(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062447
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、及び2次元又は3次元の像形成装置
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20230426BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20230426BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20230426BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20230426BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
C09D11/30
C09D11/101
C08F220/20
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41J2/01 129
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172435
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小島 智之
(72)【発明者】
【氏名】山口 竜輝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石井 煕
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
4J100
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2C056HA44
2H186AB11
2H186BA08
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2H186FB46
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4J039AD21
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4J100AL08P
4J100AL08Q
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4J100AL61Q
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4J100FA03
4J100FA18
4J100JA07
(57)【要約】
【課題】被記録媒体に対する優れた密着性と、優れた耐ブロッキング性とを有し、かつこれらを両立する活性エネルギー線硬化型組成物の提供。
【解決手段】3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、ガラス転移温度が90℃以上のモノマーと、ガラス転移温度が30℃以下のモノマーと、を含有し、前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーの含有量が、10質量%以上30質量%以下であり、かつ、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーの含有量が、20質量%以上50質量%以下である活性エネルギー線硬化型組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、
ガラス転移温度が90℃以上のモノマーと、
ガラス転移温度が30℃以下のモノマーと、
を含有し、
前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーの含有量が、10質量%以上30質量%以下であり、かつ、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーの含有量が、20質量%以上50質量%以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項2】
前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーの含有量が10質量%以上20質量%以下であり、かつ、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーの含有量が30質量%以上40質量%以下である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、1.0質量%以上5.0質量%以下である請求項1から2のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物。
【請求項6】
被記録媒体に対して色材を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を付与する工程と、
前記被記録媒体の前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が付与された領域に対して、請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を付与する工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかを収容してなることを特徴とする組成物収容容器。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかを収容する収容手段と、
活性エネルギー線を照射する照射手段と、
を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、及び2次元又は3次元の像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、アクリルのようなプラスチック基材や、アルミニウムのような金属基材への密着性が求められている。
【0003】
例えば、アルミニウム箔基材上に、熱硬化型樹脂、アクリル系樹脂、及び繊維素系樹脂を含む第一の下塗り層を形成し、前記第一の下塗り層上にイソシアネート基を有する化合物、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含む第二の下塗り層を形成し、紫外線照射を行い硬化させることで、印刷物の耐熱密着性を向上させることができるインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、被記録媒体に対する優れた密着性と、優れた耐ブロッキング性とを有し、かつこれらを両立する活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段との本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、ガラス転移温度が90℃以上のモノマーと、ガラス転移温度が30℃以下のモノマーと、を含有し、前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーの含有量が、10質量%以上30質量%以下であり、かつ、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーの含有量が、20質量%以上50質量%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被記録媒体に対する優れた密着性と、優れた耐ブロッキング性とを有し、かつこれらを両立する活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の他の2次元又は3次元の像形成装置の別の一例を示す概略図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の他の2次元又は3次元の像形成装置の別の一例を示す概略図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の他の2次元又は3次元の像形成装置の別の一例を示す概略図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の他の2次元又は3次元の像形成装置の別の一例を示す概略図である。
【
図3D】
図3Dは、本発明の他の2次元又は3次元の像形成装置の別の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、組成物収容容器、及び2次元又は3次元の像形成装置について説明する。
なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態の追加、修正、及び削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用及び効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマーと、ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーと、を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0010】
