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特開2023-64225基板支持部、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064225
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】基板支持部、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230501BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230501BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 105Z
H01L21/68 R
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174363
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 和人
(72)【発明者】
【氏名】羽生 和俊
(72)【発明者】
【氏名】関根 竜太
(72)【発明者】
【氏名】東海林 幹
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB05
2G084BB14
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD37
2G084DD38
2G084FF15
2G084HH11
2G084HH37
2G084HH52
5F004AA16
5F004BA09
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB26
5F004BC02
5F004BC03
5F004BC06
5F004BC08
5F004CA03
5F004CA05
5F004CA06
5F004CB09
5F004EA37
5F131AA02
5F131BA19
5F131EB14
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】基板の端部におけるチルティングの発生を抑制することができる基板支持部、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】基板支持部は、基台と、基台の上に配置され、基板支持面を備える静電チャックであって、基板支持面が内周部と外周部とに分割された静電チャックと、外周部を上下動させるリフターと、基板支持面を囲むように配置されたエッジリングと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台の上に配置され、基板支持面を備える静電チャックであって、前記基板支持面が内周部と外周部とに分割された前記静電チャックと、
前記外周部を上下動させるリフターと、
前記基板支持面を囲むように配置されたエッジリングと、
を有する基板支持部。
【請求項2】
前記静電チャックは、前記内周部を構成する第1のセラミック部材と、前記外周部を構成する第2のセラミック部材とを備え、前記第1のセラミック部材の内部に第1の電極を備える、
請求項1に記載の基板支持部。
【請求項3】
前記静電チャックは、前記第2のセラミック部材の内部に、第2の電極を備える、
請求項2に記載の基板支持部。
【請求項4】
前記外周部は、径方向に複数の部材に分割され、分割された前記複数の部材それぞれに前記リフターが設けられている、
請求項1~3のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項5】
前記外周部は、周方向に複数の部材に分割され、分割された前記複数の部材それぞれに前記リフターが設けられている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項6】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた、請求項1~5のいずれか1つに記載の基板支持部と、
を有するプラズマ処理装置。
【請求項7】
さらに、前記エッジリングの消耗量を取得する取得部、
を有する請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
さらに、前記エッジリングの消耗量に応じて、前記リフターの動作量を制御する制御部、
を有する請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記外周部は径方向に複数の部材に分割され、分割された前記複数の部材それぞれに前記リフターが設けられ、
前記制御部は、前記取得部で取得した前記消耗量に応じて、分割された前記複数の部材それぞれの下降量が異なるように、前記リフターの前記動作量を制御する、
請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記外周部は周方向に複数の部材に分割され、分割された前記複数の部材それぞれに前記リフターが設けられ、
前記制御部は、前記取得部で取得した前記消耗量に応じて、分割された前記複数の部材それぞれの下降量が異なるように、前記リフターの前記動作量を制御する、
請求項8又は9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
基板支持部の基板支持面を囲むように配置されたエッジリングを有するプラズマ処理装置におけるプラズマ処理方法であって、
a)第1の基板を前記基板支持面で支持し、第1のプラズマ処理を行う工程と、
b)前記基板支持面の端部を下降させる工程と、
c)第2の基板を前記基板支持面で支持し、第2のプラズマ処理を行う工程と、
を有するプラズマ処理方法。
【請求項12】
前記c)の後に、
d)前記エッジリングを交換する工程と、
