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特開2023-65999(メタ)アクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065999
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】(メタ)アクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/12 20060101AFI20230508BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230508BHJP
【FI】
C07F7/12 F
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176459
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入學 武
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H039CF10
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ12
4H049VQ28
4H049VR21
4H049VR33
4H049VS12
4H049VS95
4H049VT17
4H049VU20
4H049VV12
4H049VW02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を工業的規模等で製造する場合に、原料の(メタ)アクリレート化合物が自己重合する反応を抑えることができる、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)(R1はC1~10の炭化水素基、Xはハロゲン原子)

で示されるヒドロハロシラン化合物と、一般式(2)(R2はHまたはメチル基、R3はC1~18の2価炭化水素基)

で示されるアルケニル基を有する(メタ)アクリレート化合物とを、酸アミド化合物の存在下、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応させる、一般式(3)の製造方法。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1は、置換または非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、nは、1~3の整数を表す。)
で示されるヒドロハロシラン化合物と、下記一般式(2)
【化2】
(式中、R2は、水素原子またはメチル基を表し、R3は、非置換の炭素数1~18の2価炭化水素基を表す。)
で示されるアルケニル基を有する(メタ)アクリレート化合物とを、酸アミド化合物の存在下、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【化3】
(式中、R1、R2、R3、Xおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
で示されるアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項2】
前記酸アミド化合物が、下記一般式(4)
【化4】
(式中、R4は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~30のk価炭化水素基を表し、R5は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~30の1価炭化水素基を表し、kは、1または2の整数を表す。)
で示される酸アミド化合物、または下記一般式(5)
【化5】
(式中、R6は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~30の1価炭化水素基を表す。)
で示される第1級酸アミド化合物である請求項1項記載のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項3】
前記酸アミド化合物が、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、パルミトアミド、ステアルアミド、オレアミド、およびエルカミドから選ばれる1種または2種以上である請求項1または2記載のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項4】
重合禁止剤の存在下で前記ヒドロシリル化反応を行う請求項1~3のいずれか1項記載のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項5】
前記重合禁止剤が、フェノール系重合禁止剤またはヒンダードフェノール系重合禁止剤である請求項4記載のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項6】
前記フェノール系重合禁止剤が、4-メトキシフェノール、2-メチル-4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、および4-ヒドロキシフェノールから選ばれる1種または2種以上である請求項5記載のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項7】
前記ヒンダードフェノール系重合禁止剤が、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、および3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オールから選ばれる1種または2種以上である請求項5記載のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加水分解性シリル基と有機基を有する有機ケイ素化合物は、加水分解性シリル基の加水分解によって生成するシラノール基が、無機材料表面の水酸基と共有結合を形成し、さらに有機基が有機材料と反応することにより、通常では結びつきにくい有機材料と無機材料とを結びつけることを可能にする。これにより、有機無機複合材料に、耐熱性、耐水性、耐候性、機械的強度の向上、密着性、分散性、疎水性、防錆性等の特性を付与することができる。
これらの特性を利用し、上記有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤、樹脂添加剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤、高分子変性剤等の幅広い分野・用途に用いられる。
【0003】
上記有機ケイ素化合物の中でも、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基(以下、両者を併せて「(メタ)アクリロイルオキシ基」という。)を有する有機ケイ素化合物は、重合性官能基である(メタ)アクリロイルオキシ基が種々のラジカル重合性モノマーと共重合することから、ケイ素含有ポリマーを得るためのラジカル重合性モノマーとして有用な化合物である。
このような(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、3-アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン(特許文献1)等が挙げられる。
【0004】
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物は、ヒドロハロシラン化合物とアルケニル基を有するアクリレート化合物またはメタクリレート化合物(以下、両者を併せて「(メタ)アクリレート化合物」という。)を、白金触媒下でヒドロシリル化反応して合成するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-29583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物は、その特徴である重合性官能基が自己重合しやすく、工業的規模で製造する場合に様々な問題が生じる。具体的には、重合性官能基は、製造中の熱によって発生するラジカル種と反応し、新たなラジカル種を形成する(開始反応)。重合性官能基とラジカル種との反応は発熱反応であり、反応によって温度が上昇すると、別の重合性官能基と新たなラジカル種が連鎖的かつ加速的に反応して、自己重合するようになる(成長反応)。自己重合によって温度が急激に上昇し、反応を制御することが不可能になると、反応液が気化または熱分解等して可燃性ガスを発生させ、最悪の場合、火災、爆発等の事故を起こす危険がある(暴走反応)。また、重合物が装置内や配管内を閉塞させて、製造プロセスに多大な損害を及ぼす等の問題もある。
このような理由から、上記有機ケイ素化合物を工業的規模で容易に製造する上で、自己重合を抑制する方法の確立が極めて重要となっている。
【0007】
ラジカル重合性モノマーとラジカル種との反応性は、ラジカル重合性モノマーの構造に大きく影響する。
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造において、原料の(メタ)アクリレート化合物および生成物の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物は、ラジカル種の成長速度定数が非常に大きい(メタ)アクリロイルオキシ基を有しており、開始反応が速やかに進行する。
しかし、生成物の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物は、立体障害の大きいシリル基の置換基効果によりラジカル種が安定化するため、成長反応が遅く、自己重合を引き起こす直接の原因にならない。一方、原料の(メタ)アクリレート化合物は、アルケニル基の立体障害が小さく、成長反応が速やかに進行するため、自己重合を引き起こす直接の原因になる。
以上のことから、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を工業的規模で容易に製造する上で、重合性官能基の自己重合を抑制する方法の確立が極めて重要であり、具体的には、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑制する方法の確立が極めて重要となっている。
【0008】
重合性官能基の自己重合を抑制する方法としては、種々の重合禁止剤を添加する方法が知られている。
重合禁止剤の中でも、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑制できるものとしては、例えば、フェノール系重合禁止剤が知られている。生成物の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の成長反応を抑制できるものとしては、例えば、フェノール系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系重合禁止剤等が知られている。
ヒドロキシル基を有する4-メトキシフェノール等のフェノール系重合禁止剤は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造において、ラジカル種との反応性が反応系中で最も高いため、発生したラジカル種を速やかに捕捉することにより、開始反応と成長反応をそれぞれ抑えることができる。しかし、ハロシラン化合物存在下では、ヒドロキシル基がハロシラン化合物と徐々に反応することにより、ヒドロキシル基によるラジカル捕捉能が失われ、重合禁止剤として作用しなくなる。
ヒドロキシル基の周囲に立体障害の大きい置換基を有する2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール等のヒンダードフェノール系重合禁止剤は、立体障害の大きい置換基の影響によってヒドロキシル基がハロシラン化合物と殆ど反応しない。しかし、このヒンダードフェノール系重合禁止剤は、ラジカル種との反応性が中程度のため、発生したラジカル種を速やかに捕捉できず、開始反応を抑えることができない。また、開始反応が始まると、ラジカル種が連鎖的かつ加速的に反応する。このとき、ヒンダードフェノール系重合禁止剤とラジカル種との反応性は、生成物の有機ケイ素化合物とラジカル種との反応性より高いが、原料の(メタ)アクリレート化合物とラジカル種との反応性より低いため、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑えることができない。
以上のことから、上記種々の重合禁止剤は、ハロシラン化合物の存在下において、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑制する効果が不十分なものであった。
【0009】
