(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064346
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230501BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20230501BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H05K1/11 H
H05K3/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174579
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 明宏
【テーマコード(参考)】
5E317
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB13
5E317BB15
5E317CC32
5E317CC33
5E317CC52
5E317CD32
5E317GG20
(57)【要約】
【課題】パッドを微細化することができる配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板は、第1面を備えた絶縁層と、前記絶縁層を貫通する第1ビアホールと、前記第1ビアホール内に設けられ、前記第1面から露出する第1パッドと、前記第1ビアホール内に設けられた第1ビア導体を介して前記第1パッドに接続された第1配線部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を備えた絶縁層と、
前記絶縁層を貫通する第1ビアホールと、
前記第1ビアホール内に設けられ、前記第1面から露出する第1パッドと、
前記第1ビアホール内に設けられた第1ビア導体を介して前記第1パッドに接続された第1配線部と、
を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第1パッドと前記第1ビア導体との界面において、前記第1パッドの直径、前記第1ビア導体の直径及び前記第1ビアホールの直径が互いに等しいことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1パッドの前記第1配線部側の面の全体が前記第1ビア導体に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1面から露出する第2パッドを有し、
前記絶縁層に前記第2パッドの前記第1面とは反対側の面に到達する第2ビアホールが形成されており、
前記第2ビアホール内に設けられた第2ビア導体を介して前記第2パッドに接続された第2配線部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1パッドの前記第1面から露出する部分の材料と、前記第2パッドの前記第1面から露出する部分の材料とが相違することを特徴とする請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1パッドの前記第1面から露出する部分の材料が金であり、
前記第2パッドの前記第1面から露出する部分の材料が銅であることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2パッドの直径は前記第1パッドの直径よりも大きいことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2パッドは前記第1パッドよりも厚いことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第2パッドと前記第2ビア導体との界面において、前記第2ビア導体の直径及び前記第2ビアホールの直径が互いに等しいことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項10】
前記第2パッドの前記第2配線部側の面の一部が前記第2ビア導体に接触し、残部が前記絶縁層に接触することを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項11】
前記第1ビアホールの直径が前記第2ビアホールの直径よりも小さいことを特徴とする請求項4乃至10のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の配線基板と、
前記配線基板にフリップチップ実装され、前記第1パッドに接続された半導体素子と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
支持基板の上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に、前記支持基板に到達する第1ビアホールを形成する工程と、
無電解めっき法により、前記第1ビアホール内に露出する前記支持基板の上に第1パッドを形成する工程と、
前記第1ビアホール内の第1ビア導体を介して前記第1パッドに接続される第1配線部を形成する工程と、
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁層を形成する工程の前に、電解めっき法により、前記支持基板の上に第2パッドを形成する工程を有し、
