(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066371
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】制御装置、画像形成装置、画像形成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20230508BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230508BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140572
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2021176789
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】生方 幹二
(72)【発明者】
【氏名】桐生 光示
(72)【発明者】
【氏名】笠舞 真史
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳平
(72)【発明者】
【氏名】芦川 正啓
(72)【発明者】
【氏名】中村 なぎさ
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270LA15
2H270LA32
2H270LA63
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB12
2H270MB17
2H270MB46
2H270MC13
2H270MD01
2H270MD02
2H270MD05
2H270MD10
2H270MH07
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EH16
2H300EJ47
2H300GG23
2H300GG25
2H300GG32
2H300RR17
2H300RR32
2H300RR38
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
2H300TT06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】像担持体の回転位相を精度よく制御する。
【解決手段】第1色用の感光体の回転位相と第1色用の感光体上のトナー像の濃度とに基づいて第1色用の感光体の回転周期に応じて発生する濃度ムラを検出し、第2色用の感光体の回転位相と第2色用の感光体上のトナー像の濃度とに基づいて第2色用の感光体の回転周期に応じて発生する濃度ムラを検出する検出手段と、検出手段による検出結果と複数の感光体それぞれの回転速度とに基づいて複数の感光体の回転位相を制御する制御手段とを備える。制御手段は第1色用の感光体の検出結果と回転速度とに基づいて第1色用の感光体の回転位相を補正し、第2色用の感光体の検出結果と回転速度とに基づいて第2色用の感光体の回転位相を補正して2つの感光体が所定の回転速度になるように制御し、検出手段は感光体の回転速度と所定の回転速度との差が所定範囲内に収まったあとに回転位相の検出動作を開始する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な複数の像担持体のうち、第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成されたトナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、
第2色用の像担持体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出する、検出手段と、
前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第1色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記第2色用の像担持体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記像担持体が所定の回転速度になるように制御し、
前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
第3色用の像担持体の回転位相と、前記第3色用の像担持体の回転周期に応じて、発生する前記トナー像の濃度ムラを検出する手段を有し、
前記制御手段は、前記第3色用の像担持体の前記検出結果と、前記第3色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正することを特徴とする請求項1の制御装置。
【請求項3】
前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の前記回転位相を検出する動作が終了したあとに前記回転位相を算出する演算を開始することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の前記回転位相を算出するための演算が終了したあとに前記濃度ムラの補正を開始することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の前記濃度ムラを補正する動作が終了したあとに前記像担持体の回転速度の制御を開始することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記第1色用の像担持体の回転原点、前記第2色用の像担持体の回転原点を、第3色用の像担持体の回転原点を、にさらに検出し、前記第1色用の像担持体、前記第2色用の像担持体および前記第3色用の像担持体のそれぞれの回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1色用の像担持体の回転原点は、前記第1色用の像担持体の回転と共に回転し、
前記第2色用の像担持体の回転原点は、前記第2色用の像担持体の回転と共に回転し、
前記第3色用の像担持体の回転原点は、前記第3色用の像担持体の回転と共に回転する請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転位相差を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記回転位相差と、前記濃度ムラの位相と、に基づいて、少なくとも2つの前記複数の像担持体における前記濃度ムラの位相を合わせることにより、前記濃度ムラを補正することを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体における前記濃度ムラの位相が合うように、前記像担持体の回転位相を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項11】
前記複数の像担持体の回転速度の異常を検出する異常検出手段と、
前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が前記所定の範囲内に収まったか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記所定の範囲内に収まっていないと判定された場合に、前記異常検出手段による検出が有効であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記異常検出手段による検出の有効または無効を切り替える切替手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1判定手段は、前記複数の像担持体の回転速度が予め定められた最低速度から最高速度までの範囲から所定の時間外れた場合に、前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が前記所定の範囲内に収まっていないと判定することを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第2判定手段は、位置検出期間、位置補正値算出期間および速度制御期間において有効とし、立ち上げ期間および位置補正期間において無効とする判定結果を出力することを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
前記切替手段は、前記第2判定手段による判定結果に基づいて、前記異常検出手段による検出の有効または無効を切り替えることを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項15】
請求項1または2に記載の制御装置と、
前記複数の像担持体と、
前記複数の像担持体に前記トナー像を形成する形成手段と、を備える画像形成装置。
【請求項16】
画像形成装置による画像形成方法であって、
前記画像形成装置が、
形成手段により、回転可能な複数の像担持体にトナー像を形成し、
検出手段により、
前記複数の像担持体それぞれの回転位相と、前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、
第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の回転周期に応じて発生する前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、
第2色用の感光体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラの検出し、
第3色用の像担持体の回転位相と、前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、
制御手段により、
前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御し、
