(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066604
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】流体制御装置、流体制御システム及び流体制御方法
(51)【国際特許分類】
F16K 27/12 20060101AFI20230509BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F16K27/12
F16K27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177284
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】大江 健一
(72)【発明者】
【氏名】國田 大地
(72)【発明者】
【氏名】赤土 和也
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC06
3H051CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流体制御装置において、スリム化を図りながらも、ケーシングの天面における通信ポート等の設置スペースを拡大する。
【解決手段】内部に流路が形成されたボディ1と、前記ボディに取付けられて、前記流路を流れる流体を制御する流体制御弁と、前記流体制御弁を収容するように前記ボディに取り付けられたケーシング5とを備える流体制御装置100であって、前記ケーシングにおける、前記ボディとは反対側を向く面である天面51に、前記ボディに向かって傾斜した傾斜面51bが形成されている流体制御装置である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路が形成されたボディと、前記ボディに取付けられて、前記流路を流れる流体を制御する流体制御弁と、前記流体制御弁を収容するように前記ボディに取り付けられたケーシングとを備える流体制御装置であって、
前記ケーシングにおける、前記ボディとは反対側を向く面である天面に、前記ボディに向かって傾斜した傾斜面が形成されている流体制御装置。
【請求項2】
前記天面に、通信ケーブルが接続される通信ポート、前記流体制御装置の動作状況を示すステータスランプ、及び前記流体制御装置に対する操作を行うための操作スイッチから選択される1種以上が設けられている請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記ケーシングの天面に、前記ボディに対して平行な平坦面が形成されており、
前記平坦面に前記通信ポートが設けられ、
前記傾斜面に、前記ステータスランプ、又は前記操作スイッチが設けられている請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記平坦面に、2つの前記通信ポートが設けられており、
前記各通信ポートの近傍に、当該各通信ポートの通信状態を示す前記ステータスランプが設けられている請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記通信ポートが産業用ネットワークに対応するものである請求項2~4のいずれか一項に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記天面が長尺状をなすものであり、
前記平坦面と前記傾斜面が前記天面の長手方向に沿って連続して形成されている請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記ケーシングの天面において、前記傾斜面が、前記長手方向に沿った一端側又は他端側に形成されている請求項6に記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記ケーシングにおける、前記天面の長手方向の一方側又は他方側を向く前面又は背面に、所定の電力供給ケーブルが接続される電源コネクタが設けられている請求項6又は7に記載の流体制御装置。
【請求項9】
前記電源コネクタが、前記ケーシングの前面又は背面に形成された凹部の底面に設けられている請求項8に記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記ケーシングの平坦面が、前記長手方向に沿って、前記前面又は背面に形成された前記凹部の底面よりも外側まで延伸している請求項9に記載の流体制御装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の流体制御装置を備える流体制御システムであって、
前記流体制御装置の前記天面が長尺状をなすものであり、
前記ケーシングの、前記天面の長手方向に沿った前方及び後方に、前記流路を流れる流体の流れを遮断する空圧弁が設けられている流体制御システム。
【請求項12】
