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特開2023-65321平面状の内縁を有するベベルマスクを有するプラズマCVD装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065321
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】平面状の内縁を有するベベルマスクを有するプラズマCVD装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/458 20060101AFI20230502BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
C23C16/458
C23C16/509
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169956
(22)【出願日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】63/272,287
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】美山 遼
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030FA03
4K030GA02
4K030JA01
4K030JA03
4K030KA45
4K030KA46
(57)【要約】
【課題】基材(例えば、ウエハ)上に膜を形成するための、基材の外縁を含む基材全体にわたって膜均一性が強化された、プラズマ化学蒸着(CVD)装置を提供する。
【解決手段】より均一な膜を堆積させる一方で、ウエハの縁部における膜の剥離を防止するための、プラズマCVD装置で使用するためのベベルマスク。ベベルマスクは、バルク部分および縁部分を含む。バルク部分は、内側のベベル付きの表面または面を含み、また縁部分は、内側のベベル付きの表面の下部セクションから外向きに延在して、サセプタ上に受容されたウエハの上面の周囲部分に対する覆いを提供し、サセプタは、環状形状のマスクを、サセプタの上面上のリング構造の上などに支持する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上に薄膜を形成するためのプラズマ堆積装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内の、または前記真空チャンバに連結されたプラズマ発生電極と、
ウエハを支持するためのサセプタであって、前記サセプタが前記真空チャンバ内に提供され、かつその中に電極を有する、サセプタと、
前記ウエハの周囲の周りに延在するバルク部分を含むマスクであって、前記バルク部分が、前記真空チャンバの中に面するベベル付きの表面を含み、かつ前記マスクが、前記ウエハの上面の周囲部分を覆うように前記ベベル付きの表面から外向きに延在する縁部分をさらに含む、マスクと、を備える、装置。
【請求項2】
前記縁部分が、平面状の断面形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記縁部分が、少なくとも1ミリメートル(mm)で、かつ6ミリメートル以下の幅を有する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記縁部分が、少なくとも0.15mmで、かつ1mm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記サセプタが、前記ウエハを受容するためのポケットを画定する内壁を有するリング構造を含み、かつ前記ウエハの外縁と前記内壁との間の隙間が3mm未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記縁部分が、前記ウエハの外径未満であり、かつウエハの外径から10mmを引いたもの以上である、内側直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記バルク部分が、前記縁部分の厚さ以上の最小厚さを有する。請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記縁部分の下面と前記ウエハの上面との間の隙間が、1mm以下である、請求項1~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記マスクが酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムで構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ウエハ上に形成された前記薄膜が、炭素および水素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記縁部分が、前記サセプタの上面に平行である、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ベベル付きの表面が、前記サセプタの上面から測定された場合、10~45度の範囲のベベル角度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