従来の活性エネルギー線硬化型組成物では、被記録媒体に対する密着性を高めるために塗膜を柔らかくすると、耐ブロッキング性が低下する場合があり、耐ブロッキング性を向上させる手段として、多官能モノマー等の架橋成分を添加すると、基材への密着性が低下するという問題があった。
【0011】
例えば、インク非吸収性材料からなる被記録媒体(基材)上に、形成した画像の密着性を向上させることができるインクジェットインク組成物として、色材、単官能アクリレートモノマー、3官能以上のウレタンアクリレートオリゴマー、及び光重合開始剤を含むインクジェットインク組成物が提案されていた(例えば、特開2006-257155号公報参照)。しかしながら基材への密着性を達成しようとすると、塗膜強度が下がり、塗膜の耐ブロッキング性が低下する問題が生じることがあった。一方で、耐ブロッキング性を向上させるために架橋成分を添加すると、塗膜の内部応力が増大し、基材への密着性が低下するというトレードオフの問題があった。被記録媒体に対する密着性と、耐ブロッキング性とがトレードオフの関係にある以上、それらの品質を両立させることは困難である。
【0012】
また、イソシアネート基を有する化合物と、特定のラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合開始剤とを含有することにより、塗布性に優れ、得られる印刷物の密着性及びブロッキング抑止に優れた下塗り組成物が提案されていた(例えば、特開2016-069654号公報参照)。しかしながら、ここでいうブロッキング性は下塗り層にのみ効果があり、上層に耐ブロッキング効果を有しないため、塗膜全体としての耐ブロッキング性を付与することはできないという問題があった。
【0013】
これに対し、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、所定の含有量のガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマーと、所定の含有量のガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーと、を含有することにより、被記録媒体に対する密着性に影響する柔軟性と、耐ブロッキング性とを両立した硬化物を形成し得る活性エネルギー線硬化型組成物が得られることを見出した。
【0014】
更に、前記活性エネルギー線硬化型組成物は、インクジェット方式における吐出安定性に優れ、かつ前記活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られる硬化物において、プラスチック基材上における塗膜(硬化物)の割れ性に優れることも併せて見出した。
【0015】
<3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー>
前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、アダクト体であることが必要である。アダクト体は、架橋点が立体障害の小さいC-C結合で構成されるため、化学架橋点としての効果が高い。そのため、前記活性エネルギー線硬化型組成物が前記3官能アダクト体ウレタンアクリレートオリゴマーを含有することによって、被記録媒体に対する密着性に影響する柔軟性と、耐ブロッキング性とを両立したインク硬化物を得ることができる。
【0016】
なお、本明細書において、「オリゴマー」とは、モノマー構造単位の繰り返し数が2以上20以下の重合体を意味する。
【0017】
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0018】
前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0019】
前記3官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、公知の方法で適宜合成した合成品を使用してもよく、市販品を使用してもよく、合成品及び市販品を併用してもよい。
【0020】
前記3官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、特開2002-256053号公報に記載の方法によって合成することができる。
【0021】
前記3官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成方法の具体例としては、1分子中に3個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)と、長鎖アルキルアルコール(B)と、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)とを反応させる方法が挙げられる。
【0022】
<<有機イソシアネート(A)>>
前記有機イソシアネート(A)は、イソシアネート基を2個有するジイソシアネートモノマー(a)を変性することによって得られるもので、1分子中に3個のイソシアネート基を有している。ジイソシアネートモノマー(b)の変性方法は、アダクト変性である。
【0023】
前記ジイソシアネートモノマー(a)としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、下記構造式(1)で表されるトリレンジイソシアネート(TDI)、下記構造式(2)で表されるナフタレンジイソシアネート(NDI)、下記構造式(3)で表されるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、下記構造式(4)で表されるイソホロンジイソシアネート(IPDI)、下記構造式(5)で表されるキシレリンジイソシアネート(XDI)、下記構造式(6)で表されるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、下記構造式(7)で表されるジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H-MDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、又はノルボルナンジイソシアネートメチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
前記ジイソシアネートモノマー(a)をアダクト変性した有機イソシアネート(A)としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられる。
【0032】
【0033】
前記一般式(1)において、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、下記一般式(1-i)~(1-vii)のいずれかを表す。R1、R2、及びR3は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0034】
【化9】
前記一般式(1-i)~(1-vii)において、「*」は結合手を表す。
【0035】
<<長鎖アルキルアルコール(B)>>
前記長鎖アルキルアルコール(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、炭素数が13~25の長鎖アルキル基を有するものが好ましい。
【0036】
前記長鎖アルキルアルコール(B)の具体例としては、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、グリセロールモノステアレートなどが挙げられる。
【0037】
<<ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)>>
前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、下記一般式(2)で表される化合物が、イソシアネート基と反応性を有すると共に、活性エネルギー線硬化性官能基(CH2=)を有しているため好ましい。
【0038】
【0039】
前記一般式(2)において、R4は、H又はCH3を表す。
【0040】
前記一般式(2)において、nは、1~25の整数を表すが、2~5の整数であることが、前記活性エネルギー線硬化型組成物の架橋間分子量の増大に伴う硬化不良を抑制することができる点で好ましい。
【0041】
前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、1分子中に3個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)と、前記長鎖アルキルアルコール(B)とを混合してこれらを反応(以下、「反応I」と称することがある)させた後、更に前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)を加えて反応(以下、「反応II」と称することがある)させることにより得る方法などが挙げられる。
【0042】
前記反応I及び前記反応IIは、溶液中で行ってもよく、無溶剤系で行ってもよいが、通常、溶液中で行われる。
【0043】
前記反応I及び前記反応IIに用いられる溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
また、前記反応I及び前記反応IIは、活性エネルギー線硬化性官能基(CH2=)を有する化合物、例えば、スチレン、ジエチレングリコールジアクリレート、又はトリエチレングリコールジアクリレートなどの中で行うこともできる。
【0045】
前記反応I及び前記反応IIにおける反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、23℃~100℃が好ましく、60℃~80℃がより好ましい。