内部に流路が形成されたボディと、前記ボディに取付けられて、前記流路を流れる流体を制御する流体制御弁と、前記流体制御弁を収容するように前記ボディに取り付けられたケーシングとを備えるものであって、前記ケーシングにおける、前記ボディとは反対側を向く面である長尺状をなす天面に前記ボディに向かって傾斜した傾斜面が形成されている流体制御装置と、前記天面の長手方向に沿って前記ケーシングの前方及び後方に設けられた、前記流路を流れる流体の流れを遮断する空圧弁とを備える流体制御システムを用いて前記流体を制御する流体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量又は圧力を制御するために用いられる流体制御装置、流体制御システム及び流体制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の流体制御装置である例えばマスフローコントローラとしては、内部に流路が形成されたボディと、ボディに取付けられた流体制御弁と、流体制御弁を収容するようにボディに取り付けられた扁平直方体状のケーシングとを備えるものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
近年このような流体制御装置は、所定の規格の産業用ネットワークを介してユーザ用情報処理装置に複数接続され、各流体制御装置間やユーザ用情報処理装置の間で種々の情報を通信できるように構成されることがある。この場合、流体制御装置を、産業用ネットワークである例えばEtherCAT等の規格に対応させるには、通信ケーブルが接続される通信ポートの他にも、装置の動作状態を示すステータスランプや操作スイッチ(通信ポート等ともいう)をケーシングに設けることが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したEtherCAT等の通信規格に対応した通信ポート等は、ユーザの操作性や視認性を考慮すると、その全てがケーシングの天面に設けられるのが好ましい。しかしながら、マスフローコントローラなどの流体制御装置は、特許文献1に示すように幅方向に複数個を並べて使用されることが多く、各装置の占有面積を縮小するためにスリム化が求められており、幅方向や長手方向の寸法の制約がある。そのため従来、通信ポート等の全てを設けるための十分な設置面積をケーシングの天面において確保できず、その一部をケーシングの前面や背面等に設けるようにしていた。
【0006】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、流体制御装置において、スリム化を図りながらも、ケーシングの天面における通信ポート等の設置スペースを拡大することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る流体制御装置は、内部に流路が形成されたボディと、前記ボディに取付けられて、前記流路を流れる流体を制御する流体制御弁と、前記流体制御弁を収容するように前記ボディに取り付けられたケーシングとを備える流体制御装置であって、前記ケーシングにおける、前記ボディとは反対側を向く面である天面に、前記ボディに向かって傾斜した傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、ボディに向かって傾斜する傾斜面をケーシングの天面に形成しているので、従来のようにケーシングの天面がボディの表面に沿ってただ真っすぐなだけのものに比べて、天面の面積を増加させることができる。これにより、ボディの幅方向や長手方向の寸法の制約がある中でも、天面における通信ポート等の設置面積を拡大することができる。なお「ボディに向かって傾斜する」とは、ボディにおける、ケーシングや流体制御弁が取付けられる面と平行でないことを意味している。また本明細書において「天面」とは、上下左右に関わらず、「ケーシングにおいてボディとは反対側を向く面」のことを意味しており、流体制御装置が設置されている状態において、ボディに対してケーシングが下向きになっていれば、ケーシングにおける下向きの面が天面となり、ボディに対してケーシングが横向きになっていれば、ケーシングにおける横向きの面が天面となる。
【0009】
前記流体制御装置の効果を顕著に奏する具体的態様として、前記天面に、通信ケーブルが接続される通信ポート、前記流体制御装置の動作状況を示すステータスランプ、及び前記流体制御装置に対する操作を行うための操作スイッチから選択される1種以上が設けられているものが挙げられる。
【0010】
前記流体制御装置では、前記ケーシングの天面に、前記ボディに対して平行な平坦面が形成されており、前記平坦面に前記通信ポートが設けられ、前記傾斜面に、前記ステータスランプ、又は前記操作スイッチが設けられているのが好ましい。
このようにすれば、天面の平坦面に通信ポートが設けられているので、ユーザは、流体制御装置の前後に設けられた例えばエアバルブ等の機器の干渉を受けることなく、通信ケーブルを流体制御装置の真上から抜き差しすることができるので、操作性が向上する。