前記第1パッドを形成する工程と前記第1配線部を形成する工程との間に、前記絶縁層に前記第2パッドに到達する第2ビアホールを形成する工程を有し、
更に、前記第2ビアホール内の第2ビア導体を介して前記第2パッドに接続される第2配線部を形成する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記第1配線部と前記第2配線部とが同時に形成されることを特徴とする請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1パッドの前記支持基板側の面を構成する材料と、前記第2パッドの前記支持基板側の面を構成する材料とが相違することを特徴とする請求項14又は15に記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記第1パッドの前記支持基板側の面を構成する材料が金であり、
前記第2パッドの前記支持基板側の面を構成する材料が銅であることを特徴とする請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子がフリップチップ実装される配線基板には、複数のフリップチップ実装用のパッドが設けられている。従来、フリップチップ実装用のパッドは、電解めっき法により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-287742号公報
【特許文献2】特開2016-178247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子の高集積化に伴って、配線基板に設けられるパッドの微細化が望まれる。
【0005】
本開示は、パッドを微細化することができる配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、第1面を備えた絶縁層と、前記絶縁層を貫通する第1ビアホールと、前記第1ビアホール内に設けられ、前記第1面から露出する第1パッドと、前記第1ビアホール内に設けられた第1ビア導体を介して前記第1パッドに接続された第1配線部と、を有する配線基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、パッドを微細化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図7】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。本開示では、便宜上、配線基板の半導体素子が搭載される側を一方の側又は下側、その反対側を他方の側又は上側とする。また、配線基板の半導体素子が搭載される面を一方の面又は下面、その反対側の面を他方の面又は上面とする。但し、配線基板及び半導体装置は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物を配線基板及び半導体装置の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を配線基板及び半導体装置の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は配線基板に関する。
【0011】
[配線基板の構造]
まず、配線基板の構造について説明する。
図1は、第1実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る配線基板100は、一方の第1面10Aと、他方の第2面10Bとを備えた第1絶縁層10を有する。第1面10Aは下面であり、第2面10Bは上面である。第1絶縁層10に、複数の第1ビアホール11と、複数の第2ビアホール12とが形成されている。例えば、第1ビアホール11及び第2ビアホール12の平面形状は円形状である。第1ビアホール11は第1絶縁層10を貫通し、第1面10A及び第2面10Bに端部を有する。第2ビアホール12は第1絶縁層10を貫通しておらず、後述の第2パッド22の上面(第2面10B側の面)と第2面10Bとに端部を有する。例えば、第1ビアホール11及び第2ビアホール12の直径は50μm~80μm程度である。例えば、平面視で、複数の第2ビアホール12は、複数の第1ビアホール11の周囲に形成されている。
【0013】
配線基板100は、複数の第1パッド21を有する。第1ビアホール11の内側に1個ずつ第1パッド21が設けられている。第1パッド21は第1面10Aから露出している。第1パッド21は第1面10Aと面一の下面を有する。第1パッド21の側面は第1ビアホール11の内壁面に接しており、第1パッド21の直径は実質的に第1ビアホール11の直径に等しい。例えば、第1パッド21の直径は50μm~80μm程度である。第1パッド21は、例えば、第1面10A側から第2面10B側に向かって順に積層された、金膜と、パラジウム膜と、ニッケル膜とを含む。この場合、金膜が第1面10Aから露出する。例えば、第1パッド21の厚さは合計で3μm~5μm程度である。
【0014】
配線基板100は、複数の第2パッド22を有する。第2パッド22は、第1面10Aから露出している。第2パッド22は第1面10Aと面一の下面を有する。例えば、平面視で、複数の第2パッド22は、複数の第1パッド21の周囲に形成されている。第2ビアホール12は、第2パッド22の接続部に到達するように形成されている。第2パッド22の直径は第2ビアホール12の直径よりも大きい。また、第2パッド22の直径は第1パッド21の直径よりも大きい。例えば、第2パッド22の直径は100μm~150μm程度である。第2パッド22は、例えば、電解銅めっき膜である。第2パッド22は第1パッド21よりも厚い。例えば、第2パッド22の厚さは5μm~15μm程度である。
