(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064227
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】印刷システム、液体吐出装置および液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/42 20060101AFI20230501BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230501BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20230501BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B41J29/42 B
B41J29/00 G
B41J3/407
B41J2/01 305
B41J29/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174367
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 正治
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB58
2C056EC13
2C056EC26
2C056EC28
2C056FA10
2C061AQ05
2C061CJ01
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HK19
2C061HK23
(57)【要約】
【課題】印刷時間を短縮可能な印刷システムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る印刷システムは、画像データに基づいて液体を吐出することにより、印刷媒体に画像を印刷する液体吐出装置と、前記液体吐出装置に前記画像データを供給する情報処理装置と、を有する印刷システムであって、前記液体吐出装置は、前記印刷媒体を載置する載置面を含む載置部材を有し、前記情報処理装置は、前記画像データを出力する出力部を有し、前記載置部材に載置される前記印刷媒体の位置および方向のうち、前記画像データの元となる元画像データに基づいて決定される最も印刷時間が短くなる前記印刷媒体の位置および方向を提示させる提示部を有する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて液体を吐出することにより、印刷媒体に画像を印刷する液体吐出装置と、前記液体吐出装置に前記画像データを供給する情報処理装置と、を有する印刷システムであって、
前記液体吐出装置は、前記印刷媒体を載置する載置面を含む載置部材を有し、
前記情報処理装置は、前記画像データを出力する出力部を有し、
前記載置部材に載置される前記印刷媒体の位置および方向のうち、前記画像データの元となる元画像データに基づいて決定される最も印刷時間が短くなる前記印刷媒体の位置および方向を提示させる提示部を有する印刷システム。
【請求項2】
前記液体吐出装置が前記元画像データに基づき印刷する第1印刷時間と、前記液体吐出装置が前記元画像データを所定角度、回転させた回転画像データに基づき印刷する第2印刷時間と、を比較し、前記第2印刷時間が前記第1印刷時間よりも短い場合に、前記所定角度を前記印刷媒体の方向として決定する決定部を有し、
前記提示部は、前記決定部により決定された前記印刷媒体の位置および方向を提示させる請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記元画像データに含まれる画像の長さが最も長い方向である長手方向が主走査方向に沿うように、前記印刷媒体の方向を決定する決定部を有する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記載置部材は、複数のブロック体を含み、前記複数のブロック体のそれぞれの高さを変化させることにより、前記印刷媒体の凹凸に応じて前記載置面の凹凸形状を可変であり、
前記複数のブロック体のそれぞれの一部は、前記載置面の一部をなす請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記複数のブロック体のそれぞれは発光部を有し、
前記提示部は、前記発光部による発光を制御することにより、前記印刷媒体の位置および方向を提示させる請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
画像データに基づいて液体を吐出することにより、印刷媒体に画像を印刷する液体吐出装置であって、
前記印刷媒体を載置する載置面を含む載置部材と、
前記載置部材に載置される前記印刷媒体の位置および方向のうち、前記画像データの元となる元画像データに基づいて決定される最も印刷時間が短くなる前記印刷媒体の位置および方向を提示させる提示部と、を有する液体吐出装置。
【請求項7】
画像データに基づいて液体を吐出することにより、印刷媒体に画像を印刷する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、
載置面を含む載置部材により、前記印刷媒体を載置し、
提示部により、前記載置部材に載置される前記印刷媒体の位置および方向のうち、前記画像データの元となる元画像データに基づいて決定される最も印刷時間が短くなる前記印刷媒体の位置および方向を提示させる液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、液体吐出装置および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データに基づいて液体を吐出することにより、Tシャツや、ハンカチ、靴下等の印刷媒体に画像を印刷するガーメントプリンタ等の液体吐出装置と、該液体吐出装置に画像データを供給する情報処理装置と、を有する印刷システムが知られている。
【0003】
上記の印刷システムが有する情報処理装置として、印刷時間を短くするために、対象画像を印刷するためのオリジナル画像、オリジナル画像を+90度回転した画像、およびオリジナル画像を-90度回転した画像の中から、短時間で印刷可能な画像を選択する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、印刷媒体の位置および方向の選択自由度が低いため、印刷時間を短縮することに制限があった。
【0005】