【0046】
前記反応I及び前記反応IIにおける反応時間としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、1時間~10時間が好ましく、1時間~5時間がより好ましい。
【0047】
前記有機イソシアネート(A)と、前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)と、前記長鎖アルキルアルコール(B)との混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記有機イソシアネート(A)のイソシアネート基と、前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)の水酸基と、前記長鎖アルキルアルコール(B)の水酸基とのモル比[(A):(C):(B)]が、1:0.8~1.50:0.02~0.33となる混合比であるのが好ましい。
【0048】
前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成において、更に必要に応じて、触媒を使用してもよい。
前記触媒としては、特に制限はなく、公知の触媒の中から適宜選択することができ、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート、ジブチルスズサルファイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記触媒の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記有機イソシアネート(A)100質量部に対して、0.01質量部~1質量部が好ましく、0.01質量部~0.1質量部がより好ましい。
【0050】
前記反応IIを終了させる際は、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を使用してもよい。
前記重合禁止剤の添加量としては、前記反応IIを止めることができれば、特に制限はないが、前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(C)100質量部に対して、0.01質量部~1質量部が好ましく、0.01質量部~0.1質量部がより好ましい。
【0051】
前記活性エネルギー線硬化型組成物における、前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全質量に対し、1.0質量%以上5.0質量%以下が好ましい。前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、1.0質量%以上であると、耐ブロッキング性に優れ、5.0質量%以下であると、連続吐出安定性及び被記録媒体に対する密着性密着性に優れる。
【0052】
<ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマー>
前記ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート(Tg 250℃以上)、アクリロイルモルホリン(ACMO(登録商標))(Tg 145℃)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(Tg 110℃)、イソボルニル(メタ)アクリレート(Tg 97℃)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA(登録商標))(Tg 90℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマーは、公知の方法で適宜合成した合成品を使用してもよく、市販品を使用してもよく、合成品及び市販品を併用してもよい。
【0054】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロキシ」とは、「アクリロキシ」又は「メタクリロキシ」を意味する。
【0055】
前記活性エネルギー線硬化型組成物における、前記ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマーの含有量は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全質量に対し、10質量%以上30質量%以下であるが、10質量%以上20質量%以下が好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマーの含有量が、10質量%未満であると、耐ブロッキング性が低下し、30質量%を超えると、被記録媒体に対する密着性が低下する。
【0056】
<ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマー>
前記ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート(Tg 27℃)、フェノキシエチル(メタ)アクリレート(Tg 2℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
前記ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーは、公知の方法で適宜合成した合成品を使用してもよく、市販品を使用してもよく、合成品及び市販品を併用してもよい。
【0058】
前記活性エネルギー線硬化型組成物における、前記ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーの含有量は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全質量に対し、20質量%以上50質量%以下であるが、30質量%以上40質量%以下が好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーの含有量が、20質量%未満であると、被記録媒体に対する密着性が低下し、50質量%を超えると、耐ブロッキング性が低下する。
【0059】
前記ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマー及び前記ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0060】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、重合開始剤、重合促進剤(増感剤)、色材、有機溶媒、界面活性剤、前記重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、又は増粘剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
<<重合開始剤>>
前記重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマー又はオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであれば、特に制限はなく、公知のラジカル重合開始剤、公知のカチオン重合開始剤、又は公知の塩基発生剤などを使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記重合開始剤は、材料の選択性が高いという観点から、ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0062】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
【0063】
前記ラジカル重合開始剤の具体例として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-エトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-イソプロポキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-イソブトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-ベンジルオキシアセトフェノン、4-フェニルアセトフェノン、4-ベンゾイル 4‘-メチルジフェニルスルフィド、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オンのオリゴマー[ベンゼン,(1-メチルエチニル)-,ホモポリマー,ar-(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソプロピル)誘導体](商品名:Esacure ONE、IGM Resins B.V.製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名:イルガキュア369、IGM Resins B.V.製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名:イルガキュア819、IGM Resins B.V.製)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(商品名:イルガキュアTPO、IGM Resins B.V.製)、ポリエチレングリコール200-ジ(β-4(4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル)ピペラジン)(商品名:Omnipol 910、IGM Resins B.V.製)、1,3-ジ({α-[1-クロロ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イル)オキシ]アセチルポリ[オキシ(1-メチルエチレン)]}オキシ)-2,2-ビス({α-[1-クロロ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イル)オキシ]アセチルポリ[オキシ(1-メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパン(商品名:SpeedCure7010、Lambson社製)、ポリブチレングリコールビス(9-オキソ-9H-チオキサンチニルオキシ)アセテート(商品名:Omnipol TX、IGM Resins B.V.製)、高分子型チオキサンテン化合物(商品名:Genepol* TX-2、Lahn AG社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記ラジカル重合開始剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0064】
