IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2023-62309画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法
<>
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図1
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図2
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図3
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図4
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図5
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図6
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図7
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図8
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062309
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20230426BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230426BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20230426BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20230426BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G03G15/01 Z
G03G21/00 510
G03G21/14
B41J2/52
H04N1/407 780
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172201
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】三輪 遼太郎
【テーマコード(参考)】
2C262
2H270
2H300
5C077
【Fターム(参考)】
2C262AA24
2C262AB07
2C262AB17
2C262BC10
2C262BC17
2C262FA13
2C262GA02
2H270KA57
2H270LA19
2H270LA22
2H270LC03
2H270LD03
2H270LD08
2H270MB12
2H270MB13
2H270MB14
2H270MB16
2H270MB17
2H270MB18
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB29
2H270MB30
2H270MB35
2H270MB36
2H270MB45
2H270NC07
2H270NC08
2H270RB03
2H270RB06
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300ED01
2H300EJ48
2H300FF05
2H300FF14
2H300GG09
2H300GG12
2H300GG14
2H300RR34
2H300RR35
2H300RR37
2H300RR39
2H300RR40
5C077LL19
5C077MM02
5C077MM27
5C077MP08
5C077NP01
5C077PP15
5C077PP33
5C077PQ23
5C077TT01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサで取得した情報を用いて、高精度な濃度補正および階調補正を同時に実現可能とする画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法を提供する。
【解決手段】階調補正処理を行う際に、前記インラインセンサによる前記階調補正用パターンの読取情報を濃度値に変換する読取画像処理部と、前記濃度値のうち最大濃度値と目標最大濃度値とに基づいて、前記最大濃度値の補正量を算出し、前記補正量に応じて、補正を実施する用紙設定が含む最大濃度設定を変更する最大濃度制御部と、前記最大濃度設定を変更後、前記用紙設定が含む前記最大濃度設定を更新する用紙最大濃度設定制御部と、を備え、前記画像補正処理制御部は、前記最大濃度設定の更新後、再度、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部と、
前記画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサと、
前記画像形成部を制御して、階調補正用パターンを画像形成する画像形成制御部と、
前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する画像補正処理制御部と、
