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特開2023-64984画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064984
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/52 20060101AFI20230502BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230502BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230502BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B41J2/52
B41J29/38 301
G03G15/00 303
G03G21/00 386
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175494
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 拓真
【テーマコード(参考)】
2C061
2C262
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HJ07
2C061HK10
2C061HK11
2C061HV01
2C061HV32
2C262AA02
2C262AA04
2C262AB19
2C262BB09
2C262BC01
2C262BC17
2C262EA11
2C262EA14
2H270LA14
2H270LA26
2H270LA28
2H270LC02
2H270LD03
2H270MA07
2H270MB14
2H270MB17
2H270MB27
2H270MB39
2H270QB07
2H270QB21
2H270RA03
2H270RA05
2H270RB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像形成装置の出力特性の調整のためのチャートの印刷および測色による損紙および手間を低減することができる画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法を提供する。
【解決手段】本発明は、前記入力画像データの階調値を、階調補正テーブルを用いて補正する階調補正部と、前記画像形成部により画像出力される階調補正用チャートの測色値と、予め設定された目標出力特性と、に基づいて、前記階調補正テーブルを補正する階調補正テーブル補正部と、前記階調補正用チャートを画像出力する際、データ蓄積部に蓄積されている測色時の環境情報のうち、現在の環境情報を基準に所定範囲内の環境情報と対応付けられる前記測色値に基づいて、前記画像形成部の画像の出力特性を予測する出力特性予測部と、予測される前記出力特性が前記目標出力特性より低い場合に、前記画像形成部の画像の出力特性を調整する出力特性調整部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに対応する画像出力を行う画像形成部と、
前記入力画像データの階調値を、階調補正テーブルを用いて補正する階調補正部と、
前記入力画像データに対して予め設定される目標出力特性を保持する目標出力特性保持部と、
前記画像形成部により画像出力される階調補正用チャートの測色値と、前記目標出力特性と、に基づいて、前記階調補正テーブルを補正する階調補正テーブル補正部と、
前記測色値および当該測色値の取得時における環境情報を蓄積するデータ蓄積部と、
前記階調補正用チャートを画像出力する際、前記データ蓄積部に蓄積される前記環境情報のうち、現在の環境情報を基準に所定範囲内の前記環境情報と対応付けられる前記測色値に基づいて、前記画像形成部の画像の出力特性を予測する出力特性予測部と、
予測される前記出力特性が前記目標出力特性より低い場合に、前記画像形成部の画像の出力特性を調整する出力特性調整部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記環境情報は、温度および湿度を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
予測される前記出力特性が前記目標出力特性より低い場合に、前記画像形成部の画像の出力特性を調整する旨をユーザに通知する通知部をさらに備える請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記出力特性予測部は、前記出力特性の予測に必要な前記測色値が不足している場合、前記画像形成部の画像の出力特性を調整するか否かをユーザにより選択可能とする、請求項1から3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記階調補正テーブル補正部に対して、前記階調補正テーブルの補正を指示する指示部をさらに備え、
前記出力特性予測部は、前記指示部からの指示に応じて、前記階調補正用チャートの出力前に、前記出力特性を予測する、請求項1から4のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項6】
