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特開2023-63987インクジェットシステム及びインクジェット記録装置
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  • 特開-インクジェットシステム及びインクジェット記録装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063987
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】インクジェットシステム及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230428BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20230428BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230428BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20230428BHJP
   D06P 5/30 20060101ALN20230428BHJP
   C09B 62/09 20060101ALN20230428BHJP
   C09B 62/513 20060101ALN20230428BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/165
B41J2/01 501
B41M5/00 120
B41M5/00 100
C09D11/38
D06P5/30
C09B62/09 A
C09B62/513
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174147
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松下 友樹
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4H157
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC07
2C056EC28
2C056EC30
2C056FB03
2C056FC01
2H186AB02
2H186AB05
2H186AB06
2H186AB12
2H186AB23
2H186AB26
2H186AB43
2H186BA08
2H186DA17
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB53
4H157AA03
4H157BA07
4H157BA24
4H157CA29
4H157CB13
4H157CB19
4H157DA01
4H157DA24
4H157DA34
4H157GA06
4J039BC07
4J039BC10
4J039BC37
4J039BC49
4J039BE02
4J039CA03
4J039EA41
4J039EA42
4J039EA46
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】水の含有量が多く乾燥しやすいインクであっても、吐出不良を抑制することができるインクジェットシステムを提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、インクを吐出するノズル孔が形成されたノズル面を有するインクジェットヘッドを備え、記録媒体上に、前記インクを吐出するインクジェットシステムであって、少なくとも前記インクの吐出時において、前記ノズル面と該ノズル面に対向する前記記録媒体との間に構成される吐出空間の水分量が10g/cm以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズル孔が形成されたノズル面を有するインクジェットヘッドを備え、記録媒体上に、前記インクを吐出するインクジェットシステムであって、
少なくとも前記インクの吐出時において、前記ノズル面と該ノズル面に対向する前記記録媒体との間に構成される吐出空間の水分量が10g/cm以上である、インクジェットシステム。
【請求項2】
前記水分量は、15~25g/cmである、請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項3】
前記インクは、尿素を含む、請求項1又は2に記載のインクジェットシステム。
【請求項4】
前記尿素の含有量は、前記インクに対して1~15質量%である、請求項3に記載のインクジェットシステム。
【請求項5】
前記インクは、水と、染料とを含み、
前記水の含有量は、前記インクに対して25~60質量%であり、
前記染料の含有量は、前記インクに対して5~30質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットシステム。
【請求項6】
前記染料は、ビニルスルホン基、及びモノクロロトリアジン基の少なくともいずれか一方を有する、請求項5に記載のインクジェットシステム。
【請求項7】
前記染料は、C.I.リアクティブブラック39、又はC.I.リアクティブブラック5である、請求項5又は6に記載のインクジェットシステム。
【請求項8】
前記水の含有量は、前記インクに対して30~55質量%である、請求項5~7のいずれか一項に記載のインクジェットシステム。
【請求項9】
前記吐出空間の水分量を調整する調湿装置を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェットシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のインクジェットシステムを備える、インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットシステム及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布帛に染料で図柄を堅牢・精細に描く方法として、スクリーン捺染、ローラ捺染、ロータリースクリーン捺染、グラビア印刷又はこれらのプリント技法を用いた転写捺染法が知られている。
【0003】
近年では、捺染する図柄等の画像をスキャナーで読み取り、コンピュータで処理した画像の信号を用いて、布帛等繊維材に直接プリント(捺染)する方式(電子写真方式やインクジェット方式)や、一旦転写紙に画像等をプリントし、その画像等を布帛等繊維材に転写する方式が実用化されている。
【0004】
例えば、特許文献1~3には、上記のような布帛等繊維材にプリントする際に使用されるインクが開示されている。特許文献1~3に記載のインクは、水を含み、インクの全量に対する水の含有量が比較的多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のインクは水の含有量が比較的多いため乾燥しやすい。このため、デキャップ状態で放置するとノズル付近のインクが増粘してしまい、吐出不良を起こすことがある。
【0006】
また、水の含有量を減らすと染料が溶け切らず析出し、吐出不良が発生する可能性がある。染料の含有量を減らすと発色性が低下するため、高発色な画像を得るために染料の含有量を多くすることは必須であり、それに起因して水の含有量を多くすることも必要である。