e)前記基板支持面の端部を上昇させる工程と、
を有する請求項11に記載のプラズマ処理方法。
【請求項13】
前記e)の後に、
f)第3の基板を前記基板支持面で支持し、第3のプラズマ処理を行う工程、
を有する請求項12に記載のプラズマ処理方法。
【請求項14】
前記b)の前に、
g)前記エッジリングの消耗量を取得する工程、を有し、
前記b)は、前記g)において得られた前記消耗量に応じて、前記基板支持面の端部を下降させる、
請求項11~13のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【請求項15】
前記g)は、前記消耗量を測定し、測定した前記消耗量を取得する、
請求項14に記載のプラズマ処理方法。
【請求項16】
前記g)は、前記a)の処理時間に応じて前記消耗量を推定し、推定した前記消耗量を取得する、
請求項14に記載のプラズマ処理方法。
【請求項17】
前記基板支持面の端部は周方向に複数の部材に分割され、
前記b)は、前記g)において得られた前記消耗量に応じて、少なくとも1つの前記部材の下降量が、他の前記部材の下降量と異なるように下降させる、
請求項14~16のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【請求項18】
前記基板支持面の端部は径方向に複数の部材に分割され、
前記b)は、前記g)において得られた前記消耗量に応じて、少なくとも1つの前記部材の下降量が、他の前記部材の下降量と異なるように下降させる、
請求項14~17のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板支持部、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマにより半導体ウエハ(以下、ウエハ又は基板と記載する)を処理するプラズマ処理装置では、チャンバの内部に配置された載置台(基板支持部とも呼ばれる)に基板が載置される。載置台には、載置面(基板支持面とも呼ばれる)に載置された基板を囲むように導電性の材料により構成されたエッジリング(フォーカスリングとも呼ばれる)が設けられている。基板の周囲にエッジリングが設けられることにより、基板の中心付近と基板のエッジ付近とのプラズマの分布の偏りが抑制され、基板に対する処理の均一性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/155972号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の端部におけるチルティングの発生を抑制することができる基板支持部、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板支持部は、基台と、基台の上に配置され、基板支持面を備える静電チャックであって、基板支持面が内周部と外周部とに分割された静電チャックと、外周部を上下動させるリフターと、基板支持面を囲むように配置されたエッジリングと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の端部におけるチルティングの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態における基板支持面の一例を示す上面図である。
図3図3は、エッジリングの状態とチルティングとの関係の一例を示す図である。
図4図4は、エッジリングの状態とチルティングとの関係の一例を示す図である。
図5図5は、エッジリングの状態とチルティングとの関係の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態におけるエッジリングが新品状態である時の基板支持面の外周部の状態の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態におけるエッジリングが消耗した状態である時の基板支持面の外周部の状態の一例を示す図である。
図8図8は、変形例1における基板支持面の一例を示す上面図である。
図9図9は、変形例2における基板支持面の一例を示す上面図である。
図10図10は、第1実施形態におけるプラズマ処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、第2実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態における基板支持面の一例を示す上面図である。
図13図13は、変形例3における基板支持面の一例を示す上面図である。
図14図14は、変形例4における基板支持面の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する基板支持部、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
ところで、基板に対するプラズマ処理が繰り返されると、エッジリングが消耗する。エッジリングが消耗すると、エッジリングの上面の高さが低下し、エッジリングの上方に形成されるプラズマシースと、基板の上方に形成されるプラズマシースとの間の距離が変動する。これにより、基板のエッジ領域において、プラズマ中のイオンの基板への入射角度が変化する。
【0010】
エッジリングの消耗に伴って基板へのイオンの入射角度の変化が大きくなると、基板のエッジ付近においてイオンにより形成されるホールや溝が傾く形状異常が発生する場合がある。このような形状異常をチルティングという。チルティングの発生は、半導体チップの品質を悪化させ、生産性を低下させる要因となるおそれがある。そこで、基板の端部(エッジ)におけるチルティングの発生を抑制することが期待されている。
【0011】
(第1実施形態)
[プラズマ処理システムの構成]