前記インラインセンサを制御して、前記階調補正用パターンを読み取る読取制御部と、
階調補正処理を行う際に、前記インラインセンサによる前記階調補正用パターンの読取情報を濃度値に変換する読取画像処理部と、
前記濃度値のうち最大濃度値と目標最大濃度値とに基づいて、前記最大濃度値の補正量を算出し、前記補正量に応じて、補正を実施する用紙設定が含む最大濃度設定を変更する最大濃度制御部と、
前記最大濃度設定を変更後、前記用紙設定が含む前記最大濃度設定を更新する用紙最大濃度設定制御部と、を備え、
前記画像補正処理制御部は、前記最大濃度設定の更新後、再度、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記階調補正用パターンは、前記最大濃度値のパッチが記録媒体の面内にまばらに配置され、かつ複数の記録媒体に印刷されるパターンである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙最大濃度設定制御部は、さらに、前記画像形成部の最大濃度の目標値、前記最大濃度設定、階調補正データ、および記録媒体を紐付けて管理する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像補正処理制御部は、
記録媒体毎の階調補正目標値および階調補正データを、プロセスカラーに加えて特殊色分記憶する記憶部と、
前記画像形成部において用いる色が前記特殊色に切り替えられた場合、当該特殊色に対応する前記階調補正データを階調補正に用いる特殊色トナー判定制御部と、
を備える、請求項1から3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成部と、
前記画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサと、
前記画像形成部を制御して、階調補正用パターンを画像形成する画像形成制御部と、
前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する画像補正処理制御部と、
前記インラインセンサを制御して、前記階調補正用パターンを読み取る読取制御部と、
階調補正処理を行う際に、前記インラインセンサによる前記階調補正用パターンの読取情報を濃度値に変換する読取画像処理部と、
前記濃度値のうち最大濃度値と目標最大濃度値とに基づいて、前記最大濃度値の補正量を算出し、前記補正量に応じて、補正を実施する用紙設定が含む最大濃度設定を変更する最大濃度制御部と、
前記最大濃度設定を変更後、前記用紙設定が含む前記最大濃度設定を更新する用紙最大濃度設定制御部と、を備え、
前記画像補正処理制御部は、前記最大濃度設定の更新後、再度、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する、画像形成システム。
【請求項6】
画像形成部と、前記画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサと、を備える画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
画像形成制御部が、画像形成部を制御して、階調補正用パターンを画像形成する工程と、
画像補正処理制御部が、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する工程と、
読取制御部が、前記画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサを制御して、前記階調補正用パターンを読み取る工程と、
読取画像処理部が、階調補正処理を行う際に、前記インラインセンサによる前記階調補正用パターンの読取情報を濃度値に変換する工程と、
最大濃度制御部が、前記濃度値のうち最大濃度値と目標最大濃度値とに基づいて、前記最大濃度値の補正量を算出し、前記補正量に応じて、補正を実施する用紙設定が含む最大濃度設定を変更する工程と、
用紙最大濃度設定制御部が、前記最大濃度設定を変更後、前記用紙設定が含む前記最大濃度設定を更新する工程と、
前記画像補正処理制御部が、前記最大濃度設定の更新後、再度、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する工程と、
を含む画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷事業で使用されるデジタル機器において、各機能の自動化に向けた動きが活発化している。デジタル機器で重要な色合わせ(色補正技術)に関しても、ユーザの手を煩わせない自動化が進んでいる。デジタル機器における色合わせの自動化を達成するためには、デジタル機器に搭載されたセンサ情報を用いて、濃度の安定化および色補正を実施する必要がある。
【0003】
特許文献1には、プリンタ等の画像形成装置の最高濃度値を目標最高濃度値まで調整することを目的として、目標最高濃度値になるまでプリンタのコントラスト電圧を調整し、その後、キャリブレーション相当の階調補正を実施する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高精度な色補正技術では、最大濃度値を毎回調整するためのチャート印刷が必須であり、最大濃度値の目標値、最大濃度値の設定、キャリブレーションデータ、および用紙情報が紐づいておらず、最大濃度値のチャートのページ間のムラが考慮されていない。
