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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067122
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230509BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230509BHJP
   B24B 49/03 20060101ALI20230509BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20230509BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
H01L21/306 J
H01L21/306 B
H01L21/304 622W
H01L21/304 631
B24B49/03 Z
B24B7/04 A
B24B49/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178117
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正志
(72)【発明者】
【氏名】丸本 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂口 慶介
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
5F043
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB91
3C034CA03
3C034CA13
3C034CA22
3C034CA30
3C034CB08
3C034CB14
3C034DD07
3C034DD10
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA14
3C043BA16
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD06
3C043EE04
5F043AA02
5F043BB01
5F043BB04
5F043DD01
5F043DD13
5F043DD30
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE36
5F043EE40
5F057AA02
5F057AA11
5F057AA19
5F057BA15
5F057BA19
5F057BA20
5F057BA28
5F057BB03
5F057CA14
5F057CA25
5F057DA01
5F057DA08
5F057DA11
5F057DA19
5F057DA29
5F057DA31
5F057DA38
5F057DA39
5F057EC30
5F057FA13
5F057FA30
5F057FA32
5F057FA33
5F057FA34
5F057GA01
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】基板処理後の基板表面形状を適切に制御する。
【解決手段】基板を処理する基板処理方法であって、第1の基板の表面に形成されたデバイス層の特徴を特定することと、薄化装置において前記第1の基板を薄化することと、薄化後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、薄化後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、前記薄化装置をフィードバック制御することと、前記デバイス層と同じ特徴を有するデバイス層を備えた第2の基板に対し、フィードバック制御された前記薄化装置での薄化を行うことと、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理方法であって、
第1の基板の表面に形成されたデバイス層の特徴を特定することと、
薄化装置において前記第1の基板を薄化することと、
薄化後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、
薄化後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、前記薄化装置をフィードバック制御することと、
前記デバイス層と同じ特徴を有するデバイス層を備えた第2の基板に対し、フィードバック制御された前記薄化装置での薄化を行うことと、を含む、基板処理方法。
【請求項2】
複数の前記第1の基板の厚み分布を平均化し、当該平均化された厚み分布に基づいて、前記薄化装置をフィードバック制御する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
基板を処理する基板処理方法であって、
第1の基板の表面に形成されたデバイス層の特徴を特定することと、
薄化装置において前記第1の基板を薄化することと、
エッチング装置において薄化後の前記第1の基板の裏面をエッチングすることと、
エッチング後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、
エッチング後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、前記薄化装置又は前記エッチング装置をフィードバック制御することと、
前記デバイス層と同じ特徴を有するデバイス層を備えた第2の基板に対し、フィードバック制御された前記薄化装置での薄化を行う、又はフィードバック制御された前記エッチング装置でのエッチングを行うことと、を含む、基板処理方法。
【請求項4】
複数の前記第1の基板の厚み分布を平均化し、当該平均化された厚み分布に基づいて、前記薄化装置又は前記エッチング装置をフィードバック制御する、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
薄化後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、
薄化後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、エッチング条件を決定することと、
前記エッチング装置において薄化後の前記第1の基板の裏面を前記エッチング条件でエッチングすることと、を含む、請求項3又は4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第1の基板の裏面側で赤外線を用いて前記デバイス層を検知して、当該デバイス層の特徴を特定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第1の基板の表面側で前記デバイス層を撮像して、当該デバイス層の特徴を特定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
基板を処理する基板処理システムであって、
基板を薄化する薄化装置と、
薄化後の基板の厚みを測定する厚み測定装置と、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
第1の基板の表面に形成されたデバイス層の特徴を特定することと、
前記薄化装置において前記第1の基板を薄化することと、
前記厚み測定装置において薄化後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、
薄化後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、前記薄化装置をフィードバック制御することと、
前記デバイス層と同じ特徴を有するデバイス層を備えた第2の基板に対し、フィードバック制御された前記薄化装置での薄化を行うことと、を実行する、基板処理システム。
【請求項9】
前記制御装置は、複数の前記第1の基板の厚み分布を平均化し、当該平均化された厚み分布に基づいて、前記薄化装置をフィードバック制御する、請求項8に記載の基板処理システム。
【請求項10】
基板を処理する基板処理システムであって、
基板を薄化する薄化装置と、
薄化後の基板の裏面をエッチングするエッチング装置と、
エッチング後の基板の厚みを測定する厚み測定装置と、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
第1の基板の表面に形成されたデバイス層の特徴を特定することと、
前記薄化装置において前記第1の基板を薄化することと、