本発明は、印刷時間を短縮可能な印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る印刷システムは、画像データに基づいて液体を吐出することにより、印刷媒体に画像を印刷する液体吐出装置と、前記液体吐出装置に前記画像データを供給する情報処理装置と、を有する印刷システムであって、前記液体吐出装置は、前記印刷媒体を載置する載置面を含む載置部材を有し、前記情報処理装置は、前記画像データを出力する出力部を有し、前記載置部材に載置される前記印刷媒体の位置および方向のうち、前記画像データの元となる元画像データに基づいて決定される最も印刷時間が短くなる前記印刷媒体の位置および方向を提示させる提示部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷時間を短縮可能な印刷システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る印刷システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る液体吐出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る液体吐出装置の構成例を示す上面図である。
【
図4】実施形態に係る液体吐出装置の構成例を示す正面図である。
【
図5】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例の図である。
【
図6】第1実施形態に係るプラテンの構成例を示す上面図である。
【
図7】第1実施形態に係るプラテンの構成例を示す正面図である。
【
図10】ガーメントを載置した場合の
図6のV-V断面図である。
【
図11】第1実施形態に係るプラテンによる第1載置例の図である。
【
図12】第1実施形態に係るプラテンによる第2載置例の図である。
【
図13】第1実施形態に係る情報処理装置の機能構成例の図である。
【
図14】第1実施形態に係る画像データの第1例を示す図である。
【
図15】第1実施形態に係る画像データの第2例を示す図である。
【
図16】第1実施形態に係る画像データの第3例を示す図である。
【
図17】第1実施形態に係るヘッドの相対移動の第1例を示す図である。
【
図18】第1実施形態に係るヘッドの相対移動の第2例を示す図である。
【
図19】第1実施形態に係るヘッドの相対移動の第3例を示す図である。
【
図20】第1実施形態に係る情報処理装置による処理の第1例の図である。
【
図21】第1実施形態に係る情報処理装置による処理の第2例の図である。
【
図22】第2実施形態に係るプラテンの構成例を示す断面図である。
【
図23】第2実施形態に係る情報処理装置の機能構成例の図である。
【
図24】第2実施形態に係るプラテンによる第1載置例の図である。
【
図25】第2実施形態に係るプラテンによる第2載置例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下に示す図でX軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合があるが、X軸に沿うX方向は、実施形態に係る液体吐出装置が備えるキャリッジの移動方向である主走査方向を示し、Y軸に沿うY方向は記録媒体の移動方向である副走査方向を示し、Z軸に沿うZ方向は、主走査方向及び副走査方向の両方に直交する方向を示すものとする。Z方向は典型的には鉛直方向である。以下に示す実施形態では、Z方向は、液体吐出装置による液体の吐出方向に沿う方向である。
【0011】
X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記する。またZ方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。但し、これらのことは、液体吐出装置の使用時における向きを制限するものではなく、液体吐出装置の向きは任意である。
【0012】
また、実施形態の用語において、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0013】
[実施形態]
<印刷システム100の構成例>
図1は、第1実施形態に係る印刷システム100の全体構成を例示する図である。印刷システム100は、液体吐出装置1と、情報処理装置2と、を有する。
【0014】
液体吐出装置1は、画像データに基づいて画像形成用のインクを吐出する、いわゆるインクジェット方式によってガーメントに画像を印刷するものである。このような液体吐出装置1はガーメントプリンタと称することもできる。
【0015】
ガーメントは、布地、衣服、衣類または衣装等を意味する印刷媒体の一例である。ガーメントには、襟が付いていないシャツであるTシャツや、ハンカチ、靴下等が含まれる。但し、実施形態に係る印刷媒体は、ガーメントに限定されるものではない。
【0016】
実施形態に係る印刷媒体は、ヘッドから吐出されたインクが少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するもの等を意味する。具体例としては、ガーメント、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム等の被記録媒体であり、特に限定しない限り、インクが付着する全てのものが含まれる。印刷媒体の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、プラスチック等、インクが一時的でも付着可能であればよい。
【0017】
インクは液体の一例である。但し、実施形態に係る液体は画像形成用のインクに限定されるものではない。実施形態に係る液体は、画像または膜等の目的とする機能を実現する液体を意味する。この液体は、液体を吐出するヘッドが吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料、顔料、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、懸濁液、エマルジョン等である。
【0018】
情報処理装置2は、液体吐出装置1に画像データImを供給するものである。情報処理装置2は、例えばPC(Personal Computer)等のコンピュータによって構築される。情報処理装置2は、インターネットまたはLAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、液体吐出装置1と通信可能に接続している。情報処理装置2は、液体吐出装置1に画像データImを含む印刷ジョブを送信することにより、液体吐出装置1に画像データImを供給できる。
