(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067145
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】基板処理装置、および動作状態監視方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230509BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178153
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】福島 賢治
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA22
5F131BA12
5F131BA37
5F131CA06
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5F131CA32
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5F157CF42
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5F157DB51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】把持部の動作状態を安定して確認する基板処理装置及び動作状態監視方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板Wの周縁を複数の位置で把持して基板を保持可能な保持部と、保持部を回転させる回転部と、保持部及び回転部を制御する制御部と、を備える。保持部は、回転部によって回転させられる回転盤21と、回転盤とともに回転し、かつ基板の周縁を把持する把持位置と基板を解放する解放位置との間を移動可能な第1把持部22Aと、回転盤とともに回転し、かつ、第1把持部とは独立して把持位置と解放位置との間を移動可能な第2把持部22Bと、を含む。基板処理装置は、回転部の回転中に、第1把持部及び第2把持部の各々について、把持位置に位置する状態と解放位置に位置する状態とをセンサにより非接触で検出する検出部35を有する。制御部は、センサの検出信号に基づいて、第1把持部又は第2把持部の動作状態を判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周縁を複数の位置で把持して当該基板を保持可能な保持部と、前記保持部を回転させる回転部と、前記保持部および前記回転部を制御する制御部と、を備える基板処理装置であって、
前記保持部は、
前記回転部によって回転させられる回転盤と、
前記回転盤とともに回転し、かつ前記基板の周縁を把持する把持位置と前記基板を解放する解放位置との間を移動可能な第1把持部と、
前記回転盤とともに回転し、かつ前記第1把持部とは独立して前記把持位置と前記解放位置との間を移動可能な第2把持部と、を含み、
前記回転部の回転中に、前記第1把持部および前記第2把持部の各々について、前記把持位置に位置する状態と前記解放位置に位置する状態とをセンサにより非接触で検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記センサの検出信号に基づいて、前記第1把持部または前記第2把持部の動作状態を判定する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記センサは、測定光を出射するとともにその反射光を受光する反射型光学センサであり、
前記第1把持部および前記第2把持部は、前記把持位置および前記解放位置のうちいずれか一方で、前記センサの前記測定光の光軸に直交する反射面を有する反射板を備える、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1把持部および前記第2把持部は、前記把持位置と前記解放位置との間の移動によって、前記センサに対する前記反射板の距離および前記反射面の姿勢を変動させる、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記センサは、前記第1把持部および前記第2把持部が前記把持位置に位置する場合に前記反射光の反射光量が最大となり、前記第1把持部および前記第2把持部が前記解放位置に位置する場合に前記反射光の反射光量が最小となる、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1把持部および前記第2把持部の各々は、動作力が伝達される伝達部に接続された接続部位と、前記接続部位に連結されるとともに当該接続部位と異なる方向に延在して前記基板の周縁に接触する接触部位とを有するL字形状に形成され、
前記センサは、前記回転盤よりも下方に設けられ、前記接触部位の変位を検出する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記センサの前記検出信号に基づき、前記把持位置および前記解放位置のうちの一方でオンとなり、前記把持位置および前記解放位置のうちの他方でオフとなるパルス信号を生成するパルス生成部を有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、設定されたサンプリング期間にわたって、前記パルス生成部が生成した前記パルス信号のパルス数をカウントし、カウントしたカウント値に基づき前記第1把持部または前記第2把持部が正常に動作しているか否かを判定する、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記回転部の回転数に基づき複数の前記サンプリング期間を設定する、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記パルス生成部は、前記把持位置および前記解放位置のうちの一方における前記検出信号のピーク値と、前記把持位置および前記解放位置のうちの他方における前記検出信号のピーク値との間に設定された判定閾値を有し、前記検出信号が前記判定閾値以上の場合に前記オンとし、前記検出信号が前記判定閾値を下回る場合に前記オフとする、
