(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063844
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230428BHJP
B61L 27/00 20220101ALI20230428BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230428BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230428BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
B61L27/00 C
G06Q10/04
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173888
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】窪澤 駿平
(72)【発明者】
【氏名】坂原 誠
(72)【発明者】
【氏名】大西 貴士
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ01
5H161JJ12
5H161JJ22
5H161JJ36
5H161JJ40
5L049AA04
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】制御対象の異常発生に応じた切替後の制御による制御対象の状態と、平常時における制御対象の状態との異なりが比較的小さくなるようにする。
【解決手段】制御システムが、制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替える切替手段と、前記切替手段による制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行う制御手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替える切替手段と、
前記切替手段による制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行う制御手段と、
を備える制御システム。
【請求項2】
前記切替手段は、前記制御対象の一部に異常が生じている場合に、前記制御対象の部分のうち、その異常の影響の波及を軽減する機能を有する部分を含む1つ以上の部分に対する制御を、前記非平常時の制御に決定する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記切替手段は、前記非平常時の制御として、前記制御対象の一部に生じている異常に対応するように制御を行う異常時制御と、前記制御対象の部分の状態を平常時における状態に復旧させるように制御を行う復旧制御とを切り替え、
前記制御手段は、さらに、前記切替手段による前記非平常時の制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行う、
請求項1または請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記非平常時の制御にて、前記制御対象の状態が、平常時における前記制御対象の目標状態として定められている状態に近いほど評価が高くなる評価関数を用いた学習で得られた制御方法にて、前記制御対象の部分の制御を行う、
請求項1から3の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記非平常時の制御にて、前記制御対象の状態が、平常時における前記制御対象の目標状態として時間毎に定められている状態に近いほど評価が高くなる前記評価関数を用いた学習で得られた制御方法を用いる、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御対象は交通システムであり、
前記制御手段は、前記非平常時の制御にて、前記交通システムの移動体の運行状況が、前記交通システムの平常時の運行ダイヤにて示される運行状況に近いほど評価が高くなる前記評価関数を用いた学習で得られた制御方法を用いる、
請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記平常時の制御の学習と、前記非平常時の制御の学習とを別々に、それぞれ強化学習で行う学習手段
をさらに備える、請求項1から6の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記学習手段は、前記制御対象のシミュレータに、異常の発生時間帯および異常の発生個所がランダムに設定されたシミュレーションの実行結果を用いて、前記平常時の制御の学習および前記非平常時の制御の学習を行う、
請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
コンピュータが、
制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替え、
前記制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行う、
ことを含む制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替えることと、
前記制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行うことと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
制御において、制御対象の状態について目標状態が設定され、制御対象の状態を目標状態に近付けるように制御する、といったことが行われる場合がある。
例えば、特許文献1に記載の車両自動制御システムでは、目標ダイヤ作成装置が、目標ダイヤを作成および更新し、運行管理システムが、目標ダイヤに従って、列車運行ネットワーク内の列車の運行を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御対象に異常が発生した場合、制御対象に対する制御を切り替えることが考えられる。その場合、切替後の制御による制御対象の状態と、平常時における制御対象の状態との異なりがなるべく小さいことが好ましいことが考えられる。
【0005】
本発明の目的の一例は、上述の課題を解決することのできる制御システム、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、制御システムは、制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替える切替手段と、前記切替手段による制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行う制御手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、制御方法は、コンピュータが、制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替え、前記制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行う、ことを含む。