【0015】
配線基板100は、第1絶縁層10上に形成された第1配線層30を有する。第1配線層30は、第1ビアホール11内の第1ビア導体31Vを介して第1パッド21に接続された第1配線部31と、第2ビアホール12内の第2ビア導体32Vを介して第2パッド22に接続された第2配線部32とを含む。第1パッド21の上面の全体が第1ビア導体31Vに接触する。例えば、第1パッド21に含まれるニッケル膜の上面の全体が第1ビア導体31Vに接触する。一方、第2パッド22の上面の一部が第2ビア導体32Vに接触し、第2パッド22の上面の残部は第1絶縁層10に接触する。
【0016】
第1パッド21と第1ビア導体31Vとの界面において、第1パッド21の直径、第1ビア導体31Vの直径及び第1ビアホール11の直径が互いに等しい。また、第2パッド22と第2ビア導体32Vとの界面において、第2ビア導体32Vの直径及び第2ビアホール12の直径が互いに等しく、第2ビア導体32Vの第2パッド22に接する面の直径は、第2パッド22の上面の直径よりも小さい。
【0017】
第1絶縁層10上に第2絶縁層40が形成されている。第2絶縁層40には、第1配線層30の接続部に到達する第3ビアホール43が形成されており、第2絶縁層40上に、第3ビアホール43内のビア導体を介して第1配線層30に接続される第2配線層50が形成されている。
【0018】
第1絶縁層10の下面にソルダレジスト層60が形成され、第2絶縁層40の上面にソルダレジスト層70が形成されている。ソルダレジスト層60に、第1パッド21に達する第1開口部61と、第2パッド22に達する第2開口部62とが形成され、ソルダレジスト層70に第2配線層50の接続部に達する第3開口部73が形成されている。
【0019】
このように構成された配線基板100は、例えば、バンプを介して第1パッド21に電極が接続されるようにして半導体素子がフリップチップ実装されて使用される。
【0020】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図6は、第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0021】
まず、
図2(a)に示すように、支持基板90を準備する。支持基板90としては、例えば、プリプレグの基体91と、キャリア銅箔92と、銅箔93とを有する。キャリア銅箔92が基体91の上に設けられ、銅箔93が剥離層(図示せず)を介してキャリア銅箔92の上に設けられている。基体91は、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を予めガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布に含浸させたものである。例えば、キャリア銅箔92の厚さは10μm~50μm程度であり、銅箔93の厚さは1.5μm~5μm程度である。
【0022】
支持基板90としては、配線基板100が複数個取れる大判の支持基板が使用される。つまり、支持基板90は、配線基板100に対応する構造体が形成される複数の領域を有している。そして、複数の配線基板100となる部材を一括して作製した後、切断線CLに沿った切断により、当該部材が個々の配線基板100に個片化される。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板100の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0023】
次いで、
図2(b)に示すように、銅箔93の上面の全体に感光性のめっきレジスト層80を形成する。めっきレジスト層80としては、例えば、ドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0024】
その後、
図2(c)に示すように、めっきレジスト層80を露光及び現像し、第2パッド22を形成する部分を露出する開口部81をめっきレジスト層80に形成する。開口部81の直径は100μm~150μm程度である。
【0025】
続いて、
図2(d)に示すように、銅箔93をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、開口部81内に露出する銅箔93の上面に第2パッド22として電解銅めっき膜を形成する。第2パッド22の形成に用いる電解めっき液の温度は、例えば40℃~50℃程度である。めっきレジスト層80は40℃~50℃程度の電解めっき液に対して十分な耐性を有する。例えば、第2パッド22の厚さは5μm~15μm程度である。第2パッド22の直径は開口部81の直径と等しい。
【0026】
次いで、
図3(a)に示すように、めっきレジスト層80を除去する。
【0027】
その後、
図3(b)に示すように、銅箔93の上面上に第2パッド22を覆うように未硬化の樹脂フィルムを貼付する。その後、この樹脂フィルムを加熱処理して硬化させることにより、第1絶縁層10を形成する。第1絶縁層10は、第1面10A(下面)と第2面10B(上面)とを有する。第1絶縁層10は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂から形成される。液状樹脂を塗布することにより、第1絶縁層10を形成してもよい。
