(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066285
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】接合型半導体ウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230508BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176922
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】石崎 順也
【テーマコード(参考)】
5F152
【Fターム(参考)】
5F152LM09
5F152LP01
5F152LP08
5F152MM18
5F152NN05
5F152NN07
5F152NN13
5F152NN14
5F152NN16
5F152NN18
5F152NP05
5F152NP06
5F152NP13
5F152NP19
5F152NQ05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】素子分離溝に接合材が染み出して犠牲層エッチングが阻害されることを防止する接合型半導体ウェーハの製造方法を提供する。
【解決手段】接合型半導体ウェーハの製造方法は、出発基板11上に、犠牲層12と、半導体機能層を有するエピタキシャル層とをエピタキシャル成長することによりエピタキシャルウェーハを作製する工程と、選択エッチング法にて犠牲層が露出するように素子分離溝を形成する工程と、少なくとも犠牲層が露出した表面にパッシベーション膜22を形成する工程と、エピタキシャル層と、透明な被接合基板31とを、熱硬化型接合材24を介して接合して接合基板30を作製する工程と、接合基板のパッシベーション膜をエッチングして除去する工程と、接合基板の素子分離溝にエッチング液を供給して犠牲層をエッチングすることで出発基板とエピタキシャル層を分離する工程と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発基板上に犠牲層をエピタキシャル成長する工程と、
前記犠牲層上に半導体機能層を有するエピタキシャル層をエピタキシャル成長することによりエピタキシャルウェーハを作製する工程と、
選択エッチング法にて前記エピタキシャルウェーハの一部領域に前記犠牲層が露出するように素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝の少なくとも前記犠牲層が露出した表面にパッシベーション膜を形成する工程と、
前記エピタキシャルウェーハの前記エピタキシャル層と、可視光に対して透明な被接合基板とを、熱硬化型接合材を介して接合して接合基板を作製する工程と、
前記接合基板の前記パッシベーション膜をエッチングして除去する工程と、
前記接合基板の前記素子分離溝にエッチング液を供給して前記犠牲層をエッチングすることで前記出発基板と前記エピタキシャル層を分離する工程と
を有することを特徴とする接合型半導体ウェーハの製造方法。
【請求項2】
前記被接合基板を、サファイア、合成石英、石英、ガラス、SiC、LiTaO3、LiNbO3のいずれかの材料からなるものとすることを特徴とする請求項1に記載の接合型半導体ウェーハの製造方法。
【請求項3】
前記熱硬化型接合材を、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン、スピンオングラス、ポリイミド、フッ素樹脂のいずれか一種類以上の材料とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合型半導体ウェーハの製造方法。
【請求項4】
前記熱硬化型接合材の厚さを、0.01μm以上0.6μm以下とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接合型半導体ウェーハの製造方法。
【請求項5】
前記熱硬化型接合材は熱硬化されていないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合型半導体ウェーハの製造方法。
【請求項6】
前記パッシベーション膜を、シリコン酸化膜とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接合型半導体ウェーハの製造方法。
【請求項7】
前記接合型半導体ウェーハをマイクロLED用とすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接合型半導体ウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合型半導体ウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出発基板からエピタキシャル機能層等の半導体機能層のみを分離し、別の基板へ移載する技術は、出発基板の物性に起因する制約を緩和し、デバイスシステムの設計自由度を上げるために重要な技術である。
【0003】
この移載を実現するためには、エピタキシャル機能層を永久基板に接合後、出発基板を除去し、移載を実現する技術が必要である。
【0004】
特許文献1では、半導体エピタキシャル基板と仮支持基板とを誘電体層を介して熱圧着接合する技術とウェットエッチングで仮支持基板とエピタキシャル機能層を分離する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2では素子分離溝を形成して犠牲層露出後、接合を行い、犠牲層エッチングを実施して出発基板を分離する技術が開示されている。
【0006】
しかし、この技術においては、接合材が固形材である必要がある。柔軟な、あるいは液状の材料で接合界面を形成した場合、接合時の圧力で接合層が変形し、素子分離溝に染み出すことが発生する。染み出した接合材は素子分離溝を埋め、その結果、素子分離溝形成の目的である犠牲層が接合材で被覆されてしまい、犠牲層エッチングが進まなくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-27301号公報
【特許文献2】国際公開第WO2014/020906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、エピタキシャルウェーハに素子分離溝を形成し、かつ、柔軟な接合材を介して被接合基板と接合する接合型半導体ウェーハの製造方法において、素子分離溝に接合材が染み出して犠牲層エッチングが阻害されることを防止する接合型半導体ウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、出発基板上に犠牲層をエピタキシャル成長する工程と、前記犠牲層上に半導体機能層を有するエピタキシャル層をエピタキシャル成長することによりエピタキシャルウェーハを作製する工程と、選択エッチング法にて前記エピタキシャルウェーハの一部領域に前記犠牲層が露出するように素子分離溝を形成する工程と、前記素子分離溝の少なくとも前記犠牲層が露出した表面にパッシベーション膜を形成する工程と、前記エピタキシャルウェーハの前記エピタキシャル層と、可視光に対して透明な被接合基板とを、熱硬化型接合材を介して接合して接合基板を作製する工程と、前記接合基板の前記パッシベーション膜をエッチングして除去する工程と、前記接合基板の前記素子分離溝にエッチング液を供給して前記犠牲層をエッチングすることで前記出発基板と前記エピタキシャル層を分離する工程とを有することを特徴とする接合型半導体ウェーハの製造方法を提供する。
【0010】
このような接合型半導体ウェーハの製造方法であれば、接合の際、素子分離溝の少なくとも犠牲層表面にパッシベーション(PSV)膜が形成されているので素子分離溝に接合材が染み出して犠牲層表面を覆ってしまうことで犠牲層エッチングが阻害されることを防止することができる。
【0011】
この場合、前記被接合基板を、サファイア、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO3、LiNbO3のいずれかの材料からなるものとすることが好ましい。
【0012】
このような被接合基板は、特にレーザーに対する透過性が高くするように選択することができ、本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の被接合基板に適している。
【0013】
また、前記熱硬化型接合材を、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン、スピンオングラス、ポリイミド、フッ素樹脂のいずれか一種類以上の材料とすることが好ましい。
【0014】
これらのような熱硬化型接合材は、接合型半導体ウェーハの製造方法における接合材として好適に用いることができる。
【0015】
また、前記熱硬化型接合材の厚さを、0.01μm以上0.6μm以下とすることが好ましい。
【0016】
このような接着層厚さであれば厚すぎることによる厚さむらも問題とならず、また、接着するのに必要十分な厚さを確保できる。
【0017】
また、前記熱硬化型接合材は熱硬化されていないものとすることができる。