一方で、通信ポートが設けている平坦面とは異なる傾斜面にステータスランプや操作スイッチを設けているので、ユーザは通信ケーブルの干渉を受けることなく、また真上から天面を覗き込むことなくステータスランプを確認したり操作スイッチを操作することができる。
【0011】
また前記流体制御装置では、前記平坦面に、2つの前記通信ポートが設けられており、前記各通信ポートの近傍に、当該各通信ポートの通信状態を示す前記ステータスランプが設けられているのが好ましい。
このようにすれば、通信ポートとその通信状態を示すステータスランプとを近づけて配置することにより、各通信ポートのそれぞれの通信状態を確認しやすくできる。「各通信ポートの近傍」とは、通信ポートと対応するステータスランプとを一目で確認できる範囲を意味し、例えば、2つの通信ポートの間等が挙げられる。
【0012】
前記流体制御装置の具体的態様としては、前記通信ポートが産業用Ethernet等の産業用ネットワークに対応するものが挙げられる。
【0013】
また前記流体制御装置の具体的態様としては、前記天面が長尺状をなすものであり、
前記平坦面と前記傾斜面が前記天面の長手方向に沿って連続して形成されているものが挙げられる。
【0014】
また前記流体制御装置の具体的態様として、前記ケーシングの天面において、前記傾斜面が、前記長手方向に沿った一端側又は他端側に形成されているものが挙げられる。
【0015】
また前記流体制御装置の具体的態様として前記ケーシングにおける前記長手方向の一方側又は他方側を向く前面又は背面に、所定の電力供給ケーブルが接続される電源コネクタが設けられているものが挙げられる。
【0016】
また前記電源コネクタが、前記ケーシングの前面又は背面に形成された凹部の底面に設けられているのが好ましい。
前記した流体制御装置では、ケーシングの前面及び背面の近傍に、流体制御装置をパネルなどに固定するためのネジ穴等が設けられることが多い。そのため前面又は背面に形成した凹部に電源コネクタを設けるようにすれば、前面又は背面からの電源コネクタの出っ張りを少なくできるので、流体制御装置をパネル等にネジ止めして固定する際にユーザの手や工具が干渉しにくくなり、取付時の操作性を向上できる。
【0017】
このような凹部を前面又は背面に形成する場合、前記ケーシングの平坦面が、前記長手方向に沿って、前記前面又は背面に形成された前記凹部の底面よりも外側まで延伸しているのが好ましい。
このようにすれば、取付時の操作性を向上しながらも、ケーシングの天面における通信ポート等の設置面積を確保することができる。なお「外側」とは、凹部が前面に形成されている場合には凹部の底面よりも前方側であり、凹部が背面に形成されている場合には凹部の底面よりも後方側であることを意味している。
【0018】
また前記した本発明の流体制御システムは、前記した流体制御装置を備えるものであり、前記天面が長尺状をなすものであり、前記ケーシングの、当該天面の長手方向に沿った前方及び後方に、前記流路を流れる流体の流れを遮断する空圧弁が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また本発明の流体制御方法は、内部に流路が形成されたボディと、前記ボディに取付けられて、前記流路を流れる流体を制御する流体制御弁と、前記流体制御弁を収容するように前記ボディに取り付けられたケーシングとを備えるものであって、前記ケーシングにおける、前記ボディとは反対側を向く面である長尺状をなす天面に前記ボディに向かって傾斜した傾斜面が形成されている流体制御装置と、前記天面の長手方向に沿って前記ケーシングの前方及び後方に設けられた、前記流路を流れる流体の流れを遮断する空圧弁とを備える流体制御システムを用いて前記流体を制御することを特徴とする。
【0020】
このような流体制御システム及び流体制御方法であれば、前記した本発明の流体制御装置と同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0021】
このように構成した本発明によれば、流体制御装置において、スリム化を図りながらも、ケーシングの天面における通信ポート等の設置スペースを拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の流体制御システムの構成を示す斜視図。
【
図2】同実施形態の流体制御装置の構成を示す斜視図。
【
図3】同実施形態の流体制御装置の内部構成を模式的に示す図。
【
図4】同実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図であり、(a)幅方向から視た平面図、(b)平坦面をその垂直な方向から視た平面図、(c)傾斜面をその垂直な方向から視た平面図。
【
図5】他の実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図。