【0005】
特許文献1の技術では、高精度なキャリブレーション色補正を実施するために、最大濃度値を調整するためのチャート印刷が必須であり、キャリブレーション補正用チャートとは異なる最大濃度調整用のチャートの印刷が複数回必要となる。また、特許文献1の技術では、最大濃度値の目標値、最大濃度値の設定値、キャリブレーションデータ、および用紙情報が紐付いておらず、毎回、最大濃度調整用のチャートの印刷が必要となる。さらに、最大濃度値を取得する際、ページ内の濃度ムラは考慮されているが、最大濃度値のページ間のムラは考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサで取得した情報を用いて、高精度な濃度補正および階調補正を同時に実現可能とする画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成部と、前記画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサと、前記画像形成部を制御して、階調補正用パターンを画像形成する画像形成制御部と、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する画像補正処理制御部と、前記インラインセンサを制御して、前記階調補正用パターンを読み取る読取制御部と、階調補正処理を行う際に、前記インラインセンサによる前記階調補正用パターンの読取情報を濃度値に変換する読取画像処理部と、前記濃度値のうち最大濃度値と目標最大濃度値とに基づいて、前記最大濃度値の補正量を算出し、前記補正量に応じて、補正を実施する用紙設定が含む最大濃度設定を変更する最大濃度制御部と、前記最大濃度設定を変更後、前記用紙設定が含む前記最大濃度設定を更新する用紙最大濃度設定制御部と、を備え、前記画像補正処理制御部は、前記最大濃度設定の更新後、再度、前記階調補正用パターンを用いて、前記画像形成部の濃度補正および階調補正の両方を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成部の内部に搭載されるインラインセンサで取得した情報を用いて、高精度な濃度補正および階調補正を同時に実現可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施の形態にかかるDFEのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態にかかるDFEおよび画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて実行される最大濃度値の調整処理および自動キャリブレーションの流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置の自動キャリブレーションの実施時に印刷される自動キャリブレーション用のチャートの一例を示す図である。
図7図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける自動キャリブレーションの実施結果および最大濃度値の取得結果を含む表示画面の一例を説明するための図である。
図8図8は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける自動キャリブレーションの実施結果および最大濃度値の取得結果を含む表示画面の他の例を説明するための図である。
図9図9は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける最大濃度設定、目標最大濃度値、および読取情報(最大濃度値)の関係の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる画像形成システム1は、図1に示すように、クライアントPC(Personal Computer)101、DFE(Digital Front End)102、画像形成装置103、および管理サーバ104を有する。
【0012】
クライアントPC101は、ユーザが印刷したい印刷ジョブを作成し、DFE102または管理サーバ104へ印刷ジョブを送信する。クライアントPC101は、液晶ディスプレイ等の表示部、マウスおよびキーボード等を含む入力装置を備えている。
【0013】
DFE102は、クライアントPC101または管理サーバ104から、印刷ジョブを受け取り、受け取った印刷ジョブに基づいて、RIPエンジンにより描画データを作成する。そして、DFE102は、画像形成装置103へ描画データを送信する。
【0014】
画像形成装置103は、DFE102から受け取った描画データに基づいて、画像形成を行う。また、画像形成装置103は、読取り指示があった場合に、画像形成装置103内部に搭載されているインラインセンサを用いて画像の読取りを行う。
【0015】
管理サーバ104は、クライアントPC101から受け取った印刷ジョブを管理する。また、管理サーバ104は、DFE102からの要求により、印刷ジョブをDFE102へ送信する。
