(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065324
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】抗特発性肺線維症剤
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230502BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230502BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230502BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230502BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/4745
A61P11/00
A61P43/00 105
A61K31/519
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170154
(22)【出願日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2021175674
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「創薬標的分子の確からしさを検証するツール物質の探索」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明良
(72)【発明者】
【氏名】石崎 敏理
(72)【発明者】
【氏名】濡木 真一
(72)【発明者】
【氏名】平山 文博
(72)【発明者】
【氏名】山西 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】澤田 隆介
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZB211
4C084ZC421
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB21
(57)【要約】
【課題】新規な抗特発性肺線維症剤を提供する。
【解決手段】本発明の抗特発性肺線維症剤は、ドーパミンD2受容体アンタゴニストを有効成分として含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーパミンD2受容体アンタゴニストを有効成分として含む、抗特発性肺線維症剤。
【請求項2】
前記ドーパミンD2受容体アンタゴニストは、リスペリドン、パリペリドン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、イロペリドン、フルフェナジン、クロルプロマジン、トリフルオペリジン、モリンドン、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、ラクロプリド、スルピリド、アミスルピリド、ドンペリドン、または、これらの誘導体もしくは塩である、請求項1に記載の抗特発性肺線維症剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗特発性肺線維症剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特発性肺線維症(IPF: Idiopathic Pulmonary Fibrosis)は、原因不明の間質性肺炎(特発性間質性肺炎)の約半数を占める頻度の高い慢性呼吸器疾患である。本疾患は、肺の線維化進行と、それによる不可逆的な呼吸機能障害を特徴とする。特発性肺線維症では、肺の炎症を伴う肺胞上皮障害と、線維芽細胞および筋線維芽細胞を中心とした過剰修復の繰り返しとが、病状の進行に関わることが示唆されている。
【0003】
従来の特発性肺線維症の治療薬としては、2008年にピルフェニドン(商品名:ピレスパ、シオノギ社製)が、2015年にニンテダニブ(商品名:オフェプ、ベーリンガーインゲルハイム社製)が、提案されている(非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Paul W Noble, et al., Pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis (CAPACITY): two randomized trials, Lancet (2011), vol 377, 1760-1769
【非特許文献2】Luca Richeldi, et al., Efficacy and Safety of Nintedanib in Idiopathic Pulmonary Fibrosis, The new England journal of medicine (2014), vol 370, No.22:2071-2082
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の特発性肺線維症の治療薬は、光過敏症、下痢、薬剤性肝障害、または食欲不振等の副作用があり、かつ、薬価が高いことから、長期間の治療では経済的負担が大きい。さらに、従来の特発性肺線維症の治療薬は、肺の硬化を遅らせたり、肺活量の減少を抑制したりすることで、特発性肺線維症の進行を遅らせることはできるものの、病状を回復させることはできない。これらの理由から、新規な抗特発性肺線維症剤が開発されることが期待されている。
【0006】
