(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006205
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びライナアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230111BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108683
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 涼也
(72)【発明者】
【氏名】桑原 有生
(72)【発明者】
【氏名】李 黎夫
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 昂
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB21
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF03
2G084FF04
2G084FF15
2G084FF23
5F004AA15
5F004AA16
5F004BA09
5F004BA14
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BC02
5F004BC03
5F004BC08
5F004BD04
5F004CA06
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理装置において自由度の高い導電性ライナを提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置は、プラズマ処理空間を有し、グランド電位に接続される導電性チャンバと、プラズマ処理空間内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、プラズマ処理空間から分離した状態で導電性チャンバに取り付けられ、導電性チャンバを介してグランド電位に接続される導電性リングと、導電性リングに取り付けられ、プラズマ処理空間において導電性リングの周方向に並べて配置される複数の導電性ライナであり、各導電性ライナは、第1の面と第1の面と反対側の第2の面とを有し、第1の面は、プラズマに曝され、第2の面は、導電性チャンバの側壁と対向し、複数の導電性ライナのうち2つの隣り合う導電性ライナの間には間隙が形成されている、複数の導電性ライナと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理空間を有し、グランド電位に接続される導電性チャンバと、
前記プラズマ処理空間内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記プラズマ処理空間から分離した状態で前記導電性チャンバに取り付けられ、前記導電性チャンバを介してグランド電位に接続される導電性リングと、
前記導電性リングに取り付けられ、前記プラズマ処理空間において前記導電性リングの周方向に並べて配置される複数の導電性ライナであり、各導電性ライナは、第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有し、前記第1の面は、前記プラズマに曝され、前記第2の面は、前記導電性チャンバの側壁と対向し、前記複数の導電性ライナのうち2つの隣り合う導電性ライナの間には間隙が形成されている、複数の導電性ライナと、を有する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記複数の導電性ライナは、前記導電性チャンバの側壁から離間している、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記間隙は、径方向に対して斜めに形成されている、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記間隙は、複数の折り返し部分を有するラビリンス状の構造を有する、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記導電性ライナはSi又はSiCで形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記複数の導電性ライナの数は2~10である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記複数の導電性ライナの数は4~6である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
複数のクランプ部材を更に有し、
各クランプ部材は、隣り合う2つの導電性ライナを前記導電性リングに固定するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
複数の樹脂製プラグを更に有し、
各樹脂製プラグは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部は、前記クランプ部材に形成された凹部内に配置され、前記第2の端部は、前記クランプ部材より内側に突出する、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
複数の位置決めピンを更に有し、
各位置決めピンは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部は、前記導電性ライナの上面に形成された凹部内に配置され、前記第2の端部は、前記導電性リングの下面に形成された凹部内に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記複数の位置決めピンは樹脂製である、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
