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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067015
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】テープ貼付装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177931
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(71)【出願人】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 清貴
(72)【発明者】
【氏名】青木 仁
(72)【発明者】
【氏名】足立 禎
(72)【発明者】
【氏名】金澤 雅喜
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】松下 孝夫
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA31
5F131CA45
5F131CA46
5F131CA49
5F131DA13
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA07
5F131EA22
5F131EB01
5F131EB03
5F131EB73
5F131EC32
5F131EC33
5F131EC44
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC66
5F131EC69
(57)【要約】
【課題】長期間に亘って稼働可能なテープ貼付装置を提供する。
【解決手段】テープ貼付装置10は、ダイシングフレームDF及びワークWを保持した状態で搬送路P内を移動可能な搬送テーブル23と、ダイシングテープDTをダイシングフレームDF及びワークWに貼り付ける複数の貼付ユニット30と、各貼付ユニット30の起動・停止をそれぞれ制御するコントローラ50と、を備えている。複数の貼付ユニット30の起動・停止がそれぞれ制御可能なことにより、何れかの貼付ユニット30によるダイシングテープDTの貼付と並行して、他の貼付ユニット30のメンテナンス又はダイシングテープDTの切替や交換を行える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ貼付装置であって、
ダイシングフレーム及びワークを保持した状態で搬送路内を移動可能な搬送テーブルと、
ダイシングテープを前記ダイシングフレーム及びワークに貼り付ける複数の貼付ユニットと、
各前記貼付ユニットの起動・停止をそれぞれ制御するコントローラと、
を備えていることを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記貼付ユニットが前記搬送路外で待機する待機位置と前記貼付ユニットが前記搬送路内で前記搬送テーブルに近接する貼付位置との間で、前記貼付ユニットを移動可能な移動機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記貼付ユニットを装置外に引き出し可能に支持する引出ガイドを備えていることを特徴とする請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記搬送路と前記搬送路外で待機する前記貼付ユニットとを隔てる開閉自在なシャッターをさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記ワークの加工条件に対応する前記ダイシングテープの種類情報を記憶するとともに、前記貼付ユニット毎に、収容する前記ダイシングテープの種類情報及び前記貼付ユニットの位置情報を記憶する記憶装置をさらに備え、
前記コントローラは、入力された前記ワークの加工条件に応じた種類の前記ダイシングテープを収容する貼付ユニットを駆動させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記搬送テーブルは、前記複数の貼付ユニットのうち前記ダイシングテープの貼り付けを実行するように選択された貼付ユニットの近傍に移動し、
