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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065102
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/34 20060101AFI20230502BHJP
   B65H 29/04 20060101ALI20230502BHJP
   B65H 29/28 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B65H31/34
B65H29/04
B65H29/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175713
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】風間 郁海
【テーマコード(参考)】
3F054
3F106
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC05
3F054BA02
3F054BB18
3F054BD02
3F054CA40
3F106AA17
3F106AC02
3F106AE01
3F106AE06
3F106CA01
3F106CA34
3F106LA07
3F106LB03
(57)【要約】
【課題】シートの搬送速度を向上させたシート積載装置を提供する。
【解決手段】シート積載装置(1)は、複数のシート(M)を積載可能なトレイ(50)と、トレイ(50)より上方に配置されて、シート(M)を搬送方向に搬送する搬送部(27)と、トレイ(50)より上方で且つ搬送部(27)より搬送方向の下流側に配置されて、搬送部(27)によって搬送されるシート(M)の搬送方向の下流側の端部を、収容位置で収容し、収容位置より搬送方向の下流側の離脱位置で離脱させることによって、シート(M)をトレイ(50)に案内する先端案内部(40)と、トレイ(50)に積載されたシート(M)の上面の空気を、搬送方向の上流側に排出する空気排出部(60)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを積載可能なトレイと、
前記トレイより上方に配置されて、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、
前記トレイより上方で且つ前記搬送部より前記搬送方向の下流側に配置されて、前記搬送部によって搬送されるシートの前記搬送方向の下流側の端部を、収容位置で収容し、前記収容位置より前記搬送方向の下流側の離脱位置で離脱させることによって、シートを前記トレイに案内する先端案内部と、
前記トレイに積載されたシートの上面の空気を、前記搬送方向の上流側に排出する空気排出部とを備えることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記空気排出部は、
前記トレイより前記搬送方向の上流側で且つ前記トレイに積載されたシートの上面に対面する位置に配置されたダクトと、
前記搬送方向の上流側に向かう空気の流れを前記ダクト内に生起させるファンまたはブロアとを備えることを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記空気排出部は、前記トレイに積載されたシートの上面に前記ダクトが対面するように、上下方向に昇降可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記空気排出部は、前記ファンまたは前記ブロアによって生起される空気の流速及び流量の少なくとも一方を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記搬送部によって搬送されるシートのサイズが大きいほど、前記ファンまたは前記ブロアによって生起される空気の流速及び流量の少なくとも一方を大きくするコントローラを備えることを特徴とする請求項4に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記トレイに積載されたシートの上面が前記ダクトに対面するように、前記トレイを上下方向に昇降させる昇降機構を備えることを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを前記トレイに積載する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート積載装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部によって画像が形成されたシートを積載するトレイとを備える画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置には、トレイに積載される直前のシートの先端が浮き上がるという課題がある。そこで、画像形成装置には、トレイより上方において、搬送部によって搬送されたシートの先端を、把持位置で把持し、把持位置より搬送方向の下流側の離脱位置で離脱させる把持部を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような画像形成装置では、トレイに積載されたシートの上方の空気が抵抗となって、把持部から離脱したシートの自由落下に時間がかかる。そのため、搬送部を通過して自由落下するシートの間隔が短いと、シート同士が接触してトレイ上に適切に積載されない可能性がある。その結果、複数のシートに連続して画像を形成する際に、シートの搬送速度に制限がかかるという新たな課題を生じる。