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記パルス生成部は、前記センサから受信した前記検出信号に基づき、経年または異物の付着に伴う前記検出信号の低下を判定するためのリミット設定値を有する、
請求項6乃至9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記センサは、前記第1把持部および前記第2把持部に対向する検出子に対して連続的または間欠的にパージガスを吐出する吐出部を有する
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板の周縁を複数の位置で把持して当該基板を保持可能な保持部と、前記保持部を回転させる回転部と、前記保持部および前記回転部を制御する制御部と、を備える基板処理装置の動作状態監視方法であって、
前記保持部は、
前記回転部によって回転させられる回転盤と、
前記回転盤とともに回転し、かつ前記基板の周縁を把持する把持位置と前記基板を解放する解放位置との間を移動可能な第1把持部と、
前記回転盤とともに回転し、かつ前記第1把持部とは独立して前記把持位置と前記解放位置との間を移動可能な第2把持部と、を含み、
動作状態監視方法は、
前記回転部の回転中に、前記第1把持部および前記第2把持部の各々について、前記把持位置に位置する状態と前記解放位置に位置する状態とを検出部のセンサにより非接触で検出する工程と、
前記センサの検出信号に基づいて、前記第1把持部または前記第2把持部の動作状態を前記制御部により判定する工程と、を含む、
動作状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、および動作状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板保持機構によりウェハを保持して当該ウェハを回転させ、この回転中に処理液をウェハに供給する基板処理装置が開示されている。基板保持機構は、3つの保持部材(把持部)を周方向に沿って備え、各保持部材がウェハの周縁に接触することでウェハを保持する。
【0003】
また、基板処理装置は、ウェハの回転停止時に、各保持部材に接触可能に設けられた接触式センサの接触または非接触の検出結果に基づき、各保持部材によるウェハの保持状態を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、把持部の回転中に、当該把持部の動作状態を安定的に確認できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板の周縁を複数の位置で把持して当該基板を保持可能な保持部と、前記保持部を回転させる回転部と、前記保持部および前記回転部を制御する制御部と、を備える基板処理装置であって、前記保持部は、前記回転部によって回転させられる回転盤と、前記回転盤とともに回転し、かつ前記基板の周縁を把持する把持位置と前記基板を解放する解放位置との間を移動可能な第1把持部と、前記回転盤とともに回転し、かつ前記第1把持部とは独立して前記把持位置と前記解放位置前記との間を移動可能な第2把持部と、を含み、前記回転部の回転中に、前記第1把持部および前記第2把持部の各々について、前記把持位置に位置する状態と前記解放位置に位置する状態とをセンサにより非接触で検出する検出部を有し、前記制御部は、前記センサの検出信号に基づいて、前記第1把持部または前記第2把持部の動作状態を判定する、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、基板処理装置は、把持部の回転中に、当該把持部の動作状態を安定的に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
【
図3】一実施形態に係る保持部を示す断面図であって、(A)は第1把持部の把持位置を示す断面図、(B)は第1把持部の解放位置を示す断面図である。
【
図4】第1把持部および第2把持部の移動の一例を示す平面図であって、(A)は両方とも解放位置にある状態を示す平面図、(B)は一方が把持位置にあり他方が解放位置にある状態を示す平面図である。
【
図5】第1把持部および第2把持部の移動の一例を示す平面図であって、(A)は両方とも把持位置にある状態を示す平面図、(B)は一方が解放位置にあり他方が把持位置にある状態を示す平面図である。
【
図6】ファイバセンサの上部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】ファイバセンサの検出信号を示す説明図である。
【
図8】ファイバセンサの異常を検出するためのリミット設定値を示す説明図である。
【
図9】メインコントローラの機能を示すブロック図である。
【
図11】基板処理の処理フローを示すフローチャートである。
【
図12】動作状態監視方法の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0010】
図1および
図2に示すように、基板処理装置10は、基板Wに処理液を供給して、基板Wを処理する装置である。基板Wは、例えば、シリコンウェハ若しくは化合物半導体ウェハなどの半導体基板、またはガラス基板があげられる。半導体基板またはガラス基板などの表面には、導電膜または絶縁膜などが形成されている。基板Wは、複数の膜を積層したものでもよい。また、基板Wの上面Waや下面Wbには、デバイスを含む電子回路、凹凸パターン(共に不図示)などが設けられてもよい。
【0011】
基板処理装置10は、保持部20と、回転部40と、第1液供給部50と、第2液供給部60と、第3液供給部70と、カップ80と、制御部90と、を備える。
【0012】
保持部20は、基板Wを水平に保持する。保持部20は、回転可能な回転盤21と、基板Wの周縁を把持する複数の把持部22(第1把持部22A、第2把持部22B)と、を含む。第1把持部22Aおよび第2把持部22Bは、基板Wを把持した状態で、回転盤21と一体に回転する。
【0013】
回転盤21は、水平方向(X軸‐Y軸方向)に対して平行な面を有する円盤状に形成されている。回転盤21は、中心に孔を有し、この孔には第3液供給部70の液供給軸72が配置されている。さらに、基板処理装置10は、回転盤21の下方側に、複数のリフトピンと、各リフトピンを昇降させるリフトピン昇降機構と、を有する(共に不図示)。
【0014】