前記エッチング装置において薄化後の前記第1の基板の裏面をエッチングすることと、
前記厚み測定装置においてエッチング後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、
エッチング後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、前記薄化装置又は前記エッチング装置をフィードバック制御することと、
前記デバイス層と同じ特徴を有するデバイス層を備えた第2の基板に対し、フィードバック制御された前記薄化装置での薄化を行う、又はフィードバック制御された前記エッチング装置でのエッチングを行うことと、を実行する、基板処理システム。
【請求項11】
前記制御装置は、複数の前記第1の基板の厚み分布を平均化し、当該平均化された厚み分布に基づいて、前記薄化装置又は前記エッチング装置をフィードバック制御する、請求項10に記載の基板処理システム。
【請求項12】
薄化後の基板の厚みを測定する他の厚み測定装置を有し、
前記制御装置は、
前記他の厚み測定装置において薄化後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、
薄化後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、エッチング条件を決定することと、
前記エッチング装置において薄化後の前記第1の基板の裏面を前記エッチング条件でエッチングすることと、を実行する、請求項10又は11に記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記第1の基板の裏面側で赤外線を用いて前記デバイス層を検知する検知部を有し、
前記制御装置は、前記検知部で検知した前記デバイス層の特徴を特定する、請求項8~12のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項14】
前記第1の基板の表面側で前記デバイス層を撮像する撮像部を有し、
前記制御装置は、前記撮像部で撮像した画像に基づいて、前記デバイス層の特徴を特定する、請求項8~12のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の表面を研削する研削工程と、研削された前記基板の厚さを測定する測定工程と、測定された前記基板の厚さに基づき、前記基板に対して行われるウェットエッチング処理の処理条件を決定する条件決定工程と、決定された前記処理条件に基づいて、研削された前記基板に処理液を供給してウェットエッチング処理を行う工程と、を含む基板処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板処理後の基板表面形状を適切に制御する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を処理する基板処理方法であって、第1の基板の表面に形成されたデバイス層の特徴を特定することと、薄化装置において前記第1の基板を薄化することと、薄化後の前記第1の基板の厚みを測定して、当該第1の基板の厚み分布を取得することと、薄化後に取得された前記第1の基板の厚み分布に基づいて、前記薄化装置をフィードバック制御することと、前記デバイス層と同じ特徴を有するデバイス層を備えた第2の基板に対し、フィードバック制御された前記薄化装置での薄化を行うことと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理後の基板表面形状を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ウェハ処理システムで処理される重合ウェハの一例を示す側面図である。
図2】ウェハ処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
図3】エッチング装置の構成の概略を示す側面図である。
図4】エッチング液供給部が径方向に移動する様子を示す説明図である。
図5】第1の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。
図6】第2の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。
図7】複数の異なるエッチング条件でウェハをエッチングした場合における、各々のエッチング量分布を示すグラフである。
図8】第3の実施形態にかかるウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。
図9】最適エッチング条件の決定方法の主な工程を示すフロー図である。
図10】複数のパーツの一例を示す説明図である。
図11】目標エッチング量分布の一例を示す説明図である。
図12】重ね合わせに用いるパーツの一例を示す説明図である。
図13】最適化された複数のパーツを重ね合わせた一例を示す説明図である。
図14】検知部の構成の概略を示す側面図である。
図15】撮像部の構成の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造工程では、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成された半導体基板(以下、「ウェハ」という。)を研削して薄化し、更に、当該ウェハの研削面を平滑化することが行われている。研削面の平滑化は、例えばウェハを回転させながら当該ウェハの研削面上方からエッチング液を供給する、いわゆるスピンエッチングにより行われる。
【0009】
上述した特許文献1には、研削後のウェハにウェットエッチング処理を行って、研削処理によりウェハの表面に形成されたダメージ層を除去することが開示されている。特許文献1に記載の条件決定工程では、測定工程で得られたウェハの厚さに基づいて、ウェットエッチング処理の条件として、処理液を供給するノズルの動作、ウェハの回転数、処理液の供給量、処理液の供給時間、処理液の種類等を決定している。そして、決定された処理条件に基づいてウェットエッチング処理を行うことで、ダメージ層が除去された後のウェハにおいて、表面の平坦度を向上させることを図っている。
【0010】
しかしながら、本発明者らが鋭意検討したところ、デバイスに起因して研削後のウェハの表面形状を適切に制御できない場合があることが分かった。例えば、ウェハ表面の中央部にデバイスが形成され、外周部にデバイスが形成されていない場合、当該ウェハにおいて中央部と外周部で硬さが異なる。また、デバイスの材料によっても、中央部と外周部で硬さが異なる。このため、ウェハを研削した際、中央部と外周部で研削量が異なり、研削後のウェハの表面形状が目標とする形状にならない場合がある。
【0011】
本開示にかかる技術は、基板処理後の基板表面形状を適切に制御する。以下、本実施形態にかかる基板処理システムとしてのウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
本実施形態にかかる後述のウェハ処理システム1では、図1に示すように第1のウェハWと、第2のウェハSとが接合された基板としての重合ウェハTに対して処理を行う。以下、第1のウェハWにおいて、第2のウェハSと接合される側の面を表面Waといい、表面Waと反対側の面を裏面Wbという。同様に、第2のウェハSにおいて、第1のウェハWと接合される側の面を表面Saといい、表面Saと反対側の面を裏面Sbという。
【0013】
第1のウェハWは、例えばシリコン基板等の半導体ウェハであって、表面Wa側に複数のデバイスを含むデバイス層Dwが形成されている。また、デバイス層Dwには更に接合用膜Fwが形成され、当該接合用膜Fwを介して第2のウェハSと接合されている。接合用膜Fwとしては、例えば酸化膜(THOX膜、SiO膜、TEOS膜)、SiC膜、SiCN膜又は接着剤などが用いられる。
【0014】
第2のウェハSは、例えば第1のウェハWと同様の構成を有しており、表面Saにはデバイス層Ds及び接合用膜Fsが形成されている。なお、第2のウェハSはデバイス層Dsが形成されたデバイスウェハである必要はなく、例えば第1のウェハWを支持する支持ウェハであってもよい。かかる場合、第2のウェハSは第1のウェハWのデバイス層Dwを保護する保護材として機能する。
【0015】
図2に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2では、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCが搬入出される。処理ステーション3は、重合ウェハTに対して所望の処理を施す各種処理装置を備えている。なお、以下の説明において、カセットCに収容された複数の重合ウェハTを1ロットという。