【0019】
但し、情報処理装置2から液体吐出装置1への画像データImの供給方法は、ネットワークNWを介するものに限定されない。例えば、情報処理装置2はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記憶媒体を介して液体吐出装置1に画像データImを供給することもできる。情報処理装置2は、外部機器I/Fを介して接続されたUSBメモリに画像データImを出力し、USBメモリに記憶させる。この後、USBメモリは、印刷システム100のユーザ(以下、単にユーザという)により運搬された後、液体吐出装置1に設けられた外部機器I/Fを介して液体吐出装置1に接続される。液体吐出装置1はUSBメモリから読み出すことにより、画像データImを取得できる。
【0020】
<液体吐出装置1の構成例>
図2から
図4を参照して、液体吐出装置1の構成について説明する。
図2から
図4は、液体吐出装置1の構成を例示する図であり、
図2は斜視図、
図3は上面図、
図4は正面図である。
【0021】
図2から
図4に示すように、インクを吐出するヘッド30が搭載されたキャリッジ13は、主走査モータ27により主走査タイミングベルト12が駆動されることにより、ガイドロッドに沿って主走査方向および副走査方向のそれぞれに移動する。この際に、液体吐出装置1は、キャリッジ13の位置を検出するために、周期的スリットが形成もしくは印刷されたエンコーダーシート11をキャリッジ13上のセンサにより読み取りながら吐出位置でタイミングを合わせ、コントローラボード15からの制御信号に応じてヘッド30がインク滴を吐出することにより、画像を形成する。
【0022】
ヘッド30は、インクを吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータ等を使用するものが含まれる。
【0023】
ヘッド30は、キャリッジ13上に4個搭載されており、それぞれのヘッド30が副走査方向に複数のノズルが配列した2列のノズル列を有している。液体吐出装置1は、キャリッジ13内のヘッド30の直上に、吐出に使用するインクを一時的に貯留しておくためのヘッドタンクを備えている。このヘッドタンクは、インク供給チューブとインク供給ポンプを介して、インクカートリッジ16に接続されており、必要に応じてインクカートリッジ16からインクの補給を受けることができる。
【0024】
印刷媒体としてのガーメントは、プラテン22上に載置される。プラテン22は、ガーメントを載置する載置面を含む載置部材の一例である。プラテン22は、プラテン昇降機構29上に搭載され、上下方向に位置を調整可能である。またプラテン昇降機構29は、副走査のスライダ19上に搭載されており、スライダ19は副走査のガイドレール20に沿って副走査タイミングベルト21、副走査の駆動機構及びコントローラボード15により制御されて、副走査方向に移動可能である。
【0025】
ガーメントに画像を印刷する時には、液体吐出装置1は、次のような手順により動作する。
【0026】
まず、ガーメントがプラテン22に載置される。
【0027】
続いて、液体吐出装置1は、操作パネル18による操作により、スライダ19によりプラテン22を-Y方向に引き込むように動作させる。この引き込みの際に、液体吐出装置1は、プラテン22上のガーメントがヘッド30にぶつかるか否かを高さ検知センサ23により検出し、ヘッド30に衝突する場合にはNGとしてプラテン22の引き込みをその場で停止する。或いは液体吐出装置1は、プラテン22を液体吐出装置1の正面におけるガーメントの載置位置まで戻す。
【0028】
プラテン22の-Y方向への引き込みが問題なく完了した場合には、液体吐出装置1は、画像データImの待機状態となる。ここで、液体吐出装置1は、情報処理装置2から画像データImを受信する。或いは、予めコントローラボード15に蓄積されていた画像データImがある場合には、この画像データImを操作パネル18により選択することによって、液体吐出装置1は印刷動作を開始する。
【0029】
液体吐出装置1は、印刷動作を開始すると、まずスライダ19によりプラテン22を印刷開始位置まで移動する。
【0030】
続いて、液体吐出装置1は、キャリッジ13を主走査方向へ1回移動させながら(1スキャン)、インクを吐出することにより印刷を行う。その後、液体吐出装置1は、印刷の完了タイミングを合わせて、スライダ19により+Y方向側にプラテン22を移動させる。この副走査方向に沿った移動は、改行処理に対応する。これにより、ガーメントは、次の印刷位置に移動される。
【0031】
液体吐出装置1は、スライダ19の移動完了後、キャリッジ13を再度1スキャンの印刷を行う。液体吐出装置1は、キャリッジ13の主走査方向への移動と、その後のスライダ19による副走査方向への移動を繰り返し行うことでにより、ガーメントの所望の領域に印刷を行う。
【0032】
液体吐出装置1は、印刷が完了すると、プラテン22を液体吐出装置1の+Y方向側である印刷開始位置まで戻す。これにより印刷動作が完了する。
【0033】
ここで、液体吐出装置1は、左空吐出受け25を有する。左空吐出受け25は、印刷の途中において空気に触れることにより乾燥し粘度が上がってしまったヘッド30内のインクを捨て吐出(空吐出)する場所である。左空吐出受け25には、適切なタイミングでコントローラボード15からの指示によりインクが捨て吐出される。
【0034】
また液体吐出装置1は、維持機構14(メンテナンスユニット)を有する。維持機構14はヘッド30の機能の維持回復機構を有する。維持機構14は、液体吐出装置1が印刷を行わない時に、ヘッド30におけるインク露出部を乾燥から保護するために、ヘッド30におけるノズルが設けられたノズル面を覆うためのキャップを含む。キャップは、保湿キャップ31および吸引キャップ32の2種類を含む。
【0035】
保湿キャップ31は、純粋にノズル面を覆い、乾燥から保護するためだけの機能を有する。吸引キャップ32は、保湿キャップ31の機能に加え、吸引ポンプに接続され、ヘッド30から増粘したインク等を吸引することにより、ヘッド30を適切な状態に回復する機能を有する。
【0036】
吸引ポンプにより吸引されたインクは、廃液チューブを経由し、廃液ボトルに排出される。また維持機構14は、吸引後のノズル面に残った余分なインクを清掃し、ノズル状態を回復するためのワイパ33を有する。液体吐出装置1は、ヘッド30の増粘インクを吸引後に、ワイパ33によりノズル面を払拭することにより、余分なインクを掻き落とし、ノズルにおけるメニスカスを正常な状態にする。