ウエハ上に薄膜を形成するためのプラズマ堆積装置であって、
反応チャンバと、
ウエハを支持するための前記反応チャンバ内に配置されたサセプタと、
前記サセプタ上に支持される環状形状マスクであって、前記環状形状マスクがバルク部分および縁部分を含み、前記縁部分が、前記ウエハの上面の外側部分を覆うようにベベルに隣接する前記バルク部分から外向きに延在し、前記縁部分が平面状の断面形状を有し、かつ前記ウエハの前記上面に平行に延在する、環状形状マスクと、を備える、装置。
【請求項14】
前記縁部分が、少なくとも1ミリメートル(mm)で、かつ6ミリメートル以下の幅を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記縁部分が、少なくとも0.15mmで、かつ1mm以下の厚さを有する、請求項13または請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記サセプタが、前記ウエハを受容するためのポケットを画定する内壁を有するリング構造を含み、かつ前記ウエハの外縁と前記内壁との間の隙間が3mm未満である、請求項13~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記縁部分が、前記ウエハの外径未満であり、かつウエハの外径から10mmを引いたもの以上である、内側直径を有する、請求項13~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記縁部分の下面と前記ウエハの上面との間の隙間が、1mm以下である、請求項13~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記マスクが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および金属含浸セラミックのうちの少なくとも1つから構成される、請求項13~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
ウエハ上に薄膜を形成するためのプラズマ堆積装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内の、または前記真空チャンバに連結されたプラズマ発生電極と、
ウエハを支持するためのサセプタであって、前記サセプタが前記真空チャンバ内に提供され、かつその中に電極を有する、サセプタと、
前記ウエハの周囲の周りに延在するバルク部分と、前記ウエハの上面の周囲部分を覆うように前記バルク部分の内縁から外向きに延在する縁部分と、を含むマスクであって、前記縁部分が、少なくとも1ミリメートル(mm)で、かつ6ミリメートル以下の幅を有し、前記縁部分が、前記ウエハの外径未満の内側直径を有する、マスクと、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、製造を実施するための半導体製造および対応するシステムに関し、またより具体的には、基材(例えば、ウエハ)上に膜を形成するための、基材の外縁を含む基材全体にわたって膜均一性が強化された、プラズマ化学蒸着(CVD)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体業界では、プラズマまたはプラズマ強化CVD(プラズマCVDまたはPECVDと標識されてもよい)は、半導体構造を製作するために広く使用される。一般的に、「化学蒸着」(CVD)は、基材(例えば、ウエハ)を1つ以上の揮発性前駆体に曝露し、この前駆体が基材表面上で反応および/または分解して望ましい堆積を生成する、任意のプロセスを指してもよい。熱CVDおよびプラズマCVDは、半導体業界全体を通して一般的である。
【0003】
プラズマCVDに関して、図1は、従来のプラズマCVD処理装置1の概略図である。装置1は、反応チャンバ6と、ガス入口ポート5と、円形状上部電極9と、サセプタ(または上部プレート)3およびヒーター2から作製される下部電極と、を含む。ガスライン(図示せず)から、ガス入口ポート5を通してガスが導入される。円形状上部電極9は、ガス入口ポート5の真下に配置される。上部電極9は、中空構造を有し、また多数の微細な細孔が底部に提供され、そこからガスがサセプタ3の上面上に支持された基材またはウエハ4に向かって噴射される。上部電極9は、これらの穴または細孔がその上に提供されるシャワープレート11を含み、またこのプレート11は、保守作業を容易にし、かつ構成要素のコストを低減するように交換可能である。
【0004】
