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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066213
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230508BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20230508BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20230508BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/14
G03G15/16
G03G15/01 114
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176799
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浦山 太一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 友英
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H200FA16
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200GB25
2H200JA23
2H200JA25
2H200JA26
2H200JA29
2H200JA30
2H200JB32
2H200JC04
2H200JC13
2H200JC15
2H200JC16
2H200JC17
2H200JC19
2H200JC20
2H200MA01
2H200MA03
2H200MA04
2H200MA14
2H200MB01
2H200MB04
2H200MC01
2H200MC02
2H200NA02
2H200NA06
2H200PA02
2H200PA18
2H200PB39
2H270KA04
2H270KA32
2H270LA18
2H270LA36
2H270LD03
2H270MA24
2H270MB11
2H270MB25
2H270MB28
2H270MH02
2H270ZC04
2H270ZC08
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EC09
2H300EC13
2H300EC15
2H300EC16
2H300EF06
2H300EF08
2H300EF10
2H300EF14
2H300EF16
2H300EF17
2H300EJ09
2H300EJ45
2H300EJ51
2H300GG14
2H300KK03
2H300KK04
2H300KK05
2H300KK13
2H300KK14
2H300MM04
2H300MM22
2H300MM25
2H300NN02
2H300NN03
2H300PP02
2H300PP06
2H300QQ02
2H300QQ12
2H300QQ25
2H300RR31
2H300RR37
2H300TT04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】記録媒体上の画像濃度の品質を維持すること。
【解決手段】像担持体とトナー像を形成する画像形成手段と二次転写ベルトを含み、トナー像を前記二次転写ベルトに二次転写する二次転写手段と、前記二次転写手段に前記記録媒体が到達していない時に、前記二次転写ベルトに形成された第1トナーパターンの第1トナー付着量検出結果に基づき、前記記録媒体における画像濃度を制御する第1制御手段と、前記二次転写手段に前記記録媒体が到達している時に、前記二次転写ベルトに形成された第2トナーパターンの第2トナー付着量検出結果に基づき、前記記録媒体における画像濃度を制御する第2制御手段と、前記第1制御手段による制御時の前記二次転写手段による第1の二次転写条件と、前記第2制御手段による制御時の前記二次転写手段による第2の二次転写条件と、に基づいて前記第2トナー付着量検出結果を補正する補正手段と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に前記トナー像を形成する画像形成手段と、
二次転写ベルトを含み、前記像担持体に担持された前記トナー像を前記記録媒体に二次転写する、及び、前記像担持体に担持された前記トナー像を前記二次転写ベルトに二次転写する二次転写手段と、
前記二次転写手段に前記記録媒体が到達していない時に、前記二次転写ベルトに形成された第1トナーパターンの第1トナー付着量検出結果に基づき、前記記録媒体における画像濃度を制御する第1制御手段と、
前記二次転写手段に前記記録媒体が到達している時に、前記二次転写ベルトに形成された第2トナーパターンの第2トナー付着量検出結果に基づき、前記記録媒体における画像濃度を制御する第2制御手段と、
前記第1制御手段による制御時の前記二次転写手段による第1の二次転写条件と、前記第2制御手段による制御時の前記二次転写手段による第2の二次転写条件と、に基づいて前記第2トナー付着量検出結果を補正する補正手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記二次転写ベルトに形成された前記第1トナーパターンまたは前記第2トナーパターンのトナー付着量に応じた電気信号を出力する検出手段を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1および前記第2の二次転写条件は、
前記二次転写手段により印加される二次転写バイアス電圧値と、
前記二次転写手段による前記記録媒体への二次転写圧と、
前記二次転写手段に走行可能に含まれる前記二次転写ベルトの走行速度と、を含む請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正手段による補正値は、
前記第1の二次転写条件における前記二次転写バイアス電圧値と前記第2の二次転写条件における前記二次転写バイアス電圧値とに基づく第1補正値と、
前記第1の二次転写条件における前記二次転写圧および前記二次転写ベルトの前記走行速度と前記第2の二次転写条件における前記二次転写圧および前記二次転写ベルトの前記走行速度とに基づく第2補正値と、の和である請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2トナーパターンは、画像面積率が異なる複数のパターンを含み、
前記補正手段は、前記複数のパターンそれぞれの画像面積率と、前記複数のパターンそれぞれのトナー色と、前記第1補正値と、前記第2補正値と、に基づいて前記補正値の情報を取得する請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルト上のトナー像を二次転写ニップに搬送されてきた記録媒体に二次転写する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置として、中間転写ベルト上に形成されたトナー像同士の間に形成されたトナーパターンが二次転写ニップに到達する際に、二次転写ベルトが中間転写ベルトから離れているか否かに応じて、トナー付着量センサにより検知するトナーパターンが形成された部材を異ならせる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、トナーパターンが中間転写ベルトに形成されているか、二次転写ベルトに形成されているかに応じてトナーパターンにおけるトナー付着量が異なる。そのため、トナー付着量センサによる検出結果に基づく記録媒体上の画像濃度調整精度が低下し、記録媒体上の画像濃度の品質を維持できない懸念がある。
【0005】