【0037】
<情報処理装置2のハードウェア構成例>
図5は、印刷システム100が有する情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、HDD(Hard Disk)204と、を有する。また情報処理装置2は、外部機器I/F(Interface)205と、ネットワークI/F206と、表示部207と、操作部208と、を有する。これらはシステムバスを介して相互に電気的に接続している。
【0038】
CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されているプログラムを実行することにより、制御部110全体の動作を制御する。
【0039】
HDD204は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納する。HDD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。なお、情報処理装置2は、記憶部としてHDD204に代えてSSD(Solid State Drive)等を備えてもよい。
【0040】
外部機器I/F205は、USBメモリ等の外部機器と通信可能に接続するインターフェースである。
【0041】
ネットワークI/F206は、ネットワークNWと通信可能に接続するインターフェースである。情報処理装置2は、ネットワークI/F206およびネットワークNWを介して液体吐出装置1と通信可能に接続できる。
【0042】
表示部207は、各種のアプリケーションソフトウェア(以下、単にアプリケーション)の実行画面等を表示する。表示部207は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置を含む。
【0043】
操作部208は、印刷システム100のユーザによる操作入力を受け付ける。操作部208は、マウスまたはキーボード等の入力装置を含む。
【0044】
<第1実施形態に係るプラテン22の構成例>
次に、
図6から
図12を参照して、液体吐出装置1が有する第1実施形態に係るプラテン22の構成について説明する。
図6および
図7は、プラテン22の構成を例示する図であり、
図6は上面図、
図7は正面図である。
図8は、
図6における領域Aの拡大上面図である。
図9は
図6のV-V断面図である。
図10は、ガーメントGを載置した場合の
図6のV-V断面図である。
図11および
図12は、プラテン22による載置の一例を示す図であり、
図11は第1例、
図12は第2例である。
【0045】
図6から
図10に示すように、プラテン22は、載置面22Aと、複数のブロック体220と、を含み、複数のブロック体220のそれぞれの高さを変化させることにより、ガーメントGの凹凸に応じて載置面22Aの凹凸形状を可変である。複数のブロック体220のそれぞれの一部は、載置面22Aの一部をなす。
【0046】
図6において、複数のブロック体220は、X方向およびY方向のそれぞれに沿って整列している小さい四角により表示されている。
【0047】
ガーメントGの凹凸は、Z方向に沿った凹凸であり、載置面22Aの凹凸形状は、Z方向に沿った凹凸形状である。複数のブロック体220のそれぞれの一部は、複数のブロック体220のそれぞれの+Z方向側の面である。複数のブロック体220のそれぞれの+Z方向側の面が、X方向およびY方向に沿って並ぶことにより、載置面22Aを構成している。載置面22A上にガーメントGが載置される。
【0048】
図6および
図7に示すように、プラテン22は、プラテン昇降機構29に固定され、プラテン昇降機構29によってZ方向に昇降可能である。プラテンベース221は、-Z方向側の面がプラテン昇降機構29に向き合うように配置され、複数のブロック体220は、プラテンベース221の+Z方向側の面上に固定される。
【0049】
液体吐出装置1は、プラテン昇降機構29を昇降させることにより、載置面22A上に載置されたガーメントGの+Z方向側の面と、ヘッド30のノズルとの距離が所望の距離になるように調整する。
【0050】
図8および
図9に示すように、複数のブロック体220のそれぞれは、上面視の形状が略矩形、側面視の形状が略台形である箱状部材であり、内部にプッシュバネ223を有する。
【0051】
プッシュバネ223は、Z方向に沿って弾性力が作用するように配置され、ブロック体220を+Z方向に付勢する。ブロック体220は、Z方向に沿って変位可能である。ブロック体220は、-Z方向に押圧力が作用すると-Z方向に変位し、該押圧力が取り除かれると、プッシュバネ223の弾性力により+Z方向に変位して元の位置に戻る。例えば複数のブロック体220は、第1位置と、第1位置よりも-Z方向側の位置である第2位置と、を切替可能なプッシュスイッチとして構成される。ユーザはブロック体220を-Z方向に押すことにより、第1位置と第2位置とを交互に切り替えることができる。
【0052】
図10に示すように、載置面22AがガーメントGを載置する場合には、ユーザは、載置面22A上に載置されたガーメントGの端部に位置するブロック体220を-Z方向に押して変位させる。複数のブロック体220のそれぞれには、載置面22A上に載置されたガーメントGを抑える押さえ部材222が設けられている。
【0053】
プラテン22は、隣り合うブロック体220のそれぞれの押さえ部材222によりガーメントGの端部を挟むことによって、載置面22A上にガーメントGを載置した状態で固定する。またプラテン22は、ガーメントGを固定することにより、ガーメントGに張力を与えることができ、ガーメントGの表面に撓みがなく、該表面がヘッド30からのインクの吐出方向に対して略直交するようにガーメントGを固定することができる。
【0054】
また複数のブロック体220のそれぞれとプラテンベース221との間には、センサ224が設けられている。センサ224は、例えばブロック体220が変位することによってブロック体220の一部に押圧された場合に、この押圧力を検出するプッシュスイッチ式センサである。また、例えばブロック体220を金属等の導電性材料を含んで構成し、センサ224としてブロック体220の接触による通電を検出するものを用いてもよい。
【0055】
センサ224は、ブロック体220が第2位置に位置するか否かを示す検出信号をコントローラボード15に出力する。例えばセンサ224は、ブロック体220が第2位置に位置する場合にはオン信号を出力し、ブロック体220が第2位置に位置しない場合にはオフ信号を出力する。