プラズマ処理装置で用いるライナアセンブリであって、
導電性リングと、
前記導電性リングに取り付けられ、前記導電性リングの周方向に並べて配置される複数の導電性ライナであり、前記複数の導電性ライナのうち2つの隣り合う導電性ライナの間には間隙が形成されてる、複数の導電性ライナと、を有する、ライナアセンブリ。
【請求項13】
前記間隙は、径方向に対して斜めに形成されている、請求項12に記載のライナアセンブリ。
【請求項14】
前記間隙は、複数の折り返し部分を有するラビリンス状の構造を有する、請求項12に記載のライナアセンブリ。
【請求項15】
前記導電性ライナはSi又はSiCで形成される、請求項12~14のいずれか一項に記載のライナアセンブリ。
【請求項16】
複数のクランプ部材を更に有し、
各クランプ部材は、隣り合う2つの導電性ライナを前記導電性リングに固定するように構成される、請求項12~15のいずれか一項に記載のライナアセンブリ。
【請求項17】
複数の位置決めピンを更に有し、
各位置決めピンは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部は、前記導電性ライナの上面に形成された凹部内に配置され、前記第2の端部は、前記導電性リングの下面に形成された凹部内に配置される、請求項12~16のいずれか一項に記載のライナアセンブリ。
【請求項18】
前記複数の位置決めピンは樹脂製である、請求項17に記載のライナアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びライナアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板処理システムに設けられた閉じ込めリングが開示されている。閉じ込めリングは、プラズマ領域内にプラズマを閉じ込めるために設けられる。閉じ込めリングは、環状の下壁、外壁及び上壁を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0075295号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置において自由度の高い導電性ライナを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様プラズマ処理装置は、プラズマ処理空間を有し、グランド電位に接続される導電性チャンバと、前記プラズマ処理空間内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、前記プラズマ処理空間から分離した状態で前記導電性チャンバに取り付けられ、前記導電性チャンバを介してグランド電位に接続される導電性リングと、前記導電性リングに取り付けられ、前記プラズマ処理空間において前記導電性リングの周方向に並べて配置される複数の導電性ライナであり、各導電性ライナは、第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有し、前記第1の面は、前記プラズマに曝され、前記第2の面は、前記導電性チャンバの側壁と対向し、前記複数の導電性ライナのうち2つの隣り合う導電性ライナの間には間隙が形成されている、複数の導電性ライナと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ処理装置において自由度の高い導電性ライナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】プラズマ処理装置の構成の概略を示す断面図である。
【
図3】プラズマ処理装置の内部構成の概略を示す断面図である。
【
図4】ライナアセンブリの構成の概略を示す斜視図(一部分解図)である。
【
図5】ライナアセンブリの構成の概略を示す上方から見た平面図である。
【
図6】ライナアセンブリの構成の概略を示す下方から見た平面図である。
【
図7】ライナアセンブリの構成の概略を示す側面図である。
【
図8】ライナアセンブリのクランプ構造の概略を示す断面図である。
【
図9】ライナアセンブリの間隙構造の概略を示す平面図である。
【
図10】他の実施形態にかかるライナアセンブリの間隙構造の概略を示す平面図である。
【
図11】ライナアセンブリの位置決め構造の概略を示す断面図である。
【
図12】シャッタアセンブリの構成の概略を示す斜視図(分解図)である。
【
図13】シャッタアセンブリの構成の概略を示す平面図である。
【
図14】シャッタアセンブリの構成の概略を示す側面図である。
【
図15】シャッタアセンブリのクランプ構造の概略を示す断面図である。
【
図16】シャッタアセンブリの間隙構造の概略を示す平面図である。
【
図17】バッフルアセンブリの構成の概略を示す斜視図(一部分解図)である。
【
図18】バッフルアセンブリの構成の概略を示す平面図である。
【
図19】導電性バッフルプレートの構成の概略を示す平面図である。
【
図20】バッフルアセンブリの位置決め構造の概略を示す断面図である。
【
図21】バッフルアセンブリのクランプ構造の概略を示す断面図である。
【
図22】バッフルアセンブリのクランプ構造の概略を示す断面図である。
【
図23】他の実施形態にかかる導電性バッフルプレートの構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造工程では、プラズマ処理装置において、半導体基板(以下、「基板」という。)に対してエッチングや成膜処理等のプラズマ処理が行われる。プラズマ処理では、処理ガスを励起させることによりプラズマを生成し、当該プラズマによって基板を処理する。