【0018】
このように、熱硬化型接合材が熱硬化されていないようにすれば、剥離を行う際、容易に剥離することができる。
【0019】
また、前記パッシベーション膜を、シリコン酸化膜とすることが好ましい。
【0020】
このように、本発明で用いるパッシベーション膜をシリコン酸化膜とすれば、形成するのも除去するのも比較的容易に行うことができる。また、シリコン酸化膜除去エッチングはフッ素系溶液を用いることで犠牲層エッチングと兼ねることもできる。
【0021】
また、前記接合型半導体ウェーハをマイクロLED用とすることが好ましい。
【0022】
このように、本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法はマイクロLEDに用いられるようなサイズの小さな素子を製造する際に特に有利である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法であれば、エピタキシャルウェーハに素子分離溝を形成し、かつ、柔軟な熱硬化型接合材を介して被接合基板と接合する接合型半導体ウェーハの製造方法において、パッシベーション膜の存在により、素子分離溝に接合材が染み出して犠牲層エッチングが阻害されることを防止することができる。そのため、接合型半導体ウェーハにおいて、素子製造の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の一部を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図3】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図4】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図5】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図6】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図7】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図8】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図9】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図11】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第一の実施形態で得られる接合型半導体ウェーハの一例の概略断面図である。
【
図12】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の一部を示す概略断面図である。
【
図13】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図14】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図15】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図16】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図17】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図18】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図19】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図20】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図21】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図22】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図23】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図24】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図25】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第二の実施形態で得られる接合型半導体ウェーハの一例の概略断面図である。
【
図26】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の一部を示す概略断面図である。
【
図27】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図28】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図29】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図30】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図31】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図32】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図33】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図34】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図35】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図36】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図37】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図38】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第三の実施形態で得られる接合型半導体ウェーハの一例の概略断面図である。
【
図39】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の一部を示す概略断面図である。
【
図40】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図41】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図42】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図43】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図44】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図45】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図46】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図47】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図48】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図49】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図50】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図51】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態の他の一部を示す概略断面図である。
【
図52】本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法の第四の実施形態で得られる接合型半導体ウェーハの一例の概略断面図である。
【
図53】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の一部を示す概略断面図である。
【
図54】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図55】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図56】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図57】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図58】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図59】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図60】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図61】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図62】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法の他の一部を示す概略断面図である。