【0016】
図2は、本実施の形態にかかるDFEのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるDFE102は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)204、およびI/F205を有する。
【0017】
CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されているプログラムを実行する。HDD/SSD204は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。I/F205は、DFE102と、クライアントPC101、画像形成装置103、管理サーバ104とを通信可能にするインターフェースである。
【0018】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる画像形成装置103は、図3に示すように、CPU301、ROM302、RAM303、HDD/SSD304、I/F305、画像形成部306、および読取部307を有する。
【0019】
CPU301は、RAM303を作業領域として使用し、ROM302に格納されているプログラムを実行することで、画像形成装置103全体の動作を制御する。HDD/SSD304は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD304に格納されている情報は、CPU301が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0020】
I/F305は、画像形成装置103と、DFE102、クライアントPC101、および管理サーバ104とを通信可能にするインターフェースである。画像形成部306は、印刷用紙(記録媒体の一例)に印刷画像を形成する印刷エンジンである。読取部307は、印刷用紙に形成された印刷画像を読み取る読取装置(インラインセンサの一例)であり、画像形成部206の内部に搭載される。給紙部500は、画像形成部306に印刷用紙を供給可能な供給部の一例である。
【0021】
図4は、本実施の形態にかかるDFEおよび画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかるDFE102は、図4に示すように、画像処理部401、最大濃度制御部402、画像補正処理制御部403、用紙最大濃度設定制御部404、および読取画像処理部408を有する。
【0022】
画像処理部401は、画像処理機能を開始する際の開始通知、および印刷ジョブの実行時の画像処理を行う。
【0023】
最大濃度制御部402は、画像形成システム1を実行した際に、最大濃度値に関する情報を算出し、当該算出した最大濃度値の変更判断の判定を実施する制御部である。具体的には、最大濃度制御部402は、後述する読取画像処理部408によりパッチ情報から変換される濃度値のうち最大濃度値と目標最大濃度値とに基づいて、最大濃度値の補正量を算出する。次いで、最大濃度制御部402は、算出した補正量に応じて、補正を実施する用紙設定が含む最大濃度設定を変更する。
【0024】
そして、最大濃度制御部402は、最大濃度設定に変更が生じた場合、用紙最大濃度設定制御部404に対して、最大濃度設定を通知する。これにより、階調補正用パターンを読み取った色情報(パッチ情報)を用いて、最大濃度値の補正に必要なデータの算出を行い、階調補正用パターンを用いて、濃度補正および階調補正が実施できる。その結果、画像形成部306の内部に搭載される読取部307で取得したパッチ情報を用いて、高精度な濃度補正および階調補正を同時に実現可能となる。
【0025】
画像補正処理制御部403は、色補正処理を実施するための目標値および測色値(読取画像処理部408のデータ)に基づいて、階調補正等の色補正を行うための階調補正カーブ等の補正カーブを算出し、当該算出した補正カーブを印刷ジョブに適用する制御部である。具体的には、画像補正処理制御部403は、階調補正用パターンを用いて、画像形成部306の濃度補正および階調補正の両方を実行する。また、画像補正処理制御部403は、後述する用紙最大濃度設定制御部404による用紙設定が含む最大濃度設定の更新後、再度、階調補正用パターンを用いて、画像形成部306の濃度補正および階調補正の両方を実行する。
【0026】
また、画像補正処理制御部403は、用紙等の記録媒体毎の階調補正目標値および階調補正データ(階調補正カーブ)を、プロセスカラーに加えて特殊色分記憶する記憶部を備える。また、本実施の形態では、画像補正処理制御部403は、画像形成部306において用いる色が特殊色に切り替えられた場合、当該特殊色に対応する階調補正データを階調補正に用いる特殊色トナー判定制御部を備える。
【0027】
用紙最大濃度設定制御部404は、用紙設定を格納しており、用紙設定を変更および保存する制御部である。また、用紙最大濃度設定制御部404は、最大濃度設定が変更された場合には、変更された最大濃度設定を用紙設定に保存する。すなわち、用紙最大濃度設定制御部404は、最大濃度設定が変更された後、用紙設定が含む最大濃度設定を更新する。また、用紙最大濃度設定制御部404は、最大濃度目標値、最大濃度設定、階調補正データ、および用紙等の記録媒体を紐付けて管理(例えば、記憶)する。