【0009】
プラズマ処理装置は、チャンバの内部に形成されたプラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処装置には、プラズマ処理空間にプラズマを閉じ込めるためのライナが設けられる。上述した特許文献1における閉じ込めリングの外壁は、このライナに相当する。
【0010】
従来、特許文献1に記載されたようにライナ(閉じ込めリングの外壁)は、一体に設けられる。かかる場合、例えばライナの一部が消耗すると、プラズマ処理空間に生成されるプラズマに影響があり、プラズマ処理に変動が生じるため、ライナ全体を交換する必要がある。
【0011】
また、ライナの材料にはSiが例えば用いられるが、Siが脆性材であるが故に、一体構造のライナは単純な形状でしか作製が困難である。すなわち、一体構造のライナが複雑な形状である場合、割れ等の問題が生じるおそれがある。したがって、従来のライナの構造には改善の余地がある。
【0012】
本開示にかかる技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プラズマ処理装置において自由度の高い導電性ライナを提供する。以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置及びライナアセンブリについて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<プラズマ処理システム>
先ず、一実施形態にかかるプラズマ処理システムについて、
図1を用いて説明する。
図1は、プラズマ処理システムの構成を模式的に示す説明図である。
【0014】
一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、導電性チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。導電性チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、導電性チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0015】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、200kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0016】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0017】
<プラズマ処理装置>
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合プラズマ処理装置の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、プラズマ処理装置1の構成の概略を示す断面図である。本実施形態のプラズマ処理装置1では基板(ウェハ)Wにプラズマ処理を行うが、プラズマ処理対象の基板Wはウェハに限定されるものではない。
【0018】
容量結合プラズマ処理装置1は、導電性チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスを導電性チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、導電性チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、導電性チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。また。シャワーヘッド13は、絶縁性遮蔽部材14を介して、導電性チャンバ10の側壁10aに支持されている。導電性チャンバ10は、シャワーヘッド13、絶縁性遮蔽部材14、導電性チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。導電性チャンバはグランド電位に接続される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、導電性チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0019】
更に、プラズマ処理装置1は、ライナアセンブリ15及びバッフルアセンブリ16を含む。ライナアセンブリ15は、導電性チャンバ10の側壁10aに沿って環状に設けられる。ライナアセンブリ15は、プラズマ処理空間10sの内部にプラズマを閉じ込めるために設けられる。バッフルアセンブリ16は、基板支持部11とライナアセンブリ15との間において環状に設けられる。バッフルアセンブリ16は、プラズマ処理空間10sの内部のガスを排出するために設けられる。
【0020】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。
【0021】
一実施形態において、本体部111は、基台113及び静電チャック114を含む。基台113は、導電性部材を含む。基台113の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャック114は、基台113の上に配置される。静電チャック114の上面は、基板支持面111aを有する。なお、一実施形態において、静電チャック114の上面は、リング支持面111bを有していてもよい。
【0022】
一実施形態において、リングアセンブリ112は、フォーカスリング115及びカバーリング116を含む。フォーカスリング115は、静電チャック114に支持された基板Wを囲むように環状に設けられる。カバーリング116は、フォーカスリング115を囲むように環状に設けられる。
【0023】