予測される前記出力特性が前記目標出力特性から乖離しており、前記画像形成部の画像の出力特性の調整によって、前記目標出力特性を実現できない場合に、前記目標出力特性の見直しまたはサービスを呼ぶことをユーザに通知する通知部をさらに備える請求項1から5のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項7】
入力画像データに対応する画像出力を行う画像形成部と、
前記入力画像データの階調値を、階調補正テーブルを用いて補正する階調補正部と、
前記入力画像データに対して予め設定される目標出力特性を保持する目標出力特性保持部と、
前記画像形成部により画像出力される階調補正用チャートの測色値と、前記目標出力特性と、に基づいて、前記階調補正テーブルを補正する階調補正テーブル補正部と、
前記測色値および当該測色値の取得時における環境情報を蓄積するデータ蓄積部と、
前記階調補正用チャートを画像出力する際、前記データ蓄積部に蓄積される前記環境情報のうち、現在の環境情報を基準に所定範囲内の前記環境情報と対応付けられる前記測色値に基づいて、前記画像形成部の画像の出力特性を予測する出力特性予測部と、
予測される前記出力特性が前記目標出力特性より低い場合に、前記画像形成部の画像の出力特性を調整する出力特性調整部と、
を備える画像形成システム。
【請求項8】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
画像形成部が、入力画像データに対応する画像出力を行う工程と、
階調補正部が、前記入力画像データの階調値を、階調補正テーブルを用いて補正する工程と、
目標出力特性保持部が、前記入力画像データに対して予め設定される目標出力特性を保持する工程と、
階調補正テーブル補正部が、前記画像形成部により画像出力される階調補正用チャートの測色値と、前記目標出力特性と、に基づいて、前記階調補正テーブルを補正する工程と、
データ蓄積部が、前記測色値および当該測色値の取得時における環境情報を蓄積する工程と、
出力特性予測部が、前記階調補正用チャートを画像出力する際、前記データ蓄積部に蓄積される前記環境情報のうち、現在の環境情報を基準に所定範囲内の前記環境情報と対応付けられる前記測色値に基づいて、前記画像形成部の画像の出力特性を予測する工程と、
出力特性調整部が、予測される前記出力特性が前記目標出力特性より低い場合に、前記画像形成部の画像の出力特性を調整する工程と、
を含む画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置において実行されるキャリブレーションは、現在のプリンタの濃度特性(出力特性の一例)を狙いの濃度特性(目標出力特性の一例)に合わせるための出力データに補正を行うことにより、安定した印刷品質を実現する技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の技術では、キャリブレーションの実施前に濃度特性を調整する必要があるが、現在の濃度特性を測定するためにチャートを印刷する必要がある。そのため、上記の技術では、実際には濃度特性の調整が必要ない状態であっても、すなわち、キャリブレーションの狙いの濃度特性が出せる状態であっても、常に、濃度特性を測定するためのチャートの印刷が行われ、損紙が発生する。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の出力特性の調整のためのチャートの印刷および測色による損紙および手間を低減することができる画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入力画像データに対応する画像出力を行う画像形成部と、前記入力画像データの階調値を、階調補正テーブルを用いて補正する階調補正部と、前記入力画像データに対して予め設定される目標出力特性を保持する目標出力特性保持部と、前記画像形成部により画像出力される階調補正用チャートの測色値と、前記目標出力特性と、に基づいて、前記階調補正テーブルを補正する階調補正テーブル補正部と、前記測色値および当該測色値の取得時における環境情報を蓄積するデータ蓄積部と、前記階調補正用チャートを画像出力する際、前記データ蓄積部に蓄積される前記環境情報のうち、現在の環境情報を基準に所定範囲内の前記環境情報と対応付けられる前記測色値に基づいて、前記画像形成部の画像の出力特性を予測する出力特性予測部と、予測される前記出力特性が前記目標出力特性より低い場合に、前記画像形成部の画像の出力特性を調整する出力特性調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置の出力特性の調整のためのチャートの印刷および測色による損紙および手間を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置における階調補正テーブルの生成処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるターゲットMax濃度情報の一例を示す図である。
図6図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるMax濃度調整量、Max濃度情報、および温湿度情報の蓄積例を示す図である。