【
図63】比較例の接合型半導体ウェーハの製造方法で得られた接合型半導体ウェーハの一例の概略断面図である。
【
図64】実施例1~4及び比較例の歩留まりを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
本発明は、出発基板上に犠牲層をエピタキシャル成長する工程と、前記犠牲層上に半導体機能層を有するエピタキシャル層をエピタキシャル成長することによりエピタキシャルウェーハを作製する工程と、選択エッチング法にて前記エピタキシャルウェーハの一部領域に前記犠牲層が露出するように素子分離溝を形成する工程と、前記素子分離溝の少なくとも前記犠牲層が露出した表面にパッシベーション膜を形成する工程と、前記エピタキシャルウェーハの前記エピタキシャル層と、可視光に対して透明な被接合基板とを、熱硬化型接合材を介して接合して接合基板を作製する工程と、前記接合基板の前記パッシベーション膜をエッチングして除去する工程と、前記接合基板の前記素子分離溝にエッチング液を供給して前記犠牲層をエッチングすることで前記出発基板と前記エピタキシャル層を分離する工程とを有することを特徴とする接合型半導体ウェーハの製造方法である。
【0027】
以下、本発明の態様を第一の実施形態~第四の実施形態を例示して説明する。それぞれの実施形態で類似の構成要素は図面中に同一の符号を付して説明する。また、重複する説明は一部省略する。
【0028】
[第一の実施形態]
第一の実施形態を説明する。まず、
図1に示すように出発基板11上に、順次エピタキシャル成長を行い、各層を形成し、エピタキシャルウェーハ20を作製する。これにより、犠牲層12や、半導体機能層18を有するエピタキシャル層を作製する。より具体的には、以下のようにして各層のエピタキシャル成長を行うことができる。
【0029】
図1に示すように第一導電型の例えばGaAsからなる出発基板11上に、犠牲層12をエピタキシャル成長させる。犠牲層12は、例えば、第一導電型のGaAsバッファ層を積層した後、第一導電型のGaInP第一エッチストップ層、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を成長させることにより形成することができる。さらに、犠牲層12上に、例えば、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層13、ノンドープのAlGaInP活性層14、第二導電型のAlGaInP第二クラッド層15、第二導電型のGaInP中間層(不図示)、第二導電型のGaP窓層16を順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18として発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備する。ここで第一クラッド層13から第二クラッド層15までをダブルヘテロ(DH)構造部と称する(
図1)。なお、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18の材料はこれらに限定されない。半導体機能層18は、上記のように発光素子構造を有するものとすることができ、その場合に、特に本発明の接合型半導体ウェーハの製造方法を好適に適用することができる。
【0030】
次に
図2に示すように、選択エッチング法にてエピタキシャルウェーハ20の一部領域に犠牲層12が露出するように素子分離溝21を形成する。より具体的には、フォトリソグラフィー法にてマスクを形成し、GaP窓層16から少なくとも第一クラッド層13までをエッチング(選択エッチング)し、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施する(
図2)。
【0031】
なお、
図2では犠牲層12が露出し(露出部12a)、エッチングされていない状態を図示しているが、この状態に限定されるものではない。例えば、素子分離パターンにわたって犠牲層12がエッチングされていてもよく、エッチング溝の深さが出発基板11に達していてもよい。このような状態であっても犠牲層12は、素子分離パターンの側面の一部として露出する。その場合にも本発明を適用することができる。
【0032】
次に、
図3に示すように、素子分離溝21の少なくとも犠牲層12が露出した表面(露出部12a)にパッシベーション膜22を形成する。より具体的には、
図3に示すようにウェーハ最表面を構成する表面(
図3の場合、窓層16の表面)及び素子分離溝21の内部にSiO
2(シリコン酸化膜)などのパッシベーション(PSV)膜22を形成することができる(
図3)。
【0033】
次に
図4に示すように、素子分離溝21の内部以外の領域のパッシベーション膜22を除去したPSVパターン基板を作製する(
図4)。
【0034】
このように素子分離溝21にパッシベーション膜22を形成することで、後述するように接合材を介して被接合基板(被接合ウェーハ)を接合する際に接合材が素子分離溝21に染み出して、溝が接合材で封鎖されることで犠牲層エッチングが阻害されることを防止することができる。
【0035】
次に、
図5、6に示すように、エピタキシャルウェーハ20の半導体機能層18を有するエピタキシャル層と、可視光に対して透明な被接合基板31とを、熱硬化型接合材24を介して接合して接合基板30を作製する。より具体的には、まず、
図5に示すように、エピタキシャルウェーハ上に熱硬化型接合材として例えばベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートする(
図5)。次に、
図6に示すように、被接合基板31である例えばサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とを熱硬化型接合材24(BCB)を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)30を作製する(
図6)。スピンコートにて熱硬化型接合材(BCB)を塗布する際、設計膜厚は0.01μm以上0.6μm以下とすることが好ましい。また、熱硬化型接合材24は熱硬化されていないようにすることもできる。熱硬化型接合材24が熱硬化されていないようにすれば、剥離を行う際、容易に剥離することができる。
【0036】
なお、被接合基板31はサファイアに限定されるものではなく、平坦性が担保されて、かつエキシマレーザー光の吸収率の低い材料であればどのような材料も選択可能である。サファイアの他、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO3、LiNbO3を選択することができる。
【0037】
また、熱硬化型接合材24としてはBCBに限定されるものではなく、熱硬化性を有するものであれば、どのような材料でも選択可能である。BCBの他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、スピンオングラス(spin-on-glass、SOG)、ポリイミド(Polyimide、PI)、フッ素樹脂などを用いてもよい。フッ素樹脂としては、サイトップ(登録商標)等のアモルファスフッ素系樹脂を用いることができる。
【0038】
次に、
図7に示すように、接合基板30のパッシベーション膜22をエッチングして除去する。より具体的には、例えば、フッ素系溶液でパッシベーション膜22をエッチングすることができる(
図7)。
図7の例では、紙面に対して垂直に近い方向からエッチング液が供給される。このエッチングにより、パッシベーション膜22が除去されて素子分離溝21が現れる。
【0039】
次に、
図8に示したように、接合基板30の素子分離溝21にエッチング液を供給して犠牲層12をエッチングすることで出発基板11とエピタキシャル層(半導体機能層18を有する)を分離する。より具体的には、フッ素系溶液で犠牲層12をエッチングすることで出発基板11を剥離することができる(
図8)。なお、
図7、
図8で示したように、パッシベーション膜除去工程と犠牲層エッチング工程を別々の工程として記載しているが、パッシベーション膜22も犠牲層12もフッ素系溶液で選択的にエッチングされる材料を選択することにより、事実上、一連の工程として行うことができる。パッシベーション膜22としてフッ素系溶液で選択的にエッチングされる材料は、例えば、上記のようなSiO
2である。犠牲層12としてフッ素系溶液で選択的にエッチングされる材料は、例えば、上記のようなGaInPやGaAsである。
【0040】
以上のようにして、接合型半導体ウェーハ35を製造することができる。
図8に示した接合型半導体ウェーハ35は、マイクロLED用とすることができる。また、以下のように、続けて各素子の電極等を形成することができる。