【0007】
本発明の課題は、水の含有量が多く乾燥しやすいインクであっても、吐出不良を抑制することができるインクジェットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、インクを吐出するノズル孔が形成されたノズル面を有するインクジェットヘッドを備え、記録媒体上に、前記インクを吐出するインクジェットシステムであって、少なくとも前記インクの吐出時において、前記ノズル面と、前記ノズル面に対向する前記記録媒体との間に構成される吐出空間の水分量が10g/cm以上である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、水の含有量が多く乾燥しやすいインクであっても、吐出不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るインクジェットシステムの模式図である。
図2】一実施形態に係るインクジェットシステムを備えたインクジェット記録装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断りがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。また、本明細書において、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
【0012】
<インクジェットシステム>
図1は、一実施形態に係るインクジェットシステムの模式図である。
【0013】
図1に示すように、インクジェットシステム1は、インク吐出装置300と、調湿装置500とを備える。
【0014】
インク吐出装置300は、記録媒体11上に、インク12Aを吐出する装置である。インク吐出装置300は、インクジェットヘッド306と、タンク307と、チューブ308を有し、インクジェットヘッド306とタンク307とは、チューブ308を介して連結している。
【0015】
インクジェットヘッド306は、インク12Aを吐出するノズル孔が形成されたノズル面309を有する。
【0016】
インク12Aは、タンク307に貯蔵されており、タンク307からチューブ308を経由してインクジェットヘッド306に供給される。
【0017】
調湿装置500は、加湿本体501と、供給流路502と、供給部503とを有していてよく、加湿本体501と、供給部503とは、供給流路502を介して連結していてよい。調湿装置500は、例えば、温度及び湿度を調整する温湿度制御装置であり、具体的には、温度及び湿度を制御可能な加湿器等である。
【0018】
調湿装置500は、少なくともインク12Aの吐出時に、供給部503から加湿された空気を後述する吐出空間13に送り、該吐出空間13の水分量を調整する。調湿装置500は、インク12Aが吐出されていない時に、供給部503から加湿された空気を後述する吐出空間13に送り、該吐出空間13の水分量を調整してもよい。
【0019】
なお、インクジェットシステム1は、必要に応じて、他の装置を備えていてもよい。インク吐出装置300と、調湿装置500との配置は、図1に示す例に限らず、他の装置との関係やインクジェットシステム1全体の構造等に応じて、任意の配置とすることができる。
【0020】
本実施形態のインクジェットシステム1は、インク12Aを吐出するノズル孔が形成されたノズル面を有する上述のインクジェットヘッド306を備え、記録媒体11上に、インク12Aを吐出する。
【0021】
そして、本実施形態のインクジェットシステム1では、少なくともインクの吐出時において、ノズル面309と該ノズル面309に対向する記録媒体11との間に構成される吐出空間13の水分量が10g/cm以上である。
【0022】
ここで、吐出空間13とは、ノズル面309と、ノズル面309と対向する記録媒体11上の面とで構成され、インク12Aが吐出される空間を示す。具体的には、吐出空間13は、ノズル面309と、ノズル面309に直交する面と、ノズル面309と対向する記録媒体11上の面とで構成される空間を示す。
【0023】
この構成により、インクジェットシステム1は、インク12Aがインクジェットヘッド306から吐出されていない際の乾燥を防ぐことができるため、乾燥による吐出不良を抑制することができ、優れた耐乾燥性(デキャップ特性)を発揮することができる。また、インクジェットシステム1は、例えば、長時間連続して印刷する場合等においても、乾燥による吐出不良を抑制することができ、優れた吐出安定性を発揮することができる。
【0024】
吐出空間13の水分量は、15g/cm~30g/cmであることが好ましい。少なくともインク12Aの吐出時において、吐出空間13の水分量を15g/cm~30g/cmの範囲とすることで、インクジェットシステム1は、より優れた耐乾燥性及び吐出安定性を発揮することができる。
【0025】
インクジェットシステム1には、ノズル付近に水分量を検知するセンサーを設けてもよい。また、インク吐出装置300には、インク12Aがインクジェットヘッド306から吐出されていない際の乾燥を防ぐため、ノズルをキャップする機構が設けられていてもよい。
【0026】
画像12を形成する際には、ステージ400上に、記録媒体11を設置した後、記録媒体11にインク12Aの液滴を吐出する。このとき、ステージ400が移動してもよく、インクジェットヘッド306が移動してもよい。インクジェットヘッド306が移動する場合、ノズル面309と記録媒体11の間の吐出空間13も移動するが、吐出空間13の水分量は上述の規定範囲にすることが好ましい。
【0027】
インクジェットシステム1は、インク吐出装置300及び調湿装置500を制御する制御部を備えていてもよい。制御部は、例えば、CPUと、ROMと、RAMとを含む。制御部は、インク吐出装置300及び調湿装置500で実行される各種の動作及び処理を制御する。その際、CPUは、ROMに記憶された、各種の動作及び処理のためのコンピュータプログラムを、適宜、RAM上で実行する。
【0028】
例えば、制御部は、外部装置から入力された画像データに従い、インクジェットヘッド306のノズルから、インク12Aが吐出されるように制御する。これにより、記録媒体11には、所定の画像12が記録される。
【0029】
また、例えば、制御部は、検知された吐出空間13の水分量に応じて、所定の水分量となるよう、吐出空間13に、供給部503から加湿された空気を送るように制御する。これにより、吐出空間13の水分量は、所定の水分量に維持される。
【0030】
また、制御部は、インク吐出装置300及び調湿装置500のそれぞれに設けていてもよい。
【0031】
[インク]
インクは、インク原料として、特に限定されないが、例えば、水と、染料とを含み、好ましくは尿素をさらに含む。
【0032】
―染料―
染料としては、例えば、反応性染料、酸性染料、直接性染料、塩基性染料などが挙げられる。酸性染料には、一部の食用染料が含まれてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