加えて、反応チャンバ6の底部において、排気ポート10が提供される。この排気ポートは、外部の真空ポンプ(図示せず)に接続され、また反応チャンバ6の内部は、プラズマCVDの動作の間排気される。サセプタまたは基材支持体3は、上部電極またはシャワーヘッド9に平行に、かつそれに面して配置される。サセプタ3は、ウエハ4を支持し、ヒーター2を介してウエハ4を加熱し、そしてウエハ4を望ましい堆積温度(例えば、約50~約650℃の範囲内)に維持する。ガス入口ポート5および上部電極9は、反応チャンバ6から電気的に絶縁され、かつ装置1のこの例示的な構成では、外部の第1の無線周波数(RF)電源7に第2のRF電源8とともに接続される。チャンバ6の接地12も提供される。よって、プラズマCVD動作を達成するために、上部電極9および下部電極はRF電極として機能し、そしてウエハ4の近傍にプラズマ反応場を生成する。ウエハ4上に形成される結果として生じる膜のタイプおよび特性は、原料ガスのタイプおよび流量、反応チャンバ6内の温度、RF周波数、プラズマ空間分布、ならびに電位分布に応じて変化する。
【0005】
装置1によって提供される従来のプラズマCVDでは、膜は、一部の事例では、プロセスによっては粒子が望ましくないように、ウエハ4の上面の周囲部分上に、およびウエハ4の側面部分上にも、形成される可能性がある。よって、ウエハのこれらの部分上の膜形成を防止または少なくとも制限し、かつ、特に、欠陥の問題を引き起こすウエハ縁部における膜の剥離に対処する、プラズマCVD装置(例えば、図1の装置1に対する修正)の異なる設計の要求があった。
【0006】
一部の熱CVD装置設計では、ウエハと接触し、かつウエハの周囲を覆うように構成されたシールドまたはシールリングが提供された。しかしながら、この設計は、マスクの近傍で異常な膜成長が起こるため、プラズマCVDでは有用ではないことになり、それによって膜厚さの均一性の不良および他の製作上の問題が生じることが半導体業界内で理解された。接触リングまたはシールドの使用に関する問題に対処するために、ウエハから離隔し、かつベベル付きの内縁を有するマスクを含むCVD装置が設計された。これらの新しいベベルマスクは、多くの用途で有用であることが証明され、かつ、特に、ベベルマスクは一般的に、ベベルでの堆積およびウエハ上に堆積された膜の剥離を防止した。
【0007】
このセクションに記載される問題および解決策の任意の考察は、本開示に対する状況を提供する目的でのみこの開示に含まれ、また本発明がなされた時点で、考察のいずれかまたはすべてが公知であったことを認めたものと取られるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この「発明の概要」は、選択された概念を単純化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0009】
図2は、ベベルマスク220を有するプラズマCVD装置の一部分を図示し、これはマスク220のベベル部分または縁部分224における、またはその下方の膜を低減するために提供される。示されるように、ウエハ204は、サセプタ210の上面上に支持され、またマスク220の本体またはバルク部分222は、サセプタ210上に、または示されるように、ウエハ204の外縁から離隔するようにサセプタ210の周囲の周りに延在するリング214上に支持される。リング(またはサセプタ210の隆起した周囲部分)214は、ベベル部分または縁部分224をウエハ204の周囲部分または外縁部分の上方に延在して、ベベルマスク220を、ウエハ204の上面より上方にある距離で支持する。特に、示されるように、ウエハ204の外径、Dウエハは、マスク220の内径、Dマスクより大きい(サセプタ210の中心軸から、ベベル部分または縁部分224の内縁/側面までを測定する場合)。ベベルマスクに対するこの構成は、米国特許出願公開第2007/0065597号(その全体が本明細書に参照により組み込まれる)にさらに詳細に示され、かつ記述する。
【0010】
発明者らは、こうしたベベルマスクは、ベベルにおいて膜を減少させ、かつ剥離を防止するが、ベベルマスクは堆積された膜の厚さの均一性に悪影響を与えることを認識した。図3は、線310を用いた、ウエハの直径に対する、正規化された膜厚さのグラフ300であり、またウエハの外縁に対応する囲んだ部分315において、厚さの不均一性を示す(グラフは、300mmの外径を有するウエハに対して提供される)。グラフ300は、線310を用いて、図2のベベルマスク220を使用する、ギャップ充填炭素プロセス(またはプラズマCVD装置の動作)に対する厚さプロファイルを示す。145~150mmのウエハの半径周りの厚さは、マスクの存在に起因して不均一であり、またこれは、デバイスの製作中により低い収率を引き起こす可能性がある。
【0011】