前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記第2色用の像担持体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記第3色用の像担持体の前記検出結果と、前記第3色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記制御手段は、前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記複数の像担持体が所定の回転速度になるように制御し、
前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始することを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
形成手段により、回転可能な複数の像担持体にトナー像を形成し、
検出手段により、
前記複数の像担持体それぞれの回転位相と、前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、
第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の回転周期に応じて発生する前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、
第2色用の感光体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラの検出し、
第3色用の像担持体の回転位相と、前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、
制御手段により、
前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御し、
前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記第2色用の像担持体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記第3色用の像担持体の前記検出結果と、前記第3色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、
前記制御手段は、前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記複数の像担持体が所定の回転速度になるように制御し、
前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始する
処理を画像形成装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の像担持体を備える画像形成装置では、像担持体の偏芯等によって像担持体の回転周期に応じて発生する色ごとの濃度ムラを補正するように、像担持体の回転速度を制御する技術が知られている。
【0003】
また画像形成装置には、第1の感光体に形成した測定用画像の検出結果に基づいて第1の感光体の周期ムラを補正する第1の指令値を生成し、第1の感光体および第2の感光体に形成して中間転写体に転写した測定用画像の検出結果に基づいて第2の感光体の周期ムラを補正する第2の補正値を生成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、像担持体の回転原点を検出する際に、複数の像担持体ごとにおいて回転速度が異なっていると像担持体の回転位相を精度よく制御できない場合がある。
【0005】
本発明は、像担持体の回転位相を精度よく制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御装置は、回転可能な複数の感光体のうち、第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成されたトナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、第2色用の像担持体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出する、検出手段と、前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第1色用の像担持体の回転位相を補正し、第2色用の感光体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記像担持体が所定の回転速度になるように制御し、前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、像担持体の回転位相を精度よく制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を例示する図である。
【
図2A】
図1の画像形成装置の構成を例示するブロック図である。
【
図2B】
図1の画像形成装置の制御装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図2C】
図1の画像形成装置の制御装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図3の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを示す図である。
【
図5】
図1の画像形成装置における各色の濃度ムラを例示する図である。
【
図6】
図5の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを例示する図である。
【
図7】
図1の画像形成装置による制御開始時の状態を例示する図である。
【
図8】
図1の画像形成装置による制御終了時の状態を例示する図である。
【
図9】
図1の画像形成装置における濃度ムラを例示する図である。
【
図10】
図1の画像形成装置の動作を例示するフロー図である。
【
図11】
図1の画像形成装置の動作を例示するタイミング図である。
【
図12】
図1の画像形成装置の感光体ドラムの回転位相検出動作の図である。
【
図13】
図1の画像形成装置の濃度ムラ位相差検出動作を示す第1図である。
【
図14】
図1の画像形成装置の濃度ムラ位相差検出動作を示す第2図である。
【
図15】第1変形例に係る画像形成装置の全体構成を例示する図である。
【
図16】第2実施形態に係る画像形成装置が備える制御装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図17】第2実施形態に係る第2判定手段の動作を例示する図である。
【
図18】第2実施形態に係る画像形成装置の動作を例示するフロー図である。
【
図19】異常検出手段の有効または無効の切替動作を示す図である。
【
図20】第2変形例の比較例に係る濃度ムラを示す図である。
【
図21】
図20の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを示す図である。
【
図22】第2変形例に係る画像形成装置における各色の濃度ムラを例示する図である。
【
図23】
図22の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを例示する図である。
【
図24】第2変形例に係る画像形成装置による制御開始時の状態を例示する図である。
【
図25】第2変形例に係る画像形成装置による制御終了時の状態を例示する図である。
【
図26】第2変形例に係る画像形成装置における濃度ムラを例示する図である。
【
図27】第2変形例に係る画像形成装置の濃度ムラ位相差検出動作を示す図である。
【
図28】第2変形例に係る画像形成装置の動作の第1例を示すフロー図である。
【
図29】第2変形例に係る画像形成装置の動作を例示するタイミング図である。
【
図30】第2変形例に係る画像形成装置の動作の第2例を示すフロー図である。
【
図31】第3変形例に係る画像形成装置の全体構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下、実施形態に係る制御装置を備える画像形成装置を一例として説明する。
【0011】
[実施形態]
<画像形成装置100の全体構成例>
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を例示する図である。画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置であり、4連タンデム型中間転写方式のフルカラー機である。但し、実施形態は、4連タンデム型直接転写方式のフルカラー機や、1ドラム型中間転写方式のフルカラー機、1ドラム型直接転写方式等のモノクロ機等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト1を備えている。画像形成装置100はまた、中間転写ベルト1の展張面言い換えると張架面に沿って並設された像担持体としての感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kを備えている。感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kのうち、いずれか1つは第1色用の像担持体に対応し、第1色用の像担持体以外の1つは第2色用の像担持体に対応し、第1色用および第2色用の像担持体以外の1つは第3色用の像担持体に対応する。
【0013】