前記活性エネルギー線硬化型組成物における、前記重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全質量に対し、5質量%~20質量%が、十分な硬化速度が得られるという観点から好ましい。
【0065】
<<重合促進剤(増感剤)>>
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用してもよい。
前記重合促進剤(増感剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン、又は4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記活性エネルギー線硬化型組成物における、前記重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその使用量などに応じて、適宜選択することができる。
【0067】
<<色材>>
前記色材としては、前記活性エネルギー線硬化型組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、光沢色(例えば、金又は銀等)などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
【0068】
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機顔料又は有機顔料などを使用することができる。前記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記無機顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。
【0070】
前記有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
【0071】
また、前記顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。前記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
【0072】
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、又は塩基性染料が使用可能である。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記活性エネルギー線硬化型組成物における、前記色材の含有量としては、特に制限はなく、所望の色濃度や、前記活性エネルギー線硬化型組成物中における分散性等を考慮して適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0074】
なお、前記活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよい。このような場合は、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
【0075】
<<有機溶媒>>
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。前記活性エネルギー線硬化型組成物が、有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該活性エネルギー線硬化型組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。
【0076】
なお、本明細書において、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、又はトルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、前記ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のモノマー又は前記ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のモノマーとは区別すべきものである。
【0077】
また、本明細書において、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0078】
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0079】
<<重合禁止剤>>
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4-メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0080】
-活性エネルギー線硬化型組成物の粘度-
前記活性エネルギー線硬化型組成物の粘度としては、特に制限はなく、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、当該活性エネルギー線硬化型組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が、3mPa・s~40mPa・sが好ましく、5mPa・s~15mPa・sがより好ましく、6mPa・s~12mPa・sが特に好ましい。また、前記好ましい粘度範囲を、前記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。
【0081】
前記活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、コーンプレート型回転粘度計(VISCOMETER TVE-22L、東機産業株式会社製)により、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整には循環恒温槽(VISCOMATE VM-150III、東機産業株式会社製)を用いることができる。
【0082】
-活性エネルギー線硬化型組成物の製造方法-
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて製造することができ、その製造方法や条件は特に限定されないが、例えば、前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーと、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーと、前記顔料及び前記分散剤などを、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等のメディアを用いた分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に更に前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマー、及び前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマー、並びに、更に必要に応じて、前記重合開始剤、前記重合禁止剤、及び前記界面活性剤等のその他の成分を混合させることにより調製することができる。また、ディスパー、ホモジナイザー等のメディアレス分散装置を用いてもよい。
【0083】
-用途-
前記活性エネルギー線硬化型組成物の用途としては、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などに用いることができる。
【0084】
また、前記活性エネルギー線硬化型組成物は、被記録媒体に対する密着性と耐ブロッキング性を両立し、更にインクジェットによる吐出安定性に優れているため、後述する本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物に好適に用いられ、特に、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物に好適に用いられる。
【0085】
(活性エネルギー線硬化型インク組成物及び活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明の活性エネルギー線インクジェット用インク組成物は、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物と併せて、本発明の活性エネルギー線インクジェット用インク組成物について説明する。