【0028】
続いて、
図3(c)に示すように、第1絶縁層10をレーザで加工することにより、銅箔93に到達する第1ビアホール11を第1絶縁層10に形成する。例えば、第1ビアホール11の直径は50μm~80μm程度である。
【0029】
次いで、
図3(d)に示すように、第1ビアホール11内に露出する銅箔93の上面に第1パッド21を形成する。第1パッド21の形成では、銅箔93の上に金膜を形成し、金膜の上にパラジウム膜を形成し、パラジウム膜の上にニッケル膜を形成する。第1パッド21の形成に用いる無電解めっき液の温度は、例えば70℃~90℃程度である。一般に、めっきレジスト層は70℃~90℃程度の無電解めっき液に溶出しやすいが、本実施形態では、無電解めっきの際にめっきレジスト層が存在しない。このため、本実施形態では、めっきレジスト層の溶出に伴う歩留まりの低下等を回避できる。例えば、第1パッド21の厚さは合計で3μm~5μm程度である。第1パッド21の直径は第1ビアホール11の直径と等しい。
【0030】
その後、
図4(a)に示すように、第1絶縁層10をレーザで加工することにより、第2パッド22に到達する第2ビアホール12を第1絶縁層10に形成する。例えば、第2ビアホール12の直径は50μm~80μm程度である。
【0031】
続いて、
図4(b)に示すように、第1配線層30を第1絶縁層10上に形成する。第1配線層30は、第1ビアホール11内の第1ビア導体31Vを介して第1パッド21に接続される第1配線部31と、第2ビアホール12内の第2ビア導体32Vを介して第2パッド22に接続される第2配線部32とを含む。第1パッド21の上面の全体が第1配線部31に接触する。一方、第2パッド22の上面の一部が第2配線部32に接触する。
【0032】
第1配線層30はセミアディティブ法によって形成することができる。ここで、第1配線層30の形成方法について詳しく説明する。まず、第1絶縁層10の上面と、第1ビアホール11の内面と、第2ビアホール12の内面とに無電解めっき法又はスパッタ法により、銅等からなるシード層(不図示)を形成する。次いで、シード層上に、第1配線層30を形成する部分に開口部が設けられためっきレジスト層(不図示)を形成する。続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、めっきレジスト層の開口部に銅等からなる金属めっき層を形成する。その後、めっきレジスト層を除去する。次いで、金属めっき層をマスクにしてシード層をウェットエッチングにより除去する。このようにして、シード層及び金属めっき層を含む第1配線層30を形成することができる。なお、図の簡略化の為、シード層と金属めっき層を一体のものとして第1配線層30を図示している。
【0033】
第1配線層30の形成の後、
図4(c)に示すように、第1絶縁層10上に第1配線層30を覆うように第2絶縁層40を形成する。第2絶縁層40は、第1絶縁層10と同様の方法で形成することができる。
【0034】
次いで、
図5(a)に示すように、第2絶縁層40をレーザで加工することにより、第1配線層30の接続部に到達する第3ビアホール43を第2絶縁層40に形成する。第3ビアホール43は、第1ビアホール11と同様の方法で形成することができる。
【0035】
その後、
図5(b)に示すように、第3ビアホール43内のビア導体を介して第1配線層30に接続される第2配線層50を第2絶縁層40上に形成する。第2配線層50は、第1配線層30と同様の方法で形成することができる。
【0036】
続いて、
図5(c)に示すように、銅箔93とキャリア銅箔92とを互いに分離し、キャリア銅箔92及び基体91を剥離する。
【0037】
次いで、
図6(a)に示すように、銅箔93を除去する。銅箔93は、例えばウェットエッチングにより除去することができる。この結果、第1絶縁層10の下面(第1面10A)と、第1パッド21の下面と、第2パッド22の下面とが露出する。
【0038】
その後、
図6(b)に示すように、第1絶縁層10の下面にソルダレジスト層60を形成し、第2絶縁層40の上面にソルダレジスト層70を形成する。次いで、ソルダレジスト層60に、第1パッド21に達する第1開口部61と、第2パッド22に達する第2開口部62とを形成し、ソルダレジスト層70に第2配線層50の接続部に達する第3開口部73を形成する。
【0039】
ソルダレジスト層60及び70は、感光性のエポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の絶縁樹脂から形成される。樹脂フィルムの貼り付け又は液状樹脂の塗布により、ソルダレジスト層60及び70を形成してもよい。第1開口部61、第2開口部62及び第3開口部73は、露光及び現像により形成することができる。ソルダレジスト層60及び70に非感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いてもよい。この場合、第1開口部61、第2開口部62及び第3開口部73は、レーザ加工又はブラスト処理により形成することができる。
【0040】
その後、
図6(c)に示すように、