符号に付記したY、M、C、Kの添え字はそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色を示している。イエローの作像ステーション(作像部)を代表して説明すると、画像形成装置100は、感光体ドラム2Yの周りにその回転方向順に、次に説明する構成を備えている。なお、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kを特に区別しない場合には、添え字を取り除いて感光体ドラム2と総称する。また後述するトナー濃度センサ、帯電チャージャ、光書込ユニット及び現像ユニット等の色ごとに設けられる構成部についても同様に、区別しない場合には添え字を取り除いて総称するものとする。
【0014】
画像形成装置100は、帯電チャージャ3Yと、感光体ドラム2Yの回転位相を検出する回転位相検出手段としてのフォトインタラプタ18Yと、を備える。画像形成装置100はさらに、感光体ドラム2Yに露光を行って静電潜像を書き込む光書込ユニット4Yと、感光体ドラム2Yに形成されたトナー像の濃度を検出するトナー濃度センサ19Yと、を備える。
【0015】
トナー濃度センサ19Yは、光学センサ等を含んで構成される。画像形成装置100はさらに、現像ユニット5Yと、一次転写ローラ6Yと、ブレード及びブラシ等を備えた感光体クリーニングユニット7Yと、除電ユニットである8Yと、を備える。
【0016】
帯電チャージャ3Y、光書込ユニット4Y及び現像ユニット5Yは、感光体ドラム2Yにトナー像を形成する形成手段を構成する。画像形成装置100は、形成手段により感光体ドラム2Yに形成されたトナー像を、一次転写ローラ6Yにより中間転写ベルト1に転写できる。他の色においても同様である。
【0017】
中間転写ベルト1は、ローラ11、12および13により回転可能に支持されている。画像形成装置100は、ローラ12に対向する位置に、ブレード及びブラシ等を備えたベルトクリーニングユニット15を備えている。中間転写ベルト1、ローラ11、12および13、並びにベルトクリーニングユニット15は、中間転写ユニット33を構成している。画像形成装置100は、ローラ13に対向する位置に、中間転写ベルト1に形成されたトナー像を記録紙20に二次転写するための二次転写ローラ16を備えている。
【0018】
画像形成装置100は、 光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kを備えた光書込ユニット4の鉛直上方に、画像読み取り手段としてのスキャナ部9、および自動原稿供給手段としてのADF(Auto Document Feeder)10等を備えている。
【0019】
画像形成装置100は、装置本体99の下部に、給紙トレイ17を備えている。画像形成装置100は、各給紙トレイ17に収容された記録媒体としての記録紙20を、ピックアップローラ21および給紙ローラ22により給紙し、搬送ローラ対23により搬送する。画像形成装置100は、記録紙20を、レジストローラ対24により所定のタイミングで中間転写ベルト1と二次転写ローラ16とが互いに対向した二次転写部位であるニップ部N2に送る。
【0020】
画像形成装置100は、ニップ部N2の用紙搬送方向下流側に、定着手段としての定着ユニット25を備えている。
図1において、26は排紙トレイを、27はスイッチバックローラ対を、37は制御手段を示している。
【0021】
現像ユニット5Y、5C、5Mおよび5Kはそれぞれ、感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kに対し、所定の距離である現像ギャップをとって対向配置された現像剤担持体としての回転体である現像ローラ5Ya、5Ca、5Maおよび5Kaを備えている。現像ローラ5Ya、5Ca、5Maおよび5Kaは、現像ユニット5Y、5C、5Mおよび5K内に収容されているトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を担持する。現像ローラ5Ya、5Ca、5Maおよび5Kaは、担持した2成分現像剤中のトナーを感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kに対向する現像ニップにおいて感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kに付着させ、感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2K上にトナー像を形成する。
【0022】
本実施形態においては、画像形成装置100は、感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kの回転位置を検出する手段として、フォトインタラプタ18Y、18C、18Mおよび18Kを備える。但し、これに限定されず、画像形成装置100はロータリエンコーダ等の回転位置を検出する構成を備えることもできる。これらのことは、現像ローラ5Ya、5Ca、5Ma、5Kaの回転位置言い換えると位相を検出する回転位置検出手段についても同様である。
【0023】
光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kは、画像情報に基づいて、レーザ制御部によって4つの半導体レーザを駆動させる。光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kは、帯電チャージャ3Y、3C、3Mおよび3Kにより暗中にて一様に帯電された感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kのそれぞれを照射する4つの書込光を出射する。光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kは、この書込光により、感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kのそれぞれを暗中にて走査して、感光体ドラム2Y、2C、2Mおよび2Kの表面にY、C、MおよびK用の静電潜像を書き込む。
【0024】
本実施形態では光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kとして、半導体レーザから出射したレーザ光によって、次のように光走査を行う。光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kとして、レーザ光をポリゴンミラーにより偏向せしめながら、反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで光走査を行う。光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kは、半導体レーザに代えて、LEDアレイによって光書込を行うユニットを備えることもできる。
【0025】
画像形成装置100の画像形成動作を一通り説明する。プリント開始命令が入力されると、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kの周辺、中間転写ベルト1の周辺および給紙搬送経路等にある各ローラが既定のタイミングで回転し始め、給紙トレイ17から記録紙の給紙が開始される。
【0026】
一方、各感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kは、帯電チャージャ3Y、3M、3Cおよび3Kによってその表面を一様な電位に帯電され、光書込ユニット4Y、4C、4Mおよび4Kから照射される書込み光によってその表面を画像データに従って露光される。露光された後の電位パターンを静電潜像と呼ぶ。この静電潜像を担持した感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kの表面に、現像ユニット5Y、5M、5Cおよび5Kからトナーが供給されることにより、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kに担持されている静電潜像が所定の色に現像される。
【0027】
図1の構成においては感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kが四色分あるので、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(色順はシステムによって異なる)のトナー像が各感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2K上に現像される。
【0028】
各感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2K上に現像されたトナー像は、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kと中間転写ベルト1との接点である1次転写部としてのニップ部N1において、中間転写ベルト1に転写される。すなわち、トナー像は、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kに対向して設置された一次転写ローラ6Y、6M、6Cおよび6Kに印加される一次転写バイアス及び押圧力によって、中間転写ベルト1上に転写される。画像形成装置100は、この一次転写動作を、タイミングを合わせながら四色分繰り返すことにより、中間転写ベルト1上にフルカラートナー像を形成する。
【0029】
画像形成装置100は、中間転写ベルト1上に形成されたフルカラートナー像を、ニップ部N2において、レジストローラ対24によってタイミングを合わせて搬送されてくる記録紙20に転写する。このとき、二次転写ローラ16に印加される二次転写バイアス及び押圧力によって二次転写が行われる。画像形成装置100は、フルカラートナー像が転写された記録紙20に、定着ユニット25を通過させることにより、その記録紙20の表面に担持されているトナー像を加熱定着させる。
【0030】
