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特開2023-63958極端紫外光生成方法、極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063958
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】極端紫外光生成方法、極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230428BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174093
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】本田 能之
(72)【発明者】
【氏名】細田 裕計
(72)【発明者】
【氏名】神家 幸一郎
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB10
4C092AC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のメインパルスレーザ装置を用いなくてもよいEUV光生成方法。
【解決手段】チャンバ中にドロップレットターゲットDLを吐出するターゲット供給ステップSP1と、ドロップレットターゲットDLにプリパルスレーザ光PPLを照射して拡散ターゲットDTを生成するプリパルスレーザ光照射ステップSP2と、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光MPLを照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップSP3と、を備え、メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、メインパルスレーザ光照射ステップSP3において、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い第1メインパルスレーザ光MPL1と、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い第2メインパルスレーザ光MPL2と、を拡散ターゲットDTに照射してもよい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ中にドロップレットターゲットを吐出するターゲット供給ステップと、
前記ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射ステップと、
前記拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップと、
を備え、
前記メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、
前記メインパルスレーザ光照射ステップにおいて、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い前記第1メインパルスレーザ光と、前記中央部よりも前記外周部のエネルギー密度が高い前記第2メインパルスレーザ光と、を前記拡散ターゲットに照射する
極端紫外光生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第1メインパルスレーザ光と前記第2メインパルスレーザ光とを異なるタイミングで前記拡散ターゲットに照射する。
【請求項3】
請求項2に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第1メインパルスレーザ光、前記第2メインパルスレーザ光の順に前記拡散ターゲットに照射する。
【請求項4】
請求項2に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第1メインパルスレーザ光を前記拡散ターゲットに照射するタイミングと、前記第2メインパルスレーザ光を前記拡散ターゲットに照射するタイミングと、の時間差は1ns以上10ns以下である。
【請求項5】
請求項2に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第1メインパルスレーザ光と前記第2メインパルスレーザ光とは互いに同波長のレーザ光である。
【請求項6】
請求項5に記載の極端紫外光生成方法であって、
単一のレーザ装置から出射するガウシアン型レーザ光を2つのレーザ光に分離して一方のレーザ光を前記第1メインパルスレーザ光とし、分離された他方のレーザ光を前記第2メインパルスレーザ光に変換し、前記一方のレーザ光または前記他方のレーザ光を遅延させる。
【請求項7】
請求項1に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第2メインパルスレーザ光のフルーエンスは、前記第1メインパルスレーザ光のフルーエンスよりも高い。
【請求項8】
請求項1に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第2メインパルスレーザ光は、円環状のレーザ光であり、
前記第1メインパルスレーザ光の外径は、前記第2メインパルスレーザ光の内径以上である。
【請求項9】
請求項1に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第1メインパルスレーザ光の波長と前記第2メインパルスレーザ光の波長とは、互いに異なる。
【請求項10】
請求項9に記載の極端紫外光生成方法であって、
前記第1メインパルスレーザ光はCOレーザ光であり、前記第2メインパルスレーザ光はYAGレーザ光である。
【請求項11】
チャンバ中にドロップレットターゲットを出力するターゲット供給部と、
前記ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射システムと、
前記拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射システムと、
を備え、
前記メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、
前記メインパルスレーザ光照射システムは、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い前記第1メインパルスレーザ光と、前記中央部よりも前記外周部のエネルギー密度が高い前記第2メインパルスレーザ光と、を前記拡散ターゲットに照射する
極端紫外光生成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記メインパルスレーザ光照射システムは、前記第1メインパルスレーザ光と前記第2メインパルスレーザ光とを異なるタイミングで前記拡散ターゲットに照射する。
【請求項13】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記メインパルスレーザ光照射システムは、前記第1メインパルスレーザ光、前記第2メインパルスレーザ光の順に前記拡散ターゲットに照射する。
【請求項14】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1メインパルスレーザ光と前記第2メインパルスレーザ光とを前記拡散ターゲットに照射するタイミングの時間差は1ns以上10ns以下である。
【請求項15】
請求項12に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1メインパルスレーザ光と前記第2メインパルスレーザ光とは互いに同波長のレーザ光である。
【請求項16】
請求項15に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記メインパルスレーザ光照射システムは、レーザ装置と、前記レーザ装置から出射するガウシアン型レーザ光を2つのレーザ光に分離して一方のレーザ光を前記第1メインパルスレーザ光とするビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで分離された他方のレーザ光を前記第2メインパルスレーザ光に変換するビーム調節光学系と、前記一方のレーザ光または前記他方のレーザ光を遅延させる遅延回路と、を含む。
【請求項17】
請求項11に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第2メインパルスレーザ光のフルーエンスは、前記第1メインパルスレーザ光のフルーエンスよりも高い。
【請求項18】
請求項11に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第2メインパルスレーザ光は、円環状のレーザ光であり、
前記第1メインパルスレーザ光の外径は、前記第2メインパルスレーザ光の内径以上である。
【請求項19】
チャンバ中にドロップレットターゲットを出力するターゲット供給ステップと、
前記ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射ステップと、
前記拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップと、
を備え、
前記メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、
前記メインパルスレーザ光照射ステップでは、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い前記第1メインパルスレーザ光と、前記中央部よりも前記外周部のエネルギー密度が高い前記第2メインパルスレーザ光と、を前記拡散ターゲットに照射する