本記述のいくつかの態様によれば、ウエハ上に薄膜を形成するためのプラズマ堆積装置(例えば、化学蒸着(CVD)装置)が提供される。装置は、反応チャンバまたは真空チャンバと、チャンバ内のまたはチャンバに結合されたプラズマ発生電極(例えば、無線周波数(RF)電極)と、を含む。装置は、ウエハを支持するためのサセプタをさらに含み、またサセプタは真空チャンバ内に提供され、そしてその中に電極(例えば、プラズマの生成をサポートするための電極対の下部電極)を有する。装置はまた、ウエハの周囲の周りに延在するバルク部分を含むマスクも含む。バルク部分は、真空チャンバの中へと面するベベル付きの表面を含み、またマスクは、ウエハの上面の周囲部分を覆うようにベベル付きの表面から外向きに延在する縁部分をさらに含む。
【0012】
装置の一部の実施では、縁部分は、平面状の断面形状を有し、またウエハおよび/またはサセプタの上面に対して平行になるように配設される。縁部分は、少なくとも1ミリメートル(mm)で、かつ6ミリメートル以下の幅を有してもよく、また少なくとも0.15mmで、かつ1mm以下の厚さを有してもよい。一部の事例では、サセプタは、ウエハを受容するためのポケットを画定する内壁を有するリング構造を含み、そしてウエハの外縁と内壁との間の隙間は3mm未満である。
【0013】
CVD装置のこれらの実施形態および他の実施形態では、縁部分は、ウエハの外径未満であり、かつウエハの外径から10mmを引いたもの以上である、内側直径を有する。バルク部分は、縁部分の厚さ以上の最小厚さを有する。さらに、縁部分の下面とウエハの上面との間に、1mm以下のギャップまたは隙間が存在することが有用である場合がある。
【0014】
マスクは、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムから作製されてもよく、または構成されてもよい。装置のこれらの実施および他の実施では、ウエハ上に形成された薄膜は、炭素および水素を含む。ベベル付きの表面は、サセプタの上面から測定されると、一部の事例では、10~45度の範囲内(20~30度など)のベベル角度を有する。
【0015】
本記述の一部の態様によれば、ウエハ上に薄膜を形成するためのプラズマ堆積装置が提供される。装置は、真空チャンバと、真空チャンバ内の、または真空チャンバに連結されたプラズマ発生電極と、を含む。装置は、ウエハを支持するためのサセプタをさらに含み、またサセプタは真空チャンバ内に提供され、かつその中に電極を有する。マスクはまた、ウエハの周囲の周りに延在するバルク部分を含む装置内にも提供される。バルク部分は、真空チャンバの中へと面するベベル付きの表面を含み、またマスクは、ウエハの上面の周囲部分を覆うようにベベル付きの表面から外向きに延在する縁部分をさらに含む。
【0016】
装置の一部の実施では、縁部分は平面状の断面形状を有する。縁部分は、少なくとも1ミリメートル(mm)で、かつ6ミリメートル以下の幅を有してもよく、また少なくとも0.15mmで、かつ1mm以下の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、サセプタは、ウエハを受容するためのポケットを画定する内壁を有するリング構造を含み、そしてウエハの外縁と内壁との間の隙間は3mm未満である。さらに、バルク部分は、縁部分の厚さ以上の最小厚さを有してもよい。
【0017】
縁部分の下面とウエハの上面との間に、1mm以下のギャップまたは隙間が提供される装置では、これは有用である可能性がある。装置のこれらの実施形態および他の実施形態では、マスクは、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムで構成されてもよい。さらに、ウエハ上に形成される薄膜が炭素および水素を含む場合、マスクは、有用である場合がある。加えて、装置は、サセプタの上面に平行な縁部分と、10~45度の範囲内のサセプタの上面から測定されるようなベベル角度を有するベベル付きの表面とを有して、有益に実装されてもよい。
【0018】
先行技術を超えて達成される本開示および利点を要約する目的のために、本開示のある特定の目的および利点を、本明細書で上記に記述してきた。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本開示の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば、本明細書で教示または示唆される場合があるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示または示唆されるような1つの利点または利点の群を達成または最適化する様態で、本明細書で開示された実施形態が実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0019】