【0041】
まず、
図9に示すようにフォトリソグラフィー法にて第二クラッド層15の一部を露出させる(
図9)。
【0042】
次に、
図10に示すように、表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜42を形成し、素子分離溝21の端部、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工したPSVパターン膜を作製する(
図10)。
【0043】
次に
図11に示すようにパッシベーション膜42の露出部に電極44を形成し、熱処理を施してオーミック接触を実現する(
図11)。
【0044】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。まず、第一の実施形態と同様に、出発基板11上に、順次エピタキシャル成長を行い、各層を形成し、犠牲層12や、半導体機能層18を有するエピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハ20を作製する。より具体的には、以下のようにして各層のエピタキシャル成長を行うことができる。
【0045】
まず、
図12に示すように第一導電型の例えばGaAsからなる出発基板11上に、犠牲層12をエピタキシャル成長させる。犠牲層12は、例えば、第一導電型のGaAsバッファ層を積層した後、第一導電型のGaInP第一エッチストップ層、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を成長させることにより形成することができる。さらに、犠牲層12上に、例えば、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層13、ノンドープのAlGaInP活性層14、第二導電型のAlGaInP第二クラッド層15、第二導電型のGaInP中間層(不図示)、第二導電型のGaP窓層16を順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18として発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備する。ここで第一クラッド層13から第二クラッド層15までをダブルヘテロ(DH)構造部と称する(
図12)。なお、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18の材料はこれらに限定されない。半導体機能層18は、上記のように発光素子構造を有するものとすることができる。
【0046】
次に
図13に示すように、選択エッチング法にてエピタキシャルウェーハ20の一部領域に犠牲層12が露出するように素子分離溝21を形成する。より具体的には、フォトリソグラフィー法にてマスクを形成し、GaP窓層16から少なくとも第一クラッド層13までをエッチング(選択エッチング)し、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施する(
図13)。これにより、犠牲層12が露出する(露出部12a)。
【0047】
次に
図14に示すようにエピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材として例えばベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図14)、250℃1時間の熱を印加してBCB膜を硬化させる(図中では、硬化した熱硬化型接合材を、硬化接合材25として示す)。
【0048】
次に
図15に示すようにフォトリソグラフィー法により、素子分離溝21の一部の硬化接合材(硬化BCB部)25を除去して開口部26を形成し、犠牲層12の露出部12aを露出させる(
図15)。
【0049】
次に
図16に示すように表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜22を形成し(
図16)、
図17に示すように素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜22を除去したPSVパターン基板を作製する(
図17)。
【0050】
次に
図18に示すようにエピタキシャルウェーハ上に熱硬化型接合材24としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートする(
図18)。
【0051】
次に
図19に示すように被接合基板31である例えばサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とを熱硬化型接合材24(BCB)を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)50を作製する(
図19)。スピンコートにて熱硬化型接合材(BCB)を塗布する際、設計膜厚は0.01μm以上0.6μm以下とすることが好ましい。
【0052】
なお、被接合基板31はサファイアに限定されるものではなく、平坦性が担保されて、かつエキシマレーザー光の吸収率の低い材料であればどのような材料も選択可能である。サファイアの他、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO3、LiNbO3を選択することができる。
【0053】
また、熱硬化型接合材24はBCBに限定されるものではなく、熱硬化性を有するものであれば、どのような材料でも選択可能である。BCBの他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、スピンオングラス(spin-on-glass、SOG)、ポリイミド(Polyimide、PI)、フッ素樹脂などを用いてもよい。
【0054】
次に、
図20に示すように、接合基板50のパッシベーション膜22をエッチングして除去する。より具体的には、例えば、フッ素系溶液でパッシベーション膜22をエッチングすることができる(
図20)。
図20の例では、紙面に対して垂直に近い方向からエッチング液が供給される。このエッチングにより、パッシベーション膜22が除去されて素子分離溝21が現れる。
【0055】
次に、
図21に示したように、接合基板50の素子分離溝21にエッチング液を供給して犠牲層12をエッチングすることで出発基板11とエピタキシャル層(半導体機能層18を有する)を分離する。より具体的には、
図21に示すようにフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングすることで出発基板11を剥離する(
図21)。なお、
図21、
図22で示したように、パッシベーション膜除去工程と犠牲層エッチング工程を別々の工程として記載しているが、パッシベーション膜22も犠牲層12もフッ素系溶液で選択的にエッチングされる材料を選択することにより、事実上、一連の工程として行うことができる。
【0056】
以上のようにして、接合型半導体ウェーハ55を製造することができる。
図21に示した接合型半導体ウェーハ55は、マイクロLED用とすることができる。また、以下のように、続けて各素子の電極等を形成することができる。
【0057】
まず、
図22に示すようにフォトリソグラフィー法にて第二クラッド層15の一部を露出させる(
図22)。そして
図23に示すようにスパイク状になった硬化接合材25(BCB硬化部)をリフトオフ等の方法で物理的に除去する(
図23)。ここでは、5kgf/cm
2程度の圧力の液流でスパイク状の硬化接合材25(BCB硬化部)を除去することができるが、この方法には限定されず、アッシング法やRIE(反応性イオンエッチング)法を用いてもよい。アッシング法やRIE法では等方的に硬化接合材25(BCB硬化膜)が侵されるが、スパイク状になっているBCB硬化部は膜状のBCB硬化部より侵食速度が速いため、時間条件を整えれば、スパイク状BCB硬化部のみを除去することは可能である。
【0058】
次に
図24に示すように表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜42を形成し、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工したPSVパターン膜を作製する(
図24)。
【0059】
次に
図25に示すようパッシベーション膜42の露出部に電極44を形成し、熱処理を施してオーミック接触を実現する(
図25)。
【0060】
[第三の実施形態]
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。まず、第一、第二の実施形態と同様に、出発基板11上に、順次エピタキシャル成長を行い、各層を形成し、犠牲層12や、半導体機能層18を有するエピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハ20を作製する。より具体的には、以下のようにして各層のエピタキシャル成長を行うことができる。
【0061】
まず、