したがって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を工業的規模で製造する場合において、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑えることができる方法の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を工業的規模等で製造する場合に、原料の(メタ)アクリレート化合物が自己重合する成長反応を抑えることができる、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ヒドロハロシラン化合物とアルケニル基を有する(メタ)アクリレート化合物を、酸アミド化合物の存在下、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応させることにより、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応が抑えられることを見出し、発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1は、置換または非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、nは、1~3の整数を表す。)
で示されるヒドロハロシラン化合物と、下記一般式(2)
【化2】
(式中、R2は、水素原子またはメチル基を表し、R3は、非置換の炭素数1~18の2価炭化水素基を表す。)
で示されるアルケニル基を有する(メタ)アクリレート化合物とを、酸アミド化合物の存在下、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【化3】
(式中、R1、R2、R3、Xおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
で示されるアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法、
2. 前記酸アミド化合物が、下記一般式(4)
【化4】
(式中、R4は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~30のk価炭化水素基を表し、R5は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~30の1価炭化水素基を表し、kは、1または2の整数を表す。)
で示される酸アミド化合物、または下記一般式(5)
【化5】
(式中、R6は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~30の1価炭化水素基を表す。)
で示される第1級酸アミド化合物である1のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法、
3. 前記酸アミド化合物が、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、パルミトアミド、ステアルアミド、オレアミド、およびエルカミドから選ばれる1種または2種以上である1または2のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法、
4. 重合禁止剤の存在下で前記ヒドロシリル化反応を行う1~3のいずれかのアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法、
5. 前記重合禁止剤が、フェノール系重合禁止剤またはヒンダードフェノール系重合禁止剤である4のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法、
6. 前記フェノール系重合禁止剤が、4-メトキシフェノール、2-メチル-4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、および4-ヒドロキシフェノールから選ばれる1種または2種以上である5のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法、
7. 前記ヒンダードフェノール系重合禁止剤が、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、および3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オールから選ばれる1種または2種以上である5のアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、酸アミド化合物を用いることにより、ヒドロハロシラン化合物存在下、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑えることができる。さらに、重合禁止剤の存在下、ヒドロシリル化反応させる場合には、酸アミド化合物と重合禁止剤の相互的な効果により、各化合物を単独で用いるよりも効果を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明では、下記一般式(1)で示されるヒドロハロシラン化合物(以下、「化合物(1)」という。)と、下記一般式(2)で示されるアルケニル基を有する(メタ)アクリレート化合物(以下、「化合物(2)」という。)とを、酸アミド化合物の存在下、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応させて、一般式(3)の(メタ)アクリロキシ基を有する有機ケイ素化合物(以下、「化合物(3)」という。)を製造する。
【0015】
【化6】
【0016】
上記一般式(1)において、R1は、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~3、より一層好ましくは炭素数1~2の置換または非置換の1価炭化水素基を表す。
上記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等の直鎖状アルキル基;sec-プロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、sec-ヘキシル、tert-ヘキシル、sec-ヘプチル、tert-ヘプチル、sec-オクチル、tert-オクチル、sec-ノニル、tert-ノニル、sec-デシル、tert-デシル基等の分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル、アリル、ブテニル、メタリル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル基等のアリール基;ベンジル、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1としては、非置換の炭素数1~3の直鎖状アルキル基が好ましく、特に入手容易性の観点から、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0017】
なお、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、(イソ)プロポキシ基等の炭素数1~3のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニル基等の芳香族炭化水素基;シアノ基、アミノ基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アシル基、スルフィド基等が挙げられ、これらの置換基のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0018】
上記一般式(1)において、Xは、ハロゲン原子を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、入手容易性の観点から、塩素原子、臭素原子が好ましい。
また、nは、1~3の整数であるが、特にシランカップリング剤として用いた場合、基材表面の複数の水酸基と反応して密着性を高める観点から、2または3が好ましい。
【0019】
化合物(1)の具体例としては、トリフルオロシラン、ジフルオロメチルシラン、フルオロジメチルシラン、ジフルオロエチルシラン、フルオロジエチルシラン、ジフルオロプロピルシラン、フルオロジピロピルシラン、ジフルオロフェニルシラン、フルオロジフェニルシラン等のフルオロシラン化合物;
トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロエチルシラン、クロロジエチルシラン、ジクロロプロピルシラン、クロロジピロピルシラン、ジクロロフェニルシラン、クロロジフェニルシラン等のクロロシラン化合物;
トリブロモシラン、ジブロモメチルシラン、ブロモジメチルシラン、ジブロモエチルシラン、ブロモジエチルシラン、ジブロモプロピルシラン、ブロモジピロピルシラン、ジブロモフェニルシラン、ブロモジフェニルシラン等のブロモシラン化合物;
トリヨードシラン、ジヨードメチルシラン、ヨードジメチルシラン、ジヨードエチルシラン、ヨードジエチルシラン、ジヨードプロピルシラン、ヨードジピロピルシラン、ジヨードフェニルシラン、ヨードジフェニルシラン等のヨードシラン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、特に入手容易性の観点から、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロエチルシラン、クロロジエチルシランが好ましい。
【0020】
上記一般式(2)において、R2は、水素原子またはメチル基を表し、R3は、炭素数1~18、好ましくは炭素数1~14、より好ましくは炭素数1~8、より一層好ましくは炭素数1~6の非置換の2価炭化水素基を表す。
【0021】
上記2価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン基等の直鎖状アルキレン基;sec-プロピレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、sec-ペンチレン、tert-ペンチレン、sec-ヘキシレン、tert-ヘキシレン、sec-ヘプチレン、tert-ヘプチレン、sec-オクチレン、tert-オクチレン、sec-ノニレン、tert-ノニレン、sec-デシレン、tert-デシレン、sec-ウンデシレン、tert-ウンデシレン、sec-ドデシレン、tert-ドデシレン、sec-トリデシレン、tert-トリデシレン、sec-テトラデシレン、tert-テトラデシレン、sec-ペンタデシレン、tert-ペンタデシレン、sec-ヘキサデシレン、tert-ヘキサデシレン、sec-ヘプタデシレン、tert-ヘプタデシレンン、sec-オクタデシレン、tert-オクタデシレン基等の分岐鎖状アルキレン基;シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基が挙げられる。
これらの中でも、R2としては、非置換の炭素数1~8の直鎖状アルキレン基が好ましく、特に入手容易性の観点から、メチレン基、エチレン基等の非置換の炭素数1~6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。
【0022】
上記化合物(2)の具体例としては、アリル(メタ)アクリレート、3-ブテニル(メタ)アクリレート、4-ペンテニル(メタ)アクリレート、5-ヘキセニル(メタ)アクリレート、6-ヘプテニル(メタ)アクリレート、7-オクテニル(メタ)アクリレート、8-ノネニル(メタ)アクリレート、9-デセニル(メタ)アクリレート、10-ウンデセニル(メタ)アクリレート、11-ドデセニル(メタ)アクリレート、12-トリデセニル(メタ)アクリレート、13-テトラデセニル(メタ)アクリレート、14-ペンタデセニル(メタ)アクリレート、15-ヘキサデセニル(メタ)アクリレート、16-ヘプタデセニル(メタ)アクリレート、17-オクタデセニル(メタ)アクリレート、18-ノナデセニル(メタ)アクリレート、19-イコセニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、特に入手容易性の観点から、アリル(メタ)アクリレート、3-ブテニル(メタ)アクリレート、4-ペンテニル(メタ)アクリレート、5-ヘキセニル(メタ)アクリレート、6-ヘプテニル(メタ)アクリレート、7-オクテニル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0023】
上記一般式(3)において、R1、R2、R3、Xおよびnは、一般式(1)および一般式(2)と同様である。
【0024】