【0016】
搬入出ステーション2には、複数、例えば3つのカセットCを載置するカセット載置台10が設けられている。また、カセット載置台10のX軸負方向側には、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送装置20が設けられている。ウェハ搬送装置20は、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置20は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム22、22を有している。各搬送アーム22は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム22の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置20は、カセット載置台10のカセットC、及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
【0017】
搬入出ステーション2には、ウェハ搬送装置20のX軸負方向側において、当該ウェハ搬送装置20に隣接して、重合ウェハTを処理ステーション3との間で受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
【0018】
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックB1~B3が設けられている。第1の処理ブロックB1、第2の処理ブロックB2、及び第3の処理ブロックB3は、X軸正方向側(搬入出ステーション2側)から負方向側にこの順で並べて配置されている。
【0019】
第1の処理ブロックB1には、エッチング装置40、厚み測定装置41及びウェハ搬送装置50が設けられている。エッチング装置40と厚み測定装置41は、積層して配置されている。なお、エッチング装置40と厚み測定装置41の数や配置はこれに限定されない。
【0020】
エッチング装置40は、後述の加工装置80における研削後の第1のウェハWの裏面Wb(研削面)をエッチングし、研削後の第1のウェハW(重合ウェハT)の更なる薄化を行うとともに、研削処理により生じた研削痕の除去により研削面を平滑化する。なお、エッチング装置40の詳細な構成は後述する。
【0021】
厚み測定装置41は、一例において測定部(図示せず)と算出部(図示せず)を備える。測定部は、エッチング後の第1のウェハWの厚みを複数点で測定するセンサを備える。算出部は、測定部による測定結果(第1のウェハWの厚み)から第1のウェハWの厚み分布を取得し、更に第1のウェハWの平坦度(TTV:Total Thickness Variation)を算出する。なお、かかる第1のウェハWの厚み分布及び平坦度の算出は、当該算出部に代えて、後述の制御装置90で行われてもよい。換言すれば、後述の制御装置90内に算出部(図示せず)が設けられてもよい。なお、厚み測定装置41の構成はこれに限定されず、任意に構成できる。
【0022】
ウェハ搬送装置50は、トランジション装置30のX軸負方向側に配置されている。ウェハ搬送装置50は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム51、51を有している。各搬送アーム51は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸回りに移動自在に構成されている。そしてウェハ搬送装置50は、トランジション装置30、エッチング装置40、厚み測定装置41、後述の洗浄装置60、後述の厚み測定装置61及び後述するバッファ装置62に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
【0023】
第2の処理ブロックB2には、洗浄装置60、厚み測定装置61、バッファ装置62及びウェハ搬送装置70が設けられている。洗浄装置60、厚み測定装置61及びバッファ装置62は、積層して配置されている。なお、洗浄装置60、厚み測定装置61及びバッファ装置62の数や配置はこれに限定されない。
【0024】
洗浄装置60は、後述の加工装置80における研削後の第1のウェハWの裏面Wb(研削面)を洗浄する。例えば裏面Wbにブラシを当接させて、当該裏面Wbをスクラブ洗浄する。なお、第1のウェハWの洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、洗浄装置60は、第1のウェハWを洗浄する際、第2のウェハSの裏面Sbを同時に洗浄可能に構成されていてもよい。
【0025】
厚み測定装置61は、一例において測定部(図示せず)と算出部(図示せず)を備える。測定部は、研削後の第1のウェハWの厚みを複数点で測定するセンサを備える。算出部は、測定部による測定結果(第1のウェハWの厚み)から第1のウェハWの厚み分布を取得し、更に第1のウェハWの平坦度(TTV)を算出する。なお、かかる第1のウェハWの厚み分布及び平坦度の算出は、当該算出部に代えて、後述の制御装置90で行われてもよい。換言すれば、後述の制御装置90内に算出部(図示せず)が設けられてもよい。なお、厚み測定装置61の構成はこれに限定されず、任意に構成できる。
【0026】
バッファ装置62は、第1の処理ブロックB1から第2の処理ブロックB2に受け渡される処理前の重合ウェハTを一時的に保持する。バッファ装置62の構成は任意である。なお、バッファ装置62は、後述するチャック83に対する重合ウェハTの中心位置、及び/又は重合ウェハTの水平方向の向きを調整するアライメント機構(図示せず)を有していてもよい。また、バッファ装置62は、第2のウェハSの厚みを測定する厚み測定部(図示せず)を有していてもよい。
【0027】
ウェハ搬送装置70は、例えば洗浄装置60、厚み測定装置61及びバッファ装置62のY軸正方向側に配置されている。ウェハ搬送装置70は、重合ウェハTを図示しない吸着保持面により吸着保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム71、71を有している。各搬送アーム71は、多関節のアーム部材72に支持され、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸回りに移動自在に構成されている。そしてウェハ搬送装置70は、エッチング装置40、厚み測定装置41、洗浄装置60、厚み測定装置61、バッファ装置62及び後述する加工装置80に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
【0028】
第3の処理ブロックB3には、加工装置80が設けられている。加工装置80は、第1のウェハWを研削して薄化し、本開示における薄化装置として機能する。
【0029】
加工装置80は、回転テーブル81を有している。回転テーブル81は、回転機構(図示せず)によって、鉛直な回転中心線82を中心に回転自在に構成されている。回転テーブル81上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック83が2つ設けられている。チャック83は、回転テーブル81と同一円周上に均等に配置されている。2つのチャック83は、回転テーブル81が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1に移動可能になっている。また、2つのチャック83はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0030】
受渡位置A0では、重合ウェハTの受け渡しが行われる。加工位置A1には、研削ユニット84が配置され、第2のウェハSをチャック83で吸着保持した状態で第1のウェハWを研削する。研削ユニット84は、環状形状で回転自在な研削砥石(図示せず)を備えた研削部85を有している。また研削部85は、支柱86に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0031】
なお、加工装置80の構成はこれに限定されるものではない。例えば、回転テーブル81上に4つのチャック83を設け、当該4つのチャック83が、重合ウェハTの受渡位置、第1のウェハWの粗研削を行う粗研削部(図示せず)、第1のウェハWの中研削を行う中研削部(図示せず)及び第1のウェハWの仕上げ研削を行う仕上研削部(図示せず)の間で移動可能に構成されてもよい。また、例えば加工装置80には、研削後の第1のウェハWの厚みを複数点で測定する厚み測定装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0032】