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替えることと、前記制御の切替に応じて、前記制御対象の部分の制御を行うことと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御対象の異常発生に応じた切替後の制御による制御対象の状態と、平常時における制御対象の状態との異なりが比較的小さいと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る制御システムの構成の例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る制御対象の平常時における、制御対象の部分への制御部の割り当ての例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る制御対象の異常発生時における、制御対象の部分への制御部の割り当ての例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る制御対象の異常解消時における、制御対象の部分への制御部の割り当ての例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る制御システムが行う処理の手順の例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る制御システムの第2の構成例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る制御システムの第3の構成例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る制御システムの第4の構成例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る制御システムの第5の構成例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る制御システムの第6の構成例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る制御システムの第7の構成例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る制御方法における処理の手順の例を示す図である。
【
図13】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る制御システムの構成の例を示す図である。
図1に示す構成で、制御システム1は、切替部10と、制御部20とを備える。制御部20は、複数の平常制御部21と、1つ以上の異常時制御部22と、1つ以上の復旧制御部23とを備える。また、
図1には、制御対象30が示されている。
【0012】
制御システム1は、制御対象30を制御するシステムである。
制御対象30は、制御システム1による制御に従って動作する。制御対象30は、平常時における目標状態が時間毎に設定され(すなわち、動的に設定され)、制御対象30が複数の部分に分割された部分毎の制御にて制御対象30を制御可能であり、かつ、局所的な異常が発生し得るいろいろなものとすることができ、特定のものに限定されない。
【0013】
制御対象30が、1つの装置として構成されていてもよいし、複数の装置を含むシステムとして構成されていてもよい。あるいは、制御対象30が、装置またはシステムの一部として構成されていてもよい。
【0014】
ここでいう制御対象30に異常が発生していることは、制御対象30の部分のうち少なくとも1つの部分の状態が、平常状態として予め設定されている状態と異なる状態になっていることである。制御対象30の異常が、制御対象30の内部的な要因で発生する異常であってもよいし、制御対象30の外部的な要因で発生する異常であってもよい。
【0015】
制御対象30の平常時は、制御対象30全体の状態が、平常状態として予め設定されている状態にあるときである。制御対象30の状態が平常状態にあることは、制御対象30の状態と平常状態との誤差が、所定の範囲内にあることであってもよい。平常状態として予め設定されている状態は、動的な状態(すなわち、時間経過に応じて変化する状態)であってもよい。したがって、制御対象30の平常時における状態が動的な状態であってもよい。
制御対象30の状態が平常状態と異なる場合、制御対象30の状態を非平常状態とも称する。制御対象30の状態が非平常状態にあるときを非平常時とも称する。
【0016】
制御対象30が、制御システム1の一部として構成されていてもよいし、制御システム1の外部の構成となっていてもよい。あるいは、交通システムが制御システムを含んで構成される場合など、制御システム1が制御対象30の一部として構成されていてもよい。
制御対象30の例として、鉄道などの交通システム、化学プラント等のプラント、および、交通管制制御システムを挙げることができるが、これらに限定されない。以下では、制御対象30が鉄道である場合を例に説明する。
【0017】
制御部20は、制御対象30が複数の部分に分割された部分毎に制御を行うことで、制御対象30を制御する。
制御部20は、制御手段の例に該当する。
【0018】
平常制御部21は、制御対象30の部分に対して平常制御を行う。ここでいう平常制御は、制御対象30の状態が、制御対象30の平常状態として予め設定されている状態になるように、制御対象30の部分を制御することである。
例えば、制御対象30が鉄道である場合、平常制御部21は、制御対象30の列車が、平常時の運行ダイヤに従って走行するように、制御対象30の部分を制御する。
【0019】
あるいは、制御対象が交通管制制御システムである場合、平常制御部21は、制御対象30の部分に該当する航空機が、飛行計画に従って飛行するように、各航空機を制御する。
あるいは、制御対象30が、化学プラントである場合、平常制御部21が、制御対象30に設けられたセンサによる測定値が、平常値として予め設定されている値になるように、制御対象30の部分を制御するようにしてもよい。
【0020】
平常制御部21が、制御対象30全体の状態情報に基づいて、制御対象30の部分に対する平常制御を行うようにしてもよい。あるいは、平常制御部21が制御対象30のうち平常制御部21自らが制御する部分の状態情報に基づいて、制御対象30の部分に対する平常制御を行うようにしてもよい。
【0021】
制御部20が、制御対象30の部分の個数と同数の平常制御部21を備え、制御対象30の部分と、その部分を制御する平常制御部21とが一対一に対応付けられていてもよい。個々の平常制御部21を区別する場合、平常制御部21-1、平常制御部21-2、・・・、平常制御部21-Nn(Nnは、平常制御部21の個数を表す正の整数)のように表記する。
【0022】
異常時制御部22は、制御対象30の部分に対して異常時制御を行う。ここでいう異常時制御は、制御対象30の一部に生じている異常に対応して、制御対象30が動作し続けるように、制御対象30の部分を制御することである。
【0023】
例えば、制御対象30が鉄道であり、異常発生によって軌道上に不通区間が生じた場合、仮に平常時の制御にて列車が不通区間の手前に集中して停止すると、利用客に列車の運行を提供できなくなることが考えられる。
また、制御対象30が化学プラントであり、異常発生によって化学プラントの状態が平常状態から大きく逸脱した場合、保護ロジックによって化学プラントが停止することが考えられる。化学プラントの停止によって生産量が大幅に低下し、また、復旧までに要する時間が長くなることが考えられる。
【0024】
これに対し、異常時制御部22の制御によって制御対象30の動作を維持することができれば、機能の低下あっても制御対象30の機能を維持することができ、例えば顧客への輸送サービス提供または製品の製造などを継続することができる。また、異常時制御部22の制御によって制御対象30の動作を維持することができれば、制御対象30の異常が解消した場合の平常状態への復旧が比較的速やかに行われると期待される。
異常時制御部22は、制御対象30の異常発生時(制御対象30に異常が発生しているとき)に、制御対象30の部分のうち、切替部10によって異常発生個所の付近の部分として設定された部分に対して、異常時制御を行う。
【0025】
異常時制御部22は、制御対象30全体が動作不可能な状態に陥らないようにすることに加えて、制御対象30全体の状態が、平常時における制御対象30の目標状態として定められている状態に近くなるように、制御対象30の部分を制御する。平常時における制御対象30の目標状態として定められている状態を、目標平常状態とも称する。
【0026】
例えば、制御対象30が鉄道である場合、異常時制御部22は、列車の運行を継続できることに加えて、平常時の運行ダイヤになるべく近い運行を行えるように、制御対象30の部分を制御する。