このような状況にあって、本発明の一態様は、新規な抗特発性肺線維症剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特発性肺線維症について研究を進めるうちに、ドーパミンD2受容体アンタゴニストにより、特発性肺線維症の症状を改善し得ることを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の一態様は以下である。
〔1〕ドーパミンD2受容体アンタゴニストを有効成分として含む、抗特発性肺線維症剤。
〔2〕前記ドーパミンD2受容体アンタゴニストは、リスペリドン、パリペリドン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、イロペリドン、フルフェナジン、クロルプロマジン、トリフルオペリジン、モリンドン、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、ラクロプリド、スルピリド、アミスルピリド、ドンペリドン、または、これらの誘導体もしくは塩である、〔1〕に記載の抗特発性肺線維症剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、新規な抗特発性肺線維症剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のドーパミンD2受容体アゴニスト投与実験において、ドーパミンD2受容体アゴニスト(キンピロール塩酸塩)を投与した場合、および、投与しなかった場合(コントロール)における、肺の炎症の度合いを示す図である。
【
図2】実施例1のドーパミンD2受容体アゴニスト投与実験における、各マウスの体重減少率、生存率、および、動脈血酸素飽和度を示す図である。
【
図3】実施例1のドーパミンD2受容体アンタゴニスト投与実験において、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(リスペリドン)を投与した場合、および、投与しなかった場合(コントロール)における、肺の炎症の度合いを示す図である。
【
図4】実施例1のドーパミンD2受容体アンタゴニスト投与実験における、各マウスの体重減少率、および、生存率を示す図である。
【
図5】実施例1のドーパミンD2受容体アンタゴニスト投与実験において、気管支肺胞洗浄試験により測定された、炎症系細胞の数を示す図である。
【
図6】実施例2のドーパミンD2受容体アンタゴニスト投与実験において、気管支肺胞洗浄試験により測定された、炎症系細胞の数を示す図である。
【
図7】実施例2のドーパミンD2受容体アンタゴニスト投与実験において、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(パリペリドン)を投与した場合、および、投与しなかった場合(コントロール)における、肺の炎症の度合いを示す図である。
【
図8】実施例2のドーパミンD2受容体アンタゴニスト投与実験における、各マウスの体重減少率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態および実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A~B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。
【0012】
[1.抗特発性肺線維症剤]
本発明の一実施形態に係る抗特発性肺線維症剤は、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(ドーパミンD2の阻害化合物)を有効成分として含有するものである。本明細書において、「抗特発性肺線維症剤」とは、特発性肺線維症の治療、予防、症状の改善、および/または、症状の進行を抑制する等の作用を有する薬剤を意図する。本発明の一実施形態に係る抗特発性肺線維症剤は、より具体的に、特発性肺線維症の処置剤、特発性肺線維症の予防剤、または、特発性肺線維症の治療剤であってもよい。以下、「本発明の一実施形態に係る抗特発性肺線維症剤」を「本抗特発性肺線維症剤」と称する場合がある。
【0013】
ドーパミンD2受容体は、ドーパミン受容体のサブファミリーの一つであり、アデニルシクラーゼ活性を抑制するGiタンパク質と共役し、細胞内にシグナルを伝達する働きを有することが一般に知られている。
【0014】
本発明者らは、特発性肺線維症について研究を進めるうちに、ドーパミンD2受容体アゴニスト(ドーパミンD2受容体の活性化化合物)を、特発性肺線維症を発症した被験体に投与した場合に、肺の炎症が増悪する等、特発性肺線維症の病状が著しく悪化することを発見した。この発見により、本発明者らは、ドーパミンD2受容体の活性化が特発性肺線維症の進行に関与していることを新たに見出した。
【0015】
かかる新規の知見に基づき、さらに鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、ドーパミンD2受容体アンタゴニストを、特発性肺線維症を発症した被験体に投与した場合に、肺の炎症が減少する等、特発性肺線維症の病状が改善すること、換言すると、ドーパミンD2受容体アンタゴニストを抗特発性肺線維症剤として使用し得ることを新たに見出した。
【0016】
ドーパミンD2受容体アンタゴニストは、従来、統合失調症等の精神疾患の治療薬としては使用されていたものの、特発性肺線維症に対しても治療効果を期待できることはこれまで一切知られておらず、本発明は驚くべき発見であると言える。
【0017】