図7図7は、本実施の形態にかかる画像形成装置における予測Max濃度情報およびMax濃度調整量の一例を示す図である。
図8図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるMax濃度情報の調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、画像形成システム、および画像形成方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる画像形成装置100は、図1に示すように、制御装置(DFE10:Digital Front End)10と、プリンタ機20と、が接続されて構成される。
【0010】
DFE10は、プリンタ機20と通信を行い、プリンタ機20での画像の形成(出力)を制御する。また、DFE10には、PC(Personal Computer)30が接続される。DFE10は、ネットワークを介してPC30に接続されていても良い。PC30は、予めインストールされたアプリケーションにより、PDL等の言語で記述された画像情報を作成し、その作成した画像情報をDFE10に送信する。DFE10は、PDL等の言語で記述された画像情報を、プリンタ機20が印刷可能な形式で描画された画像データに変換し、その画像データ(入力画像データの一例)を、プリンタ機20へ送信する。
【0011】
DFE10は、ハードウェア構成として、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を有する主記憶部と、各種データおよび各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶部と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。DFE10における各種処理は、DFE10のCPUが主記憶部および補助記憶部に記憶されている各種プログラムを実行することにより実現されるものである。DFE10における各種処理は、個別の回路(ハードウェア)で実現することもできる。
【0012】
プリンタ機20には、色材(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の色材)が少なくとも1色ずつ搭載されており、作像ユニット、色材定着のための定着機構が各々搭載されている。プリンタ機20は、DFE10から送信された画像データに応じて、色材を使って、作像および定着を実行する。すなわち、プリンタ機20は、DFE10から送信された画像データに対応する画像出力を行う画像形成部の一例である。これにより、用紙等の記録媒体に画像が形成されて所望の印刷物40が得られる。なお、本実施の形態にかかる画像形成装置100における特徴的な処理は、DFE10のみで実施する構成としても良いし、プリンタ機20のみで実施する構成としても良い。また、プリンタ機20の構成は、電子写真プリンタおよびトナーを用いた構成、インクジェットプリンタおよびインクを用いた構成、いずれの構成でも良い。
【0013】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる画像形成装置100は、図2に示すように、コントローラ90と、プリンタ機であるエンジン部(Engine)20と、をPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。
【0014】
コントローラ90は、画像形成装置100全体の制御と、描画、通信、操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部20は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジン等であり、例えば、電子写真プリンタおよびインクジェットプリンタ等である。
【0015】
コントローラ90は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM-P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM-C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18と、を有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM-P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、をさらに有する。
【0016】
CPU11は、画像形成装置100の全体制御を行うものであり、NB13、MEM-P12、およびSB14等を有するチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0017】
NB13は、CPU11と、MEM-P12、SB14、およびAGP15と、を接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0018】