また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック114、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0024】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0025】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0026】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して導電性チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10s内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0027】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0028】
また、電源30は、導電性チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a、32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0029】
排気システム40は、例えば導電性チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0030】
<ライナアセンブリとバッフルアセンブリの配置>
次に、上述したライナアセンブリ15とバッフルアセンブリ16の配置について説明する。
図3は、プラズマ処理装置の内部構成の概略を示す断面図である。
【0031】
ライナアセンブリ15は、導電性チャンバ10の側壁(内壁)10aに沿って環状に設けられる。ライナアセンブリ15は、絶縁性遮蔽部材14の下面に設けられた導電性上壁17に連結される。導電性上壁17は、導電性材料である例えばSi又はSiCで形成される。
【0032】
バッフルアセンブリ16は、基板支持部11の外周に沿って設けられたSiリング18と、ライナアセンブリ15との間において環状に設けられる。バッフルアセンブリ16は、プラズマ処理空間10sの内部のガスを排出するために設けられる。
【0033】
本実施形態では、ライナアセンブリ15の後述する導電性ライナ201とバッフルアセンブリ16の後述する導電性バッフルプレート300との間には、間隙が形成される。導電性ライナ201の外径と導電性バッフルプレート300の外径が同じで、導電性ライナ201の下面と導電性バッフルプレート300の上面との間に間隙が形成されていてもよい。或いは、導電性ライナ201の内径が導電性バッフルプレート300の外径より大きく、導電性ライナ201の内側面と導電性バッフルプレート300の外側面との間に間隙が形成されていてもよい。なお、他の実施形態では、導電性ライナ201と導電性バッフルプレート300は接触してもよい。
【0034】
<ライナアセンブリ>
次に、上述したライナアセンブリ15の構成について説明する。
図4は、ライナアセンブリ15の構成の概略を示す斜視図(一部分解図)である。
図5は、ライナアセンブリ15の構成の概略を示す上方から見た平面図である。
図6は、ライナアセンブリ15の構成の概略を示す下方から見た平面図である。
図7は、ライナアセンブリ15の構成の概略を示す側面図である。
【0035】
ライナアセンブリ15は、導電性リング200、複数の導電性ライナ201及び複数のクランプ部材202を有する。導電性リング200は、導電性材料である例えばAlで形成される。導電性リング200は、導電性材料である例えばSi又はSiCで形成される。クランプ部材202は、特に限定されるものではないが、例えばAlで形成される。
【0036】
導電性リング200は、平面視において環状形状を有する。
図8に示すように導電性リング200の径方向内側の上面には段部200aが形成され、径方向外側の下面には段部200bが形成される。段部200aには、導電性上壁17が設けられる。段部200bには、クランプ部材202が設けられる。
【0037】
図3に示すように導電性リング200は、導電性チャンバ10に取り付けられる。また、導電性リング200はプラズマ処理空間10sに露出しないように配置される。すなわち、導電性リング200は、プラズマ処理空間10sから分離した状態で導電性チャンバ10に取り付けられる。これにより、導電性リング200がAlで形成されても、当該導電性リング200が損傷を被るのを抑制することができる。導電性リング200は、導電性チャンバ10を介してグランド電位に接続される。
【0038】
複数の導電性ライナ201は、導電性リング200に取り付けられ、当該導電性リング200から下方に延伸して設けられる。複数の導電性ライナ201は、導電性リング200及び導電性チャンバ10を介してグランド電位に接続される。
【0039】
各導電性ライナ201は、円筒が分割された板形状を有する。また、複数の導電性ライナ201は、平面視で全体として環状形状を有し、導電性リング200の周方向に並べて配置される。本実施形態では、導電性ライナ201の数(分割数)は5個であり、各導電性ライナ201はほぼ均等に分割されている。すなわち、導電性ライナ201の平面視における寸法はほぼ同じである。なお、導電性ライナ201の数は任意である。導電性ライナ201の数は例えば2~10個であり、より好ましくは4~6個である。
【0040】
なお、5個の導電性ライナ201のうち、4個の導電性ライナ201Aの高さ方向の長さは同じであるが、1個の導電性ライナ201Bの高さ方向の長さは導電性ライナ201Aの長さより小さい。導電性ライナ201Bは、導電性チャンバ10の側壁10aに形成された基板Wの搬入出口に対向して設けられ、当該導電性ライナ201Bの下方には、後述するシャッタアセンブリ210が設けられる。