図26に示すように第一導電型の例えばGaAsからなる出発基板11上に、犠牲層12をエピタキシャル成長させる。犠牲層12は、例えば、第一導電型のGaAsバッファ層を積層した後、第一導電型のGaInP第一エッチストップ層、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を成長させることにより形成することができる。さらに、犠牲層12上に、例えば、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層13、ノンドープのAlGaInP活性層14、第二導電型のAlGaInP第二クラッド層15、第二導電型のGaInP中間層(不図示)、第二導電型のGaP窓層16を順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18として発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備する。ここで第一クラッド層13から第二クラッド層15までをダブルヘテロ(DH)構造部と称する(
図26)。なお、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18の材料はこれらに限定されない。半導体機能層18は、上記のように発光素子構造を有するものとすることができる。
【0062】
次に
図27に示すように、選択エッチング法にてエピタキシャルウェーハ20の一部領域に犠牲層12が露出するように素子分離溝21を形成する。より具体的には、フォトリソグラフィー法にて、マスクを形成し、GaP窓層16から少なくとも第一クラッド層13までをエッチング(選択エッチング)し、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施する(
図27)。これにより、犠牲層12が露出する(露出部12a)。
【0063】
次に
図28に示すようにエピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合部材として例えばベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図28)、250℃1時間の熱を印加してBCB膜を硬化させる(図中では、硬化した熱硬化型接合材を、硬化接合材25として示す)。なお、一般的な傾向として、素子分離溝21の幅や深さなどのアスペクト比が0.1より大きい(深い)場合、BCBが素子分離溝の底に達することなく、素子分離溝21の底部はDH構造部の一部や犠牲層12が露出した状態になっている。
【0064】
次に
図29に示すようにフォトリソグラフィー法により、素子分離溝21の一部の硬化接合材25(硬化BCB部)を除去して開口部26を形成し、犠牲層12を露出させる(
図29)。
【0065】
次に
図30に示すように表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜22を形成し(
図30)、その後、
図31に示すように素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜22を除去したPSVパターン基板を作製する(
図31)。
【0066】
次に
図32に示すようにエピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材24として例えばベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図32)、
図33に示すように被接合基板31である例えばサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とを熱硬化型接合材(BCB)を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)60を作製する。スピンコートにて熱硬化型接合材(BCB)を塗布する際、設計膜厚は0.01μm以上0.6μm以下とすることが好ましい(
図33)。
【0067】
なお、被接合基板31は、サファイアに限定されるものではなく、平坦性が担保されて、かつエキシマレーザー光の吸収率の低い材料であればどのような材料も選択可能である。サファイアの他、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO3、LiNbO3を選択することができる。
【0068】
また、熱硬化型接合材24は、BCBに限定されるものではなく、熱硬化性を有するものであれば、どのような材料でも選択可能である。BCBの他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、スピンオングラス(spin-on-glass、SOG)、ポリイミド(Polyimide、PI)、フッ素樹脂などを用いてもよい。
【0069】
次に、
図34に示すように、接合基板60のパッシベーション膜22をエッチングして除去する。より具体的には、例えば、フッ素系溶液でパッシベーション膜22をエッチングすることができる(
図34)。
図34の例では、紙面に対して垂直に近い方向からエッチング液が供給される。このエッチングにより、パッシベーション膜22が除去されて素子分離溝21が現れる。
【0070】
次に、
図35に示したように、接合基板60の素子分離溝21にエッチング液を供給して犠牲層12をエッチングすることで出発基板11とエピタキシャル層(半導体機能層18を有する)を分離する。より具体的には、
図35に示すようにフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングすることで出発基板11を剥離する(
図35)。なお、
図34、
図35で示したように、パッシベーション膜除去工程と犠牲層エッチング工程を別々の工程として記載しているが、パッシベーション膜22も犠牲層12もフッ素系溶液で選択的にエッチングされる材料を選択することにより、事実上、一連の工程として行うことができる。
【0071】
以上のようにして、接合型半導体ウェーハ65を製造することができる。
図35に示した接合型半導体ウェーハ65は、マイクロLED用とすることができる。また、以下のように、続けて各素子の電極等を形成することができる。
【0072】
まず、
図36に示すようにフォトリソグラフィー法にて第二クラッド層15の一部を露出させる(
図36)。
【0073】
次に
図37に示すように表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜42を形成し、素子分離溝21の端部、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工したPSVパターン膜を作製する(
図37)
【0074】
次に
図38に示すようにパッシベーション膜42の露出部に電極44を形成し、熱処理を施してオーミック接触を実現する(
図38)。
【0075】
[第四の実施形態]
次に、本発明の第四の実施形態について説明する。まず、第一~第三の実施形態と同様に、出発基板11上に、順次エピタキシャル成長を行い、各層を形成し、犠牲層12や、半導体機能層18を有するエピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハ20を作製する。より具体的には、以下のようにして各層のエピタキシャル成長を行うことができる。
【0076】
まず、
図39に示すように第一導電型の例えばGaAsからなる出発基板11上に、犠牲層12をエピタキシャル成長させる。犠牲層12は、例えば、第一導電型のGaAsバッファ層を積層した後、第一導電型のGaInP第一エッチストップ層、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を成長させることにより形成することができる。さらに、犠牲層12上に、例えば、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層13、ノンドープのAlGaInP活性層14、第二導電型のAlGaInP第二クラッド層15、第二導電型のGaInP中間層(不図示)、第二導電型のGaP窓層16を順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18として発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備する。ここで第一クラッド層13から第二クラッド層15までをダブルヘテロ(DH)構造部と称する(
図39)。なお、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18の材料はこれらに限定されない。半導体機能層18は、上記のように発光素子構造を有するものとすることができる。
【0077】
次に
図40に示すように、選択エッチング法にてエピタキシャルウェーハ20の一部領域に犠牲層12が露出するように素子分離溝21を形成する。より具体的には、フォトリソグラフィー法にて、マスクを形成し、GaP窓層16から少なくとも第一クラッド層13までをエッチング(選択エッチング)し、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施する(
図40)。これにより、犠牲層12が露出する(露出部12a)。
【0078】
次に