反応性染料としては、反応性染料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.リアクティブブラック1、C.I.リアクティブブラック3、C.I.リアクティブブラック5、C.I.リアクティブブラック8、C.I.リアクティブブラック10、C.I.リアクティブブラック12、C.I.リアクティブブラック13、C.I.リアクティブブラック39、C.I.リアクティブブルー2、C.I.リアクティブブルー3、C.I.リアクティブブルー5、C.I.リアクティブブルー7、C.I.リアクティブブルー13、C.I.リアクティブブルー14、C.I.リアクティブブルー15、C.I.リアクティブブルー25、C.I.リアクティブブルー26、C.I.リアクティブブルー39、C.I.リアクティブブルー40、C.I.リアクティブレッド3、C.I.リアクティブレッド4、C.I.リアクティブレッド7、C.I.リアクティブレッド15、C.I.リアクティブレッド16、C.I.リアクティブレッド24、C.I.リアクティブレッド29、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド32、C.I.リアクティブレッド33、C.I.リアクティブレッド43、C.I.リアクティブレッド45、C.I.リアクティブレッド46、C.I.リアクティブレッド58、C.I.リアクティブレッド59、C.I.リアクティブレッド256、C.I.リアクティブレッド245、C.I.リアクティブイエロー3、C.I.リアクティブイエロー6、C.I.リアクティブイエロー12、C.I.リアクティブイエロー18、C.I.リアクティブイエロー95、C.I.リアクティブイエロー99、C.I.リアクティブオレンジ2、C.I.リアクティブオレンジ5、C.I.リアクティブオレンジ9、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブオレンジ39、C.I.リアクティブグリーン5、C.I.リアクティブグリーン8、C.I.リアクティブバイオレット1、C.I.リアクティブバイオレット2などが挙げられる。
【0034】
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッド・イエロー17、C.I.アシッド・イエロー23、C.I.アシッド・イエロー42、C.I.アシッド・イエロー44、C.I.アシッド・イエロー79、C.I.アシッド・イエロー142、C.I.アシッド・レッド1、C.I.アシッド・レッド8、C.I.アシッド・レッド13、C.I.アシッド・レッド14、C.I.アシッド・レッド18、C.I.アシッド・レッド26、C.I.アシッド・レッド27、C.I.アシッド・レッド35、C.I.アシッド・レッド37、C.I.アシッド・レッド42、C.I.アシッド・レッド52、C.I.アシッド・レッド82、C.I.アシッド・レッド87、C.I.アシッド・レッド89、C.I.アシッド・レッド92、C.I.アシッド・レッド97、C.I.アシッド・レッド106、C.I.アシッド・レッド111、C.I.アシッド・レッド114、C.I.アシッド・レッド115、C.I.アシッド・レッド134、C.I.アシッド・レッド186、C.I.アシッド・レッド249、C.I.アシッド・レッド254、C.I.アシッド・レッド289、C.I.アシッド・ブルー9、C.I.アシッド・ブルー29、C.I.アシッド・ブルー45、C.I.アシッド・ブルー92、C.I.アシッド・ブルー249、C.I.アシッド・ブラック1、C.I.アシッド・ブラック2、C.I.アシッド・ブラック7、C.I.アシッド・ブラック24、C.I.アシッド・ブラック26、C.I.アシッド・ブラック94などが挙げられる。
【0035】
食用染料としては、例えば、C.I.フード・イエロー3、C.I.フード・レッド14、C.I.フード・ブラック1、C.I.フード・ブラック2などが挙げられる。
【0036】
直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクト・イエロー1、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・イエロー24、C.I.ダイレクト・イエロー26、C.I.ダイレクト・イエロー33、C.I.ダイレクト・イエロー44、C.I.ダイレクト・イエロー50、C.I.ダイレクト・イエロー86、C.I.ダイレクト・イエロー120、C.I.ダイレクト・イエロー132、C.I.ダイレクト・イエロー142、C.I.ダイレクト・イエロー144、C.I.ダイレクト・レッド1、C.I.ダイレクト・レッド4、C.I.ダイレクト・レッド9、C.I.ダイレクト・レッド13、C.I.ダイレクト・レッド17、C.I.ダイレクト・レッド20、C.I.ダイレクト・レッド28、C.I.ダイレクト・レッド31、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド80、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・レッド225、C.I.ダイレクト・レッド227、C.I.ダイレクト・オレンジ26、C.I.ダイレクト・オレンジ29、C.I.ダイレクト・オレンジ62、C.I.ダイレクト・オレンジ102、C.I.ダイレクト・ブルー1、C.I.ダイレクト・ブルー2、C.I.ダイレクト・ブルー6、C.I.ダイレクト・ブルー15、C.I.ダイレクト・ブルー22、C.I.ダイレクト・ブルー25、C.I.ダイレクト・ブルー71、C.I.ダイレクト・ブルー76、C.I.ダイレクト・ブルー79、C.I.ダイレクト・ブルー86、C.I.ダイレクト・ブルー87、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・ブルー98、C.I.ダイレクト・ブルー163、C.I.ダイレクト・ブルー165、C.I.ダイレクト・ブルー199、C.I.ダイレクト・ブルー202、C.I.ダイレクト・ブラック19、C.I.ダイレクト・ブラック22、C.I.ダイレクト・ブラック32、C.I.ダイレクト・ブラック38、C.I.ダイレクト・ブラック51、C.I.ダイレクト・ブラック56、C.I.ダイレクト・ブラック71、C.I.ダイレクト・ブラック74、C.I.ダイレクト・ブラック75、C.I.ダイレクト・ブラック77、C.I.ダイレクト・ブラック154、C.I.ダイレクト・ブラック168、C.I.ダイレクト・ブラック171などが挙げられる。
【0037】
塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシック・イエロー1、C.I.ベーシック・イエロー2、C.I.ベーシック・イエロー11、C.I.ベーシック・イエロー13、C.I.ベーシック・イエロー14、C.I.ベーシック・イエロー15、C.I.ベーシック・イエロー19、C.I.ベーシック・イエロー21、C.I.ベーシック・イエロー23、C.I.ベーシック・イエロー24、C.I.ベーシック・イエロー25、C.I.ベーシック・イエロー28、C.I.ベーシック・イエロー29、C.I.ベーシック・イエロー32、C.I.ベーシック・イエロー36、C.I.ベーシック・イエロー40、C.I.ベーシック・イエロー41、C.I.ベーシック・イエロー45、C.I.ベーシック・イエロー49、C.I.ベーシック・イエロー51、C.I.ベーシック・イエロー53、C.I.ベーシック・イエロー63、C.I.ベーシック・イエロー64、C.I.ベーシック・イエロー65、C.I.ベーシック・イエロー67、C.I.ベーシック・イエロー70、C.I.ベーシック・イエロー73、C.I.ベーシック・イエロー77、C.I.ベーシック・イエロー87、C.I.