本発明は、記録媒体上の画像濃度の品質を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に前記トナー像を形成する画像形成手段と、二次転写ベルトを含み、前記像担持体に担持された前記トナー像を前記記録媒体に二次転写する、及び、前記像担持体に担持された前記トナー像を前記二次転写ベルトに二次転写する二次転写手段と、前記二次転写手段に前記記録媒体が到達していない時に、前記二次転写ベルトに形成された第1トナーパターンの第1トナー付着量検出結果に基づき、前記記録媒体における画像濃度を制御する第1制御手段と、前記二次転写手段に前記記録媒体が到達している時に、前記二次転写ベルトに形成された第2トナーパターンの第2トナー付着量検出結果に基づき、前記記録媒体における画像濃度を制御する第2制御手段と、前記第1制御手段による制御時の前記二次転写手段による第1の二次転写条件と、前記第2制御手段による制御時の前記二次転写手段による第2の二次転写条件と、に基づいて前記第2トナー付着量検出結果を補正する補正手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体上の画像濃度の品質を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成を例示する図である。
図2図1の画像形成装置における二次転写ニップの拡大断面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】第1実施形態に係る画像形成装置の電気回路の一部を示す図である。
図5】第1および第2トナー付着量検出結果を例示する図である。
図6】第2実施形態に係る画像形成装置の電気回路の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。電子写真方式によって記録媒体としての転写紙Pに画像を形成する画像形成装置としてのプリンタ100を一例として実施形態を説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、プリンタ100の構成を例示する図である。なお、図1においてX軸およびY軸により方向を示すが、X軸を示す矢印が向く方向を+X側とし、+X方向とは反対側の方向を-X側とする。またY軸を示す矢印が向く方向を+Y側とし、+Y方向とは反対側の方向を-Y側とする。
【0011】
図1に示すように、プリンタ100は、2つの光書込ユニット1YMおよび1CKと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kと、を有する。また、プリンタ100は、給紙路30と、転写前搬送路31と、手差し給紙路32と、手差しトレイ33と、レジストローラ対34と、搬送ベルトユニット35と、を有する。さらにプリンタ100は、定着装置40と、搬送切替装置50と、排紙路51と、排紙ローラ対52と、排紙トレイ53と、第一給紙カセット101と、第二給紙カセット102と、再送装置と、を有する。なお以下では、イエローをY、マゼンタをM、シアンをC、ブラックをKのみで表記する場合がある。
【0012】
第一給紙カセット101および第二給紙カセット102は、それぞれ内部に転写紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101aおよび102aの回転駆動により、紙束における一番上の転写紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、二次転写ニップの直前で転写紙を搬送するための転写前搬送路31が接続している。第一給紙カセット101および第二給紙カセット102から送り出された転写紙Pは、給紙路30を経て転写前搬送路31に進入する。
【0013】
プリンタ100の筺体における側面には、手差しトレイ33が筺体に対して開閉可能に設けられており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の転写紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0014】
2つの光書込ユニット1YMおよび1CKそれぞれは、レーザダイオード、ポリゴンミラーおよび各種レンズ等を有する。2つの光書込ユニット1YMおよび1CKそれぞれは、プリンタ100外部のスキャナによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザダイオードを駆動させる。光書込ユニット1YMおよび1CKにより、プロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kにおける潜像担持体としての感光体3Y、3M、3Cおよび3Kが光走査される。
【0015】
具体的には、感光体3Y、3M、3Cおよび3Kそれぞれは、駆動手段によって、感光体3Y、3M、3Cおよび3Kの図内に矢印により示す反時計回り方向に回転駆動される。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Yおよび3Mに対して、レーザ光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Yおよび3Mには、それぞれ、Y画像情報およびM画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3Cおよび3Kに対して、レーザ光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Cおよび3Kには、それぞれ、C画像情報およびK画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0016】
プロセスユニット2Yは感光体3Yを有し、プロセスユニット2Mは感光体3Mを有し、プロセスユニット2Cは感光体3Cを有し、プロセスユニット2Kは感光体3Kを有する。感光体3Y、3M、3Cおよび3Kは、潜像担持体としてのドラム状の部材である。
【0017】
また、プロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれは、感光体3Y、3M、3Cおよび3Kの周囲に設けられる各種機器を1つのユニットとして共通の支持体に支持する。これらはプリンタ100本体に対して着脱可能になっている。
【0018】
各プロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kは、使用するトナーの色が異なる点を除いて同様の構成になっている。プロセスユニット2Yを例にすると、プロセスユニット2Yは、感光体3Yのほか、感光体3Yの表面に形成された静電潜像をYのトナー像に現像するための現像装置4Yを有する。また、プロセスユニット2Yは、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yと、Y用の一次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Y等を有する。
【0019】
プリンタ100は、4つのプロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kを、複数の支持ローラによって張架している中間転写ベルト61に対してその走行方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成を有する。ここで、中間転写ベルト61は、無端ベルトである像担持体の一例である。プロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれは、中間転写ベルト61にトナー像を形成する画像形成手段の一例である。
【0020】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを使用できる。但し、無端ベルト状のものを用いてもよい。
【0021】
現像装置4Yは、磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用してもよい。現像装置4Yに対しては、Yトナー補給装置により、トナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0022】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、クリーニング部材であるポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、プリンタ100では、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを用いている。ファーブラシは、固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0023】