前記選択された貼付ユニットは、前記搬送テーブルに保持された前記ダイシングフレーム及びワークに前記ダイシングテープを貼り付けることを特徴とする請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記移動機構は、前記搬送テーブルが前記ダイシングフレーム及びワークを搬送する移動方向には移動しないように前記貼付ユニットを支持していることを特徴とする請求項6に記載のテープ貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングテープのテープ貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェハ等の半導体基板(以下、「ワーク」という)をチップに割断する工程があり、その工程では、ワークに貼着されたダイシングテープが個々のチップの位置を拘束することにより、チップの割断を効率よく行うことができる。
【0003】
特許文献1には、チャックテーブルに真空吸着された半導体ウエハ及びリングフレームに亘ってダイシングテープを貼付けローラで押圧しながら貼り付ける装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-53473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の装置では、ワークの品種に応じたテープ切替時、テープの消耗に伴うテープ交換時又は装置のメンテンナンス時に装置を一時停止させる必要があり、装置稼働時間が短くなりがちであるという問題があった。
【0006】
そこで、テープ貼付装置の稼働時間を長大化させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るテープ貼付装置は、テープ貼付装置であって、ダイシングフレーム及びワークを保持した状態で搬送路内を移動可能な搬送テーブルと、ダイシングテープを前記ダイシングフレーム及びワークに貼り付ける複数の貼付ユニットと、各前記貼付ユニットの起動・停止をそれぞれ制御するコントローラと、を備えている。
【0008】
この構成によれば、複数の貼付ユニットを個別に起動・停止を制御可能なため、何れかの貼付ユニットによるダイシングテープの貼り付けと並行して、他の貼付ユニットのメンテナンス又はダイシングテープの切替や交換を行えるため、テープ貼付装置の稼働時間を長大化させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、長期に亘って稼働可能なテープ貼付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るテープ貼付装置を含む加工装置の構成を示す正面図。
図2】扉を外した状態のテープ貼付装置を示す正面図。
図3】搬送ユニット及び貼付ユニットを示す斜視図。
図4】一方側から視た貼付ユニット及び移動機構を示す斜視図。
図5】貼付ユニット及び移動機構を示す正面図。
図6】他方側から視た貼付ユニット及び移動機構を示す斜視図。
図7】一方側から視た移動機構を示す斜視図。
図8】他方側から視た移動機構を示す斜視図。
図9】テープ貼付システムの主要な構成を示すブロック図。
図10】1台の貼付ユニットを貼付位置まで降下させたテープ貼付装置を示す正面図。
図11】ダイシングテープをワーク、ダイシングフレームに貼付する手順を示す模式図。
図12】(a)は貼付ユニットを覆う扉を外した状態を示す斜視図、(b)は貼付ユニットを装置外に引き出した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0012】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0013】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0014】
<加工装置の構成>
図1に示すように、ワークWを加工する加工装置1は、ダイシング装置2と、テープ貼付装置10と、を備えている。ダイシング装置2は、ダイサー方式やレーザー方式等でテープ貼付装置10から搬送された後述するワークWをチップに割断するものであって公知の構成から成り、開閉可能な扉3に覆われている。
【0015】
<テープ貼付装置の構成>
テープ貼付装置10は、図1、2に示すように、搬送ユニット20と、貼付ユニット30と、を備えている。搬送ユニット20は、架台11に直接取り付けられ、貼付ユニット30は、後述する移動機構40を介して架台11に取り付けられている。搬送ユニット20及び貼付ユニット30は、開閉可能な扉4に覆われている。
【0016】
図2、3に示すように、搬送ユニット20は、ワークWを保持する内周側テーブル21と、ダイシングフレームDFを載置する外周側テーブル22と、を有する搬送テーブル23を備えている。ワークWは、例えば、シリコンウェハ等の半導体基板であるが、これに限定されるものではない。