図41に示すようにエピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図41)、250℃1時間の熱を印加してBCB膜を硬化させる(図中では、硬化した熱硬化型接合材を、硬化接合材25として示す)。
【0079】
一般的な傾向として、素子分離溝21の幅や深さなどのアスペクト比が0.1より大きい(深い)場合、BCBが素子分離溝が完全には埋まらない状態になっている。
【0080】
次に
図42に示すようにフォトリソグラフィー法により、素子分離溝21の一部の硬化接合材25(硬化BCB部)を除去して開口部26を形成し、犠牲層12を露出させる(
図42)。
【0081】
次に
図43に示すように表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜22を形成し(
図43)、
図44に示すように素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜を除去したPSVパターン基板を作製する(
図44)。
【0082】
次に
図45に示すようにエピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材24として例えばベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図45)、
図46に示すように被接合基板31であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とを熱硬化型接合材(BCB)を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)70を作製する。スピンコートにて熱硬化型接合材(BCB)を塗布する際、設計膜厚は0.01μm以上0.6μm以下とすることが好ましい(
図46)。
【0083】
なお、被接合基板31は、サファイアに限定されるものではなく、平坦性が担保されて、かつエキシマレーザー光の吸収率の低い材料であればどのような材料も選択可能である。サファイアの他、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO3、LiNbO3を選択することができる。
【0084】
また、熱硬化型接合材24としては、BCBに限定されるものではなく、熱硬化性を有するものであれば、どのような材料でも選択可能である。BCBの他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、スピンオングラス(spin-on-glass、SOG)、ポリイミド(Polyimide、PI)、フッ素樹脂などを用いてもよい。
【0085】
次に、
図47に示すように、接合基板70のパッシベーション膜22をエッチングして除去する。より具体的には、例えば、フッ素系溶液でパッシベーション膜22をエッチングすることができる(
図47)。
図47の例では、紙面に対して垂直に近い方向からエッチング液が供給される。このエッチングにより、パッシベーション膜22が除去されて素子分離溝21が現れる。
【0086】
次に、
図48に示したように、接合基板70の素子分離溝21にエッチング液を供給して犠牲層12をエッチングすることで出発基板11とエピタキシャル層(半導体機能層18を有する)を分離する。より具体的には、
図48に示すようにフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングすることで出発基板11を剥離する(
図48)。なお、
図47、
図48で示したように、パッシベーション膜除去工程と犠牲層エッチング工程を別々の工程として記載しているが、パッシベーション膜22も犠牲層12もフッ素系溶液で選択的にエッチングされる材料を選択することにより、事実上、一連の工程として行うことができる。
【0087】
以上のようにして、接合型半導体ウェーハ75を製造することができる。
図48に示した接合型半導体ウェーハ75は、マイクロLED用とすることができる。また、以下のように、続けて各素子の電極等を形成することができる。
【0088】
まず、
図49に示すようにフォトリソグラフィー法にて第二クラッド層15の一部を露出させる(
図49)。
【0089】
次に
図50に示すようにスパイク状になった硬化接合材25(BCB硬化部)をリフトオフ等の方法で物理的に除去する(
図50)。本実施形態においては、5kgf/cm
2程度の圧力の液流でスパイク状BCB硬化部を除去することができるが、この方法に限定されないことは言うまでもない。アッシング法を用いてもよいし、RIE法を用いてもよい。アッシング法やRIE法では等方的に硬化接合材25(BCB硬化膜)が侵されるが、スパイク状になっているBCB硬化部は膜状のBCB硬化部より侵食速度が速いため、時間条件を整えれば、スパイク状BCB硬化部のみを除去することは可能である。
【0090】
次に
図51に示すように表面にSiO
2などのパッシベーション(PSV)膜42を形成し、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工したPSVパターン膜を作製する(
図51)。
【0091】
次に
図52に示すようパッシベーション膜42の露出部に電極44を形成し、熱処理を施してオーミック接触を実現する(
図52)。
【実施例0092】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0093】
(実施例1)
まず、
図1に示したように、第一導電型のGaAs出発基板11上に、第一導電型のGaAsバッファ層積層後、第一導電型のGa
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層を0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を0.3μmをエピタキシャル成長し、犠牲層12とした。さらに、第一導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第一クラッド層13を1.0μm、ノンドープの(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0≦y≦0.6)活性層14、第二導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第二クラッド層15を1.0μm、第二導電型のGaInP中間層(不図示)を0.1μm、第二導電型のGaP窓層16を4μm、順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備した(
図1)。
【0094】
次に、フォトリソグラフィー法にて、レジストマスク形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第一クラッド層13からGaP窓層16までをエッチングし、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施した(
図2)。
【0095】
次に、窓層16の表面及び素子分離溝21の内部にパッシベーション膜22としてSiO
2膜を形成し(
図3)、素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜22(SiO
2膜)を除去した(
図4)。
【0096】
次にエピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材24としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図5)、被接合基板31であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とをBCB24を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)30を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は0.6μmとした(
図6)。BCBの軟化点である温度150℃に到達後、室温まで温度を下げて接合した。次にフッ素系溶液で素子分離溝21の内部のSiO
2膜をエッチングした(
図7)。次にフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングしてGaAs出発基板11を剥離した(
図8)。次にフォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第二クラッド層15の一部を露出させた(
図9)。
【0097】
次に表面にパッシベーション膜42としてSiO
2膜を形成し、素子分離溝21の端部、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工した(
図10)。
【0098】
次にパッシベーション膜42であるSiO
2膜の露出部に電極44としてP型層近傍0.1μmの領域にAuBe合金層を、N型層近傍0.2μmの領域にAuGe合金層を設けた。熱処理を施してオーミック接触を実現した(
図11)。
【0099】
(実施例2)