感光体3Yの+Y側には、除電ランプが設けられており、除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。この方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を用いてもよい。
【0024】
以上、Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M、CおよびK用のプロセスユニット2M、2Cおよび2Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0025】
4つのプロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kの-Y側には、転写ユニット60が設けられている。転写ユニット60は、中間転写ベルト61を、感光体3Y、3M、3Cおよび3Kに接触させる。転写ユニット60は、いずれか1つの支持ローラの回転駆動によって図中時計回り方向に中間転写ベルト61を走行させる。これにより、感光体3Y、3M、3Cおよび3Kと中間転写ベルト61とが接触するY、M、CおよびK用の一次転写ニップが形成される。
【0026】
Y、M、CおよびK用の一次転写ニップの近傍には、一次転写部材としての一次転写ローラ62Y、62M、62Cおよび62Kが、中間転写ベルトの内周面に囲まれた空間すなわちベルトループ内に設けられている。一次転写ローラ62Y、62M、62Cおよび62Kによって、中間転写ベルト61は、感光体3Y、3M、3Cおよび3Kに向けて押圧される。
【0027】
一次転写ローラ62Y、62M、62Cおよび62Kそれぞれには、電源によって一次転写バイアスが印加される。これにより、Y、M、CおよびK用の一次転写ニップには、感光体3Y、3M、3Cおよび3K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる一次転写電界が形成される。
【0028】
矢印610により示す時計回り方向への走行に伴ってY、M、CおよびK用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61の外周面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト61の外周面には4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0029】
中間転写ベルト61の-Y側には、二次転写装置70が設けられている。二次転写装置70は、二次転写ローラ72とユニット対向ローラ78に張架された無端ベルトである二次転写ベルト77を含む。二次転写装置70は、中間転写ベルト61に担持されたトナー像を転写紙Pに二次転写する二次転写手段の一例である。
【0030】
二次転写ベルト77のループ外側には、トナー付着量センサ64および二次転写クリーニング装置76が設けられている。トナー付着量センサ64はユニット対向ローラ78と二次転写ベルト77を挟んで向き合っている。二次転写クリーニング装置76は、二次転写ベルト77のユニット対向ローラ78に巻きついている箇所に当接する二次転ベルトクリーニングブレードを有する。
【0031】
トナー付着量センサ64は、二次転写装置70に形成された第1トナーパターンまたは第2トナーパターンのトナー付着量に応じた電気信号を出力する検出手段の一例である。
【0032】
トナー付着量センサ64は、中間転写ベルト61に形成された4色トナー像同士の間において、二次転写手段に記録媒体が到達していない時は、二次転写ベルト77に形成された第1トナーパターンに光を照射し、第1トナーパターンにより反射された光の強度に応じた電気信号を出力する。この電気信号に基づいて第1トナー付着量検出結果が得られる。
【0033】
またトナー付着量センサ64は、中間転写ベルト61に形成された4色トナー像同士の間において、二次転写手段に記録媒体が到達している時は、二次転写ベルト77に形成された第1トナーパターンに光を照射し、第1トナーパターンにより反射された光の強度に応じた電気信号を出力する。この電気信号に基づいて第2トナー付着量検出結果が得られる。
【0034】
二次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における二次転写対向ローラ68に対する掛け回し箇所にベルト外周面から二次転写ベルト77を介して接触して二次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61の外周面と二次転写ベルト77とが接触する二次転写ニップが形成される。
【0035】
二次転写対向ローラ68には、電源から二次転写バイアスが印加される。一方、二次転写ローラ72は接地される。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成される。
【0036】
二次転写ニップの+X側には、レジストローラ対34が設けられており、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0037】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト61の外周面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0038】
二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト61から離れて、搬送ベルトユニット35に受け渡される。搬送ベルトユニット35は、無端ベルト状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に走行させる。搬送ベルトユニット35は、二次転写ニップから受け渡された転写紙Pを搬送ベルト外周面の張架面に保持しながら、搬送ベルト36の無端移動に伴って搬送して定着手段としての定着装置40に受け渡す。
【0039】
プリンタ100では、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55およびスイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った転写紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と再送路54とで切り替える。
【0040】
転写紙Pの第一面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、転写紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第一面だけに画像が形成された転写紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、転写紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された転写紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、転写紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された転写紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。
【0041】
一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第一面だけに画像が定着された転写紙Pを定着装置40から受け取ったときには、転写紙Pの搬送先を再送路54に設定する。
【0042】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた転写紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。転写紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、転写紙Pの搬送方向が逆転されて、転写紙Pがスイッチバックする。
【0043】
スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした転写紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、転写紙Pの上下が反転する。上下反転した転写紙Pは、スイッチバック後搬送路56と給紙路30とを経由して二次転写ニップに再送される。