列車の運行が平常時の運行ダイヤによる運行に近いことで、鉄道の各人員の負担が比較的軽いことが期待される。また、列車の運行が平常時の運行ダイヤによる運行に近いことで、異常状態が解消された場合に、平常状態への復旧が比較的速やかに行われると期待される。
【0027】
異常時制御部22による、制御対象30全体が動作不可能な状態に陥らないようにし、かつ、制御対象30全体の状態が目標平常状態に近くなるようにする制御は、例えば、異常時制御部22による制御の学習時に、制御対象30の動作が継続する場合に評価が高くなり、かつ、制御対象30の状態が目標平常状態に近い場合に評価が高くなる評価関数を用いて学習を行うことで行われる。
【0028】
制御部20が、制御対象30の部分の個数と同じ個数の異常時制御部22を備えていてもよい。あるいは、制御対象30の部分のうち、異常時制御による制御が同時に必要になる部分は一部のみであることから、制御部20が、制御対象30の部分の個数よりも少ない個数の異常時制御部22を備えていてもよい。個々の異常時制御部22を区別する場合、異常時制御部22-1、異常時制御部22-2、・・・、異常時制御部22-Na(Naは、異常時制御部22の個数を表す正の整数)のように表記する。
【0029】
復旧制御部23は、制御対象30の状態が平常状態(平常時における状態)に復旧するように、制御対象30の部分を制御する。具体的には、復旧制御部23は、制御対象30の異常が解消されたと切替部10が判定した場合に、異常時制御部22から切り替えられる。そして復旧制御部23は、制御対象30の状態を、異常発生に応じた状態から平常状態に復旧させるように、制御対象30の部分を制御する。個々の復旧制御部23を区別する場合、復旧制御部23-1、復旧制御部23-2、・・・、復旧制御部23-Nr(Nrは、復旧制御部23の個数を表す正の整数)のように表記する。
【0030】
なお、異常時制御部22による制御から制御の切替の必要なしに制御対象30の状態が平常状態復旧する場合、制御対象30の異常が解消されたときに、異常時制御部22が制御対象30の部分の制御を継続するようにしてもよい。この場合、制御部20が復旧制御部23を備えていなくてもよい。
【0031】
切替部10は、制御対象30の部分に対する制御を行う制御部(制御部20の部分)として、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23の何れかを割り当てる。これにより、切替部10は、制御対象30の部分毎の制御として、平常制御、異常時制御、および、復旧制御のうちの何れかを選択する。
切替部10は、切替手段の例に該当する。
【0032】
具体的には、切替部10は、制御対象30の状態情報を取得して、制御対象30の状態をリアルタイムで判定する。制御対象30が平常状態にあると判定した場合、切替部10は、制御対象30の各部の制御に平常制御部21を割り当て、平常制御部21が、制御対象30の部分に対して平常制御を行う。
【0033】
切替部10は、制御対象30の異常発生を検知した場合、異常発生個所を特定する。そして、切替部10は、制御対象30の部分のうち、異常発生個所の付近の部分を設定する。異常発生個所の付近の部分に、制御対象30の部分のうち異常発生個所を含む部分が含まれていてもよい。切替部10は、異常発生個所の付近に設定した部分に割り当てる制御部を、平常制御部21から異常時制御部22へ切り替える。
【0034】
切替部10が、制御対象30の部分のうち、異常発生個所を含む部分に加えて、異常の影響の波及を軽減する機能を有する部分を、異常発生個所の付近の部分として設定するようにしてもよい。
制御対象30が鉄道であり、制御対象30の部分が列車の走行経路の区間である場合、列車の折り返し運転が可能な区間が、異常の影響の波及を軽減する機能を有する部分の例に該当する。この点について、
図4を参照して後述する。
【0035】
切替部10は、制御対象30の異常が解消されたことを検出した場合、制御対象30の部分のうち異常時制御部22が割り当てられている部分への機能部の割り当てを、異常時制御部22から復旧制御部23に切り替える。これにより、これらの部分に対する制御が、異常時制御から復旧制御に切り替えられる。
ただし、上記のように、復旧制御部23は制御システム1に必須ではない。切替部10は、制御対象30の異常が解消されたことを検出した後も、制御対象30の状態が平常状態に復旧するまで、制御対象30の部分への異常時制御部22の割り当てを維持するようにしてもよい。
【0036】
図2は、制御対象30の平常時における、制御対象30の部分への制御部の割り当ての例を示す図である。
図2は、制御対象30が鉄道である場合の例を示しており、線L11は、鉄道の路線のうち
図2の左側から右側への列車の走行経路を表している。線L12は、鉄道の路線のうち
図2の右側から左側への列車の走行経路を表している。走行経路を軌道とも称する。
【0037】
四角形B1で例示される、
図2中の四角形「□」は、駅のプラットフォームを表している。線L21で例示される、線L11と線L12との間の線は、線L11が示す軌道と、線L12が示す軌道とを結ぶ軌道を表している。線L11と線L12とを結ぶ軌道によって、列車の折り返し運転が可能になっている。
【0038】
線L11および線L12で示される路線が、複数の区間に分割されており、
図2では、区間A1からA9までが示されている。区間A1からA9までの各区間に、1つずつ駅が含まれている。区間A3、A5およびA8のそれそれで、列車の折り返し運転が可能となっている。
区間A1からA9までの各々は、制御対象30の部分の例に該当する。ただし、制御対象30を複数の部分に分割する分割方法は、特定の方法に限定されない。例えば、区間A6および区間A7が、制御対象30における1つの部分であってもよい。すなわち、複数の区間を、制御対象における1つの部分として扱ってもよい。
【0039】
図2例では、切替部10は、区間A1からA9までのそれぞれに平常制御部21を割り当てている。これにより、制御部20は、区間A1からA9までの各区間を平常制御にて制御する。
図2の区間A1からA9までに割り当てられている平常制御部21を区別する場合、区間Ai(iは、1≦i≦9の整数)に割り当てられている平常制御部21を、平常制御部21-iと表記する。
【0040】
図3は、制御対象30の異常発生時における、制御対象30の部分への制御部の割り当ての例を示す図である。
図3は、
図2に示される鉄道の路線で区間A4に異常が発生し、区間A4が不通区間となっている場合の例を示している。不通区間は、列車が通行できない区間である。
【0041】
図3例では、切替部10は、区間A3からA5までのそれぞれに割り当てる制御部を、平常制御部21から異常時制御部22に切り替えている。異常時制御部22は、不通区間A4の手前の折り返し運転可能区間である区間A3およびA5のそれぞれで、列車の折り返し運転を行う。折り返し運転可能区間は、列車の折り返し運転が可能な区間である。
【0042】
折り返し運転可能区間である区間A3およびA5は、制御対象30の部分のうち、異常の影響の波及を軽減する機能を有する部分の例に該当する。
区間A2側から区間A3に進入した列車が、区間A3で区間A2側へ折り返すことで、異常発生個所を先頭に列車が滞留してしまうことを回避して、区間A2から区間A1側の各区間で平常運転(平常時の運行ダイヤに基づく運転)を行えると期待される。
同様に、区間A6側から区間A5に進入した列車が、区間A5で区間A6側へ折り返すことで、異常発生個所を先頭に列車が滞留してしまうことを回避して、区間A6から区間A7側の各区間で平常運転を行えると期待される。
【0043】
制御対象30の部分のうち、異常発生個所を含む部分が、異常の影響の波及を軽減する機能を有する部分にも該当する場合、切替部10が、1つの部分のみを異常発生個所の付近の部分として設定するようにしてもよい。
図3の例で、区間A3からA5までの一纏まりが、制御対象30の1つの部分となっている場合、区間A4での異常発生時に、切替部10が、区間A3からA5までの一纏まりの部分を、異常発生個所の付近の部分として設定するようにしてもよい。
【0044】
切替部10が、制御対象30の部分のうちの異常発生個所の付近の部分を設定する設定方法は、学習によって得られたものであってもよい。