上記化合物(3)の具体例としては、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジフルオロメチルシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルフルオロジメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリフルオロシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジフルオロメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルフルオロジメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリフルオロシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジフルオロメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルフルオロジメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリフルオロシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジフルオロメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルフルオロジメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルトリフルオロシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルジフルオロメチルシラン、7-アクリロキシヘプチルフルオロジメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルトリフルオロシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルジフルオロメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルフルオロジメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルトリフルオロシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルジフルオロメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルフルオロジメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルトリフルオロシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルジフルオロメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルフルオロジメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルトリフルオロシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルジフルオロメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルフルオロジメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルトリフルオロシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルジフルオロメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルフルオロジメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルトリフルオロシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルジフルオロメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルフルオロジメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルトリフルオロシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルジフルオロメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルフルオロジメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルトリフルオロシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルジフルオロメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルフルオロジメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルトリフルオロシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルジフルオロメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルフルオロジメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルトリフルオロシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルジフルオロメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルフルオロジメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルトリフルオロシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルジフルオロメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルフルオロジメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルトリフルオロシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルジフルオロメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルフルオロジメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルトリフルオロシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルジフルオロメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルフルオロジメチルシラン、3-(メタ)メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3-(メタ)メタクリロキシプロピルジフルオロメチルシラン等のフルオロシラン化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルクロロジメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリクロロシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジクロロメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルクロロジメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリクロロシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジクロロメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルクロロジメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリクロロシラン、
6-(メタ)アクリロキシヘキシルジクロロメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルクロロジメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルトリクロロシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルジクロロメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルクロロジメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルトリクロロシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルジクロロメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルクロロジメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルトリクロロシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルジクロロメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルクロロジメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルトリクロロシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルジクロロメチルシラン、10-アクリロキシデシルクロロジメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルトリクロロシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルジクロロメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルクロロジメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルトリクロロシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルジクロロメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルクロロジメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルトリクロロシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルジクロロメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルクロロジメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルトリクロロシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルジクロロメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルクロロジメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルトリクロロシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルジクロロメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルクロロジメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルトリクロロシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルジクロロメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルクロロジメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルトリクロロシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルジクロロメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルクロロジメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルトリクロロシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルジクロロメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルクロロジメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルトリクロロシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルジクロロメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルクロロジメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルトリクロロシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルジクロロメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルクロロジメチルシラン等のクロロシラン化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリブロモシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジブロモメチルシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルブロモジメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリブロモシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジブロモメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルブロモジメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリブロモシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジブロモメチルシラン、