【0044】
二次転写ニップにおいて第二面にもトナー像が二次転写された転写紙Pは、定着装置40を経由して第二面にトナー像が定着された後、搬送切替装置50と排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0045】
プリンタ100は、K、C、MおよびYの4色トナーにより画像形成するフルカラー作像モードと、例えばKトナーのみにより画像形成するモノクロ作像モードと、を有する。作像モードの選択は、プリンタ100の操作部やパソコンの印刷画面において使用者により任意に設定される。
【0046】
フルカラー作像モード選択時は、4つのプロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kによりそれぞれの画像情報に対応したトナー像を感光体3Y、3M、3Cおよび3K上に形成する。次に、順次、中間転写ベルト61に一次転写し、それを一括して転写紙P上に二次転写する。その後、定着ベルトにて溶融固定化する工程を実行する。Kだけを用いるモノクロ作像モード時は、画像データがあるK作像に関係するがプロセスユニット2Kのみを動作させ、中間転写ベルト61に一次転写後はフルカラー作像モードと同様な工程にて画像を得る。
【0047】
また、光書込ユニット1YMの+Y側には、Y、M、CおよびKの各色のトナーが充填されたトナー収容器としてのトナーボトル103Y、103M、103Cおよび103Kが設けられている。トナーボトル103Y、103M、103Cおよび103Kは、プリンタ100本体に対して着脱可能である。トナーボトル103Y、103C、103Mおよび103K内のY、C、MおよびKの各色のトナーは、トナー補給装置により、所定の補給量分、プロセスユニット2Y、2M、2Cおよび2Kにおける現像装置4Y、4M、4Cおよび4Kに補給される。トナーボトル103Y、103M、103Cおよび103Kは、内部のトナーがなくなると交換される消耗品である。トナーがなくなったとき等にプリンタ100本体に脱着され、交換される。
【0048】
転写紙Pとして広く用いられてきた普通紙に加え、近年、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリント等の熱転写に用いる特殊な転写紙Pが用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト61上のトナー像を紙に二次転写する際に二次転写不良が発生し易くなる。
【0049】
プリンタ100では、中間転写ベルト61に硬度の低い弾性層を設け、二次転写ニップでトナー層や平滑性の悪い転写紙Pに対して変形できるようにしている。中間転写ベルト61に硬度の低い弾性層を設け、中間転写ベルト61に弾性をもたせることにより、中間転写ベルト61表面が局部的な凸凹に追従して変形できる。これにより、過度にトナー層に対して二次転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の転写中抜けがなく、また、平滑性の悪い転写紙P等に対しても転写ムラのない均一性に優れた転写画像を得ることができる。
【0050】
プリンタ100では、中間転写ベルト61は、樹脂からなる基層と弾性ゴムやエラストマー等の弾性部材からなる弾性層と、表面層とを含んで構成される。
【0051】
中間転写ベルト61の基層は、中間転写ベルト61の伸びを防止するために設けられるものであり、伸びの少ない樹脂を用いるのが好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-塩化ビニル共重合体、スチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体(スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体およびスチレン-アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体(スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン-α-クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂およびポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。但し、上記材料に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0052】
中間転写ベルト61の弾性層は、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2-ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではなく適宜変更可能である。
【0053】
電気抵抗値の調整ために中間転写ベルト61の樹脂層や弾性層に含有される抵抗値調節用導電剤に特に制限はない。例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン-酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム-酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではなく適宜変更可能である。
【0054】
中間転写ベルト61の表面層は、感光体への汚染防止と、中間転写ベルト表面の摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくしてクリーニング性および二次転写性を高めるものが要求される。表面層としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し、表面エネルギーを小さくして潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用できる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものも使用できる。
【0055】
中間転写ベルトの製造方法は、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレイ塗工法を用いることができる。また、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型や外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付けて加硫研磨を行う方法を用いることもできる。しかし、中間転写ベルトの製造方法は、これらに限定されるものではなく、特に積層ベルト成型は複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。
【0056】
また、伸びの大きなゴム材料などからなる弾性層の伸びを防止するために、基層と弾性層との間に帆布などの材料で構成された芯体層を設けてもよい。芯体層に用いられる伸びを防止する材料としては、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い、糸状あるいは織布状のものを使用することができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。上記の糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、交織した織布も使用可能であり、導電処理を施すことも可能である。
【0057】
また弾性層の硬度は、10°≦HS≦65°(JIS-A)であることが好ましい。中間転写ベルト61の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS-Aより低いと転写中抜けが生じやすい。これに対して硬度が65°JIS-Aより高いものは、ローラヘの張架が困難となり、また長期の張架によって延伸するために耐久性が無く早期の交換が必要になる。
【0058】
次に、二次転写ベルト77を中間転写ベルト61に対して接離させる手段としての接離機構について説明する。図2は、二次転写ニップの拡大断面図である。 図2において、中間転写ベルト61の内周面側で自らの周面に中間転写ベルト61を部分的に掛け回している二次転写対向ローラ68は、変形可能な中間転写ベルト61を自らの周面でバックアップして一定の曲率に沿った形状に維持する役割を担う。中間転写ベルト61における二次転写対向ローラ68に対する掛け回し箇所には、二次転写ベルト77が中間転写ベルト61のおもて面側から当接して二次転写ニップNを形成している。