把持部22は、回転盤21の上方で、この回転盤21から離間させた状態で基板Wを保持する。本実施形態において、把持部22は、回転盤21の周方向に沿って間隔をあけて6つ配置される(
図4(A)~
図5(B)も参照)。6つの把持部22のうち3つが第1把持部22Aであり、他の3つが第2把持部22Bである。3つの第1把持部22Aと3つの第2把持部22Bとは、回転盤21の周方向に沿って交互に配置される。
【0015】
第1把持部22Aの数は、3つ以上であればよく、例えば4つでもよい。各第1把持部22Aは、回転盤21の周方向に沿って等間隔(120°間隔)に設置されることで、基板Wの保持時に、基板Wにかかる荷重を均等に分散できる。第2把持部22Bの数も、3つ以上であればよく、例えば4つでもよい。各第2把持部22Bは、回転盤21の周方向に沿って等間隔(120°間隔)に配置されることで、基板Wの保持時に、基板Wにかかる荷重を均等に分散できる。
【0016】
図1に示すように、基板処理装置10の回転部40は、保持部20を回転させる。回転部40は、保持部20の回転盤21の中央から下方に延びる回転軸41と、回転軸41を回転させる回転モータ42と、回転モータ42の回転駆動力を回転軸41に伝達するベルト43と、を含む。回転軸41は、円筒状に形成され、その内部において鉛直方向(Z軸方向)に沿うように液供給軸72を配置している。回転軸41の軸線と回転盤21の回転中心とは、相互に一致している。
【0017】
第1液供給部50は、保持部20に保持されている基板Wの上面Waに対して、処理液を供給する。第1液供給部50は、例えば、処理液を吐出するノズル51と、ノズル51を移動させる移動機構52と、ノズル51に対して処理液を供給する供給ライン53と、を有する。ノズル51は、保持部20の上方に設けられ、保持部20に保持された基板Wに向かって下向きに処理液を吐出する。
【0018】
供給ライン53は、例えば、共通ライン53aと、共通ライン53aに接続される複数の個別ライン53bと、を含む。個別ライン53bは、処理液の種類毎に設けられる。処理液の種類としては、薬液と、リンス液とがあげられる。薬液は、酸性、アルカリ性、および中性のいずれでもよい。酸性の薬液は、例えば、DHF(希フッ酸)などである。アルカリ性の薬液は、例えば、SC1(過酸化水素と水酸化アンモニウムを含む水溶液)などである。中性の薬液は、例えば、オゾン水などの機能水である。リンス液は、例えば、DIW(脱イオン水)などである。個別ライン53bの途中には、処理液の流路を開閉する開閉弁55と、処理液の流量を制御する流量制御器56とが設けられる。
【0019】
なお、薬液およびリンス液は、
図1では1つのノズル51から吐出されるが、異なるノズル51から吐出されてもよい。ノズル51の数が複数である場合、ノズル51ごとに供給ライン53が設けられる。
【0020】
第2液供給部60は、第1液供給部50と同様に、保持部20に保持されている基板Wの上面Waに対して、処理液を供給する。第2液供給部60は、処理液を吐出するノズル61と、ノズル61を移動させる移動機構62と、ノズル61に対して処理液を供給する供給ライン63と、を有する。ノズル61は、保持部20の上方に設けられ、保持部20に保持された基板Wに向かって下向きに処理液を吐出する。
【0021】
供給ライン63は、乾燥液をノズル61に対して供給する。乾燥液は、リンス液に比べて、低い表面張力を有するものを適用するとよい。乾燥液は、例えばIPA(イソプロピルアルコール)などの有機溶剤である。基板Wの上面Waは、リンス液の液膜から乾燥液の液膜に置換されることで乾燥する。IPAは、基板Wの乾燥の際に、表面張力による凹凸パターンの倒壊を抑制できる。供給ライン63の途中には、乾燥液の流路を開閉する開閉弁65と、乾燥液の流量を制御する流量制御器66とが設けられる。
【0022】
本実施形態に係る基板処理装置10は、リンス液の液膜を乾燥液の液膜に置換する際に、液膜が途切れないように、リンス液の供給位置と乾燥液の供給位置とを独立に移動させる。具体的には、基板Wの上面Waの中心にノズル61を固定した状態で、基板Wの中心よりも径方向外側にノズル51を位置させる。ただし、基板Wの凹凸パターンの寸法および形状、基板Wの材質などによっては、第1液供給部50のノズル51から乾燥液を吐出してもよい。つまり、基板処理装置10は、第2液供給部60を備えなくてもよい。
【0023】
第3液供給部70は、第1液供給部50および第2液供給部60とは異なり、保持部20に保持されている基板Wの下面Wbに対して、処理液を供給する。第3液供給部70は、保持部20で保持された基板Wの下面中央部に対向配置される複数のノズル71A、71B、71Cと、液供給軸72と、を含む。
【0024】
複数のノズル71A、71B、71Cは、液供給軸72の上面に形成され、それぞれ上方に流体を吐出する。ノズル71Aは、例えば、薬液と、リンス液とを上方に吐出する。ノズル71Bは、例えば、リンス液を上方に吐出する。ノズル71Cは、例えば、N2ガスなどの不活性ガスを上方に吐出する。
【0025】
液供給軸72は、回転軸41の内部において回転不能に固定されている。液供給軸72は、複数のノズル71A、71B、71Cの各々に接続される複数の供給ライン73A、73B、73Cを有する。
【0026】
供給ライン73Aは、薬液と、リンス液とを選択的にノズル71Aに供給する。供給ライン73Aは、例えば、共通ライン73Aaと、共通ライン73Aaに接続される複数の個別ライン73Abと、を含む。個別ライン73Abは、処理液の種類毎に設けられる。個別ライン73Abの途中には、処理液の流路を開閉する開閉弁75Aと、処理液の流量を制御する流量制御器76Aとが設けられる。
【0027】
同様に、供給ライン73Bは、ノズル71Bにリンス液を供給する。供給ライン73Bの途中には、リンス液の流路を開閉する開閉弁75Bと、リンス液の流量を制御する流量制御器76Bとが設けられる。
【0028】
また、供給ライン73Cは、ノズル71CにN2ガスなどの不活性ガスを供給する。供給ライン73Cの途中には、ガスの流路を開閉する開閉弁75Cと、ガスの流量を制御する流量制御器76Cとが設けられる。
【0029】
カップ80は、基板Wに対して供給された各種の処理液を回収するため、容器形状(凹形状)に形成されている。カップ80は、回転盤21の外方に位置する円筒部81と、円筒部81の下端を塞ぐ底蓋部82と、円筒部81の上部に形成される傾斜部83と、を含む。また、カップ80は、内部に溜まった処理液を排出する排液管84と、カップ80の内部に溜まった気体を排出する排気管85と、を底蓋部82に備える。カップ80は、基板処理装置10の適宜の部材に固定されることで、回転盤21と共に回転しないように構成される。