また、上記のようにドーパミンD2受容体アンタゴニストは、すでに統合失調症の治療薬として使用されている。このことから、既存のドーパミンD2受容体アンタゴニストを有効成分として使用できる、本抗特発性肺線維症剤は、(i)ヒトでの安全性試験、薬物動態試験を短縮または省略できる、(ii)既存のドーパミンD2受容体アンタゴニストの副作用が既知であるため、患者の負担の少ない有効成分を選択可能である、(iii)薬剤(有効成分)の製造方法がすでに確立していることから薬価を低く抑えることができる、等の利点を有する。また、従来の特発性肺線維症の治療薬とは異なる作用機序を持つ可能性があることから、副作用の改善、および/または、特発性肺線維症の完治に繋がる可能性がある。
【0018】
(1-1.有効成分)
本抗特発性肺線維症剤が有効成分として含むドーパミンD2受容体アンタゴニストとしては、ドーパミンD2受容体阻害作用を有する限り、特に限定されない。
【0019】
本明細書において、「ドーパミンD2受容体アンタゴニスト」とは、ドーパミンD2受容体に働き、その結果として細胞内にシグナルを伝達する働きを抑制する作用(阻害作用)を有する化合物を意図する。ドーパミンD2受容体アンタゴニストとしては、より具体的には、ドーパミン等のアゴニストと同じ結合部位(活性部位)でドーパミンD2受容体に結合(例えば、可逆的に結合)するが、ドーパミンD2受容体を活性化する作用は有さない、競合的アンタゴニスト;アゴニストとは別の結合部位でドーパミンD2受容体に結合し、アロステリックにドーパミンD2受容体の活性化を抑制、または、ドーパミンD2受容体へのアゴニストの結合を阻害する、非競合的アンタゴニスト;アゴニストが結合したドーパミンD2受容体に結合し、その活性化を阻害する、不競合的アンタゴニスト;部分的アンタゴニスト;およびインバースアンタゴニスト;等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
ドーパミンD2受容体アンタゴニストとしては、公知のドーパミンD2受容体アンタゴニストを使用することができる。公知のドーパミンD2受容体アンタゴニストとしては、具体的には、リスペリドン(3-[2-[4-(6-フルオロ-1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル)ピペリジノ]エチル]-6,7,8,9-テトラヒドロ-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン)、パリペリドン(3-[2-[4-(6-フルオロ-1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル)-1-ピペリジニル]エチル]-6,7,8,9-テトラヒドロ-9-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン)、ハロペリドール(4-[4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-イル]-1-(4-フルオロフェニル)ブタン-1-オン)、オランザピン(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)、クエチアピン(2-[2-[4-[ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン-11-イル]ピペラジン-1-イル]エトキシ]エタノール)、ジプラシドン(5-{2-[4-(1,2-ベンズイソチアゾール-3-イル)-1-ピペラジニル]エチル}-6-クロロ-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン)、アリピプラゾール(7-[4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)-1-ピペラジニル]ブトキシ]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)、イロペリドン(1-[4-[3-[4-(6-フルオロ-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル]プロポキシ]-3-メトキシフェニル]エタノン)、フルフェナジン(2‐[4-[3-[2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン-10-イル]プロピル]ピペラジン-1-イル]-エタノール)、クロルプロマジン(2-クロロ-10-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-10H-フェノチアジン)、トリフルオペリジン(10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン)、モリンドン(3-エチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-2-メチル-5-(4-モルホリニルメチル)-4H-インドール-4-オン)、ペルフェナジン(4-[3-(2-クロロフェノチアジン-10-イル)プロピル]-1-ピペラジンエタノール)、チオリダジン(2-メチルチオ-10-[2-(1-メチルピペリジン-2-イル)エチル]-10H-フェノチアジン)、メソリダジン(2-メチルスルフィニル-10-[2-(1-メチルピペリジン-2-イル)エチル]-10H-フェノチアジン)、ラクロプリド(3,5-ジクロロ-N-[(2S)-1-エチル-2-ピロリジニル]-2-ヒドロキシ-6-メトキシベンズアミド)、スルピリド(N-[(1-エチルピロリジン-2-イル)メチル]-2-メトキシ-5-スルファモイルベンズアミド)、アミスルピリド(4-アミノ-N-[(1-エチル-2-ピロリジニル)メチル]-5-(エチルスルホニル)-2-メトキシベンズアミド)、ドンペリドン(5-クロロ-1-(1-[3-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)プロピル]ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン)、ならびに、これらの化合物の誘導体、および、薬学的に許容されるこれらの塩が挙げられる。これらの中でもドーパミンD2受容体アンタゴニストは、リスペリドン、パリペリドン、アリピプラゾール、または、これらの誘導体もしくは塩であることが好ましい。