5-(メタ)アクリロキシペンチルブロモジメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリブロモシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジブロモメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルブロモジメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルトリブロモシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルジブロモメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルブロモジメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルトリブロモシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルジブロモメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルブロモジメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルトリブロモシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルジブロモメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルブロモジメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルトリブロモシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルジブロモメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルブロモジメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルトリブロモシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルジブロモメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルブロモジメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルトリブロモシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルジブロモメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルブロモジメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルトリブロモシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルジブロモメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルブロモジメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルトリブロモシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルジブロモメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルブロモジメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルトリブロモシラン、15-アクリロキシペンタデシルジブロモメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルブロモジメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルトリブロモシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルジブロモメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルブロモジメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルトリブロモシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルジブロモメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルブロモジメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルトリブロモシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルジブロモメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルブロモジメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルトリブロモシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルジブロモメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルブロモジメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルトリブロモシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルジブロモメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルブロモジメチルシラン等のブロモシラン化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリヨードシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジヨードメチルシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルヨードジメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリヨードシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジヨードメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルヨードジメチルシラン、
5-(メタ)アクリロキシペンチルトリヨードシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジヨードメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルヨードジメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリヨードシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジヨードメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルヨードジメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルトリヨードシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルジヨードメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルヨードジメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルトリヨードシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルジヨードメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルヨードジメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルトリヨードシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルジヨードメチルシラン、9-(メタ)アクリロキシノニルヨードジメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルトリヨードシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルジヨードメチルシラン、10-(メタ)アクリロキシデシルヨードジメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルトリヨードシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルジヨードメチルシラン、11-(メタ)アクリロキシウンデシルヨードジメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルトリヨードシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルジヨードメチルシラン、12-(メタ)アクリロキシドデシルヨードジメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルトリヨードシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルジヨードメチルシラン、13-(メタ)アクリロキシトリデシルヨードジメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルトリヨードシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルジヨードメチルシラン、14-(メタ)アクリロキシテトラデシルヨードジメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルトリヨードシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルジヨードメチルシラン、15-(メタ)アクリロキシペンタデシルヨードジメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルトリヨードシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルジヨードメチルシラン、16-(メタ)アクリロキシヘキサデシルヨードジメチルシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルトリヨードシラン、17-