あるいは、切替部10が制御対象30の部分のうちの異常発生個所の付近の部分を設定する設定方法が、人によって予め設定されていてもよい。例えば、制御システム1の設計者が、切替部10が制御対象30の部分のうちの異常発生個所の付近の部分を設定する設定方法を、ルールベースで予め設定しておくようにしてもよい。
例えば
図3の区間A5について、切替部10が、区間A4からA7までの何れかが不通区間となった場合に、区間A5を異常発生個所の付近の部分の1つとして設定するようにしてもよい。
【0045】
このように、切替部10が、制御対象30の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて、制御対象30の1つの部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを切り替えるようにしてもよい。
区間A3、A4、A5のそれぞれに割り当てられている異常時制御部22を区別する場合、区間Ai(iは、3≦i≦5の整数)に割り当てられている異常時制御部22を、異常時制御部22-iと表記する。
【0046】
異常時制御部22が行う異常時制御に、列車の折り返し運転を行うことに加えて、あるいは代えて、車庫、退避駅または待避線などに列車を回送すること、または退避させることが含まれていてもよい。さらに、異常時制御部22が行う異常時制御に、回送した列車または退避させた列車を運行することが含まれていてもよい。
【0047】
復旧制御部23が行う復旧制御にも、列車の回送または退避、および、回送した列車または退避させた列車を運行することが含まれていてもよい。復旧制御部23は、かかる制御によって、列車の本数調整および時間調整を行うことができる。
異常時制御部22が、異常時制御にて回送した列車または退避させた列車を、復旧制御部23が、復旧制御にて運行するようにしてもよい。
【0048】
図4は、制御対象30の異常解消時における、制御対象30の部分への制御部の割り当ての例を示す図である。
図4は、
図3の例から、区間A4で発生した異常が解消された場合の例を示している。
図4の例では、異常の解消により、区間A4が開通している。すなわち、列車は区間A4を通行可能である。
【0049】
図4例では、切替部10は、区間A3からA5までのそれぞれに割り当てる制御部を、異常時制御部22から復旧制御部23に切り替えている。異常発生時の列車の折り返し運転によって、列車の運行状況が、平常時の運行ダイヤに示される運行状況からずれていることが考えられる。復旧制御部23は、平常時の運行ダイヤに従って列車が運行するように、制御対象30の部分を制御する。
区間A3、A4、A5のそれぞれに割り当てられている復旧制御部23を区別する場合、区間Ai(iは、3≦i≦5の整数)に割り当てられている復旧制御部23を、復旧制御部23-iと表記する。
【0050】
図5は、制御システム1が行う処理の手順の例を示す図である。
図5の処理の開始時では、制御対象30の状態は平常状態となっており、切替部10は、制御対象30の各部分に平常制御部21を割り当てている。これにより、制御部20は、制御対象30の各部分を平常制御にて制御している(ステップS11)。
【0051】
その後、切替部10が、制御対象30の異常発生を検知する(ステップS21)。切替部10は、制御対象30の異常発生個所を特定し、制御対象30の部分のうち異常発生個所の付近の部分を設定する(ステップS22)。
そして、切替部10は、制御部20に対して、異常検知時の制御切替を指示する(ステップS23)。異常検知時の制御切替指示では、切替部10は、制御部20に対して、制御対象30の部分のうち異常発生個所の付近の部分に設定した部分に割り当てる制御部を、平常制御部21から異常時制御部22に切り替えるように指示する。
制御部20は、切替部10の指示に従って、異常発生個所の付近の部分に割り当てる制御部を平常制御部21から異常時制御部22に切り替える。これにより、制御部20は、異常発生個所の付近の部分を異常時制御にて制御する(ステップS24)。
【0052】
その後、切替部10が、制御対象30の異常が解消されたことを検知する(ステップS31)。切替部10は、制御部20に対して、異常解消時の制御切替を指示する(ステップS32)。異常解消時の制御切替指示では、切替部10は、制御部20に対して、制御対象30の部分のうち異常発生個所の付近の部分に設定した部分に割り当てる制御部を、異常時制御部22から復旧制御部23に切り替えるように指示する。
制御部20は、切替部10の指示に従って、異常発生個所の付近の部分に割り当てる制御部を異常時制御部22から復旧制御部23に切り替える。これにより、制御部20は、異常発生個所の付近の部分を復旧制御にて制御する(ステップS33)。
【0053】
その後、切替部10が、制御対象30の状態が平常状態に復旧したことを検知する(ステップS41)。切替部10は、制御部20に対して、復旧検知の制御切替を指示する(ステップS42)。復旧検知時の制御切替指示では、切替部10は、制御部20に対して、制御対象30の部分のうち異常発生個所の付近の部分に設定した部分に割り当てる制御部を、復旧制御部23から平常制御部21に切り替えるように指示する。
制御部20は、切替部10の指示に従って、異常発生個所の付近の部分に割り当てる制御部を復旧制御部23から平常制御部21に切り替える。これにより、制御部20は、制御対象30の各部分を平常制御にて制御する(ステップS43)。
【0054】
以上のように、切替部10は、制御対象30の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、前記制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替える。制御部20は、切替部10による制御の切替に応じて、制御対象30の部分の制御を行う。
このように、制御対象30の異常発生に応じて、制御部20による制御対象30の制御を部分的に切り替えることで、制御対象30の部分のうち制御の切替が行われなかった部分については、平常時の制御にて、その部分の状態が目標平常状態になるように、制御が行われる。
【0055】
これにより、制御システム1では、制御対象30の異常発生に応じた切替後の制御による制御対象30の状態と、平常時における制御対象30の状態との異なりが比較的小さいと期待される。
この異なりが小さいことで、異常が解消された後、制御対象30の状態が比較的速やかに平常状態に復旧すると期待される。また、この異なりが小さいことで、制御対象30を扱う係員の作業が平常時の作業に近い作業となり、この点で、制御対象30を扱う係員の作業負担が小さいことが期待される。
【0056】
ここで、制御対象全体の制御を、強化学習で得られた1つの制御部で行う場合について考える。制御対象に異常が発生した場合、1つの制御部が制御対象全体を制御することで、異常発生個所以外の箇所に平常時の動作とは異なる動作を行わせる可能性がある。
【0057】
これに対して、制御システム1では、切替部10が、異常発生時の制御を部分的に切り替えることで、制御対象30のうち異常発生個所の付近以外の部分では、平常時の動作が維持されるか、または、平常時の動作に近い動作が行われると期待される。このように、制御システム1では、制御対象30に対する制御を比較的予測し易い。
【0058】
また、制御システム1によれば、制御対象30における局所的な異常の影響が制御対象30全体に及ぶことを回避できると期待される。例えば、制御対象30が、航空管制制御システムであり、制御対象30の部分に該当する1機の航空機に異常が生じた場合、制御システム1が、その航空機の異常が、他の航空機の運行になるべく影響を及ぼさないように、各航空機の飛行を制御することが期待される。
【0059】
鉄道など、発生する可能性のある異常として局所的な異常が考えられる制御対象30の場合、制御システム1が、制御対象30の一部の部分のみに対して非平常時の制御を適用し、それ以外の部分に対しては平常時の制御を適用することが想定される。この場合、制御システム1によれば、制御対象30の複数の部分のうち非平常時の制御の適用対象を一部の部分に限定するための仕組みを設ける必要なしに、制御対象30の一部の部分のみに対して非平常時の制御を適用し、それ以外の部分に対して平常時の制御を適用することができる。