これらの実施形態のすべては、本開示の範囲内であることが意図されている。これらの実施形態および他の実施形態は、以下の添付の図面を参照するある特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」から当業者に容易に明らかとなることになり、本開示は考察されるいかなる特定の実施形態(複数可)にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書は、本開示の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の記述から、より容易に確かめられる場合がある。図面全体を通して同様の要素番号が付けられている要素は、同じであることが意図されている。
【0021】
図1図1は、従来のプラズマCVD装置の側断面図である。
図2図2が図示するのは、図1の装置のようなプラズマCVD装置で使用するための先行するベベルマスクの詳細を図示する、側面概略図である。
図3図3は、膜の剥離を制限するために図2に示すものなどのベベルマスクが使用される、プラズマCVDプロセスに対するウエハ直径に対する膜厚さのグラフを図示する。
図4図4は、本記述による、平面状の内縁またはベベル延長部を有するベベルマスクの、図2と同様な側面概略図を図示する。
図5図5は、図2の従来のベベルマスクおよび図4の新しいマスクのウエハの縁部における厚さプロファイルを示す、ウエハ直径に対する膜厚さのグラフを図示する。
図6図6は、図4のマスクの2つの異なる実施形態におけるウエハの縁部における厚さプロファイルを示す、ウエハ直径に対する膜厚さのグラフを図示する。
図7図7は、本記述によるプラズマCVD装置の側断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本開示の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本開示が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、本開示の範囲は、本明細書に記述される特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0023】
本明細書に提示された図示は、任意の特定の材料、装置、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単なる表現にすぎない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「基材」および「ウエハ」という用語は、使用されてもよい任意の下地材料(複数可)、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい任意の下地材料(複数可)と交換可能に使用されてもよく、またはそれらを指してもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「化学蒸着」(CVD)という用語は、基材を1つ以上の揮発性前駆体に曝露し、この前駆体が基材表面上で反応および/または分解して望ましい堆積を生成する、任意のプロセスを指してもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「膜」および「薄膜」という用語は、本明細書に開示された方法によって堆積された、任意の連続的または非連続的な構造および材料を指してもよい。例えば、「膜」および「薄膜」としては、2D材料、ナノロッド、ナノチューブ、もしくはナノ粒子、またはさらには部分的もしくは完全な分子層、または部分的もしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスタを挙げることができる。「膜」および「薄膜」は、ピンホールを有するが、それでも少なくとも部分的に連続的な材料または層を含んでもよい。
【0027】
下記により詳細に記述するように、本開示の様々な詳細および実施形態は、プラズマ強化化学蒸着(PECVDまたはプラズマCVD)が挙げられるがこれらに限定されない、数多くの堆積プロセスのために構成された反応チャンバと併せて利用されてもよい。
【0028】
簡潔に述べると、プラズマCVD反応チャンバ内で使用するための新しいベベルマスク設計が本明細書に記述される。新しいベベルマスク設計は、プロファイルまたは断面形状が平面状または平坦であり、またマスクの本体またはバルク部分のベベルまたはベベル付きの表面または側面から内向きに延在する、内縁部分または延長部を含む。マスクの寸法およびサセプタ上のマスクの位置決めは、内縁部分がサセプタ上に支持されたウエハの外縁の少なくとも一部分の上方に延在し、一方でベベルまたはベベル付きの表面は、典型的にウエハの外縁からずらされるようなものである(例えば、ベベルまたはベベル付きの表面は、ウエハの縁部と、サセプタの一体部品であってもよく、またはサセプタの周囲の上に提供されたリングであってもよいマスクを支持するサセプタの部分との間のギャップまたは間隔の上方に位置する、その外縁または外側を有する)。新しいマスクは、プラズマCVDプロセスにおいてウエハ上に堆積された膜の均一性を高め、一方で依然として膜の剥離を防止または制御することが証明されている。
【0029】