MEM-P12は、プログラムおよびデータの格納用メモリ、プログラムおよびデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリ等として用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとを有する。ROM12aは、プログラムおよびデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリである。RAM12bは、プログラムおよびデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリ等として用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0019】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部等も接続される。
【0020】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部20との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。
【0021】
このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)60、USB(Universal Serial Bus)70、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース80が接続される。操作表示部50はASIC16に直接接続されている。
【0022】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0023】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にする。
【0024】
本実施の形態の各種処理は、CPU11でプログラムを実行することにより実現し、プログラムで必要なデータは、RAM12b等に保存されるが、本ハードウェア構成図は一例であり、本実施の形態の各処理を実現可能なハードウェア構成であれば、その構成が異なっていても良い。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。描画エンジンおよび第1色処理部101は、PC30で作成された電子原稿に対して、言語解釈、ベクターおよびラスター変換(例えば、レンダリングの解像度は1200dpi)、プロセスカラー(例えば、CMYK)への色変換等を実行する。
【0026】
第2色処理部102は、キャリブレーションのための階調補正、色材の総量を制限するための総量規制処理等を実行する。具体的には、第2色処理部102は、画像データの階調値を、階調補正テーブルを用いて補正する階調補正部の一例である。
【0027】
ハーフトーンエンジン103は、各色の8ビットのデータを、プリンタ機20の画像データのフォーマット(例えば、各2ビットの画像データ)へ変換し、変換した画像データをプリンタ機20へ送り出す。
【0028】
キャリブレータ104は、階調補正を含むキャリブレーションを実行する。キャリブレータ104によりキャリブレーションを実行する際、階調補正用チャート読取デバイス19が、印刷した階調補正用チャートを測色する。階調補正用チャート読取デバイス19は、DFE10等に接続して使用する外付けデバイスであっても良いし、プリンタ機20に内蔵されたインラインデバイスであっても良い。
【0029】
キャリブレータ104は、階調補正用チャートのMax濃度情報(測色値の一例)と、ターゲットMax濃度情報(目標出力特性の一例)と、に基づいて、階調補正テーブルを補正する階調補正テーブル補正部の一例として機能する。また、キャリブレータ104は、画像データに対して予め設定されるターゲットMax濃度情報等の目標出力特性を保持する目標出力特性保持部の一例としても機能する。また、キャリブレータ104は、後述する濃度調整要否判定部105Aに対して、各色材のターゲットMax濃度情報を通知するさらに、キャリブレータ104は、階調補正用チャートを出力時における、プリンタ機20のMax濃度情報(出力特性の一例)、後述する温湿度情報(環境情報の一例)、キャリブレーションの実施条件(例えば、用紙の種類)等を通知する。
【0030】
濃度調整実施制御部105は、濃度調整要否判定部105A、濃度特性予測部105B、およびデータ蓄積部105Cを有する。
【0031】
濃度特性予測部105Bは、濃度調整要否判定部105Aから濃度特性予測の実施指示を受け、濃度調整実施部201から、プリンタ機20の現在のMax濃度情報等の出力特性の調整量(例えば、Max濃度調整量)を取得する。さらに、濃度特性予測部105Bは、温湿度検出デバイス21から温湿度情報を取得する。ここで、温湿度情報は、現在の温度および湿度を含む情報である。一般的に、プリンタ機20では、印刷される色材のMax濃度情報を調整することができ、Max濃度調整量を色材毎に保持している。濃度調整実施部201は、このMax濃度調整量に従って印刷時の濃度の上げ下げを行う。
【0032】
また、プリンタ機20には、プリンタ機20の温湿度情報を検出する温湿度検出デバイスが搭載されていることが一般的である。プリンタ機20の温湿度情報には、プリンタ機20の機内と機外のそれぞれの情報があるが、本実施の形態では、プリンタ機20の機内および機外の一方の温湿度情報を使用するものであれば、プリンタ機20の機内および機外のどちらの温湿度情報を用いても良い。