ベーシック・イエロー91、C.I.ベーシック・レッド2、C.I.ベーシック・レッド12、C.I.ベーシック・レッド13、C.I.ベーシック・レッド14、C.I.ベーシック・レッド15、C.I.ベーシック・レッド18、C.I.ベーシック・レッド22、C.I.ベーシック・レッド23、C.I.ベーシック・レッド24、C.I.ベーシック・レッド27、C.I.ベーシック・レッド29、C.I.ベーシック・レッド35、C.I.ベーシック・レッド36、C.I.ベーシック・レッド38、C.I.ベーシック・レッド39、C.I.ベーシック・レッド46、C.I.ベーシック・レッド49、C.I.ベーシック・レッド51、C.I.ベーシック・レッド52、C.I.ベーシック・レッド54、C.I.ベーシック・レッド59、C.I.ベーシック・レッド68、C.I.ベーシック・レッド69、C.I.ベーシック・レッド70、C.I.ベーシック・レッド73、C.I.ベーシック・レッド78、C.I.ベーシック・レッド82、C.I.ベーシック・レッド102、C.I.ベーシック・レッド104、C.I.ベーシック・レッド109、C.I.ベーシック・レッド112、C.I.ベーシック・ブルー1、C.I.ベーシック・ブルー3、C.I.ベーシック・ブルー5、C.I.ベーシック・ブルー7、C.I.ベーシック・ブルー9、C.I.ベーシック・ブルー21、C.I.ベーシック・ブルー22、C.I.ベーシック・ブルー26、C.I.ベーシック・ブルー35、C.I.ベーシック・ブルー41、C.I.ベーシック・ブルー45、C.I.ベーシック・ブルー47、C.I.ベーシック・ブルー54、C.I.ベーシック・ブルー62、C.I.ベーシック・ブルー65、C.I.ベーシック・ブルー66、C.I.ベーシック・ブルー67、C.I.ベーシック・ブルー69、C.I.ベーシック・ブルー75、C.I.ベーシック・ブルー77、C.I.ベーシック・ブルー78、C.I.ベーシック・ブルー89、C.I.ベーシック・ブルー92、C.I.ベーシック・ブルー93、C.I.ベーシック・ブルー105、C.I.ベーシック・ブルー117、C.I.ベーシック・ブルー120、C.I.ベーシック・ブルー122、C.I.ベーシック・ブルー124、C.I.ベーシック・ブルー129、C.I.ベーシック・ブルー137、C.I.ベーシック・ブルー141、C.I.ベーシック・ブルー147、C.I.ベーシック・ブルー155、C.I.ベーシック・ブラック2、C.I.ベーシック・ブラック8などが挙げられる。
【0038】
これらの中でも、本実施形態のインクジェットシステム1に用いる染料は、ビニルスルホン基、及びモノクロロトリアジン基の少なくともいずれか一方を有することが好ましい。
【0039】
ビニルスルホン基、又はモノクロロトリアジン基を有する染料は、発色性が良く、インクに対する染料の含有量を低減させることができるため、インクに対する水の含有量も低減させることができる。
【0040】
よって、インクジェットシステム1は、優れた発色性を発揮することができると共に、より優れた耐乾燥性及び吐出安定性を発揮することができる。
【0041】
ビニルスルホン基、及びモノクロロトリアジン基の少なくともいずれか一方を有する染料としては、具体的には、C.I.リアクティブブラック39、又はC.I.リアクティブブラック5が好ましい。
【0042】
これにより、インクジェットシステム1は、インクの各色の中で最も使用量が多い黒色のインクにおいて、優れた発色性を発揮することができると共に、より優れた耐乾燥性及び吐出安定性を発揮することができる。
【0043】
染料の含有量は、インクに対して5質量%~30質量%であることが好ましく、10質量%~25質量%であることがより好ましい。染料の含有量をインクに対して5質量%~30質量%の範囲内とすることで、インクジェットシステム1は、優れた吐出安定性及び発色性を発揮することができる。
【0044】
染料として、トリアジン骨格を有する染料を使用する場合、トリアジン骨格を有する染料の含有量は、特に制限はないがインクに対して5質量%~15質量%が好ましく、10質量%~20質量%がより好ましい。
【0045】
トリアジン骨格を有する染料の含有量をインクに対して5~15質量%の範囲内とすることで、より優れた発色性を発揮することができると共に、より優れた耐乾燥性及び吐出安定性を発揮することができる。
【0046】
―水―
水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、インクに対して25質量%~60質量%が好ましく、30質量%~55質量%がより好ましい。
【0047】
水の含有量を25~60質量%の範囲内とすることで、記録媒体にインクが吐出された後のインクの乾燥性に優れると共に、より優れた吐出安定性を発揮することができる。また、水の含有量を30質量%~55質量%の範囲内とすることで、記録媒体にインクが吐出された後のインクの乾燥性が向上し、さらに優れた吐出安定性を発揮することができる。
【0048】
―尿素―
尿素は、インクの保湿剤として機能する。インクが尿素を含むことにより、インクジェットシステム1は、より優れた耐乾燥性及び吐出安定性を発揮することができる。
【0049】
尿素の含有量は、インクに対して1質量%~15質量%が好ましく、3質量%~10質量%がより好ましい。尿素の含有量を上記インクに対して1~15質量%の範囲内とすることで、尿素は、インク中の水に対して良好な溶解性を有することができる。
【0050】
また、尿素の含有量を上記インクに対して1~15質量%の範囲内とすることで、空気中の水分を吸収し、染料の溶解性を高めることができ、インクジェットシステム1は、より優れた吐出安定性を発揮することができる。
【0051】
インクは、必要に応じて、有機溶剤、樹脂、添加剤等、他の材料を含んでいてもよい。
【0052】
―有機溶剤―
有機溶剤としては、水溶性有機溶剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
【0054】
これらの中でも、水溶性有機溶剤は、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物であることが好ましい。炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いたときに好適に使用され、紙に対するインクの浸透性を向上させることができる。
【0055】
炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
【0056】
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0057】
有機溶剤の沸点としては、特に制限はなく、湿潤効果や良好な乾燥性の点で、250℃以下であることが好ましい。
【0058】
有機溶剤の含有量は、特に制限はないが、インクが吐出された後のインクの乾燥性及び吐出安定性の点から、インクに対して10質量%~60質量%が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
【0059】
―樹脂―
樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。
【0060】
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0061】
