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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065852
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】非接触プローブ及び形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176229
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 利久
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065DD02
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF09
2F065GG06
2F065HH04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL13
2F065MM15
2F065MM25
2F065PP22
(57)【要約】
【課題】小型のガルバノモータでミラーを安定姿勢で駆動できる非接触プローブを提供する。
【解決手段】非接触プローブ10は、レーザ光を照射する照射部20と、照射部20からのレーザ光をワークへ向けて反射させる照射側ミラー40と、ワークからの反射光を反射させる受光側ミラー42と、照射側ミラー40及び受光側ミラー42を共に揺動可能なガルバノモータ44とを備える。照射側ミラー40は、ガルバノモータ44の両側に延出しているモータ軸45の軸方向の一端側に設けられ、受光側ミラー42は、モータ軸45の軸方向の他端側に設けられている。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射する照射部と、
前記照射部からのレーザ光をワークへ向けて反射させる第1ミラーと、
前記ワークからの反射光を反射させる第2ミラーと、
前記第1ミラー及び前記第2ミラーを共に揺動可能なガルバノモータと、
を備え、
前記第1ミラーは、前記ガルバノモータの両側に延出しているモータ軸の軸方向の一端側に設けられ、
前記第2ミラーは、前記モータ軸の前記軸方向の他端側に設けられている、
非接触プローブ。
【請求項2】
前記第1ミラーの大きさは、前記第2ミラーの大きさの半分以下である、
請求項1に記載の非接触プローブ。
【請求項3】
前記モータ軸においてモータ本体と前記第1ミラーの間の部分に設けられたロータリエンコーダを更に備える、
請求項1又は2に記載の非接触プローブ。
【請求項4】
前記照射部及び前記ガルバノモータが支持されているフレーム部と、
互いに離れて設けられており、前記第2ミラーで反射された反射光を受光部へ向けて反射させる少なくとも1枚の反射ミラーと、
前記フレーム部上に設けられ、前記反射ミラーが固定されている固定板部材と、を更に備え、
前記固定板部材の線膨張係数は、前記フレーム部の線膨張係数よりも小さい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の非接触プローブ。
【請求項5】
前記反射ミラーは、断熱性を有する支持部材を介して前記固定板部材に固定されている、
請求項4に記載の非接触プローブ。
【請求項6】
前記固定板部材において、前記反射ミラーが固定されている部分から離れた位置に、前記フレーム部が熱膨張する際に変形する変形部が設けられている、
請求項4又は5に記載の非接触プローブ。
【請求項7】
前記固定板部材には、複数の穴部が形成されており、
前記変形部は、前記穴部に隣接している複数の幅狭部を有する、
請求項6に記載の非接触プローブ。
【請求項8】
前記照射部は、前記フレーム部の長手方向の一端側に位置し、
前記反射ミラーは、前記長手方向の他端側に位置する、
請求項4から7のいずれか1項に記載の非接触プローブ。
【請求項9】
前記ロータリエンコーダは、アブソリュート信号を出力し、前記第1ミラー及び前記第2ミラーの回転角度の絶対値を測定可能なアブソリュートエンコーダである、
請求項3に記載の非接触プローブ。
【請求項10】
前記ガルバノモータは、ステータ側に設けられた規制ブロックと、ローター側に設けられ揺動時に前記規制ブロックに突き当たる突当部とを有し、
前記ロータリエンコーダは、前記突当部が前記規制ブロックに突き当たった位置の信号を出力する、