【0021】
本明細書において、「誘導体」とは、特定の化合物に対して、当該化合物の分子内の一部が、他の官能基または他の原子と置換されることにより生じる化合物群を意図する。上記他の官能基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、アリールスルフォニルオキシ基、アルキルスルフォニルオキシ基、ニトロ基などが挙げられる。上記他の原子の例としては、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0022】
誘導体としては、生体内(インビボな条件)等において、加水分解、酸化、あるいは、酵素反応等により、所望の活性を発揮するプロドラッグを使用することもできる。
【0023】
上述した「誘導体」および「塩」は、ドーパミンD2受容体アンタゴニストとしての活性を有するものであればよく、限定されない。特定の化合物A(誘導体、塩)がドーパミンD2受容体アンタゴニストとしての活性を有するものであるか否かは、例えば、ドーパミンD2受容体を有する培養細胞に対して、(1)ドーパミン、または、(2)ドーパミンおよび化合物Aを接触させた後、ドーパミンD2受容体が活性化した時に誘導されるシグナル(例えば、特定の遺伝子の発現の誘導)を観察する。(1)のときのシグナルの強度と比較して、(2)のときのシグナルの強度が低下していれば、化合物Aを、ドーパミンD2受容体アンタゴニストとみなすことができる。
【0024】
本明細書において、「薬学的に許容される塩」とは、医薬品として被験体に投与することが生理学的に許容されうる塩を意図し、その具体例は限定されない。塩の例としては、アルカリ金属塩(カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩、有機塩基塩(トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩など)、有機酸塩(酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、蟻酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩など)、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩など)を挙げられる。
【0025】
ドーパミンD2受容体アンタゴニストは、ドーパミンD2受容体以外の受容体を活性化、または、阻害してもよいが、意図しない副作用等を抑制する観点から、ドーパミンD2受容体を選択的(特異的)に阻害する化合物であることが好ましい。
【0026】
(1-2.他の成分)
本抗特発性肺線維症剤は、上述した有効成分(ドーパミンD2受容体アンタゴニスト)以外の成分を含有していてもよい。有効成分以外の成分は、薬学的に許容され得る成分であればよく、例えば、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、高分子量重合体、賦形剤、溶媒などであり得る。
【0027】
前記緩衝剤の例としては、リン酸またはリン酸塩、ホウ酸またはホウ酸塩、クエン酸またはクエン酸塩、酢酸または酢酸塩、炭酸または炭酸塩、酒石酸または酒石酸塩、ε-アミノカプロン酸、トロメタモールなどが挙げられる。前記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなどが挙げられる。前記ホウ酸塩としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどが挙げられる。前記クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなどが挙げられる。前記酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどが挙げられる。前記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。前記酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウムなどが挙げられる。
【0028】
前記pH調整剤の例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0029】
前記等張化剤の例としては、イオン性等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、非イオン性等張化剤(グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトールなど)が挙げられる。
【0030】