【0005】
本発明は、シートをトレイに向けて自由落下させるシート積載装置において、シートの搬送速度を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、複数のシートを積載可能なトレイと、前記トレイより上方に配置されて、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、前記トレイより上方で且つ前記搬送部より前記搬送方向の下流側に配置されて、前記搬送部によって搬送されるシートの前記搬送方向の下流側の端部を、収容位置で収容し、前記収容位置より前記搬送方向の下流側の離脱位置で離脱させることによって、シートを前記トレイに案内する先端案内部と、前記トレイに積載されたシートの上面の空気を、前記搬送方向の上流側に排出する空気排出部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートをトレイに向けて自由落下させるシート積載装置において、シートの搬送速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の内部構造を示す概略図。
図2】案内部材が収容位置に位置するときのシート積載装置を示す図。
図3】案内部材が離脱位置に位置するときのシート積載装置を示す図。
図4】排紙トレイを昇降させる昇降機構の概略図。
図5】排紙トレイ及び空気排出部の平面図。
図6】画像形成装置のハードウェア構成を示す図。
図7】風量決定処理のフローチャート。
図8】トレイ昇降処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図1は、画像形成装置1の内部構造を示す概略図である。画像形成装置1は、複数のシートMに連続して画像を形成する。シート状の媒体としてのシートMは、例えば、紙(用紙)、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチックなどが該当する。図1に示すように、画像形成装置1は、給紙トレイ10と、搬送部20と、画像形成部30と、先端案内部40と、排紙トレイ50(トレイ)と、空気排出部60とを主に備える。
【0010】
給紙トレイ10は、画像が形成される前のシートMを積層した状態で収容する。搬送部20は、給紙トレイ10に収容されたシートMを、画像形成部30に対面する位置を経由して、排紙トレイ50に排紙する。搬送部20は、給紙ローラ21と、複数のローラ対22、23、24、25、26、27とを備える。
【0011】
給紙ローラ21は、給紙トレイ10の一番上のシートMに当接して回転することによって、当該シートMを搬送路に供給する。複数のローラ対22~27は、搬送路に沿って所定の間隔を隔てて配置される。そして、ローラ対22~27は、シートMを挟持して回転することによって、シートMを搬送する。図1に破線で示される搬送路は、給紙トレイ10から画像形成部30に対面する位置を経由して排紙トレイ50に至る空間である。
【0012】
ローラ対22~27によるシートMの搬送方向は、互いに異なる。ローラ対22~27のうち、最も排紙トレイ50に近いローラ対27によるシートMの搬送方向は、水平方向(図1の右から左に向かう方向)である。本明細書において、単に「搬送方向」と表記したときは、ローラ対27による搬送方向を指すものとする。
【0013】
画像形成部30は、シートMにインクを吐出することによって、当該シートMに画像を形成するインクジェット方式を採用している。画像形成部30は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクを吐出する複数のヘッドモジュールを備える。そして、各ヘッドモジュールから所定のタイミングでインクを吐出することによって、画像形成部30に対面するシートMに画像が形成される。但し、画像形成部30は、シートMにトナーを定着させることによって画像を形成する電子写真方式であってもよい。
【0014】
図1に示す画像形成装置1の構成要素のうち、ローラ対27(搬送部)と、先端案内部40と、排紙トレイ50と、空気排出部60とは、複数のシートMを積載するシート積載装置の一例を構成する。
【0015】
先端案内部40は、ローラ対27より搬送方向の下流側に配置されている。また、ローラ対27及び先端案内部40は、排紙トレイ50より上方に配置されている。そして、先端案内部40は、ローラ対27によって搬送されるシートMの先端を搬送方向の下流側に案内することによって、排紙トレイ50に向かって自由落下するシートMの先端が浮き上がるのを防止する。
【0016】
図2は、案内部材44が収容位置に位置するときのシート積載装置を示す図である。図3は、案内部材44が離脱位置に位置するときのシート積載装置を示す図である。図1図3に示すように、先端案内部40は、駆動ローラ41と、従動ローラ42と、無端環状ベルト43と、複数の案内部材44、45とで構成される。
【0017】
駆動ローラ41及び従動ローラ42は、搬送方向に離間した位置において、各々が画像形成装置1の筐体に回転自在に支持されている。無端環状ベルト43は、駆動ローラ41及び従動ローラ42に掛け渡されている。そして、モータの駆動力が伝達されて駆動ローラ41が回転することによって、駆動ローラ41及び従動ローラ42の間を無端環状ベルト43が回転する。無端環状ベルト43は、図2及び図3の時計回りに回転する。換言すれば、無端環状ベルト43は、下面が搬送方向に移動し、上面が搬送方向と反対方向に移動する向きに回転する。