請求項3に記載の非接触プローブ。
【請求項11】
レーザ光を照射する照射部と、前記照射部からのレーザ光をワークへ向けて反射させる第1ミラーと、前記ワークからの反射光を受光部へ向けて反射させる第2ミラーと、前記第1ミラー及び前記第2ミラーを共に揺動可能なガルバノモータと、を備える非接触プローブと、
前記受光部の出力に基づいて、前記ワークの形状を演算する演算部と、
を含み、
前記第1ミラーは、前記ガルバノモータの両側に延出しているモータ軸の軸方向の一端側に設けられ、
前記第2ミラーは、前記モータ軸の前記軸方向の他端側に設けられている、形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触プローブ及び形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
形状測定装置には、ワークにレーザ光を照射してワークの形状を非接触で検出する非接触プローブが設けられている。非接触プローブには、照射部からのレーザ光をワークへ向けて反射させると共に、ワークからの反射光を受光部へ向けて反射させるミラーが設けられている。このミラーは、ガルバノモータによって揺動可能に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-29134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ミラーに、照射部からのレーザ光を反射させる機能とワークからの反射光を反射させる機能とを持たせるため、ミラー面が大きくなってしまい、ミラーを駆動させるガルバノモータも大型になっている。また、ガルバノモータがミラーを片持ちで支持するため、ミラーの姿勢が不安定になるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、小型のガルバノモータでミラーを安定姿勢で駆動できる非接触プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、レーザ光を照射する照射部と、前記照射部からのレーザ光をワークへ向けて反射させる第1ミラーと、前記ワークからの反射光を反射させる第2ミラーと、前記第1ミラー及び前記第2ミラーを共に揺動可能なガルバノモータと、を備え、前記第1ミラーは、前記ガルバノモータの両側に延出しているモータ軸の軸方向の一端側に設けられ、前記第2ミラーは、前記モータ軸の前記軸方向の他端側に設けられている、非接触プローブを提供する。
【0007】
また、前記第1ミラーの大きさは、前記第2ミラーの大きさの半分以下であることとしてもよい。
【0008】
また、前記モータ軸においてモータ本体と前記第1ミラーの間の部分に設けられたロータリエンコーダを更に備えることとしてもよい。
【0009】
また、前記照射部及び前記ガルバノモータが支持されているフレーム部と、互いに離れて設けられており、前記第2ミラーで反射された反射光を受光部へ向けて反射させる少なくとも1枚の反射ミラーと、前記フレーム部上に設けられ、前記反射ミラーが固定されている固定板部材と、を更に備え、前記固定板部材の線膨張係数は、前記フレーム部の線膨張係数よりも小さいこととしてもよい。
【0010】
また、前記反射ミラーは、断熱性を有する支持部材を介して前記固定板部材に固定されていることとしてもよい。
【0011】
また、前記固定板部材において、前記反射ミラーが固定されている部分から離れた位置に、前記フレーム部が熱膨張する際に変形する変形部が設けられていることとしてもよい。
【0012】
また、前記固定板部材には、複数の穴部が形成されており、前記変形部は、前記穴部に隣接している複数の幅狭部を有することとしてもよい。
【0013】
また、前記照射部は、前記フレーム部の長手方向の一端側に位置し、前記反射ミラーは、前記長手方向の他端側に位置することとしてもよい。
【0014】
また、前記ロータリエンコーダは、アブソリュート信号を出力し、前記第1ミラー及び前記第2ミラーの回転角度の絶対値を測定可能なアブソリュートエンコーダであることとしてもよい。
【0015】