極端紫外光生成方法によって生成される前記極端紫外光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置によって感光基板上に前記極端紫外光を露光すること
を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項20】
チャンバ中にドロップレットターゲットを出力するターゲット供給ステップと、
前記ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射ステップと、
前記拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップと、
を備え、
前記メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、
前記メインパルスレーザ光照射ステップでは、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い前記第1メインパルスレーザ光と、前記中央部よりも前記外周部のエネルギー密度が高い前記第2メインパルスレーザ光と、を前記拡散ターゲットに照射する
極端紫外光生成方法によって生成される前記極端紫外光をマスクに照射して前記マスクの欠陥を検査し、
前記検査の結果を用いてマスクを選定し、
前記選定したマスクに形成されたパターンを感光基板上に露光転写すること
を含む電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成方法、極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、10nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長約13nmの極端紫外(EUV:Extreme UltraViolet)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた半導体露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLaser Produced Plasma(LPP)式の装置の開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-270551号公報
【特許文献2】米国特許第9113540号明細書
【特許文献3】米国特許第10131017号明細書
【概要】
【0005】
本開示の一態様による極端紫外光生成方法は、チャンバ中にドロップレットターゲットを吐出するターゲット供給ステップと、ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射ステップと、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップと、を備え、メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、メインパルスレーザ光照射ステップにおいて、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い第1メインパルスレーザ光と、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い第2メインパルスレーザ光と、を拡散ターゲットに照射してもよい。
【0006】
また、本開示の一態様による極端紫外光生成装置は、チャンバ中にドロップレットターゲットを出力するターゲット供給部と、ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射システムと、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射システムと、を備え、メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、メインパルスレーザ光照射システムは、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い第1メインパルスレーザ光と、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い第2メインパルスレーザ光と、を拡散ターゲットに照射してもよい。
【0007】
また、本開示の一態様による電子デバイスの製造方法は、チャンバ中にドロップレットターゲットを出力するターゲット供給ステップと、ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射ステップと、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップと、を備え、メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、メインパルスレーザ光照射ステップでは、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い第1メインパルスレーザ光と、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い第2メインパルスレーザ光と、を拡散ターゲットに照射する極端紫外光生成方法によって生成される極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置によって感光基板上に極端紫外光を露光することを含んでもよい。
【0008】
また、本開示の他の一態様による電子デバイスの製造方法は、チャンバ中にドロップレットターゲットを出力するターゲット供給ステップと、ドロップレットターゲットにプリパルスレーザ光を照射して拡散ターゲットを生成するプリパルスレーザ光照射ステップと、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射して極端紫外光を生成するメインパルスレーザ光照射ステップと、を備え、メインパルスレーザ光は第1メインパルスレーザ光と第2メインパルスレーザ光とを含み、メインパルスレーザ光照射ステップでは、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い第1メインパルスレーザ光と、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い第2メインパルスレーザ光と、を拡散ターゲットに照射する極端紫外光生成方法によって生成される極端紫外光をマスクに照射してマスクの欠陥を検査し、検査の結果を用いてマスクを選定し、選定したマスクに形成されたパターンを感光基板上に露光転写することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、電子デバイスの製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す電子デバイスの製造装置とは別の電子デバイスの製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図3図3は、比較例の極端紫外光生成装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図4図4は、極端紫外光生成装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、プリパルスレーザ光としてピコ秒パルスレーザ光が照射された拡散ターゲットの様子を示す図である。
図6図6は、プリパルスレーザ光としてナノ秒パルスレーザ光が照射された拡散ターゲットの様子を示す図である。
図7図7は、実施形態1の極端紫外光生成装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図8図8は、ビーム調節光学系の一例を示す模式図である。
図9図9は、拡散ターゲットに照射される第1メインパルスレーザ光のエネルギー密度の分布を示す図である。
図10図10は、拡散ターゲットに照射される第2メインパルスレーザ光のエネルギー密度の分布を示す図である。
図11図11は、各レーザ光がターゲット物質に照射されるタイミングと強度とを示す図である。
図12図12は、実施形態2の極端紫外光生成装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
【実施形態】
【0010】
1.概要
2.電子デバイスの製造装置の説明
3.比較例の極端紫外光生成装置の説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 課題
4.実施形態1の極端紫外光生成装置の説明
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用・効果
5.実施形態2の極端紫外光生成装置の説明
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用・効果
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
1.概要
本開示の実施形態は、極端紫外(EUV)と呼ばれる波長の光を生成する極端紫外光生成装置、及び電子デバイスの製造装置に関するものである。なお、以下では、極端紫外光をEUV光という場合がある。
【0013】
2.電子デバイスの製造装置の説明