【0060】
また、切替部10は、制御対象30の一部に異常が生じている場合に、制御対象30の部分のうち、その異常の影響の波及を軽減する機能を有する部分を含む1つ以上の部分に対する制御を、非平常時の制御に決定する。
これにより、異常時制御部22は、非平常時の制御にて、異常の影響の波及を軽減する機能を実行させるように制御対象30の部分を制御することができ、異常の影響を限定できると期待される。
【0061】
また、切替部10は、非平常時の制御として、制御対象30の一部に生じている異常に対応するように制御を行う異常時制御と、制御対象30の部分の状態を平常時における状態に復旧させるように制御を行う復旧制御とを切り替える。制御部20は、さらに、切替部10による非平常時の制御の切替に応じて、制御対象30の部分の制御を行う。
制御システム1によれば、制御対象30の異常の解消時に、制御対象30の状態が比較的速やかに平常状態に復旧することが期待される。
【0062】
また、制御部20は、非平常時の制御にて、制御対象の状態が、平常時における前記制御対象の目標状態として定められている状態に近いほど評価が高くなる評価関数を用いた学習で得られた制御方法にて、前記制御対象の部分の制御を行う。
制御システム1によれば、制御対象30の部分のうち異常時制御にて制御される部分の状態が、平常状態に比較的近いことが期待される。したがって、制御対象30の各部(平常制御にて制御される部分、および、異常時制御にて制御される部分の何れも)の状態が、平常状態に比較的近いことが期待される。
【0063】
制御対象30の各部の状態が平常状態に比較的近いことで、異常が解消された後、制御対象30の状態が比較的速やかに平常状態に復旧すると期待される。また、制御対象30の各部の状態が平常状態に比較的近いことで、制御対象30を扱う係員の作業が平常時の作業に近い作業となり、この点で、制御対象30を扱う係員の作業負担が小さいことが期待される。
【0064】
また、制御部20は、非平常時の制御にて、制御対象30の状態が、平常時における制御対象30の目標状態として時間毎に定められている状態に近いほど評価が高くなる評価関数を用いた学習で得られた制御方法を用いる。
制御システム1によれば、平常時における制御対象30の目標状態が動的に設定されている場合に対応して、制御対象30の各部の状態が平常状態に比較的近いことが既知される。
【0065】
実施形態では、制御部20またはその各部が行う制御の学習に評価関数を用いる場合を例に説明する。ただし、評価関数に限らず、暫定的な学習結果を評価可能ないろいろなものを、学習に用いることができる。例えば、評価関数に代えて、暫定的な学習結果に対する評価値を表形式で示す情報を用いるようにしてもよい。評価関数、および、表形式の情報など、暫定的な学習結果に対する評価を示す情報を、評価モデルとも称する。
【0066】
また、制御対象30は交通システムであり、制御部20は、非平常時の制御にて、交通システムの移動体の運行状況が、交通システムの平常時の運行ダイヤにて示される運行状況に近いほど評価が高くなる評価関数を用いた学習で得られた制御方法を用いる。
制御システム1によれば、交通システムの運行が、平常時の運行ダイヤに示される運行状況に比較的近い運行になると期待される。
【0067】
交通システムの運行状況が平常時の運行ダイヤに示される運行状況に比較的近いことで、異常が解消された後、交通システム運行状況が、比較的速やかに、平常時の運行ダイヤに示される運行状況になると期待される。また、交通システムの運行状況が平常時の運行ダイヤに示される運行状況に比較的近いことで、交通システムの係員の作業が平常時の作業に近い作業となり、この点で、制御対象30を扱う係員の作業負担が小さいことが期待される。
【0068】
図6は、実施形態に係る制御システムの第2の構成例を示す図である。
図6に示す構成で、制御システム1bは、制御装置100を備える。制御装置100は、通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、記憶部180と、処理部190とを備える。処理部190は、切替部10と、制御部20とを備える。制御部20は、複数の平常制御部21と、1つ以上の異常時制御部22と、1つ以上の復旧制御部23とを備える。また、
図6には、制御対象30が示されている。
【0069】
図6の各部のうち、
図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(10、20、21、22、23、30)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
制御システム1bは、制御システム1の例に該当する。制御システム1bでは、制御対象30に対する制御を1つの制御装置100で行う。
【0070】
制御装置100は、切替部10および制御部20の機能を実行して制御対象30を制御する。制御装置100は、例えばワークステーション(Workstation)などのコンピュータを用いて構成される。あるいは、制御装置100が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されるなど、制御装置100専用のハードウェアを用いて構成されていてもよい。
【0071】
通信部110は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部110が、制御対象30に制御指令を送信するようにしてもよい。また、通信部110が、制御対象30からセンサ測定値などの状態情報を受信するようにしてもよい。
表示部120は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネルなどの表示画面を備え、各種画像を表示する。例えば、表示部120が、制御対象30の状態情報、および、制御対象30が鉄道である場合の運行ダイヤなど、制御対象30に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0072】
操作入力部130は、例えばキーボードおよびマウスなどの入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。例えば、操作入力部130が、制御対象30に関する情報の表示を指示するユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
記憶部180は、各種データを記憶する。記憶部180は、制御装置100が備える記憶デバイスを用いて構成される。
【0073】
処理部190は、制御装置100の各部を制御して各種処理を行う。処理部190の機能は、例えば、制御装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が記憶部180からプログラムを読み出して実行することで実行されてもよい。
制御システム1bのように、制御対象30の制御を1つの装置で実行することで、装置の個数が1つである点で、装置のメンテナンスの負荷が比較的小さいことが期待される。
【0074】
図7は、実施形態に係る制御システムの第3の構成例を示す図である。
図7に示す構成で、制御システム1cは、複数の制御装置200を備える。制御装置200は、切替部10cと、平常制御部21と、異常時制御部22と、復旧制御部23とを備える。また、
図7には、制御対象30が示されている。
図7の各部のうち、
図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(21、22、23、30)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0075】
制御システム1cは、制御システム1の例に該当する。
図6に示される制御システム1bでは、1つの制御装置100が制御対象30の各部分を集中制御するのに対し、制御システム1cでは、制御装置200と制御対象30の部分とが一対一に対応付けられ、1つの制御装置200が制御対象30の1つの部分を制御する。それ以外の点では、制御システム1cは制御システム1bと同様であり、制御装置200は制御装置100と同様である。