【0059】
二次転写ローラ72は、軸受けを介して、ローラユニット保持体80に回転自在に保持される。ローラユニット保持体80は、二次転写ローラ72の回転軸線と平行な姿勢をとるように設けられた回動軸80aを中心にして回動可能である。ローラユニット保持体80が回動軸80aを中心にして反時計回り方向に回転すると、ローラユニット保持体80に保持されている二次転写ローラ72が二次転写対向ローラ68に近接する。その結果、二次転写ベルト77が中間転写ベルト61に押し当てられて接触する状態になり、二次転写ニップが形成される。また、ローラユニット保持体80が回動軸80aを中心にして図中時計回り方向に回転すると、ローラユニット保持体80に保持されている二次転写ローラ72が二次転写対向ローラ68から離間していく。その結果、二次転写ベルト77が中間転写ベルト61から離れた状態になる。
【0060】
プリンタ100では、付勢コイルバネ81によってローラユニット保持体80の回動軸80aとは反対側の端部を中間転写ベルト61に向けて常に付勢している。付勢コイルバネ81により、ローラユニット保持体80に対して、回動軸80aを中心にして図中反時計回り方向に回転させる力を常に付与することにより、二次転写ローラ72を中間転写ベルト61に向けて付勢している。換言すると、付勢コイルバネ81、ローラユニット保持体80、およびローラユニット保持体80の回動軸80a等により、二次転写ローラ72を中間転写ベルト61に向けて付勢する付勢手段を構成している。
【0061】
二次転写ローラ72は、ローラ駆動モータの回転駆動力がギヤ等の駆動伝達手段を介して伝達されることで、反時計回り方向に回転駆動される。これらローラ駆動モータや駆動伝達手段も、ローラユニット保持体80に保持されており、二次転写ローラ72やローラユニット保持体80とともに回動するように構成されている。
【0062】
図3は、図2のA-A断面図である。 二次転写ローラ72は、ローラ部72Aと、これの軸線方向の両端面からそれぞれ突出して回転軸線方向に延在する第一軸部材72Bおよび第二軸部材72Cと、第一空転コロ134および第二空転コロ135とを有している。また、ローラ部72Aは、円筒状の中空芯金72aと、これの周面に固定された弾性材料からなる弾性層72bとを有する。中空芯金72aを構成する金属としては、ステンレス、アルミニウム等を例示できるが、これらの材料に限定されるものではない。
【0063】
弾性層72bについては、JIS-A硬度で70[°]以下とすることが望ましい。また、所定の導電性を発揮するエピクロルヒドリンゴムにより、JIS-A硬度で50[°]程度の弾性層72bを形成してもよい。導電性を発揮するゴム材料として、前述した導電性のエピクロルヒドリンゴムの代わりに、カーボンを分散せしめたEPDMやSiゴム、イオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴムなどを使用してもよい。二次転写ローラ72に掛け回されている二次転写ベルト77は、ポリイミド樹脂またはポリアミド樹脂からなるシームレスベルトである。
【0064】
中間転写ベルト61を掛け回している二次転写対向ローラ68は、円柱状の本体部であるローラ部68bと、ローラ部68bの回転中心箇所に対して回転軸線方向に貫通しつつ、ローラ部68bを自らの表面上で空転させる貫通軸部材68aとを有している。貫通軸部材68aは金属部材からなり、その周面上でローラ部68bを回転自在に支持して空転可能としている。
【0065】
本体部としてのローラ部68bは、ドラム状の中空芯金68cと、これの周面上に固定された弾性体からなる弾性層68dと、中空芯金68cの軸線方向両端にそれぞれ圧入された玉軸受68eとを有する。玉軸受68eが中空芯金68cを支えながら、中空芯金68cとともに貫通軸部材68a上で回転する。弾性層68dは、中空芯金68cの外周面に圧入されている。貫通軸部材68aは、中間転写ベルト61を張架する転写ユニット60の第一側板128に固定された第一軸受152と、第二側板129に固定された第二玉軸受153によって回転可能に支持されている。但し、プリントジョブ時における殆どの時間、貫通軸部材68aは回転駆動されずに停止している。貫通軸部材68aは、中間転写ベルト61の無端移動に伴って連れ回ろうとするローラ部68bを、自らの周面上で自在に空転させる。
【0066】
中空芯金68cの周面上に固定された弾性層68dは、7.5[LogΩ]以上の抵抗を発揮するように、イオン導電剤の添加によって抵抗値が調整された導電性ゴム材料から構成されている。弾性層68dの電気抵抗を所定の範囲に調整しているのは、以下の理由からである。すなわち、A5サイズ等のローラ軸線方向のサイズが比較的小さな転写紙Pの場合、二次転写ニップ内で、転写紙Pの介在なしに中間転写ベルト61と二次転写ベルト77とが直接接触している箇所に転写電流を集中させないためである。弾性層68dの電気抵抗を、転写紙Pの抵抗よりも大きな値にすることにより、そのような転写電流の集中を抑えることが可能になる。
【0067】
弾性層68dを構成する導電性ゴム材料としては、Asker-C硬度で40[°]程度の弾性を発揮するように、発泡ゴムを用いている。このような発泡ゴムにより弾性層68dを構成することによって、二次転写ニップN内で弾性層68dを厚み方向に柔軟に変形させて、転写紙搬送方向にある程度の広さを有する二次転写ニップNを形成できる。
【0068】
弾性層68dは、端部の外径よりも中央部の外径が大きいタイコ形状を有する。換言すると、二次転写対向ローラ68は、その中央部68Aよりその端部68B、68Cを小さい外径としたタイコ形状に形成されている。タイコ形状のローラにすることにより、付勢コイルバネ81(図2参照)によって、二次転写ローラ72が中間転写ベルト61に向けて付勢されて二次転写ニップNを形成する際に、撓みが発生して中央部68Aの圧が抜けることを防止できる。
【0069】
二次転写対向ローラ68の貫通軸部材68aにおいて、その長手方向の全領域のうち、ローラ部68bの中に位置していない両端部領域には、離隔手段の一部を構成する一対のカムである第一カム150および第二カム151が固定される。第一カム150には、カム部150Aと、真円形のコロ部150Bとが軸線方向に並んで一体形成される。第一カム150は、コロ部150Bに貫通させたネジ180を貫通軸部材68aに螺合させることにより貫通軸部材68aの長手方向の一端部領域に固定される。第二カム151は、カム部151Aと、真円形のコロ部151Bとが軸線方向に並んで一体形成されていて、第一カム150と同様の構成で、貫通軸部材68aの長手方向の他端部領域に固定している。貫通軸部材68aの軸線方向における第二カム151よりも外側の領域には、駆動受入プーリ154が固定されている。駆動受入プーリ154の更に外側には、被検知円盤159が固定されている。
【0070】
転写ユニット60の第二側板129には、一対の第一カム150および第二カム151を正転方向および逆転方向に回転駆動するカム駆動手段となるカム駆動モータ158が固定されて配置される。カム駆動モータ158は、その出力軸上に設けられたモータプーリ157を回転させ、タイミングベルト156を介して貫通軸部材68aに固定された駆動受入プーリ154に駆動力を伝達する。このような構成にすると、カム駆動モータ158を作動することにより、貫通軸部材68aを回転させることが可能である。この際、貫通軸部材68aを回転させても、ローラ部68bについては貫通軸部材68a上で自在に空転させることが可能であるため、中間転写ベルト61によるローラ部68bの連れ回りを阻害することはない。
【0071】
また、カム駆動モータ158としては、ステッピングモータを用いることにより、エンコーダ等の回転角検知手段を設けることなく、モータ回転角を自由に設定可能になる。無論回転角検知手段を設けてカム駆動モータ158の回転角を検知するようにしてもよい。
【0072】