図1は、電子デバイス製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。図1に示す電子デバイス製造装置は、EUV光生成装置100、及び露光装置200を含む。露光装置200は、反射光学系である複数のミラー211,212を含むマスク照射部210と、マスク照射部210の反射光学系とは別の反射光学系である複数のミラー221,222を含むワークピース照射部220とを含む。マスク照射部210は、EUV光生成装置100から入射したEUV光101によって、ミラー211,212を介してマスクテーブルMTのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部220は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光101を、ミラー221,222を介してワークピーステーブルWT上に配置された不図示のワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。露光装置200は、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光101をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにデバイスパターンを転写することで半導体デバイスを製造することができる。
【0014】
図2は、図1に示す電子デバイス製造装置とは別の電子デバイス製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。図2に示す電子デバイス製造装置は、EUV光生成装置100、及び検査装置300を含む。検査装置300は、反射光学系である複数のミラー311,313,315を含む照明光学系310と、照明光学系310の反射光学系とは別の反射光学系である複数のミラー321,323、及び検出器325を含む検出光学系320とを含む。照明光学系310は、EUV光生成装置100から入射したEUV光101をミラー311,313,315で反射して、マスクステージ331に配置されているマスク333を照射する。マスク333は、パターンが形成される前のマスクブランクスを含む。検出光学系320は、マスク333からのパターンを反映したEUV光101をミラー321,323で反射して検出器325の受光面に結像させる。EUV光101を受光した検出器325は、マスク333の画像を取得する。検出器325は、例えばTDI(Time Delay Integration)カメラである。以上のような工程によって取得したマスク333の画像により、マスク333の欠陥を検査し、検査の結果を用いて、電子デバイスの製造に適するマスクを選定する。そして、選定したマスクに形成されたパターンを、露光装置200を用いて感光基板上に露光転写することで電子デバイスを製造することができる。
【0015】
3.比較例の極端紫外光生成装置の説明
3.1 構成
比較例のEUV光生成装置100について説明する。なお、本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。また、以下では、図1に示すように外部装置としての露光装置200に向けてEUV光101を出射するEUV光生成装置100を用いて説明する。なお、図2に示すように外部装置としての検査装置300にEUV光101を出射するEUV光生成装置100についても、同様の作用・効果を得ることができる。
【0016】
図3は、本例のEUV光生成装置100の全体の概略構成例を示す模式図である。図3に示すように、EUV光生成装置100は、メインパルスレーザ装置130を含むメインパルスレーザ光照射システムMPS、プリパルスレーザ装置140を含むプリパルスレーザ光照射システムPPS、チャンバ装置10、及びプロセッサ121を含む制御システム120を主な構成として含む。
【0017】
チャンバ装置10は、密閉可能な容器である。チャンバ装置10は、低圧雰囲気の内部空間を囲う内壁10bを含む。また、チャンバ装置10はサブチャンバ15を含む。サブチャンバ15には、サブチャンバ15の壁を貫通するようにターゲット供給装置40が取り付けられている。ターゲット供給装置40は、タンク41、ノズル42、及び圧力調節器43を含み、ドロップレットターゲットDLをチャンバ装置10の内部空間に供給する。ドロップレットターゲットDLは、ドロップレットやターゲットと省略して呼ばれる場合がある。
【0018】
タンク41は、その内部にドロップレットターゲットDLとなるターゲット物質を貯蔵する。ターゲット物質は、スズを含む。タンク41の内部は、タンク41内の圧力を調節する圧力調節器43と連通している。タンク41には、ヒータ44及び温度センサ45が取り付けられている。ヒータ44は、ヒータ電源46から供給される電流により、タンク41を加熱する。この加熱により、タンク41内のターゲット物質は溶融する。温度センサ45は、タンク41を介してタンク41内のターゲット物質の温度を測定する。圧力調節器43、温度センサ45、及びヒータ電源46は、プロセッサ121に電気的に接続されている。
【0019】
ノズル42は、タンク41に取り付けられ、ターゲット物質を吐出する。ノズル42には、ピエゾ素子47が取り付けられている。ピエゾ素子47は、ピエゾ電源48に電気的に接続されており、ピエゾ電源48から印加される電圧で駆動される。ピエゾ電源48は、プロセッサ121に電気的に接続されている。ピエゾ素子47の動作により、ノズル42から吐出するターゲット物質はドロップレットターゲットDLにされる。
【0020】
チャンバ装置10は、ターゲット回収部14を含む。ターゲット回収部14は、チャンバ装置10の内壁10bに取り付けられる箱体であり、チャンバ装置10の内壁10bに設けられる開口10aを介してチャンバ装置10の内部空間に連通している。開口10aはノズル42の直下に設けられ、ターゲット回収部14は、開口10aを通過してターゲット回収部14に到達する不要なドロップレットターゲットDLを回収するドレインタンクである。
【0021】
チャンバ装置10の内壁10bには、少なくとも1つの貫通孔が設けられている。この貫通孔は、ウィンドウ12によって塞がれ、ウィンドウ12をメインパルスレーザ装置130及びプリパルスレーザ装置140から出射されるパルスレーザ光が透過する。
【0022】
また、チャンバ装置10の内部空間には、レーザ集光光学系13が配置されている。レーザ集光光学系13は、レーザ光集光ミラー13A及び高反射ミラー13Bを含む。レーザ光集光ミラー13Aは、ウィンドウ12を透過するレーザ光を反射して集光する。高反射ミラー13Bは、レーザ光集光ミラー13Aが集光する光を反射する。レーザ光集光ミラー13A及び高反射ミラー13Bの位置は、レーザ光マニュピレータ13Cにより、チャンバ装置10の内部空間でのレーザ光の集光位置がプロセッサ121から指定された位置になるように調節される。当該集光位置はノズル42の直下に位置するように調節されており、レーザ光が当該集光位置においてターゲット物質を照射すると、照射によってプラズマが生成されると共に、プラズマからEUV光101が放射される。プラズマが生成される領域をプラズマ生成領域ARと呼ぶことがある。
【0023】
チャンバ装置10の内部空間には、例えば、回転楕円面形状の反射面75aを含むEUV光集光ミラー75が配置される。反射面75aは、プラズマ生成領域ARにおいてプラズマから放射されるEUV光101を反射する。反射面75aは、第1焦点及び第2焦点を有する。反射面75aは、例えば、その第1焦点がプラズマ生成領域ARに位置し、その第2焦点が中間集光点IFに位置するように配置されてもよい。図3では、第1焦点及び第2焦点を通る直線が焦点直線L0として示されている。
【0024】
また、EUV光生成装置100は、チャンバ装置10の内部空間及び露光装置200の内部空間を連通させる接続部19を含む。接続部19の内部には、アパーチャが形成された壁が配置されている。この壁は、アパーチャが第2焦点に位置するように配置されることが好ましい。接続部19はEUV光生成装置100におけるEUV光101の出射口であり、EUV光101は接続部19から出射されて露光装置200に入射する。
【0025】
また、EUV光生成装置100は、圧力センサ26及びターゲットセンサ27を含む。圧力センサ26及びターゲットセンサ27は、チャンバ装置10に取り付けられ、プロセッサ121に電気的に接続されている。圧力センサ26は、チャンバ装置10の内部空間の圧力を計測し、この圧力を示す信号をプロセッサ121に出力する。ターゲットセンサ27は、例えば撮像機能を含み、プロセッサ121からの指示によってノズル42のノズル孔から吐出するドロップレットターゲットDLの存在、軌跡、位置、流速等を検出する。ターゲットセンサ27は、チャンバ装置10の内部に配置されてもよいし、チャンバ装置10の外部に配置されてチャンバ装置10の壁に設けられる不図示のウィンドウを介してドロップレットターゲットDLを検出してもよい。ターゲットセンサ27は、不図示の受光光学系と、例えばCCD(Charge-Coupled Device)またはフォトダイオード等の不図示の撮像部とを含む。受光光学系は、ドロップレットターゲットDLの検出精度を向上させるために、ドロップレットターゲットDLの軌跡及びその周囲における像を撮像部の受光面に結像する。ターゲットセンサ27の視野内のコントラストを向上させるために配置される不図示の光源部による光の集光領域をドロップレットターゲットDLが通過するときに、撮像部はドロップレットターゲットDLの軌跡及びその周囲を通る光の変化を検出する。撮像部は、検出した光の変化を、ドロップレットターゲットDLのイメージデータに関わる信号としての電気信号に変換する。撮像部は、この電気信号をプロセッサ121に出力する。
【0026】
メインパルスレーザ装置130は、例えば、YAGレーザ装置やCOレーザ装置から成り、バースト動作するマスターオシレータを含み、メインパルスレーザ光MPLを出射する。なお、バースト動作とは、バーストオン時に連続したメインパルスレーザ光MPLを所定の繰り返し周波数で出射し、バーストオフ時にメインパルスレーザ光MPLの出射を抑制する動作である。
【0027】