また、前記ガルバノモータは、ステータ側に設けられた規制ブロックと、ローター側に設けられ揺動時に前記規制ブロックに突き当たる突当部とを有し、前記ロータリエンコーダは、前記突当部が前記規制ブロックに突き当たった位置の信号を出力することとしてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様においては、レーザ光を照射する照射部と、前記照射部からのレーザ光をワークへ向けて反射させる第1ミラーと、前記ワークからの反射光を受光部へ向けて反射させる第2ミラーと、前記第1ミラー及び前記第2ミラーを共に揺動可能なガルバノモータと、を備える非接触プローブと、前記受光部の出力に基づいて、前記ワークの形状を演算する演算部と、を含み、前記第1ミラーは、前記ガルバノモータの両側に延出しているモータ軸の軸方向の一端側に設けられ、前記第2ミラーは、前記モータ軸の前記軸方向の他端側に設けられている、形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、小型のガルバノモータでミラーを安定姿勢で駆動できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】形状測定装置1の概要を説明するための模式図である。
図2】非接触プローブ10の内部構成を説明するための概略斜視図である。
図3図2の正面図である。
図4図2の平面図である。
図5】照射側ミラー40、受光側ミラー42及びガルバノモータ44の構成を説明するための模式図である。
図6】変形例を説明するための模式図である。
図7】固定板部材60の詳細構成を説明するための模式図である。
図8】フレーム部15が熱膨張した際の変形部65の状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<形状測定装置の概要>
一の実施形態に係る非接触プローブを含む形状測定装置の概要について、図1を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、形状測定装置1の概要を説明するための模式図である。形状測定装置1は、例えば、測定対象物であるワークの3次元形状を測定する3次元形状測定装置である。形状測定装置1は、図1に示すように、非接触プローブ10と、移動機構80と、制御装置90とを有する。
【0021】
非接触プローブ10は、定盤に載置されたワークにレーザ光を照射し、ワークの表面から反射した光に基づいてワークの画像を撮像する。非接触プローブ10は、照射部20と、受光部30と、プローブ制御部70とを有する。なお、非接触プローブ10の詳細構成については、後述する。
【0022】
照射部20は、ワークにレーザ光を照射する。照射部20は、光源22を有する。光源22は、例えばLD(Laser Diode)等で構成されており、所定波長のレーザ光を発生させて出射する。
【0023】
受光部30は、ワークにて反射されたレーザ光を受光し、ワークの画像を撮像する撮像部として機能する。受光部30は、撮像素子32を有する。撮像素子32は、ワークの画像を撮像するイメージセンサである。イメージセンサとしては、例えばCMOSイメージセンサが利用される。
【0024】
プローブ制御部70は、非接触プローブ10の動作を制御する。プローブ制御部70は、照射部20の光源22によるレーザ光の照射と、受光部30の撮像素子32によるワークの画像の撮像とを制御する。
【0025】
移動機構80は、非接触プローブ10をワークに対して相対移動させる。例えば、移動機構80は、互いに直交する3軸方向に非接触プローブ10を移動させる。非接触プローブ10は、移動機構80に着脱可能に装着されている。
【0026】
制御装置90は、非接触プローブ10と移動機構80の動作を制御する。制御装置90は、例えば、移動機構80によって非接触プローブ10を移動させながら、非接触プローブ10によって測定を行う。制御装置90は、記憶部92と、制御部94と、演算部96を含む。
【0027】
記憶部92は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部92は、制御部94によって実行可能なプログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部92は、非接触プローブ10が測定した結果を記憶する。
【0028】
制御部94は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部94は、記憶部92に記憶されたプログラムを実行することにより、プローブ制御部70を介して非接触プローブ10の動作を制御する。具体的には、制御部94は、照射部20によるワークへのレーザ光の照射を制御する。