【
図6】他の実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図。
【
図7】他の実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図。
【
図8】他の実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図。
【
図9】他の実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図。
【
図10】他の実施形態の流体制御装置の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明に係る流体制御装置100の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態の流体制御装置100は、所謂マスフローコントローラであり、例えばチャンバに供給されるガス等の流体の流量を制御するためのものである。
図1に示すように、この流体制御装置100は、幅方向に複数が隣接配置されて流体制御システム200を構成しており、各々に接続されたガスラインを流れる流体の流量を個別に制御するように構成されている。各流体制御装置100における長手方向に沿った前方及び後方には、各ガスラインを流れる流体の流れを遮断するための空圧弁Vが設けられている。そして流体制御システム200を構成する各流体制御装置100は、産業用ネットワークを介してユーザ用情報処理装置(図示しない)に接続され、各装置間及びユーザ用情報処理装置の間で種々の情報を通信できるように構成されている。本実施形態では、各流体制御装置100は、例えば産業用Ethernet等の産業用ネットワーク規格に対応した通信ケーブルCを用いて互いに接続されている。以下、各流体制御装置100について説明する。
【0025】
具体的にこの流体制御装置100は、
図2及び
図3に示すように、略扁平直方体形状をなすものであり、流体が流れる内部流路1aが形成されたボディ1と、内部流路1a上に設けられた流体制御弁2と、流量センサ3と、流体制御弁2や流量センサ3との間で信号を授受する電気回路基板4と、これらを収容するケーシング5とを具備している。
【0026】
ボディ1は、長尺状(具体的には長細い直方体形状)をなす例えば金属製のものである。このボディ1における長手方向と平行な1つの面は部品取付面1bとして設定してあり、この部品取付面1bに流体制御弁2や流量センサ3等の部品が取り付けられている。またこの部品取付面1bの反対側の面を、ボディ1をパネルなどに固定するための固定面1cとしている。そしてこの実施形態では、固定面1cの長手方向における一端部に内部流路1aの導入ポート1dが開口させてあるとともに、他端部に内部流路1aの導出ポート1eが開口させてある。またこのボディ1において、長手方向に沿った両端部には、ボディ1をパネル等にネジ止めして固定するためのネジ穴等の貫通孔1fが形成されている。この貫通孔1fは、長手方向に沿って導入ポート1d及び導出ポート1eよりも外側に設けられており、部品取付面1b及び固定面1cに開口するようにして形成されている。なお、長手方向と平行な他の2面(側面とも言う)には何も取り付けないようにして複数の流体制御装置100をそのボディ1の側面同士が密着乃至近接させて配置できるように構成してある。
【0027】
内部流路1aは、ボディ1の長手方向における一端部から他端部に向かって延びるもので、部品取付面1bに垂直な方向である上下方向から視たときに、流体が長手方向と略平行に流れていくように構成してある。なお、以下において上下方向から視て長手方向と垂直な方向を幅方向という。また、長手方向に沿った流体の進行方向を前方向、その逆を後方向という。
【0028】
流体制御弁2は柱状をなすものであり、部品取付面1bに対して垂直に取り付けられて内部流路1aを流れる流体の流量等を制御するように構成された、例えばピエゾバルブ等である。
【0029】
流量センサ3は、部品取付面1bに取付けられて、内部流路1aにおける流体制御弁2よりも下流側を流れる流体の質量流量を測定するものである。本実施形態の流量センサ3は圧力式の流量センサ3である。
【0030】
電気回路基板4は、部品取付面1bに対して略垂直に起立させた状態でケーシング5にネジなどで固定されている。具体的にこの電気回路基板4は、シート部材にCPU、メモリ、通信回路などのデジタル回路、及び、増幅器、バッファなどのアナログ回路が形成されており、メモリに格納したプログラムにしたがってCPUやその他周辺機器が協働することによって、流量センサ3による測定圧力に基づいて内部流路1aを流れる流量を算出するとともに、その測定流量が予め定めた目標流量になるように流体制御弁2を制御するように構成されている。
【0031】