まず、
図12に示したように、第一導電型のGaAs出発基板11上に、第一導電型のGaAsバッファ層積層後、第一導電型のGa
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層を0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を0.3μmをエピタキシャル成長し、犠牲層12とした。さらに、第一導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第一クラッド層13を1.0μm、ノンドープの(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0≦y≦0.6)活性層14、第二導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第二クラッド層15を1.0μm、第二導電型のGaInP中間層(不図示)を0.1μm、第二導電型のGaP窓層16を4μm、順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備した(
図12)。
【0100】
次に、フォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第一クラッド層13からGaP窓層16までをエッチングし、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施した(
図13)。
【0101】
次にエピタキシャルウェーハ20上にベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートすることで表面及び素子分離溝21の内部にBCBを供給し(
図14)、250℃1時間の熱を印加してBCB膜を硬化させた(硬化接合材25)。
【0102】
次にフォトリソグラフィー法により、素子分離溝21の一部の硬化接合材25(硬化BCB部)を除去し、犠牲層12を露出させた(
図15)。
【0103】
次に、窓層16の表面及び素子分離溝21の内部にパッシベーション膜22としてSiO
2膜を形成し(
図16)、素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜22(SiO
2膜)を除去した(
図17)。
【0104】
次に、エピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材24としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図18)、被接合基板31であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とをBCB24を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)50を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は0.6μmとした(
図19)。
【0105】
次にフッ素系溶液で素子分離溝21の内部のパッシベーション膜22(SiO
2膜)をエッチングした(
図20)。
【0106】
次にフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングしてGaAs出発基板11を剥離した(
図21)。フォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第二クラッド層15の一部を露出させた(
図22)。
【0107】
次に、スパイク状になった硬化接合材25(BCB硬化部)を5kgf/cm
2程度の圧力の液流で除去した(
図23)。
【0108】
表面にパッシベーション膜42としてSiO
2膜を形成し、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工した(
図24)。
【0109】
次にパッシベーション膜42であるSiO
2膜露出部に電極44としてP型層近傍0.1μmの領域にAuBe合金層を、N型層近傍0.2μmの領域にAuGe合金層を設けた。熱処理を施してオーミック接触を実現した(
図25)。
【0110】
(実施例3)
まず、
図26に示したように、第一導電型のGaAs出発基板11上に、第一導電型のGaAsバッファ層積層後、第一導電型のGa
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層を0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を0.3μmをエピタキシャル成長し、犠牲層12とした。さらに、第一導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第一クラッド層13を1.0μm、ノンドープの(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0≦y≦0.6)活性層14、第二導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第二クラッド層15を1.0μm、第二導電型のGaInP中間層(不図示)を0.1μm、第二導電型のGaP窓層16を4μm、順次成長して、半導体機能層(エピタキシャル機能層)18としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ20を準備した(
図26)。
【0111】
フォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第一クラッド層13からGaP窓層16までをエッチングし、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施した(
図27)。
【0112】
エピタキシャルウェーハ20上にベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートすることで表面及び素子分離溝21の内部の一部にBCBを供給し(
図28)、250℃1時間の熱を印加してBCB膜を硬化させた(硬化接合材25)。
【0113】
フォトリソグラフィー法により、レジストマスクを形成し、フッ素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、素子分離溝21の一部の硬化接合材25(硬化BCB部)を除去し、犠牲層12を露出させた(
図29)。
【0114】
次に、窓層16の表面及び素子分離溝21の内部にパッシベーション膜22としてSiO
2膜を形成し(
図30)、素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜22(SiO
2膜)を除去した(
図31)。
【0115】
次に、エピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材24としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし(
図32)、被接合基板31であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とをBCB24を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)60を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は0.6μmとした(
図33)。
【0116】
次にフッ素系溶液で素子分離溝21の内部のパッシベーション膜22(SiO
2膜)をエッチングした(
図34)。
【0117】
次にフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングしてGaAs出発基板11を剥離した(
図35)。
【0118】
次にレジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第二クラッド層15の一部を露出させた(
図36)。
【0119】
表面にパッシベーション膜42としてSiO
2膜を形成し、素子分離溝21の端部、露出した活性層14の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工した(
図37)。
【0120】
次にパッシベーション膜42であるSiO
2膜露出部に電極44としてP型層近傍0.1μmの領域にAuBe合金層を、N型層近傍0.2μmの領域にAuGe合金層を設けた。熱処理を施してオーミック接触を実現した(
図38)。
【0121】
(実施例4)
まず、
図39に示したように、第一導電型のGaAs出発基板11上に、第一導電型のGaAsバッファ層積層後、第一導電型のGa