プリパルスレーザ装置140は、プリパルスレーザ光PPLを出射する。図3の例では、プリパルスレーザ光PPLの波長は、メインパルスレーザ光MPLの波長と異なってもよい。従って、例えば、メインパルスレーザ装置130がYAGレーザ装置であれば、プリパルスレーザ装置140は例えばCOレーザ装置である。プリパルスレーザ装置140は、メインパルスレーザ装置130からメインパルスレーザ光MPLが出射するタイミングと異なるタイミングでプリパルスレーザ光PPLを出射できるように構成される。この制御は、後述の制御システム120により制御される。
【0028】
メインパルスレーザ光MPL及びプリパルスレーザ光PPLの進行方向は、複数のミラーを有するレーザ光デリバリ光学系によって調節される。メインパルスレーザ光MPLの進行方向を調節するレーザ光デリバリ光学系は、ミラー31,32を含む。プリパルスレーザ光PPLの進行方向を調節するレーザ光デリバリ光学系は、ミラー33及びダイクロイックミラー34を含む。ダイクロイックミラー34は、プリパルスレーザ光PPLを反射しメインパルスレーザ光MPLを透過させることで、メインパルスレーザ光MPLの光路とプリパルスレーザ光PPLの光路とを概ね重ね合わせる。これらミラー31-34の少なくとも1つの向きは、不図示のアクチュエータで調節され、この調節によりメインパルスレーザ光MPLやプリパルスレーザ光PPLがウィンドウ12から適切にチャンバ装置10の内部空間に伝搬し得る。
【0029】
メインパルスレーザ光照射システムMPSは、メインパルスレーザ光MPLをターゲット物質に照射するシステムである。従って、本例では、メインパルスレーザ光照射システムMPSは、メインパルスレーザ装置130の他に、ミラー31,32、ダイクロイックミラー34、及びレーザ集光光学系13を含む。また、プリパルスレーザ光照射システムPPSは、プリパルスレーザ光PPLをターゲット物質に照射するシステムである。従って、本例では、プリパルスレーザ光照射システムPPSは、プリパルスレーザ装置140の他に、ミラー33、ダイクロイックミラー34、及びレーザ集光光学系13を含む。
【0030】
本開示の制御システム120のプロセッサ121は、制御プログラムが記憶された記憶装置と、当該制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを含む処理装置である。プロセッサ121は、本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされ、EUV光生成装置100全体を制御する。プロセッサ121には、圧力センサ26で計測されたチャンバ装置10の内部空間の圧力に係る信号や、ターゲットセンサ27によって撮像されたドロップレットターゲットDLのイメージデータに係る信号や、露光装置200からバースト動作を指示するバースト信号等が入力される。プロセッサ121は、上記各種信号を処理し、例えば、ドロップレットターゲットDLが出力されるタイミング、ドロップレットターゲットDLの出力方向等を制御してもよい。また、プロセッサ121は、メインパルスレーザ装置130及びプリパルスレーザ装置140の出射タイミング、メインパルスレーザ光MPL及びプリパルスレーザ光PPLの進行方向、メインパルスレーザ光MPL及びプリパルスレーザ光PPLの集光位置等を制御してもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて後述のように他の制御が追加されてもよい。
【0031】
本例のプロセッサ121は、メインパルスレーザ装置130と、プリパルスレーザ装置140とに、遅延回路122を介して電気的に接続されている。遅延回路122は、プロセッサ121から出力されるメインパルスレーザ装置130及びプリパルスレーザ装置140のトリガ信号を僅かに変化させる。具体的には、メインパルスレーザ装置130の照射タイミングがプリパルスレーザ装置140の照射タイミングより遅くなるように、メインパルスレーザ装置130及びプリパルスレーザ装置140に入力されるトリガ信号にずれを生じさせる。
【0032】
チャンバ装置10には、エッチングガスをチャンバ装置10の内部空間に供給する中心側ガス供給部81が配置されている。上記のように、ターゲット物質はスズを含むため、エッチングガスは、例えば水素ガス濃度が100%と見做せる水素含有ガスである。或いは、エッチングガスは、例えば水素ガス濃度が3%程度のバランスガスでもよい。バランスガスには、窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスが含まれている。ところで、ドロップレットターゲットDLを構成するターゲット物質がプラズマ生成領域ARでメインパルスレーザ光MPLを照射されてプラズマ化すると、スズの微粒子及びスズの荷電粒子が生じる。これら微粒子及び荷電粒子を構成するスズは、チャンバ装置10の内部空間に供給されたエッチングガスに含まれる水素と反応する。スズが水素と反応すると、常温で気体のスタンナン(SnH)になる。
【0033】
中心側ガス供給部81は、円錐台の側面状の形状をしており、EUV光集光ミラー75の中央部に形成された貫通孔75cを挿通している。なお、中心側ガス供給部81は、コーンと呼ばれる場合がある。また、中心側ガス供給部81は、ノズルである中心側ガス供給口81aを含む。中心側ガス供給口81aは、反射面75aの第1焦点及び第2焦点を通る焦点直線L0上に設けられる。焦点直線L0は、反射面75aの中心軸方向に沿っている。中心側ガス供給口81aは、反射面75aの中心側からプラズマ生成領域ARに向かってエッチングガスを供給する。なお、エッチングガスは、焦点直線L0に沿って反射面75aの中心側から反射面75aから離れる方向に沿って、中心側ガス供給口81aから供給されることが好ましい。中心側ガス供給口81aは、中心側ガス供給部81の不図示の配管を介してタンクである不図示のガス供給装置に接続されており、ガス供給装置からエッチングガスが供給される。ガス供給装置は、プロセッサ121によって駆動を制御される。不図示の配管には、バルブである不図示の供給ガス流量調節部が配置されてもよい。
【0034】
中心側ガス供給口81aは、エッチングガスをチャンバ装置10の内部空間に供給するガス供給口であると共に、プリパルスレーザ光PPLやメインパルスレーザ光MPLがチャンバ装置10の内部空間に出射する出射口でもある。プリパルスレーザ光PPL及びメインパルスレーザ光MPLは、ウィンドウ12と中心側ガス供給口81aとを通過してチャンバ装置10の内部空間に向かって進行する。
【0035】
チャンバ装置10の内壁10bには、排気口10Eが設けられている。焦点直線L0上には露光装置200が配置されるため、排気口10Eは、焦点直線L0の側方における内壁10bに設けられている。排気口10Eの中心軸に沿う方向は、例えば、焦点直線L0に直交している。また、排気口10Eは、焦点直線L0に垂直な方向から見る場合において、プラズマ生成領域ARを基準として反射面75aとは反対側に設けられている。排気口10Eは、チャンバ装置10の内部空間のガスを排気する。排気口10Eは排気管10Pに接続されており、排気管10Pは排気ポンプ60に接続されている。
【0036】
上記のようにターゲット物質がプラズマ生成領域ARにおいてプラズマ化する際、排ガスとしての残留ガスがチャンバ装置10の内部空間に生成される。残留ガスは、ターゲット物質のプラズマ化により生じたスズの微粒子及び荷電粒子と、それらがエッチングガスと反応したスタンナンと、未反応のエッチングガスとを含む。なお、荷電粒子の一部はチャンバ装置10の内部空間で中性化するが、この中性化した荷電粒子も残留ガスに含まれる。残留ガスは、排気口10Eと排気管10Pとを介して排気ポンプ60に吸引される。
【0037】
3.2 動作
次に、比較例のEUV光生成装置100の動作について説明する。図4は、EUV光生成装置100の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、本例のEUV光生成方法は、ターゲット供給ステップSP1と、プリパルスレーザ光照射ステップSP2と、メインパルスレーザ光照射ステップSP3と、を含む。
【0038】
ターゲット供給ステップSP1の前にEUV光生成装置100を動作させる準備を行う。EUV光生成装置100では、例えば、新規導入時やメンテナンス時等において、チャンバ装置10の内部空間の大気が排気される。その際、大気成分の排気のために、チャンバ装置10の内部空間のパージと排気とを繰り返してもよい。パージガスには、例えば、窒素やアルゴンなどの不活性ガスが用いられることが好ましい。その後、チャンバ装置10の内部空間の圧力が所定の圧力以下になると、プロセッサ121は、ガス供給装置から中心側ガス供給部81を介してチャンバ装置10の内部空間へのエッチングガスの導入を開始させる。このときプロセッサ121は、チャンバ装置10の内部空間の圧力が所定の圧力に維持されるように、不図示の供給ガス流量調節部や排気ポンプ60を制御してもよい。その後、プロセッサ121は、エッチングガスの導入開始から所定時間が経過するまで待機する。
【0039】
また、プロセッサ121は、排気ポンプ60により、チャンバ装置10の内部空間の気体を排気口10Eから排気させ、圧力センサ26で計測されたチャンバ装置10の内部空間の圧力を示す信号に基づいて、チャンバ装置10の内部空間の圧力を略一定に保つ。
【0040】
また、プロセッサ121は、タンク41内のターゲット物質を融点以上の所定温度に加熱及び維持するために、ヒータ電源46からヒータ44に電流を供給させ、ヒータ44を昇温させる。このとき、プロセッサ121は、温度センサ45からの出力に基づいて、ヒータ電源46からヒータ44へ供給される電流の値を調節し、ターゲット物質の温度を所定温度に制御する。なお、所定温度は、ターゲット物質がスズである場合、スズの融点231.93℃以上の温度であり、例えば240℃以上290℃以下である。こうしてドロップレットターゲットDLを吐出する準備が完了する。
【0041】
(ターゲット供給ステップSP1)