【0030】
次に、保持部20の動作機構、各第1把持部22Aおよび各第2把持部22Bについて、
図2および
図3を参照して説明する。
【0031】
保持部20は、3つの第1把持部22Aと、3つの第2把持部22Bとを相互に独立して動作させる。保持部20は、3つの第1把持部22A毎に、第1駆動部23Aと、第1駆動部23Aの駆動力を第1把持部22Aに伝達する第1伝達部24Aと、を有する。各第1駆動部23Aおよび各第1伝達部24Aは、回転盤21と一体に回転することが可能である。
【0032】
各第1駆動部23Aは、スライダ25と、スライダ25の径方向内側に配置されるバネ26と、スライダ25を収容するシリンダ27と、シリンダ27内の圧力を調整する圧力調整機構28と、スライダ25に固定されるロッド29と、を含む。
【0033】
スライダ25は、回転盤21の径方向に沿って往復動可能に、シリンダ27に収容される。このスライダ25は、バネ26により回転盤21の径方向外側に付勢されている。また、スライダ25は、回転盤21による各第1駆動部23Aの回転中に、遠心力によって基板Wの径方向外側に移動することが可能である。
【0034】
バネ26は、シリンダ27の底部(回転中心側の端部)に基端部が固定されて、シリンダ27の軸方向に沿って弾性的に伸縮する。
【0035】
シリンダ27は、回転盤21の径方向に軸が沿うように固定され、内部空間に収容されたスライダ25をガイドする。シリンダ27の内部空間は、スライダ25により第1室R1と第2室R2とに区画される。第1室R1は、シリンダ27の径方向外側に位置し、スライダ25、シリンダ27およびロッド29の構造によって密閉される。第1室R1の圧力は、圧力調整機構28により調整される。第2室R2は、外部に開放されており、その圧力が外気圧に保たれる。第2室R2には、バネ26が弾性変形して圧縮した状態で配置される。バネ26は、その復元力によって、回転盤21の径方向外側にスライダ25を付勢する。
【0036】
第1室R1の圧力を調整する圧力調整機構28は、第1室R1に接続される接続ラインLと、接続ラインLに連結される昇圧ライン28aおよび減圧ライン28bと、を有する。接続ラインLは、例えば、回転盤21および回転軸41の内部に形成された流路と、回転軸41に図示しないロータリージョイントを介して接続された外部の配管と、で構成される。
【0037】
昇圧ライン28aは、第1室R1の圧力を上昇させるための経路である。昇圧ライン28aには、開閉弁V1、流量制御器F1および圧力制御器P1などが設けられる。開閉弁V1は、昇圧ライン28aの流路を開閉する。流量制御器F1は、第1室R1の昇圧時に、第1室R1に供給される空気などの流体の流量を制御する。圧力制御器P1は、第1室R1の昇圧時に、その圧力を制御する。
【0038】
また、減圧ライン28bは、第1室R1の圧力を減少させるための経路である。減圧ライン28bには、開閉弁V2、流量制御器F2、および圧力制御器P2などが設けられる。開閉弁V2は、減圧ライン28bの流路を開閉する。流量制御器F2は、第1室R1の減圧時に、第1室R1から排出される空気などの流体の流量を制御する。圧力制御器P2は、第1室R1の減圧時に、その圧力を制御する。
【0039】
一方、第1駆動部23Aのロッド29は、スライダ25から径方向外側に延び、シリンダ27の第1室R1を貫通してシリンダ27から突出している。ロッド29の長手方向は、スライダ25の移動方向に沿っている。
【0040】
第1伝達部24Aは、第1駆動部23Aのロッド29と、第1把持部22Aとの間を接続するリンク30を有する。リンク30の内端とロッド29の突出端とは、第1ピン31により互いに回動自在に連結される。リンク30の外端と第1把持部22Aの端部とは、第2ピン32により互いに回動自在に連結される。リンク30は、ロッド29の進退に応じて第1ピン31を基点に回動し、傾斜姿勢と水平方向に沿った横姿勢とに姿勢が変化する。この姿勢の変化に伴ってリンク30の外端が上下方向(Z軸方向)に変位することで、第1把持部22Aを動作させる。
【0041】
第1把持部22Aは、第1伝達部24A(リンク30)に接続された接続部位221と、接続部位221と異なる方向に延在する接触部位222と、を一体成形した、側面視でL字形状の部材である。第1把持部22Aは、接続部位221と接触部位222の連結箇所に第3ピン33が挿入される。第3ピン33は、回転盤21に固定される。このため、第1把持部22Aは、第3ピン33を基点に回動することができる。
【0042】
接続部位221において第3ピン33と反対側に位置する一端は、第2ピン32を介してリンク30に回転可能に接続される連結端221eとなっている。上記したようにロッド29の進退に伴ってリンク30の外端が上下動するため、この動作力が伝達されることで、連結端221eも下位置LPと上位置HPとの間を変位する。
【0043】
また、連結端221eの周辺は、鉛直方向下側に短く突出したブロック状に形成され、その下端面には反射板221rが設けられている。反射板221rは、平坦状の反射面221rsを鉛直方向下側に向けており、後述するファイバセンサ36の光を反射する。反射板221rは、回転盤21よりも正反射の反射率が高い材料および構造が適用される。反射板221rの反射面221rsは、連結端221eが下位置LPにある場合に、水平方向(ファイバセンサ36の光軸に直交する方向)に平行な姿勢となる。その一方で、反射板221rの反射面221rsは、連結端221eが上位置HPにある場合に、水平方向(ファイバセンサ36の光軸に直交する方向)に対して傾斜した姿勢となる。
【0044】
一方、接触部位222において第3ピン33と反対側に位置する一端は、基板Wに直接接触する内面を有する接触端222eとなっている。接触端222eの内面は、本実施形態では、平坦状であるが、基板Wの周縁の形状に応じて適宜の形状(凹状、段差状など)をとり得る。この接触端222eは、第1把持部22Aの回動に伴って円弧状に移動することで、基板Wを把持する把持位置CPと、基板Wを解放する解放位置UPとに変位する。
【0045】