(メタ)アクリロキシヘプタデシルジヨードメチルシラン、17-アクリロキシヘプタデシルヨードジメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルトリヨードシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルジヨードメチルシラン、18-(メタ)アクリロキシオクタデシルヨードジメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルトリヨードシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルジヨードメチルシラン、19-(メタ)アクリロキシノナデシルヨードジメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルトリヨードシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルジヨードメチルシラン、20-(メタ)アクリロキシイコシルヨードジメチルシラン等のヨードシラン化合物等が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、特に前駆原料の入手容易性の観点から、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルクロロジメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリクロロシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジクロロメチルシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルクロロジメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリクロロシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジクロロメチルシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルクロロジメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリクロロシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジクロロメチルシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルクロロジメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルトリクロロシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルジクロロメチルシラン、7-(メタ)アクリロキシヘプチルクロロジメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルトリクロロシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルジクロロメチルシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルクロロジメチルシランが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法において、化合物(1)と化合物(2)の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、化合物(2)1モルに対して、好ましくは化合物(1)1~20モル、より好ましくは1~10モル、より一層好ましくは1~5モルの範囲である。
【0027】
反応系中における化合物(1)~(3)の含有量を確認する方法としては、特に制限はなく、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外分光法(IR)、近赤外分光法(NIR)等の分析手段を採用することができる。
【0028】
本発明では、酸アミド化合物の存在下、ヒドロシリル化反応させることにより、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑えることができる。
酸アミド化合物としては、例えば、下記一般式(4)示される酸アミド化合物(以下、「化合物(4)」という。)または一般式(5)で示される第1級酸アミド化合物(以下、「化合物(5)」という。)が好ましい。
【0029】
【化7】
【0030】
上記一般式(4)において、R4は、水素原子、または炭素数1~30、好ましくは炭素数1~25、より好ましくは炭素数1~20、より一層好ましくは炭素数1~10の非置換のk価の炭化水素基を表し、kは、1または2の整数を表す。
【0031】
kが1の場合の1価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等の直鎖状アルキル基;sec-プロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、sec-ヘキシル、tert-ヘキシル、sec-ヘプチル、tert-ヘプチル、sec-オクチル、tert-オクチル、sec-ノニル、tert-ノニル、sec-デシル、tert-デシル基等の分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル、アリル、ブテニル、メタリル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル基等のアリール基;ベンジル、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0032】
kが2の場合の2価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン基等の直鎖状アルキレン基;sec-プロピレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、sec-ペンチレン、tert-ペンチレン、sec-ヘキシレン、tert-ヘキシレン、sec-ヘプチレン、tert-ヘプチレン、sec-オクチレン、tert-オクチレン、sec-ノニレン、tert-ノニレン、sec-デシレン、tert-デシレン、sec-ウンデシレン、tert-ウンデシレン、sec-ドデシレン、tert-ドデシレン、sec-トリデシレン、tert-トリデシレン、sec-テトラデシレン、tert-テトラデシレン、sec-ペンタデシレン、tert-ペンタデシレン、sec-ヘキサデシレン、tert-ヘキサデシレン、sec-ヘプタデシレン、tert-ヘプタデシレンン、sec-オクタデシレン、tert-オクタデシレン基等の分岐鎖状アルキレン基;シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基が挙げられる。
【0033】
これらの中でも、R4としては、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基または炭素数2~20の直鎖状アルケニル基が好ましく、特に入手容易性の観点から、水素原子、炭素数1~10の直鎖状アルキル基または炭素数2~10の直鎖状アルケニル基がより好ましい。
【0034】
なお、これらの1価炭化水素基および2価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、R1の1価炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換されていてもよい置換基と同じである。
【0035】
上記一般式(4)において、R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30、好ましくは炭素数1~25、より好ましくは炭素数1~20、より一層好ましくは炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、この1価炭化水素基としては、R4と同様の置換基が挙げられる。
これらの中でも、R5としては、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基または炭素数2~10の直鎖状アルケニル基が好ましく、特に入手容易性の観点から、水素原子、炭素数1~10の直鎖状アルキル基または炭素数2~10の直鎖状アルケニル基がより好ましい。
【0036】
化合物(4)の具体例としては、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、オクタンジアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジブアミド等が挙げられる。
【0037】
上記一般式(5)において、R6は、水素原子または炭素数1~30、好ましくは炭素数1~25、より好ましくは炭素数1~20、より一層好ましくは炭素数1~10の置換または非置換の1価炭化水素基を表し、この1価炭化水素基としては、R4と同様の置換基が挙げられる。
これらの中でも、R6としては、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基または炭素数2~10の直鎖状アルケニル基が好ましく、特に入手容易性の観点から、水素原子、炭素数1~10の直鎖状アルキル基または炭素数2~10の直鎖状アルケニル基がより好ましい。
【0038】
なお、これらの1価炭化水素基および2価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、R1の1価炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換されていてもよい置換基と同じである。
【0039】
化合物(5)の具体例としては、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、2-ナフトアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2-フルアミド、ホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、ヘキサンアミド、シクロヘキサンカルボキサミド、メタクリルアミド、パルミトアミド、ステアルアミド、オレアミド、エルカミド、シンナムアミド等が挙げられる。
これらは試薬として市販されており、特に入手の容易さと助剤効果の観点から、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、パルミトアミド、ステアルアミド、オレアミド、エルカミドが好ましい。
【0040】
酸アミド化合物の使用量は、化合物(2)および化合物(3)に対して効果を発揮し、成長反応を抑える量であれば特に限定されないが、生産性の観点から、化合物(2)に対し、好ましくは0.0001~10質量%、より好ましくは0.001~5質量%、より一層好ましくは0.01~1質量%の範囲である。
【0041】
本発明において用いられる白金触媒は、公知の白金(Pt)および白金を中心金属とする錯体化合物から適宜選択して用いることができる。
その具体例としては、塩化白金酸、塩化白金(IV)酸の2-エチルヘキサノール溶液等の塩化白金酸のアルコール溶液;白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液;ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金;ジクロロシクロオクタジエン白金等が挙げられる。
また、白金黒等をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させた触媒を用いることもできる。
特に反応性の高さの観点から、塩化白金(IV)酸の2-エチルヘキサノール溶液等の塩化白金酸のアルコール溶液、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液が好ましい。
【0042】
白金触媒の使用量は、ヒドロシリル化反応の触媒効果が発現する量であれば特に限定されないが、反応性、生産性の観点から、化合物(2)1モルに対して、白金金属として、好ましくは0.0000001~1モル、より好ましくは0.000001~0.1モル、より一層好ましくは0.00001~0.01モルの範囲である。
【0043】
ヒドロシリル化反応における反応温度は特に限定されないが、反応性、生産性の観点から、好ましくは50~200℃、より好ましくは50~150℃、より一層好ましくは50~100℃の範囲である。
反応時間も特に限定されないが、好ましくは1~30時間、より好ましくは1~20時間、より一層好ましくは1~10時間の範囲である。
【0044】