【0018】
案内部材44、45は、無端環状ベルト43の外周面に等間隔に取り付けられている。そのため、案内部材44、45は、無端環状ベルト43の回転に伴って、無端環状ベルト43の下面側において搬送方向に移動し、無端環状ベルト43の上面側において搬送方向と反対側に移動する。なお、案内部材44、45の数は、2個に限定されない。
【0019】
案内部材44は、シートMの先端(搬送方向の下流側の端部)側の一部を収容する内部空間を有する。より詳細には、案内部材44は、開口部44aと、中間部44bと、奥部44cとで構成される。案内部材45は、案内部材44と同様に、開口部45aと、中間部45bと、奥部45cとで構成される。以下、案内部材44の構造を説明する。
【0020】
開口部44aは、案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、搬送方向の上流側(すなわち、ローラ対27に対面する側)に開口する。中間部44bは、案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、開口部44aより搬送方向の下流側に位置する。また、中間部44bは、上下方向の隙間が開口部44a及び奥部44cより小さい部分である。奥部44cは、案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、中間部44bより搬送方向の下流側に位置する。また、奥部44cは、開口部44aを通じて案内部材44の内部に進入したシートMの先端が当接する部分である。
【0021】
開口部44a、中間部44b、及び奥部44cの上下方向の隙間は、ローラ対27によって搬送可能なシートMの厚みより大きく設定されている。すなわち、案内部材44は、上壁及び下壁でシートMを挟持することなく、シートMの進退を妨げない程度に支持する。これにより、案内部材44に対して進退するシートMに傷がつくのを防止できる。但し、中間部44bの上下方向の隙間を開口部44a及び奥部44cより小さくすることに限定されず、開口部44a、中間部44b、及び奥部44cの上下方向の隙間を同一にしてもよい。また、奥部44cの上下方向の隙間を、中間部44bより小さくしてもよい。
【0022】
また、案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、開口部44aの下壁の上面は、中間部44bに向かって上り傾斜となっている。また、開口部44aのシートMに接触し得る面は、突起などが形成されていない平滑な面である。これにより、案内部材44の内部空間にシートMが進入する際の抵抗を低減することができる。さらに、案内部材44のシートMに当接し得る部分を、金属や樹脂などの平滑性の高い部材で構成することによって、シートMがさらにスムーズに進入可能になる。
【0023】
案内部材44は、図2に示す収容位置で停止している。収容位置は、無端環状ベルト43の下面側において、開口部44aがローラ対27に対面する位置である。換言すれば、収容位置は、ローラ対27を通過したシートMの先端を収容可能な位置である。すなわち、ローラ対27によって搬送されるシートMの先端は、開口部44aを通じて案内部材44の内部空間に進入し、奥部44cに到達する。
【0024】
案内部材44の内部空間にシートMの先端が進入すると、無端環状ベルト43は、回転を開始し、案内部材45が収容位置に到達した時点で再び停止する。このとき、搬送方向の下流側に移動する案内部材44の速度(最高速度)は、ローラ対27によるシートMの搬送速度より速く設定されている。そのため、案内部材44に収容されたシートMの先端は、ローラ対27によるシートMの搬送速度と、案内部材45の移動速度との速度差によって、案内部材44が図3に示す離脱位置で、案内部材44から離脱する。
【0025】
離脱位置は、無端環状ベルト43の下面側で、収容位置より搬送方向の下流側の位置である。なお、シートMの先端が案内部材44から離脱したとき、シートMの後端(搬送方向の上流側の端部)は、未だローラ対27に挟持されている。すなわち、先端案内部40は、シートMの後端がローラ対27を通過する前に、当該シートMの先端を離脱させる。換言すれば、シートMは、先端が先端案内部40から離脱した後に、後端がローラ対27を通過する。
【0026】
これにより、シートMは、排紙トレイ50に向けて自由落下する。より詳細には、シートMは、離脱位置で先端が自由落下を開始し、その後にローラ対27を通過した後端が自由落下を開始する。すなわち、先端案内部40は、ローラ対27によって搬送されるシートMの先端を、収容位置で案内部材44、45に収容し、離脱位置で案内部材44、45から離脱させることによって、当該シートMを排紙トレイ50に案内する役割を担う。そして、無端環状ベルト43を間欠的に回転させることによって、複数のシートMを排紙トレイ50に排紙することができる。
【0027】
なお、無端環状ベルト43は、案内部材44の奥部44cにシートMの先端が当接したタイミングで回転を開始してもよいし、案内部材44の奥部44cにシートMの先端が当接する直前のタイミングで回転を開始してもよい。シートMを奥部44cに当接させないことによって、シートMの先端が折れるのを防止できる。ローラ対27によって搬送されるシートMの先端の位置は、周知の位置センサ(例えば、光学センサ、ロータリエンコーダ、またはこれらの組み合わせ等)によって特定することができる。
【0028】