以上のウェハ処理システム1には、制御装置90が設けられている。制御装置90は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置90にインストールされたものであってもよい。また、上記記憶媒体Hは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
【0033】
次に、上述したエッチング装置40の構成について説明する。図3に示すようにエッチング装置40は、基板保持部としてのウェハ保持部100と、回転機構101と、エッチング液供給部102とを有している。
【0034】
ウェハ保持部100は、重合ウェハTの外縁部を複数点、本実施形態においては3点で保持する。なお、ウェハ保持部100の構成は図示の例には限定されず、例えばウェハ保持部100は、重合ウェハTを下方から吸着保持するチャックを備えていてもよい。回転機構101は、ウェハ保持部100に保持された重合ウェハT(第1のウェハW)を鉛直な回転中心線100aを中心に回転させる。
【0035】
エッチング液供給部102は、一例として、ウェハ保持部100に保持された第1のウェハWの裏面Wbにエッチング液Eを供給するノズルを有する。エッチング液供給部102は、ウェハ保持部100の上方に設けられ、移動機構103によって水平方向及び鉛直方向に移動可能に構成されている。一例においてエッチング液供給部102は、ウェハ保持部100の回転中心線100aを通って、すなわち、図4に示すように第1のウェハWの中心部上方を通って往復移動(スキャン移動)可能に構成される。
【0036】
エッチング液Eには、エッチング対象となり得る第1のウェハWのシリコンを適切にエッチングするため、少なくともフッ酸、硝酸、又は混酸が含まれている。また、エッチング液Eには、リン酸又は硫酸が含まれていてもよい。なお、エッチング対象は、第1のウェハWに限定されず、例えばアモルファスシリコンであってもよい。
【0037】
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われる、ウェハ処理の第1の実施形態について説明する。なお本実施形態では、予めウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において重合ウェハTが形成されている。また、第1のウェハWの周縁部、例えば第1のウェハWの外端部から径方向に0.5mm~3mmの範囲は、予め除去されていてもよい。
【0038】
なお、以下の説明において、処理対象を重合ウェハTm-nで表記する場合がある。mはロット番号を示し、nは1ロット中の重合ウェハTの番号を示す。例えば重合ウェハT1-1は、第1のロットの1番目の重合ウェハTである。第1のウェハWと第2のウェハSについても、同様にWm-nとSm-nで表記する場合がある。また、各ロットにおいて、複数、例えば25枚の重合ウェハTにおいて、デバイス層Dw、Dsは同じ特徴を有している。
【0039】
ウェハ処理システム1でのウェハ処理に先だって、第1のロットの複数の重合ウェハT1-1~T1-25における、デバイス層Dw、Dsの同じ特徴を特定する(図5のステップS11)。例えばオペレータによって、デバイス層Dw、Dsの特徴が入力され、制御装置90に出力される。具体的には、オペレータによって、デバイス層Dw、Dsの特徴に対応した名称及び番号、例えばデバイス1、レイヤ2等が入力される。また、オペレータが入力しない場合のデバイス層Dw、Dsの特徴には、例えばデバイス層Dw、Dsの材料、厚み(例えば、撮像画像におけるグレー値)、平面視における大きさ、デバイスのパターン、大きさのピッチ(例えば、パターンとパターンの間のピッチ)等が含まれる。
【0040】
ウェハ処理では、先ず、デバイス層Dw、Dsの特徴が第1のロットの複数の重合ウェハT1-1~T1-25を収納したカセットCが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。次に、ウェハ搬送装置20によりカセットC内の1番目の重合ウェハT1-1が取り出され、トランジション装置30に搬送される。トランジション装置30に搬送された重合ウェハT1-1は、ウェハ搬送装置50によりバッファ装置62に搬送される。なお、バッファ装置62では、チャック83に対する重合ウェハT1-1の中心位置、及び/又は重合ウェハT1-1の水平方向の向きを調整してもよい。
【0041】
次に、重合ウェハT1-1はウェハ搬送装置70により加工装置80に搬送され、受渡位置A0のチャック83に受け渡される。チャック83では、第2のウェハS1-1の裏面Sbが吸着保持される。次に、チャック83を加工位置A1に移動させ、研削ユニット84によって第1のウェハW1-1の裏面Wbを研削する。かかる研削処理により、第1のウェハW1-1(重合ウェハT1-1)の厚みを所望の研削目標厚みまで減少させる(図5のステップS12)。
【0042】
次に、重合ウェハT1-1はウェハ搬送装置70により厚み測定装置61に搬送される。厚み測定装置61では、研削後の第1のウェハW1-1(重合ウェハT1-1)の厚みを複数点で測定することで第1のウェハW1-1の研削後の厚み分布を取得し、更に第1のウェハW1-1の平坦度を算出する(図5のステップS13)。算出された第1のウェハW1-1の厚み分布及び平坦度は例えば制御装置90に出力される。なお、加工装置80に厚み測定装置が設けられている場合、研削後の第1のウェハW1-1の厚みは、当該加工装置80の厚み測定装置で測定してもよい。
【0043】
制御装置90では、研削後の第1のウェハW1-1の厚み分布をデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶される(図5のステップS14)。
【0044】
また、制御装置90では、第1のウェハW1-1の厚み分布に基づいて、加工装置80をフィードバック制御する。具体的に、チャック83の表面と研削部85の研削砥石の表面との平行度が調整される、いわゆるチルト補正が行われる。このチルト補正は、同じ第1のロットにおける次の2番目の第1のウェハW1-2を研削する際に行われる場合と、次の第2のロットにおける第1のウェハW2-1~W2-25を研削する際に行われる場合とがある。これらのチルト補正の詳細については後述する。また、第1のウェハW1-1は研削部85に戻されて、チルト補正が行われた研削部85を用いて、当該第1のウェハW1-1の裏面Wbが再研削されてもよい。
【0045】
次に、重合ウェハT1-1は、ウェハ搬送装置70又はウェハ搬送装置50により洗浄装置60に搬送される。洗浄装置60では、研削後の第1のウェハW1-1の研削面である裏面Wbを洗浄する(図5のステップS15)。また、洗浄装置60では、上述したように第2のウェハSの裏面Sbが洗浄されてもよい。なお、本実施形態のように厚み測定装置61で研削後の厚みを測定する場合、ステップS13及びステップS14と、ステップS15との順序は逆でもよい。すなわち、洗浄装置60で第1のウェハW1-1の裏面Wbを洗浄した後、厚み測定装置61での第1のウェハW1-1の厚みを測定し、第1のウェハW1-1の厚み分布を記憶してもよい。
【0046】
次に、重合ウェハT1-1はウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では、第1のウェハW1-1の研削面である裏面Wbがエッチング液Eによりエッチングされる(図5のステップS16)。
【0047】
第1のウェハW1-1のエッチングに際しては、先ず、ウェハ保持部100(第1のウェハW1-1)を鉛直な回転中心線100aを中心に回転させるとともに、エッチング液供給部102からのエッチング液Eの供給(吐出)を開始し、裏面Wbのエッチングを開始する。
【0048】
第1のウェハW1-1のエッチングに際しては、エッチング液供給部102からのエッチング液Eの供給を継続しながら、図4に示したようにエッチング液供給部102を第1のウェハW1-1の回転中心の上方、すなわち回転中心線100aを通るように、当該回転中心線100aを中間点として往復移動(スキャン)させる。
【0049】
第1のウェハW1-1に所望のエッチング量が得られると、エッチング液供給部102からのエッチング液Eの供給を停止し、第1のウェハW1-1の裏面Wbを純水でリンスした後、振り切り乾燥させる。その後、ウェハ保持部100(第1のウェハW1-1)の回転を停止し、第1のウェハW1-1のエッチングを終了する。