具体的には、接続部位221の連結端221eが下位置LPに位置すると、接触部位222が回転盤21の径方向内側に移動することになり、接触端222eが把持位置CPに配置される。逆に、接続部位221の連結端221eが上位置HPに位置すると、接触部位222が回転盤21の径方向外側に移動することになり、接触端222eが解放位置UPに配置される。
【0046】
以上の第1把持部22A、第1駆動部23A、第1伝達部24Aの動作について説明する。圧力調整機構28は、空気などの流体を第1室R1に供給して第1室R1の圧力を上昇させる。これにより、スライダ25は、バネ26を収縮させつつ径方向内側に移動し、ロッド29を径方向内側に後退させる。ロッド29の後退に伴ってリンク30が回動し、このリンク30に接続される第1把持部22Aの連結端221eが上位置HPに変位する。その結果、第1把持部22Aの接触端222eが解放位置UPに移動して、基板Wから離れる。その際の応力解放による基板Wへの負荷は、流体の供給圧力および供給速度などで決まる。制御部90が、圧力制御器P1または流量制御器F1を制御し、駆動力または駆動速度を制御することで、基板Wの負荷を抑制できる。
【0047】
圧力調整機構28は、空気などの流体を第1室R1から排出して第1室R1の圧力を減少させる。これにより、スライダ25は、バネ26の復元力によって径方向外側に移動し、ロッド29を径方向外側に進出させる。ロッド29の進出に伴ってリンク30が回動し、第1把持部22Aの連結端221eが下位置LPに変位する。その結果、第1把持部22Aの接触端222eが把持位置CPに移動させられて、基板Wに接触する。その際に生じる衝撃は、バネ26の復元力、流体の排出圧力および排出速度などで決まる。制御部90が、圧力制御器P2または流量制御器F2を制御し、駆動力または駆動速度を制御することで、衝撃を抑制できる。
【0048】
以上の第1駆動部23Aは、バネ26の復元力の代わりに空気などの流体の圧力を利用する場合とは異なり、基板Wの回転中に故障などで圧力の供給が途絶えた場合でも、バネ26の付勢力によって第1把持部22Aを把持位置CPに配置し続ける。このため、第1把持部22Aは回転中に基板Wの外れを防止できる。また、回転盤21の回転中にはスライダ25やロッド29に遠心力が作用することで、第1把持部22Aの接触端222eを基板Wの周縁に接触させ続けることができる。
【0049】
図2に示すように、保持部20は、3つの第2把持部22B毎に、第2駆動部23Bと、第2駆動部23Bの駆動力を第2把持部22Bに伝達する第2伝達部24Bと、を有する。各第2駆動部23Bと各第2伝達部24Bは、回転盤21と一体に回転することが可能である。第2駆動部23Bおよび第2伝達部24Bも、第1駆動部23Aおよび第1伝達部24Aと同様に構成される。このため、第2駆動部23Bおよび第2伝達部24Bの具体的な構成の説明については省略する。
【0050】
図4(A)~
図5(B)に示すように、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとは、回転盤21の周方向に沿って交互に3つずつ配置される。これにより、各第1把持部22Aのみで基板Wを把持する際、および各第2把持部22Bのみで基板Wを把持する際に、基板Wをバランス良く把持でき、基板Wの中心のずれを抑制できる。
【0051】
また、基板処理装置10は、基板Wの搬入出時に基板Wを解放するとともに、基板処理時に各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとで交互に基板Wの周縁を把持する。このため、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとは、
図4(A)の全アンクランプ形態と、
図4(B)の第1クランプ形態と、
図5(A)の全クランプ形態と、
図5(B)の第2クランプ形態とに切り替えられる。
【0052】
全アンクランプ形態は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bの両方が解放位置UPに位置した形態であり、例えば、保持部20に対する基板Wの搬入出時などに実施される。第1クランプ形態は、各第1把持部22Aが把持位置CPに位置する一方で、各第2把持部22Bが解放位置UPに位置した形態であり、基板処理時の適宜のタイミングで実施される。全クランプ形態は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bの両方が把持位置CPに位置した形態であり、例えば、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとで基板Wを持ち替える際に実施される。第2クランプ形態は、各第2把持部22Bが把持位置CPに位置する一方で、各第1把持部22Aが解放位置UPに位置した形態であり、基板処理時に第1クランプ形態と異なるタイミングで実施される。
【0053】
そして、基板処理装置10は、把持部22の動作状態を監視するために、回転盤21の回転中に、各第1把持部22Aおよび各第2把持部22Bについて、把持位置CPに位置する状態と解放位置UPに位置する状態とを非接触で検出する検出部35を有する。詳細には、検出部35は、1つのファイバセンサ36と、当該ファイバセンサ36に電気的に接続されるアンプ38(パルス生成部)と、を含む。
【0054】
ファイバセンサ36は、カップ80の内部において底蓋部82から突出するように配置され、カップ80に対して回転不能に固定される。また、ファイバセンサ36は、各第1把持部22Aの反射板221rおよび各第2把持部22Bの反射板221rの反射面221rsに対して直交方向に対向するように、回転軸41から径方向外側に離れた位置に設けられる。ファイバセンサ36の上端は、各第1把持部22Aおよび各第2把持部22Bの反射板221rに対して、充分に近い位置(例えば、3mm~50mmの範囲)に配置される。
【0055】