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、第1実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。図1に示すように、プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間10sからガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0012】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0013】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、内周部のセラミック部材1111aと、外周部のセラミック部材1111cとを含む。また、静電チャック1111は、セラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bを含む。静電電極1111bは、図示しない直流電源に接続されている。セラミック部材1111a,1111cは、中央領域111aを有する。つまり、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1111aと、外周部のセラミック部材1111cとに分割されている。一実施形態において、基台1110は、セラミック部材1111cより外周部分において、環状領域111bを有する。この場合、リングアセンブリ112は、基台1110の環状領域111b上に配置される。
【0014】
なお、静電チャック1111のセラミック部材1111cよりさらに外周側に配置されたセラミック部材が、環状領域111bを有するようにしてもよい。また、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、静電チャック1111のセラミック部材、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0015】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0016】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0017】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0018】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0019】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0020】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0021】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0022】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0023】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0024】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0026】
[基板支持部11の詳細]
次に、図1及び図2を用いて基板支持部11の詳細について説明する。図2は、第1実施形態における基板支持面の一例を示す上面図である。図1及び図2に示すように、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1111aと、外周部のセラミック部材1111cとに分割されている。セラミック部材1111cの下部には、リフター113及び駆動機構114が設けられている。セラミック部材1111cは、リフター113に接続され、駆動機構114により上下動される。つまり、セラミック部材1111cは、上面がセラミック部材1111aの上面に対して、同じ高さの状態から、高い状態又は低い状態とすることができる。従って、中央領域111aに載置された基板Wの端部は、セラミック部材1111cの高さに応じて、基板Wの中央部に対して上下に変形した状態となる。
【0027】
[チルティング]
次に図3から図5を用いてチルティングについて説明する。図3から図5は、エッジリングの状態とチルティングとの関係の一例を示す図である。図3では、エッジリング(リングアセンブリ112)が新品である場合における基板Wの端部のチルティングについて表している。なお、図3から図5では、基板Wが載置される中央領域111cが分割されていない静電チャック1111の場合について説明する。図3に示すように、エッジリングが新品である場合、エッジリングの上面は、基板Wの上面よりも高い状態である。このとき、エッジリングの上方に形成されるプラズマシース60の高さは、基板Wの上方に形成されるプラズマシース60の高さよりも高くなる。この場合、基板Wの端部では、イオン61が斜めに入射するため、形成されるホール62にチルティングと呼ばれる形状異常が発生する。ホール62は、基板Wの外周側に向かって傾いたチルト角63を有する。なお、チルティングとは、ホールが斜めに形成される形状異常である。
【0028】
図4では、エッジリング(リングアセンブリ112)が多少消耗した場合における基板Wの端部のチルティングについて表している。図4に示すように、エッジリングがある程度消耗し、エッジリングの上面の高さが基板Wの上面の高さと同じ高さとなると、基板W及びエッジリングの上方に形成されるプラズマシース64の高さは、同じ高さとなる。この場合、基板Wの端部では、イオン65が垂直に入射するため、形成されるホール66にはチルティングが発生しない。
【0029】