【0029】
演算部96は、非接触プローブ10がレーザ光を照射するワークの形状を演算する。演算部96は、受光部30の出力を取得し、ワークの形状を演算する。
【0030】
<非接触プローブの内部構成>
非接触プローブ10の内部構成について、図2図8を参照しながら説明する。
【0031】
図2は、非接触プローブ10の内部構成を説明するための概略斜視図である。図3は、図2の正面図である。図4は、図2の平面図である。図5は、照射側ミラー40、受光側ミラー42及びガルバノモータ44の構成を説明するための模式図である。なお、図2図4では、説明の便宜上、非接触プローブ10の外カバーが省略されている。また、図5では、レーザ光の進行方向が破線の矢印で示されている。
【0032】
非接触プローブ10は、図2に示すように、フレーム部15と、照射部20と、受光部30と、照射側ミラー40と、受光側ミラー42と、ガルバノモータ44と、反射ミラー50、53と、固定板部材60と、集光レンズ68を有する。なお、本実施形態では、照射側ミラー40が第1ミラーに該当し、受光側ミラー42が第2ミラーに該当する。
【0033】
フレーム部15は、非接触プローブ10の骨格を成す部分であり、金属材料から成る。フレーム部15には、照射部20が照射したレーザ光及びワークからの反射光が通過できるように開口部が形成されている。フレーム部15は、照射部20、受光部30、ガルバノモータ44、集光レンズ68等を支持している。具体的には、フレーム部15の内部にガルバノモータ44が支持されており、フレーム部15の上部に照射部20、受光部30、集光レンズ68が支持されている。フレーム部15は、ここではアルミニウム、マグネシウム合金、ポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチック、炭素繊維強化プラスチックなどで構成することが可能である。これにより、非接触プローブ10を軽量化できる。
【0034】
照射部20は、図3に示すように、フレーム部15の長手方向の一端側に位置している。照射部20の内部には、光源22(図1)や、コリメータレンズ等のレンズが配置されている。
【0035】
受光部30は、図3に示すように、フレーム部15の長手方向の一端に位置している。受光部30には、ワークの反射光(具体的には、集光レンズ68を通過した反射光)を受光する撮像素子32(図1)が設けられている。
【0036】
照射側ミラー40は、照射部20からのレーザ光をワークへ向けて反射させるミラーである。照射側ミラー40は、図3に示すように、フレーム部15内において長手方向の一端側で、かつ照射部20の真下に位置している。照射側ミラー40は、レーザ光の照射方向を調整できるように揺動可能となっている。照射側ミラー40で反射されたレーザ光は、フレーム部15の開口部を通過してワークに至る。
【0037】
受光側ミラー42は、ワークからの反射光を反射させるミラーである。受光側ミラー42は、図3に示すように、フレーム部15内において長手方向の他端側に位置している。受光側ミラー42は、照射側ミラー40と連動して揺動可能となっている。受光側ミラー42で反射された反射光は、フレーム部15の開口部を通過して反射ミラー50に至る。
【0038】
ガルバノモータ44は、照射側ミラー40及び受光側ミラー42を共に揺動可能なモータである。具体的には、ガルバノモータ44は、照射側ミラー40及び受光側ミラー42を同時に揺動させる。ガルバノモータ44は、図3に示すように、モータ本体44aの両側に延出しているモータ軸45を有する。
【0039】
モータ軸45の軸方向の一端側には照射側ミラー40が設けられ、モータ軸45の軸方向の他端側には受光側ミラー42が設けられている。具体的には、照射側ミラー40は、モータ軸45の軸方向の一端部のDカット部に固定されており、受光側ミラー42は、モータ軸45の軸方向の他端部のDカット部に固定されている。すなわち、モータ軸45は、照射側ミラー40及び受光側ミラー42を両持ちで支持している。
【0040】
このようにモータ軸45の両側に照射側ミラー40と受光側ミラー42を配置する場合には、モータ軸45の片側に照射側ミラー40及び受光側ミラー42を一体で配置する場合に比べて各ミラーを軽量化できると共に、ガルバノモータ44の負荷トルクを低減できるので、ガルバノモータ44を小型化しやすくなる。また、モータ軸45が照射側ミラー40と受光側ミラー42を両持ちで支持する場合には、モータ軸45が片持ちで支持する場合に比べて照射側ミラー40及び受光側ミラー42の姿勢が安定しやすくなる。この結果、高精度にレーザ光の照射及び反射光の受光を行える(別言すれば、受光部30における反射光の受光位置の誤差の発生を抑制できる)。