【0033】
濃度特性予測部105Bは、データ蓄積部105Cを参照し、現在のMax濃度調整量および温湿度情報に基づいて、過去の類似環境におけるMax濃度情報を予測し、予測したMax濃度情報を濃度調整要否判定部105Aに通知する。具体的には、濃度特性予測部105Bは、階調補正用チャートを画像出力する際、データ蓄積部105Cに蓄積される温湿度情報のうち、現在の温湿度情報を基準に所定範囲内の温湿度情報と対応付けられるMax濃度情報に基づいて、プリンタ機20の画像のMax濃度情報(出力特性の一例)を予測する出力特性予測部の一例として機能する。ここで、所定範囲は、予め設定された範囲である。プリンタ機20の出力特性は主に温度および湿度に左右されるため、過去の温度および湿度と類似する環境における過去のMax濃度情報に基づいて、Max濃度情報を予測することにより、Max濃度情報の予測精度を向上させることができる。
【0034】
データ蓄積部105Cには、過去に階調補正用チャートを測色した際のMax濃度調整量、Max濃度情報、温湿度情報等の各種情報がキャリブレーションの条件毎に対応付けて保存されている。本実施の形態では、データ蓄積部105Cにおけるデータの保存期間については限定しない。また、本実施の形態では、濃度特性予測部105Bによる過去の類似環境におけるMax濃度情報を予測する方法については限定しないが、回帰分析等の方法を用いて、Max濃度情報を予測しても良い。また、Max濃度情報を予測する際に使用する過去のデータの期間については、ユーザまたはシステムが指定した期間(例えば、過去1か月以内、12月のデータのみ)であっても良い。また、Max濃度情報の予測精度については、数値化してユーザに通知したり、Max濃度情報の予測精度が低い場合には実測での濃度情報の確認を推奨したりしても良い。
【0035】
また、濃度特性予測部105Bは、プリンタ機20のMax濃度情報の予測に必要な過去のMax濃度情報が不足している場合、プリンタ機20のMax濃度情報の調整を行うか否かをユーザにより選択可能としても良い。ここで、過去のMax濃度情報が不足している場合とは、データ蓄積部105Cに蓄積されているMax濃度情報の数が予め設定される数より少ないことであっても良い。
【0036】
また、画像形成装置100は、キャリブレータ104に対して、階調補正テーブルの補正を指示する指示部(例えば、UIを介した手動または自動により指示する指示部)を有していても良い。この場合、濃度特性予測部105Bは、当該指示部からの指示に応じて、階調補正用チャートの出力前に、Max濃度情報を予測するものとする。これにより、キャリブレーションの指示に応じて、キャリブレーションの開始前に自動的にMax濃度情報の予測が行われるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0037】
濃度調整要否判定部105Aは、色毎にターゲットMax濃度情報と、濃度特性予測部105Bにより予測されるMax濃度情報(以下、予測Max濃度情報という)を比較し、ターゲットMax濃度情報の方が予測Max濃度情報よりも高かった場合は、その色に関して濃度調整実施が必要と判断する。
【0038】
この場合、濃度調整要否判定部105Aは、ターゲットMax濃度情報と予測Max濃度情報との差分に基づいて、どの程度の調整を実施すればよいか(Max濃度調整量)を算出し、そのMax濃度調整量を基に濃度調整実施部201に対して濃度調整の実施を指示する。濃度調整実施部201は、Max濃度調整量に従って濃度情報(出力特性の一例)の調整を実施する出力特性調整部である。これにより、過去のキャリブレーション実施時の階調補正用チャートの測色データと、当該測色データを取得した際の温湿度情報を蓄積しておき、現在の温度湿度情報と過去の蓄積データから現在の画像形成装置100のMax濃度情報を予測して、当該予測したMax濃度情報がターゲットMax濃度情報を満たしている場合には、画像形成装置100の濃度調整を実施しない。その結果、画像形成装置100の濃度情報の調整のためのチャートの印刷および測色による損紙および手間を低減することができる。
【0039】
濃度調整要否判定部105A(通知部の一例)は、予測Max濃度情報がターゲットMax濃度情報より低い場合、プリンタ機20の出力特性を調整する旨のユーザに通知しても良い。これにより、プリンタ機20が適切な出力特性となるように自動調整されていることをユーザが確認することができる。
【0040】
また、濃度調整要否判定部105Aは、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報の方が高かった場合、その色に関しては、Max濃度情報の調整は不要と判断する。この場合、濃度調整実施部201は、その色に関して濃度調整を実施しない。
【0041】
濃度調整要否判定部105Aによる濃度調整の要否判断および濃度調整実施部201による濃度調整の実施後、DFE10およびプリンタ機20は、キャリブレータ104から出力された階調補正用チャートを処理および印刷する。階調補正用チャートの印刷を実施する前には、必要に応じて、プリンタ機20の出力を安定させるための調整が実施される。