【0050】
次に、重合ウェハT1-1はウェハ搬送装置50により厚み測定装置41に搬送される。厚み測定装置41では、エッチング後の第1のウェハW1-1(重合ウェハT1-1)の厚みを複数点で測定することで第1のウェハW1-1のエッチング後の厚み分布を取得し、更に第1のウェハW1-1の平坦度を算出する(図5のステップS17)。算出された第1のウェハW1-1の厚み分布及び平坦度は例えば制御装置90に出力される。なお、加工装置80の厚み測定装置で研削後の第1のウェハW1-1の厚みを測定する場合、厚み測定装置61において、エッチング後の第1のウェハW1-1の厚みを測定してもよい。
【0051】
その後、全ての処理が施された重合ウェハT1-1は、トランジション装置30を介してカセット載置台10のカセットCに搬送される。
【0052】
このように第1のロットの1番目の重合ウェハT1-1に対するウェハ処理に並行して、同じ第1のロットの後続の重合ウェハT1-2~T1-25に順次ステップS12~S17のウェハ処理が行われる。
【0053】
ここで、1番目の重合ウェハT1-1に対し、ステップS13において第1のウェハW1-1の厚み分布が取得され、当該厚み分布に基づいてチャック83と研削部85のチルト補正が行われる。そうすると、2番目の重合ウェハT1-2に対し、ステップS12において第1のウェハW1-2の裏面Wbを研削する際には、チルト補正が行われたチャック83と研削部85が用いられる。後続の第1のウェハW1-3~W1-25を研削する際も同様である。
【0054】
しかしながら、本発明者らが鋭意検討したところ、第1のロットに対してチルト補正が行われたチャック83と研削部85を用いても、第1のウェハW1-1~W1-25の表面形状が適切に制御できない場合があることが分かった。従来、研削されない側の第2のウェハS1-1~S1-25の厚みや装置の特性の影響を抑制するための対策としてチルト補正が行われるが、デバイス構造によっては、このチルト補正だけでは第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布及び平坦度が向上しないことが分かった。すなわち、第1のウェハW1-1~W1-25の表面形状を制御できない原因が、デバイス層Dw、Dsに起因することを見出した。例えば、重合ウェハT1-2~T1-25の中央部にデバイス層Dw、Dsが形成され、外周部にデバイスが形成されていない場合、当該重合ウェハT1-2~T1-25において中央部と外周部で硬さが異なる。また、デバイス層Dw、Dsの材料によっても、中央部と外周部で硬さが異なる。このため、第1のウェハW1-3~W1-25を研削した際、中央部と外周部で研削量が異なり、研削後の表面形状が目標とする形状にならない場合がある。
【0055】
そこで本実施形態では、デバイス層Dw、Dsの特徴がロット毎に同じであるため、当該デバイス層Dw、Dsの影響を無くすように、同じデバイス構造毎に加工装置80をフィードバック制御する(図5中のFB)。
【0056】
具体的には、先ず、ステップS11において、第1のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴を特定し、制御装置90に記憶する。その後、同じ第1のロットの重合ウェハT1-2~T1-25に対してステップS12~S17を行う。ステップS13では、研削後の複数の第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布を取得する。ステップS14では、第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布を、ステップS11で特定されたデバイス層Dw、Dsの特徴と関連付けて記憶する。制御装置90では、取得された第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布を平均化する。そしてこの厚み分布が、当該デバイス層Dw、Dsに起因して発生する厚み分布(以下、「残渣厚み分布」という場合がある。)として記憶される。
【0057】
次に、ステップS11において、第2のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴を特定し、制御装置90に記憶する。この第2のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴と、上記第1のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴が同じである場合、制御装置90は、上記第1のロットにおける残渣厚み分布に基づいて、加工装置80をフィードバック制御する(図5中のFB)。具体的に加工装置80では、第1のロットにおける残渣厚み分布に基づいて、チャック83と研削部85のチルト補正が行われる。
【0058】
かかる場合、第2のロットに対し、ステップS12において第1のウェハW2-1~W2-25を研削する際、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布を補正するようにチルト補正が行われているので、当該デバイス層Dw、Dsの影響を抑制することができる。換言すれば、デバイス構造の特性の影響をチルト補正に加えることで、第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布及び平坦度を向上させることができる。その結果、第2のロットの第1のウェハW2-1~W2-25の表面形状を適切に制御することができる。
【0059】
また、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布が把握できるので、第2のロットの第1のウェハW2-1~W2-25の表面形状を、例えばV字型、A字型、M字型、W字型等、任意に制御することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、加工装置80のフィードバック制御を行うため、ステップS14において第1のロットの第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布をデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶したが、第1のウェハW1-1~W1-25に代えて、デイバイ層を備えたダミーウェハを用いてもよい。すなわち、ステップS14において、ダミーウェハを用いてデバイス構造の特性に基づく残渣厚み分布を把握しておく。この際、複数のダミーウェハの厚み分布を平均化して、残渣厚み分布を算出してもよい。そして、ダミーウェハのデバイス層の特徴と、後続のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴が同じである場合、ダミーウェハの残渣厚み分布に基づいて、加工装置80をフィードバック制御する。
【0061】
また、本実施形態では、同一ロットのデバイス層Dw、Dsは同じ特徴を有していたが、同一ロット内でデバイス層Dw、Dsの特徴がウェハ毎に異なっていてもよい。例えば第1のロットの重合ウェハT1-1~T1-25においてデバイス層Dw、Dsの特徴が異なる場合、ステップS14において、第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布がウェハ毎にデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶される。そして、第2のロットの重合ウェハT2-1~T2-25に対しては、デバイス層Dw、Dsの特徴が合致する残渣厚み分布に基づいて加工装置80がフィードバック制御される。すなわち、デバイス層Dw、Dsの特徴に応じてフィードバック制御された加工装置80を用いて、第1のウェハW2-1~W2-25の裏面Wbがそれぞれ適切に研削される。
【0062】
また、ロット単位ではなく、1枚又は複数枚の第1のウェハWに対し、ステップS14において第1のウェハWの厚み分布をデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶し、加工装置80をフィードバック制御してもよい。例えばステップS14において、第1のウェハW1-1の厚み分布がデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶される。そして、次の重合ウェハT1-2のデバイス層Dw、Dsの特徴が、前の重合ウェハT1-1のデバイス層Dw、Dsの特徴と同じである場合、第1のウェハW1-1の残渣厚み分布に基づいて加工装置80がフィードバック制御され、第1のウェハW1-2の裏面Wbが研削される。また、例えばステップS14において、複数の第1のウェハW1-1~W1-3の厚み分布をデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶し、これら第1のウェハW1-1~W1-3の残渣厚み分布に基づいて、加工装置80をフィードバック制御してもよい。