【0086】
<活性エネルギー線硬化型組成物>
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物における前記活性エネルギー線硬化型組成物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物そのものであってもよい。
【0087】
<活性エネルギー線硬化型インク組成物>
前記活性エネルギー線インクジェット用インク組成物における前記活性エネルギー線硬化型インク組成物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、前記活性エネルギー線インクジェット用インク組成物は、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物そのものであってもよい。
【0088】
<その他の成分>
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物又は前記活性エネルギー線インクジェット用インク組成物における前記その他の成分としては、特に制限はなく、通常インク組成物に含まれる公知の成分の中から、適宜選択して用いることができ、例えば、色材、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、添加剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0089】
-色材-
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、前記(活性エネルギー線硬化型組成物)の<<色材>>の項目に記載のものと同様のものを用いることができる。
【0090】
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物又は前記活性エネルギー線インクジェット用インク組成物における、前記色材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物又は前記活性エネルギー線インクジェット用インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0091】
-添加剤-
前記添加剤としては、例えば、抑泡剤(消泡剤)、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、又は樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0092】
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物又は前記活性エネルギー線インクジェット用インク組成物における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
【0093】
<用途>
前記活性エネルギー線硬化型インク組成物及び前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、2次元の文字や画像、各種被記録媒体への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
【0094】
(組成物収容容器)
本発明の組成物収容容器は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかを収容してなるものである。即ち、本発明の組成物収容容器は、前記活性エネルギー線硬化型組成物、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかが収容された状態の容器を意味する。
【0095】
なお、本明細書において「活性エネルギー線硬化型組成物」、「活性エネルギー線硬化型インク組成物」、及び「活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物」は、まとめて「活性エネルギー線硬化型組成物等」と略記されることがある。
【0096】
前記組成物収容容器の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
【0097】
前記組成物収容容器は、前記(活性エネルギー線硬化型組成物)の項目に記載の用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途に用いられる場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。
【0098】
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体に対して色材を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物(以下、「第1のインク」と称することがある)を付与する工程(以下、「第1のインク付与工程」と称することがある)と、前記被記録媒体の前記活性エネルギー線硬化型インク(第1のインク)が付与された領域に対して、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を付与する工程(以下、「第2のインク付与工程」と称することがある)と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0099】
<第1のインク付与工程>
前記第1のインク付与工程は、被記録媒体に対して色材を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物(第1のインク)を付与する工程である。
前記第1のインクの付与方式は、インクジェット吐出方式である。
【0100】
前記インクジェット吐出方式としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、連続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。
前記オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。
【0101】
<<第1のインク>>
前記第1のインクは、色材を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0102】
-色材-
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、前記(活性エネルギー線硬化型組成物)の<<色材>>の項目に記載のものと同様のものを用いることができる。
【0103】
前記第1のインクにおける、前記色材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第1のインクの全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0104】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はイなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記(活性エネルギー線硬化型インク組成物及び活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物)の<その他の成分>における色材以外の成分と同様のものなどが挙げられる。
【0105】
前記第1のインクにおける、前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0106】
<<被記録媒体>>
前記被記録媒体としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、フィルム、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。
なお、本明細書において、「被記録媒体」と「基材」及び「基板」とは同義である。
【0107】
前記被記録媒体の形状としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状などが挙げられる。また、前記被記録媒体は、片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
【0108】
前記被記録媒体は、上記したような一般的な被記録媒体として用いられるものに限られず、ダンボール;壁紙や床材等の建材;コンクリート;Tシャツ等の衣料用等の布;テキスタイル;皮革なども適宜使用することができる。
【0109】
<第2のインク付与工程>
前記第2のインク付与工程は、前記第1のインク付与工程により、前記被記録媒体の前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物(第1のインク)が付与された領域に対して、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物(第2のインク)を付与する工程である。
前記第2のインクの付与方式は、インクジェット吐出方式であり、その態様は、前記<第1のインク付与工程>に記載の態様と同様である。
【0110】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第1の硬化工程、第2の硬化工程などが挙げられる。