排紙トレイ50は、画像形成部30によって画像が形成された後の複数のシートMを、積層した状態で収容する。排紙トレイ50は、ローラ対27より搬送方向の下流側で、ローラ対27及び先端案内部40より下方に配置される。換言すれば、排紙トレイ50は、ローラ対27によって搬送され、先端案内部40によって先端が案内されたシートMが自由落下した先に配置される。
【0029】
図4は、排紙トレイ50を昇降させる昇降機構51の概略図である。排紙トレイ50は、昇降機構51によって、上下方向に昇降可能に構成されている。昇降機構51は、一対のプーリ52a、52bと、一対のチェーン53a、53bと、一対のウエイト54a、54bと、上面検知センサ55と、満杯検知センサ56とを主に備える。但し、昇降機構51の具体的な構造は、図4の例に限定されない。
【0030】
一対のプーリ52a、52bは、排紙トレイ50より上方で且つ互いに搬送方向に離間した位置において、画像形成装置1の筐体に回転可能に支持されている。一対のチェーン53a、53bは、対応するプーリ52a、52bに掛け渡されている。一対のチェーン53a、53bは、一端が排紙トレイ50に接続され、他端が対応するウエイト54a、54bに接続されている。
【0031】
プーリ52a、52bが第1方向(図4において、プーリ52aが時計回り、プーリ52bが反時計回り)に回転すると、排紙トレイ50が上昇し、ウエイト54a、54bが下降する。一方、プーリ52a、52bが第1方向と反対方向の第2方向(図4において、プーリ52aが反時計回り、プーリ52bが時計回り)に回転すると、排紙トレイ50が下降し、ウエイト54a、54bが上昇する。
【0032】
上面検知センサ55は、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMの位置を検知するセンサである。上面検知センサ55は、排紙トレイ50より上方(例えば、上下方向において、ダクト61に対面する位置またはダクト61より僅かに上方の位置)に配置されている。上面検知センサ55は、例えば、光を出力する発光部と、発光部から出力され且つシートMで反射された光を受光する受光部とを備える反射型の光学センサである。
【0033】
上面検知センサ55は、光路上にシートMが存在する(すなわち、排紙トレイ50に積載されたシートMを検知した)場合に、後述するコントローラ100(図6参照)に検知信号を出力する。一方、上面検知センサ55は、光路上にシートMが存在しない場合に、検知信号の出力を停止する。但し、上面検知センサ55は、反射型の光学センサに限定されず、透過型の光学センサであってもよい。
【0034】
満杯検知センサ56は、排紙トレイ50の最大量のシートMが積載されたことを検知するセンサである。満杯検知センサ56は、例えば、排紙トレイ50が満杯になったときのウエイト54bに対面する位置に配置されている。満杯検知センサ56は、例えば、光を出力する発光部と、発光部から出力され且つウエイト54bで反射された光を受光する受光部とを備える反射型の光学センサである。
【0035】
満杯検知センサ56は、光路上にウエイト54bが存在する(すなわち、排紙トレイ50が満杯になった)場合に、コントローラ100に検知信号を出力する。一方、満杯検知センサ56は、光路上にウエイト54bが存在しない場合に、検知信号の出力を停止する。但し、満杯検知センサ56は、反射型の光学センサに限定されず、透過型の光学センサであってもよい。
【0036】
空気排出部60は、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMの上面の残留空気70を、搬送方向の上流側に排出する。より詳細には、図3に示すように、空気排出部60は、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMと、排紙トレイ50に向けて新たに自由落下するシートMとの間の残留空気70を、搬送方向の上流側に排出する。
【0037】
空気排出部60は、ローラ対27及び先端案内部40より下方で、排紙トレイ50より上方に配置されている。また、空気排出部60は、排紙トレイ50より搬送方向の上流側に配置されている。図5は、排紙トレイ50及び空気排出部60の平面図である。図1及び図5に示すように、空気排出部60は、上下方向(図1)及びシートMの幅方向(図5)において、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMに対面する位置に配置されている。空気排出部60は、ダクト61と、ファン62とを主に備える。
【0038】
ダクト61は、排紙トレイ50に積載されたシートMの上面の残留空気70を、画像形成装置1の外部に排出する空気通路を構成する。ダクト61は、排紙トレイ50より搬送方向の上流側で且つ排紙トレイ50に積載されたシートMの上面に対面する位置に配置されている。そして、ダクト61の一端は、排紙トレイ50より搬送方向の上流側において、排紙トレイ50に積載されたシートMの上面に対面する。ダクト61の他端は、画像形成装置1の外部に開放されている。また、排紙トレイ50に積載されたシートMの上面に対面するダクト61の開口は、上下方向においてシートMの厚みより十分に大きく、シートMの幅方向においてシートMの最大幅より大きく設定される。
【0039】
ファン62は、ダクト61の内部おいて、搬送方向の上流側に向かう空気の流れを生起させる。すなわち、空気排出部60は、排紙トレイ50に積載されたシートMの上面の残留空気70を、搬送方向の上流側に吸引する。また、ファン62は、生起する空気の流れの流路及び流量の少なくとも一方を変更(増減)可能に構成されている。なお、搬送方向の上流側に向かう空気の流れを生起させる手段は、ファン62に限定されず、ブロアなどの周知の手段を採用できる。