【0063】
なお、ロット単位又は複数のウェハ単位で、第1のウェハWの厚み分布をデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶し、これら厚み分布を平均化する方が、加工装置80へのフィードバック制御の精度を高くすることができる。
【0064】
次に、ウェハ処理の第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、研削後の第1のウェハWの厚みを測定して厚み分布を記憶し、研削後の残渣厚み分布に基づいて加工装置80をフィードバック制御した。これに対して、第2の実施形態では、エッチング後の第1のウェハWの厚みを測定して厚み分布を記憶し、エッチング後の残渣厚み分布に基づいて加工装置80又はエッチング装置40をフィードバック制御する。
【0065】
第2の実施形態では、第1のロットの1番目の重合ウェハT1-1に対し、デバイス層Dw、Dsの特徴の特定(図6のステップS21)、第1のウェハW1-1の裏面Wbの研削(図6のステップS22)、第1のウェハW1-1の裏面Wbの洗浄(図6のステップS23)、第1のウェハW1-1の裏面Wbのエッチング(図6のステップS24)、エッチング後の第1のウェハW1-1の厚み測定(図6のステップS25)が順次行われる。なお、これらステップS21~S25はそれぞれ、第1の実施形態のステップS11、S12、S15、S16、S17と同様である。また、第2の実施形態においても、第1の実施形態のステップS13における研削後の第1のウェハW1-1の厚み測定と、ステップS14における研削後の第1のウェハW1-1の厚み分布の記憶とを行ってもよい。
【0066】
ステップS25では、エッチング後の第1のウェハW1-1の厚みを測定することで第1のウェハW1-1の厚み分布を取得し、更に第1のウェハW1-1の平坦度を算出する。算出された第1のウェハW1-1の厚み分布及び平坦度は例えば制御装置90に出力される。制御装置90では、エッチング後の第1のウェハW1-1の厚み分布をデバイス層Dw、Dsに関連付けて記憶される(図6のステップS26)。
【0067】
このように第1のロットの1番目の重合ウェハT1-1に対するウェハ処理に並行して、同じ第1のロットの後続の重合ウェハT1-2~T1-25に順次ステップS22~S26のウェハ処理が行われる。
【0068】
第1ロットに対し、ステップS25では、エッチング後の複数の第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布を取得する。ステップS26では、第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布を、ステップS21で特定されたデバイス層Dw、Dsの特徴と関連付けて記憶される。制御装置90では、取得された第1のウェハW1-1~W1-25の厚み分布を平均化する。この厚み分布は、当該デバイス層Dw、Dsに起因して発生する残渣厚み分布として記憶される。
【0069】
次に、ステップS21において、第2のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴を特定し、制御装置90に記憶する。この第2のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴と、上記第1のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴が同じである場合、制御装置90は、上記第1のロットにおける残渣厚み分布に基づいて、加工装置80をフィードバック制御する(図6中のFB1)、又はエッチング装置40をフィードバック制御する(図6中のFB2)。
【0070】
加工装置80をフィードバック制御する場合、第1のロットにおける残渣厚み分布に基づいて、チャック83と研削部85のチルト補正が行われる。エッチング装置40をフィードバック制御する場合、エッチング条件、例えば重合ウェハTの回転速度、エッチング液供給部102のスキャン速度、エッチング液供給部102のスキャン幅(図4のスキャン幅Lを参照)等が補正される。
【0071】
かかる場合、第2のロットに対し、ステップS22において第1のウェハW2-1~W2-25を研削する際、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布を補正するようにチルト補正が行われているので、当該デバイス層Dw、Dsの影響を抑制することができる。同様に、第2のロットに対し、ステップS24において第1のウェハW2-1~W2-25をエッチングする際、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布を補正するようにエッチング条件が補正されているので、当該デバイス層Dw、Dsの影響を抑制することができる。その結果、第2のロットの第1のウェハW2-1~W2-25の表面形状を適切に制御することができる。
【0072】
また、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布が把握できるので、第2のロットの第1のウェハW2-1~W2-25の表面形状を、例えばV字型、A字型、M字型、W字型等、任意に制御することができる。
【0073】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、加工装置80へのフィードバック制御は、ロット内の1枚又は複数の第1のウェハWを用いてもよいし、ダミーウェハを用いてもよい。
【0074】
次に、ウェハ処理の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第2の実形態のウェハ処理において、研削後に第1のウェハWの厚み分布を取得し、当該第1のウェハWの厚み分布に基づいてエッチング装置40(エッチング条件)をフィードフォワード制御する。
【0075】
ここで、本発明者らは、複数の異なるエッチング条件(エッチングレシピ)で第1のウェハWをエッチングした際の、ウェハ径方向のエッチング量分布(エッチングプロファイル)を取得し、当該複数のエッチング量分布を重ね合わせることで、エッチング処理後の第1のウェハWの表面形状を制御できる可能性を見出した。
【0076】
本エッチング処理では、上述したように第1のウェハWを回転させるとともに、エッチング液供給部102を第1のウェハWの中心を通る径方向に移動させながら、当該エッチング液供給部102からエッチング液を供給する。エッチング液供給部102は、第1のウェハWの両端部間において複数回、往復移動させる。なお、以下の説明では、第1のウェハWの両端部間におけるエッチング液供給部102の往復移動を1ループとする。
【0077】
図7は、複数の異なるエッチング条件で第1のウェハWをエッチングした場合における、各々のエッチング量分布を示すグラフである。図7の横軸は、第1のウェハWの中心(横軸の0(ゼロ))から外端(横軸のR)までの径方向位置を示し、縦軸はエッチング量を示す。
【0078】
図7中の比較例1(一点鎖線)は、第1のウェハWの回転速度が200rpmとなる条件Aでのエッチング処理のみを実施した場合のエッチング量分布を示している。比較例2(二点鎖線)は、第1のウェハWの回転速度が1000rpmとなる条件Bでのエッチング処理のみを実施した場合のエッチング量分布を示している。これに対して、実施例1(太実線)は、条件Aと条件Bを時間(ループ回数)比率1:1で実施した場合のエッチング量分布を示している。細実線は、実施例1のエッチング条件におけるエッチング量分布の計算値である。この計算値は、比較例1のエッチング量分布の1/2と比較例2のエッチング量分布の1/2を足し合わせたものである。実施例2(太破線)は、条件Aと条件Bを時間比率5:1で実施した場合のエッチング量分布を示している。細破線は、実施例2のエッチング条件におけるエッチング量分布の計算値である。この計算値は、比較例1のエッチング量分布の5/6と比較例2のエッチング量分布の1/6を足し合わせたものである。なお、比較例1、2及び実施例1、2のいずれにおいても、第1のウェハWの回転速度以外のエッチング条件は同様とした。