本ステップは、チャンバ装置10中にドロップレットターゲットDLを吐出するステップである。本ステップでは、プロセッサ121は、ノズル42のノズル孔から溶融したターゲット物質が所定の流速で吐出するように、圧力調節器43によって、不図示のガス供給源から不活性ガスをタンク41内に供給し、タンク41内の圧力を調節する。この圧力下で、ターゲット物質は、ノズル42のノズル孔から吐出する。ノズル孔から吐出するターゲット物質は、ジェットの形態をとってもよい。このとき、プロセッサ121は、ドロップレットターゲットDLを生成するために、ピエゾ電源48からピエゾ素子47に所定波形の電圧を印加する。ピエゾ電源48は、電圧値の波形が例えば正弦波状、矩形波状、或いはのこぎり波状となるように、電圧を印加する。ピエゾ素子47の振動は、ノズル42を経由してノズル42のノズル孔から吐出するターゲット物質へと伝搬し得る。ターゲット物質は、この振動により所定周期で分断され、液滴のドロップレットターゲットDLとなる。ドロップレットターゲットDLの直径は、概ね20μm以下である。
【0042】
(プリパルスレーザ光照射ステップSP2)
本ステップは、ドロップレットターゲットDLにプリパルスレーザ光PPLを照射して拡散ターゲットを生成するステップである。ドロップレットターゲットDLが吐出されると、ターゲットセンサ27は、チャンバ装置10の内部空間の所定位置を通過するドロップレットターゲットDLの通過タイミングを検出する。プロセッサ121は、ドロップレットターゲットDLにプリパルスレーザ光PPLが照射されるように、ターゲットセンサ27からの信号に基づいて、プリパルスレーザ装置140からプリパルスレーザ光PPLが出射するタイミングを制御して、トリガ信号を出力する。プロセッサ121から出力されたトリガ信号は、遅延回路122を介してプリパルスレーザ装置140及びメインパルスレーザ装置130に入力する。ただし、遅延回路122は、トリガ信号をメインパルスレーザ装置130よりも先にプリパルスレーザ装置140に入力する。プリパルスレーザ装置140は、トリガ信号が入力されると、プリパルスレーザ光PPLを出射する。プリパルスレーザ光PPLが出射するタイミングにおいて、メインパルスレーザ光MPLは出射しない。
【0043】
プリパルスレーザ光PPLは、ガウシアン型のエネルギー密度のプロファイルを有し、時間的なパルス幅τPPLが例えば10ps以上100ps以下のピコ秒パルスレーザ光、または、パルス幅が例えば10ns以上300ns以下のナノ秒パルスレーザ光である。なお、パルス幅は、レーザ光の強度が最大値となる前後において、当該強度が当該最大値の半値となる時間同士の間隔である。ピコ秒パルスレーザ光とナノ秒パルスレーザ光とで、1パルス当たりのエネルギーは概ね等しい。従って、ピコ秒パルスレーザ光の方がナノ秒パルスレーザ光よりも高いエネルギー密度を有する。なお、プリパルスレーザ光PPLのフルーエンスは、例えば0.1J/cm以上100J/cm以下である。好ましくは、当該フルーエンスは、ピコ秒パルスレーザ光の場合1J/cm以上20J/cm以下であり、ナノ秒パルスレーザ光の場合1J/cm以上3J/cm以下である。プリパルスレーザ装置140から出射するプリパルスレーザ光PPLは、ミラー33、ダイクロイックミラー34で反射され、レーザ集光光学系13を介して、ドロップレットターゲットDLに照射される。このとき、プロセッサ121は、プリパルスレーザ光PPLがプラズマ生成領域ARの近傍に集光するように、レーザ集光光学系13のレーザ光マニュピレータ13Cを制御する。プリパルスレーザ光PPLが照射されたドロップレットターゲットDLは、レーザ光のエネルギーによりレーザアブレーションされることで拡散し、拡散ターゲットとなる。従って、プリパルスレーザ光照射システムPPSは、ドロップレットターゲットDLにプリパルスレーザ光PPLを照射して拡散ターゲットを生成するシステムである。
【0044】
拡散ターゲットは、ドロップレットターゲットDLが拡散したターゲットであるため、ドロップレットターゲットDLよりも、径が大きく、ターゲット物質の密度が低い。上記のようにドロップレットターゲットDLの直径が概ね20μm以下であるのに対して、拡散ターゲットの直径は、概ね70μm程度である。図5は、プリパルスレーザ光PPLとしてピコ秒パルスレーザ光が照射された拡散ターゲットの様子を示す図であり、図6は、プリパルスレーザ光PPLとしてナノ秒パルスレーザ光が照射された拡散ターゲットの様子を示す図である。図5及び図6に示すように、それぞれの拡散ターゲットDTにおいて、中央部DTcよりも外周部DToにおいてターゲット物質の密度が高い。ただし、ピコ秒パルスレーザ光の照射により生成された拡散ターゲットDTの方が、短時間に高いエネルギーのレーザ光が照射されて生成されるため、中央部DTcと外周部DToとでターゲット物質の密度の差が大きい。
【0045】
(メインパルスレーザ光照射ステップSP3)
本ステップは、拡散ターゲットDTにメインパルスレーザ光MPLを照射してEUV光を生成するステップである。プリパルスレーザ装置140にトリガ信号が入力するタイミングから遅れて、メインパルスレーザ装置130にトリガ信号が入力すると、メインパルスレーザ装置130はメインパルスレーザ光MPLを出射する。プリパルスレーザ光PPLが出射するタイミングとメインパルスレーザ光MPLが出射するタイミングとの時間差は、例えば、ピコ秒パルスレーザ光の場合50ns以上500ns以下、ナノ秒パルスレーザ光の場合50ns以上150ns以下である。プロセッサ121及び遅延回路122は、拡散ターゲットDTにメインパルスレーザ光MPLが照射されるように、メインパルスレーザ装置130からメインパルスレーザ光MPLが出射するタイミングを制御して、発光トリガ信号を出力する。
【0046】
メインパルスレーザ光MPLは、ガウシアン型のエネルギー密度のプロファイルを有し、パルス幅が、例えば1ns以上50ns以下のレーザ光であり、より好ましくは、15ns以上20ns以下のレーザ光である。メインパルスレーザ装置130から出射するメインパルスレーザ光MPLは、ミラー31,32で反射され、ダイクロイックミラー34を透過し、レーザ集光光学系13を介して、プラズマ生成領域ARにおいて拡散ターゲットDTに照射される。このとき、プロセッサ121は、メインパルスレーザ光MPLがプラズマ生成領域ARに集光するように、レーザ集光光学系13のレーザ光マニュピレータ13Cを制御する。メインパルスレーザ光MPLが照射された拡散ターゲットDTは、レーザ光のエネルギーによりプラズマとなり、このプラズマからEUV光を含む光が放射される。従って、メインパルスレーザ光照射システムMPSは、拡散ターゲットDTにメインパルスレーザ光MPLを照射してEUV光を生成するシステムである。
【0047】
このようにターゲット物質の密度が下げられた拡散ターゲットDTにメインパルスレーザ光MPLが照射されることで、ドロップレットターゲットDLに直接メインパルスレーザ光MPLが照射される場合と比べて、多くのターゲット物質がプラズマ化し、効率よくEUV光を放射させ得る。
【0048】
プラズマ生成領域ARで発生したEUV光を含む光のうち、EUV光101は、EUV光集光ミラー75によって中間集光点IFで集光された後、接続部19から露光装置200に入射する。
【0049】
なお、ターゲット物質がプラズマ化する際、上記のようにスズの微粒子が生じる。この微粒子は、チャンバ装置10の内部空間に拡散する。チャンバ装置10の内部空間に拡散する微粒子は、中心側ガス供給部81から供給される水素を含むエッチングガスと反応してスタンナンになる。エッチングガスとの反応により得られたスタンナンの多くは、未反応のエッチングガスの流れに乗って、排気口10Eに流入する。また、未反応の荷電粒子、微粒子、及びエッチングガスの少なくとも一部は、排気口10Eに流入する。
【0050】
排気口10Eに流入した未反応のエッチングガス、微粒子、荷電粒子、及びスタンナン等は、残留ガスとして排気管10Pから排気ポンプ60内に流入し無害化等の所定の排気処理が施される。
【0051】
3.3 課題
比較例のEUV光生成装置100のように、拡散ターゲットDTにガウシアン型のエネルギー密度プロファイルを有するメインパルスレーザ光MPLが照射されると、拡散ターゲットDTの中央部DTcでは、ターゲット物質は高い確率でプラズマ化される。しかし、比較例のEUV光生成装置100では、拡散ターゲットDTに照射されるメインパルスレーザ光MPLのうち、外周部DToに照射されるレーザ光は中央部DTcに照射されるレーザ光よりも低いエネルギー密度である。このため、ターゲット物質の密度が高い外周部DToでは、ターゲット物質がプラズマ化されにくい。プラズマ化されない未反応のターゲット物質は、排気管10Pから排出されたり、デブリとなってチャンバ装置10の内壁10bやEUV光集光ミラー75の反射面75aに付着したりする。このように未反応のターゲット物質はEUV光の生成に寄与しない。このため、より効率よくEUV光を生成させたいとの要請がある。
【0052】
そこで、以下の実施形態では、効率よくEUV光を生成し得るEUV光生成方法およびEUV光生成装置が例示される。
【0053】
4.実施形態1の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態1のEUV光生成装置100の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0054】
4.1 構成
図7は、本実施形態のEUV光生成装置100の全体の概略構成例を示す模式図である。図7に示すように、本実施形態のEUV光生成装置100では、メインパルスレーザ光照射システムMPSの構成が比較例のメインパルスレーザ光照射システムMPSの構成と異なる。本実施形態のメインパルスレーザ光照射システムMPSは、第1メインパルスレーザ装置131、第2メインパルスレーザ装置132、ビーム調節光学系50、ミラー35、及びポラライザー36を含む点において、比較例のメインパルスレーザ光照射システムMPSと異なる。