画像形成装置100は、片面プリントの場合には、記録し20をそのまま排紙トレイ26へ直線搬送し、両面プリントの場合には、搬送方向を下向きに変え、用紙反転部に搬送する。画像形成装置100は、用紙反転部へ到達した記録紙20の搬送方向を、ここでスイッチバックローラ対27により逆転し、紙の後端から用紙反転部から排出する。これをスイッチバック動作と呼び、この動作によって記録紙20の表裏が反転される。表裏反転された記録紙20は定着ユニット25の方には戻らず、再給紙搬送経路を通過して本来の給紙経路に合流する。画像形成装置100は、その後、表面プリントの時と同じ様にトナー像を転写し、定着ユニット25を通過させて排紙する。これが両面プリント動作である。
【0031】
また各部の動作を最後まで説明すると、ニップ部N1を通過した感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kは、その表面に一次転写残トナーを担持する。画像形成装置100は、感光体クリーニングユニット7Y、7M、7C、7Kにより一次転写残トナーを除去する。その後、画像形成装置100は、除電ユニット8Y、8M、8Cおよび8Kによってその表面を一様に除電し、次の画像形成のための帯電に備える。また、ニップ部N2を通過した中間転写ベルト1に関しても、その表面に二次転写残トナーを担持している。画像形成装置100は、二次転写残トナーをベルトクリーニングユニット15により除去し、次のトナー像の転写に備える。画像形成装置100は、この様な動作を繰り返すことにより、片面プリント若しくは両面プリントを行う。
【0032】
画像形成装置100は、中間転写ベルト1の外周面に形成されたトナー像の濃度を検出し、光学センサ等を含んで構成された光学センサユニットであるトナー像検出センサ30を備えている。
【0033】
トナー像検出センサ30は、中間転写ベルト1上のトナーの付着量を検出して画像の濃度ムラを検出するために中間転写ベルト1上の画像であるトナー像の濃度を検出するトナー付着量検出センサとして機能する。
【0034】
画像形成装置100は、トナー像検出センサ30により、画像ムラの補正制御に用いるために中間転写ベルト1の表面に形成された補正制御用の画像パターンのトナー像の濃度を検出する。
【0035】
図1に示した構成例では、画像形成装置100は、中間転写ベルト1の、ローラ11に巻き付いている部分に対向する位置である二次転写前の位置P1に、トナー像検出センサ30を備えている。画像形成装置100は、N2の下流側の位置である二次転写後の位置P2にトナー像検出センサ30を備えてもよい。トナー像検出センサ30を位置P2のようなニップ部N2の下流側に配置する場合には次のように構成することが好ましい。中間転写ベルト1の内方に中間転写ベルト1の振れ止めのためのローラ14を設け、このローラ14に対向するようにトナー像検出センサ30を設けることが好ましい。
【0036】
トナー像検出センサ30における二種類の配置位置のうち、二次転写前の位置P1は、二次転写工程前の中間転写ベルト1上のトナーパターンを検出する位置である。マシンレイアウトの制約がなければ、この構成が採用されることが多い。補正制御用の画像パターンのトナー像を形成してすぐに検出するため、待ち時間も少なく、また、画像パターンのトナー像にニップ部N2をすり抜けさせる必要がないため、そのための工夫は不要となる。
【0037】
しかしながら、4色目(
図1の例ではブラック)の作像ステーション直後がニップ部N2のような二次転写位置になっている機種も多く、その場合には、位置P1にセンサを設置するのはスペース的に困難である。そのような場合は、二次転写後の位置である位置P2にトナー像検出センサ30を設置し、中間転写ベルト1上に形成した画像パターンのトナー像を、ニップ部N2をスルーさせた後、そのトナー像の濃度をトナー像検出センサ30で検出する。ニップ部N2をスルーさせる方式としては、二次転写ローラ16の中間転写ベルト1からの離間、二次転写ローラ16への逆バイアスの印加等が考えられるが、ここでは特に限定しない。
【0038】
図2Aは、画像形成装置100の構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置100は、制御装置200と、フォトインタラプタ18と、トナー濃度センサ19と、形成手段220と、モータMと、感光体ドラム2と、ロータリエンコーダ230と、を備える。フォトインタラプタ18は感光体それぞれに対応して、ついており、それぞれ18K、18C、18M、18Yがある。トナー濃度センサは、各色用ではないが、それぞれ19K、19C、19M、19Yがある。形成手段は、各色用220K、220C、220M、220Yがあり、モータMも各色用MK、MC、MM、MYがある。ロータリエンコーダ230も色毎にあり、それぞれ、220K、220C、220M、220Yとする。
【0039】
<制御装置200のハードウェア構成例>
図2Bは、制御装置200のハードウェア構成を例示するブロック図である。制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)241と、ROM(Read Only Memory)242と、RAM(Random Access Memory)と、I/Oポート244と、を備える。
【0040】
CPU241は、ROM242に記憶されたプログラムを実行することにより、順次、分岐処理、反復処理等を実行する演算装置である。ROM242は、CPU241で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性メモリである。RAM243は、CPU241の動作のワークエリア(作業領域)として機能するメモリである。バスライン245は、CPU241等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0041】
I/Oポート244は、フォトインタラプタ18の出力信号、トナー濃度センサ19の出力信号、ロータリエンコーダ230の出力信号等が入力され、形成手段220を制御する制御信号、モータMを制御する制御信号等を出力するインターフェースである。
【0042】
なお、制御装置200はCPU241に代えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の電子回路によりそれぞれの機能を実現してもよい。また、後述する各機能が、それぞれCPU、ASICまたはFPGA等を備えてもよいし、共通のCPU、ASICまたはFPGA等を用いてそれぞれの機能を実現してもよい。
【0043】
<制御装置200の機能構成例>
図2Cは、制御装置200の機能構成を例示するブロック図である。
図2Aも適宜参照しながら説明する。制御装置200は、検出手段210と、制御手段37と、を備える。
【0044】
検出手段210は、フォトインタラプタ18により検出された4つの感光体ドラム2それぞれの回転位相と、トナー濃度センサ19により検出された感光体ドラム2に形成されたトナー像の濃度と、に基づいて、感光体ドラム2の回転周期に応じて発生するトナー像の濃度ムラを検出する。
【0045】
本実施形態では、検出手段210は、少なくとも2つの感光体ドラム2の回転速度と所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったときに、4つの感光体ドラム2それぞれの回転位相の検出動作を開始する。
【0046】
また検出手段210は、演算手段211を備える。本実施形態では、演算手段211は、4つの感光体ドラム2のうちの少なくとも2つの感光体ドラム2の回転位相を検出する動作が終了したときに回転位相を算出する演算を開始する。
【0047】
制御手段37は、検出手段210による検出結果と、ロータリエンコーダ230により検出される4つの感光体ドラム2それぞれの回転速度と、に基づいて、モータMの回転を制御することにより、感光体ドラム2の回転速度を制御する。
【0048】
本実施形態では、制御手段37は、4つの感光体ドラム2が回転を開始するときに、4つの感光体ドラム2のうちの少なくとも2つの感光体ドラム2が所定の回転速度になるように制御する。
【0049】
また制御手段37は、補正手段371を備える。本実施形態では、補正手段371は、4つの感光体ドラム2のうちの少なくとも2つの感光体ドラム2の回転位相を算出するための演算が終了したときに濃度ムラの補正を開始する。
【0050】
<画像形成装置100による制御方法>
図3から
図6を参照して、画像形成装置100による制御方法について説明する。
図3は比較例に係る濃度ムラを示す図、
図4は
図3の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを示す図である。
図5は本実施形態に係る各色の濃度ムラを例示する図、
図6は、
図5の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを例示する図である。
図3から
図6の横軸は副走査方向(記録紙の搬送方向)を示している。
図3および
図5の縦軸は濃度ムラDを示し、
図4および
図6の縦軸は色の評価指標であるL*、a*およびb*を示している。
【0051】
図3および
図4に示すように、感光体ドラム2の回転周期に応じて発生するトナー像の濃度ムラD(トナー付着量変動)に対して各色の感光体ドラム2をそれぞれ独立で駆動させると、2色以上のトナー像を重ねたときに、記録紙20における画像の濃度ムラが強調されて大きくなる場合がある。
【0052】
図5および
図6に示すように、本実施形態では、各色の感光体ドラム2に形成されたトナー像の濃度ムラの位相が、記録紙20における画像上で一致するように感光体ドラム2を駆動させる位相合せ制御を行う。この位相合わせ制御により画像の濃度ムラを抑制する。
【0053】
図7は、画像形成装置100による位相合わせ制御開始時の状態を例示する図である。