図5では、エッジリング(リングアセンブリ112)が消耗した場合における基板Wの端部のチルティングについて表している。図5に示すように、エッジリングが消耗した場合、エッジリングの上面は、基板Wの上面よりも低い状態である。このとき、エッジリングの上方に形成されるプラズマシース67の高さは、基板Wの上方に形成されるプラズマシース67の高さよりも低くなる。この場合、基板Wの端部では、イオン68が斜めに入射するため、形成されるホール69にチルティングと呼ばれる形状異常が発生する。ホール69は、基板Wの中心側に向かって傾いたチルト角70を有する。
【0030】
これに対し、本実施形態では、セラミック部材1111cを上下動させることで、プラズマシースの形状に沿うように基板Wの端部を変形させて、基板Wの端部におけるイオンの入射角度を調整し、基板Wの端部におけるチルティングの発生を抑制する。
【0031】
図6は、第1実施形態におけるエッジリングが新品状態である時の基板支持面の外周部の状態の一例を示す図である。図6に示すように、エッジリング(リングアセンブリ112)が新品状態である場合、リフター113が駆動機構114によって駆動されてセラミック部材1111cを上昇させ、基板Wの端部80を上昇させる。端部80は、上面が基板支持面である中央領域111aに対して中心側に向かって傾いた状態となる。すると、端部80の上面は、端部80の上方に形成されるプラズマシース71と略平行となる。端部80では、イオン72が垂直に入射するので、形成されるホール81におけるチルティングの発生を抑制することができる。なお、基板Wの中心部は、静電電極1111bによってセラミック部材1111aに吸着されているので浮くことはない。その後、エッジリングの消耗量に応じてセラミック部材1111cを下降させることで、チルティングの発生を継続して抑制する。なお、基板Wは、薄いほど端部80がセラミック部材1111cの動きに追従できるため、例えば100μm以下といった薄い基板Wを用いることが好ましいが、これに限定されず、通常の厚さ(例えば数百μm)の基板Wを用いてもよい。
【0032】
図7は、第1実施形態におけるエッジリングが消耗した状態である時の基板支持面の外周部の状態の一例を示す図である。図7に示すように、エッジリング(リングアセンブリ112)が消耗した状態である場合、リフター113が駆動機構114によって駆動されてセラミック部材1111cを下降させ、基板Wの端部80を下降させる。端部80は、上面が基板支持面である中央領域111aに対して外周側に向かって傾いた状態となる。すると、端部80の上面は、端部80の上方に形成されるプラズマシース73と略平行となる。端部80では、イオン74が垂直に入射するので、形成されるホール82におけるチルティングの発生を抑制することができる。なお、基板Wの中心部は、静電電極1111bによってセラミック部材1111aに吸着されているので浮くことはない。
【0033】
[変形例1]
上記の第1実施形態では、セラミック部材1111cが1つの部材として構成されたが、セラミック部材1111cは、周方向に複数の部材で構成され、それぞれリフター113によって上下動されるようにしてもよく、この場合の実施の形態につき変形例1として説明する。
【0034】
図8は、変形例1における基板支持面の一例を示す上面図である。図8に示すように、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1111aと、外周部のセラミック部材1111c1~1111c6とに分割されている。セラミック部材1111c1~1111c6の下部には、それぞれリフター113及び駆動機構114が設けられている。セラミック部材1111c1~1111c6は、それぞれリフター113に接続され、各駆動機構114により個別に上下動される。つまり、セラミック部材1111c1~1111c6の上面は、それぞれ異なる高さとすることができる。従って、中央領域111aに載置された基板Wの端部は、セラミック部材1111c1~1111c6それぞれの高さに応じて、基板Wの中央部に対して上又は下に変形した状態とすることができる。これにより、エッジリングの偏摩耗によるプラズマシースの高さの偏りに対応することができる。なお、セラミック部材1111cの周方向の分割数は、図8に示すような6つに限定されず、5つ以下や7つ以上に分割されてもよい。
【0035】
[変形例2]
上記の第1実施形態では、セラミック部材1111cが1つの部材として構成されたが、セラミック部材1111cは、経方向に複数の部材で構成され、それぞれリフター113によって上下動されるようにしてもよく、この場合の実施の形態につき変形例2として説明する。
【0036】
図9は、変形例2における基板支持面の一例を示す上面図である。図9に示すように、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1111aと、外周部のセラミック部材1111c7,1111c8とに分割されている。セラミック部材1111c7とセラミック部材1111c8とは、同心円状に配置されている。セラミック部材1111c7,1111c8の下部には、それぞれリフター113及び駆動機構114が設けられている。セラミック部材1111c7,1111c8は、それぞれリフター113に接続され、各駆動機構114により個別に上下動される。つまり、セラミック部材1111c7,1111c8の上面は、それぞれ異なる高さとすることができる。例えば、エッジリングが新品状態である場合、セラミック部材1111aから外周側に向けて、セラミック部材1111c7,1111c8を順番に高くすることで、基板Wの端部80を上昇させる。これにより、基板Wの端部80の傾斜をより細かく制御することができる。つまり、基板Wのたわみ具合を調整することができる。なお、セラミック部材1111cの経方向の分割数は、図9に示すような2つに限定されず、3つ以上に分割されてもよい。また、変形例1と組み合わせ、セラミック部材1111cを径方向に分割し、かつ径方向に分割されたセラミック部材1111cをさらに周方向に分割してもよい。