【0040】
図6は、画像形成装置1のハードウェア構成を示す図である。画像形成装置1は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)101、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)102、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)103、記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)104、及びインタフェースとしてのI/F105が通信手段としての共通バス109を介して接続されている構成を備える。CPU101、RAM102、ROM103、HDD104は、コントローラ100の一例である。
【0041】
CPU101は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0042】
画像形成装置1は、ROM103に格納された制御用プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成装置1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成装置1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0043】
I/F105は、搬送部20、画像形成部30、先端案内部40、昇降機構51、及び空気排出部60を、共通バス109に接続するインタフェースである。すなわち、コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送部20、画像形成部30、先端案内部40、昇降機構51、及び空気排出部60の動作を制御する。
【0044】
図7は、風量決定処理のフローチャートである。風量決定処理は、空気排出部60によって排出される空気の風量(ファン62によって単位時間当たりに生起される空気の流量)を決定する処理である。コントローラ100は、例えば、複数のシートMに連続して画像を形成する画像形成指示を取得したことに応じて、図7に示す風量決定処理を実行する。
【0045】
画像形成指示は、例えば、シートMに形成する画像を示す画像データ、画像を形成するシートMの枚数(部数)の他、画像を形成する(換言すれば、給紙トレイ10に収容された)シートMのサイズSを含む。シートMのサイズSとは、シートMの画像が記録される面の面積(例えば、A4、B5等)を指す。コントローラ100は、操作パネルを通じてユーザから画像形成指示を取得してもよいし、通信インタフェースを通じて外部装置から画像形成指示を取得してもよい。
【0046】
まず、コントローラ100は、画像形成指示に含まれるシートMのサイズSと、予め定められた第1閾値Th1及び第2閾値Th2とを比較する(S701、S702)。第2閾値Th2は、第1閾値Th1より大きい値に設定される。但し、風量決定処理でサイズSと比較する閾値の数は2個に限定されない。そして、コントローラ100は、シートMのサイズSが大きいほど、空気排出部60の風量を大きくする(S703~S705)。なお、ステップS703~S705で示される数値は、ファン62によって生起可能な風量の最大値を100%としたときの風量の割合(%)を示す。但し、ステップS703~S705の数値は、一例であって、これに限定されない。
【0047】
より詳細には、コントローラ100は、シートMのサイズSが第1閾値Th1未満の場合に(S701:Yes)、空気排出部60の風量を20%に決定する(S703)。また、コントローラ100は、シートMのサイズSが第1閾値Th1以上で且つ第2閾値Th2未満の場合に(S701:No&S702:Yes)、空気排出部60の風量を50%に決定する(S704)。さらに、コントローラ100は、シートMのサイズSが第2閾値Th2以上の場合に(S701:No&S702:No)、空気排出部60の風量を80%に決定する(S705)。
【0048】
次に、コントローラ100は、ステップS703~S705で決定した風量で空気排出部60(より詳細には、ファン62)を駆動させる(S706)。そして、コントローラ100は、ファン62の駆動が安定した後に、画像形成指示に従ってシートMに画像を形成する処理を開始する(S707)。より詳細には、コントローラ100は、複数のシートMを搬送部20に順番に搬送させ、搬送部20によって搬送されたシートMに対して画像形成部30に画像を形成させ、ローラ対27によるシートMの搬送タイミングに合わせて先端案内部40を動作させる。
【0049】
図8は、トレイ昇降処理のフローチャートである。トレイ昇降処理は、画像形成装置1によって複数のシートMに連続して画像が形成されている間において、排紙トレイ50に支持された一番上のシートMが空気排出部60に対面するように、排紙トレイ50を昇降させる処理である。コントローラ100は、例えば、画像形成装置1によって複数のシートMに連続して画像が形成されている間において、所定の時間が経過する(または、所定の枚数のシートMが排紙トレイ50に積載される)度にトレイ昇降処理を実行する。
【0050】
まず、コントローラ100は、上面検知センサ55によってシートMが検知された(換言すれば、上面検知センサ55から検知信号が出力されている)か否かを判定する(S801)。そして、コントローラ100は、上面検知センサ55によってシートMが検知されたと判定した場合に(S801:Yes)、昇降機構51を駆動することによって、排紙トレイ50を所定量だけ下降させる(S802)。
