meister Ave,Branchburg,NJ 08876,USA)のジブロックコポリマーからコーティングした。この材料は、(20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm及び50nm)の範囲の厚さをコーティングするために、コーティングの間に速度を変えることによってコーティングした。このBCPでコーティングされたこれらのウェハを、次いで、N
2下に250℃で5分間アニールして、ブロックコポリマーフィルムをアニールした。NanoSEM(NanoSEM 3D,Applied Materials,Santa Clara,CA)トップダウン画像をこれらの異なるコーティング及びアニールされたウェハについて撮った(
図2)。30nm及び45nmフィルム厚を有するアニールされたBCPフィルムにおいて、「合成例2」のポリマーから用意したウェハ上では並行な形状が観察されたが(
図2B)、「比較合成例2」のポリマーから用意したウェハのいずれでもこのような形状は観察されなかった(
図2A)。これは、「合成例2」のポリマーが、均一で緻密なポリマーグラフトブラシフィルムを形成することによって強い一貫した表面エネルギーを供し、他方、「比較合成例2」からのブラシ型材料は、同等のグラフトポリマーブラシフィルム品質を持たなかったことを示した。一般的に、但し理論的に拘束されずに、基材が、ジブロックコポリマーの一方のドメインに対し他方に対するよりも好ましい界面エネルギーを有する場合には、基材と好ましいドメインとの間の相互作用は、ラメラを、垂直な配向の代わりに薄いフィルム中に基材に対して並行に配向させる。薄いフィルムのこの並行な形状は、BCPフィルム厚さ及びBCPドメインと周囲環境(例えば空気またはN
2)との間の界面エネルギーに依存して、非対称的構造、対称的構造、及びホール-アイランド構造などの三つの典型的な構造を有する。N
2雰囲気中でポリスチレン(PS)をグラフトし、BCPをコーティングしかつアニールした基材上では、PSドメインとPMMAドメインの両方がN
2周囲に対して同じ界面エネルギーを有することが予期されるであろう。その結果、PSドメイン及びPMMAドメインの両方を、BCPフィルムの上面に配置することができる。
図2A及び2Bは、それぞれ、2Aでは約1.7の多分散性を有するポリスチレン材料からのグラフトPSブラシであり、2Bでは1.05の多分散性を有するポリスチレン材料からのグラフトPSブラシである基材上で、30nmのLoを有するBCPが如何に効率よく自己組織化するかを比較する。理論的には、30nmのLoを有するこのBCPでは、30nm及び45nmのBCPフィルム厚さの時に、対称的及び非対称的な湿潤構造があるべきであり、他のBCPフィルム厚では、ホール及びアイランド構造が優勢であるべきである。しかし、この理論を支えるためには、基材とPSドメインとの間の界面エネルギーは十分に高いものであるべきである。もしそうでない場合は、PS及びPMMAドメインの両方が、対応するフィルム厚において完全に並行な薄いフィルム構造を生成しない基材と相互作用できるようになる。この理論的結果を達成するためには、グラフトPSブラシ領域は、BCPのPSドメインとの強力で一貫した界面相互作用を可能とするためには、緻密で均一なフィルムを基材上に有するべきである。
図2Aでは、フィルム厚が厚くなるにつれ、SEM写真は、一貫して、フィルム厚の変化に関係なく、ホール及びアイランド構造を常に示したが、他方、
図2Bでは、そのSEM写真から、完全に並行な薄いフィルム構造が存在することが明らかである。この結果は、2Bにおいて狭い多分散性をもって施与されたPSブラシ材料が、緻密で強いPSグラフト表面を供することを示している。他方で、
図2Aの形では、理論的な並行な配向は非対称的及び対称的湿潤構造の証であるため、高い多分散性を有するPS前駆体の使用は不良のグラフトPSフィルムを与えることが明らかである。