【0037】
[プラズマ処理方法]
続いて、第1実施形態におけるプラズマ処理について説明する。図10は、第1実施形態におけるプラズマ処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
第1実施形態におけるプラズマ処理では、まず、プラズマ処理チャンバ10内に基板Wが搬入され、静電チャック1111の中央領域111aに載置される。制御部2は、プラズマ処理チャンバ10内で、基板支持面である中央領域111aで支持される基板Wに対するプラズマ処理を実行するように制御する(ステップS1)。プラズマ処理が実行されることにより、エッジリング(リングアセンブリ112)が消耗する。次に、プラズマ処理チャンバ10から処理済みの基板Wが搬出される。なお、プラズマ処理で処理される基板Wの数は複数であってもよい。なお、セラミック部材1111cを一度も下降させていない場合のプラズマ処理は、第1の基板に対する第1のプラズマ処理の一例である。
【0039】
制御部2は、基板Wが搬出されると、エッジリングの消耗量を取得する(ステップS2)。エッジリングの消耗量は、例えば、図示しない搬送機構のフォークに設けられた距離センサによって測定された、エッジリングの上面までの距離に基づき消耗量を取得することができる。この場合、制御部2は、測定されたエッジリングの上面までの距離と、予め測定された新品状態におけるエッジリングの上面までの距離との差分に基づいて、エッジリングの消耗量を求めて取得する。また、例えば、制御部2は、記憶部2a2に記録された第1のプラズマ処理の処理時間(RF積算時間)に応じて消耗量を推定することで、エッジリングの消耗量を求めて取得してもよい。
【0040】
制御部2は、取得した消耗量がセラミック部材1111cを下降させるか否かを判定するための第1の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。制御部2は、取得した消耗量が第1の閾値未満であると判定した場合(ステップS3:No)、セラミック部材1111cを下降させないと決定し、ステップS1に戻る。制御部2は、取得した消耗量が第1の閾値以上であると判定した場合(ステップS3:Yes)、取得した消耗量がエッジリングを交換する必要があるか否かを判定するための第2の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0041】
制御部2は、取得した消耗量が第2の閾値未満であると判定した場合(ステップS4:No)、セラミック部材1111cを下降させるリフター113の動作量(下降量)を決定する。リフター113の下降量は、例えば、求めた消耗量に対応する基板Wの端部80の移動量に基づいて決定される。制御部2は、決定した下降量に基づいてリフター113を制御し、基板支持面の端部であるセラミック部材1111cを下降させ(ステップS5)、ステップS1に戻る。なお、セラミック部材1111cを下降させた後のプラズマ処理は、第2の基板に対する第2のプラズマ処理の一例である。
【0042】
制御部2は、取得した消耗量が第2の閾値以上であると判定した場合(ステップS4:Yes)、エッジリングを交換する(ステップS6)。エッジリングの交換は、例えば、制御部2が図示しない搬送機構のフォークを制御して交換してもよいし、プラズマ処理チャンバ10を開放して手作業で交換するようにしてもよい。制御部2は、エッジリングの交換が完了すると、リフター113を制御し、基板支持面の端部であるセラミック部材1111cを初期位置まで上昇させる(ステップS7)。なお、ステップS6とステップS7とは入れ替えてもよい。また、エッジリングの交換と、セラミック部材1111cの初期位置まで上昇とを行った後に、ステップS1に戻ってプラズマ処理を行う場合、当該プラズマ処理は、第3の基板に対する第3のプラズマ処理の一例である。このように、エッジリングの消耗量に応じてセラミック部材1111cを下降させるので、基板Wの端部におけるチルティングの発生を抑制することができる。
【0043】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、外周部のセラミック部材1111c内に静電電極を設けなかったが、セラミック部材1111c内に静電電極を設けてもよく、この場合の実施の形態につき第2実施形態として説明する。なお、第2実施形態におけるプラズマ処理システムの構成の一部は上述の第1実施形態と同様であるので、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0044】
図11は、第2実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。図11に示すように、第2実施形態のプラズマ処理装置1aの基板支持部11は、第1実施形態のプラズマ処理装置1の基板支持部11の本体部111に代えて、本体部115を有する。
【0045】
本体部115は、基台1150及び静電チャック1151を含む。基台1150は、導電性部材を含む。基台1150の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1151は、基台1150の上に配置される。静電チャック1151は、内周部のセラミック部材1151aと、外周部のセラミック部材1151cとを含む。また、静電チャック1151は、セラミック部材1151a内に配置される静電電極1151b1と、セラミック部材1151c内に配置される静電電極1151b2とを含む。静電電極1151b1及び静電電極1151b2は、図示しない直流電源に接続されている。セラミック部材1151a,1151cは、中央領域111aを有する。つまり、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1151aと、外周部のセラミック部材1151cとに分割されている。一実施形態において、基台1150は、セラミック部材1151cより外周部分において、環状領域111bを有する。この場合、エッジリング(リングアセンブリ112)は、基台1150の環状領域111b上に配置される。なお、第1実施形態と同様に、静電チャック1151のセラミック部材1151cよりさらに外周側に配置されたセラミック部材が、環状領域111bを有するようにしてもよい。