第一カム150と第二カム151のカム部150Aおよび151Aの外周面150Cおよび151Cは、次のように形成される。すなわち、貫通軸部材68aが所定の回転角度で回転を停止したとき、それぞれのカム部150Aおよび151Aが二次転写ローラ72に突き当たり、二次転写ローラ72をローラユニット保持体80の付勢コイルバネ81の付勢力に抗して押し返すように形成する。換言すると、一対の第一カム150および第二カム151の回転位置を制御して、二次転写ローラ72を二次転写対向ローラ68(ひいては中間転写ベルト61)に対して近接する方向に移動させることにより、二次転写対向ローラ68と二次転写ローラ72との軸間距離Lを調整する。二次転写対向ローラ68と二次転写ローラ72との軸間距離Lを調整することにより、二次転写ニップNにおける二次転写ベルト77と中間転写ベルト61との隙間を調整できる。
【0073】
本実施形態では、少なくとも一対の第一カム150および第二カム151と、カム駆動モータ158と、により、二次転写対向ローラ68と二次転写ローラ72との軸間距離Lを調整する。少なくとも一対の第一カム150および第二カム151と、カム駆動モータ158と、により、二次転写ベルト77を中間転写ベルト61に対して離隔させる離隔手段500が構成される。
【0074】
回転可能な支持部材としての二次転写対向ローラ68は、その円柱状のローラ部68bに対して貫通せしめた貫通軸部材68a上において、ローラ部68bを自在に空転させる。貫通軸部材68aが回転すると、貫通軸部材68aの軸線方向の両端部にそれぞれ固定された一対の第一カム150および第二カム151が一体となって回転する。これにより、貫通軸部材68aに駆動を伝達するための駆動伝達機構を軸線方向の一端側に設けるだけで、両端側の第一カム150および第二カム151をそれぞれ回転させることができる。
【0075】
プリンタ100では、二次転写ローラ72の中空芯金72aを接地している一方で、二次転写対向ローラ68の中空芯金68cに対してトナーと同極性の二次転写バイアスを印加する。これにより、二次転写ニップN内において、トナーを二次転写対向ローラ68側から二次転写ローラ72側に向けて静電移動させる二次転写電界を両ローラ間に形成する。二次転写対向ローラ68の金属製の貫通軸部材68aを回転自在に受けている第一軸受152は、導電性のすべり軸受から構成される。
【0076】
導電性の第一軸受152には、二次転写バイアスを出力する高圧電源161が接続されている。高圧電源161から出力される二次転写バイアスは、導電性の第一軸受152を介して二次転写対向ローラ68に供給される。そして、二次転写対向ローラ68内では、金属製の貫通軸部材68aと、金属製の玉軸受68eと、金属製の中空芯金68cと、導電性の弾性層68dとを順に伝わっていく。
【0077】
貫通軸部材68aの一端に固定された被検知円盤159は、貫通軸部材68aの回転方向における所定の位置において軸線方向に立ち上がる被検部159aを有する。一方、転写ユニット60の第二側板129に固定されたセンサブラケット501には、検知手段となる光学センサ160が固定される。貫通軸部材68aが回転する過程において、貫通軸部材68aが所定の回転角度範囲に位置すると、被検知円盤159の被検部159aが、光学センサ160の発光素子と受光素子との間に入り込んで両者間の光路を遮断する。光学センサ160の受光素子は、発光素子からの光を受光すると受光信号を離隔制御手段600に送信する。
【0078】
離隔制御手段600は、コンピュータにより構成され、ここでは特に光学センサ160とカム駆動モータ158が接続している。離隔制御手段600は、光学センサ160の受光素子からの受光信号が途絶えたタイミングや、そのタイミングからのカム駆動モータ158の駆動量を算出してカム駆動モータ158を作動する。また、算出した駆動量に基づいて、貫通軸部材68aに固定された第一カム150および第二カム151のカム部150Aおよび151Aの回転角度位置を検出し、第一カム150および第二カム151を予め定められた位置で停止させる機能を有する。
【0079】
第一カム150および第二カム151は、所定の回転角度で二次転写ローラ72に突き当たって、二次転写ローラ72を付勢コイルバネ81の付勢力に抗して二次転写対向ローラ68から遠ざける方向に押し返す(以下、この押し返しを「押し下げ」と表記する)。このときの押し返し量(以下、「押し下げ量」と表記する)は、第一カム150および第二カム151の回転角度位置によって決まる。これら第一カム150および第二カム151による二次転写ローラ72の押し下げ量が大きくなるほど、二次転写対向ローラ68と二次転写ローラ72との軸間距離Lは大きくなる。
【0080】
二次転写ローラ72において、ローラ部72Aと一体になって回転する第一軸部材72Bには、第一空転コロ134が空転可能に設けられる。第一空転コロ134は、外径がローラ部72Aよりも少し大きなドーナッツ円盤状の形状をなしている。そして、それ自体が玉軸受としての機能を有していて、第一軸部材72Bの周面上で空転できる。
【0081】
二次転写ローラ72の第二軸部材72Cには、第一空転コロ134と同様の構成の第二空転コロ135が空転可能に設けられる。二次転写対向ローラ68において、貫通軸部材68aに固定された第一カム150および第二カム151は、所定の回転角度位置で、第一空転コロ134および第二空転コロ135に突き当たるようにカム部150Aおよび151Aの外周面150Cおよび151Cが形成される。
【0082】
具体的には、貫通軸部材68aの一端側に固定された第一カム150のカム部150Aは、二次転写ローラ72の第一空転コロ134に突き当たる。このとき同時に、貫通軸部材68aの他端側に固定された第二カム151のカム部151Aが、二次転写ローラ72の第二空転コロ135に突き当たる。
【0083】
第一カム150および第二カム151にそれぞれ突き当てられた第一空転コロ134および第二空転コロ135は、その突き当てに伴って回転を阻止されるが、それによって二次転写ローラ72の回転が妨げられることはない。第一空転コロ134および第二空転コロ135が回転を停止しても、空転コロが玉軸受になっているため、二次転写ローラ72の第一軸部材72Bおよび第二軸部材72Cは、第一空転コロ134および第二空転コロ135から独立して自在に回転できるからである。
【0084】
カム部150Aおよび151Aによる突き当てに伴って第一空転コロ134および第二空転コロ135の回転を停止させることで、両者の摺擦の発生を回避するとともに、摺擦によるベルト駆動モータや二次転写ローラ72の駆動モータのトルク上昇の発生を回避することもできる。
【0085】
転写紙Pの厚みによって押し下げ量を変えることが好ましく、プリンタ100では、図3に示すように、二次転写ニップNに供給される転写紙Pの厚み情報を取得する厚み情報取得手段700を設けている。厚み情報取得手段700としては、給紙路内を搬送される転写紙Pの厚みを実際に検知する厚み検知センサを用いてもよいし、操作者からの厚み情報のデータ入力を受け付けるデータ入力手段を用いてもよい。また、厚み検知センサとしては、厚み方向の光透過率を検知する光学センサや、搬送ローラ対に用紙を挟み込んだときのローラ移動量を検知するセンサ等が挙げられる。
【0086】
離隔制御手段600は、厚み情報取得手段700による取得結果に応じて、二次転写ローラ72の押し下げ量を調整する。具体的には、離隔制御手段600は、ROM等のデータ記憶手段に、転写紙Pの厚み情報と、それに対応する貫通軸部材68aの回転停止位置(押し下げ量と同意)との関係を示すデータテーブルを記憶させる。
【0087】
離隔制御手段600は、転写紙Pの厚みの取得結果に対応する回転停止位置をデータテーブルから特定する。その回転停止位置まで貫通軸部材68aを回転させるべく、カム駆動モータ158を作動する。このように本実施形態では、離隔制御手段600は、多段の第一カム150および第二カム151の駆動が停止して、二次転写ベルト77を中間転写ベルト61から所定量離間させてから、転写紙Pを二次転写ニップNに進入させる処理を実行する。これにより、紙先端進入時のショックジターを抑制できる。
【0088】
また、離隔制御手段600は、中間転写ベルト61上の画像の先端が二次転写ニップNに進入するまでに、第一カム150および第二カム151を二次転写ローラ72から離隔させる。これにより、転写紙Pに画像を二次転写するときは、付勢コイルバネ81により所定の転写圧にすることができ、画像の先端部に白抜けなどが生じず、良好な画像を得ることができる。
【0089】