【0041】
照射側ミラー40の大きさは、受光側ミラー42の大きさより小さい。好ましくは、照射側ミラー40の大きさは、受光側ミラー42の半分以下である。これは、照射部20は照射側ミラー40にレーザ光をスポットで照射しており、照射側ミラー40でのレーザ光の反射位置は、揺動してもほとんど変動しないため、照射側ミラー40を小さくしている。このように照射側ミラー40を小さくすることで、ガルバノモータ44の負荷トルクを更に低減できる。
【0042】
モータ軸45には、ロータリエンコーダ48が取り付けられている。ロータリエンコーダ48は、ガルバノモータ44の回転位置や回転速度を検出する。ロータリエンコーダ48は、モータ軸45においてモータ本体44aと照射側ミラー40の間の部分に設けられている。すなわち、ロータリエンコーダ48は、大きさが小さい照射側ミラー40側に配置されている。これにより、モータ本体44aから見て一端側と他端側の重量差を小さくできるので、ガルバノモータ44の回転を安定させやすい。
【0043】
ロータリエンコーダ48は、アブソリュート信号を出力可能なタイプのロータリエンコーダ(アブソリュートエンコーダ)で構成することができる。アブソリュートエンコーダは回転角度の絶対値を出力するエンコーダであるため、ロータリエンコーダ48は、照射側ミラー40及び受光側ミラー42の回転角度の絶対値を測定可能である。これにより、起動時におけるロータリエンコーダ48の基準位置出しが不要になるため、起動にかかる初期設定の時間を短縮することが可能となる。
なお、ロータリエンコーダ48は、上記に限定されず、例えば、インクリメンタル信号、及び、Z相信号(基準位置信号)を出力可能なタイプのロータリエンコーダで構成されてもよい。
【0044】
図6は、変形例を説明するための模式図である。図6に示すように、ガルバノモータ44のステータ側に規制ブロック49aを設け、ローター側に突当部49bを設けてもよい。規制ブロック49aは、円筒状のブロックの一部を切り欠くように形成されている。突当部49bは、モータ軸45と共に揺動可能にモータ軸45に取り付けられている。突当部49bは、ガルバノモータ44が照射側ミラー40及び受光側ミラー42を揺動させる際に規制ブロック49aに突き当たることで、揺動を規制する。この場合、ロータリエンコーダ48は、突当部49bが規制ブロック49aに突き当たった位置の信号を出力して、基準位置出しをしてもよい。これにより、起動時の基準位置出しが精度よくできるようになる。また、アブソリュートタイプのロータリエンコーダよりもサイズと重量をコンパクトにできて、しかも安価である。
【0045】
反射ミラー50、53は、受光側ミラー42の上方に設けられており、受光側ミラー42で反射された反射光を受光部30へ向けて反射させるミラーである。具体的には、反射ミラー50が、受光側ミラー42の反射光を反射ミラー53へ反射させ、反射ミラー53が、当該反射光を集光レンズ68へ向けて反射させる。反射ミラー50、53は、フレーム部15上において、互いに離れた位置に設けられている。
【0046】
反射ミラー50、53は、図3に示すように、フレーム部15の長手方向の他端側に位置している。すなわち、反射ミラー50、53は、照射部20とは逆側に位置している。このため、照射部20の発熱による影響が及びにくい。なお、照射側ミラー40と受光側ミラー42をモータ軸45の両側に離して配置させていることで、反射ミラー50、53と照射部20の設置位置の自由度が高まる。
【0047】
反射ミラー50は、支持部材51に支持されており、反射ミラー53は、支持部材54に支持されている。支持部材51、54は、例えばセラミックス製であり、断熱性を有する。このように支持部材51、54が断熱性を有することで、フレーム部15から反射ミラー50、53に熱が伝動されることを抑制できる。
【0048】
反射ミラー50、53は、フレーム部15に直接支持されておらず、固定板部材60を介して支持されている。固定板部材60は、フレーム部15上に設けられている。具体的には、固定板部材60は、フレーム部15の長手方向の他端側の上部の2箇所で支持されている。固定板部材60には、反射ミラー50、53が固定されている。