ケーシング5は、流体制御弁2、流量センサ3及び電気回路基板4をその内側に収容するようにしてボディ1の部品取付面1b側に取付けられている。このケーシング5は、略一定の幅寸法を有する略扁平直方体形状を成すものであり、その幅寸法がボディ1の幅寸法と略同一に設定され、その長さ寸法がボディ1の長さ寸法よりも短くなるように設定されている。
【0032】
しかして本実施形態の流体制御装置100では、
図2及び
図4に示すように、ケーシング5におけるボディ1とは反対側を向く面である天面51に、ボディ1に対して平行な平坦面51aと、ボディ1に向かって傾斜した傾斜面51bとが形成されている。なお本実施形態の天面51は、ボディ1の長手方向に沿って長尺状を成すように形成されたものである。
【0033】
平坦面51aと傾斜面51bは、互いに同じ幅寸法を有する矩形状をなしており、天面51の長手方向に沿って連続するように形成されている。ボディ1の幅方向から視て、平坦面51aは部品取付面1bと平行になるように形成され、傾斜面51bは、平坦面51aとの境界からボディ1に向かって一定の傾斜角度(0°超90°未満)で下垂するように直線状に形成されている。
【0034】
傾斜面51bは、天面51における長手方向に沿った一端側に形成されている。本実施形態の傾斜面51bは、天面51における長手方向に沿った前方端に形成されており、前方向を向くケーシング5の前面52に連続している。つまり本実施形態の傾斜面51bは、長手方向の前方向に向かってボディ1に近づくように傾斜している。
【0035】
また本実施形態の平坦面51aは、後方向を向くケーシング5の背面53に連続している。なおケーシング5の前面52及び背面53は、幅方向から視てボディ1の部品取付面1bに対して垂直な方向に沿って形成されている。
【0036】
そしてこのようなケーシング5の天面51には、産業用Ethernet(より具体的にはEtherCAT)等の産業用ネットワークに対応した通信ポートP(通信コネクタ)、操作スイッチSW及びステータスランプLが設けられている。
【0037】
通信ポートPは、産業用Ethernet等の産業用ネットワークに対応する通信ケーブルCが接続されるものである。ここでは、通信経路上の前段装置及び後段装置にそれぞれ接続するための、少なくとも2つの通信ポートP1、P2が長手方向に沿って平坦面51aに設けられている。
【0038】
操作スイッチSWは、流体制御装置100に対する操作(例えばIDの設定等)を行うためのものである。この操作スイッチSWは、例えば10進数や16進数のロータリーエンコーダを用いたロータリースイッチ等が挙げられる。本実施形態では、各種の操作に対応する複数(ここでは3つ)の操作スイッチSWが傾斜面51bに設けられている。この傾斜面51bにおいて複数の操作スイッチSWは、その傾斜方向に沿って(上下方向から視て長手方向に沿って)列をなすように設けられている。
【0039】
ステータスランプLは、LEDの光源を備えて点灯するものであり、その点灯態様(色等)や点滅態様により流体制御装置100の動作状況を示すものである。本実施形態では、各種の動作状況を示すインジケータである複数のステータスランプLが天面51に設けられている。ここではステータスランプLとして、入力側の通信ポートP1の通信状態を示す入力側リンク/アクトランプL1、出力側の通信ポートP2の通信状態を示す出力側リンク/アクトランプL2、EtherCATの状態遷移を示すステータスランプL3、及び通信異常を示すエラーランプL4が天面51に設けられている。なおこのステータスランプL3は、具体的にはEtherCATステートマシンの現在の遷移状態を示すRUN LEDである。
【0040】
本実施形態ではステータスランプLは平坦面51aと傾斜面51bの両方に設けられている。平坦面51aにおいては、2つの通信ポートP1、P2の間に複数のステータスランプL(ここでは入力側リンク/アクトランプL1と出力側リンク/アクトランプL2)が設けられている。各通信ポートP1、P2と各ステータスランプLは長手方向に沿って列をなすように設けられている。より具体的には、入力側リンク/アクトランプL1が入力側の通信ポートP1に隣り合うように設けられ、出力側リンク/アクトランプL2が出力側の通信ポートP2に隣り合うように設けられている。
【0041】
また傾斜面51bにおいては、その傾斜方向に沿って複数のステータスランプL(ここではステータスランプL3とエラーランプL4)が列をなすように設けられている。より具体的には複数のステータスランプLと複数の操作スイッチSWとが傾斜方向に沿って列をなすように設けられている。
【0042】
またケーシング5の背面53には、電力供給ケーブルが接続される電源コネクタSが設けられている。本実施形態では、ケーシング5の背面53には、長手方向に沿って前方に向かって凹んだ凹部53rが形成されており、この凹部53rの内面(底面)には、電源コネクタSを設置するためのコネクタ設置面53aに設けられている。コネクタ設置面53aは、幅方向から視て、ボディ1の部品取付面1bに対して垂直な方向に沿って形成されている。電源コネクタSは、長手方向の後方を向くようにしてコネクタ設置面53aに設けられている。電源コネクタSは、その後方端が、ボディ1に形成された後方側の貫通孔1fよりも前方に位置するように設けられている。