前記防腐剤の例としては、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノールなどが挙げられる。
【0031】
前記抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0032】
前記高分子量重合体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、アテロコラーゲンなどが挙げられる。
【0033】
前記賦形剤の例としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、デンプン、結晶セルロースなどが挙げる。
【0034】
前記溶媒の例としては、水、生理的食塩水、アルコールなどが挙げられる。
【0035】
本抗特発性肺線維症剤は、上述した他の成分として所望の効果(例えば、副作用の低減)を有する薬効成分を含んでいてもよく、所望の効果を有する薬効成分と併用されてもよい。
【0036】
(1-3.有効成分、および、他の成分の含有量)
本抗特発性肺線維症剤の有効成分の量は、特に限定されない。当該有効成分の量は、例えば、薬剤の総重量に対して、0.001重量%~100重量%であってもよく、0.01重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~95重量%であってもよく、0.1重量%~90重量%であってもよく、0.1重量%~80重量%であってもよく、0.1重量%~70重量%であってもよく、0.1重量%~60重量%であってもよく、0.1重量%~50重量%であってもよく、0.1重量%~40重量%であってもよく、0.1重量%~30重量%であってもよく、0.1重量%~20重量%であってもよく、0.1重量%~10重量%であってもよい。
【0037】
本抗特発性肺線維症剤に含まれる有効成分以外の成分の量は、特に限定されない。当該有効成分以外の成分の量は、例えば、薬剤の総重量に対して、0重量%~99.999重量%であってもよく、0重量%~99.99重量%であってもよく、0重量%~99.9重量%であってもよく、5重量%~99.9重量%であってもよく、10重量%~99.9重量%であってもよく、20重量%~99.9重量%であってもよく、30重量%~99.9重量%であってもよく、40重量%~99.9重量%であってもよく、50重量%~99.9重量%であってもよく、60重量%~99.9重量%であってもよく、70重量%~99.9重量%であってもよく、80重量%~99.9重量%であってもよく、90重量%~99.9重量%であってもよい。
【0038】
(1-4.投与対象、および投与経路)
本抗特発性肺線維症剤の投与対象としては、特に限定されず、ヒトであってもよく、非ヒト動物(例えば、家畜、愛玩動物、および、実験動物)であってもよい。非ヒト動物としては、例えば、サル、チンパンジー、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、および、ラットが挙げられる。
【0039】
本抗特発性肺線維症剤は、任意の投与経路によって投与対象に投与され得る。投与経路の例としては、経口投与、吸入投与、経皮投与、経粘膜投与、経静脈投与が挙げられる。したがって、本発明の一実施形態に係る抗特発性肺線維症剤の剤型は、内服薬、吸入薬、外用薬、貼付剤、または、注射剤などであり得る。
【0040】
(1-5.製剤および処方)
有効成分であるドーパミンD2受容体アンタゴニスト、および、その他の成分を原料として、公知の手法により、本抗特発性肺線維症剤を製剤することができる。
【0041】
本抗特発性肺線維症剤を対象へ投与する場合、所望の効果が得られるならば、対象への投与量に制限はない。例えば、本抗特発性肺線維症剤は、有効成分であるドーパミンD2受容体アンタゴニストの投与量が、0.1mg~1000.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、0.1mg~500.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、1.0mg~500.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、1.0mg~300.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、1.0mg~100.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、1.0mg~50.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、1.0mg~10.0mg/kgとなるように投与されてもよく、1.0~10.0mg/kg体重となるように投与されてもよく、1.0~5.0mg/kg体重となるように投与されてもよい。
【0042】
本抗特発性肺線維症剤を対象へ投与する場合、所望の効果が得られるならば、対象への投与間隔に制限はない。前記投与間隔は、例えば、1時間に1回、1~6時間に1回、6~12時間に1回、12時間~1日あたり1回、1日~3日あたり一回、1日~5日あたり1回、1日~7日あたり1回、7日~14日あたり1回、14日~21日あたり1回、1カ月あたり1回、2カ月あたり1回、3カ月あたり1回、4カ月あたり1回、5カ月あたり1回、6カ月あたり1回、または、1年あたり1回であり得る。
【0043】
本抗特発性肺線維症剤は、例えば、1日あたり一回、有効成分であるドーパミンD2受容体アンタゴニストの投与量が、1.0mg/kg体重~5.0mg/kg体重となるように投与されてもよい。