図10において、センサ224aは、オン信号を出力するセンサを表し、センサ224bは、オフ信号を出力するセンサを表している。情報処理装置2は、コントローラボード15を介して、センサ224による検出信号を入力することもできる。
【0056】
図11および
図12に示すように、プラテン22は、載置面22Aに載置されたガーメントGの端部における複数の箇所を、それぞれ押さえ部材222により固定することもできる。この場合のガーメントGの端部は、載置面22Aに載置されたガーメントGを上面視した場合の輪郭部に対応する。
【0057】
図11の例では、ガーメントG1は靴下であり、上面視した靴下の輪郭部に位置するセンサ224がオン(センサ224a)になっており、ガーメントG1は、センサ224がオンの箇所において、押さえ部材222により固定されている。
【0058】
図12の例では、ガーメントG2およびG3は、それぞれ上面視の形状が略矩形形状であるハンカチである。上面視した2つのハンカチにおける輪郭部に位置するセンサ224がオン(センサ224a)になっており、ガーメントG2およびG3は、それぞれセンサ224がオンの箇所において、押さえ部材222により固定されている。
【0059】
[第1実施形態]
<情報処理装置2の機能構成例>
図13は、第1実施形態に係る情報処理装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置2は、画像読込部211と、回転画像生成部212と、印刷時間予測部213と、決定部214と、提示部215と、受付部216と、出力部217と、を有する。
【0060】
情報処理装置2は、CPU201が所定のプログラムを実行することにより、画像読込部211、回転画像生成部212、印刷時間予測部213、決定部214および提示部215の各機能を実現する。あるいは情報処理装置2は、上記の各構成部の機能の少なくとも一部を電気回路または電子回路により実現することもできる。また情報処理装置2は、受付部216の機能を操作部208により実現し、出力部217の機能を外部機器I/F205またはネットワークI/F206により実現する。
【0061】
画像読込部211は、画像データImの元となる元画像データIoを読み込む機能を有する。画像読込部211は、例えばHDD204に格納された元画像データIoをHDD204から読み込むことができる。あるいは画像読込部211は、外部機器I/F205を介して接続された外部装置や、ネットワークI/F206およびネットワークNWを介して接続された外部装置から元画像データIoを読み込んでもよい。
【0062】
回転画像生成部212は、画像読込部211を介して入力した元画像データIoを所定角度回転した回転画像データIrを生成する。所定角度は例えば-90度等であるが、これに限定されず、任意の角度であってよい。
【0063】
印刷時間予測部213は、画像読込部211から入力した元画像データIoに基づき、液体吐出装置1によるガーメントGへの画像の第1印刷時間Taを演算により予測する。また印刷時間予測部213は、回転画像生成部212から入力した回転画像データIrに基づき、液体吐出装置1によるガーメントGへの画像の第2印刷時間Tbを演算により予測する。
【0064】
液体吐出装置1は、ヘッド30の主走査方向への相対移動を繰り返して印刷を行う。このため、印刷時間予測部213は、元画像データIoまたは回転画像データIrに基づき取得されるヘッド30の主走査方向への相対移動回数と、主走査方向への移動にかかる時間と、を積算することにより第1印刷時間Taおよび第2印刷時間Tbを予測できる。
【0065】
決定部214は、液体吐出装置1によるガーメントGへの印刷時間の情報に基づき、ガーメントGの位置および方向を決定する。例えば決定部214は、印刷時間予測部213が予測した第1印刷時間Taおよび第2印刷時間Tbを比較し、第2印刷時間Tbが第1印刷時間Taよりも少ない場合に、回転画像データIrの回転角度である所定角度を、ガーメントGの方向として決定する。
【0066】
ここで、液体吐出装置1は、ヘッド30の主走査方向への相対移動回数が少ないほど、ガーメントGへの印刷時間が短くなる。また元画像データIoに含まれる画像の長さが最も長い方向である長手方向が、主走査方向に略平行になった場合に、ヘッド30の主走査方向への相対移動回数は最も少なくなる。従って、決定部214は、元画像データIoに含まれる画像の長手方向が主走査方向に沿うように、ガーメントGの方向を決定してもよい。
【0067】
また、液体吐出装置1は、ヘッド30の副走査方向への相対移動距離が短いほど、ガーメントGへの印刷時間が短くなる。またガーメントGに印刷する画像の位置が、プラテン22上におけるヘッド30の印刷開始位置に近いほど、ヘッド30の副走査方向への相対移動距離が短くなる。従って、決定部214は、ガーメントGに印刷する画像の位置がプラテン22上におけるヘッド30の印刷開始位置に近くなるように、ガーメントGの位置を決定する。
【0068】
決定部214は、決定したガーメントGの位置および方向に応じて、元画像データIoに含まれる画像の位置および方向を変更することにより、画像データImを生成する。具体的には、決定部214は、決定した方向に応じた元画像データIoまたは回転画像データIrのどちらか一方に含まれる画像の位置を、決定したガーメントGの位置に応じて変更することにより、画像データImを生成する。或いは、決定部214は、決定したガーメントGの位置および方向に応じて元画像データIoに含まれる画像の位置および方向を変更することにより、画像データImを生成する。
【0069】
提示部215は、決定部214により決定されたガーメントGの位置および方向を提示させる。例えば提示部215は、ガーメントGの位置および方向を示す画面を表示部207に表示させることによって、ガーメントGの位置および方向を提示させ、印刷システム100のユーザに視認させることができる。ユーザは、提示されたガーメントGの位置および方向に応じて、プラテン22の載置面22AにガーメントGを載置できる。
【0070】
受付部216は、ガーメントGが載置面22Aに載置された後に、ユーザが操作部208を介して行った印刷指示を受け付ける。
【0071】
出力部217は、決定部214により生成された画像データImを出力すると共に、液体吐出装置1に印刷指示を出力する。出力部217により出力された画像データImは、ネットワークNWまたは可搬記憶媒体を介して液体吐出装置1に供給される。