【0055】
第1、第2メインパルスレーザ装置131,132は、プロセッサ121と遅延回路122を介して電気的に接続されている。第1メインパルスレーザ装置131は、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高いガウシアン型の第1メインパルスレーザ光MPL1を出射し、第2メインパルスレーザ装置132は、同様のエネルギー密度の分布を有する第2メインパルスレーザ光MPL2を出射する。つまり本実施形態のメインパルスレーザ光は、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とを含む。なお、本実施形態では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とは、同じ波長で互いに偏光方向が90度異なるレーザ光である。第1メインパルスレーザ装置131及び第2メインパルスレーザ装置132は、例えば、共にYAGレーザ装置であるか、共にCOレーザ装置である。
【0056】
ポラライザー36は、第1メインパルスレーザ光MPL1が入射する位置に設けられている。ポラライザー36を高透過する偏光方向は第1メインパルスレーザ光MPL1の偏光方向と一致している。従って、第1メインパルスレーザ光MPL1は、ポラライザー36を透過する。
【0057】
ビーム調節光学系50は、第2メインパルスレーザ光MPL2が入射する位置に設けられている。ビーム調節光学系50は、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高いレーザ光を中央部よりも外周部のエネルギー密度が高いレーザ光に変換する光学系であり、例えば、縦断面のエネルギー密度がガウシアン型のレーザ光を縦断面のエネルギー密度が円環型のレーザ光に変換する。従って、ビーム調節光学系50に入射する第2メインパルスレーザ光MPL2は、円環型のエネルギー密度を有するレーザ光に変換される。
【0058】
図8は、ビーム調節光学系50の一例を示す模式図である。本例のビーム調節光学系50は、一対のアキシコンレンズ51,52と集光レンズ53とを含む。それぞれのアキシコンレンズ51,52は、円錐形のレンズである。アキシコンレンズ51とアキシコンレンズ52とは、互いの頂点が所定の間隔を空けて向き合い、それぞれの回転対称軸が第2メインパルスレーザ光MPL2の光軸と一致するように、配置される。また、アキシコンレンズ51は、一方のアキシコンレンズ51の底面の中心から第2メインパルスレーザ光MPL2が回転対称軸に沿って入射するように配置される。従って、第2メインパルスレーザ光MPL2は、他方のアキシコンレンズ52の回転対称軸にも沿って伝搬する。他方のアキシコンレンズ52の底面に対して、第2メインパルスレーザ光MPL2が入射する面が対向するように集光レンズ53が配置される。
【0059】
アキシコンレンズ51の底面からガウシアン型のエネルギー密度の分布を有する第2メインパルスレーザ光MPL2が入射すると、当該レーザ光は中央部よりも外周部のエネルギー密度が高いレーザに変換されて、アキシコンレンズ52の底面から出射する。本例では、アキシコンレンズ52から円環状の第2メインパルスレーザ光MPL2が出射する。
【0060】
集光レンズ53は、アキシコンレンズ52の底面から出射する第2メインパルスレーザ光MPL2を集光する。円環状の第2メインパルスレーザ光MPL2は、集光点においては、円環が凝縮されてガウシアン型のエネルギー密度の分布となるが、集光点の近傍では、円環状のエネルギー密度の分布を有する。本例では、プラズマ生成領域ARにおいて、第2メインパルスレーザ光MPL2が円環状のエネルギー密度の分布で集光するように、集光レンズ53の曲率等が定められている。なお、集光レンズ53の代わりに集光ミラーが用いられてもよい。また、本例では、ビーム調節光学系50として、図8の例で説明をしたが、本実施形態のビーム調節光学系50は、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高いレーザ光を中央部よりも外周部のエネルギー密度が高いレーザ光に変換する光学系であれば、図8の例に限定されない。
【0061】
ミラー35は、ビーム調節光学系50から出射する第2メインパルスレーザ光MPL2をポラライザー36に向けて反射する。上記のように第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とは互いに偏光方向が90度異なるため、ポラライザー36を透過する偏光方向は、第2メインパルスレーザ光MPL2と異なる。このため、ポラライザー36は、第2メインパルスレーザ光MPL2を反射する。ポラライザー36は、ポラライザー36を透過する第1メインパルスレーザ光MPL1の光路と、ポラライザー36で反射する第2メインパルスレーザ光MPL2の光路とが概ね一致する角度で、配置されている。ポラライザー36から出射する第1メインパルスレーザ光MPL1及び第2メインパルスレーザ光MPL2は、ミラー31で反射して、比較例1のメインパルスレーザ光MPLと同様の光路を伝搬して、プラズマ生成領域ARに集光されて、拡散ターゲットDTに照射される。ただし、本実施形態では、後述のように第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とは、異なるタイミングで拡散ターゲットDTに照射される。
【0062】
図9は、拡散ターゲットDTに照射される第1メインパルスレーザ光MPL1のエネルギー密度の分布を示す図である。上記のように第1メインパルスレーザ光MPL1は、ビーム調節光学系50を通過しないため、拡散ターゲットDTに照射される第1メインパルスレーザ光MPL1は、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高いガウシアン型のレーザ光である。図9では、第1メインパルスレーザ光MPL1の直径がD1で示されている。直径は、レーザ光の断面において、レーザ光の強度がピーク強度の1/eとなる径である。直径D1は、第1メインパルスレーザ光MPL1の光軸に垂直な方向における拡散ターゲットDTの直径以上であることが好ましく、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0063】
図10は、拡散ターゲットDTに照射される第2メインパルスレーザ光MPL2のエネルギー密度の分布を示す図である。上記のように第2メインパルスレーザ光MPL2は、ビーム調節光学系50を通過するため、拡散ターゲットDTに照射される第2メインパルスレーザ光MPL2は、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い円環状のレーザ光である。図10では、第2メインパルスレーザ光MPL2の内径がD2で示され、外径がD3で示されている。内径D2及び外径D3は、それぞれレーザ光の断面において、レーザ光の強度がピーク強度の1/eとなる径である。外径D3は、第2メインパルスレーザ光MPL2の光軸に垂直な方向における拡散ターゲットDTの直径以上であることが好ましく、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0064】
また、D2≦D1であることが好ましい。第1メインパルスレーザ光MPL1の直径D1が第2メインパルスレーザ光MPL2の内径D2以上であることで、拡散ターゲットDTに照射される第1メインパルスレーザ光MPL1の外周と第2メインパルスレーザ光MPL2の内周との間に隙間が生じることを抑制でき、プラズマ化しない拡散ターゲットDTを抑制し得る。特にD1=D2であることが好ましい。この場合、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とが、拡散ターゲットDTの同じ位置に照射されることを抑制でき、効率よくレーザ光を拡散ターゲットDTに吸収させ得る。また、D1≦D3であることが好ましい。ただし、D2<D3であり、第2メインパルスレーザ光MPL2の外径D3が第1メインパルスレーザ光MPL1の直径D1以上である。なお、上記に比べればプラズマ化しない拡散ターゲットDTは増える可能性があるが、D1<D2であってもよいし、D3<D1であってもよい。
【0065】
また、第2メインパルスレーザ光MPL2のフルーエンスは、第1メインパルスレーザ光MPL1のフルーエンスよりも高いことが好ましい。上記のようにプリパルスレーザ光PPLとしてピコ秒パルスレーザ光がドロップレットターゲットDLに照射されても、ナノ秒パルスレーザ光がドロップレットターゲットDLに照射されても、拡散ターゲットDTでは中央部DTcよりも外周部DToにおいてターゲット物質の密度が高い。従って、フルーエンスが上記の関係であることで、拡散ターゲットDTにおけるターゲット物質の密度が高い部分により高いエネルギーのレーザ光を照射することができ、効率よくレーザ光を拡散ターゲットDTに吸収させ得、拡散ターゲットDTをよりプラズマ化させ得る。第1メインパルスレーザ光MPL1のフルーエンスは、第1メインパルスレーザ光MPL1のエネルギーを直径D1の円の面積で除した値であり、第2メインパルスレーザ光MPL2のフルーエンスは、第2メインパルスレーザ光MPL2のエネルギーを、径D3の面積と径D2の面積との差分で除した値である。なお、第1メインパルスレーザ光MPL1のフルーエンスが、第2メインパルスレーザ光MPL2のフルーエンス以上であってもよい。
【0066】
4.2 動作