【0041】
図3に示すように複数の導電性ライナ201は、導電性チャンバ10の内部において、当該導電性チャンバ10の側壁10aに沿って環状に設けられる。また、複数の導電性ライナ201は側壁10aから離間して配置される。導電性ライナ201の第1の面(内側面)201aは、プラズマ処理空間10sに露出する。従って、第1の面201aは、プラズマ処理空間10s内で生成されたプラズマに曝される。導電性ライナ201の第1の面201aと反対側の第2の面(外側面)201bは、側壁(内壁)10aと対向する。
【0042】
複数の導電性ライナ201のうち2つの隣り合う導電性ライナ201の間には、間隙203が形成される。本実施形態では5個の導電性ライナ201に対して、間隙203が5箇所に形成される。この間隙203により、2つの隣り合う導電性ライナ201が熱膨張しても、当該導電性ライナ201が干渉するのを抑制することができる。
【0043】
ここで、間隙203が径方向、すなわち放射状に形成される場合、導電性ライナ201の外側がプラズマに暴露するおそれがある。この点、本実施形態では
図9に示すように、間隙203は径方向対して斜めに形成される。かかる場合、導電性ライナ201の外側はプラズマ処理空間10sに露出せず、プラズマに暴露することを抑制できる。そして、導電性チャンバ10にプラズマが到達するのを抑制することができる。
【0044】
なお、間隙203の構成は本実施形態に限定されない。例えば
図10に示すように、間隙203は、複数の折り返し部分を有するラビリンス状の構造(ラビリンス構造)を有していてもよい。ラビリンス構造は任意に設計されるが、例えば導電性ライナ201の側面に凹凸を形成する。かかる場合、導電性ライナ201の外側空間がプラズマに暴露することを更に抑制することができる。
【0045】
複数のクランプ部材202は、導電性リング200と複数の導電性ライナ201を固定する。具体的に各クランプ部材202は、隣り合う2つの導電性ライナ201を間隙203が形成された状態で導電性リング200に固定する。クランプ部材202は、導電性ライナ201の第2の面において間隙203を跨いで設けられる。クランプ部材202の数は導電性ライナ201(間隙203)の数に適合し、本実施形態では5個である。
【0046】
図8に示すようにクランプ部材202は、断面視で略L字形状を有する。クランプ部材202の上部202aは、導電性リング200の段部200bに配置される。クランプ部材202の下部202bは、導電性ライナ201の第2の面201bに形成された凹部に差し込まれて配置される。そしてクランプ部材202は、プラズマ処理空間10sに露出せず、プラズマに暴露しない。
【0047】
クランプ部材202の上部202aには、例えば導電性リング200の上面から挿通してネジが取り付けられる。このネジでクランプ部材202を導電性リング200側に固定している。
【0048】
クランプ部材202の上部202aの上面(導電性リング200側の面)には凹部が形成され、当該凹部には導電性弾性部材が設けられる。また、クランプ部材202の下部202bの上面(導電性ライナ201側の面)には凹部が形成され、当該凹部には導電性弾性部材が設けられる。これら導電性弾性部材の反力によって、導電性ライナ201を導電性リング200に押圧して接触させる。
【0049】
クランプ部材202の上部202aの内側面には凹部が形成され、当該凹部には樹脂製プラグ207が設けられる。樹脂製プラグ207は、上部202aの内側面より内側に突出して、導電性ライナ201に接触する。ここで、クランプ部材202はAlで形成され、導電性ライナ201はSiで形成されるため、これらクランプ部材202と導電性ライナ201が接触すると割れ等が生じるおそれがある。そこで、樹脂製プラグ207を設けることで、クランプ部材202と導電性ライナ201の間に微小な間隙を形成し、直接接触することを回避している。なお、樹脂製プラグ207の数は任意であるが、本実施形態では
図9に示すように1個のクランプ部材202に対して2個の樹脂製プラグ207が設けられる。一実施形態において、複数の樹脂製プラグ207の各々は、第1の端部及び第2の端部を有する。樹脂製プラグ207の第1の端部は、クランプ部材202に形成された凹部内に配置され、樹脂製プラグ207の第2の端部は、クランプ部材202より内側に突出している。
【0050】
図11に示すように導電性リング200と導電性ライナ201の間には、位置決めピン208が設けられる。位置決めピン208は、導電性ライナ201の上面に形成された凹部と導電性リング200の下面に形成された凹部のそれぞれに挿入されて配置される。位置決めピン208は、周方向に複数設けられる。従って、複数の位置決めピン208の各々は、第1の端部及び第2の端部を有する。位置決めピン208の第1の端部は、導電性ライナ201の上面に形成された凹部内に配置され、位置決めピン208の第2の端部は、導電性リング200の下面に形成された凹部内に配置される。これら複数の位置決めピン208によって、導電性リング200の中心位置と複数の導電性ライナ201の中心位置が調整され、すなわち導電性リング200と複数の導電性ライナ201がセンタリングされる。
【0051】
位置決めピン208は、例えば樹脂製である。かかる場合、位置決めピン208の熱膨張を抑制して、導電性ライナ201と干渉するのを抑制することができる。
【0052】
以上のライナアセンブリ15によれば、導電性ライナが分割されて複数の導電性ライナ201を有するので、例えば一の導電性ライナ201のメンテナンスが必要になった場合でも、当該一の導電性ライナ201のみを交換すればよい。換言すれば、プロセス変動を及す導電性ライナ201のみを交換すればよい。従って、従来の一体型のライナのようにライナ全体を交換する必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0053】