【0028】
読取画像処理部408は、後述する読取制御部406により読み取ったパッチ情報を濃度値へと変換し、判定および色補正処理に使用可能なデータ処理を行う。具体的には、読取画像処理部408は、階調補正処理を行う際、読取部307による階調補正用パターンのパッチ情報(読取情報の一例)を濃度値に変換する。
【0029】
本実施の形態にかかる画像形成装置103は、図4に示すように、画像形成制御部405、読取制御部406、および読取画像取得部407を有する。
【0030】
画像形成制御部405は、印刷ジョブおよびチャートを画像形成する制御部である。具体的には、画像形成制御部405は、用紙設定が含む最大濃度設定を用いて、画像形成を行う。
【0031】
読取制御部406は、自動キャリブレーションの実施時、印刷用紙の搬送中に読取部307を制御して、画像形成された自動キャリブレーション用のチャート(階調補正用パターンの一例)を読み取る。
【0032】
読取画像取得部407は、印刷用紙の搬送中に、パッチ情報を取得する。ここで、パッチ情報は、読取部307により読み取られる自動キャリブレーション用のチャートが含むパッチの情報である。また、パッチ情報は、色補正処理に使用される。そのため、読取画像取得部407は、パッチ情報をまとめて格納しておき、当該パッチ情報を読取画像処理部408へ転送する。
【0033】
本実施の形態では、DFE102および画像形成装置103が協働して画像形成装置の一例として機能しているが、これに限定するものではなく、画像形成装置103のみが画像形成装置の一例として機能することも可能である。
【0034】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて実行される最大濃度値の調整処理および自動キャリブレーションの流れの一例を示すフローチャートである。
【0035】
画像形成装置103の色補正処理を実施するために、自動キャリブレーションの実施が指示されると、画像形成装置103の画像形成制御部405は、画像形成部306を制御して、印刷用紙に対して、自動キャリブレーション用のチャートを含む自動キャリブレーションパターンを印刷(画像形成)する(ステップS501)。
【0036】
画像形成装置103の読取制御部406は、自動キャリブレーションの実施時、画像形成装置103の内部に搭載されている読取部307を制御して、印刷中の画像出力パターン(自動キャリブレーション用のチャート)を読み取る(ステップS502)。次いで、画像形成装置103の読取画像取得部407は、印刷用紙の搬送中に、読み取った画像出力パターンのパッチ情報を取得する。さらに、読取画像取得部407は、取得したパッチ情報(センサ情報)を濃度値に変換する(ステップS503)。
【0037】
次に、DFE102の最大濃度制御部402は、変換した濃度値と、目標最大濃度値と、の差分情報に基づいて、最大濃度値の調整を実施するか否かを判定する(ステップS504)。変換した濃度値のうち最大濃度値が、目標最大濃度値に達している場合、最大濃度制御部402は、目標最大濃度値の調整は不要と判断する(ステップS504:No)。
【0038】
この場合、DFE102の画像補正処理制御部403は、画像出力パターンを読み取ったパッチ情報に基づいて、階調補正を行うための補正カーブである階調補正カーブを生成する(ステップS505)。さらに、画像補正処理制御部403は、生成した階調補正カーブを印刷ジョブに適用する(ステップS506)。その後、画像形成装置103の画像形成制御部405は、印刷ジョブに従って印刷用紙に対する印刷画像の画像出力(印刷)を実施する(ステップS507)。
【0039】
一方、変換した濃度値のうち最大濃度値が、目標最大濃度値に達していない場合、DFE102の最大濃度制御部402は、目標最大濃度値の調整が必要と判断する(ステップS504:Yes)。この場合、最大濃度制御部402は、最大濃度値と、目標最大濃度値とに基づいて、目標最大濃度値を達成するための最大濃度値の補正量を算出する(ステップS508)。さらに、最大濃度制御部402は、算出した補正量に従って、最大濃度値を変更する(ステップS509)。その後、DFE102の用紙最大濃度設定制御部404は、変更した最大濃度値に応じた最大濃度設定を用紙設定に保存する(ステップS510)。
【0040】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置の自動キャリブレーションの実施時に印刷される自動キャリブレーション用のチャートの一例を示す図である。本実施の形態では、自動キャリブレーション用のチャートは、図6に示すように、各色のトナーのエンジンベタ濃度(最大濃度値)のパッチ(例えば、パッチC1,M1)が印刷用紙の面内にまばらに配置され、かつ複数ページの印刷されるチャートである。これにより、印刷用紙の面内における濃度値のムラおよびページ間における濃度値のムラを補正可能なチャートとすることができる。
【0041】