【0072】
<第1実施形態に係る画像データImの例>
図14から
図16は、第1実施形態に係る画像データImを例示する図であり、
図14は第1例、
図15は第2例、
図16は第3例である。
【0073】
情報処理装置2には、元画像データIoを編集するための編集アプリケーションがインストールされている。
図14から
図16は、編集アプリケーションを実行させた場合に、情報処理装置2の表示部207に表示される元画像データIoの編集画面320を表している。
【0074】
図14から
図16において、編集画面320は、表示画像Dと、編集ボタン321と、印刷ボタン322と、を表示する。表示画像Dは、画面中央に表示され、編集ボタン321および印刷ボタン322は、表示画像Dの周囲に表示される。但し、表示画像D、編集ボタン321および印刷ボタン322の表示位置は任意である。また編集画面320は、表示画像D、編集ボタン321および印刷ボタン322以外のユーザインターフェース(UI)部品を表示してもよい。
【0075】
表示画像Dは、画像データImに基づいてガーメントGに印刷される画像を表している。編集ボタン321は、元画像データIoの編集を開始する場合に操作されるボタンである。印刷ボタン322は、印刷を開始する場合に操作されるボタンである。表示画像Dにおけるブロック画像Giは、プラテン22のブロック体220を表している。
【0076】
図14において、靴下画像D1aは、ガーメントGとしての靴下を表し、印刷画像D2aは、靴下に印刷される画像を表している。印刷画像D2aは、元画像データIoに対応する。
【0077】
図15において、靴下画像D1bは、ガーメントGとしての靴下を表し、印刷画像D2bは、靴下に印刷される画像を表している。靴下画像D1bは、靴下画像D1aに対して-90度回転している。印刷画像D2bは、靴下画像D1bの回転に応じて、元画像データIoを-90度回転した回転画像データIrに対応する。
【0078】
図16において、靴下画像D1cは、ガーメントGとしての靴下を表し、印刷画像D2cは、靴下に印刷される画像を表している。靴下画像D1cは、靴下画像D1aに対して+20度回転している。印刷画像D2cは、靴下画像D1cの回転に応じて、元画像データIoを+20度回転した回転画像データIrに対応する。
【0079】
<第1実施形態に係るヘッド30の相対移動例>
図17から
図19は、第1実施形態に係るヘッド30の主走査方向に沿ったガーメントGに対する相対移動を例示する図であり、
図17は第1例、
図18は第2例、
図19は第3例である。ヘッド30は、キャリッジ13が主走査方向に沿って移動することにより、ガーメントGに対して主走査方向に沿って相対移動する。
【0080】
図17、
図8および
図19に太線矢印により示した経路351、352および353は、それぞれヘッド30の主走査方向に沿った相対移動の経路を表している。
【0081】
図17は、ガーメントGとしての靴下が回転にしていない状態、ここではガーメントGに印刷される画像の長手方向が主走査方向に略直交する状態において、プラテン22に載置された場合におけるヘッド30の相対移動の一例を示している。経路351によって示したように、靴下が回転していない状態では、主走査方向への相対移動回数は7回となる。
【0082】
図18は、ガーメントGとしての靴下が-90度回転した状態、ここではガーメントGに印刷される画像の長手方向が主走査方向に略平行な状態において、プラテン22に載置された場合におけるヘッド30の相対移動の一例を示している。経路352によって示したように、靴下が-90度回転した状態では、主走査方向への相対移動回数は1回となる。
【0083】
図17および
図18に示すように、ガーメントGに印刷される画像の長手方向が主走査方向に略平行になるようにガーメントGがプラテン22に載置されると、ヘッド30の相対移動回数が最小になる。ヘッド30の相対移動回数が少なくなるに従って印刷時間は短縮され、該相対移動回数が最小になる場合に、印刷時間は最も短くなる。
【0084】
また
図19に示すように、ガーメントGとしての靴下に対して画像の長手方向が傾いた画像を印刷する場合には、画像の長手方向が主走査方向に略平行になるようにガーメントGがプラテン22に傾いて載置されることにより、印刷時間は最も短くなる。
【0085】
<情報処理装置2による処理例>
図20は、情報処理装置2による処理の第1例を示すフローチャートである。情報処理装置2は、ユーザによる操作部208を介した編集アプリケーションを起動させる操作入力に応じて
図20の処理を開始する。
【0086】
まず、ステップS201において、情報処理装置2は、画像読込部211により、画像データImの元となる元画像データIoを読み込む。
【0087】
続いて、ステップS202において、情報処理装置2は、回転画像生成部212により、画像読込部211を介して入力した元画像データIoを所定角度回転した回転画像データIrを生成する。
【0088】
続いて、ステップS203において、情報処理装置2は、印刷時間予測部213により、画像読込部211から入力した元画像データIoに基づき、液体吐出装置1によるガーメントGへの画像の第1印刷時間Taを予測する。また情報処理装置2は、印刷時間予測部213により、回転画像生成部212から入力した回転画像データIrに基づき、液体吐出装置1によるガーメントGへの画像の第2印刷時間Tbを予測する。
【0089】
続いて、ステップS204において、情報処理装置2は、決定部214により、印刷時間予測部213が予測した第1印刷時間Taと第2印刷時間Tbとを比較し、第1印刷時間Taが第2印刷時間Tbよりも大きいか否かを判定する。
【0090】
ステップS204において、第1印刷時間Taが第2印刷時間Tbよりも大きいと判定された場合には(ステップS204、Yes)、ステップS205において、情報処理装置2は、決定部214により所定角度(回転画像データIrの方向)をガーメントGの方向として決定する。一方、第1印刷時間Taが第2印刷時間Tbよりも大きくないと判定された場合には(ステップS204、No)、ステップS206において、情報処理装置2は、決定部214により元画像データIoの方向をガーメントGの方向として決定する。
【0091】
続いて、ステップS207において、情報処理装置2は、決定部214により、ガーメントGに印刷する画像の位置が、プラテン22上におけるヘッド30の印刷開始位置に近くなるように、ガーメントGの位置を決定する。
【0092】