また、導電性ライナ201に脆性材(靭性材)であるSi又はSiCを用いた場合でも、複数の導電性ライナ201を組み合わることで、複雑な形状であっても疑似的に作製することができる。更に、複数の導電性ライナ201で構成されるレイアウトを変更することができるので、プロセス状況に応じて想定されるさまざまなプロセス条件に対応することが可能となる。
【0054】
また、従来の一体型のライナは体積が大きいため、当該ライナを切り出すSiインゴットのサイズも大きくなる。これに対し、本実施形態では複数の導電性ライナ201に分割されるため、各導電性ライナ201の体積が小さくなり、導電性ライナ201を切り出すSiインゴットのサイズも小さくなる。このため、Siインゴットの無駄を最小化し、材料コストを低減することができる。
【0055】
また、Alの導電性リング200の熱膨張係数と、Si又はSiCの導電性ライナ201の熱膨張係数には差がある。具体的には、導電性リング200の熱膨張係数は、導電性ライナ201の熱膨張係数より大きい。このため、従来の一体型のライナを用いた場合、リングとライナを接触又は固定することで熱応力が発生する。これに対し、本実施形態では複数の導電性ライナ201に分割され、隣り合う2つの導電性ライナ201の間には間隙203が形成されるので、導電性リング200に対して各導電性ライナ201が追従し、熱応力を低減させることができる。そしてその結果、熱応力による導電性ライナ201の割れを抑制でき、導電性ライナ201をグランド電位へのパスとして機能させることが可能となる。
【0056】
導電性ライナ201はSi又はSiCで形成されるため、各導電性ライナ201の抵抗値を変更することができ、当該導電性ライナ201の温度を変更することができる。かかる場合、複数の導電性ライナ201において、部分的に温度を変更することも可能であり、導電性ライナ201に付着する付着物(デポ)の量を調整することができる。
【0057】
<シャッタアセンブリ>
図3に示すように5個の導電性ライナ201のうち、1個の導電性ライナ201Bの下方にはシャッタアセンブリ210が設けられる。導電性ライナ201Bとシャッタアセンブリ210は、導電性チャンバ10の側壁10aに形成された基板Wの搬入出口に対向して設けられる。
【0058】
図12は、シャッタアセンブリ210の構成の概略を示す斜視図(分解図)である。
図13は、シャッタアセンブリ210の構成の概略を示す平面図である。
図14は、シャッタアセンブリ210の構成の概略を示す側面図である。
【0059】
シャッタアセンブリ210は、導電性シャッタ211、弁体212及びクランプ部材213を有する。導電性シャッタ211は、導電性材料である例えばSi又はSiCで形成される。弁体212及びクランプ部材213はそれぞれ、導電性材料である例えばAlで形成される。
【0060】
シャッタアセンブリ210は、昇降機構(図示せず)によって昇降自在に構成されている。そして、導電性チャンバ10に対して基板Wを搬入出する際には、シャッタアセンブリ210は下降し、シャッタアセンブリ210は開放される。一方、例えば基板Wのプラズマ処理時などには、シャッタアセンブリ210は上昇し、シャッタアセンブリ210は閉じられる。
【0061】
導電性シャッタ211は、平面視において少なくとも導電性ライナ201Bと略同一形状を有し、当該導電性ライナ201Bから下方に延伸して設けられる。そして、シャッタアセンブリ210を閉じる際には、導電性シャッタ211は導電性ライナ201Bと接触する。かかる場合、導電性シャッタ211の外側の弁体212は、プラズマ処理空間10sに露出せず、プラズマに暴露することを抑制できる。
【0062】
弁体212は、導電性シャッタ211の外側に設けられる。また、弁体212の下部には段部212aが形成され、当該段部212aに導電性シャッタ211が支持される。
【0063】
図15に示すようにクランプ部材213は、導電性シャッタ211と弁体212の上面側に設けられ、当該導電性シャッタ211と弁体212を固定する。クランプ部材213と弁体212は、導電性シャッタ211の外側において、例えば複数のネジによって固定される。
【0064】
クランプ部材213の下面(導電性シャッタ211側の面)には凹部が形成され、当該凹部には導電性弾性部材が設けられる。導電性弾性部材の反力によって、導電性シャッタ211をクランプ部材213に押圧して接触させる。
【0065】
導電性シャッタ211と弁体212の間には、位置決めピンが設けられる。位置決めピンは、導電性シャッタ211の下面に形成された凹部と弁体212の上面に形成された凹部のそれぞれに挿入されて配置される。位置決めピンは、周方向に複数設けられる。これら複数の位置決めピンによって、導電性シャッタ211と弁体212(及びクランプ部材213)との相対位置が調整される。
【0066】
位置決めピンは、例えば樹脂製である。かかる場合、位置決めピンの熱膨張を抑制して、導電性シャッタ211と干渉するのを抑制することができる。
【0067】
図16に示すように弁体212の内側面には凹部が形成され、当該凹部には樹脂製プラグ217が設けられる。樹脂製プラグ217は、弁体212の内側面より内側に突出して、導電性シャッタ211に接触する。この樹脂製プラグ217を設けることで、導電性シャッタ211と弁体212の間に微小な間隙を形成し、直接接触することを回避している。なお、樹脂製プラグ217の数は任意であるが、本実施形態では2個の樹脂製プラグ217が設けられる。
【0068】
<バッフルアセンブリ>
次に、上述したバッフルアセンブリ16の構成について説明する。