【0111】
<<第1の硬化工程>>
前記第1の硬化工程は、前記第1のインク付与工程と、前記第2のインク付与工程との間に行われる工程であり、前記第2のインクを付与する前に、前記第1のインクが付与された領域における該第1のインクを硬化させる工程である。
【0112】
前記第1のインクを硬化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱硬化させる方法、活性エネルギー線により硬化させる方法などが挙げられる。
【0113】
前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、後述する(2次元又は3次元の像形成装置及び2次元又は3次元の像形成方法)の<<活性エネルギー線>>の項目に記載のものと同様のものを用いることができる。
【0114】
<<第2の硬化工程>>
前記第2の硬化工程は、前記第2のインク付与工程の後に行われる工程であり、前記第2のインクが付与された領域における該第2のインクを硬化させる工程である。
【0115】
前記第2のインクを硬化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱硬化させる方法、活性エネルギー線により硬化させる方法などが挙げられる。これらの中でも活性エネルギー線による硬化が好ましい。
【0116】
前記インクジェット記録方法は、2次元の文字や画像、各種被記録媒体への意匠塗膜の形成方法としてだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)の形成方法としても用いることができる。
【0117】
(2次元又は3次元の像形成装置及び2次元又は3次元の像形成方法)
本発明の2次元又は3次元の像形成装置は、収容手段と、照射手段とを有し、更に吐出手段を有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の2次元又は3次元の像形成方法は、照射工程を含み、更に吐出工程を有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
なお、本明細書において、「2次元又は3次元の像形成装置」は「像形成装置」、「2次元又は3次元の像形成方法」は「像形成方法」と略記されることがある。
【0118】
本発明の2次元又は3次元の像形成方法は、前記活性エネルギー線硬化型組成物等に対して活性エネルギー線を用いて像を形成してもよいし、前記活性エネルギー線硬化型組成物等を加温することによって像を形成してもよい。
【0119】
<収容手段>
前記収容手段は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれか(活性エネルギー線硬化型組成物等)を収容する手段である。
前記収容手段は、本発明の組成物収容容器であってもよい。
【0120】
前記像形成装置における前記収容手段の数としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。例えば、前記像形成装置が、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックなどの複数のカラーの前記活性エネルギー線硬化型組成物等を有する場合、前記収容手段は、前記複数の活性エネルギー線硬化型組成物等を、それぞれ独立に収容することが好ましい。
【0121】
また、前記像形成装置が、前記複数の活性エネルギー線硬化型組成物等を有する場合、前記収容手段は、インクカートリッジとしてもよい。このようなインクカートリッジも、本発明の範囲内である。
【0122】
前記インクカートリッジは、前記複数の活性エネルギー線硬化型組成物等と、容器と、を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記インクカートリッジは、インク交換などの作業において、インクに直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、またインクへのごみ等の異物混入を防止できる点で有利である。
【0123】
前記インクカートリッジは、前記複数の活性エネルギー線硬化型組成物等を一体的に収容していてもよく、前記複数の活性エネルギー線硬化型組成物等をそれぞれ独立に収容していてもよい。
【0124】
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好ましい。
【0125】
前記インクカートリッジの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜用いて製造することができる。
【0126】
前記インクカートリッジは、例えば、前記インク袋等の容器に収容された前記複数の活性エネルギー線硬化型組成物等を、更にカートリッジケース(例えば、プラスチック製のケース)内に収容し、前記像形成装置に着脱可能に装着して用いられるようになっていることが好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
【0127】
<吐出手段及び吐出工程>
前記吐出手段は、前記収容手段に収容された前記活性エネルギー線硬化型組成物等を吐出する手段である。
前記吐出工程は、前記収容手段に収容された前記活性エネルギー線硬化型組成物等を吐出する工程である。
前記吐出工程は、前記照射工程の前に行われることが好ましい。
前記吐出工程は、前記吐出手段により好適に行われる。
【0128】
前記活性エネルギー線硬化型組成物等の付与方式としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、吐出方式であることが好ましく、インクジェット吐出方式であることがより好ましい。
【0129】
前記インクジェット吐出方式としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、連続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。
前記オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。
【0130】
<照射手段及び照射工程>
前記照射手段は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれか(活性エネルギー線硬化型組成物等)に対して活性エネルギー線を照射する手段である。
前記照射工程は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれか(活性エネルギー線硬化型組成物等)に対して活性エネルギー線を照射する工程である。
前記照射工程は、前記照射手段により好適に行われる。
前記照射手段及び前記照射工程により、前記活性エネルギー線硬化型組成物が硬化される。
【0131】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等を硬化させる硬化手段としては、例えば、加熱硬化、活性エネルギー線による硬化などが挙げられる。これらの中でも活性エネルギー線による硬化が好ましい。
【0132】
<<活性エネルギー線>>
前記活性エネルギー線としては、前記活性エネルギー線硬化型組成物中の前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーと、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーとの重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、高エネルギーな光源を使用する場合には、前記重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。
【0133】
前記活性エネルギー線が紫外線である場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的及び環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は、小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、紫外線光源として好ましい。これらの中でも、省エネルギー化や装置小型化の観点から、紫外線発光ダイオード(以下、UV-LEDともいう)から照射される波長が285nm~405nmにピークを有する紫外線であることが好ましく、365~405nmにピークを有する紫外線であることがより好ましい。
【0134】
なお、重合開始剤の光吸収スペクトルは一般にブロードであって、狭小な特定波長域を照射するUV-LEDを用いることは、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性向上を困難にする。そのため、UV-LEDを用いたとしても、十分に硬化することができる硬化性を有した本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等を用いることが好ましい。
【0135】
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段及び前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
【0136】
以下に、図面を用いて前記2次元又は3次元の像形成装置及び前記2次元又は3次元の像形成方法について説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0137】