なお、上記ヒドロシリル化反応は、無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
本発明の製造方法では、酸アミド化合物の他に重合禁止剤を用いることができる。
酸アミド化合物と重合禁止剤を併用する場合、酸アミド化合物による原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑える効果と、重合禁止剤による原料の(メタ)アクリレート化合物、生成物の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の成長反応を抑える効果の相互的な効果により、それぞれを単独で用いる場合よりも効果を高めることができる。
【0046】
本発明において用いられる重合禁止剤としては、フェノール系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系重合禁止剤が挙げられる。
【0047】
フェノール系重合禁止剤としては、4-メトキシフェノール、2-メチル-4-メトキシフェノール、3-メチル-4-メトキシフェノール、2,3-ジメチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジメチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジメチル-4-メトキシフェノール、3,5-ジメチル-4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、3-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2-メチル-3-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、3-tert-ブチル-5-メチル-4-メトキシフェノール、2,3-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール等のメトキシフェノール化合物;4-ヒドロキシフェノール、2-メチル-4-ヒドロキシフェノール、3-メチル-4-ヒドロキシフェノール、2,3-ジメチル-4-ヒドロキシフェノール、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェノール、2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェノール、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェノール、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、2-メチル-3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェノール、3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オール等のヒドロキシフェノール化合物等が挙げられる。
これらの中でも、特に入手容易性の観点から、4-メトキシフェノール、2-メチル-4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、4-ヒドロキシフェノールが好ましい。
【0048】
フェノール系重合禁止剤の使用量は、化合物(2)および化合物(3)に対して効果を発揮して開始反応および成長反応を抑える量であれば特に限定されないが、生産性の観点から、化合物(2)に対して、好ましくは0.0001~10質量%、より好ましくは0.001~5質量%、より一層好ましくは0.01~1質量%の範囲である。
【0049】
ヒンダードフェノール系重合禁止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)メシチレン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のジ-tert-ブチルフェノール化合物等が挙げられる。
これらの中でも、特に入手容易性の観点から、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール等のジ-tert-ブチルフェノール化合物が好ましい。
【0050】
ヒンダードフェノール系重合禁止剤の使用量は、フェノール系重合禁止剤との組み合わせにおいて、化合物(2)および化合物(3)に対して効果を発揮して開始反応および成長反応を抑える量であれば特に限定されないが、生産性の観点から、化合物(2)に対して、好ましくは0.0001~10質量%、より好ましくは0.001~5質量%、より一層好ましくは0.01~1質量%の範囲である。
【0051】
本発明の製造方法において、酸アミド化合物、フェノール系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系重合禁止剤は、それぞれの化合物群の中から1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
【0052】
本発明の製造方法では、酸アミド化合物、フェノール系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系重合禁止剤の他にも、ヒドロシリル化反応の反応性が低下せず、かつ最終生成物の化合物(3)に品質的な問題を与えない場合には、公知のラジカル重合に有効な重合禁止剤から適宜選択して用いることができる。
その具体例としては、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、tert-ブチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン等のキノン化合物;塩化第一銅、塩化第二銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等の銅化合物;フェノチアジン、ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、フェニレンジアミン、N,N-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジナフチル-p-フェニレンジアミン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の窒素原子含有化合物;トリ-n-ヘキシルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(2-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(6-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、亜リン酸トリフェニル、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリルジチオリン酸亜鉛等のリン原子含有化合物;ブチルスルフィド、3,3’-チオジプロピオン酸ジドデシル、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄原子含有化合物;桐油、脱水ヒマシ油、共役リノール油等の脂肪族共役不飽和結合含有化合物等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
また、本発明の製造方法では、上記重合禁止剤の他にも、ヒドロシリル化反応の反応性が低下せず、かつ最終生成物の化合物(3)に品質的な問題を与えないならば、酸化防止剤、加硫促進剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤および光安定剤等の添加剤を組み合わせて用いることができる。
【実施例0054】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、以下の反応混合物の比率は、以下の条件によるガスクロマトグラフィー測定により行ったものである。
[ガスクロマトグラフィー測定条件]
ガスクロマトグラフ:GC-2014((株)島津製作所製)
パックドカラム:SiliconeSE-30(ジーエルサイエンス(株)製)
検出器:TCD
検出器温度:300℃
注入口温度:300℃
昇温プログラム:70℃(0分)→10℃/分→300℃(10分)
キャリアガス:ヘリウム(50ml/分)
注入量:1μl
【0055】
[実施例1]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、室温下、アリルアクリレート112.1g(1.000モル)、アセトアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、塩化白金(IV)酸の2-エチルヘキサノール溶液(白金原子として0.00001モル)を仕込み、80℃に到達するまで2時間かけて加熱した。内温が安定した後、トリクロロシラン135.5g(1.000モル)を80~100℃で10時間かけて滴下し、その温度で10時間撹拌した。
得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料であるアリルアクリレート、トリクロロシラン、生成物である3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの面積%の比は、6:0:94であることが確認された。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0056】
[実施例2]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
トリクロロシラン67.8g(0.500モル)を80~100℃で5時間かけて滴下した以外は、実施例1と同様に反応させた。
得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料であるアリルアクリレート、トリクロロシラン、生成物である3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの面積%の比は、46:0:54であることが確認された。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、135℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0057】
[実施例3]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
トリクロロシラン33.9g(0.250モル)を80~100℃で2.5時間かけて滴下した以外は、実施例1と同様に反応させた。
得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料であるアリルアクリレート、トリクロロシラン、生成物である3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの面積%の比は、72:0:28であることが確認された。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、125℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0058】
[実施例4]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
トリクロロシラン4.1g(0.030モル)を80~100℃で0.3時間かけて滴下した以外は、実施例1と同様に反応させた。
得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料であるアリルアクリレート、トリクロロシラン、生成物である3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの面積%の比は、98:0:2であることが確認された。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0059】
[実施例5]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにベンズアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0060】
[実施例6]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにベンズアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例2と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、135℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0061】