樹脂粒子は、水を分散媒として分散した樹脂エマルジョンの状態で、色材や有機溶剤等の材料と混合してインクを得ることが可能である。ここで、樹脂粒子は、樹脂の二次粒子を示す。
【0062】
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はないが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm~1000nmが好ましく、10nm~200nmがより好ましく、10nm~100nmが特に好ましい。
【0063】
樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0064】
樹脂の含有量は、特に制限はないが、定着性、インクの保存安定性の点から、インクに対して1質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましい。
【0065】
―添加剤―
本実施形態のインクには、必要に応じて、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
【0066】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0067】
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高pHでも分解しないものが好ましい。例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0068】
側鎖変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、下記式(S-1)で表されるポリジメチルシロキサンのSi部側鎖に変性基を導入することを示す。
【0069】
両末端変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、下記式(S-1)で表されるポリジメチルシロキサンの両末端に変性基を導入することを示す。
【0070】
片末端変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、下記式(S-1)で表されるポリジメチルシロキサンのどちらか一方の末端に変性基を導入することを示す。
【0071】
側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンは、例えば、下記式(S-1)で表されるポリジメチルシロキサンのSi部側鎖及び両末端に変性基を導入することを示す。
【0072】
【化1】
(但し、一般式(S-1)中、m及びnは、それぞれ独立に整数を表し、Xは側鎖を表す。)
【0073】
例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサンは、一般式(S-1)で表されるジメチルポリシロキサンのSi部側鎖Xに、下記式(S-2)で表されるポリアルキレンオキシド構造を導入することで、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とすることができる。
【0074】
【化2】
(但し、一般式(S-2)中、a及びbは、それぞれ独立に整数を表し、Rは、アルキレン基を表し、R'は、アルキル基を表す。)
【0075】
変性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基、ポリアルキレンオキシド構造などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基が好ましい。
【0076】
シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
【0077】
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX(登録商標)SS-5602、EMALEX SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、DOWSIL(登録商標)FZ-2105、FZ-2118、DOWSIL FZ-2154、DOWSIL FZ-2161、DOWSIL FZ-2162、FZ-2163、DOWSIL FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK(登録商標)-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)などが挙げられる。
【0078】
フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
【0079】
これらの中でも、起泡性が少ない点で、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が好ましい。
【0080】
フッ素系界面活性剤は、下記式(F-1)及び下記式(F-2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0081】
【化3】
(但し、一般式(F-1)中、m及びnは、それぞれ独立に整数を表す。)
【0082】
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
【0083】
【化4】
(但し、上記一般式(F-2)中、YはH、又はCmF2m+1でmは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-CmF2m+1でmは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。)
【0084】
パーフルオロアルキルスルホン酸化合物の具体例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
【0085】
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物の具体例としては、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
【0086】
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物の具体例としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
【0087】
フッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
【0088】
フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
【0089】