図6(b)に示す構造体を切断線CLに沿ってスライサー等により切断する。これにより、配線基板100に対応する構造体が個片化され、第1実施形態に係る配線基板100が複数得られる。このようにして、第1実施形態に係る配線基板100を製造することができる。
【0041】
第1実施形態では、レーザを用いた第1絶縁層10の加工により形成した第1ビアホール11内に第1パッド21を自己整合的に設けることができる。仮に、第1パッド21を形成した後に、第1パッド21に到達するようにレーザを用いてビアホーを形成する場合には、レーザ光の位置ずれを考慮したマージンを設けた大きさに第1パッド21を形成する必要がある。これに対し、本実施形態では、このようなマージンが不要であるため、第1パッド21を微細に高精度で形成することができる。
【0042】
また、第1パッド21の第1面10Aから露出する部分の材料と、第2パッド22の第1面10Aから露出する部分の材料とを異ならせることができる。このため、これらの材料を第1パッド21及び第2パッド22の用途に応じて選択することができる。例えば、第1パッド21が半導体素子のフリップチップ実装に使用され、第2パッド22がワイヤボンディングに使用される場合、第1パッド21の下面を構成する材料を金とし、第2パッド22の下面を構成する材料を銅とすることができる。また、第2パッド22の下面に水溶性プリフラックス(organic solderability preservative:OSP)処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0043】
更に、めっきレジスト層を用いずに第1パッド21を無電解めっき法により形成することができる。めっきレジスト層を用いて、パターン化された無電解めっき膜を形成しようとする場合、めっき液へのめっきレジスト層の溶出に伴う歩留まりの低下等が生じてしまう。これに対し、本実施形態では、第1絶縁層10に形成した第1ビアホール11内に第1パッド21を形成するため、歩留まりの低下等を回避しながら、第1パッド21を微細に高精度で形成することができる。
【0044】
また、
図3(d)に示すように、複数の第1パッド21の形成に際し、これら複数の第1パッド21は銅箔93を介して電気的に同一の電位にある。このため、複数の第1パッド21は互いに同程度の速度で形成され、複数の第1パッド21の間に優れた厚さの均一性を得ることができる。
【0045】
なお、第1ビアホール11の直径が第2ビアホール12の直径よりも小さくてもよい。また、第1ビアホール11及び第2ビアホール12が、第2面10B側より第1面10A側で直径が小さくなるテーパ状の断面形状を有していてもよい。この場合、第1ビアホール11の直径は、第1ビアホール11の第1面10Aでの直径であり、第2ビアホール12の直径は、第2ビアホール12の第1面10A側の端部での直径である。
【0046】
また、各パッド及びビアホールの平面形状は円形状である必要はない。平面形状が真円ではないパッド及びビアホールの直径は、円相当径で代用することができる。
【0047】
また、上述の製造方法では、基体91の一方の側のみにキャリア銅箔92及び銅箔93が形成された支持基板90を使用し、一方の側のみに配線基板100を形成しているが、基体91の他方の側にもキャリア銅箔92及び銅箔93を形成しておき、他方の側にも配線基板100を形成してもよい。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は半導体装置に関する。
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。第2実施形態では、
図1とは、配線基板100が天地逆の状態で配置される。このため、第2実施形態については、第1実施形態とは、上下方向を逆向きにして説明する。
【0049】
図7に示すように、第2実施形態に係る半導体装置200は、第1実施形態に係る配線基板100と、積層半導体素子210と、バンプ220と、ボンディングワイヤ230と、封止樹脂240とを有する。
【0050】
積層半導体素子210は、第1半導体素子211と、第2半導体素子212とを有する。第1半導体素子211はバンプ220を介して第1パッド21に接続されている。つまり、第1半導体素子211は配線基板100にフリップチップ実装されている。バンプ220には、例えば、はんだバンプが用いられる。はんだバンプの材料としては、錫銀(SnAg)系合金、錫亜鉛(SnZn)系合金及び錫銅(SnCu)系合金等の無鉛はんだ、並びに鉛錫(PbSn)系合金の有鉛はんだが例示される。
【0051】
第2半導体素子212は第1半導体素子211の上に積層されている。第2半導体素子212の上面には外部接続用のパッドが形成されており、ボンディングワイヤ230がこのパッドと第2パッド22とを接続している。そして、ソルダレジスト層60の上面側において、第2パッド22、バンプ220、積層半導体素子210及びボンディングワイヤ230が封止樹脂240により封止されている。
【0052】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 第1絶縁層
10A 第1面
10B 第2面
11 第1ビアホール
12 第2ビアホール
21 第1パッド
22 第2パッド
30 第1配線層
31 第1配線部
31V 第1ビア導体
32 第2配線部
32V 第2ビア導体
80 めっきレジスト層
100 配線基板
200 半導体装置
220 バンプ
230 ボンディングワイヤ