【0042】
階調補正用チャート読取デバイス19は、階調補正用チャートを測色し、Max濃度情報等の測定データ(測色値)をキャリブレータ104に通知する。キャリブレータ104は、測定データおよびターゲットMax濃度情報に基づいて、階調補正テーブルを更新(補正)する。これにより、現在のプリンタ機20の階調特性を補正し、狙いの階調特性での画像出力を実現することができる。
【0043】
また、キャリブレータ104は、現在のMax濃度情報、濃度調整実施部201および温湿度検出デバイス21から取得されるMax濃度調整量および温湿度情報を、データ蓄積部105Cに記録する。これら情報を、キャリブレーションを実施する度にデータ蓄積部105Cに蓄積することによって、精度の高い濃度予測ができる。
【0044】
なお、キャリブレーションの新規実施時には、ターゲットMax濃度情報はまだ作成されていないのが一般的であり、階調補正用チャートの測色結果に基づいてターゲットMax濃度情報が決定される。そのため、キャリブレーションの新規実施時には、濃度調整の要否判定および濃度調整は行わずに階調補正用チャートの印刷、測色、階調補正テーブルの生成を行う。
【0045】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置における階調補正テーブルの生成処理の一例を説明するための図である。図4(a)において、縦軸は、プリンタ機20の出力特性(濃度情報)を表し、横軸は、プリンタ機20に入力される画像データの階調値(入力階調値)を表す。また、図4(b)において、縦軸は、プリンタ機20から出力される画像の階調値(出力階調値)を表し、横軸は、入力階調値を表す。
【0046】
一般的に、画像形成装置100は、環境に応じて出力特性が変動し易い。そのため、各階調値に対する濃度を測定して実際の出力特性を求め、各階調値に対する目標出力特性と比較し、目標出力特性に近い出力特性を出すための階調補正テーブルを生成し、その階調補正テーブルを使って階調補正を行うキャリブレーションの手法が一般に用いられている。
【0047】
図4(a)は、各階調値に対する目標濃度特性と、実際に測定した出力濃度の曲線グラフを示している。図4(a)の例では、各階調値において目標濃度(目標出力特性の一例)よりも実際の濃度(出力特性の一例)の方が高くなっている。この目標特性と測定値(出力特性)を基に生成した階調補正テーブルの曲線グラフが図4(b)で示されている。目標濃度よりも実際の濃度の方が高くなっているため、第2色処理部102は、それを補正する階調補正テーブルの曲線において、各入力階調値に対する出力階調値が低くなるような補正を行う。
【0048】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるターゲットMax濃度情報の一例を示す図である。キャリブレーションは、プリンタ機20から出力される画像の階調特性を狙いの階調特性に合わせるために実施する。階調特性は、色材毎に異なるため、色材毎にターゲットMax濃度情報を有するのが一般的である。また、同じ色材で印刷したとしても用紙の特性によって、階調特性は変わるため、キャリブレーションは、用紙毎に実施するのが一般的である。そのため、図5で例示したように、プリンタ機20は、キャリブレーションの条件(用紙)および色の組合せ毎にターゲットMax濃度情報を保持している。
【0049】
キャリブレーションを実施する際には、Max濃度情報以外にも中間調の濃度情報も用いて階調補正を行うが、濃度調整の実施要否に関しては、Max濃度情報があれば良い。Max濃度情報については、ターゲットMax濃度情報の方が現在のMax濃度情報よりも高い場合には、キャリブレーションでは補正できない。一方、ターゲットMax濃度情報の方が現在のMax濃度情報より低い場合には、ハーフトーンスクリーンを使用して中間調で出力することによってMax濃度情報をターゲットMax濃度情報に合わせることが可能である。そのため、現在のMax濃度情報よりもターゲットMax濃度情報の方が高い場合には、キャリブレーション実施前に、濃度調整を実施し、現在のMax濃度情報がターゲットMax濃度情報以上の状態にする。
【0050】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるMax濃度調整量、Max濃度情報、および温湿度情報の蓄積例を示す図である。本実施の形態では、データ蓄積部105Cは、キャリブレーションの条件(例えば、用紙)毎に、Max濃度調整量、Max濃度情報、および温湿度情報を対応付けて蓄積する。例えば、データ蓄積部105Cは、図6に示すように、「コート紙-グロスA」のMax濃度調整量、Max濃度情報、および温湿度情報を蓄積する。
【0051】
また、本実施の形態では、データ蓄積部105Cには、キャリブレーションの実施日時(階調補正用チャートの印刷日時)毎に、各色のMax濃度調整量、各色のMax濃度情報(測色値)、温湿度情報が、キャリブレーションの実施の度に蓄積されていく。キャリブレーションの実施日時は、特定期間に蓄積されたデータを使ってMax濃度情報を予測する際に必要となる情報である。
【0052】