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックの各色活性エネルギー線硬化型インク組成物を収容した収容手段としてのインクカートリッジと、吐出ヘッドとを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための照射手段としての光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により被記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する被記録媒体に対し、ヘッドを移動させて被記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に被記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから被記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
【0138】
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
【0139】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等により記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元又は3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
【0140】
図2は、本発明の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の他の一例を示す概略図である。
図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物等を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物等とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物等を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれらの活性エネルギー線硬化型組成物等を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物等を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物等を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、
図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【0141】
この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、
図2や
図3A~
図3Dに示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、
図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり、
図3A~
図3Dは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。まず、
図3Aでは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射している。続いて、
図3Bでは、活性エネルギー線4の照射により所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成している。続いて、
図3Cでは、可動ステージ3を下げている。続いて、
図3Dでは、活性エネルギー線4の照射により、得られた硬化層6の上に更に硬化層6を形成している。
【0142】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物等を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものなどが挙げられる。
【0143】
このように、前記像形成装置及び前記像形成方法により、被記録媒体上に、前記活性エネルギー線硬化型組成物等を付与し、硬化させることにより、2次元又は3次元の像が形成される。このように形成された2次元又は3次元の像も、本発明の範囲内に含まれる。
【0144】
前記2次元の像としては、例えば、文字、記号、図形又はこれらの組み合わせ、ベタ画像などが挙げられる。
【0145】
前記3次元の像としては、例えば、立体造形物などが挙げられる。
【0146】
前記立体造形物の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上が好ましい。
【0147】
前記2次元又は3次元の像は、前記活性エネルギー線硬化型組成物等を用いて形成されているため、非浸透性の被記録媒体に形成した2次元又は3次元の像が、水に浸漬した後でも密着性が良好に維持できるという優れた耐水性を有するものである。
【0148】
(硬化物)
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の少なくともいずれかに、活性エネルギー線を照射することにより硬化させて形成されてなるものである。
【0149】
(加飾体)
本発明の加飾体としては、基材上に、本発明の硬化物からなる表面加飾が施されてなるものである。即ち、前記硬化物が前記基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品である。
【0150】
前記基材としては、特に限定されず、前記(インクジェット記録方法)の項目に記載の被記録媒体と同様のものをすることができる。これらの中でも、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
【0151】
前記加飾体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、シート状又はフィルム状に形成された前記硬化物に対して、加熱延伸又は打ち抜き加工等の成形加工を施したものなどが挙げられる。
【0152】
<用途>
本発明の加飾体は、例えば、自動車、OA機器、電気機器、電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
【実施例0153】
以下に合成例、実施例、及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例及び実施例に何ら限定されるものではない。
【0154】
(合成例1:ウレタンアクリレートオリゴマーAの合成)
撹拌機、温度計、及びコンデンサーを備えた500mL容のフラスコに、トルエン33質量部及びステアリルアルコール(NAA-46、日油株式会社製)4.8質量部を仕込み、40℃まで昇温した。その後、ステアリルアルコールが完全に溶解したことを確認し、ヘキサメイレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト変性(バーノックDN-950;DIC株式会社製、N.V.:75、NCO%:12)50質量部を仕込み、70℃まで昇温させた。70℃で30分間反応後、ジブチルスズラウレート0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセル FA3、株式会社ダイセル製、水酸基価:122)63.9質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持して反応を終了し、トルエン60.7質量部を加え、固形分50質量%のウレタンアクリレートオリゴマーA(3官能アダクト体)を得た。
【0155】
(合成例2:ウレタンアクリレートオリゴマーBの合成)
撹拌機、温度計、及びコンデンサーを備えた500mL容のフラスコに、トルエン60.8質量部及びステアリルアルコール(NAA-46)8.4質量部を仕込み、40℃まで昇温した。その後、ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(タケネート(登録商標)D-170N、三井化学株式会社製、NCO%:20.9)50質量部を仕込み、70℃まで昇温させた。70℃で30分間反応後、ジブチルスズラウレートを0.02質量部仕込み、70℃で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセル FA2D、株式会社ダイセル製)83.5質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持して反応を終了し、トルエン81.1質量部を加え、固形分50質量%のウレタンアクリレートオリゴマーB(3官能イソシアヌレート体)を得た。
【0156】
(合成例3:ウレタンアクリレートオリゴマーCの合成)