【0076】
制御装置200は、切替部10および制御部20の機能を実行して制御対象30を制御する。制御装置100は、例えばワークステーション(Workstation)などのコンピュータを用いて構成される。あるいは、制御装置100が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されるなど、制御装置100専用のハードウェアを用いて構成されていてもよい。
【0077】
個々の切替部10cは、制御対象30の状態に応じて、平常制御部21、異常時制御部22、または、復旧制御部23の何れかを選択する。
制御システム1cが備える全ての制御装置200の切替部10cの組み合わせは、切替部10(
図1)の例、および、切替手段の例に該当する。制御システム1cが備える全ての制御装置200の切替部10cの組み合わせは、制御対象30の異常発生時に、制御対象30の部分のうち、異常発生個所の付近であると決定した部分に割り当てる制御部を、平常制御部21から異常時制御部22へ切り替える。
【0078】
制御システム1cが備える全ての制御装置200の平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23の組み合わせは、制御部20(
図2)の例、および、制御手段の例に該当する。制御システム1cが備える全ての制御装置200の平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23の組み合わせは、切替手段による切替に従って、制御対象30を制御する。
制御システム1cのように、制御対象30の制御を複数の装置による分散制御で実行することで、制御対象30の部分と、その部分を制御する制御装置200との距離が比較的短く、通信遅延等の影響が比較的小さいことが期待される。
【0079】
図8は、実施形態に係る制御システムの第4の構成例を示す図である。
図8に示す構成で、制御システム1dは、複数の切替装置310、平常制御装置321、異常時制御装置322、および、復旧制御装置323を備える。また、
図8には、制御対象30が示されている。
【0080】
図8の制御対象30は、
図1の場合と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
図8の構成では、
図7の制御装置の各部が、それぞれ装置として構成されている。具体的には、
図8の構成では、
図7の制御装置200の切替部10c、平常制御部21、異常時制御部22、復旧制御部23が、それぞれ、切替装置310、平常制御装置321、異常時制御装置322、復旧制御装置323として構成されている。
【0081】
図8では、
図7の制御装置200が、切替装置310、平常制御装置321、異常時制御装置322、および、復旧制御装置323として構成されている点以外は、
図7の場合と同様である。平常制御装置321、異常時制御装置322、および、復旧制御装置323が、切替装置310の選択によって切り替わり、制御対象30を分散制御する。
制御システム1dが備える全ての平常制御装置321、異常時制御装置322、および、復旧制御装置323の組み合わせは、
図1の制御部20の例に該当する。制御システム1dが備える全ての切替装置310の組み合わせは、
図1の切替部10の例に該当する。
【0082】
制御システム1dのように、制御対象30の制御を複数の装置による分散制御で実行することで、制御対象30の部分と、その部分を制御する装置との距離が比較的短く、通信遅延等の影響が比較的小さいことが期待される。
また、平常制御装置321、異常時制御装置322、および、復旧制御装置323が、それぞれ装置として構成されていることで、部分的なメンテナンス、交換、および、バージョンアップを比較的容易に行うことができる。
【0083】
図9は、実施形態に係る制御システムの第5の構成例を示す図である。
図9に示す構成で、制御システム1eは、切替部10と、制御部20eとを備える。制御部20eは、平常制御部21eと、異常時制御部22eと、復旧制御部23eと、詳細制御部24とを備える。また、
図9には、制御対象30が示されている。
図9の各部のうち、
図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(10、30)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
制御部20eは、制御部20(
図1)が行う処理を、詳細制御部24を用いた2段階の処理にて行う。具体的には、制御部20eの平常制御部21eと詳細制御部24との組み合わせは、制御部20の平常制御部21に相当する。制御部20eの異常時制御部22eと詳細制御部24との組み合わせは、制御部20の異常時制御部22に相当する。制御部20eの復旧制御部23eと詳細制御部24との組み合わせは、制御部20の復旧制御部23に相当する。
【0085】
それ以外の点では、制御システム1eは、制御システム1と同様である。平常制御部21e、異常時制御部22e、および、復旧制御部23eは、詳細制御部24を用いた2段階の処理で制御対象30の部分の制御を行う点以外は、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23と同様である。
【0086】
詳細制御部24は、平常制御部21e、異常時制御部22e、または、復旧制御部23eの出力に応じて、制御対象30の部分に対する具体的な制御指令を生成し、制御対象30の部分に出力する。
例えば、制御対象30が鉄道である場合に、平常制御部21eが、制御指令の1つとして列車の折り返し運転の有無を示す指令を出力するようにしてもよい。そして、詳細制御部24が、列車の折り返し運転の有無に応じて、転轍機および信号機に対する指令など、制御対象30の部分に含まれる各設備に対する具体的な指令を出力するようにしてもよい。
【0087】
このように、制御部20eが制御対象30の部分に対する制御指令を2段階で生成することで、平常制御部21e、異常時制御部22e、復旧制御部23eのそれぞれの出力がとり得る値が限定される。これにより、平常制御部21e、異常時制御部22e、復旧制御部23eのそれぞれが行う処理を学習する場合に、比較的簡単に、かつ、比較的高精度に学習を行えると期待される。
詳細制御部24は、例えば制御システム1eの設計者によってルールベースで構築されるなどにより、学習の対象外となっていてもよい。
【0088】
平常制御部21の場合と同様、制御部20が、制御対象30の部分の個数と同数の詳細制御部24を備え、制御対象30の部分と、その部分を制御する詳細制御部24とが一対一に対応付けられていてもよい。個々の詳細制御部24を区別する場合、詳細制御部24-1、詳細制御部24-2、・・・、詳細制御部24-Nnのように表記する。ここでのNnは、詳細制御部24の個数を表す正の整数であり、詳細制御部24の個数は、平常制御部21eの個数と同数である。
【0089】
図10は、実施形態に係る制御システムの第6の構成例を示す図である。
図10は、
図1に示す制御システム1の学習フェーズにおける構成例を示している。
図10に示す構成で、制御システム1fは、切替部10と、制御部20と、学習部40とを備える。制御部20は、平常制御部21と、異常時制御部22と、復旧制御部23とを備える。また、
図10には、シミュレータ50が示されている。
【0090】
シミュレータ50は、制御対象30の動作を模擬する。制御システム1fは、シミュレータ50を用いて学習データ(Training Data)を取得する。あるいは、
図10の構成で、シミュレータ50に加えて、あるいは代えて制御対象30が制御システム1fに接続され、制御システム1fが、制御対象30を用いて学習データを取得するようにしてもよい。
【0091】
学習部40は、切替部10、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23、あるいはこれらのうちの一部の学習を行う。ここでいう学習は、学習モデルのパラメータ値を設定または更新することである。学習部40は、切替部10、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23のそれぞれを構成する学習モデルのパラメータ値、またはこれらの学習モデルのうちの一部のパラメータ値を更新する。学習部40は、学習手段の例に該当する。