[実施例7]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにベンズアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例3と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、125℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0062】
[実施例8]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにベンズアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例4と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0063】
[実施例9]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにオレアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0064】
[実施例10]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにオレアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例2と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、135℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0065】
[実施例11]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにオレアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例3と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、125℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0066】
[実施例12]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにオレアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例4と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0067】
[実施例13]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにN-メチルアセトアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0068】
[実施例14]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにN,N-ジメチルアセトアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0069】
[実施例15]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにマロンアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0070】
[実施例16]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにスクシンアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0071】
[実施例17]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにマレアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0072】
[実施例18]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにフマルアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0073】
[実施例19]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにプロピオンアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0074】
[実施例20]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにブチルアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0075】
[実施例21]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにパルミトアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0076】
[実施例22]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにステアルアミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0077】
[実施例23]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドの代わりにエルカミド0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。5時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0078】
[実施例24]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0079】
[実施例25]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2-メチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0080】
[実施例26]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0081】
[実施例27]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0082】
[実施例28]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0083】
[実施例29]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2-メチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0084】
[実施例30]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0085】
[実施例31]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0086】
[実施例32]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0087】
[実施例33]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2-メチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0088】
[実施例34]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0089】
[実施例35]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。6時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0090】
[実施例36]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0091】
[実施例37]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0092】
[実施例38]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0093】
[実施例39]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0094】
[実施例40]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0095】
[実施例41]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0096】
[実施例42]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0097】
[実施例43]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0098】
[実施例44]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0099】
[実施例45]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0100】
[実施例46]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0101】
[実施例47]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0102】
[実施例48]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0103】
[実施例49]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0104】
[実施例50]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0105】
[実施例51]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4,4-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0106】
[実施例52]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0107】
[実施例53]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0108】
[実施例54]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0109】
[実施例55]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0110】
[実施例56]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。20時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0111】
[実施例57]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0112】
[実施例58]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0113】
[実施例59]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0114】
[実施例60]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0115】
[実施例61]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0116】
[実施例62]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例1と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0117】
[実施例63]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0118】
[実施例64]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0119】
[実施例65]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0120】