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層を0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を0.3μmをエピタキシャル成長し、犠牲層12とした。さらに、第一導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第一クラッド層13を1.0μm、ノンドープの(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0≦y≦0.6)活性層14、第二導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第二クラッド層15を1.0μm、第二導電型のGaInP中間層(不図示)を0.1μm、第二導電型のGaP窓層16を4μm、順次成長して半導体機能層(エピタキシャル機能層)18としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハを準備した(
図39)。
【0122】
フォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第一クラッド層13からGaP窓層16までをエッチングし、素子分離溝21を形成する素子分離工程を実施した(
図40)。
【0123】
エピタキシャルウェーハ20上にベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートすることで表面及び素子分離溝21の内部(壁面)にBCBを供給し(
図41)、250℃1時間の熱を印加してBCB膜を硬化させた(硬化接合材25)。
【0124】
フォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、フッ素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、素子分離溝の一部の硬化接合材25(硬化BCB部)を除去し、犠牲層12を露出させた(
図42)。
【0125】
次に、窓層16の表面及び素子分離溝21に犠牲層12を覆うようにパッシベーション膜22としてSiO
2膜を形成し(
図43)、素子分離溝21以外の領域のパッシベーション膜22(SiO
2膜)を除去した(
図44)。
【0126】
次に、エピタキシャルウェーハ20上に熱硬化型接合材24としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートすることで表面及び素子分離溝21の内部の一部にBCBを供給し(
図45)、被接合基板31であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ20とサファイアウェーハ31とをBCB24を介して接合した接合基板(エピタキシャル接合基板)70を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は0.6μmとした(
図46)。
【0127】
次にフッ素系溶液で素子分離溝21の内部のパッシベーション膜22(SiO
2膜)をエッチングした(
図47)。
【0128】
次にフッ素系溶液で犠牲層12をエッチングしてGaAs出発基板11を剥離した(
図48)。
【0129】
次にレジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第二クラッド層15の一部を露出させた(
図49)。
【0130】
スパイク状になったBCB硬化部を5kgf/cm
2程度の圧力の液流で除去した(
図50)。
【0131】
表面にパッシベーション膜42としてSiO
2膜を形成し、露出した活性層の側面を被覆し、第一クラッド層13および第二クラッド層15の一部が露出するように加工した(
図51)。
【0132】
次にパッシベーション膜42であるSiO
2膜露出部に電極44としてP型層近傍0.1μmの領域にAuBe合金層を、N型層近傍0.2μmの領域にAuGe合金層を設けた。熱処理を施してオーミック接触を実現した(
図52)。
【0133】
(比較例)
図53に示すように、第一導電型のGaAs出発基板111上に、第一導電型のGaAsバッファ層積層後、第一導電型のGa
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層を0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層を0.3μmをエピタキシャル成長し、犠牲層112とした。さらに、第一導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第一クラッド層113を1.0μm、ノンドープの(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0≦y≦0.6)活性層114、第二導電型の(Al
yGa
1-y)
xIn
1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第二クラッド層115を1.0μm、第二導電型のGaInP中間層(不図示)を0.1μm、第二導電型のGaP窓層116を4μm、順次成長した半導体機能層(エピタキシャル機能層)118としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ120を準備した(
図53)。
【0134】
フォトリソグラフィー法にて、レジストマスクを形成し、塩素系プラズマを用いたドライエッチング法にて、第一クラッド層113からGaP窓層116までをエッチングし、素子分離溝121を形成する素子分離工程を実施した(
図54)。これにより、犠牲層112の表面112aが露出した。
【0135】
次に、サファイアウェーハ131上にBCB122をスピンコート(
図55)し、素子分離溝121が形成されたエピタキシャルウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハとサファイアウェーハとをBCBを介して接合したエピタキシャル接合基板を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は0.6μmとした(
図56)。
【0136】
接合の際、素子分離溝121に侵入するBCB接合剤122の量は制御できないため、部分的に埋まる箇所がある一方、露出した犠牲層112表面までBCB接合剤122が埋まる領域も生じた(
図56参照)。
【0137】
犠牲層112をウェットエッチングで除去し、GaAs出発基板111とエピタキシャル層を分離した。BCB接合剤122が素子分離溝121を埋めた箇所は犠牲層エッチャントが侵入しないため、犠牲層112がエッチングされず、部分的に残留した(
図57)。部分的に残留した犠牲層を符号162で示した。
【0138】
GaAs出発基板111をエピタキシャル層から剥離した際、犠牲層112がエッチングされていない箇所のGaAs出発基板111の一部が残留してしまった(
図58)。部分的に残留した出発基板の一部を符号161で示した。
【0139】
次に、素子分離溝121を埋めているBCB122の一部を除去し、分離溝を形成した(
図59)。
【0140】
第一クラッド層113および活性層114の一部領域を除去し、第二クラッド層115を露出させた(
図60)。第二クラッド層115露出後、スパイク状になっているBCB接合剤122をリフトオフの手法で選択的に除去した(
図61)。次に、表面にパッシベーション膜42としてSiO
2膜を形成し、素子分離端部、露出した活性層114の側面を被覆し、第一クラッド層113および第二クラッド層115の一部が露出するように加工した(
図62)。このとき、SiO
2膜の一部192が残留した出発基板161に付着した。
【0141】
次にSiO
2膜露出部に電極144としてP型層近傍0.1μmの領域にAuBe合金層を、N型層近傍0.2μmの領域にAuGe合金層を設けた。熱処理を施してオーミック接触を実現した(
図63)。このとき、電極材料の一部194が残留した出発基板161に付着した。
【0142】
(実施例と比較例との比較)
犠牲層エッチング後、出発基板(GaAs)がエピタキシャル層に付着せず、エピタキシャル層と出発基板が完全に分離した面積を良品面積と定義し、設計面積との比率を歩留まりとし、実施例と比較例における比較を示したものを
図64に示す。
【0143】
図61から判るように実施例での実施の場合、いずれも90%以上の剥離良品面積を示す。一方、比較例において、歩留まりは大きく低下している。この歩留まりの差は、素子分離溝を有するゆえの犠牲層エッチング時間の差異にも起因している。分離溝を設けたいずれも実施例の場合も、犠牲層エッチング時間は1時間以内である。一方、比較例において、犠牲層エッチング時間は室温において数十時間を要する。
【0144】
実施例においては、素子分離溝を介してエッチング液が容易に侵入するため、ウェーハ全面において同時にエッチングが進むため、犠牲層がエッチングされる過程での応力の偏在が少なく、エピタキシャル層が破壊されにくい。そのため、犠牲層エッチング後の歩留まりが良好である。
【0145】
その一方、比較例においてはウェーハ外周からエッチングが進むため、犠牲層エッチングの過程で偏在した応力がエピタキシャル層に掛かりやすい。その結果、エピタキシャル層にクラック等が入りやすく、結果として歩留まりの低下を招いた。
【0146】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。