フッ素系界面活性剤としては、市販品を使用してもよい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロン(登録商標)S-111、サーフロンS-112、サーフロンS-113、サーフロンS-121、サーフロンS-131、サーフロンS-132、サーフロンS-141、サーフロンS-145(いずれも、AGCセイミケミカル株式会社)、フルラードFC-93、フルラードFC-95、フルラードFC-98、フルラードFC-129、フルラードFC-135、フルラードFC-170C、フルラードFC-430、フルラードFC-431(いずれも、スリーエムジャパン株式会社製)、メガファック(登録商標)F-470、メガファックF-1405、メガファックF-474(いずれも、DIC株式会社製)、ゾニール(Zonyl)TBS、ゾニール(Zonyl)FSP、ゾニール(Zonyl)FSA、ゾニール(Zonyl)FSN-100、ゾニール(Zonyl)FSN、ゾニール(Zonyl)FSO-100、ゾニール(Zonyl)FSO、ゾニール(Zonyl)FS-300、ゾニール(Zonyl)UR、キャプストーン(登録商標)FS-30、キャプストーンFS-31、キャプストーンFS-3100、キャプストーンFS-34、キャプストーンFS-35(いずれも、Chemours社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,ポリフォックスPF-156A、ポリフォックスPF-151N、ポリフォックスPF-154、ポリフォックスPF-159(オムノバ社製)、ユニダイン(登録商標)DSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられる。
【0090】
これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、ゾニールFS-300、ゾニールFS-3100、キャプストーンFS-34、(いずれもChemours社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-151N(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)が好ましい。
【0091】
両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
【0092】
ノニオン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0093】
アニオン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0094】
界面活性剤の含有量は、特に制限はないが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、インクに対して0.001質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~5質量%がより好ましい。
【0095】
界面活性剤は、消泡剤として使用することができる。消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。
【0096】
これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0097】
(防腐防黴剤)
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0098】
(防錆剤)
防錆剤としては、防錆作用を示すものであれば、特に制限はなく、例えば、複素環式芳香族化合物が挙げられる。複素環式芳香族化合物は、金属イオンと結合して不溶性の被膜を形成することで、ノズル内金属部位の防錆作用を示す。
【0099】
複素環式芳香族化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、ベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。
【0100】
ベンゾトリアゾール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0101】
ベンゾトリアゾール化合物の含有量は、特に制限はないが、インクに対して0.001~1.0重量%が好ましく、0.005~0.5重量%がより好ましい。
【0102】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0103】
本実施形態のインクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。なお、以下に示す粘度、表面張力、pHは、25℃における粘度、表面張力、pHをそれぞれ示す。
【0104】
本実施形態のインクの粘度としては、特に制限はないが、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s~30mPa・sが好ましく、5mPa・s~25mPa・sがより好ましい。
【0105】
粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用して測定することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34'×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
【0106】
本実施形態のインクの表面張力としては、特に制限はないが、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
【0107】
本実施形態のインクのpHとしては、特に制限はないが、接液する金属部材の腐食防止の観点から、6~12が好ましく、7~11がより好ましい。
【0108】
[インクの製造方法]
インクの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、染料を含むインク原料を容器に入れ、2時間攪拌後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターろ過を行うことで得られる。
【0109】
[インクの用途]
インクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
【0110】
[記録媒体]
本実施形態における記録媒体とは、インクジェットシステム1を用いて記録される対象物のことである。また、本実施形態における記録とは、記録媒体上に、インクジェットシステム1を用いて画像等を形成する方法である。
【0111】
記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
【0112】
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布や繊維、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
【0113】
繊維としては、生分解性ポリエステル組成物を含む繊維を用いてもよい。生分解性ポリエステル組成物は、例えば、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル又はポリ乳酸などを含有し、必要に応じて、有機フィラー又は無機フィラーなど含有してもよい。生分解性脂肪族-芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)などを挙げることができる。有機フィラーとしては、天然澱粉、可塑化澱粉、変性澱粉、天然繊維、木粉などを挙げることができる。無機フィラーとしては、タルク粉、モンモリロナイト、カオリン、チョーク、炭酸カルシウム、グラファイト、石膏、導電性カーボンブラック、塩化カルシウム、酸化鉄、ドロマイト、シリカ、珪灰石、二酸化チタン、ケイ酸塩、雲母、ガラス繊維、鉱物繊維などを挙げることができる。
【0114】