【0017】
内周側テーブル21の表面には、無数の気孔を有する多孔質材料からなる図示しない吸着体が埋設されている。吸着体の気孔の粗さは、例えば、#400又は#800等である。
【0018】
内周側テーブル21は、図示しない真空源及び圧縮空気源に切換自在に接続されている。真空源が起動すると、内周側テーブル21に載置されたワークWと吸着体の上面(吸着面)との間に負圧が供給されて、ワークWが吸着面に吸着保持される。また、圧縮空気源が起動すると、ワークWと吸着面との間に圧縮空気(リリースエアー)が供給されて、ワークWと吸着面との吸着が解除される。
【0019】
搬送テーブル23は、搬送スライダ24に載置されている。搬送スライダ24は、架台11に水平に取り付けられている。搬送スライダ24は、テープ貼付装置10の一方端(ワークWの搬入・搬出側)と他方端(ダイシング装置2側)とに亘って形成された搬送路P内において移動方向Dに沿って搬送テーブル23を往復動可能に構成されている。
【0020】
貼付ユニット30は、ダイシングテープDTをワークW及びダイシングフレームDFに貼り付ける。貼付ユニット30は、搬送路Pの上方で移動方向Dに沿って3台が並設されている。各貼付ユニット30は、それぞれ独立して起動・停止を制御可能である。なお、貼付ユニット30の設置台数は、2台であっても、4台以上であっても構わない。
【0021】
貼付ユニット30にそれぞれ装着される各ダイシングテープDTは、同じ種類であっても異なる種類であっても構わない。ダイシングテープDTは、例えば紫外線硬化テープ等である。なお、符号12は、搬送路Pの上方であって搬送テーブル23に干渉しない待機位置に位置する貼付ユニット30と搬送路Pとを隔てる開閉自在なシャッターである。
【0022】
図4~6に示すように、貼付ユニット30は、基部31と、繰出軸32と、巻取軸33と、ガイドローラ34a~34fと、押圧ローラ35と、ナイフプレート36と、を備えている。
【0023】
繰出軸32は、基部31の側面から立設され、ロール状のダイシングテープDTを繰り出し可能に支持する。繰出軸32には、繰出軸32の回転数からダイシングテープDTの残量を算出する回転数センサ、又はダイシングテープDTが少なくなったときに繰出軸32を検知する金属検知センサ等が設けられて、ダイシングテープDTの残量が少なったことを検知可能である。
【0024】
巻取軸33は、基部31の側面から立設され、ダイシングテープDTのセパレータを巻き取ってダイシングテープDTに繰出力を付与する。
【0025】
ガイドローラ34a~34fは、基部31及び支持プレート37に両端を支持され、ダイシングテープDTの軌道を規制する。
【0026】
押圧ローラ35は、アクチュエータ35aによって昇降可能に構成されており、ダイシングテープDTのテープ本体をワークW及びダイシングフレームDFに押圧して貼付する。
【0027】
ナイフプレート36は、ダイシングテープDTのセパレータを折り返すようにセパレータの軌道を規制する。なお、符号38は、貼付ユニット30を機外に引き出す際にオペレータが把持するハンドルである。
【0028】
移動機構40は、貼付ユニット30を架台11に対して相対移動可能に支持している。図7~8に示すように、移動機構40は、前後一対の支柱41と、支柱41の側面に設けられた昇降ガイドレール42上を移動自在な前後一対の昇降スライダ43と、昇降スライダ43をそれぞれ昇降可能なシリンダ44と、を備えている。なお、以下の説明において、一対に設けられた支柱41、昇降ガイドレール42、昇降スライダ43又はシリンダ44を前後で区別する場合には、前後方向の前方Fに位置する部材の符号の末尾にFを付し、前後方向の後方Rに位置する部材の符号の末尾にRを付して区別する。
【0029】
支柱41F、41Rは、架台11上に立設され、搬送路Pを挟んで前後にそれぞれ配置されている。
【0030】
昇降スライダ43Fは、昇降ガイドレール42Fによって支柱41Fに対して相対的に昇降可能に且つ支柱41Fの長手方向に沿って昇降するように規制されている。また、シリンダ44Fのロッドが、昇降スライダ43Fの下端に接続されており、シリンダ44Fのロッドの進退動作に応じて、昇降スライダ43Fが昇降する。
【0031】
同様に、昇降スライダ43Rは、昇降ガイドレール42Rによって支柱41Rに対して相対的に昇降可能に且つ支柱41Rの長手方向に沿って昇降するように規制されている。また、シリンダ44Rのロッドが、昇降スライダ43Rの下端に接続されており、シリンダ44Rのロッドの進退動作に応じて、昇降スライダ43Rが昇降する。