図17は、バッフルアセンブリ16の構成の概略を示す斜視図(一部分解図)である。
図18は、バッフルアセンブリ16の構成の概略を示す平面図である。
【0069】
バッフルアセンブリ16は、複数の導電性バッフルプレート300及び複数のクランプ部材301を有する。バッフルアセンブリ16は、複数のバッフル支持部302に支持される。導電性バッフルプレート300は、導電性材料である例えばSi又はSiCで形成される。クランプ部材301は、特に限定されるものではないが、例えばAlで形成される。バッフル支持部302は、導電性材料である例えばAlで形成される。
【0070】
複数の導電性バッフルプレート300は、複数のバッフル支持部302上に配置され、Siリング18と複数の導電性ライナ201(導電性シャッタ211)との間に設けられる。複数の導電性バッフルプレート300は、バッフル支持部302及び導電性チャンバ10を介してグランド電位に接続される。
【0071】
図19に示すように各導電性バッフルプレート300は、リング平板が分割された円弧状の板形状を有する。導電性バッフルプレート300には、複数の開口(スリット)303が形成される。これら複数の開口303を介して、プラズマ処理空間10sのガスが整流されて排出される。なお、開口303の寸法は任意に設定できる。
【0072】
複数の導電性バッフルプレート300は、平面視で全体として環状形状を有し、基板支持部11の外周に沿って周方向に並べて配置される。すなわち、複数の導電性バッフルプレート300は、基板支持部11を囲むように少なくとも1つのバッフル支持部302上に配置され、基板支持部11の周方向に沿って配列される。本実施形態では、導電性バッフルプレート300の数(分割数)は5個であり、各導電性バッフルプレート300ほぼ均等に分割される。すなわち、導電性バッフルプレート300の平面視における寸法はほぼ同じである。なお、導電性バッフルプレート300の数は任意である。導電性バッフルプレート300の数は例えば2~10個であり、より好ましくは4~6個である。
【0073】
隣り合う2つの導電性バッフルプレート300の間には、間隙304が形成される。本実施形態では5個の導電性バッフルプレート300に対して、間隙304が5箇所に形成される。この間隙304により、隣り合う2つの導電性バッフルプレート300が熱膨張しても、当該導電性バッフルプレート300が干渉するのを抑制することができる。
【0074】
複数のバッフル支持部302は、基板支持部11の外周に沿って設けられる。すなわち、少なくとも1つのバッフル支持部302は、基板支持部11を囲むように配置される。各バッフル支持部302は、略矩形状を有し、基板支持部11と導電性チャンバ10に取り付けられる。バッフル支持部302は、導電性チャンバ10を介してグランド電位に接続される。なお、バッフル支持部302の数は任意であるが、複数のバッフル支持部302は周方向に略等間隔で配置される。
【0075】
なお、本実施形態では、バッフル支持部302はAlで形成され、バッフル支持部302が本開示における導電性部分を構成する。他の実施形態では、バッフル支持部302は、導電性部分と絶縁体部分との複合構造を有していてもよい。かかる場合、クランプ部材301は、隣り合う2つの導電性バッフルプレート300をバッフル支持部302の導電性性部分に固定する。従って、少なくとも1つのバッフル支持部302は、導電性チャンバ10に接続される少なくとも1つの導電性部分を含む。
【0076】
図20に示すように導電性バッフルプレート300とバッフル支持部302の間には、位置決めピン305が設けられる。位置決めピン305は、バッフル支持部302の上面に形成された凹部と導電性バッフルプレート300の下面に形成された凹部のそれぞれに挿入されて配置される。従って、位置決めピン305は、第1の端部及び第2の端部を有する。位置決めピン305の第1の端部は、バッフル支持部302の導電性部分の上面に形成された凹部内に配置され、位置決めピン305の第2の端部は、導電性バッフルプレート300の下面に形成された凹部内に配置される。なお、導電性バッフルプレート300の割れを抑制するため、当該導電性バッフルプレート300の凹部は位置決めピン305より若干大きい径を有していてもよい。
【0077】
位置決めピン305は、例えば2箇所に設けられる。なお、位置決めピン305の数は任意であり、1以上であればよい。そして位置決めピン305によって、複数の導電性バッフルプレート300とバッフル支持部302との相対位置が調整される。
【0078】
位置決めピン305は、例えば樹脂製である。かかる場合、位置決めピン305の熱膨張を抑制して、導電性バッフルプレート300と干渉するのを抑制することができる。
【0079】
複数のクランプ部材301は、複数の導電性バッフルプレート300と複数のバッフル支持部302を固定する。具体的に各クランプ部材301は、複数の導電性バッフルプレート300のうち2つの隣り合う導電性バッフルプレート300を間隙304が形成された状態でバッフル支持部302に固定する。すなわち、2つの隣り合う導電性バッフルプレート300は、間隙304を維持した状態でバッフル支持部302に固定される。クランプ部材301の数は導電性バッフルプレート300(間隙304)の数に適合し、本実施形態では5個である。
【0080】
本実施形態ではクランプ部材301はAlで形成され、プラズマに暴露するのを抑制するため、クランプ部材301の露出面には保護部材306が設けられる。保護部材306は、例えば石英で形成される。クランプ部材301の露出面は上面及び側面であり、
図21に示すように保護部材306はこれら露出面を覆うように、断面視で門型形状を有する。保護部材306は、複数のクランプ部材301に対してそれぞれ設けられ、その数は5個である。
【0081】
図21及び