また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
【0115】
<インクジェット記録装置、インクジェット記録方法>
図2は、一実施形態に係るインクジェットシステムを備えたインクジェット記録装置の構成図である。
【0116】
本実施形態のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能なインクジェットシステム1を備えた装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。
【0117】
インクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した基材を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され印字された基材をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部(付図示)とを有する。
【0118】
装置本体101内には、図2に示すように、左右の側板(不図示)に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とがあり、キャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって移動走査する。
【0119】
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シア(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4列のノズル列を有する1つのインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134が装着されている。
【0120】
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、インクを吐出するための刺激発生手段として備えたもの等が使用できる。刺激発生手段としては、例えば、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等が挙げられる。
【0121】
また、記録ヘッド134は、記録用ヘッド内でインクを加熱するためのヒーター機構を有してもよい。
【0122】
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135が搭載されている。サブタンク135には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填されたインクカートリッジ200からインクが供給されて補充される。
【0123】
一方、給紙トレイ102の基材積載部(圧板)141上に積載した基材142を給紙するための給紙部として、基材積載部141から基材142を1枚ずつ分離給送する半月コロ〔給紙コロ143〕、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備える。この分離パッド144は、給紙コロ143側に付勢されている。
【0124】
装置本体101内には、この給紙部から給紙された基材142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、搬送ベルト151、カウンタローラ152、搬送ガイド153、先端加圧コロ155、及び帯電ローラ156が備えられている。
【0125】
搬送ベルト151は、基材142を静電吸着して搬送する。カウンタローラ152は、給紙部からガイド145を介して送られる基材142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送する。搬送ガイド153は、略鉛直上方に送られる基材142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせる。
【0126】
また、先端加圧コロ155は、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢されている。帯電ローラ156は、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である。
【0127】
搬送ベルト151は無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材〔例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)〕で形成した基材吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0128】
搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された基材142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から基材142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とを備えており、基材142はファンヒータ174により熱風乾燥された後、排紙ローラ172の下方の排紙トレイ103に出力される。
【0129】
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。
両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される基材142を取り込んで反転させて再度、カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
【0130】
このインクジェット記録装置においては、給紙部から基材142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された基材142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。
【0131】
更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、基材142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。
【0132】
そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している基材142にインク滴を吐出して1行分を記録し、基材142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。
【0133】
記録終了信号又は基材142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、基材142を排紙トレイ103に排紙する。
【0134】
インクジェット記録装置としては、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、インクジェットプリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置等が挙げられる。
【0135】
この中でも、インクジェットプリンタであることが好ましい。インクジェットシステム1は、特に、インクジェットプリンタにおいて効果的に使用することができる。
【0136】