[実施例66]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0121】
[実施例67]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0122】
[実施例68]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例5と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0123】
[実施例69]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0124】
[実施例70]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0125】
[実施例71]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-メトキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0126】
[実施例72]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0127】
[実施例73]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,2-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0128】
[実施例74]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
4-ヒドロキシフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール0.1g(アリルアクリレートに対して0.1質量%に相当)を追加した以外は、実施例9と同様に反応させた。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。50時間経過後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0129】
[比較例1]アリルアクリレートの安定性試験
アリルアクリレート10gを十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れ封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。0.1時間経過後、アリルアクリレートの流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0130】
[比較例2]アリルアクリレートの安定性試験
アリルアクリレート10g、4-メトキシフェノール0.0025g(アリルアクリレートに対して0.025質量%に相当)を十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れ封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。7時間経過後、アリルアクリレートの流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0131】
[比較例3]アリルアクリレートの安定性試験
アリルアクリレート10g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.0025g(アリルアクリレートに対して0.025質量%に相当)を十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れ封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。0.1時間経過後、アリルアクリレートの流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0132】
[参考例1]アリルアクリレートの安定性試験
アリルアクリレート10g、アセトアミド0.0025g(アリルアクリレートに対して0.025質量%に相当)を十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れ封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。30時間経過後、アリルアクリレートは流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0133】
[参考例2]アリルアクリレートの安定性試験
アリルアクリレート10g、ベンズアミド0.0025g(アリルアクリレートに対して0.025質量%に相当)を十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れ封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。30時間経過後、アリルアクリレートは流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0134】
[参考例3]アリルアクリレートの安定性試験
アリルアクリレート10g、オレアミド0.0025g(アリルアクリレートに対して0.025質量%に相当)を十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れ封入し、115℃に加熱して熱安定性を確認した。30時間経過後、アリルアクリレートは流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
【0135】
[比較例4]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例1と同様に反応させた。80℃に到達するまでの加熱中、アリルアクリレートの流動性が無くなり、反応を開始する前に自己重合して固化した。
【0136】
[比較例5]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例24と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下開始後、反応混合物の流動性が無くなり、反応途中で自己重合して固化した。
【0137】
[比較例6]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例36と同様に反応させた。80℃に到達するまでの加熱中、アリルアクリレートの流動性が無くなり、反応を開始する前に自己重合して固化した。
【0138】
[比較例7]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例57と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下終了後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。3時間経過後、反応混合物の流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0139】
[比較例8]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例58と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下終了後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。3時間経過後、反応混合物の流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0140】
[比較例9]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例59と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下終了後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。3時間経過後、反応混合物の流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0141】
[比較例10]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例60と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下終了後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。3時間経過後、反応混合物の流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0142】
[比較例11]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例6と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下終了後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。3時間経過後、反応混合物の流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0143】
[比較例12]3-アクリロキシプロピルトリクロロシランの合成
アセトアミドを用いない以外は、実施例62と同様に反応させた。トリクロロシランの滴下終了後、反応混合物は流動性を維持したままであり、自己重合する傾向は見られなかった。
この反応混合物10gを、十分に窒素置換された20mlのネジ口試験管に入れて封入し、150℃に加熱して熱安定性を確認した。3時間経過後、反応混合物の流動性が無くなり、自己重合して固化した。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
【表5】
【0149】
表1~5に示されるように、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を自己重合せずに安定して製造するためには、酸アミド化合物を用いることが重要なことがわかる。
実施例1~23では、酸アミド化合物が、反応開始前および反応途中の原料の(メタ)アクリレート化合物、反応途中および反応終了後の生成物の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物のそれぞれの成長反応を抑制した。これにより、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を自己重合せずに安定して製造することができた。酸アミド化合物は、ラジカル種を捕捉するヒドロキシル基等の構造を有していないため、これまで重合禁止剤として作用するとは考えられていない。しかしながら、酸アミド化合物は、互変異性を有しており、酸アミド化合物が互変異した酸イミド化合物は、ヒドロキシル基を有する。この酸イミド化合物は、ヒドロキシル基の周囲に立体障害のある置換基を有しているため、ヒドロキシル基がハロシラン化合物と反応しないと考えられる。これにより、ハロシラン化合物の存在下でも発生したラジカル種を速やかに捕捉し、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物を自己重合せずに安定して製造することができたと考えられる。
さらに、酸アミド化合物と重合禁止剤を組み合わせて用いることにより、各化合物を単独で用いるよりも効果が高まることがわかる。
実施例24~56では、酸アミド化合物とフェノール系重工禁止剤またはヒンダードフェノール系重工禁止剤の相互的な効果により、反応終了後の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物がより安定になった。実施例57~74では、酸アミド化合物、フェノール系重工禁止剤およびヒンダードフェノール系重工禁止剤の相互的な効果により、反応終了後の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機ケイ素化合物がより一層安定になった。
【0150】
一方、比較例1~3では、酸アミド化合物が存在しない場合、フェノール系重合禁止剤またはヒンダードフェノール系重合禁止剤の効果は不十分であり、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応が容易に進行することにより、反応開始前に自己重合が発生した。上記比較例1~3に対して、参考例1~3では、酸アミド化合物が、原料の(メタ)アクリレート化合物の成長反応を抑制することにより、自己重合が発生しなかった。
比較例4~12では、酸アミド化合物が存在しない場合、フェノール系重合禁止剤とヒンダードフェノール系重合禁止剤の単独または組み合わせによる効果は不十分であり、反応開始前から反応終了後に自己重合が発生した。