図8は、画像形成装置100による位相合わせ制御終了時の状態を例示する図である。
図9は、画像形成装置100における濃度ムラを例示する図である。
【0054】
図7から
図9において、画像形成装置100による位相合わせ制御では、感光体ドラム2が中間転写ベルト1に接触する前に、4つの感光体ドラム2それぞれにおいて濃度ムラDがピークとなる濃度ムラの位相φtが記録紙20における画像上で一致するように、感光体ドラム2それぞれの回転速度を補正する。感光体ドラム2の回転原点HPに対する濃度ムラの位相φtの初期位相Bには、事前に別途取得されたものを用いる。
【0055】
本実施形態では、副走査方向に沿って感光体ドラム2の回転周期に応じて発生する濃度ムラについて、各色の濃度ムラの付着量位相を検出し、検出された位相を記録紙20上において合わせるように感光体ドラム2を駆動させる。これにより、二次色以上の重ね画像に対し、各色の濃度ムラをキャンセルさせる。
【0056】
本実施形態に係る制御は、立ち上げ期間、位相検出期間、演算期間および位相補正期間を含む。立ち上げ期間は、各色の感光体ドラム2の回転が開始され、所定の回転速度に安定するまでの期間である。位相検出期間は、立ち上げが終了した後において、感光体ドラム2に取り付けられたフォトインタラプタ18により、各感光体ドラム2の回転位相を検出する期間である。位相検出期間において、各感光体ドラム2の回転速度をそろえることで回転位相差の誤差を抑える。
【0057】
演算期間は、感光体ドラム2C、2Mおよび2Yの回転位相検出が終了した後、検出結果に基づいて発生している濃度ムラと、感光体ドラム2C、2Mおよび2Yと、の回転位相との関係を検出することにより、濃度ムラの位相を演算により検出する期間である。位相補正期間は、演算期間が終了した後、検出された濃度ムラの位相の情報を用いて、感光体ドラム2の回転速度を加速または減速することにより濃度ムラの位相を合せる期間である。
【0058】
<画像形成装置100の動作例>
図10は、画像形成装置100の画像形成動作を例示するフローチャートである。
図10では、Y、M、CおよびKの4色で画像形成を行い、感光体ドラム2Y、2Mおよび2Cの位相合わせ制御を行う場合を一例として説明する。
【0059】
画像形成装置100は、PC(Personal Computer)等の外部装置からの画像形成の開始指示、または画像形成装置100が備える操作部への画像形成開始の操作入力等に応じて画像形成動作を開始する。
【0060】
まず、ステップS61において、画像形成装置100は、制御手段37により、感光体ドラム2Y、2M、2C及び2Kの回転を開始させる。
【0061】
続いて、ステップS62において、画像形成装置100は、制御手段37により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転速度と所定の回転速度との差は所定範囲内であるか否かを判定する。所定の回転速度は、予め定められた目標回転速度等である。
【0062】
ステップS62において所定範囲内でないと判定された場合には(ステップS62、No)、画像形成装置100は、再度ステップS62の動作を行う。一方、所定範囲内であると判定された場合には(ステップS62、Yes)、ステップS63において、画像形成装置100は、検出手段210により、感光体ドラム2Y、2Mおよび2Cそれぞれの回転位相の検出を開始する。
【0063】
続いて、ステップS64において、画像形成装置100は、検出手段210により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転位相の検出を終了したか否かを判定する。
【0064】
ステップS64において終了していないと判定された場合には(ステップS64、No)、画像形成装置100は、再度ステップS64の動作を行う。一方、終了したと判定された場合には(ステップS64、Yes)、ステップS65において、画像形成装置100は、演算手段211により、感光体ドラム2Y、2Mおよび2Cそれぞれの位相補正値を演算する。
【0065】
続いて、ステップS66において、画像形成装置100は、演算手段211による演算の終了後に、補正手段371により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転位相を補正する。
【0066】
続いて、ステップS67において、画像形成装置100は、制御手段37により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転位相の補正を終了したか否かを判定する。
【0067】
ステップS67において終了していないと判定された場合には(ステップS67、No)、画像形成装置100は、再度ステップS67の動作を行う。一方、終了したと判定された場合には(ステップS67、Yes)、ステップS68において、画像形成装置100は、制御手段37により、感光体ドラム2それぞれを中間転写ベルト1に接触させる。
【0068】
続いて、ステップS69において、画像形成装置100は、記録紙20への画像形成を開始する。
【0069】
続いて、ステップS70において、画像形成の終了後に、画像形成装置100は、感光体ドラム2を停止させ、その後、動作を終了する。
【0070】
このようにして、画像形成装置100は、位相合わせ制御を行いつつ、記録紙20に画像を形成できる。なお、画像形成を行う色の数は2色以上であれば特に制限はなく、各感光体ドラム2に対して検出または補正等を行う順番も適宜変更可能である。また
図10の説明では、感光体ドラム2以外の構成部の制御については説明を省略した。
【0071】
図11は、画像形成装置100の動作を例示するタイミングチャートである。
図11に示すように、各感光体ドラム2の回転開始後の期間は、立ち上げ期間、位相検出期間、演算期間、位相補正期間、速度制御期間の順に遷移する。
【0072】
立ち上げ期間では、制御手段37は、位相合わせ制御が行われる感光体ドラム2におけるモータMの立ち上げ、すなわち感光体ドラム2を所定の回転速度に収束させる動作を行う。位相検出期間では、検出手段210は、フォトインタラプタ18による各感光体ドラム2の回転原点検出信号における立ち上がりエッジに基づき、感光体ドラム2の回転位相を検出する。
【0073】
演算期間では、演算手段211は、回転位相差と、各感光体ドラム2における濃度ムラの位相と、の関係から、位相補正値を演算する。位相補正期間では、補正手段371は、演算期間において算出された位相補正値を対応する感光体ドラム2のモータMに出力し、感光体ドラム2の回転位相を補正する。速度制御期間では、制御手段37は、感光体ドラム2におけるモータMの回転速度を制御する。なお、位相補正期間中には回転速度を変化させるため、感光体ドラム2の中間転写ベルト1への接触は、位相補正期間が終了後、感光体ドラム2の回転速度が安定した速度制御期間に遷移した際に行われる。
【0074】
図12は、画像形成装置100による感光体ドラム2の回転位相検出動作を例示するフローチャートである。画像形成装置100は、位相検出期間において、フォトインタラプタ18が感光体ドラム2の回転原点HPを検出した信号の最初の割込みに応じて、感光体ドラム2の回転位相検出動作を開始する。
【0075】
ステップS81において、画像形成装置100は、所定の感光体ドラムである感光体ドラム2Yにおけるロータリエンコーダ230の出力パルス数を、制御手段37が備える揮発性メモリ等に記憶し、各感光体ドラム2の回転位相差を検出する。なお、ここでは感光体ドラム2Yにおけるロータリエンコーダ230の出力パルス数を記憶する動作を例示するが、他の色の感光体ドラム2におけるロータリエンコーダ230の出力パルス数を記憶してもよい。
【0076】
図13は、画像形成装置100による濃度ムラ位相差の検出動作を例示する第1図である。
図13は、感光体ドラム2Yの濃度ムラの位相を示している。
図14は、画像形成装置100による濃度ムラ位相差の検出動作を例示する第2図である。
図14は、感光体ドラム2Mの濃度ムラの位相を示している。
【0077】
演算期間では、位相検出期間において検出された感光体ドラム2Yと感光体ドラム2Mの回転位相差と、事前に取得された各感光体ドラム2の回転原点と濃度ムラ位相の頂点と、の関係から、異なる感光体ドラム2間の濃度ムラの位相差を演算により求める。
【0078】
図13および
図14の例では、感光体ドラム2Yと感光体ドラム2Mを位相合わせするものとし、位相検出期間において、感光体ドラム2Yのロータリエンコーダ230の出力パルス数が揮発性メモリ等に記憶されているものとする。
【0079】
感光体ドラム2Yと感光体ドラム2Mの濃度ムラの位相差Aは、以下の式から算出される。
A=C-(By-Bm)
ここで、Cは感光体ドラム2Yと感光体ドラム2Mの回転原点検出タイミングの差を表し、ByおよびBmは初期位相を表す。
【0080】
補正手段371は、算出された濃度ムラの位相差Aに基づき、濃度ムラの位相差をキャンセルする位相補正値を感光体ドラム2Yおよび感光体ドラム2Mそれぞれに割り当てることができる。
【0081】
<制御装置200の作用効果>
以上説明したように、制御装置200は、回転可能な複数の感光体ドラム2(像担持体)それぞれの回転位相と、感光体ドラム2に形成されたトナー像の濃度と、に基づいて、感光体ドラム2の回転周期に応じて発生するトナー像の濃度ムラを検出する検出手段210を備える。また制御装置200は、検出手段210による検出結果と、複数の感光体ドラム2それぞれの回転速度と、に基づいて、感光体ドラム2の回転位相を制御する制御手段37を備える。
【0082】