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
【0137】
インクジェット記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
【0138】
更に、インクジェット記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
【0139】
インクジェット記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
【0140】
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
【0141】
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。
【0142】
立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。
【0143】
成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
【0144】
[記録物]
本実施形態における記録物は、上述のインクジェットシステム1を備えたインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録することで、記録物とすることができる。記録物は、記録媒体上に、インクジェットシステム1を用いて形成された画像等を有してなる。
【実施例0145】
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、単位の記載がないもの、「%」、及び「部」は、質量を基準とする。
【0146】
<インクの調製>
以下の材料を表1の組成になるように容器に入れ、2時間攪拌後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターろ過を行うことで、実施例1~14及び比較例1~4のインクを得た。
・水(イオン交換水)
・カプロラクタム(宇部興産社製)
・グリセリン(富士フイルム和光純薬社製)
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬社製)
・尿素(関東化学社製)
・C.I.リアクティブブラック12
・C.I.リアクティブブラック39
・C.I.リアクティブブラック5
【0147】
<耐乾燥性評価>
実施例1~14及び比較例1~4で調製されたインクについて、耐乾燥性評価を実施した。評価には、インク吐出装置に調湿装置を取り付けた装置を利用した。インク吐出装置としては、拡張型塗布装置(製品名「EV2500」、リコー社製)を用い、調湿装置としては、温湿度制御装置(製品名「AP-750MVK-E1」、オリオン社製)を用いた。
【0148】
また、インクジェットヘッドとして、MH5320ヘッド(リコー社製)を使用した。そして、インク吐出時において、吐出空間が表1に示す水分量となるよう、温湿度制御装置を用いて調整した。
【0149】
インクジェットヘッドにインクを充填し、ノズルチェックチャートを印刷し(1列・全320ch)、初期の異常吐出数が0chであることを確認した後、10分間デキャップ状態(ノズル面が空気に露出した状態)で放置した。その後、初期の印刷時と同じ条件で印刷し、異常吐出数を確認し下記のように耐乾燥性の評価を行った。B以上を実用可能レベルとし、評価結果を表1に示す。
AA:異常吐出数が0ch
A:異常吐出数が1ch以上5ch以下
B:異常吐出数が6ch以上10ch以下
C:異常吐出数が11ch以上
【0150】
<吐出安定性評価>
実施例1~14及び比較例1~4で調製されたインクについて、耐乾燥性評価と同様の装置を用いて吐出安定性評価を実施した。そして、インク吐出時において、吐出空間が表1に示す水分量となるよう、温湿度制御装置を用いて調整した。
【0151】
インクジェットヘッドにインクを充填し、全列全chの計1280chにてベタ画像印刷を2時間行い、異常吐出数を確認し下記のように吐出安定性の評価を行った。B以上を実用可能レベルとし、評価結果を表1に示す。
AA:異常吐出数が0ch
A:異常吐出数が1ch以上5ch以下
B:異常吐出数が6ch以上10ch以下
C:異常吐出数が11ch以上
【0152】
<発色性評価>
実施例1~14及び比較例1~4で調製されたインクについて、発色性評価を実施した。以下のように前処理液を塗布した布帛を利用した。
【0153】
アルギン酸ナトリウム1部にイオン交換水を44部混合し3時間撹拌した後、一晩放置した。これに尿素6部、炭酸水素ナトリウム2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム2部イオン交換水35部をよく混合した溶液をさらに混合し3時間撹拌することにより前処理液を得た。
【0154】
上記のようにして得られた前処理液を布帛(綿100%、白色)に塗布して、マングルにてピックアップ率60%で絞って乾燥させた。その後、前処理を行った布帛に耐乾燥性評価と同様の装置を用いて、インクを付着させて画像を印捺した。インク吐出時において、吐出空間が表1に示す水分量となるよう、温湿度制御装置を用いて調整した。画像解像度は600×600dpiとした。画像の印捺された布帛に対して102℃で10分間スチーミングを行った後、洗濯用洗剤(製品名「アタックZERO(登録商標)」、花王社製)を用いて90℃で3分間洗浄、その後90℃の温水で5分洗浄し、乾燥させたものを評価サンプルとした。
【0155】
発色性の評価は、測色器(製品名「X-Rite eXact(登録商標)」、X-RITE社製)で画像のOD値(発色濃度)を測定することで行い、測定されたOD値に基づいて画像の発色性を下記のように評価した。B以上を実用可能レベルとし、評価結果を表1に示す。
AA:OD値が1.6以上
A:OD値が1.55以上1.6未満
B:OD値が1.5以上1.55未満
C:OD値が1.5未満
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
表1及び表2より、実施例1~14においては、耐乾燥性、吐出安定性、発色性のいずれも実用可能レベルであった。即ち、実施例1~14においては、発色性を実用可能レベルに維持しつつ、吐出不良を抑制することができた。これに対して、比較例1~4においては、耐乾燥性、吐出安定性、発色性の少なくとも1つが実用可能レベルを満たしていなかった。
【符号の説明】
【0159】
11 記録媒体
12 画像
12A インク
13 吐出空間
300 インク吐出装置
306 インクジェットヘッド
307 タンク
308 チューブ
309 ノズル面
400 ステージ
500 調湿装置
501 加湿本体
502 供給流路
503 供給部
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
136 ノズル列
141 基材積載部
142 基材
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
174 ファンヒータ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0160】
【特許文献1】特許第3584094号公報
【特許文献2】特開2020-050741号公報
【特許文献3】特開2019-073642号公報
図1
図2