各色の濃度調整では、色材の付着量等をパラメータで管理および制御するのが一般的である。本実施の形態では、プリンタ機20は、図6に示すように、各色のMax濃度調整量が、-5から+5の範囲で制御できる。そして、濃度調整実施部201は、Max濃度調整量が-5に近いほど濃度が薄く、+5に近いほど濃度が濃くなるように、色材の付着量等を制御する。Max濃度情報を予測する際、このMax濃度調整量がどのような状態になっているかも踏まえて、Max濃度情報を予測する必要がある。そのため、データ蓄積部105Cは、Max濃度調整量も蓄積している。
【0053】
例えば、濃度特性予測部105Bは、データ蓄積部105Cに蓄積される過去のデータのうち、現在のMax濃度調整量と同じMax濃度調整量だった時のMax濃度情報を予測に使用して、Max濃度情報を予測する。あるいは、濃度特性予測部105Bは、Max濃度調整量とそのときのMax濃度情報の測色値から、Max濃度調整量が0(濃度調整無し)のときのMax濃度情報を想定値として算出し、常に、その想定値をベースにMax濃度情報の予測を行っても良い。
【0054】
Max濃度情報は、階調補正用チャートの測定データから求められ、Max濃度情報の測色値としてデータ蓄積部105Cに蓄積される。濃度情報には、ステータスT、E、A等があるが、本実施の形態では、濃度情報のステータスは規定しない。
【0055】
温湿度情報は、階調補正用チャートの印刷(画像出力)を行った際の温湿度情報をプリンタ機20から取得してデータ蓄積部105Cに蓄積される。プリンタ機20の濃度特性は、温度および湿度に影響されるため、これらの環境情報を用いることでMax濃度情報の予測精度を高めることができる。その他にも、プリンタ機20のパーツの寿命等、プリンタ機20の濃度特性に寄与する情報があれば、それらのデータ蓄積部105Cに蓄積し、Max濃度情報の予測に使用しても良い。
【0056】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成装置における予測Max濃度情報およびMax濃度調整量の一例を示す図である。本実施の形態では、濃度調整実施部201は、ターゲットMax濃度情報と予測Max濃度情報に基づいて、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報の方が低い色に対して、Max濃度調整量を増加させる。これにより、ターゲットMax濃度情報が得られるプリンタ機20の状態にすることができる。
【0057】
図7に示す例の場合、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報の方が低い色は、シアン(C)とブラック(K)である。シアン(C)については、ターゲットMax濃度情報よりもわずかに予測Max濃度情報が低いため、濃度調整実施部201は、Max濃度調整量を現状のMax濃度調整量に+1して、2に変更する。また、ブラック(K)については、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報がやや低いため、濃度調整実施部201は、Max濃度調整量を現状のMax濃度調整量に+2して、2に変更する。マゼンタ(M)とイエロー(Y)については、ターゲットMax濃度情報が得られるという予測結果のため、Max濃度調整量は現状のまま変更しない。
【0058】
また、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報の方が高い色については、キャリブレーションの実施によってターゲットMax濃度情報を実現することができる。そのため、Max濃度調整量を下げる必要はないが、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報の方がはるかに高い場合には、ターゲットMax濃度情報を実現するためにハーフトーンスクリーン処理が行われて、ベタ部分に網がかかり画質が低下する。そのため、濃度調整実施部201は、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報の方が高い場合にも、Max濃度調整量を下げる制御を行っても良い。
【0059】
プリンタ機20は、この濃度調整を実施後に、階調補正用チャートを印刷することで、キャリブレーションのターゲットMax濃度情報を実現する出力特性で、階調補正用チャートを印刷できる。プリンタ機20の状態によっては、Max濃度調整量を限界まで上げ下げしても、期待のMax濃度情報が得られない場合がある。すなわち、予測Max濃度情報がターゲットMax濃度情報から乖離しており、プリンタ機20のMax濃度情報の調整によって、ターゲットMax濃度情報を実現できない場合がある。ここで、予測Max濃度情報がターゲットMax濃度情報から乖離しているとは、予測Max濃度情報とターゲットMax濃度情報との差分が予め設定された差分を超えていることであっても良い。
【0060】
その場合、画像形成装置100は、ユーザに対してキャリブレーションの新規実施によるターゲットMax濃度情報の作り直しを推奨したり、サービスを呼ぶことを推奨するようなメッセージ画面を表示したりする通知部を有していても良い。すなわち、画像形成装置100は、ターゲットMax濃度情報の見直しまたはサービスを呼ぶことをユーザに通知する通知部を備えていても良い。これにより、ユーザが濃度調整によってターゲットMax濃度情報が得られないことを把握でき、次にどのような対応をすれば良いかを認識できる。