【0032】
また、移動機構40は、基部31の上部と昇降スライダ43Rとを接続する上部引出ガイド45と、基部31の下部と昇降スライダ43F、43Rとを接続する下部引出ガイド46と、を備えている。
【0033】
上部引出ガイド45は、昇降スライダ43Rの側面から立設された上部梁45aと、上部梁45aの側面に前後方向に沿って設けられた上部ガイドレール45bと、基部31の上部に接続されて上部ガイドレール45b上を摺動可能に設けられた上部横スライダ45cと、を備えている。
【0034】
下部引出ガイド46は、昇降スライダ43F、43R間に架設された下部梁46aと、下部梁46aの側面に前後方向に沿って設けられた下部ガイドレール46bと、基部31の下部に接続されて下部ガイドレール46b上を摺動可能に設けられた2台の下部横スライダ46cと、を備えている。
【0035】
これにより、シリンダ44F、44Rが連動して進退動作を行うことにより、貼付ユニット30は、水平を保ちながら昇降することができる。
【0036】
また、オペレータがハンドル38を把持して貼付ユニット30を前後方向の前方Fに引き出そうとすると、上部横スライダ45cが上部ガイドレール45b上を摺動するとともに下部横スライダ46cが下部ガイドレール46b上を摺動することにより、貼付ユニット30が、上部梁45a、下部梁46aに対して相対的に移動して前後方向の前方Fに引き出される。
【0037】
テープ貼付装置10の動作は、コントローラ50を介して制御される。図9に示すように、コントローラ50は、テープ貼付装置10を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。コントローラ50は、例えばコンピュータであり、CPU、メモリ等により構成される。なお、コントローラ50の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作するものにより実現されても良い。
【0038】
コントローラ50は、入力装置51と、記憶装置52と、を備えている。
【0039】
入力装置51は、ワークWの加工条件を入力する等して所望のダイシングテープDTを呼び出すための装置であり、例えば加工装置1の側面に設けられたタッチパネル等である。
【0040】
記憶装置52は、複数のワークWに関する加工条件と各加工条件に対応したダイシングテープDTの種類情報とが関連付けて記憶されている。また、記憶装置52は、貼付ユニット30毎に、貼付ユニット30が収容するダイシングテープDTの種類情報及び貼付ユニット30の位置情報を記憶している。なお、ダイシングテープDTの種類情報及び貼付ユニット30の位置情報は、ダイシングテープDTの切替や交換が生じる度に更新される。
【0041】
次に、テープ貼付装置10の動作について図面に基づいて説明する。
【0042】
<ワーク搬送>
まず、ダイシングフレームDFが、図示しない搬送ハンド等により外周側テーブル22上に移載される。
【0043】
次に、ワークWが、図示しない搬送ハンド等により内周側テーブル21上に移載される。その後、真空源からワークWと吸着面との間に負圧が供給されると、ワークWが内周側テーブル21に吸着される。ワークWの上面とダイシングフレームDFの上面とは、略面一に設定される。
【0044】
<テープ貼付>
オペレータ等により入力装置51を介して入力されたワークWの加工条件に基づいて、コントローラ50が、ワークWの加工条件に適したダイシングテープDTの種類情報を記憶装置52から呼び出す。
【0045】
次に、コントローラ50が、呼び出したワークWの加工条件に適したダイシングテープDTの種類情報と各貼付ユニット30に装着されているダイシングテープDTの種類情報とを比較して、ワークWの加工条件に適したダイシングテープDTを収容する貼付ユニット30を選択する。
【0046】
次に、コントローラ50が搬送スライダ24を駆動させて、選択された貼付ユニット30の押圧ローラ35の下方にダイシングフレームDFの一方端(貼り付け開始位置)が位置するように、搬送テーブル23を移動させる。
【0047】
次に、選択された貼付ユニット30と搬送路Pとを隔てるシャッター12が開かれ、その後に、選択された貼付ユニット30を支持するシリンダ44F、44Rを起動して、図10に示すように、待機位置で待機する貼付ユニット30を押圧ローラ35がダイシングフレームDFの一方端に接近する貼付位置まで貼付ユニット30を降下させる。なお、貼付ユニット30は、必ずしも全体が搬送路P内に進入する必要はなく、少なくとも押圧ローラ35等のダイシングテープDTの貼り付けに必要の構成が搬送路P内に進入すればよい。