【0044】
[2.その他]
<1>ドーパミンD2受容体アンタゴニストを有効成分として含む抗特発性肺線維症剤を被験体(例えば、ヒト、または、非ヒト動物)に投与する工程を有する、特発性肺線維症の治療方法。
<2>上記ドーパミンD2受容体アンタゴニストは、リスペリドン、パリペリドン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、イロペリドン、フルフェナジン、クロルプロマジン、トリフルオペリジン、モリンドン、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、ラクロプリド、スルピリド、アミスルピリド、ドンペリドン、または、これらの誘導体もしくは塩である、<1>に記載の特発性肺線維症の治療方法。
<3>抗特発性肺線維症剤の製造のためのドーパミンD2受容体アンタゴニストの使用。<4>上記ドーパミンD2受容体アンタゴニストは、リスペリドン、パリペリドン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、イロペリドン、フルフェナジン、クロルプロマジン、トリフルオペリジン、モリンドン、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、ラクロプリド、スルピリド、アミスルピリド、ドンペリドン、または、これらの誘導体もしくは塩である、<3>に記載の使用。
【実施例0045】
以下に実施例を挙げて本発明の一実施形態を詳説するが、本発明はこれによって限定されるものではない。また、実施例において取得した各データの統計解析はGraphPad Prism 9を用いて行った。
【0046】
〔実施例1〕
<肺線維症マウスモデル>
肺線維症マウスモデルとして、II型肺胞上皮細胞からのSP-CI73T変異タンパク質の発現がタモキシフェンによって誘導されて、その結果、特発性肺線維症を自然発症する、IER-SP-CI73T/I73TFlp+/+マウス(SP-CI73T-KIマウス)を用いた。比較対照試験には、野生型C57BL/6Jマウス(野生型マウス)を使用した。なお、SP-CI73T-KIマウスは、ヒトの特発性肺線維症に最も近いマウスとして知られているマウスである(Richard K, et al., Revealing the Secret of Idiopathic Pulmonary Fibrosis, The new England journal of medicine. January 3, 2019; 380: 94-96)。また、全ての実験は、大分大学医学部動物実験委員会で承認を得た後に、specific-pathogen-free状況下で育てられたマウスを使用して行われた。
【0047】
以下の各実験においては、8~10週齢のSP-CI73T-KIマウスに対して、タモキシフェン(150mg/1日)を腹腔内投与し、特発性肺線維症を発症させた。また、野生型マウスについても、同様に、タモキシフェン(150mg/1日)を腹腔内投与した。なお、野生型マウスは、上記の量のタモキシフェンを投与しても、特発性肺線維症は発症しない。
【0048】
<ドーパミンD2受容体アゴニスト投与実験>
SP-CI73T-KIマウスおよび野生型マウスに対して、ドーパミンD2受容体アゴニストであるキンピロール塩酸塩をリン酸緩衝液(PBS)に溶解したものを、キンピロール塩酸塩の投与量が1日あたり10.0mg/kgとなるよう、皮下注射により連日投与した。
【0049】
上記ドーパミンD2受容体アゴニストであるキンピロール塩酸塩を皮下投与したSP-C
I73T-KIマウスおよび野生型マウス(キンピロール塩酸塩皮下投与群)、ならびに、ドーパミンD2受容体アゴニストにかえてPBSのみを投与したSP-C
I73T-KIマウスおよび野生型マウス(PBS皮下投与群)について、体重変化率、生存率、および、動脈血酸素飽和度(SpO
2)を測定した。なお、動脈血酸素飽和度は、パルスオキシメーター(バイオマシナリー株式会社製)を用いて測定した。また、キンピロール塩酸塩(またはPBS)の投与を開始してから7日後のマウス(キンピロール塩酸塩皮下投与群のSP-C
I73T-KIマウスおよびPBS皮下投与群のSP-C
I73T-KIマウス)を殺処分し、肺組織を切除してHE(Hematoxylin Eosin)染色による病理学的評価を行った。肺組織のHE染色の結果を
図1に、体重変化率、生存率、および、動脈血酸素飽和度の測定結果を
図2に、それぞれ示す。
【0050】
図1より、ドーパミンD2受容体アゴニストを投与したキンピロール塩酸塩皮下投与群のSP-C
I73T-KIマウスにおいて、肺の炎症が増悪していること(特に、矢印で示す円内の部位)、すなわち、特発性肺線維症が悪化していることが分かる。また、
図2より、ドーパミンD2受容体アゴニストを投与したキンピロール塩酸塩皮下投与群のSP-C
I73T-KIマウスは、体重減少率が最も高く(
図2上図)、生存率が最も低く(
図2中図)、また、動脈血酸素飽和度も、急激に減少することが分かる(
図2下図)。特に、7日目以降の動脈血酸素飽和度の急激な減少は、生存率の低下の一因であると考えられる。これらの結果から、ドーパミンD2受容体アゴニストを投与した場合に、特発性肺線維症の病状が悪化することが示された。
【0051】
<ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(リスペリドン)投与実験>