【0079】
かかる場合、図7に示されるように、条件Aと条件Bを時間比率1:1で実施した実施例1のエッチング量分布の実測値は、比較例1のエッチング量分布と比較例2のエッチング量分布の平均値(計算値)と略一致することが確認された。また、条件Aと条件Bを時間比率5:1で実施した実施例2のエッチング量分布の実測値は、比較例1のエッチング量分布と比較例2のエッチング量分布を時間比率で按分した比例配分値(計算値)と略一致することが確認された。このように、実測値と計算値が略一致していることから、重ね合わせ後のエッチング量分布が正確であることが分かった。
【0080】
更に、実施例1と実施例2を比較すると、実施例1では第1のウェハW中心のエッチング量が外周に比べて少ないのに対し、実施例2ではエッチング量分布はウェハ面内で均一になっている。換言すれば、時間比率を調整することで、任意のエッチング量分布が得られることが分かった。
【0081】
以上のように複数のエッチング条件に対応するエッチング量分布を重ね合わせることで、エッチング処理後の第1のウェハWの表面形状も重ね合わせて制御できる。そして本発明らは、複数のエッチング条件に対して時間比率(ループ回数比率)を調整することで、エッチング量分布を制御して、エッチング処理後の第1のウェハWの表面形状を制御することができることを見出した。
【0082】
ウェハ処理の第3の実施形態は、かかる知見に基づくものである。第3の実施形態では、第1のロットの1番目の重合ウェハT1-1に対し、デバイス層Dw、Dsの特徴の特定(図8のステップS31)、第1のウェハW1-1の裏面Wbの研削(図8のステップS32)、研削後の第1のウェハW1-1の厚み測定(図8のステップS33)が順次行われる。なお、これらステップS31~S33はそれぞれ、第1の実施形態のステップS11~S13と同様である。
【0083】
ステップ33で算出された第1のウェハW1-1の厚み分布及び平坦度は例えば制御装置90に出力される。制御装置90では、出力された第1のウェハW1-1の厚み分布及び平坦度から、後続のエッチング処理における最適エッチング条件を決定する(図8のステップS34)。制御装置90における最適エッチング条件の詳細な決定方法については後述する。
【0084】
その後、第1のウェハW1-1の裏面Wbの洗浄(図8のステップS35)、第1のウェハW1-1の裏面Wbのエッチング(図8のステップS36)、エッチング後の第1のウェハW1-1の厚み測定(図8のステップS37)、エッチング後の第1のウェハW1-1の厚み分布の記憶(図8のステップS38)が順次行われる。なお、これらステップS35~S38はそれぞれ、第2の実施形態のステップS23~S26と同様である。
【0085】
ここで、ステップS36では、ステップS34で決定された最適エッチング条件で、第1のウェハW1-1の裏面Wbがエッチングされる。なお、第1のウェハW1-1の回転速度、エッチング液供給部102のスキャン幅、及びエッチング液供給部102を往復移動させる際のスキャン速度等のエッチング条件の詳細な決定方法については後述する。
【0086】
次に、上述した最適エッチング条件の詳細な決定方法(図8のステップS34)について説明する。
【0087】
先ず、最適エッチング条件の決定に際しては、ウェハ処理システム1における重合ウェハTに対する処理に先立って、後述の最適化処理において用いられる複数のパーツを取得する(図9のステップS34-0)。なお、パーツは、あるエッチング条件に対する第1のウェハWのエッチング量分布である。
【0088】
ステップS34-0では、例えば複数の異なるエッチング条件でダミーウェハに対してエッチングを行う。具体的には、例えばエッチング時のダミーウェハの回転速度、エッチング液供給部102のスキャン速度、又は、エッチング液供給部102のスキャン幅(図4のスキャン幅Lを参照)等を変更して、ダミーウェハのエッチングを行う。この際、各ダミーウェハに対するエッチングの処理時間は同じである。ダミーウェハのエッチングは、ステップS36におけるエッチングと同様に、ダミーウェハを回転させるともに、エッチング液供給部102を往復移動させながら、エッチング液供給部102からダミーウェハにエッチング液Eを供給して行う。以下の説明では、ダミーウェハの両端部間におけるエッチング液供給部102の往復移動を1ループとする。
【0089】
各エッチング条件でのダミーウェハのエッチングは、予め決められた所望の時間(所望のループ回数)で実施される。そして、ダミーウェハのエッチング量分布が取得され、当該エッチング量分布は制御装置90に出力される。更に制御装置90では、出力された各エッチング条件でのエッチング量分布を単位時間(単位ループ回数)でのエッチング量分布に圧縮し、当該圧縮された各々のエッチング量分布を、上記パーツとして記憶する。
【0090】
図10は、複数のパーツの一例を示す。図10の横軸は、ウェハの中心(横軸の0(ゼロ))から外端(横軸の±R)までの径方向位置を示し、縦軸はエッチング量を示す。図10に示した例は、合計36種類のパーツが制御装置90に記憶された場合であり、換言すれば、合計36種類の異なるエッチング条件でエッチング量分布を取得した場合の例である。
【0091】
なお、上記単位時間(単位ループ回数)は目的に応じて任意に設定できるが、後述のパーツの重ね合わせにおいて適切に目標となるエッチング量分布を取得するため、単位時間(単位ループ回数)は短いことが望ましい。一例において、制御装置90に記憶されるパーツの単位時間は1ループ(図4に示したスキャン幅Lの一往復)分の時間、好ましくは0.5ループ(図4に示したスキャン幅Lの半往復)分の時間であり得る。
【0092】
なお、上記においてはダミーウェハのエッチングにより上記パーツを取得する場合を例に説明を行ったが、パーツを取得する際のエッチング対象はダミーウェハには限定されない。具体的には、例えばウェハ処理システム1で実処理される第1のウェハWのエッチング処理結果を、上記パーツとして記憶するようにしてもよい。
【0093】
本開示にかかるウェハ処理システム1でのウェハ処理に際しては、このように取得された複数のパーツ(図10)を用いて最適エッチング条件の決定を行う。
【0094】
先ず、エッチング後の目標とするエッチング後の第1のウェハW1-1の表面形状(以下、「目標形状」という。)における厚み分布と、上記ステップS33で取得された研削後の第1のウェハWの表面形状(以下、「実測形状」という。)における厚み分布とに基づいて、上記ステップS36のエッチング処理における目標エッチング量分布を取得する(図9のステップS34-1)。エッチング処理の目標エッチング量分布は、一例として第1のウェハWの目標形状の厚み分布と実測形状の厚み分布との差分を算出することで取得できる。
【0095】
図11は目標エッチング量分布の一例であり、本例では目標エッチング量分布はV字型形状である。なお、目標エッチング量分布の形状は、V字型形状に限定されない。すなわち、第1のウェハW1-1の目標形状の厚み分布と実測形状の厚み分布との差分に基づいて、目標エッチング量分布はV字型、A字型、M字型、W字型等、種々の形状となり得る。
【0096】
次に、複数のパーツを重ね合わせて、上記ステップS34-1で取得された目標エッチング量分布になるように、最適化手法を用いて、重ね合わせに用いるパーツと、当該パーツの重ね合わせ回数を最適化する(図9のステップS34-2)。
【0097】
ステップS34-2では、例えばエッチング量分布の制御をナップサック問題に当てはめて、パーツとパーツの重ね合わせ回数を最適化する。例えば、エッチング量分布がナップサック問題のナップサックであって、パーツがナップサック問題のアイテムである。そして、重ね合わせたエッチング量分布と、目標エッチング量分布との差分が最小になるように、パーツとパーツの重ね合わせ回数を最適化する。
【0098】
この最適化手法としては、例えば遺伝的アルゴリズムや動的計画法を用いることができる。そして、最適化計算を実行することにより、図10に示した複数のパーツから、図12に示すように重ね合わせに用いるパーツを1つ以上選択し、更に図13に示すように選択されたパーツを重ね合わせる。そうすると、重ね合わせたエッチング量分布(図13中の実線)は、目標エッチング量分布(図13中の破線)に近似する。
【0099】
また、この最適化計算では、エッチング処理においてエッチング液供給部102から第1のウェハW1-1へのエッチング液Eの供給時間が最小となるように、パーツとパーツの重ね合わせ回数が最適化される。以上のように本実施形態では、エッチング量分布、すなわちエッチング精度と、エッチング液Eの供給時間とを両方最適化する、いわゆる多目的最適化が行われる。具体的には、下記式(1)を用いて最適化される。なお、エッチング精度は、エッチング量分布のウェハ面内における精度である。