なお、貫通軸部材68aの回転停止位置については、光学センサ160が被検知円盤159の被検部159aを検知したタイミングで行うように、離隔制御手段600を構成できる。また、光学センサ160が被検知円盤159の被検部159aを検知したタイミングからのカム駆動モータ158であるステッピングモータの駆動量に基づいて行うように、離隔制御手段600を構成してもよい。
【0090】
本実施形態では、二次転写ローラ72に巻きかけられた二次転写ベルト77と二次転写対向ローラ68に巻きかけられた中間転写ベルト61との距離を調節する第一カム150および第二カム151が二次転写対向ローラ68側に配置した場合を示した。しかし、二次転写ベルト77と中間転写ベルト61との表面距離を他の方法で調節することも、もちろん可能である。例えばローラユニット保持体80に押下げ部材を設け、第一カム150および第二カム151により二次転写ベルト77と中間転写ベルト61との表面距離(間隔X)を調節するような構成としてもよい。
【0091】
プリンタ100では、各色の画像濃度を適正化するための画像濃度制御を定期的に実行する。図4は、プリンタ100における電気回路の一部を示すブロック図である。
【0092】
図4に示すように、プリンタ100は、濃度制御手段110と、メモリ120と、を有する。濃度制御手段110は、CPU(Central Processing Unit)や、制御プログラムや各種データを記憶しているROM(Read Only Memory)等を有する。メモリ120は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。メモリ120は、第1補正テーブル121を記憶する。なお、濃度制御手段110には、様々な周辺機器が接続されているが、図4では、それらのうち、画像濃度制御に主に用いるものだけを示している。
【0093】
濃度制御手段110は、第1制御手段111と、第2制御手段112と、を有する。
【0094】
第1制御手段111は、二次転写手段に記録媒体が到達していない時は、中間転写ベルト61に形成された第1トナーパターンにおける第1トナー付着量検出結果に基づき、転写紙Pにおける画像濃度を制御する二次転写手段に記録媒体が到達している時というのは、例えばプリンタ100による印刷(画像形成)の中断時である。
【0095】
第1制御手段111による画像濃度制御は、プリンタ100の電源ON時、印刷開始前、所定枚数(例えば、500枚)画像形成後または画像形成動作終了後等、転写紙Pの画像を形成する動作と排他的に定期的に実行するものである。
【0096】
第2制御手段112は、二次転写手段に記録媒体が到達している時の場合に、二次転写装置70に形成された第2トナーパターンの第2トナー付着量検出結果に基づき、転写紙Pにおける画像濃度を制御する。二次転写手段に記録媒体が到達している時は、例えばプリンタ100による印刷中の時である。第2制御手段112による画像濃度制御は、転写紙Pへの連続画像形成中に転写紙Pの紙間に画像形成動作と同期して定期的に実行する画像濃度制御である。
【0097】
ここで、転写紙Pの種類への対応力向上を狙った表面に弾性層を含む中間転写ベルト61は、表面の光沢度が低い。そのためプリンタ100は、二次転写ベルト77上に第1トナーパターンまたは第2トナーパターンを形成し、第1トナー付着量検出結果または第2トナー付着量検出結果を取得可能になっている。
【0098】
またプリンタ100は、中間転写ベルト61上の画像を凹凸紙等の様々な転写紙Pに二次転写する際に良好な画像を得るために、二次転写装置70において印加される二次転写バイアスを直流電圧だけでなく交流電圧も重畳印加する。プリンタ100は、転写紙Pの種類ごとに二次転写装置70が転写紙Pに加える二次転写圧を調節する。さらにプリンタ100は、中間転写ベルト61の走行速度と、転写紙Pの搬送速度、すなわち二次転写ベルト77の走行速度が略等しくなるように調整する。
【0099】
一方、プリンタ100は、画像濃度の品質を維持するために、印刷中断時に行う第1制御手段111による制御と、印刷中に行う第2制御手段112による制御を行う。
【0100】
第1制御手段111は、印刷中断時に制御を行うため、二次転写装置70による二次転写圧や二次転写バイアス電圧値、二次転写ベルト77の走行速度を、転写紙Pがない場合を基準に設定する。
【0101】
第2制御手段112は、印刷中に制御を行うため、二次転写装置70による二次転写圧や二次転写バイアス電圧値、二次転写ベルト77の走行速度を、印刷中において転写紙Pがある場合を基準に設定する。
【0102】
第1制御手段111の制御における二次転写条件は、第1の二次転写条件である。
前記第1および前記第2の二次転写条件は、第2制御手段112の制御における二次転写条件は、第2の二次転写条件である。
【0103】
第1の二次転写条件と第2の二次転写条件は異なるため、第1制御手段111による制御における第1トナー付着量検出結果と、第2制御手段112による制御における第2トナー付着量検出結果と、は異なるものとなる。従って、印刷中断時と印刷中とにおいて画像濃度の品質を維持できない場合がある。
【0104】
また、弾性層を有する中間転写ベルト61を用いた場合、弾性層にはまり込んだトナーが凹部の周りから過剰に二次転写バイアスの影響を受けることにより、特に中間調パターンの二次転写率が落ちやすい。中間調パターンは、トナーパターンが独立しているため、やわらかい弾性層にトナーがはまりやすい。そのためベタパターンよりも二次転写率が落ちやすい。なお、ベタパターンとは、塗潰されたパターンをいう。
【0105】
二次転写率の低下を補うために、プリンタ100は、二次転写装置70において交流二次転写バイアスを直流二次転写バイアスに重畳させることにより、トナーを振動させ、中間調パターンの二次転写率を上げる。二次転写率とは、転写紙Pに理想的に画像が二次転写された面積に対する、転写紙Pに実際に画像が二次転写された面積の比率をいう。
【0106】
一方、低温低湿環境では放電量が大きくなるため、交流二次転写バイアスを重畳させると、放電ムラに起因して異常画像が発生しやすい。そのため、プリンタ100は、外部環境に応じて二次転写装置70に交流二次転写バイアスを重畳させるか否かを決定する。
【0107】
二次転写装置70に交流二次転写バイアス電圧が印加されている場合と印加されていない場合とでは、二次転写ベルト77の走行速度や二次転写圧に対する二次転写率が異なる。また二次転写バイアスが印加された状態において、二次転写ベルト77の走行速度および二次転写圧それぞれの変動に対する二次転写率の感度が異なる。その結果、画像濃度の調整に二次転写バイアスの条件も考慮しなければならなくなり、画像濃度の調整が複雑になる。
【0108】
上記に対し、プリンタ100は、補正手段113をさらに有する。補正手段113は、第1制御手段111による制御時の第1の二次転写条件と、第2制御手段112による制御時の第2の二次転写条件と、に基づいて第2トナー付着量検出結果を補正する。これにより、印刷中断時と印刷中とにおいて画像濃度の品質を維持すると共に、二次転写率の低下を抑制し、画像濃度の調整が複雑になることを回避する。
【0109】
第1および第2の二次転写条件と、トナー付着量の具体例を説明する。第1の二次転写条件の一例を以下に示す。
・二次転写バイアス:直流二次転写バイアスに交流二次転写バイアスを重畳させたもの
・二次転写圧:A[N/m]
・二次転写ベルト77の走行速度:中間転写ベルト61の走行速度と略等しくなる走行速度
【0110】
第2の二次転写条件の一例を以下に示す。
・二次転写バイアス:直流二次転写バイアス
・二次転写圧:2×A[N/m]
・二次転写ベルトの走行速度:転写紙Pの搬送速度と中間転写ベルト61の走行速度が同じになる走行速度
【0111】
図5は、第1制御手段111による制御後に二次転写ベルト77に形成された第1トナー付着量検出結果と、第2トナー付着量検出結果とを例示する図である。
【0112】
図5に示すように、同じ作像条件であっても、二次転写装置70における二次転写条件が異なると、第1トナー付着量検出結果510と、第2トナー付着量検出結果520は異なるものとなる。作像条件には、帯電バイアス電圧、現像バイアス電圧、露光エネルギーおよびトナー濃度等が含まれる。
【0113】
そのため、補正手段113は、第2トナー付着量検出結果を第1トナー付着量検出結果と略等しくなるように補正する。例えば、プリンタ100は、予め作成された表1、表2および表3に示す第1補正テーブル121をメモリ120に記憶する。補正手段113は、第2の二次転写条件に基づいて、第1補正テーブル121を参照して取得した補正値を第2トナー付着量検出結果に加算することにより補正する。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