学習部40が、切替部10、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23、あるいはこれらのうちの一部の学習を、強化学習にて行うようにしてもよい。
【0092】
制御部20において、平常制御部21と、異常時制御部22とが別々に構成されていることで、学習部40は、平常制御部21による平常時の制御の学習と、異常時制御部22による非平常時の制御の学習とを別々に行う。
これにより、学習部40が、平常制御部21の学習、および、異常時制御部22の学習を強化学習で行う場合に、平常時と非平常時とで制御対象30の状態が大きく変化して学習が進まないことを回避できると期待される。
【0093】
学習部40が、シミュレータ50に、異常の発生時間帯および異常の発生個所がランダムに設定されたシミュレーションの実行結果に基づく学習データを取得して、切替部10、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23、あるいはこれらのうちの一部の学習を行うようにしてもよい。
これにより、学習部40は、異常発生のいろいろな場合について切替部10、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23の学習を行うことができる。これにより、制御システム1の運用時に、制御システム1がいろいろな異常に対応して制御対象30を適切に制御できると期待される。
【0094】
以上のように、学習部40は、平常制御部21による平常時の制御の学習と、異常時制御部22による非平常時の制御の学習とを別々に、それぞれ強化学習で行う。
制御システム1fによれば、この点で、平常時と非平常時とで制御対象30の状態が大きく変化して学習が進まないことを回避できると期待される。
【0095】
また、学習部40は、シミュレータ50に、異常の発生時間帯および異常の発生個所がランダムに設定されたシミュレーションの実行結果を用いて、平常制御部21による平常時の制御の学習、および、異常時制御部22による非平常時の制御の学習を行う。
制御システム1fによれば、学習部40は、異常発生のいろいろな場合について切替部10、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23の学習を行うことができる。これにより、制御システム1の運用時に、制御システム1がいろいろな異常に対応して制御対象30を適切に制御できると期待される。
【0096】
図11は、実施形態に係る制御システムの第7の構成例を示す図である。
図11に示す構成で、制御システム610は、切替部611と、制御部612とを備える。
かかる構成で、切替部611は、制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替える。制御部612は、切替部611による制御の切替に応じて、制御対象の部分の制御を行う。
切替部611は、切替手段の例に該当する。制御部612は、制御手段の例に該当する。
【0097】
このように、制御対象の異常発生に応じて、制御部612による制御対象の制御を部分的に切り替えることで、制御対象の部分のうち制御の切替が行われなかった部分については、平常時の制御にて、その部分の状態が目標平常状態になるように、制御が行われる。
これにより、制御システム610では、制御対象の異常発生に応じた切替後の制御による制御対象の状態と、平常時における制御対象の状態との異なりが比較的小さいと期待される。
この異なりが小さいことで、異常が解消された後、制御対象の状態が比較的速やかに平常状態に復旧すると期待される。また、この異なりが小さいことで、制御対象を扱う係員の作業が平常時の作業に近い作業となり、この点で、制御対象を扱う係員の作業負担が小さいことが期待される。
【0098】
ここで、制御対象全体の制御を、強化学習で得られた1つの制御部で行う場合について考える。制御対象に異常が発生した場合、1つの制御部が制御対象全体を制御することで、異常発生個所以外の箇所に平常時の動作とは異なる動作を行わせる可能性がある。
【0099】
これに対して、制御システム610では、切替部611が、異常発生時の制御を部分的に切り替えることで、制御対象のうち異常発生個所の付近以外の部分では、平常時の動作が維持されるか、または、平常時の動作に近い動作が行われると期待される。このように、制御システム610では、制御対象に対する制御を比較的予測し易い。
また、制御システム610によれば、制御対象における局所的な異常の影響が制御対象全体に及ぶことを回避できると期待される。
【0100】
切替部611は、例えば
図1に示される切替部10等の機能を用いて実現することができる。制御部612は、例えば
図1に示される制御部20等の機能を用いて実現することができる。
【0101】
図12は、実施形態に係る制御方法における処理の手順の例を示す図である。
図12に示す制御方法は、制御を切り替えること(ステップS611)と、制御を行うこと(ステップS612)とを含む。
制御を切り替えること(ステップS611)では、コンピュータが、制御対象の部分について、その部分に対する平常時の制御と非平常時の制御とを、制御対象の部分のうち少なくとも1つの部分の状態に基づいて切り替える。制御を行うこと(ステップS612)では、コンピュータが、制御の切替に応じて、制御対象の部分の制御を行う。
【0102】
このように、制御対象の異常発生に応じて、制御対象の制御を部分的に切り替えることで、制御対象の部分のうち制御の切替が行われなかった部分については、平常時の制御にて、その部分の状態が目標平常状態になるように、制御が行われる。
これにより、
図12に示す制御方法では、制御対象の異常発生に応じた切替後の制御による制御対象の状態と、平常時における制御対象の状態との異なりが比較的小さいと期待される。
この異なりが小さいことで、異常が解消された後、制御対象の状態が比較的速やかに平常状態に復旧すると期待される。また、この異なりが小さいことで、制御対象を扱う係員の作業が平常時の作業に近い作業となり、この点で、制御対象を扱う係員の作業負担が小さいことが期待される。
【0103】
ここで、制御対象全体の制御を、強化学習で得られた1つの制御部で行う場合について考える。制御対象に異常が発生した場合、1つの制御部が制御対象全体を制御することで、異常発生個所以外の箇所に平常時の動作とは異なる動作を行わせる可能性がある。
【0104】
これに対して、
図12に示す制御方法では、異常発生時の制御を部分的に切り替えることで、制御対象のうち異常発生個所の付近以外の部分では、平常時の動作が維持されるか、または、平常時の動作に近い動作が行われると期待される。このように、
図12に示す制御方法では、制御対象に対する制御を比較的予測し易い。
また、
図12に示す制御方法によれば、制御対象における局所的な異常の影響が制御対象全体に及ぶことを回避できると期待される。
【0105】
図13は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図13に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740と、不揮発性記録媒体750とを備える。
【0106】
上記の制御システム1、制御装置100、制御装置200、切替装置310、平常制御装置321、異常時制御装置322、復旧制御装置323、制御システム1e、および、制御システム1fのうち何れか1つ以上またはその一部が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。各装置と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
【0107】
制御システム1がコンピュータ700に実装される場合、切替部10、制御部20およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0108】