制御手段37は、複数の感光体ドラム2が回転を開始するときに、複数の感光体ドラム2のうちの少なくとも2つの感光体ドラム2が所定の回転速度になるように制御する。検出手段210は、少なくとも2つの感光体ドラム2の回転速度と所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったときに、回転位相の検出動作を開始する。これにより、制御装置200は、複数の感光体ドラム2における濃度ムラの位相が記録紙20における画像上で一致するように感光体ドラム2を回転させることができるため、感光体ドラム2の回転位相を精度よく制御できる。画像形成装置100は、色ごとの濃度ムラを抑制し、記録紙20に形成される画像の色ムラを抑制できる。
【0083】
例えば、本実施形態では、検出手段210は、少なくとも2つの感光体ドラム2の回転位相を検出する動作が終了したときに回転位相を算出する演算を開始する。制御手段37は、少なくとも2つの感光体ドラム2の回転位相を算出するための演算が終了したときに濃度ムラの補正を開始する。制御手段37は、少なくとも2つの感光体ドラム2の濃度ムラを補正する動作が終了したときに感光体ドラム2の回転速度の制御を開始する。これにより、制御装置200は、感光体ドラム2の回転位相を精度よく制御できる。
【0084】
また本実施形態では、検出手段210は、感光体ドラム2に設けられた回転原点HPをさらに検出し、回転原点HPは、感光体ドラム2の回転と共に回転する。これにより、制御装置200は、安価な構成により、感光体ドラム2の初期位相を検出可能になる。
【0085】
また本実施形態では、検出手段210は、少なくとも2つの感光体ドラム2の回転位相差を検出する。制御手段37は、回転位相差と、濃度ムラの位相と、に基づいて、少なくとも2つの感光体ドラム2における濃度ムラの位相を合わせることにより、濃度ムラを補正する。制御手段37は、少なくとも2つの感光体ドラム2における濃度ムラの位相が合うように、感光体ドラム2の回転速度を制御する。これにより、制御装置200は、感光体ドラム2の回転位相を精度よく制御できる。
【0086】
<第1変形例>
図15は、第1変形例に係る画像形成装置100aの全体構成を例示する図である。なお、
図15において、
図1の画像形成装置100と同様な部材や装置については同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0087】
画像形成装置100aは、4連タンデム型直接転写方式のフルカラー機であり、4組の作像ステーションの鉛直下方に、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kに形成されたトナー像を記録紙20に転写する転写ユニット29を備えている。転写ユニット29は、複数の支持部材としての駆動ローラ11aから従動ローラ11dで回転可能に支持された無端状の転写搬送ベルト29aを備えている。転写搬送ベルト29aは駆動ローラ11aと従動ローラ11bから従動ローラ11dとに掛け回され、所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転駆動しながら、記録紙20を担持して各作像ステーションの転写位置Nを通過するように搬送する。
【0088】
画像形成装置100aは、転写搬送ベルト29aの内側に、各転写位置Nにおいて転写電荷を付与して各感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2K上のトナー像を記録紙20に転写するための一次転写ローラ6Y、6M、6Cおよび6Kを備えている。
【0089】
画像形成装置100aは、例えば4色重ね合わせのフルカラーモードが操作部により選択されたときは、次のような動作を実行する。すなわち、画像形成装置100aは、各色の作像ステーションの感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれに各色のトナー像を形成する画像形成工程を、記録紙20の搬送に同期させて実行する。
【0090】
一方、画像形成装置100aは、給紙トレイ17から給送された記録紙20を、レジストローラ対24により所定のタイミングで送り出されて転写搬送ベルト29aに担持し、各作像ステーションの転写位置Nを通過するように搬送する。画像形成装置100は、各色のトナー像が転写され4色重ね合わせのカラー画像が形成された記録紙20を、定着ユニット25においてトナー像を定着した後、排紙トレイ26上に排出する。
【0091】
画像形成装置100aは、転写ユニット29の記録紙搬送方向最下流側で転写搬送ベルト29aの駆動ローラ11aに巻き付いている部分に対向する位置である定着前の位置P4に、トナー像検出センサ30を配置している。
【0092】
実施形態は、このような画像形成装置100aに対しても適用可能である。
【0093】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る画像形成装置100bについて説明する。なお、第1実施形態で説明した同一の構成部には、同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0094】
画像形成装置が備える制御装置が、感光体ドラム2の回転速度の異常を検出する異常検出手段を備える場合には、位相合わせ制御中における感光体ドラム2の回転速度変化を、異常検出手段が誤検出する場合がある。本実施形態では、異常検出手段による誤検出を防止しつつ、感光体ドラム2の回転速度の異常を検出可能にする。
【0095】
図16は、画像形成装置100bが備える制御装置200bの機能構成を例示するブロック図である。制御装置200bのハードウェア構成は、上述した
図2Bと同じである。また、上述した
図2Aも適宜参照して説明する。
【0096】
図16に示すように、制御装置200bは、制御手段37bと、異常検出手段240と、を備える。制御手段37bは、補正手段371と、第1判定手段372と、第2判定手段373と、切替手段374と、を備える。
【0097】
第1判定手段372は、感光体ドラム2の回転速度と所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったか否かを判定する。第1判定手段372は、感光体ドラム2の回転速度が予め定められた最低速度から最高速度までの範囲から所定の時間外れた場合に、感光体ドラム2の回転速度と所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まっていないと判定できる。
【0098】
第2判定手段373は、第1判定手段372により、所定の範囲内に収まっていないと判定された場合には、異常検出手段240による検出が有効であるか否かを判定する。本実施形態では、第2判定手段373は、位置検出期間、位置補正値算出期間および速度制御期間において有効とし、立ち上げ期間および位置補正期間において無効とする判定結果を出力できる。
【0099】
切替手段374は、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える。前記第2判定手段による判定結果に基づいて、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替えることができる。
【0100】
異常検出手段240は、感光体ドラム2の回転速度の異常を検出する機能を有する。異常検出方式は特に制限されないが、例えば異常検出手段240は、感光体ドラム2のモータMに設けられたロータリエンコーダ230の出力に基づき検出できる。
【0101】
図17は、第2判定手段373の動作を例示する図である。
図17の横軸は時間を表し、縦軸はロータリエンコーダ230の出力パルス数を表している。
【0102】
異常検出手段240は、想定外の速度での回転を防ぐために、予め設定された最低速度と最高速度に対し、ロータリエンコーダ230の出力パルス数が所定の時間外れた場合に、回転速度が異常であると判定できる。
【0103】
図17において、グラフPuは、ロータリエンコーダ230の出力パルス数の変化を示している。最高速度GtはモータMの最高回転速度を示し、最低速度GbはモータMの最低回転速度を示している。期間Tvは異常検出が有効な期間を示し、所定の時間Tiは、回転速度の異常を判定するための所定の時間を示している。
【0104】
図18は、画像形成装置100bの動作を例示するフローチャートである。
図18では、Y、M、CおよびKの4色で画像形成を行い、感光体ドラム2Y、2Mおよび2Cの位相合わせ制御を行う場合を一例として説明する。なお、
図10と説明が重複する部分については、適宜説明を省略する。
【0105】
画像形成装置100bは、PC等の外部装置からの画像形成の開始指示、または画像形成装置100bが備える操作部への画像形成開始の操作入力等に応じて画像形成動作を開始する。
【0106】
まず、ステップS181において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える。この切替動作については、別途
図19を用いて説明する。以降の動作におけるステップS184、S187、S189およびS192においても同様である。
【0107】
続いて、ステップS182において、画像形成装置100は、制御手段37bにより、感光体ドラム2Y、2M、2C及び2Kの回転を開始させる。
【0108】
続いて、ステップS183において、画像形成装置100bは、第1判定手段372により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転速度と所定の回転速度との差は所定範囲内であるか否かを判定する。
【0109】
ステップS183において所定範囲内でないと判定された場合には(ステップS183、No)、画像形成装置100bは、再度ステップS183の動作を行う。一方、所定範囲内であると判定された場合には(ステップS183、Yes)、ステップS184において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える。
【0110】