図6に示すように、ファイバセンサ36は、測定光を出射するとともに、反射された反射光を受光する反射型光学センサが適用される。また、ファイバセンサ36は、耐油性および耐薬品性が高いものを適用するとよい。ファイバセンサ36は、鉛直方向に沿って延在する円筒状の筐体37を有する。筐体37の上端には、ファイバセンサ36の検出子である、発光レンズ361と、受光レンズ362とが設けられている。発光レンズ361は、筐体37内に設けられた図示しない発光素子の発光により、鉛直方向に平行な光軸の測定光を投光する。受光レンズ362は、測定光の反射光を透過して、筐体37内に設けられた図示しない受光素子に集光する。なお、検出部35は、反射型光学センサの適用に限定されず、例えば、発光素子と受光素子とを異なる位置に備えた透過型のセンサを適用してもよい。また、各把持部22を検出するセンサは、ファイバセンサ36に限定されず、他の光学センサ、超音波センサ、レーザ変位計などであってもよい。
【0056】
ファイバセンサ36は、回転盤21の回転中に、アンプ38により調整された投光量の測定光を出射する。測定光は、ファイバセンサ36が対向している回転盤21に当たった場合、殆ど吸収や散乱してしまうことで、ファイバセンサ36に反射されない。このため、ファイバセンサ36は、反射光量が概ねゼロの反射光を受光する。
【0057】
一方、測定光は、下位置LPに配置されている反射板221rに当たった場合、反射板221rから多量の反射光となって反射される。このため、ファイバセンサ36は、高い反射光量の反射光を受光する。また、測定光が上位置HPに傾斜姿勢で配置されている反射板221rに当たった場合、下位置LPよりも距離が長いことで、反射光は、ファイバセンサ36に届くまでの間に拡散する。そのため、ファイバセンサ36は、下位置LPよりも低い反射光量の反射光を受光する。特に、上位置HPで傾斜した反射板221rは、ファイバセンサ36の測定光を正反射しても、ファイバセンサ36に反射光を向かわせることができない。よって、ファイバセンサ36は、測定光の拡散光を受光することになり、充分に低い反射光量の反射光を受光することになる。
【0058】
ファイバセンサ36の受光素子は、受光した反射光量に応じた電流値を生じさせる。さらに、ファイバセンサ36は、生じた電流値を電圧値に変換して、アナログの検出信号100(
図7参照)をアンプ38に出力する。
【0059】
また、ファイバセンサ36は、発光レンズ361および受光レンズ362の側方に、パージ吐出口363(吐出部)、パージ流出切り欠き364を有する。パージ吐出口363は、筐体37内の流路を介してパージガス供給部(不図示)に接続されている。パージガス供給部は、制御部90の制御に基づき連続的または間欠的にパージガスを筐体37内の流路に供給する。パージガスは、特に限定されず、N2ガスなどの不活性ガス、ドライエアなどがあげられる。筐体37の流路に供給されたパージガスは、パージ吐出口363から連続的または間欠的に噴出されることで、パージ流出切り欠き364に向かってファイバセンサ36の上端を流動する。このパージガスは、発光レンズ361や受光レンズ362に付着した液体を、パージ流出切り欠き364に吹き飛ばすことができる。
【0060】
アンプ38は、ファイバセンサ36から受信したアナログの検出信号100を増幅し、かつデジタル信号に変換する機能を有する。このため、アンプ38は、制御回路基板39を有する。制御回路基板39は、プロセッサ39a、メモリ39b、図示しない入出力インタフェース、通信モジュールなどを有する。また、制御回路基板39は、通信モジュールを介して制御部90に情報通信可能に接続されている。プロセッサ39aは、アンプ38の起動に伴ってメモリ39bに記憶されたプログラムを実行することで、ファイバセンサ36の動作の制御、および検出信号100の処理を行う。
【0061】
具体的には、回転盤21の回転中にアンプ38が受信する検出信号100は、
図7(A)~(D)に例示するように、時間変化に伴って、平坦部101と、山形部102とを有する波形に形成される。
【0062】
平坦部101は、ファイバセンサ36が反射板221rに対して非対向である(回転盤21に対向する)ことで、反射光を殆ど受光しない期間である。
【0063】
山形部102は、ファイバセンサ36が反射板221rに対向することで、多くの反射光を受光する期間である。ただし上記したように、ファイバセンサ36は、反射板221rが下位置LPにある場合と、反射板221rが上位置HPにある場合とで、受光する反射光の反射光量が異なる。このため山形部102も、高いピーク値を有する第1山形部103と、第1山形部103よりも低いピーク値を有する第2山形部104と、に分類できる。第1山形部103は、反射板221rが下位置LPにあり、多くの反射光量を受光することで形成される。第2山形部104は、反射板221rが上位置HPにあり、少ない反射光量を受光することで形成される。
【0064】
したがって、
図7(A)は、全ての把持部22の反射板221rが上位置HPに位置する全アンクランプ形態の検出信号100の波形を示している。
図7(B)は、第1把持部22Aまたは第2把持部22Bの各反射板221rのうち一方が下位置LPに位置し他方が上位置HPに位置する第1クランプ形態または第2クランプ形態の検出信号100の波形を示している。
図7(C)は、全ての把持部22の反射板221rが下位置LPに位置する全クランプ形態の検出信号100の波形を示している。
【0065】
そして、アンプ38のプロセッサ39aは、ファイバセンサ36から受信した検出信号100を監視して、第1山形部103と第2山形部104とを識別する処理を行う。さらに、プロセッサ39aは、第1山形部103に応じたパルス信号105(デジタル信号)を生成して、制御部90に出力する処理を行う。
【0066】
具体的には、
図7(D)に示すように、制御回路基板39は、検出信号100の第1山形部103および第2山形部104(反射光量の大きさ)を分ける判定閾値Thをメモリ39bに記憶している。判定閾値Thは、実験などを予め行うことで、第1山形部103のピーク値と第2山形部104のピーク値の間の値に設定される。より好ましくは、判定閾値Thは、6つの反射板221r(3つの第1把持部22Aと3つの第2把持部22B)が反射する6つの第1山形部103のピーク値のうち最小値と、6つの第2山形部104のピーク値のうち最大値との間(中間値)であるとよい。
【0067】
プロセッサ39aは、検出信号100の監視において判定閾値Thを読み出して、検出信号100が判定閾値Th以上となった場合にパルス信号105を1(オン)とする(
図7(B)、(C)参照)。逆に、検出信号100が判定閾値Thより低い場合には、パルス信号105の0(オフ)を継続する。これにより、制御回路基板39は、検出信号100の第1山形部103の判定に応じたパルス信号105を、制御部90に出力することができる。