続いて、ステップS208において、情報処理装置2は、決定部214によって、決定したガーメントGの位置および方向に応じて元画像データIoにおける画像の位置および方向を変更することにより、画像データImを生成する。
【0093】
続いて、ステップS209において、情報処理装置2は、提示部215により、決定部214により決定されたガーメントGの位置および方向を提示させる。
【0094】
続いて、ステップS210において、情報処理装置2は、受付部216により、ユーザによる印刷指示を受け付けたか否かを判定する。
【0095】
ステップS210において、受け付けていないと判定された場合には(ステップS210、No)、情報処理装置2は、ステップS210の処理を再度行う。一方、受け付けたと判定された場合には(ステップS210、Yes)、出力部217は、決定部214により生成された画像データImを出力すると共に、液体吐出装置1に印刷指示を出力する。出力部217により出力された画像データImは、ネットワークNWまたは可搬記憶媒体を介して液体吐出装置1に供給される。
【0096】
以上のようにして、情報処理装置2は、ガーメントGの位置および方向を提示しつつ、画像データImを液体吐出装置1に供給することができる。
【0097】
本実施形態では、決定部214が、元画像データIoに基づく第1印刷時間Taと、回転画像データIrに基づく第2印刷時間Tbの2つを比較する場合を例示したが、これに限定されるものではない。回転画像生成部212は、回転角度が相互に異なる2以上の回転画像データIrを生成し、決定部214は元画像データIoおよび2以上の回転画像データIrのそれぞれを相互に比較して、最も印刷時間が短くなる角度をガーメントGの方向として決定してもよい。
【0098】
図21は、情報処理装置2による処理の第2例を示すフローチャートである。
図21の処理は、
図20の処理と比較してステップS221のみが異なっており、ステップS222からステップS232までの処理は、
図20におけるステップS201からステップS211までの処理と同じである。このため、ここでは重複する説明を省略し、相違点のみ説明する。
【0099】
図21のステップS221において、情報処理装置2は、決定部214により、プラテン22の設定情報を取得する。ここで、プラテン22は複数の種類のものがある。プラテン22の種類と、プラテン22の設定条件および印刷条件の情報と、を対応付けた情報がHDD204等に格納されている。決定部214は、受付部216を介して受け付けたユーザによるプラテン22の種類を示す情報に基づき、HDD204を参照して、プラテン22の設定条件および印刷条件の情報を取得する。
【0100】
情報処理装置2は、プラテン22の設定条件および印刷条件の情報に基づいて、ステップS222以降の処理を実行する。また情報処理装置2は、ステップS230において、ガーメントGの位置および方向を提示させると共に、取得したプラテン22の設定条件を併せて提示させることができる。
【0101】
<印刷システム100の作用効果>
以上説明したように、印刷システム100は、画像データImに基づいてインク(液体)を吐出することにより、ガーメントG(印刷媒体)に画像を印刷する液体吐出装置1と、液体吐出装置1に画像データImを供給する情報処理装置2と、を有する。情報処理装置2は、画像データImを出力する出力部217を有し、液体吐出装置1は、ガーメントGを載置する載置面22Aを含むプラテン22(載置部材)を有する。印刷システム100は、プラテン22に載置されるガーメントGの位置および方向のうち、画像データImの元となる元画像データIoに基づいて決定される最も印刷時間が短くなるガーメントGの位置および方向を提示させる提示部215を有する。
【0102】
最も印刷時間が短くなるガーメントGの位置および方向を提示部215により提示させることにより、ユーザは、最も印刷時間が短くなるガーメントGの位置および方向に、プラテン22の載置面22A上にガーメントGを載置させることができる。印刷システム100は、このように載置されたガーメントGに対して、画像データImに基づいて印刷することにより、最も短い印刷時間でガーメントGに画像を印刷できる。また任意の位置に、任意の方向でガーメントGを載置させることができるため、プラテン22上に載置されるガーメントGの位置および方向の選択自由度が高い。このため、印刷時間が短くなるようにガーメントGを載置させやすい。以上により、本実施形態では、印刷時間を短縮可能な印刷システム100を提供することができる。
【0103】
また本実施形態では、液体吐出装置1が元画像データIoに基づき印刷する第1印刷時間Taと、液体吐出装置1が元画像データIoを所定角度回転させた回転画像データIrに基づき印刷する第2印刷時間Tbと、を比較し、第2印刷時間Tbが第1印刷時間Taよりも短い場合に、プラテン22に載置されるガーメントGの方向として所定角度を決定する決定部214を有する。提示部215は、決定部214により決定されたガーメントGの位置および方向を提示させる。この構成により、印刷システム100は、プラテン22に載置されるガーメントGの位置および方向を決定し、提示部215により提示させることができる。
【0104】
ここで、決定部214は、元画像データIoに含まれる画像の長さが最も長い方向である長手方向が主走査方向に沿うように、プラテン22に載置されるガーメントGの方向を決定してもよい。このように決定した方向において、プラテン22にガーメントGを載置させることによっても、印刷システム100は、最も短い印刷時間でガーメントGに画像を印刷することができる。
【0105】
また本実施形態では、プラテン22は、複数のブロック体220を含み、複数のブロック体220のそれぞれの高さを変化させることにより、ガーメントGの凹凸に応じて載置面22Aの凹凸形状を可変である。複数のブロック体220のそれぞれの一部は、載置面22Aの一部をなす。
【0106】
例えばガーメントGの表面に凹凸があると、この凹凸に応じて、ヘッド30とガーメントGの表面までの距離が所望の距離からずれる場合がある。ヘッド30とガーメントGの表面までの距離が所望の距離からずれると、ガーメントG上に付着するインクの位置が所望の位置からずれ、ガーメントGに形成される画像の品質が低下する。
【0107】
印刷システム100は、複数のブロック体220のそれぞれの高さを変化させることにより、ガーメントGの凹凸を補正して略平坦な状態にできる。これにより、印刷システム100は、ヘッド30とガーメントGの表面までの距離が所望の距離からずれることを防ぎ、ガーメントGに形成される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0108】