図4は、新しいマスク設計が実施されたプラズマCVD反応チャンバの一部分の側断面図を図示する。示されるように、サセプタまたは基材支持体210が提供され、そしてウエハ204はサセプタ210の上面211上に定置される。ウエハ204の上方面または上面205は、チャンバ内のシャワーヘッド(図示せず)に上向きまたは向かって面する。サセプタ210は、その周囲または外縁(リング214の内壁215によって画定される凹部表面またはポケット内に受容されたウエハ204を有する)の周りに隆起した周囲要素またはリング214を含み、またベベルマスク420は、サセプタ210が位置する反応チャンバの堆積動作中にリング214上に支持される。
【0030】
示されるように、新しいマスク設計は、ベベルマスク420が、リング214の上方に位置付けられる本体またはバルク部分422を含むことを要する。ベベルマスク420はまた、反応チャンバの中心(またはサセプタ210の中心軸)に向かって内向きに面するベベルまたはベベル付きの内側または内面423も含み、ベベル423は、概して、リングから外向きにその内端が片持ちされてウエハ204の外縁206とリング214の内壁215との間のギャップまたは空間の上方に位置付けられるように、リング214の上方に位置付けられる。
【0031】
意義深いことに、ベベルマスク420は、ベベル423から、バルク部分422に取り付けられた第1の端部428から第2の端部427へと外向きに延在する内縁部分または延長部426を含む。このようにして、内縁部分426は、ウエハ204の外縁206および上面205の外側部分の上方に位置付けられる。示されるように、内縁部分426は、そのプロファイルまたは断面形状において概して平面状であり、例えば、第2の端部427における厚さT1は、第1の端部428における厚さT2と等しい、または何らかのより小さい量のみより少ない厚さである。厚さT2はまた、マスクのバルク部分422の最小厚さとして考えられてもよく、T1はマスク420の縁部分426の均一な厚さである。ベベルマスク420は、全体形状が環状であり、内径(または縁部分426の内側直径)D1は、サセプタ210および任意の受容されたウエハ204の上方の内側穴のサイズを画定する。マスク420は、典型的に、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および金属含浸セラミックなどのプラズマCVD反応チャンバにおいて有用な材料で一体的に形成(例えば、鋳造)される。
【0032】
ベベルマスク420を製作するために使用される特定の形状および寸法は、剥離を制限し、かつより均一な膜厚さを提供するために有用な反応チャンバを実施するように変化してもよいが、いくつかの有用な作業例を提供するのに有用である場合がある。縁部分426の内側直径D1は、ウエハ204の外径Dの約10ミリメートル(mm)以内となるように選ばれてもよい。例えば、内側直径D1は、ウエハ204が300mmの外径Dを有する場合、290~300mmの範囲内であってもよい。バルク部分422の内側直径D2(例えば、ベベル423の内縁)は、式D2=D1+2×W1によって与えられてもよく、式中、W1は、縁部分426の幅であり、またW1は、多くの適用では1~6mmの範囲内であってもよく、これにより、D2は、マスク420が300mmのウエハ204で使用するために作製される時、292~312mmの範囲内になることになる。
【0033】
内縁部分426の厚さT1は、約0.15~約1mmの範囲内になるように選ばれてもよく、バルク部分422の最小厚さT2がT1より大きく、またバルク部分の最大の厚さT3がT2より大きい。内縁部分426の底面または下面とウエハ204の上面205との間のギャップまたは隙間C1は、ゼロ(すなわち、接触)から約1mmであってもよい。ウエハの外縁206とリング214の内壁215との間のギャップまたは隙間C2は、ゼロ(すなわち、接触)から約3mmであってもよい。縁部分426の本体は、多くの実装ではウエハの上面205に平行であり、またベベル423は、ウエハ204の上面205またはサセプタ210の上面211から測定される場合、10~45度の角度で提供されてもよく、一部の事例では20~30度の角度が有用である。
【0034】
図5は、図2に示すような従来のベベルマスク220および図4の新しいベベルマスク420を用いた厚さプロファイル510、520を提供するために、グラフ500を用いて、ウエハの半径に対する正規化された膜厚さを示す。これらの堆積結果では、両方のマスクの内側直径は同じであったが、堆積結果は著しく異なった。特に、147~148mmのウエハ半径(外径300mmのウエハの場合)から、ベベルマスクがウエハの縁部における堆積を妨げるため、両方のベベルマスクの厚さが減少した。しかしながら、ウエハ半径145~147mmから、従来のマスクを用いた膜厚さが増加し、これは均一性を悪化させる。この厚さ増加の1つの可能性のある理由は、従来のベベルマスクがガス流を遮断することである。マスクの近くのガス滞留時間は、内向きのエリアよりも比較的長い。マスク近くの前駆体の解離の確率が増加し、堆積種の流束がこのエリアで増加する。