【0068】
また
図8に示すように、制御回路基板39は、反射板221rの経年劣化やファイバセンサ36への異物の付着など伴う検出信号100(第1山形部103)の低下を判定するためのリミット設定値T
limをメモリ39bに記憶している。例えば、反射板221rは、経年劣化により変色したり、液体が付着することで測定光が反射し難くなったりする。
【0069】
リミット設定値Tlimは、実験などを予め行うことで、第1山形部103のピーク値より低く、かつ判定閾値Thよりも高い値に設定される。プロセッサ39aは、例えば、全クランプ形態において下位置LPにある反射板221rに応じて検出された全ての第1山形部103がリミット設定値Tlim以上であれば、反射板221rの正常を判定して、そのまま反射板221rの使用を許容する。一方、複数の第1山形部103のいずれかがリミット設定値Tlimを下回った場合に、プロセッサ39aは、メンテナンス信号106をオンする。これにより、メインコントローラ91は、図示しないメンテナンスフラグを立ち上げることで、ユーザインタフェース94を介して検出部35のメンテナンス要求のアラームを報知する。
【0070】
さらに、アンプ38の制御回路基板39は、ファイバセンサ36の制御において測定光の光量を自動的に補正するAPC(Auto Power Control)機能を有しており、経年に伴うファイバセンサ36の光量の低下を抑制する。
【0071】
制御部90は、メインコントローラ91と、メインコントローラ91に接続されてユーザが操作するユーザインタフェース94と、を含む。また、制御部90は、アンプ38とメインコントローラ91との間に設けられるカウント用基板95を有する。
【0072】
カウント用基板95は、図示しないプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースを有する回路基板である。カウント用基板95は、アンプ38が出力したパルス信号105を受信して、メインコントローラ91が指示した期間にわたってパルス数をカウントし、計数したカウント値をメインコントローラ91に送信する。なお、検出部35のパルス数(第1山形部103)をカウントする機能は、アンプ38やメインコントローラ91に備えてもよく、制御部90はカウント用基板95を省いた構成でもよい。
【0073】
メインコントローラ91は、保持部20と、回転部40と、第1液供給部50と、第2液供給部60と、第3液供給部70とを制御する。メインコントローラ91は、1以上のプロセッサ92、メモリ93、図示しない入出力インタフェースおよび電子回路を有するコンピュータを適用し得る。プロセッサ92は、CPU、ASIC、FPGA、複数のディスクリート半導体からなる回路などのうち1つまたは複数を組み合わせたものである。メモリ93は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ(例えば、コンパクトディスク、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリなど)を含み、基板処理装置10を動作させるプログラム、プロセス条件などのレシピを記憶している。制御部90は、メモリ93に記憶されたプログラムをプロセッサ92に実行させることにより、基板処理装置10の動作を制御する。
【0074】
メインコントローラ91は、基板処理時に、保持部20の動作状態を監視する動作状態監視方法を行う。このため
図9に示すように、プロセッサ92は、保持制御部110、回転制御部111、液処理制御部112、回転数取得部113、クランプ形態取得部114、カウント値取得部115および動作監視部116を、メインコントローラ91内に形成する。
【0075】
保持制御部110は、保持部20の動作を制御して、基板Wの保持および保持解除を行う。一例として、基板Wを受け取った図示しないリフトピンの下降後に、保持制御部110は、全アンクランプ形態をとっていた各把持部22のうち一方(例えば、第1把持部22A)を把持位置CPに移動して基板Wを把持する。また、保持制御部110は、基板処理時に、各把持部22のうち基板Wを把持している一方(第1把持部22A)から、基板Wを把持していなかった他方(第2把持部22B)に切り替える。この切り替え過程では、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bの全てで基板Wを把持する全クランプ形態を経る。
【0076】
回転制御部111は、回転部40の動作を制御して、保持部20に保持された基板Wを回転させる。回転制御部111は、図示しないモータドライバに目標回転数を指令することで、モータドライバから回転モータ42に適宜の電力を供給させ、目標回転数に沿うように回転盤21を回転させる。モータドライバは、回転モータ42などに設けられたエンコーダから実回転数がフィードバックされ、目標回転数に一致するように回転モータ42の回転を調整する。回転制御部111は、例えば、基板処理前(準備時、イニシャル時)において200rpm以下の回転数で回転盤21を定速回転させる。基板処理時において、200rpm~1500rpmの範囲のち適宜の回転数で回転盤21および基板Wを定速回転させる。
【0077】
液処理制御部112は、第1液供給部50、第2液供給部60および第3液供給部70の動作を制御して、保持部20に保持された基板Wに対して各種の処理液を吐出させる。
【0078】
回転数取得部113は、動作状態監視方法において、回転盤21(基板W)の回転数を利用するために、回転数を取得してメモリ93に記憶する。例えば、回転数取得部113は、モータドライバから実回転数の情報を受信することで、回転数として回転盤21の実回転数を取得するとよい。あるいは、回転数取得部113は、回転数として回転盤21の目標回転数を回転制御部111から取得してもよい。
【0079】
クランプ形態取得部114は、動作状態監視方法において、把持位置CPに位置している各把持部22の数を把握するために、把持形態の情報を保持制御部110から取得する。把持形態の情報としては、把持位置CPにある把持部22が0個の全アンクランプ形態、3つの第1把持部22Aが把持位置CPにある第1クランプ形態、全て(6つ)の把持部22が把持位置CPにある全クランプ形態、3つの第2把持部22Bが把持位置CPにある第2クランプ形態があげられる。
【0080】