攪拌機、温度計、及びコンデンサーを備えた500mL容のフラスコに、トルエン78.3質量部、ステアリルアルコール(NAA-46)8.5質量部を仕込み、40℃まで昇温した。その後、ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性タイプ(デュラネート24A-90CX、旭化成株式会社製、N.V.:90、NCO%:21.2)50質量部を仕込み、70℃まで昇温させた。70℃で30分間反応後、ジブチルスズラウレートを0.02質量部仕込み、70℃で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセル FA4、株式会社ダイセル製、水酸基価:98)140.8質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持して反応を終了し、トルエン111質量部を加え、固形分50質量%のウレタンアクリレートオリゴマーC(3官能ビウレット体)を得た。
【0157】
(実施例1)
<活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
オリゴマー(合成例1で得られたウレタンアクリレートオリゴマーA)、Tgが90℃以上のモノマー、Tgが30℃以下のモノマー、その他のモノマー、重合開始剤(TPO)、及び重合禁止剤(MEHQ)を、下記表1に記載の組成(質量%)に基づき、スリーワンモータ(新東科学株式会社製)で混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
【0158】
<硬化物の調製>
活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、アクリル基材上に10μmの膜を作製し、その塗膜をウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3,000mJ/cm2)を照射して硬化させ、硬化物を得た。
【0159】
(実施例2~5及び比較例1~15)
実施例1において、活性エネルギー線硬化型組成物の組成及び含有量(質量%)を、表1から表3に記載の組成及び含有量(質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型組成物、及びその硬化物を得た。
【0160】
次に、実施例1~5及び比較例1~15で得られた活性エネルギー線硬化型組成物について、以下のようにして「連続吐出安定性」を評価し、実施例1~5及び比較例1~15で得られた各硬化物について、以下のようにして「耐ブロッキング性」及び「基材密着性」を評価した。結果を表1から表3に示す。
【0161】
<耐ブロッキング性>
耐ブロッキング性は、各硬化物の硬化させた塗膜面とアクリル基材とを重ね合わせた上からA4サイズあたり5kgの荷重をかけ、室温で24時間放置した後の塗膜と基材の貼り付きの有無及び塗膜の変化度合いから下記の基準に基づいて評価した。
[評価基準]
◎:貼り付きがなく、塗膜の変化もない
〇:貼り付きはあるが、塗膜の変化はない
△:貼り付きがあり、塗膜の変化率が10%未満
×:貼り付きがあり、塗膜の変化率が10%以上
【0162】
<基材密着性>
各硬化物の基材に対する密着性は、密着性試験JIS K5600-5-6のクロスカット法の評価方法に従い、下記の基準に基づいて評価した。
[評価基準]
〇:全く剥がれがない
△:カッターの切込みに沿った剥がれのみ
×:マスが剥がれる
【0163】
<連続吐出安定性>
インクジェットヘッドMH5420(株式会社リコー製)を有するインクジェット吐出装置を用いて、各活性エネルギー線硬化型組成物の飛翔速度が7±1m/sとなる条件において、28kHzの周波数で1分間連続吐出した際の不吐出となるノズル数を測定し、下記基準に基づいて吐出安定性を評価した。
[評価基準]
◎:不吐出ノズル数が0個である
〇:不吐出ノズル数が1個以上4個未満である
△:不吐出ノズル数が4個以上10個未満である
×:不吐出ノズルが10個以上である
【0164】
<総合判定>
前記「耐ブロッキング性」、前記「基材密着性」、及び前記「連続吐出安定性」の3つの評価結果において、1つも「×」が無いものは総合判定「〇」とし、1つでも「×」があるものは総合判定「×」とした。
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
(実施例6~14及び比較例16~22)
<活性エネルギー線硬化型インク組成物の調製>
表4及び表5に記載の組成及び含有量(質量%)に基づき、常法により、実施例6~14及び比較例16~22の第1のインク及び第2のインクを調製した。
【0169】
<硬化物の調製>
得られた実施例6~14及び比較例16~22の各第1のインク及び各第2のインクを用いて、アクリル基材上に10μmの膜を作製し、その塗膜をウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3,000mJ/cm2)を照射して硬化させ、硬化物を得た。
【0170】
次に、実施例6~14及び比較例16~22で得られた第1のインクの硬化物及び第2のインクの硬化物について、実施例1~5及び比較例1~15と同様の方法で「耐ブロッキング性」及び「基材密着性」を評価した。更に、実施例6~14及び比較例16~22で得られた第1のインクの硬化物及び第2のインクの硬化物について、以下のようにして「延伸性」を評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0171】
<延伸性>
3cm×10cmに印字した硬化直後の塗膜を長軸方向に5cm引き延ばした際(塗膜そのものが15cmにまで引き延ばされた)の塗膜の状態を目視で観察し、下記評価基準に基づき評価した。なお、評価結果が、「◎」、「〇」、又は「△」が実用可能である。
[評価基準]
◎:ひび割れなし
〇:微小なひび割れあり
△:ひび割れあり
×:引き延ばしている際に破断する
【0172】
<総合判定>
前記「耐ブロッキング性」、前記「基材密着性」、及び前記「延伸性」の3つの評価結果において、1つも「×」が無いものは総合判定「〇」とし、1つでも「×」があるものは総合判定「×」とした。
【0173】
【0174】
【0175】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、
ガラス転移温度が90℃以上のモノマーと、
ガラス転移温度が30℃以下のモノマーと、
を含有し、
前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーの含有量が、10質量%以上30質量%以下であり、かつ、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーの含有量が、20質量%以上50質量%以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物である。
<2> 前記ガラス転移温度が90℃以上のモノマーの含有量が10質量%以上20質量%以下であり、かつ、前記ガラス転移温度が30℃以下のモノマーの含有量が30質量%以上40質量%以下である前記<1>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<3> 前記3官能アダクト体ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、1.0質量%以上5.0質量%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク組成物である。
<5> 前記<4>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物である。
<6> 被記録媒体に対して色材を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を付与する工程と、
前記被記録媒体の前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が付与された領域に対して、前記<5>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を付与する工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<7> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<4>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<5>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかを収容してなることを特徴とする組成物収容容器である。
<8> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<4>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<5>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物のいずれかを収容する収容手段と、
活性エネルギー線を照射する照射手段と、
を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置である。
【0176】
前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<4>に記載活性エネルギー線硬化型インク組成物、前記<5>に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、前記<6>に記載のインクジェット記録方法、前記<7>に記載の組成物収容容器、及び前記<8>に記載の2次元又は3次元の像形成装置は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。