続いて、ステップS185において、画像形成装置100bは、検出手段210により、感光体ドラム2Y、2Mおよび2Cそれぞれの回転位相の検出を開始する。
【0111】
続いて、ステップS186において、画像形成装置100bは、検出手段210により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転位相の検出を終了したか否かを判定する。
【0112】
ステップS186において終了していないと判定された場合には(ステップS186、No)、画像形成装置100bは、再度ステップS186の動作を行う。一方、終了したと判定された場合には(ステップS186、Yes)、ステップS187において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える。
【0113】
続いて、ステップS188において、画像形成装置100bは、演算手段211により、感光体ドラム2Y、2Mおよび2Cそれぞれの位相補正値を演算する。
【0114】
続いて、ステップS189において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える。
【0115】
続いて、ステップS190において、画像形成装置100bは、演算手段211による演算の終了後に、補正手段371により、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転位相を補正する。
【0116】
続いて、ステップS191において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、感光体ドラム2Y、2M、2Cの回転位相の補正を終了したか否かを判定する。
【0117】
ステップS191において終了していないと判定された場合には(ステップS191、No)、画像形成装置100bは、再度ステップS191の動作を行う。一方、終了したと判定された場合には(ステップS191、Yes)、ステップS192において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える。
【0118】
続いて、ステップS193において、画像形成装置100bは、制御手段37bにより、感光体ドラム2それぞれを中間転写ベルト1に接触させる。
【0119】
続いて、ステップS194において、画像形成装置100bは、記録紙20への画像形成を開始する。
【0120】
続いて、ステップS195において、画像形成の終了後に、画像形成装置100bは、感光体ドラム2を停止させ、その後、動作を終了する。
【0121】
このようにして、画像形成装置100bは、位相合わせ制御を行いつつ、記録紙20に画像形成を行うことができる。
【0122】
図19は、回転速度異常検出の有効または無効の切替動作を例示するフローチャートである。画像形成装置100bは、立ち上げ期間、位相検出期間、演算期間、位相補正期間および速度制御期間それぞれの先頭において、回転速度異常検出の有効または無効の切替動作を開始する。
【0123】
まず、ステップS201において、画像形成装置100bは、第2判定手段373により、異常検出手段240による検出は有効であるか否かを判定する。この判定では、第2判定手段373は、位置検出期間、位置補正値算出期間および速度制御期間では有効を判定し、立ち上げ期間および位置補正期間では無効と判定して判定結果を出力する。
【0124】
ステップS201において有効であると判定された場合には(ステップS201、Yes)、ステップS202において、画像形成装置100bは、切替手段374により、異常検出手段240による検出を有効にする。一方、有効でないと判定された場合には(ステップS201、No)、ステップS203において、画像形成装置100bは、切替手段374により、異常検出手段240による検出を無効にする。
【0125】
このようにして、画像形成装置100bは、異常検出手段240による検出の有効または無効の切替を行うことができる。
【0126】
<制御装置200bの作用効果>
以上説明したように、制御装置200bは、第1実施形態に係る制御装置200の構成に加え、感光体ドラム2の回転速度の異常を検出する異常検出手段240と、 感光体ドラム2の回転速度と所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったか否かを判定する第1判定手段372と、をさらに備える。また制御装置200bは、第1判定手段372により、所定の範囲内に収まっていないと判定された場合に、異常検出手段240による検出が有効であるか否かを判定する第2判定手段373と、異常検出手段240による検出の有効または無効を切り替える切替手段374と、をさらに備える。
【0127】
例えば、第1判定手段372は、感光体ドラム2の回転速度が予め定められた最高速度から最低速度までの範囲から所定の時間外れた場合に、感光体ドラム2の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まっていないと判定する。
【0128】
例えば、第2判定手段373は、位置検出期間、位置補正値算出期間および速度制御期間において有効とし、立ち上げ期間および位置補正期間において無効とする判定結果を出力する。
【0129】
例えば、切替手段374は、第2判定手段373による判定結果に基づいて、異常検出手段による検出の有効または無効を切り替える。
【0130】
この構成により、位相合わせ制御中に感光体ドラム2の回転速度が変化する期間には異常検出手段240による検出を無効にできるため、異常検出手段240による誤検出を防止できる。また位相合わせ制御中に感光体ドラム2の回転速度が変化しない期間には異常検出手段240による検出を有効にできる。その結果、異常検出手段240による誤検出を防止しつつ、感光体ドラム2の回転速度の異常を検出することができる。上記以外の作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0131】
<第2変形例>
図20から
図30を参照して、
図1の画像形成装置でC、Mの2色で構成された画像を印刷した場合について説明する。
【0132】
図20は、第2変形例の比較例に係る濃度ムラを示す図である。
図21は、
図20の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを示す図である。
図22は、第2変形例に係る画像形成装置における各色の濃度ムラを例示する図である。
図23は、
図22の濃度ムラを記録紙に転写したときの色ムラを例示する図である。
図24は、第2変形例に係る画像形成装置による制御開始時の状態を例示する図である。
図25は、第2変形例に係る画像形成装置による制御終了時の状態を例示する図である。
図26は、第2変形例に係る画像形成装置における濃度ムラを例示する図である。
図27は、第2変形例に係る画像形成装置の感光体ドラムの回転位相検出動作の図である。
図28は、第2変形例に係る画像形成装置の動作を例示するフロー図である。
図29は、第2変形例に係る画像形成装置の動作を例示するタイミング図である。
図30は、第2変形例に係る画像形成装置の動作の第2例を示すフロー図である。
【0133】
【0134】
<第3変形例>
図31は、第3変形例に係る画像形成装置100bの全体構成を例示する図である。
【0135】
画像形成装置100bは、光書込ユニット4Y、4M、4Cおよび4Kにより、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kに潜像を形成する。また画像形成装置100bは、帯電チャージャ3Y、3M、3Cおよび3Kと、現像ユニット5Y、5M、5Cおよび5Kと、を用いて、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kに形成された潜像をトナー像として顕像化する。
【0136】
画像形成装置100bは、感光体ドラム2Y、2M、2Cおよび2Kに顕像化されたトナー像を、一次転写ローラ6Y、6M、6Cおよび6Kからの転写バイアスを用いて、中間転写ベルト1に一次転写する。画像形成装置100bは、二次転写ベルト400を有する二次転写ユニットを用いて、中間転写ベルト1に転写されたトナー像を、搬送されてきた記録紙に二次転写する。画像形成装置100bは、トナー像を記録紙ではなく二次転写ベルト400に転写し、二次転写ベルト400上のセンサ401によりトナー濃度を検出して濃度ムラを検出する。このような画像形成装置100bにおいても、画像形成装置100と同様の効果を得ることができる。また、感光体ドラム2の回転原点HPの検知に応じて潜像を生成することで、二次転写ベルト400上のセンサ401を用いて、回転原点HPと濃度ムラの位相φtの初期位相を取得することが出来る。
【0137】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0138】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0139】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0140】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 回転可能な複数の像担持体のうち、第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成されたトナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、第2色用の像担持体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出する、検出手段と、前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第1色用の像担持体の回転位相を補正し、前記第2色用の像担持体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記像担持体が所定の回転速度になるように制御し、前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始することを特徴とする制御装置である。