なお、本実施形態に係る情報処理装置2が有する各機能構成部の機能の一部を、液体吐出装置1が有してもよい。情報処理装置2が有する各機能構成部の機能の全部を液体吐出装置1が有すると、液体吐出装置1は、最も短い印刷時間でガーメントGに画像を印刷できる。換言すると、印刷時間を短縮可能な液体吐出装置1を提供できる。
【0109】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る印刷システム100aについて説明する。なお、第1実施形態と同一または同質の構成部には、同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0110】
本実施形態では、印刷システム100aが有するプラテン22aに含まれる複数のブロック体220aのそれぞれは、発光部を有し、提示部215aは、発光部による発光を制御することにより、プラテン22aに載置されるガーメントGの位置および方向を提示させる。
【0111】
図22は、第2実施形態に係るプラテン22aの構成の一例を示す断面図である。プラテン22aは複数のブロック体220aを有する。複数のブロック体220aのそれぞれは、発光部225を有する。発光部225は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。発光部225は、制御信号に応じて発光(オン)または非発光(オフ)のどちらかに切替可能である。
図22における発光部225aは発光状態の発光部を表し、発光部225bは非発光状態の発光部を表している。
【0112】
図23は、第2実施形態に係る情報処理装置2aの機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置2aは、提示部215aを有する。情報処理装置2aは、提示部215aの機能をCPU201が所定のプログラムを実行することにより実現する。
【0113】
提示部215aは、発光部225による発光を制御することにより、プラテン22aに載置されるガーメントGの位置および方向を提示させる。例えば、提示部215aは、決定部214により決定されたガーメントGの位置および方向に応じて、プラテン22aの載置面22Aに載置されるガーメントGの端部位置に対応するブロック体220aの発光部225を発光させ、ガーメントGの端部位置以外に対応するブロック体220aの発光部225を非発光にする。
【0114】
ユーザは、発光するブロック体220aの位置にガーメントGの端部が位置するように、プラテン22aの載置面22AにガーメントGを載置させる。そして、ユーザは、発光するブロック体220aを-Z方向に押圧し、プラテン22aは、押さえ部材222を用いてガーメントGを固定することができる。
【0115】
【0116】
図24および
図25に示すように、載置面22Aに載置されるガーメントG1およびG2の端部位置に対応する発光部225aは発光しており、該端部位置以外の発光部225bは非発光となっている。ユーザは、ガーメントG1およびG2の位置および方向を、発光部225aによる発光に基づき容易に認識でき、印刷時間を短縮可能な位置および方向で、ガーメントG1およびG2を載置面22Aに容易に載置させることができる。そして、印刷時間を短縮可能な印刷システム100aを提供できる。なお、この効果以外の効果は、第1実施形態において説明したものと同様である。
【0117】
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0118】
上述した実施形態では、キャリッジ13が移動することにより、ヘッド30をガーメントGに対して相対移動させる構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。キャリッジ13は移動せず、ガーメントGが移動することにより、ヘッド30をガーメントGに対して相対移動させることもできる。
【0119】
実施形態は、液体吐出方法を含む。例えば、液体吐出方法は、画像データに基づいて液体を吐出することにより、印刷媒体に画像を印刷する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、載置部材により、前記印刷媒体を載置し、提示部により、前記載置部材に載置される前記印刷媒体の位置および方向のうち、前記画像データの元となる元画像データに基づいて決定される最も印刷時間が短くなる前記印刷媒体の位置および方向を提示させる。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置1と同様の効果を得ることができる。
【0120】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0121】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0122】
1 液体吐出装置
2 情報処理装置
11 エンコーダーシート
12 主走査タイミングベルト
13 キャリッジ
14 維持機構
15 コントローラボード
16 インクカートリッジ
18 操作パネル
19 スライダ
20 ガイドレール
21 副走査タイミングベルト
22 プラテン(載置部材の一例)
22A 載置面
220 ブロック体
221 プラテンベース
222 押さえ部材
223 プッシュバネ
224 センサ
225 発光部
23 高さ検知センサ
25 左空吐出受け
27 主走査モータ
29 プラテン昇降機構
30 ヘッド
31 保湿キャップ
32 吸引キャップ
33 ワイパ
100、100a 印刷システム
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 HDD
205 外部機器I/F
206 ネットワークI/F
207 表示部
208 操作部
211 画像読込部
212 回転画像生成部
213 印刷時間予測部
214 決定部
215 提示部
216 受付部
217 出力部
320 編集画面
321 編集ボタン
322 印刷ボタン
351、352、353 経路
D 表示画像
G ガーメント(印刷媒体の一例)
Im 画像データ
Io 元画像データ
Ir 回転画像データ
NW ネットワーク
Ta 第1印刷時間
Tb 第2印刷時間
X 主走査方向
Y 副走査方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】