【0100】
【数1】
但し、α:0(ゼロ)~1の係数、TTV:実測形状の平坦度、RMSEcenterized:ウェハの厚み分布のばらつき、tdispense:エッチング液Eの供給時間
【0101】
ステップS34-2では、上記式(1)に示すように、エッチング量分布(エッチング精度)の損失関数は、実測形状の平坦度と、実測形状の厚み分布のばらつきとの重み付け線形和で算出する。例えば、上記式(1)において係数αが0.5の場合、平坦度(TTV)と厚み分布のばらつき(RMSE)は同じ重みをもつ。一方、例えば係数αが1の場合、平坦度を重視したアルゴリズムになり、係数αが0(ゼロ)の場合、厚み分布のばらつきを重視したアルゴリズムになる。
【0102】
ステップS34-2において、パーツの重ね合わせ回数を最適化する際には、0.5ループ単位で重ね合わせ回数を最適化してもよい。かかる場合、例えば、エッチング液Eの供給を、第1のウェハW1-1の中心から始めて中心で終えることが可能となる。
【0103】
以上のようにパーツとパーツの重ね合わせ回数が最適化されると、次に、上記ステップS34-2で最適化されたパーツに対応するエッチング条件を統合して、最適エッチング条件を決定する(図9のステップS34-3)。具体的には、選択された複数のエッチング条件を、最適化された重ね合わせ回数で行うように、複数のエッチング条件を統合して、最適エッチング条件が決定される。
【0104】
その後、ステップS35において、第1のウェハW1-1の裏面Wbを洗浄した後、ステップS36において、最適エッチング条件で、第1のウェハW1-1の裏面Wbがエッチングされる。すなわち、エッチング装置40では、最適エッチング条件で決められた回転速度で重合ウェハT1-1(第1のウェハW1-1)を回転させると共に、決められたスキャン速度及びスキャン幅でエッチング液供給部102を移動させつつ、第1のウェハWに対してエッチング液Eを供給する。
【0105】
本実施形態にかかる最適エッチング条件の決定、及び当該最適エッチング条件に基づく第1のウェハW1-1に対するエッチング処理は以上のようにして行われる。
【0106】
かかる場合、ステップS34において最適化手法を用いて、重ね合わせるパーツとパーツの重ね合わせ回数を最適化して、最適エッチング条件を決定するので、その後、ステップS36において当該最適エッチング条件で第1のウェハW1-1をエッチングできる。これにより、エッチング処理におけるエッチング量分布を目標エッチング量分布に近づけることができ、その結果、エッチング後の第1のウェハWの表面形状を目標形状にすることができる。換言すれば、不定のエッチング条件から最適エッチング条件を決定することができ、エッチング後の第1のウェハW1-1の表面形状を適切に制御することができる。
【0107】
実際に本発明者らがシミュレーションを行ったところ、目標エッチング量分布がV字型、A字型、M字型、W字型のいずれの場合でも、エッチング後の第1のウェハWの厚み分布のばらつきを許容範囲内に収めることができた。また、エッチング後の第1のウェハWの平坦度(TTV)についても、従来より向上した。
【0108】
また、1枚毎の重合ウェハT1-1に対してステップS32~S38を行うので、エッチング後の第1のウェハWの表面形状を枚葉で制御することができる。
【0109】
しかも、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様の効果を享受することができる。すなわち、第2のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴と、上記第1のロットのデバイス層Dw、Dsの特徴が同じである場合、制御装置90は、上記第1のロットにおける残渣厚み分布に基づいて、加工装置80をフィードバック制御する(図8中のFB1)、又はエッチング装置40をフィードバック制御する(図8中のFB2)。
【0110】
かかる場合、第2のロットに対し、ステップS32において第1のウェハW2-1~W2-25を研削する際、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布を補正するようにチルト補正が行われているので、当該デバイス層Dw、Dsの影響を抑制することができる。同様に、第2のロットに対し、ステップS36において第1のウェハW2-1~W2-25をエッチングする際、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布を補正するようにエッチング条件が補正されているので、当該デバイス層Dw、Dsの影響を抑制することができる。その結果、第2のロットの第1のウェハW2-1~W2-25の表面形状を適切に制御することができる。
【0111】
また、デバイス層Dw、Dsに関連付けられた残渣厚み分布が把握できるので、第2のロットの第1のウェハW2-1~W2-25の表面形状を、例えばV字型、A字型、M字型、W字型等、任意に制御することができる。
【0112】
なお、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、加工装置80へのフィードバック制御は、ロット内の1枚又は複数の第1のウェハWを用いてもよいし、ダミーウェハを用いてもよい。
【0113】
以上の第3の実施形態では、エッチング条件の変数として、第1のウェハWの回転速度、エッチング液供給部102のスキャン幅、及びエッチング液供給部102のスキャン速度を用いたが、エッチング条件の変数はこれらに限定されない。例えば、エッチング液Eの種類、粘度、温度や供給量等をエッチング条件の変数として用いてもよい。かかる場合、ステップS34-0において、これらエッチング液Eの種類、粘度、温度や供給量等を変更した複数のパーツが取得される。そして、ステップS34-1~S34-3を実行して、最適エッチング条件が決定される。
【0114】
以上の第1、第2、第3の実施形態のステップS11、S21、S31において、デバイス層Dw、Dsの特徴は、オペレータの入力によって特定されたが、デバイス層Dw、Dsの特徴の特定方法はこれに限定されない。
【0115】
例えば図14に示すように、第1のウェハWの裏面Wb側に設けられた検知部200を用いてもよい。検知部200には、例えばIRセンサやIRカメラが用いられる。赤外線は第1のウェハWであるシリコンを透過し、検知部200で当該赤外線を受光する。検知部200での受光結果は、制御装置90に出力される。制御装置90では、受光した赤外線の周波数を解析し、デバイスのパターン等を検知して、デバイス層Dw、Dsの特徴を検知することができる。なお、検知部200の設置位置は任意であるが、例えば厚み測定装置41の内部、厚み測定装置61の内部、バッファ装置62の内部等に設けられる。
【0116】
また、例えば図15に示すように、処理対象は重合ウェハTに代えて、単体の第1のウェハWであってもよい。第1のウェハWの表面Waにはデバイス層Dwが形成され、当該デバイス層Dwの表面には保護テープPが貼り付けられている。かかる場合、デバイス層Dwの特徴を特定するに際して、第1のウェハWの表面Wa側に設けられた撮像部210を用いてもよい。撮像部210はデバイス層Dwを撮像し、撮像部210で撮像された画像は制御装置90に出力される。制御装置90では、撮像された画像に基づいて、デバイス層Dwの特徴が特定される。なお、検知部200の設置位置は任意であるが、例えば厚み測定装置41の内部、厚み測定装置61の内部、バッファ装置62の内部等に設けられる。
【0117】
以上の実施形態では、加工装置80で第1のウェハWを薄化したが、薄化方法はこれに限定されない。例えば、第1のウェハWの薄化処理には、当該第1のウェハWの裏面Wbの研磨も含まれる。あるいは例えば、第1のウェハWの内部にレーザ加工により形成された改質層(図示せず)を基点とした分離により薄化されてもよい。かかる場合、ウェハ処理システム1には、加工装置80に代えて、改質層(図示せず)の形成用のレーザ処理装置(図示せず)が設けられる。
【0118】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 ウェハ処理システム
61 厚み測定装置
80 加工装置
90 制御装置
Dw、Ds デバイス層
T 重合ウェハ
W 第1のウェハ
S 第2のウェハ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15