【0035】
対照的に、図5で示すように、提案されたマスク420を用いた厚さプロファイル520は、145~147mmのウエハ半径の間、平坦なままである。この望ましい結果は、縁部分426の形状がプロファイル520に影響を与えるためである可能性が高い。上記で考察したように、ベベルマスク420は、縁部分426およびベベル423を有するバルク部分422を含む。縁部分426は、平面状またはほぼ平坦であり、従来のベベルマスクの内側部分よりはるかに薄い。平面状で、かつ薄い縁部形状は、マスク420の近くのガス流を改善し、したがって、ウエハ204の外側部分の上方のマスク420のエリアにおけるガス滞留時間は、ウエハ204の他のエリアと等しくなる(または等しいのにより近い)。
【0036】
グラフ500の結果を生成するために、従来のマスク220は、0.3mmの最小厚さおよび3.0mmの最大バルク部分の厚さで製作された。マスクとウエハの上面との間の隙間はゼロであり、またマスクの内側直径は299mmであった。新しいベベルマスク420は、3.5mmの幅W1と、0.3mmの厚さT1とを有する。バルク部分422は、3.0mmの厚さT3を有し、一方で縁部分の下面とウエハ204の上面205との間の隙間C1は0mmに設定された。縁部分426の内側直径D1は299mmに設定され、一方でバルク部分422の内側直径D2は306mmに設定された(すなわち、縁部分の幅W1は7mmであった)。堆積プロセスは、1100Paの圧力、および8.0mmのプロセスギャップにおける34サイクルの堆積および処理の周期的プロセスであった。堆積は、BTL1-He(アルファ-7)/BTL2-He/Dil-He=2.6/2.6/0.5 slm、RF 82W、および5.5秒の持続時間であり、一方で処理はBTL1-He/BTL2-He/Dil-He=2.6/2.6/0.5 slm、RF 380W、および5.0秒の持続時間であった。
【0037】
図6は、それぞれ1.75mmおよび3.5mmの縁部分の厚さを有するベベルマスクを有する厚さプロファイル610および620を示す、公称膜厚さ対ウエハ半径のグラフ600を図示する。プロファイル610および620は、堆積膜の厚さに対する縁部分426の幅W1の影響を示す。幅W1がより大きいほど、プロファイル620は、プロファイル610より平坦になる。これは、より大きい幅W1は、ガス流を改善し、よって、多くの実施では、2.5~6mm、3.5~6mm、および4.5~6mmの幅W1は、ウエハ縁部において、またはウエハ縁部の近くで均一な厚さをより良好に達成するために望ましい場合があるためである可能性がある。
【0038】
図7は、本記述によるプラズマCVD装置700の側断面図を図示する。装置700は、図1の装置1に見られるものと同様の構成要素を含み、また同様の参照番号がこれらの構成要素を指すために使用され、またこれらの構成要素の上記の記述は、装置700に対して適用可能である。簡潔に述べると、プラズマCVD装置700は、反応チャンバ6と、ガス入口ポート5と、上部(またはRF)電極9と、サセプタ730を含む下部電極(例えば、サセプタ730は、その中に電極を有してもよい)と、ヒーター2と、を含む。ガスライン(図示せず)から、ガス入口ポート5を通してガスが導入される。円形状上部電極9は、ガス入口ポート5の真下に配置される。上部電極9は、中空構造を有し、また多数の微細な細孔がその底部に提供され、そこからガスがウエハ4に向かって噴射される。上部電極9は、複数のガス入口穴を有するシャワープレート21が、保守を容易にするために交換可能である構造を有する。
【0039】
加えて、反応チャンバ6の底部において、外部の真空ポンプ(図示せず)へと接続された排気ポート10が提供される。装置700の動作の間、反応チャンバ6の内部は排気される。サセプタ730は、上部電極に平行に、かつ上部電極に面して配置され、またサセプタ730はウエハ4をその上に保持し、ヒーター2の動作を介してウエハを加熱し、かつウエハを所望の範囲内の温度に維持する。サセプタ730の(またはサセプタ730上に提供される)周囲部分またはリング構造740は、一部の実施形態ではアルミナで形成され、そして本記述のベベルマスク420を支持するために使用される(特定の有用なプロファイルまたは断面形状については図4を参照のこと)。
【0040】
示されるように、マスク420は、ウエハ4の上面の外側部分を覆う内縁部分を有して、ウエハ4の周囲の周りに配置される。サセプタ730が、垂直移動機構(図示しないが、当業者によって理解される)による垂直移動によって下向きに移動されるとき、マスク420は、マスク支持スタンド750上に定置される。サセプタ730が垂直移動機構によって上向きに移動される時、マスク420は、サセプタ730上のリング構造740上に定置される。次いで、堆積プロセスは、ウエハ4の上面上の膜の均一な堆積を強化するように作用するマスク420を用いた装置700の動作を介して進んでもよい。