SP-CI73T-KIマウスに対して、選択的なドーパミンD2受容体アンタゴニストであるリスペリドン(商品名:リスパダール、ヤンセンファーマ社製)を0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)に溶解し、リスペリドンの投与量が1日あたり1.0mg/kgとなるよう、連日経口投与した。
【0052】
上記ドーパミンD2受容体アンタゴニストであるリスペリドンを投与したSP-C
I73T-KIマウス(リスペリドン経口投与群、以下RPD群と称する)、および、リスペリドンにかえて0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)のみを投与したSP-C
I73T-KIマウス(0.5%CMC経口投与群、以下コントロール群と称する)について、体重変化率、および、生存率を測定した。また、リスペリドンまたは0.5%CMCの投与を開始してから7日後のマウス(RPD群のSP-C
I73T-KIマウスおよびコントロール群のSP-C
I73T-KIマウス)を殺処分し、気管支肺胞洗浄検査により、洗浄液中の細胞数を測定した後、肺組織を切除してHE染色による病理学的評価を行った。肺組織のHE染色結果を
図3に、体重変化率および生存率の測定結果を
図4に、気管支肺胞洗浄液中の総細胞数の測定結果を
図5に、それぞれ示す。なお、気管支肺胞洗浄検査においては、1mLのPBSを気管内からマウスの肺に注入し、マウスの肺を洗浄した後、洗浄液を回収するという一連の操作を合計5回行い、5回の洗浄にて回収された洗浄液中の細胞数の総数を測定した。
【0053】
図3より明らかなように、ドーパミンD2受容体アンタゴニストであるリスペリドンを投与しなかったコントロール群と(
図3上図)、リスペリドンを投与したRPD群(
図3下図)とを比較すると、RPD群の方が、肺の炎症を示す陰影の濃い部位が少ないこと、すなわち、肺の炎症が軽減されていることが分かる。また、
図4より、RPD群のマウスは、コントロール群のマウスと比して、体重の減少は同程度である一方、生存率が向上していることが分かる(
図4下図)。また、気管支肺胞洗浄検査の結果より(
図5)、RPD群のマウスは、コントロール群のマウスと比して、炎症系の細胞数も明らかに減少していることも分かる。これらの結果から、ドーパミンD2受容体アンタゴニストであるリスペリドンを投与することで、特発性肺線維症の病状が改善することが示された。
【0054】
〔実施例2〕
<肺線維症マウスモデル>
10週齢のC57BL6/Jマウスに対して、ブレオマイシン1.6mg/kgを気管内投与することで、肺線維症モデルマウスを作製した。なお、全ての実験は、大分大学医学部動物実験委員会で承認を得た後に、specific-pathogen-free状況下で育てられたマウスを使用して行われた。
【0055】
<ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(パリペリドン)投与実験>
上記の操作で肺線維症を発症させた10週齢のC57BL6/Jマウス(肺線維症モデルマウス)に対して、選択的なドーパミンD2受容体アンタゴニストであるパリペリドン(商品名:Paliperidone、Cayman Chemical社製)を、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)に溶解し、パリペリドンの投与量が1日あたり3.0mg/kgとなるよう、連日経口投与した。
【0056】
上記のパリペリドンを投与した肺線維症モデルマウス(パリペリドン経口投与群、以下PPD群と称する)、および、パリペリドンにかえて0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)のみを投与した肺線維症モデルマウス(0.5%CMC経口投与群、以下コントロール群と称する)について、体重変化率を測定した。また、リスペリドンまたは0.5%CMCの投与を開始してから14日後の肺線維症モデルマウス(PPD群のマウスおよびコントロール群のマウス)を殺処分し、気管支肺胞洗浄検査により、洗浄液中の細胞数を測定した後、肺組織を切除してHE染色による病理学的評価を行った。気管支肺胞洗浄液中の総細胞数の測定結果を
図6に、肺組織のHE染色結果を
図7に、体重変化率の測定結果を
図8に、それぞれ示す。なお、気管支肺胞洗浄検査においては、1mLのPBSを気管内からマウスの肺に注入し、マウスの肺を洗浄した後、洗浄液を回収するという一連の操作を合計5回行い、5回の洗浄にて回収された洗浄液中の細胞数の総数を測定した。
【0057】
気管支肺胞洗浄検査の結果(
図6)より、PPD群のマウスは、コントロール群のマウスと比して、炎症系の細胞数が明らかに減少していることが分かる。また、
図7より、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト(パリペリドン)を投与しなかったコントロール群と(
図7左図)、パリペリドンを投与したPPD群(
図7右図)とを比較すると、PPD群の方が、肺の炎症を示す陰影の濃い部位が少ないこと、すなわち、肺の炎症が軽減されていることが分かる。さらに、
図8より、PPD群のマウスは、コントロール群のマウスと比して、体重減少率が低いこと、すなわち、体重の減少が抑制されていることも分かる。これらの結果から、ドーパミンD2受容体アンタゴニストであるパリペリドンを投与することによっても、特発性肺線維症の病状が改善することが示された。
【0058】
以上の実施例1および2の結果より、ドーパミンD2受容体アンタゴニストにより、特発性肺線維症の病状が改善し得ること、すなわち、ドーパミンD2受容体アンタゴニストを抗特発性肺線維症剤として利用できることが示された。