【0046】
図12は、第2実施形態における基板支持面の一例を示す上面図である。図11及び図12に示すように、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1151aと、外周部のセラミック部材1151cとに分割されている。セラミック部材1151cの下部には、リフター113及び駆動機構114が設けられている。セラミック部材1151cは、リフター113に接続され、駆動機構114により上下動される。つまり、セラミック部材1151cは、上面がセラミック部材1151aの上面に対して、同じ高さの状態から、高い状態又は低い状態とすることができる。従って、中央領域111aに載置された基板Wの端部は、セラミック部材1151cの高さに応じて、基板Wの中央部に対して上下に変形した状態となる。
【0047】
静電チャック1151では、セラミック部材1151c内にも静電電極1151b2が設けられているので、基板Wの端部を吸着することができる。例えば、セラミック部材1151cの上面の高さを、セラミック部材1151aの上面の高さよりも低くする場合、基板Wの端部が基板支持面から浮いてしまうことを抑制することができる。
【0048】
[変形例3]
上記の第2実施形態では、セラミック部材1151cが1つの部材として構成されたが、セラミック部材1151cは、周方向に複数の部材で構成され、それぞれリフター113によって上下動されるようにしてもよく、この場合の実施の形態につき変形例3として説明する。
【0049】
図13は、変形例3における基板支持面の一例を示す上面図である。図13に示すように、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1151aと、外周部のセラミック部材1151c1~1151c6とに分割されている。セラミック部材1151c1~1151c6の下部には、それぞれリフター113及び駆動機構114が設けられている。セラミック部材1151c1~1151c6は、それぞれリフター113に接続され、各駆動機構114により個別に上下動される。つまり、セラミック部材1151c1~1151c6の上面は、それぞれ異なる高さとすることができる。従って、中央領域111aに載置された基板Wの端部は、セラミック部材1151c1~1151c6それぞれの高さに応じて、基板Wの中央部に対して上又は下に変形した状態とすることができる。これにより、エッジリングの偏摩耗によるプラズマシースの高さの偏りに対応することができる。なお、セラミック部材1151cの周方向の分割数は、図13に示すような6つに限定されず、5つ以下や7つ以上に分割されてもよい。
【0050】
[変形例4]
上記の第2実施形態では、セラミック部材1151cが1つの部材として構成されたが、セラミック部材1151cは、経方向に複数の部材で構成され、それぞれリフター113によって上下動されるようにしてもよく、この場合の実施の形態につき変形例4として説明する。
【0051】
図14は、変形例4における基板支持面の一例を示す上面図である。図14に示すように、基板支持面である中央領域111aは、内周部のセラミック部材1151aと、外周部のセラミック部材1151c7,1151c8とに分割されている。セラミック部材1151c7とセラミック部材1151c8とは、同心円状に配置されている。セラミック部材1151c7,1151c8の下部には、それぞれリフター113及び駆動機構114が設けられている。セラミック部材1151c7,1151c8は、それぞれリフター113に接続され、各駆動機構114により個別に上下動される。つまり、セラミック部材1151c7,1151c8の上面は、それぞれ異なる高さとすることができる。例えば、エッジリングが新品状態である場合、セラミック部材1151aから外周側に向けて、セラミック部材1151c7,1151c8を順番に高くすることで、基板Wの端部80を上昇させる。これにより、基板Wの端部80の傾斜をより細かく制御することができる。つまり、基板Wのたわみ具合を調整することができる。なお、セラミック部材1151cの経方向の分割数は、図14に示すような2つに限定されず、3つ以上に分割されてもよい。また、変形例3と組み合わせ、セラミック部材1151cを径方向に分割し、かつ径方向に分割されたセラミック部材1151cをさらに周方向に分割してもよい。
【0052】
以上、各実施形態によれば、基板支持部11は、基台(基台1110,1150)と、基台の上に配置され、基板支持面(中央領域111a)を備える静電チャック(静電チャック1111,1151)であって、基板支持面が内周部(セラミック部材1111a,1151a)と外周部(セラミック部材1111c,1151c)とに分割された静電チャックと、外周部を上下動させるリフター113と、基板支持面を囲むように配置されたエッジリング(リングアセンブリ112)と、を有する。その結果、基板Wの端部におけるチルティングの発生を抑制することができる。
【0053】
また、各実施形態によれば、静電チャックは、内周部を構成する第1のセラミック部材(セラミック部材1111a,1151a)と、外周部を構成する第2のセラミック部材(セラミック部材1111c,1151c)とを備え、第1のセラミック部材の内部に第1の電極(静電電極1111b,1151b1)を備える。
【0054】
また、第2実施形態によれば、静電チャック1151は、第2のセラミック部材(セラミック部材1151c)の内部に、第2の電極(静電電極1151b2)を備える。