【0041】
恩恵、他の利点、および問題に対する解決策が、具体的な実施形態に関して、本明細書に記述される。しかしながら、恩恵、利点、問題に対する解決策、および何らかの恩恵、利点、または解決策を生じさせる場合がある、またはより顕著にさせる場合がある何らかの要素は、本開示の重要な、必要とされる、または必須の特徴もしくは要素として解釈されない。
【0042】
さらに、記述された本開示の特徴、利点、および特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様態で組み合わされてもよい。関連技術分野の当業者は、本出願の主題が、特定の実施形態の特定の特徴または利点のうちの1つ以上を有することなく実施されてもよいことを認識するであろう。他の事例では、本開示のすべての実施形態において存在しない場合がある、ある特定の実施形態で、追加の特徴および利点が認識される場合がある。さらに、一部の事例では、本開示の主題の態様を曖昧にすることを回避するために、周知の構造、材料、または動作は、詳細には示されていない、または記述されていない。いかなる特許請求の範囲の要素も、当該要素が「のための手段(means for)」という句を使用して明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)を発動することを意図していない。
【0043】
本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何によっても限定されるべきでなく、当該添付の特許請求の範囲における単数形の要素への言及は、明示的にそのように述べられていない限り「1つの、そして1つのみの」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つ以上」を意味することを意図している。具体的に別段の記載がない限り「1つの(a)」、「1つの(an)」、および/または「その(the)」への言及は1つまたは2つ以上を含んでもよく、また単数形のアイテムへの言及は複数形のアイテムも含んでもよいことが、理解されるべきである。さらに、「複数の」という用語は、少なくとも2つとして定義することができる。本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という句は、アイテムのリストとともに使用される時、リストされたアイテムのうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、またリスト中のアイテムのうちの1つのみが必要とされる場合があることを意味する。アイテムは、特定の物体、物、またはカテゴリーであってもよい。さらに、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」と同様の句が特許請求の範囲において使用される場合、その句は、一実施形態ではAのみが存在してもよいこと、一実施形態ではBのみが存在してもよいこと、一実施形態ではCのみが存在してもよいこと、または要素A、B、およびCの任意の組み合わせ;例えば、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはA、B、およびC、が単一の実施形態において存在してもよいことを意味すると解釈されることが意図される。一部の事例では、「アイテムA、アイテムB、およびアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、2個のアイテムA、1個のアイテムB、および10個のアイテムC;4個のアイテムBおよび7個のアイテムC;または何らかの他の好適な組み合わせを意味してもよいが、それらに限定されない。
【0044】
本明細書に開示されるすべての範囲および比の制限は、組み合わされてもよい。別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では単に標識として使用され、そしてこれらの用語が言及するアイテムに順序的、位置的、または階層的要件を課すことを意図しない。さらに、例えば、「第2の」アイテムの言及は、例えば、「第1の」アイテムもしくはより小さい番号が付けられたアイテム、および/または例えば、「第3の」アイテムまたはより大きい番号が付けられたアイテムの存在を必要としない、または除外しない。
【0045】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそのように限定されないことを理解するべきである。例えば、反応器システムは様々な特定の構成に関連して記述されているが、本開示は必ずしもこれらの実施例に限定されない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法の様々な修正、変形、および強化がなされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】