図22に示すようにクランプ部材301は、断面視で略T字形状を有する。クランプ部材301の上部301aは、間隙304より大きく、導電性バッフルプレート300に係止される。クランプ部材301の下部301bは、間隙304に嵌め込まれる。クランプ部材301は、例えばネジによってバッフル支持部302に固定される。ネジの数は任意であるが、例えば2個である。
【0082】
クランプ部材301の上部301aの下面(導電性バッフルプレート300側の面)と導電性バッフルプレート300との間には導電性弾性部材が設けられる。また、クランプ部材301の下部301bの下面(バッフル支持部302側の面)には凹部が形成され、当該凹部には導電性弾性部材が設けられる。これら導電性弾性部材の反力によって、導電性バッフルプレート300をバッフル支持部302に押圧して接触させる。
【0083】
以上のバッフルアセンブリ16によれば、導電性バッフルプレートが分割されて複数の導電性バッフルプレート300を有するので、例えば一の導電性バッフルプレート300のメンテナンスが必要になった場合でも、当該一の導電性バッフルプレート300のみを交換すればよい。換言すれば、プロセス変動を及す導電性バッフルプレート300のみを交換すればよい。従って、従来の一体型のバッフルプレートのようにバッフルプレート全体を交換する必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0084】
また、導電性バッフルプレート300に脆性材(靭性材)であるSi又はSiCを用いた場合でも、複数の導電性バッフルプレート300を組み合わることで、複雑な形状であっても疑似的に作製することができる。更に、複数の導電性バッフルプレート300で構成されるレイアウトを変更することができるので、プロセス状況に応じて想定されるさまざまなプロセス条件に対応することが可能となる。
【0085】
また、従来の一体型のバッフルプレートは体積が大きいため、当該バッフルプレートを切り出すSiインゴットのサイズも大きくなる。これに対し、本実施形態では複数の導電性バッフルプレート300に分割されるため、各導電性バッフルプレート300の体積が小さくなり、導電性バッフルプレート300を切り出すSiインゴットのサイズも小さくなる。このため、Siインゴットの無駄を最小化し、材料コストを低減することができる。
【0086】
また、Alのバッフル支持部302の熱膨張係数と、Si又はSiCの導電性バッフルプレート300の熱膨張係数には差がある。具体的には、バッフル支持部302の熱膨張係数は、導電性バッフルプレート300の熱膨張係数より大きい。このため、従来の一体型のバッフルプレートを用いた場合、バッフルプレートと支持部を接触又は固定することで熱応力が発生する。これに対し、本実施形態では複数の導電性バッフルプレート300に分割され、隣り合う2つの導電性バッフルプレート300の間には間隙304が形成されるので、バッフル支持部302に対して各導電性バッフルプレート300が追従し、熱応力を低減させることができる。そしてその結果、熱応力による導電性バッフルプレート300の割れを抑制でき、導電性バッフルプレート300をグランド電位へのパスとして機能させることが可能となる。
【0087】
導電性バッフルプレート300はSi又はSiCで形成されるため、各導電性バッフルプレート300の抵抗値を変更することができ、当該導電性バッフルプレート300の温度を変更することができる。かかる場合、複数の導電性バッフルプレート300において、部分的に温度を変更することも可能であり、導電性バッフルプレート300に付着する付着物(デポ)の量を調整することができる。
【0088】
また、導電性ライナ201と導電性バッフルプレート300との温度の差を設けるため、導電性ライナ201又は導電性バッフルプレート300の一部の抵抗値を変更して、部分的に温度を変更することも可能である。
【0089】
導電性バッフルプレート300に形成する開口303の寸法や数を任意に変更できるので、プラズマ処理空間10sのガスを排出する際の排気コンダクタンスを制御することができる。例えば
図23に示すように、導電性バッフルプレート300には、複数の第1の開口303aと複数の第2の開口303bが形成される。第1の開口303aの寸法と第2の開口303bの寸法が異なるようにすることで、排気コンダクタンスを制御することができる。また、第1の開口303aの数と第2の開口303bの数が異なるようにすることでも、排気コンダクタンスを制御することができる。
【0090】
また、排気コンダクタンスの制御は、複数の導電性バッフルプレート300の厚みを変更することでも可能である。例えば第1の導電性バッフルプレート300の第1の厚みと、第2の導電性バッフルプレート300の第2の厚みが異なるようにすることで、排気コンダクタンスを制御することができる。なお、隣り合う2つの導電性バッフルプレート300の厚みが異なる場合、クランプ部材301は適宜設計変更する。
【0091】
以上のように導電性バッフルプレート300の開口303の寸法や数、或いは厚みを変更することで、部分的に排気コンダクタンスを制御することができる。
【0092】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0093】
例えば、以上の実施形態では、導電性ライナ201、導電性シャッタ211及び導電性バッフルプレート300はそれぞれ、Si又はSiCで形成されたが、絶縁材料である石英で形成されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 プラズマ処理装置
10 導電性チャンバ
10a 側壁
10s プラズマ処理空間
12 プラズマ生成部
200 導電性リング
201 導電性ライナ
201a 第1の面
201b 第2の面
203 間隙
W 基板