【0061】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるMax濃度情報の調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
キャリブレーションの実施時において階調補正テーブルが既に作成されている場合(ステップS1000:No)、キャリブレータ104は、濃度調整要否判定部105Aに対して、各色材のターゲットMax濃度情報を通知する(ステップS1001)。濃度特性予測部105Bは、濃度調整要否判定部105Aから濃度特性予測の実施指示を受け、濃度調整実施部201から現在のMax濃度調整量を取得する(ステップS1002)。また、濃度特性予測部105Bは、温湿度検出デバイス21から現在の温湿度情報を取得する(ステップS1002)。
【0063】
濃度特性予測部105Bは、Max濃度調整量、およびデータ蓄積部105Cを参照して、現在のMax濃度調整量および温湿度情報に基づいて、過去の類似環境におけるMax濃度情報を予測し、予測したMax濃度情報(予測Max濃度情報)を濃度調整要否判定部105Aに通知する(ステップS1003)。次いで、濃度調整要否判定部105Aは、各色について、予測Max濃度情報がターゲットMax濃度情報以下であるか否かを判定する(ステップS1004)。
【0064】
予測Max濃度情報がターゲットMax濃度情報未満の色がある場合(ステップS1004:Yes)、濃度調整要否判定部105Aは、濃度調整の実施が必要と判断し、濃度調整実施部201へ、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報が低い色の濃度調整の実施を指示する(ステップS1005)。濃度調整実施部201は、ターゲットMax濃度情報よりも予測Max濃度情報が低い色に対する濃度調整を実施する(ステップS1006)。一方、各色の予測Max濃度情報がターゲットMax濃度情報以上である場合(ステップS1004:No)、濃度調整要否判定部105Aは、濃度調整実施が不要と判断し、濃度調整実施部201へ濃度調整の実施は指示しない(ステップS1007)。
【0065】
濃度調整の実施が必要と判断されて濃度調整を実施した後、DFE10およびプリンタ機20は、キャリブレータ104から出力された階調補正用チャートを処理および印刷する(ステップS1008)。階調補正用チャート読取デバイス19は、印刷された階調補正用チャートを測色し、階調補正用チャートの測定データをキャリブレータ104に通知する(ステップS1009)。キャリブレータ104は、測定データおよびターゲットMax濃度情報に基づいて、階調補正テーブルを更新し、現在のMax濃度情報、濃度調整実施部201から取得した階調補正用チャートの印刷時のMax濃度調整量と、および温湿度検出デバイス21から取得した階調補正用チャートの印刷時の温湿度情報を、データ蓄積部105Cに記録する(ステップS1010)。
【0066】
キャリブレーションの新規実施時は、まだターゲットMax濃度情報が作成されていないため、階調補正用チャートの印刷前の濃度調整の実施の要否判定は不要であり、ステップS1008以降の処理を順次行えばよい。ただし、階調補正用チャートの測定データは、Max濃度情報の予測に使用できるため、データ蓄積部105Cに情報の記録は行うのが良い。キャリブレーションの新規作成完了時に、ターゲットMax濃度情報が作成されるため、次回以降のキャリブレーション更新時にはその情報を用いて、濃度調整の実施の要否判定を行う。
【0067】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置100によれば、過去のキャリブレーション実施時の階調補正用チャートの測色データと、当該測色データを取得した際の温湿度情報を蓄積しておき、現在の温度湿度情報と過去の蓄積データから現在の画像形成装置100のMax濃度情報を予測して、当該予測したMax濃度情報がターゲットMax濃度情報を満たしている場合には、画像形成装置100の濃度調整を実施しない。その結果、画像形成装置100の濃度情報の調整のためのチャートの印刷および測色による損紙および手間を低減することができる。
【0068】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 DFE
19 階調補正用チャート読取デバイス
20 プリンタ機
21 温湿度検出デバイス
30 PC
100 画像形成装置
101 描画エンジンおよび第1色処理部
102 第2色処理部
103 ハーフトーンエンジン
104 キャリブレータ
105 濃度調整実施制御部
105A 濃度調整要否判定部
105B 濃度特性予測部
105C データ蓄積部
201 濃度調整実施部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特許第3885056号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8