また、自動キャリブレーション用のチャートに最大濃度値のパッチを含めることにより、自動キャリブレーション用のチャートとは別に、最大濃度値の調整用のチャートを印刷する必要はなく、自動キャリブレーション用のチャートを用いて、最大濃度値を取得することができる。また、画像形成装置103における印刷用紙の面内の濃度値のムラ、ページ間の濃度値のムラを考慮して、最大濃度値に関して精度の良い補正を加えることが可能となる。
【0042】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける自動キャリブレーションの実施結果および最大濃度値の取得結果を含む表示画面の一例を説明するための図である。本実施の形態では、自動キャリブレーション用のチャートは、最大濃度値のパッチ以外にも、階調補正用の複数のパッチが含まれている。そのため、画像形成装置103の読取画像取得部407は、最大濃度値のパッチのパッチ情報に加えて、階調補正用のパッチのパッチ情報を取得する。したがって、本実施の形態にかかる画像形成システムによれば、パッチ情報から変換した濃度値(測定値)と、目標濃度値の相対値(%)と、の関係を示すグラフが得られる。
【0043】
そこで、本実施の形態では、クライアントPC101は、測定値と相対値との関係を表すグラフ(自動キャリブレーションの結果)に加えて、目標最大濃度値、濃度値(測定値)、ノッチ設定(最大濃度設定)、および最大濃度値が目標最大濃度値を満たしているかの判定項目を含む表示画面を表示する。
【0044】
また、クライアントPC101は、最大濃度値が目標最大濃度値を満たしていない色版(例えば、ブラックK)がある場合には、目標最大濃度値を満たしていない旨のメッセージを表示画面に含めても良い。さらに、クライアントPC101は、自動キャリブレーションの再実行を指示する再実行ボタンを表示画面に含めても良い。画像形成装置103は、クライアントPC101において表示画面に含まれる再実行ボタンが押下されると、最大濃度設定が更新された状態で、自動キャリブレーション用のチャートの印刷を実行する。ユーザは、再実行ボタンを押下することで、最大濃度値の調整の再実行を指示可能である。
【0045】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける自動キャリブレーションの実施結果および最大濃度値の取得結果を含む表示画面の他の例を説明するための図である。最大濃度値が目標最大濃度値を満たしていない色版(例えば、ブラックK)があり、自動キャリブレーションが再実行され、全ての色版で最大濃度値が目標最大濃度値を満たした場合、クライアントPC101は、全ての色版の最大濃度値が目標最大濃度値を満たしていることを示す判定項目を含む表示画面を表示する。この場合、自動キャリブレーションを再実行する必要がないため、クライアントPC101は、再実行ボタンを押下できない状態で表示画面に表示する。
【0046】
図9は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける最大濃度設定、目標最大濃度値、および読取情報(最大濃度値)の関係の一例を説明するための図である。用紙設定には、画像形成装置103で印刷画像の印刷を実施する際の最大濃度値を調整するための最大濃度設定が含まれている。印刷に使用する用紙設定に従って印刷した印刷画像の最大濃度値が目標最大濃度値に達していない場合、DFE102の最大濃度制御部402は、用紙設定が含む最大濃度設定を変更することで、画像形成装置103で印刷画像の出力を行った際の最大濃度値を高くしたり、低くしたりすることが可能である。
【0047】
具体的には、DFE102の最大濃度制御部402は、目標最大濃度値と最大濃度値とに基づいて、目標最大濃度値を満たす必要がある色版における、目標最大濃度値と最大濃度値との差分情報を算出し、当該差分情報に基づいて、用紙設定が含む最大濃度設定を更新する。用紙設定が含む最大濃度設定を更新することで、次回以降の最大濃度値の補正時に、目標最大濃度値を満たす状態で自動キャリブレーションを実施することが可能となる。また、経時変化により、最大濃度値が変わってしまった場合であっても、自動キャリブレーション実施時に、最大濃度値が変わったことを気が付くことが可能となり、最適な最大濃度値で自動キャリブレーションを実施できる。
【0048】
このように、本実施の形態にかかる画像形成システム1によれば、階調補正用パターンを読み取った色情報(パッチ情報)を用いて、最大濃度値の補正に必要なデータの算出を行い、階調補正用パターンを用いて、濃度補正および階調補正が実施できる。その結果、画像形成部306の内部に搭載される読取部307で取得したパッチ情報を用いて、高精度な濃度補正および階調補正を同時に実現可能となる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
101 クライアントPC
102 DFE
103 画像形成装置
104 管理サーバ
401 画像処理部
402 最大濃度制御部
403 画像補正処理制御部
404 用紙最大濃度設定制御部
405 画像形成制御部
406 読取制御部
407 読取画像取得部
408 読取画像処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特許第3885058号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9