次に、本実施形態におけるEUV光生成装置100の動作について説明する。本実施形態のEUV光生成装置100の動作を示すフローチャートは、図4に示す比較例のEUV光生成装置100の動作を示すフローチャートと同様である。しかし、本実施形態では、メインパルスレーザ光照射ステップSP3が、それと異なる。本実施形態のターゲット供給ステップSP1及びプリパルスレーザ光照射ステップSP2は、比較例のそれらと同様であるため、メインパルスレーザ光照射ステップSP3について説明をする。
【0067】
(メインパルスレーザ光照射ステップSP3)
本実施形態における本ステップは、第1メインパルスレーザ光MPL1及び第2メインパルスレーザ光MPL2を拡散ターゲットDTに照射するステップである。本実施形態では、プリパルスレーザ装置140からプリパルスレーザ光PPLが出射した後において、まず第1メインパルスレーザ装置131が第1メインパルスレーザ光MPL1を出射する。第1メインパルスレーザ光MPL1は、ポラライザー36を透過し、ミラー31,32で反射されて、ダイクロイックミラー34を透過し、レーザ集光光学系13を介して、プラズマ生成領域ARに到達して拡散ターゲットDTに照射される。
【0068】
図11は、各レーザ光がターゲット物質に照射されるタイミングと強度とを示す図である。図11に示すように、プリパルスレーザ装置140からプリパルスレーザ光PPLが出射した後において、第1メインパルスレーザ光MPL1がターゲット物質に照射される。プリパルスレーザ光PPLがドロップレットターゲットDLに照射されるタイミングから第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングまでの間隔は、例えば、上述のようにピコ秒パルスレーザ光の場合50ns以上500ns以下、ナノ秒パルスレーザ光の場合50ns以上150ns以下である。従って、プロセッサ121及び遅延回路122は、このような時間間隔で第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるように、第1メインパルスレーザ装置131に発光トリガ信号を入力する。
【0069】
第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されることで、拡散ターゲットDTの中央部DTcが主にプラズマ化され、拡散ターゲットDTからEUV光が放射される。このため、第1メインパルスレーザ光MPL1が照射された拡散ターゲットDTの中央部DTcでは、ターゲット物質の密度がさらに低くなる。また、第1メインパルスレーザ光MPL1は、拡散ターゲットDTの外周部DToの周辺にも照射されるため、拡散ターゲットDTにおける外周部DToの内周付近でもターゲット物質の密度が低くなる。ただし、第1メインパルスレーザ光MPL1は中央部のエネルギー密度が外周部のエネルギー密度よりも高いため、拡散ターゲットDTの中央部DTcの方が外周部DToの周囲よりもプラズマ化される。
【0070】
第1メインパルスレーザ装置131から第1メインパルスレーザ光MPL1が出射に続いて、第2メインパルスレーザ装置132は第2メインパルスレーザ光MPL2を出射する。第2メインパルスレーザ光MPL2は、ビーム調節光学系50において、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い状態から中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い状態に変換される。ビーム調節光学系50から出射する第2メインパルスレーザ光MPL2は、ミラー35及びポラライザー36で反射された後、第1メインパルスレーザ光MPL1と同様の光路を伝搬する。そして、第2メインパルスレーザ光MPL2は、プラズマ生成領域ARに到達し、第1メインパルスレーザ光MPL1が照射された拡散ターゲットDTに照射される。
【0071】
第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングから第2メインパルスレーザ光MPL2が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングまでの間隔は、1ns以上10ns以下であることが好ましい。従って、第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングから第2メインパルスレーザ光MPL2が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングまでの間隔は、プリパルスレーザ光PPLがドロップレットターゲットDLに照射されるタイミングから第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングまでの間隔よりも短い。このように第2メインパルスレーザ光MPL2が拡散ターゲットDTに照射されるように、プロセッサ121及び遅延回路122は、第1メインパルスレーザ装置131にトリガ信号が入力するタイミングから遅れて、第2メインパルスレーザ装置132にトリガ信号を入力する。
【0072】
第2メインパルスレーザ光MPL2が拡散ターゲットDTに照射されることで、拡散ターゲットDTの外周部DToが主にプラズマ化され、拡散ターゲットDTからEUV光が放射される。このように、第1メインパルスレーザ光MPL1及び第2メインパルスレーザ光MPL2の拡散ターゲットDTへの照射により、拡散ターゲットDTが全体的にプラズマ化され得る。
【0073】
4.3 作用・効果
本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、外周部よりも中央部のエネルギー密度が高い第1メインパルスレーザ光MPL1と、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高い第2メインパルスレーザ光MPL2と、を拡散ターゲットDTに照射する。上記のように拡散ターゲットDTは、中央部DTcよりも外周部DToにおいてターゲット物質の密度が高い。従って、第1メインパルスレーザ光MPL1により、密度の低い中央部DTcのターゲット物質を主にプラズマ化し、第2メインパルスレーザ光MPL2により、密度の高い外周部DToのターゲット物質を主にプラズマ化し得る。このため、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法によれば、プラズマ化されない未反応のターゲット物質を減らし得、より効率よくEUV光を生成させ得る。
【0074】
なお、第2メインパルスレーザ光MPL2は、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高いレーザ光であればよく、円環状のレーザ光に限らない。例えば、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高く、中央部におけるレーザ光の強度がピーク強度の1/e以上であってもよい。
【0075】
また、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とを異なるタイミングで拡散ターゲットDTに照射する。したがって、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とが重なる領域がある場合に、当該領域において不要にエネルギー密度が高くなることを抑制し得る。ただし、本発明では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とを同時に拡散ターゲットDTに照射してもよい。
【0076】
また、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、第1メインパルスレーザ光MPL1、第2メインパルスレーザ光MPL2の順に拡散ターゲットDTに照射する。このようにすることで、第1メインパルスレーザ光MPL1により、密度の低い中央部DTcのターゲット物質を主にプラズマ化し得ると共に、拡散ターゲットDTの外周部DToにおける密度の高い領域の周囲のターゲット物質をプラズマ化し得る。従って、第2メインパルスレーザ光MPL2が密度の高い外周部DToのターゲット物質に効率よく照射され得、拡散ターゲットDTの外周部DToをより効率よくプラズマ化し得る。ただし、本発明では、第2メインパルスレーザ光MPL2、第1メインパルスレーザ光MPL1の順にそれぞれのレーザ光が拡散ターゲットDTに照射されてもよい。
【0077】
また、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とは互いに同波長のレーザ光である。このため、第1メインパルスレーザ光MPL1及び第2メインパルスレーザ光MPL2を拡散ターゲットDTが吸収し易い波長に設定し得る。ただし、本発明では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とが互いに異なる波長のレーザ光であってもよい。この場合、拡散ターゲットDTにおけるターゲット物質の密度が低い部分に主に照射される第1メインパルスレーザ光MPL1がCO2レーザ光であり、ターゲット物質の密度が高い部分に主に照射される第2メインパルスレーザ光MPL2がYAGレーザ光であることが好ましい。また、この場合、ポラライザー36の代わりに、第1メインパルスレーザ光MPL1を透過し第2メインパルスレーザ光MPL2を反射するダイクロイックミラーが用いられてもよい。ダイクロイックミラーが用いられるのであれば、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とで偏光方向が一致していても異なっていてもよい。
【0078】
5.実施形態2の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態2のEUV光生成装置100の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0079】
5.1 構成