【0043】
また本実施形態の凹部53rは、背面53において上下方向に沿った両端部(具体的には上端部)を含まない位置に形成されている。これにより天面51の平坦面51aが、凹部53r内のコネクタ設置面53aよりも後方まで延伸するようになっている。
【0044】
このように構成した本実施形態の流体制御装置100によれば、ボディ1に向かって傾斜する傾斜面51bをケーシング5の天面51に形成にしているので、従来のようにケーシング5の天面51がボディ1の長手方向に沿ってただ真っすぐなだけのものに比べて、天面51の面積を増加させることができる。これにより、ボディ1の幅方向や長手方向の寸法の制約がある中でも、天面51における通信ポートP等の設置面積を拡大することができる。
【0045】
また背面53に形成した凹部53rに電源コネクタSを設けるようにしているので、背面53からの電源コネクタSの出っ張りが少なく、流体制御装置100をパネル等にネジ止めして固定する際にユーザの手や工具が干渉しにくい。しかも、ケーシング5の平坦面51aが、背面53に設けた凹部53rの底面よりも後方まで延伸するようにしているので、取付時の操作性を向上しながらも、ケーシング5の天面51における通信ポートP等の設置面積を確保することができる。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0047】
例えば前記実施形態では流体制御装置100の一例として圧力式のマスフローコントローラについて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。他の実施形態の流体制御装置100は、例えば熱式の流量センサ3を備えた熱式のマスフローコントローラであっても構わない。また、流体制御装置100は流量を制御するものではなく、流体の圧力を制御するものであってもよい。
【0048】
また前記実施形態の傾斜面51bは、天面51における長手方向に沿った前方端に形成されていたが、これに限らない。例えば他の実施形態では、
図5に示すように、傾斜面51bは天面51における長手方向に沿った後方端に形成されていてもよい。また別の実施形態の傾斜面51bは天面51における端部に形成されていなくてもよい。例えば
図6に示すように、傾斜面51bは、階段状に形成された複数の平坦面51aの間に形成されていてもよい。
【0049】
また前記実施形態の流体制御装置100は、ボディ1及びケーシング5の天面51は長尺状のものであったがこれに限らない。他の実施形態の流体制御装置100では、ボディ1及びケーシング5の天面51は正方形状をなすものであってもよい。
【0050】
また前記実施形態では、天面51には平坦面51aと斜面とが形成されていたがこれに限らない。他の実施形態では、
図7に示すように天面51が斜面のみによって構成されていてもよい。また前記実施形態の傾斜面51bは、ボディ1に向かって一定の傾斜角度で下垂するように直線状に形成されていたが、これに限らない。他の実施形態の傾斜面51bは、
図9や
図10に示すように、幅方向から視て曲線状又は多角線状をなすように形成されていてもよい。
【0051】
また他の実施形態では、傾斜角度が同一又は互いになる複数の傾斜面51bが天面51に設けられていてもよい。
【0052】
また前記実施形態の凹部53rは、背面53において上下方向に沿った両端部(具体的には上端部)を含まない位置に形成されていたがこれに限らない。他の実施形態では、
図8に示すように、凹部53rは背面53において上下方向に沿った上端部に形成されていてもよい。
【0053】
また、前記実施形態の天面51における通信ポートP、操作スイッチSW及びステータスランプLの配置は例示的なものであり、これに限らない。通信ポートP、操作スイッチSW及びステータスランプLが、平坦面51a及び傾斜面51bのいずれに設けられていてもよいし、長手方向に沿って列をなすように設けられていなくてもよい。
【0054】
また前記実施形態の流体制御装置100は、EtherCATに対応するものであったがその他の通信規格に対応するよう構成されていてもよい。また他の実施形態の流体制御装置100は、産業用Ethernet等の産業用ネットワークに対応するものに限らない。
【0055】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100・・・流体制御装置
1 ・・・ボディ
1a ・・・流路
2 ・・・流体制御弁
5 ・・・ケーシング
51 ・・・天面
51a・・・平坦面
51b・・・傾斜面
P ・・・通信ポート
L ・・・ステータスランプ
SW ・・・操作スイッチ
C ・・・通信ケーブル