【0051】
これにより、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMの上面が空気排出部60に対面する。なお、コントローラ100は、例えばステップS802において、予め定められた固定値(例えば、5mm)だけ排紙トレイ50を下降させてもよいし、上面検知センサ55からの検知信号の出力が停止するまで排紙トレイ50を下降させてもよい。
【0052】
次に、コントローラ100は、満杯検知センサ56によって排紙トレイ50が満杯になったことが検知された(換言すれば、満杯検知センサ56から検知信号が出力されている)か否かを判定する(S803)。そして、コントローラ100は、排紙トレイ50が満杯になったと判定した場合に(S803:Yes)、画像形成装置1による画像の形成を中断する(S804)。すなわち、コントローラ100は、搬送部20、画像形成部30、及び先端案内部40の動作を停止する。さらに、コントローラ100は、排紙トレイ50に積載されたシートMを除去することを、操作パネルなどを通じてユーザに報知する。そして、コントローラ100は、排紙トレイ50からシートMが除去されたことに応じて、画像形成装置1による画像の形成を再開する。
【0053】
一方、コントローラ100は、上面検知センサ55によってシートMが検知されない場合に(S801:No)、ステップS802以降の処理を実行せずに、トレイ昇降処理を終了する。また、コントローラ100は、排紙トレイ50が満杯でないと判定した場合に(S803:No)、ステップS804の処理を実行せずに、トレイ昇降処理を終了する。そして、トレイ昇降処理が繰り返し実行されることによって、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMの上面を空気排出部60に対面させた状態で、複数のシートMに連続して画像が形成される。
【0054】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0055】
上記の実施形態によれば、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMと、排紙トレイ50に向けて新たに自由落下するシートMとの間の残留空気70が除去されるので、シートMの自由落下の抵抗が低減される。その結果、ローラ対27によるシートMの搬送速度を速く(換言すれば、ローラ対27を通過するシートMの間隔を短く)しても、シート同士が接触するのを防止できる。すなわち、画像形成装置1のスループットが向上する。
【0056】
なお、上記の実施形態に係る先端案内部40は、シートMの先端を挟持しない。また、上記の実施形態では、シートMの後端がローラ対27を通過する前に、シートMの先端が案内部材44、45から離脱する。その結果、図2に示すように、自由落下するシートMは、後端が先端より上方に位置する。そこで、上記の実施形態に係る空気排出部60は、シートMの後端の落下速度を速くするために、残留空気70を搬送方向の上流側に排出するのが望ましい。
【0057】
また、上記の実施形態によれば、トレイ昇降処理によって、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMがダクト61に対面するように、排紙トレイ50の上下方向の位置が制御される。これにより、複数のシートMに連続して画像を形成する場合において、常に適切な位置の残留空気70を排出することができる。なお、上記の実施形態では、排紙トレイ50を昇降させる例を説明したが、空気排出部60を昇降させてもよい。すなわち、空気排出部60は、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMの上面にダクト61が対面するように、上下方向に昇降可能に構成されていてもよい。
【0058】
さらに、上記の実施形態によれば、シートMのサイズSに応じて風量を調整するので、シートMの落下速度を適切に制御することができる。なお、コントローラ100は、風量に代えて風速(ファン62によって生起される空気の流速)を調整してもよいし、風量及び風速の両方を調整してもよい。すなわち、コントローラ100は、ローラ対27によって搬送されるシートMのサイズが大きいほど、ファン62によって生起される空気の流速及び流量の少なくとも一方を大きくすればよい。
【0059】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 :画像形成装置
10 :給紙トレイ
20 :搬送部
21 :給紙ローラ
22,23,24,25,26,27 :ローラ対
30 :画像形成部
40 :先端案内部
41 :駆動ローラ
42 :従動ローラ
43 :無端環状ベルト
44,45 :案内部材
44a,45a :開口部
44b,45b :中間部
44c,45c :奥部
50 :排紙トレイ
51 :昇降機構
52a,52b :プーリ
53a,53b :チェーン
54a,54b :ウエイト
55 :上面検知センサ
56 :満杯検知センサ
60 :空気排出部
61 :ダクト
62 :ファン
70 :残留空気
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2019-182655号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8