【0048】
次に、巻取軸33が回転してダイシングテープDTを繰り出すとともに、図11(a)に示すように、押圧ローラ35がダイシングテープDTをダイシングフレームDFに押し当てて所定の押圧力でダイシングテープDTを貼着する。
【0049】
その後、搬送テーブル23が移動方向Dの進行方向側(D1)に沿って移動すると、図11(b)に示すように、ダイシングテープDTが、ダイシングフレームDF及びワークWに徐々に貼り進められる。
【0050】
そして、図11(c)に示すように、ダイシングテープDTが、ダイシングフレームDFの他方端(貼り付け終了位置)まで達すると、ワークWとダイシングフレームDFとが、ダイシングテープDTを介して一体に貼着される。
【0051】
ダイシングテープDTの貼り付けが終了すると、コントローラ50は搬送スライダ24を駆動させて、搬送テーブル23がダイシング装置2に向けて移動する。
【0052】
なお、ワークWの加工条件が変更される等してダイシングテープDTの貼り付けに供する貼付ユニット30を変更する場合には、まず、貼付位置に位置する貼付ユニット30を支持する移動機構40のシリンダ44F、44Rを起動して、貼付ユニット30を搬送路Pから退避させるように貼付位置から待機位置まで上昇させる。
【0053】
次に、新たに選択された貼付ユニット30を支持する移動機構40を起動して、この貼付ユニット30を搬送路P内に進入させるように待機位置から貼付位置まで降下させる。このようにして、異なるワークWの加工条件に対応できるように貼付ユニット30をスムーズに変更することができる。
【0054】
〈テープ交換、メンテナンス〉
ワークWの品種に応じてダイシングテープDTを切り替えたり、ダイシングテープDTの消耗に伴ってダイシングテープDTを交換したり、又は貼付ユニット30のメンテンナンスを行う場合には、オペレータは、図12(a)に示すように、テープ交換等を行うテープ貼付装置10の扉4を開き、ハンドル38を把持して手前に引き出すと、上部横スライダ45cが上部ガイドレール45b上を摺動するとともに下部横スライダ46cが下部ガイドレール46b上を摺動することにより、図12(b)に示すように、オペレータが貼付ユニット30の各部にアクセスし易いように、貼付ユニット30がテープ貼付装置10の装置外に引き出される。
【0055】
また、各貼付ユニット30が独立して動作制御されていることにより、何れかの貼付ユニット30によるダイシングテープDTの貼り付けと並行して、他の貼付ユニット30のメンテナンス又はダイシングテープDTの切替や交換を行うことができる。
【0056】
このようにして、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、ダイシングフレームDF及びワークWを保持した状態で搬送路P内を移動可能な搬送テーブル23と、ダイシングテープDTをダイシングフレームDF及びワークWに貼り付ける複数の貼付ユニット30と、各貼付ユニット30の起動・停止をそれぞれ制御するコントローラ50と、を備えている構成とした。
【0057】
この構成によれば、複数の貼付ユニット30を個別に起動・停止を制御可能なため、何れかの貼付ユニット30によるダイシングテープDTの貼付と並行して、他の貼付ユニット30のメンテナンス又はダイシングテープDTの切替や交換を行えるため、テープ貼付装置10の稼働時間を長大化させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、貼付ユニット30が搬送路P外で待機する待機位置と貼付ユニット30が搬送路P内で搬送テーブル23に近接する貼付位置との間で、貼付ユニット30を移動可能な移動機構40をさらに備えている構成とした。
【0059】
この構成によれば、移動機構40が、テープ貼り付けを行う貼付ユニット30のみを貼付位置に移動させるとともに、他の貼付ユニット30を搬送テーブル23に干渉しない待機位置に待機させることにより、貼付ユニット30と搬送テーブル23との接触を回避することができる。
【0060】
また、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、移動機構40が、貼付ユニット30を装置外に引き出し可能に支持する上部引出ガイド45、下部引出ガイド46を備えている構成とした。
【0061】