【0055】
また、各実施形態によれば、外周部は、径方向に複数の部材(セラミック部材1111c7,1111c8,1151c7,1151c8)に分割され、分割された複数の部材それぞれにリフター113が設けられている。
【0056】
また、各実施形態によれば、外周部は、周方向に複数の部材(セラミック部材1111c1~1111c6,1151c1~1151c6)に分割され、分割された複数の部材それぞれにリフター113が設けられている。
【0057】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理装置(プラズマ処理装置1,1a)は、チャンバ(プラズマ処理チャンバ10)と、チャンバ内に設けられた、上述の基板支持部11とを有する。
【0058】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理装置は、さらに、エッジリングの消耗量を取得する取得部(制御部2)を有する。
【0059】
また、各実施形態によれば、さらに、エッジリングの消耗量に応じて、リフター113の動作量を制御する制御部2を有する。
【0060】
また、各実施形態によれば、外周部は径方向に複数の部材に分割され、分割された複数の部材それぞれにリフター113が設けられ、制御部2は、取得部で取得した消耗量に応じて、分割された複数の部材それぞれの下降量が異なるように、リフター113の動作量を制御する。
【0061】
また、各実施形態によれば、外周部は周方向に複数の部材に分割され、分割された複数の部材それぞれにリフター113が設けられ、制御部2は、取得部で取得した消耗量に応じて、分割された複数の部材それぞれの下降量が異なるように、リフター113の動作量を制御する。
【0062】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理方法は、基板支持部11の基板支持面を囲むように配置されたエッジリングを有するプラズマ処理装置におけるプラズマ処理方法であって、a)第1の基板(基板W)を基板支持面で支持し、第1のプラズマ処理を行う工程と、b)基板支持面の端部(セラミック部材1111c,1151c)を下降させる工程と、c)第2の基板(基板W)を基板支持面で支持し、第2のプラズマ処理を行う工程と、を有する。
【0063】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理方法は、c)の後に、d)エッジリングを交換する工程と、e)基板支持面の端部を上昇させる工程と、を有する。
【0064】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理方法は、e)の後に、f)第3の基板(基板W)を基板支持面で支持し、第3のプラズマ処理を行う工程、を有する。
【0065】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理方法は、b)の前に、g)エッジリングの消耗量を取得する工程、を有し、b)は、g)において得られた消耗量に応じて、基板支持面の端部を下降させる。
【0066】
また、各実施形態によれば、g)は、消耗量を測定し、測定した消耗量を取得する。
【0067】
また、各実施形態によれば、g)は、a)の処理時間に応じて消耗量を推定し、推定した消耗量を取得する。
【0068】
また、各実施形態によれば、基板支持面の端部は周方向に複数の部材に分割され、b)は、g)において得られた消耗量に応じて、少なくとも1つの部材の下降量が、他の部材の下降量と異なるように下降させる。
【0069】
また、各実施形態によれば、基板支持面の端部は径方向に複数の部材に分割され、b)は、g)において得られた消耗量に応じて、少なくとも1つの部材の下降量が、他の部材の下降量と異なるように下降させる。
【0070】
今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の各実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【0071】
例えば、上記した各実施形態では、静電チャックの外周部(セラミック部材1111c,1151c)の下部にリフター113を設けたが、これに限られない。静電チャックのみならず基台も分割し、分割した基台の下部にリフター113を設けて分割した基台ごと静電チャックの外周部を上下動させてもよい。
【0072】
また、上記した各実施形態では、プラズマ源として容量結合型プラズマを用いて基板Wに対してエッチング等の処理を行うプラズマ処理装置1,1aを例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。プラズマを用いて基板Wに対して処理を行う装置であれば、プラズマ源は容量結合プラズマに限られず、例えば、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、マグネトロンプラズマ等、任意のプラズマ源を用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
1,1a プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
111 本体部
111a 中央領域
111b 環状領域
112 リングアセンブリ(エッジリング)
113 リフター
1110,1150 基台
1111,1151 静電チャック
1111a,1151a セラミック部材(内周部)
1111b,1151b1 静電電極(内周部)
1111c,1151c セラミック部材(外周部)
1111c1~1111c8,1151c1~1151c8 セラミック部材(外周部)
1151b2 静電電極(外周部)
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14