表1は、第1制御手段111による制御時における二次転写バイアスと、第2制御手段112による制御時における二次転写バイアスの組合せと、第2トナー付着量検出結果の補正値との対応を示す第1補正テーブルの一例である。本実施形態では、表1を参照して取得される補正値を第1補正値とする。
【0118】
表2および表3は、第1制御手段111による制御時における二次転写バイアスと第2制御手段112による制御時における二次転写バイアスとの差分と、第1制御手段111による制御時における二次転写ベルト77の走行速度と第2制御手段112による制御時における二次転写ベルト77の走行速度との差分と、の組合せと、補正値と、の対応を示す第1補正テーブルの一例である。
【0119】
プリンタ100は、交流を重畳した場合と重畳しない場合において二次転写圧および二次転写ベルト77の走行速度に対する二次転写率の感度が異なるため、それぞれにおいて第1補正テーブル121を記憶する。表2は、第2制御手段112による制御時における二次転写バイアスが直流であり、交流を重畳しない場合のものである。表3は、第2制御手段112による制御時における二次転写バイアスが、直流に交流を重畳した場合のものである。
【0120】
表2および表3における差分を示す百分率[%]は、基準となる第1の二次転写条件に対する比率を表す。本実施形態では、表2および表3を参照して取得される補正値を第2補正値とする。
【0121】
補正手段113は、第2トナー付着量検出結果に補正値を加算し、第2制御手段112は補正後の第2トナー付着量検出結果に基づいて転写紙Pに形成される画像の濃度を制御する。第2制御手段112により制御される最終的なトナー付着量は、第2トナー付着量検出結果と、第1補正値と、第2補正値と、の和に対応する。
【0122】
<プリンタ100の作用効果>
プリンタ100は、印刷中断時において、第1制御手段111による制御における二次転写バイアス電圧値、二次転写圧および二次転写ベルト77の走行速度の調整を、転写紙Pがない状態において行う。この場合には、二次転写バイアス電圧値、二次転写圧、二次転写ベルト77の走行速度の調整は、第1の二次転写条件により行われる。
【0123】
一方、プリンタ100は、印刷中において、第2制御手段112による制御時における二次転写バイアス電圧値、二次転写圧および二次転写ベルト77の走行速度の調整を、転写紙Pを通紙している状態において行う。この場合には、二次転写バイアス電圧値、二次転写圧、二次転写ベルト77の走行速度の調整は、第2の二次転写条件により行われる。
【0124】
第1制御手段111による制御時と、第2制御手段112による制御時において二次転写条件が異なる。二次転写条件が異なるため、二次転写ベルト77に転写されるトナーパターンの転写率が異なる。その結果、作像条件が同じであっても、二次転写ベルト77上にあるトナー付着量が異なる。
【0125】
本実施形態では、第1制御手段111による制御時のトナー付着量を基準とし、第2制御手段112による制御時の第2の二次転写条件によるトナー付着量の変化分を補正する。これにより、第1制御手段111で決めた第1の二次転写条件を基準として、紙種・紙厚によらず安定して印刷中のトナー付着量を制御できる。その結果、転写紙P上の画像濃度の品質を維持できる。
【0126】
また本実施形態では、プリンタ100は、二次転写ベルト77に形成された第1トナーパターンまたは第2トナーパターンのトナー付着量に応じた電気信号を出力するトナー付着量センサ64(検出手段)を有する。プリンタ100は、トナー付着量センサ64を用いて、第1トナー付着量検出結果と第2トナー付着量検出結果を得ることができる。
【0127】
また本実施形態では、第1および第2の二次転写条件は、二次転写装置70により印加される二次転写バイアス電圧値と、二次転写装置70による転写紙Pへの二次転写圧と、二次転写装置70に走行可能に含まれる二次転写ベルト77の走行速度と、を含む。プリンタ100は、第1および第2の二次転写条件を用いることにより、転写紙P上において適正な画像濃度を得ることができる。
【0128】
また本実施形態では、補正手段113による補正値は、第1の二次転写条件における二次転写バイアス電圧値と第2の二次転写条件における二次転写バイアス電圧値とに基づく第1補正値と、第1の二次転写条件における二次転写圧および二次転写ベルト77の走行速度と第2の二次転写条件における二次転写圧および二次転写ベルト77の走行速度とに基づく第2補正値と、の和である。補正値を第1補正値と第2補正値とに分け、最終的に両者の和を用いることにより、補正手段113による第2トナー付着量検出結果の補正精度を向上させることができる。
【0129】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るプリンタ100aについて説明する。本実施形態では、第2トナーパターンは、画像面積率が異なる複数のパターンを含む。補正手段113は、複数のパターンそれぞれの画像面積率と、複数のパターンそれぞれのトナー色と、第1補正値と、第2補正値と、に基づいて補正値の情報を取得する。
【0130】
図6は、プリンタ100aにおける電気回路の一部を示すブロック図である。プリンタ100aは、メモリ120aを有する。メモリ120aは、第2補正テーブル122をさらに有する。
【0131】
プリンタ100aは、第2制御手段112による制御において、第1トナーパターンおよび第2トナーパターンそれぞれが、画像面積率が異なる複数のパターンを含む場合には、予めベタ用とは別に作成されたハーフトーン用の第2補正テーブル122を用いる。画像面積率が異なる複数のパターンを含む場合は、例えば、ベタパターンとハーフトーンパターンにおけるトナー付着量を、第2制御手段112による制御時にトナー付着量センサ64によって検出する場合である。またトナーの色ごとにおいても第2補正テーブル122を用いる。
【0132】
表4は、本実施形態において、第1制御手段111による制御時における二次転写バイアスと、第2制御手段112による制御時における二次転写バイアスの組合せと、補正値との対応関係を示す第2補正テーブル122の一例である。
【0133】
【表4】
【0134】
表5および表6は、本実施形態において、第1制御手段111による制御時における二次転写バイアスと第2制御手段112による制御時における二次転写バイアスとの差分と、第1制御手段111による制御時における二次転写ベルト77の走行速度と第2制御手段112による制御時における二次転写ベルト77の走行速度との差分と、の組合せと、補正値と、の対応関係を示す第2補正テーブル122の一例である。
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
【0137】
このように、プリンタ100aは、複数のパターンそれぞれの画像面積率と、複数のパターンそれぞれのトナー色と、第1補正値と、第2補正値と、の対応関係を示す第2補正テーブル122に基づいて補正値の情報を取得することにより、補正の精度を上げることができる。
【0138】
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0139】
1YM、1CK 光書込ユニット
2Y、2M、2C、2K プロセスユニット(画像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K 感光体
61 中間転写ベルト(像担持体の一例)
64 トナー付着量センサ(検出手段の一例)
70 二次転写装置(二次転写手段の一例)
77 二次転写ベルト
100 プリンタ(画像形成装置の一例)
103Y、103M、103C、103K トナーボトル
110 濃度制御手段
111 第1制御手段
112 第2制御手段
113 補正手段
120 メモリ
121 第1補正テーブル
122 第2補正テーブル
510 第1トナー付着量検出結果
520 第2トナー付着量検出結果
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【特許文献1】特開2015-172671号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6