図12は、本実施形態のEUV光生成装置100の全体の概略構成例を示す模式図である。図12に示すように、本実施形態のEUV光生成装置100では、メインパルスレーザ光照射システムMPSの構成が比較例のメインパルスレーザ光照射システムMPSの構成と異なる。実施形態1では、メインパルスレーザ光照射システムMPSは第1、第2メインパルスレーザ装置131,132を備えたが、本実施形態では、メインパルスレーザ光照射システムMPSは比較例と同様にメインパルスレーザ装置130を備える。また、本実施形態のメインパルスレーザ光照射システムMPSは、ビームスプリッタ37、λ/2波長板38、ミラー39を更に含む点において、実施形態1のメインパルスレーザ光照射システムMPSと異なる。
【0080】
メインパルスレーザ装置130からはメインパルスレーザ光MPLが出射する。このメインパルスレーザ光MPLは、ガウシアン型のエネルギー密度の分布を有する。本実施形態では、メインパルスレーザ装置130が出射するメインパルスレーザ光MPLの偏光方向と、ポラライザー36が高透過する偏光方向とは、互いに90°異なる。
【0081】
ビームスプリッタ37は、メインパルスレーザ装置130から出射するメインパルスレーザ光MPLが入射する位置に設けられている。ビームスプリッタ37は、メインパルスレーザ光MPLの一部を透過させて第1メインパルスレーザ光MPL1とし、メインパルスレーザ光MPLの他の一部を反射して第2メインパルスレーザ光MPL2とする。
【0082】
λ/2波長板38は、ビームスプリッタ37を透した第1メインパルスレーザ光MPL1が入射する位置に設けられている。従って、第1メインパルスレーザ光MPL1は、λ/2波長板38を透過して、偏光方向が90°変化される。このため、λ/2波長板38を透過した第1メインパルスレーザ光MPL1の偏光方向は、ポラライザー36が透過する偏光方向と一致する。
【0083】
ミラー39は、ビームスプリッタ37で反射された第2メインパルスレーザ光MPL2が入射する位置に設けられている。ミラー39は、第2メインパルスレーザ光MPL2をビーム調節光学系50に向けて反射する。従って、実施形態1と同様に第2メインパルスレーザ光MPL2は、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高いレーザ光に変換されて、ミラー35及びポラライザー36で反射される。
【0084】
本実施形態のメインパルスレーザ光照射システムMPSでは、第2メインパルスレーザ光MPL2の光路の方が、第1メインパルスレーザ光MPL1の光路よりも長く構成される。従って、本実施形態では、ビームスプリッタ37、ミラー39、λ/2波長板38、ビーム調節光学系50、ミラー35、及びポラライザー36により、第2メインパルスレーザ光MPL2を第1メインパルスレーザ光MPL1よりも所定時間遅延させる光学的遅延回路が構成される。第2メインパルスレーザ光MPL2と第1メインパルスレーザ光MPL1との光路差は、例えば0.3m以上3m以下である。このような光路差であることで、第2メインパルスレーザ光MPL2は、第1メインパルスレーザ光MPL1よりも、1ns以上10ns以下の時間差で遅れてプラズマ生成領域ARに入射する。
【0085】
5.2 動作
次に、本実施形態におけるEUV光生成装置100の動作について説明する。本実施形態においても実施形態1と同様にして、EUV光生成装置100の動作を示すフローチャートは、図4に示す比較例のEUV光生成装置100の動作を示すフローチャートと同様である。しかし、メインパルスレーザ光照射ステップSP3が、比較例及び実施形態1のそれと異なる。本実施形態においても、ターゲット供給ステップSP1及びプリパルスレーザ光照射ステップSP2は、比較例のそれらと同様であるため、メインパルスレーザ光照射ステップSP3について説明をする。
【0086】
(メインパルスレーザ光照射ステップSP3)
本実施形態における本ステップは、実施形態1と同様にして、第1メインパルスレーザ光MPL1及び第2メインパルスレーザ光MPL2を拡散ターゲットDTに照射するステップである。本実施形態では、プリパルスレーザ装置140からプリパルスレーザ光PPLが出射された後において、メインパルスレーザ装置130がメインパルスレーザ光MPLを出射する。メインパルスレーザ光MPLは、ビームスプリッタ37に入射して、メインパルスレーザ光MPLの一部が、第1メインパルスレーザ光MPL1として、ビームスプリッタ37を透過する。ビームスプリッタ37を透過した第1メインパルスレーザ光MPL1は、λ/2波長板38及びポラライザー36を透過して、実施形態1の第1メインパルスレーザ光MPL1と同様にプラズマ生成領域ARに到達し、拡散ターゲットDTに照射される。本実施形態における第1メインパルスレーザ光MPL1のエネルギー密度の分布やフルーエンスは、実施形態1のそれらと同様である。従って、第1メインパルスレーザ光MPL1が照射された拡散ターゲットDTは、第1実施形態1と同様にプラズマ化される。
【0087】
なお、第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングは実施形態1での当該タイミングと同様である。従って、プロセッサ121及び遅延回路122は、このような時間間隔で第1メインパルスレーザ光MPL1が拡散ターゲットDTに照射されるように、メインパルスレーザ装置130に発光トリガ信号を入力する。
【0088】
また、メインパルスレーザ装置130から出射するメインパルスレーザ光MPLの他の一部は、第2メインパルスレーザ光MPL2としてビームスプリッタ37で反射される。ビームスプリッタ37で反射された第2メインパルスレーザ光MPL2は、ミラー39に反射され、ビーム調節光学系50において、中央部よりも外周部のエネルギー密度が高いレーザ光に変換される。エネルギー密度の分布が変換された第2メインパルスレーザ光MPL2は、ミラー35、ポラライザー36で反射されて、実施形態1の第2メインパルスレーザ光MPL2と同様にプラズマ生成領域ARに到達して拡散ターゲットDTに照射される。このとき、第1メインパルスレーザ光MPL1を拡散ターゲットDTに照射するタイミングと、第2メインパルスレーザ光MPL2を拡散ターゲットDTに照射するタイミングと、の時間差は1ns以上10ns以下である。本実施形態における第2メインパルスレーザ光MPL2のエネルギー密度の分布やフルーエンスは、実施形態1のそれらと同様である。従って、第2メインパルスレーザ光MPL2が照射された拡散ターゲットDTは、第1実施形態1と同様にプラズマ化される。
【0089】
なお、第2メインパルスレーザ光MPL2が拡散ターゲットDTに照射されるタイミングは、実施形態1における当該タイミングと同様である。従って、このように第2メインパルスレーザ光MPL2が拡散ターゲットDTに照射されるように、上記光学的遅延回路において、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2との光路差が設定される。
【0090】
5.3 作用・効果
本実施形態のEUV光生成装置100、EUV光生成方法では、単一のメインパルスレーザ装置130から出射するガウシアン型レーザ光を2つのレーザ光に分離して一方のレーザ光を第1メインパルスレーザ光MPL1とし、分離された他方のレーザ光を第2メインパルスレーザ光MPL2に変換し、他方のレーザ光を遅延させる。
【0091】
このようなEUV光生成装置100及びEUV光生成方法によれば、複数のメインパルスレーザ装置を用いなくてもよいため、コストを低減し得る。
【0092】
また、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とは互いに同波長のレーザ光である。このため、第1メインパルスレーザ光MPL1及び第2メインパルスレーザ光MPL2を拡散ターゲットDTが吸収し易い波長に設定し得る。
【0093】
なお、本実施形態のEUV光生成装置100では、λ/2波長板38が、第1メインパルスレーザ光MPL1が伝搬し第2メインパルスレーザ光MPL2が伝搬しない光路中に配置された。しかし、λ/2波長板38は、第2メインパルスレーザ光MPL2が伝搬し第1メインパルスレーザ光MPL1が伝搬しない光路中に配置されてもよい。この場合、ポラライザー36は、偏光方向がメインパルスレーザ装置130から出射するメインパルスレーザ光MPLの偏光方向と一致するように配置される。
【0094】
また、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とを異なるタイミングで拡散ターゲットDTに照射する例で説明をした。しかし、本発明では、第1メインパルスレーザ光MPL1と第2メインパルスレーザ光MPL2とを同時に拡散ターゲットDTに照射してもよい。この場合、第1メインパルスレーザ光MPL1が伝搬する光路長と第2メインパルスレーザ光MPL2が伝搬する光路長とが同じ長さとされればよい。
【0095】
また、本実施形態のEUV光生成装置100及びEUV光生成方法では、第1メインパルスレーザ光MPL1、第2メインパルスレーザ光MPL2の順に拡散ターゲットDTに照射する例で説明した。しかし、本発明では、第2メインパルスレーザ光MPL2、第1メインパルスレーザ光MPL1の順にそれぞれのレーザ光が拡散ターゲットDTに照射されてもよい。この場合、このようなタイミングとなるように、第1メインパルスレーザ光MPL1が伝搬し第2メインパルスレーザ光MPL2が伝搬しない光路に光学的遅延回路が設けられれば良い。
【0096】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。たとえば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきであり、さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12