また、CPU710は、プログラムに従って、制御システム1の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。制御システム1と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。制御システム1とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0109】
制御装置100がコンピュータ700に実装される場合、処理部190およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0110】
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶部180のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。通信部110による他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。表示部120による画像の表示は、インタフェース740が表示装置を備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示することで実行される。操作入力部130によるユーザ操作の受け付けは、インタフェース740が入力デバイスを備え、CPU710の制御に従ってユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0111】
制御装置200がコンピュータ700に実装される場合、切替部10c、平常制御部21、異常時制御部22、および、復旧制御部23の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0112】
また、CPU710は、プログラムに従って、制御装置200の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。制御装置200と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。制御装置200とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0113】
切替装置310がコンピュータ700に実装される場合、その動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0114】
また、CPU710は、プログラムに従って、切替装置310の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。切替装置310と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。切替装置310とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0115】
平常制御装置321がコンピュータ700に実装される場合、その動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0116】
また、CPU710は、プログラムに従って、平常制御装置321の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。平常制御装置321と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。平常制御装置321とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0117】
異常時制御装置322がコンピュータ700に実装される場合、その動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0118】
また、CPU710は、プログラムに従って、異常時制御装置322の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。異常時制御装置322と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。異常時制御装置322とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0119】
復旧制御装置323がコンピュータ700に実装される場合、その動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0120】
また、CPU710は、プログラムに従って、復旧制御装置323の処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。復旧制御装置323と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。復旧制御装置323とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0121】
制御システム1eがコンピュータ700に実装される場合、切替部10、制御部20eおよびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0122】
また、CPU710は、プログラムに従って、制御システム1eの処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。制御システム1eと他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。制御システム1eとユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0123】
制御システム1fがコンピュータ700に実装される場合、切替部10、制御部20、学習部40およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0124】
また、CPU710は、プログラムに従って、制御システム1fの処理のための記憶領域を主記憶装置720に確保する。制御システム1fと他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。制御システム1fとユーザとのインタラクションは、インタフェース740が表示装置および入力デバイスを備え、CPU710の制御に従って各種画像の表示を行い、ユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0125】
上述したプログラムのうち何れか1つ以上が不揮発性記録媒体750に記録されていてもよい。この場合、インタフェース740が不揮発性記録媒体750からプログラムを読み出すようにしてもよい。そして、CPU710が、インタフェース740が読み出したプログラムを直接実行するか、あるいは、主記憶装置720または補助記憶装置730に一旦保存して実行するようにしてもよい。
【0126】
なお、制御システム1、制御装置100、制御装置200、切替装置310、平常制御装置321、異常時制御装置322、復旧制御装置323、制御システム1e、および、制御システム1fが行う処理の全部または一部を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0127】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1、1b、1c、1d、1e、1f、610 制御システム
10、10c、611 切替部
20、20e、612 制御部
21、21e 平常制御部
22、22e 異常時制御部
23、23e 復旧制御部
24 詳細制御部
30 制御対象
40 学習部
50 シミュレータ
100、200 制御装置
110 通信部
120 表示部
130 操作入力部
180 記憶部
190 処理部
310 切替装置
321 平常制御装置
322 異常時制御装置
323 復旧制御装置