この構成によれば、貼付ユニット30が装置外に簡便に引き出し可能なことにより、オペレータが貼付ユニット30の各部にアクセスし易くなり、ダイシングテープDTのセッティング作業や貼付ユニット30のメンテナンス作業を効率的に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、搬送路Pと搬送路P外で待機する貼付ユニット30とを隔てる開閉自在なシャッター12をさらに備えている構成とした。
【0063】
この構成によれば、オペレータが貼付ユニット30にアクセスする際に、高速で移動する搬送テーブル23に誤って接触することを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、ワークWの加工条件に対応するダイシングテープDTの種類情報を記憶するとともに、貼付ユニット30毎に、収容するダイシングテープDTの種類情報及び貼付ユニット30の位置情報を記憶する記憶装置52をさらに備え、コントローラ50は、入力されたワークWの加工条件に応じた種類のダイシングテープDTを収容する貼付ユニット30を駆動させる構成とした。
【0065】
この構成によれば、複数の貼付ユニット30のうち、入力されたワークWの加工条件に応じた適切なダイシングテープDTを収容する貼付ユニット30を選択することにより、多様なワークWの加工条件に対応することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、搬送テーブル23が、複数の貼付ユニット30のうちダイシングテープDTの貼り付けを実行するように選択された貼付ユニット30の近傍に移動し、選択された貼付ユニット30が、搬送テーブル23に保持されたダイシングフレームDF及びワークWにダイシングテープDTを貼り付ける構成とした。
【0067】
この構成によれば、搬送テーブル23が貼付位置に位置する貼付ユニット30の近傍に移動した後に、この貼付ユニット30がダイシングテープDTをダイシングフレームDF及びワークWに貼り付けることにより、貼付ユニット30によるダイシングテープDTの貼付をスムーズに実行することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るテープ貼付装置10は、移動機構40が、搬送テーブル23がダイシングフレームDF及びワークWを搬送する移動方向Dには移動しないように貼付ユニット30を支持している構成とした。
【0069】
例えば、貼付ユニット30が移動方向Dに沿って移動する構成を採用した場合には、貼付ユニット30の移動スペースを確保したり貼付ユニット30の移動を制御する制御装置が必要となる等してテープ貼付装置10が大型化し、装置の設置面積が拡大することが避けられず、また、テープ貼付装置10の構成が複雑になり、製造・組立・メンテナンス等の各種作業が煩雑となる。さらに、貼付ユニット30を移動させた後にダイシングテープDTを貼り付けるときには、搬送テーブル23に対する貼付ユニット30の相対的な位置関係を制御するアライメント制御が煩雑になり、ダイシングテープDTを適切に貼り付けることが難しくなる。一方、移動機構40が貼付ユニット30を移動方向Dには移動しないように支持していることにより、貼付ユニット30の移動スペースや移動制御の制御装置が不要となり、製造・組立・メンテナンス等の各種作業が簡便に行え、さらに、ダイシングテープDTを精度良く貼り付けることができる。
【0070】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、テープ貼付の際に適当なダイシングテープDTを収容する貼付ユニット30を降下させ、テープ切替等の際に貼付ユニット30を引出可能に支持する移動機構40を例示に説明したが、移動機構40の構成はこれに限定されるものではなく。
【0072】
例えば、複数の貼付ユニット30が搬送路Pの側方に移動方向Dに沿って並設され、テープ貼付の際に適当なダイシングテープDTを収容する貼付ユニット30を搬送路P内に進入するようにスライドさせ、テープ切替等の際に貼付ユニット30を上方に引出可能に支持する移動機構40であっても構わない。
【符号の説明】
【0073】
1 :加工装置
2 :ダイシング装置
10:テープ貼付装置
20:搬送ユニット
23:搬送テーブル
30:貼付ユニット
35:押圧ローラ
40:移動機構
41、41F、41R:支柱
42、42F、42R:昇降ガイドレール
43、43F、43R:昇降スライダ
44、44F、44R:シリンダ
45:上部引出ガイド
46:下部引出ガイド
50:コントローラ
DF:ダイシングフレーム
DT:ダイシングテープ
P :搬送路
W :ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12