なお、上記では、2つの反射ミラー50、53が設けられていることとしたが、これに限定されず、受光側ミラー42で反射された反射光を受光部30へ向けて反射させる反射ミラーは、一つであってもよい。
【0049】
本実施形態において、固定板部材60の線膨張係数は、フレーム部15の線膨張係数よりも小さい。具体的には、固定板部材60はチタンプレートから成っており、当該チタンプレートの線膨張係数は、フレーム部15を成す材料の線膨張係数よりも小さい。このため、熱が上昇しても固定板部材60の熱変化の度合いが小さいため、固定板部材60に固定された反射ミラー50、53の相対位置の変化を抑制できる。この結果、受光部30における反射光の受光位置の誤差の発生を抑制できる。
【0050】
図7は、固定板部材60の詳細構成を説明するための模式図である。固定板部材60は、平板部61と、複数の穴部62a、62b、62cと、複数の幅狭部63a、63b、63c、63dと、接続部64を有する。
【0051】
平板部61は、所定厚さの板金で形成されている。穴部62a、62b、62cは、平板部61において反射ミラー50、53が固定された部分から離れた位置に形成されている。穴部62a~62cは、平板部61の一の角部において互いに隣接するように形成されている。
【0052】
幅狭部63a、63b、63c、63dは、幅が狭くなっている部分であり、穴部62a~62cに隣接している。幅狭部63a~63dの幅は、例えば平板部61の厚さ以下である。幅狭部63a~63dは他の部分に比べて剛性が低くなっているため、力が作用すると変形しやすい。
【0053】
接続部64は、4つの幅狭部63a~63dと接続している部分である。接続部64の周囲に、穴部62a~62dが位置している。本実施形態では、4つの幅狭部63a~63d及び接続部64が、フレーム部15が熱膨張する際に変形する変形部65として機能する。
【0054】
図8は、フレーム部15が熱膨張した際の変形部65の状態を説明するための模式図である。フレーム部15が熱膨張すると、フレーム部15に接する固定板部材60のうちの剛性が低い変形部65が、フレーム部15から力を受けて、図8に示すように変形する。図8では、幅狭部63a~63dが折れ曲がるように変形し、接続部64が平板部61に対して盛り上がるように位置する。変形部65が変形することで、固定板部材60はフレーム部15の熱膨張を吸収する機能を果たす。このため、フレーム部15が熱膨張しても、反射ミラー50、53の相対位置の変化を抑制できる。
【0055】
集光レンズ68は、受光部30に集光させる。具体的には、集光レンズ68は、撮像素子32の撮像面に集光させる。
【0056】
<本実施形態における効果>
本実施形態の非接触プローブ10においては、照射部20からのレーザ光をワークへ向けて反射する照射側ミラー40が、ガルバノモータ44の両側に延出しているモータ軸45の軸方向の一端側に設けられ、ワークからの反射光を反射させる受光側ミラー42が、モータ軸45の軸方向の他端側に設けられている。すなわち、モータ軸45は、両持ちで照射側ミラー40と受光側ミラー42を支持する。
照射側ミラー40と受光側ミラー42がモータ軸45の両側に配置する場合には、受光側ミラー42及び受光側ミラー42の一方に一体で配置される場合に比べて、各ミラーを軽量化できると共に、ガルバノモータ44の負荷トルクを低減できるので、ガルバノモータ44を小型化しやすくなる。また、モータ軸45が照射側ミラー40と受光側ミラー42を両持ちで支持する場合には、モータ軸45が片持ちで支持する場合に比べて照射側ミラー40及び受光側ミラー42の姿勢が安定しやすくなる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0058】
1 形状測定装置
10 非接触プローブ
15 フレーム部
20 照射部
30 受光部
40 照射側ミラー
42 受光側ミラー
44 ガルバノモータ
44a モータ本体
45 モータ軸
48 ロータリエンコーダ
49a 規制ブロック
49b 突当部
50 反射ミラー
51 支持部材
53 反射ミラー
54 支持部材
60 固定板部材
62a、62b、62c、62d 穴部
63a、63b、63c 幅狭部
65 変形部
96 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8