<2> 第3色用の像担持体の回転位相と、前記第3色用の像担持体の回転周期に応じて、発生する前記トナー像の濃度ムラを検出する手段を有し、前記制御手段は、前記第3色用の像担持体の前記検出結果と、前記第3色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正することを特徴とする請求項1の制御装置である。
<3> 前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の前記回転位相を検出する動作が終了したあとに前記回転位相を算出する演算を開始することを特徴とする前記<2>に記載の制御装置である。
<4> 前記制御手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の前記回転位相を算出するための演算が終了したあとに前記濃度ムラの補正を開始することを特徴とする前記<3>に記載の制御装置である。
<5> 前記制御手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の前記濃度ムラを補正する動作が終了したあとに前記像担持体の回転速度の制御を開始することを特徴とする前記<4>に記載の制御装置である。
<6> 前記検出手段は、前記第1色用の像担持体の回転原点、前記第2色用の像担持体の回転原点を、第3色用の像担持体の回転原点を、にさらに検出し、前記第1色用の像担持体、前記第2色用の像担持体および前記第3色用の像担持体のそれぞれの回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出することを特徴とする前記<1>乃至前記<5>の何れか1つに記載の制御装置である。
<7> 前記第1色用の像担持体の回転原点は、前記第1色用の像担持体の回転と共に回転し、前記第2色用の像担持体の回転原点は、前記第2色用の像担持体の回転と共に回転し、前記第3色用の像担持体の回転原点は、前記第3色用の像担持体の回転と共に回転する前記<6>に記載の制御装置である。
<8> 前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転位相差を検出することを特徴とする前記<1>乃至前記<7>の何れか1つに記載の制御装置である。
<9> 前記制御手段は、前記回転位相差と、前記濃度ムラの位相と、に基づいて、少なくとも2つの前記複数の像担持体における前記濃度ムラの位相を合わせることにより、前記濃度ムラを補正することを特徴とする前記<8>に記載の制御装置である。
<10> 前記制御手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体における前記濃度ムラの位相が合うように、前記像担持体の回転位相を制御することを特徴とする前記<1>乃至前記<9>の何れか1つに記載の制御装置である。
<11> 前記複数の像担持体の回転速度の異常を検出する異常検出手段と、前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が前記所定の範囲内に収まったか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段により、前記所定の範囲内に収まっていないと判定された場合に、前記異常検出手段による検出が有効であるか否かを判定する第2判定手段と、前記異常検出手段による検出の有効または無効を切り替える切替手段と、をさらに備えることを特徴とする前記<1>乃至前記<10>の何れか1つに記載の制御装置である。
<12> 前記第1判定手段は、前記複数の像担持体の回転速度が予め定められた最低速度から最高速度までの範囲から所定の時間外れた場合に、前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が前記所定の範囲内に収まっていないと判定することを特徴とする前記<11>に記載の制御装置である。
<13> 前記第2判定手段は、位置検出期間、位置補正値算出期間および速度制御期間において有効とし、立ち上げ期間および位置補正期間において無効とする判定結果を出力することを特徴とする前記<11>または前記<12>に記載の制御装置である。
<14> 前記切替手段は、前記第2判定手段による判定結果に基づいて、前記異常検出手段による検出の有効または無効を切り替えることを特徴とする前記<11>乃至前記<13>の何れか1つに記載の制御装置である。
<15> 前記<1>乃至前記<14>の何れか1項に記載の制御装置と、前記複数の像担持体と、前記複数の像担持体に前記トナー像を形成する形成手段と、を備える画像形成装置である。
<16> 画像形成装置による画像形成方法であって、前記画像形成装置が、形成手段により、回転可能な複数の像担持体にトナー像を形成し、検出手段により、前記複数の像担持体それぞれの回転位相と、前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の回転周期に応じて発生する前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、第2色用の感光体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラの検出し、第3色用の像担持体の回転位相と、前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、制御手段により、前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御し、前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、前記第2色用の像担持体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、前記第3色用の像担持体の前記検出結果と、前記第3色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、前記制御手段は、前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記複数の像担持体が所定の回転速度になるように制御し、前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始することを特徴とする画像形成方法である。
<17> 形成手段により、回転可能な複数の像担持体にトナー像を形成し、検出手段により、前記複数の像担持体それぞれの回転位相と、前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転周期に応じて発生する前記トナー像の濃度ムラを検出し、第1色用の像担持体の回転位相と、前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第1色用の回転周期に応じて発生する前記第1色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、第2色用の感光体の回転位相と、前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第2色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラの検出し、第3色用の像担持体の回転位相と、前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転周期に応じて発生する前記第3色用の像担持体に形成された前記トナー像の濃度ムラを検出し、制御手段により、前記検出手段による検出結果と、前記複数の像担持体それぞれの回転速度と、に基づいて、前記複数の像担持体の回転位相を制御し、前記第1色用の像担持体の前記検出結果と、前記第1色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、前記第2色用の像担持体の前記検出結果と、前記第2色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第2色用の像担持体の回転位相を補正し、前記第3色用の像担持体の前記検出結果と、前記第3色用の像担持体の回転速度と、に基づいて、前記第3色用の像担持体の回転位相を補正し、前記制御手段は、前記複数の像担持体のうちの少なくとも2つの前記複数の像担持体が所定の回転速度になるように制御し、前記検出手段は、少なくとも2つの前記複数の像担持体の回転速度と前記所定の回転速度との差が所定の範囲内に収まったあとに、前記回転位相の検出動作を開始する処理を画像形成装置に実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0141】
1 中間転写ベルト
2 感光体ドラム(像担持体の一例)
18 フォトインタラプタ
19 トナー濃度センサ
37 制御手段
371 補正手段
100 画像形成装置
200 制御装置
210 検出手段
211 演算手段
220 形成手段
230 ロータリエンコーダ
240 異常検出手段
M モータ
φ 濃度ムラの位相
A 濃度ムラの位相差
B 初期位相
C 回転原点検出タイミングの差
D 濃度ムラ
HP 回転原点
Gt 最高速度
Gb 最低速度
Tv 期間
Ti 所定の時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】