カウント値取得部115は、カウント用基板95に対してカウントの開始指令と終了指令を送信し、当該開始指令および終了指令に応じてカウントされたカウント値をカウント用基板95から受信して、メモリ93に一時的に記憶する。開始指令および終了指令の送信において、カウント値取得部115は、回転数取得部113により逐次受信される回転盤21の回転数に基づき、回転盤21が定速回転しているか否かを判定し、定速回転の状態で開始指令および終了指令を送信する。
【0081】
また、カウント値取得部115は、回転盤21の回転数に応じて異なるサンプリング期間でカウント値をカウントするように指令する。例えば、回転盤21の回転数が200rpm以下の場合に、カウント値取得部115は、3秒のサンプリング期間を設定し、開始指令を出力した3秒後に終了指令を出力する。一方、回転盤21の回転数が200rpm~1500rpmの場合に、カウント値取得部115は、1秒のサンプリング期間を設定し、開始指令を出力した1秒後に終了指令を出力する。これにより、回転盤21の回転数が少ない場合でも、監視に必要なパルス数を確保することができ、動作状態監視方法を安定して行うことができる。
【0082】
動作監視部116は、回転数取得部113が取得した回転盤21の回転数、クランプ形態取得部114が取得した把持形態、サンプリング期間、およびカウント値取得部115が取得したカウント値に基づき、各把持部22の動作状態を監視する。具体的には、動作監視部116は、回転盤21の回転数と、各把持部22の把持数と、サンプリング期間とに基づき、カウント理論値CLを算出する算出部116aを有する。カウント理論値CLは、回転盤21の回転数をn[rpm]、把持部の把持数x、サンプリング期間t[sec]とした場合に、下記の式(1)を用いて算出することができる。
CL=n/60×x×t …(1)
【0083】
動作監視部116は、カウント理論値CLを算出すると、算出したカウント理論値CLとカウント値とを比較する。そして、カウント理論値CLとカウント値が一致していれば、各把持部22の動作状態が正常であると判定する。
【0084】
ここで
図10を参照して、6つの把持部22が基板Wを把持する全クランプ形態において、1つの把持部22の把持が外れている場合の動作状態の判定について説明する。すなわち、全クランプ形態は、各把持部22の反射板221rが本来全て下位置LPに位置しているパターンであるが、動作異常によって1つの把持部22の反射板221rが上位置HPに位置している状態である。
【0085】
この場合、回転盤21が一周回転すると、ファイバセンサ36は、検出信号100として5つの第1山形部103と、1つの第2山形部104と、を検出することになる。したがって、ファイバセンサ36の検出信号100を受信したアンプ38は、一周あたり5個のパルスを繰り返して出力する。
【0086】
カウント用基板95は、カウント値取得部115から指令された開始指令と終了指令の期間にわたって、入力された一周あたり5個のパルスを継続的にカウントする。つまり、カウント用基板95がカウントしたカウント値は、カウント理論値CLに対して少なくなる。動作監視部116は、カウント理論値CLよりも少ないカウント値であった場合に、全クランプ形態での把持部22による基板Wの把持が異常であると判定する。なお、動作監視部116は、他の把持形態でも同様の方法によって、基板Wの把持の正常または異常を判定できる。
【0087】
ただし、カウント用基板95が、開始指令と終了指令の間にわたってカウントするパルス数は、若干変動する場合がある。変動要因としては、例えば、回転盤21が基本的に定速回転していたとしても目標回転数から実回転数が微量にずれた場合、あるいはサンプリングの開始タイミングや終了タイミングでカウントするパルスが重なった場合などがあげられる。
【0088】
この変動要因に対応するため、動作監視部116は、各把持部22の把持数に基づきカウント理論値CLに対して許容範囲ARを付与する構成としている。そして、動作監視部116は、カウント理論値CLを中心とする許容範囲AR内にカウント値が入っていれば動作状態を正常と判定する一方で、許容範囲ARにカウント値が入っていなければ動作状態の異常を判定する。例えば、各把持部22の把持数が3つ(第1クランプ形態、第2クランプ形態)の場合、動作監視部116はカウント理論値CLに対して±30%の許容範囲ARを設定する。仮に、カウント理論値CLに対して34%以上の許容範囲ARを設定すると、1つの把持部22が非把持の異常を見逃すことになるからである。同様に、把持部22の把持数が6つ(全クランプ形態)の場合、動作監視部116はカウント理論値CLに対して±15%の許容範囲ARを設定する。
【0089】
制御部90は、動作監視部116により基板Wの把持の異常を判定した場合に、例えば、ユーザインタフェース94を介して異常を報知する、または回転部40の回転を停止して基板処理を中止するなどの処理を行う。あるいは、第1クランプ形態から全クランプ形態の移行時に異常を判定した場合は、保持制御部110により各第2把持部22Bの把持動作を複数回再試行してもよい。これにより、各第2把持部22Bの把持が正常になされる可能性が高まる。一方、複数回再試行しても全クランプ形態とならない場合に、制御部90は、異常の報知、基板処理の中止などの対処を図るとよい。なお、第2クランプ形態から全クランプ形態の移行時も同様の対処を行うことが好ましい。
【0090】
本実施形態に係る基板処理装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その動作について
図11のフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、基板処理時における、保持部20の動作および各把持部22の動作状態の監視について例示するが、各把持部22の動作状態の監視は、例えば、基板処理前(準備時、イニシャル時)などにおける回転中でも実行し得る。
【0091】
基板処理装置10の制御部90は、基板処理において、まず図示しない搬送装置により基板処理装置10に搬入する(ステップS1)。この際、制御部90の保持制御部110は、各第1把持部22Aおよび各第2把持部22Bの接触端222eを解放位置UPに移動させることで全アンクランプ形態を形成する(
図4(A)も参照)。これにより、基板処理装置10は、カップ80内において図示しないリフトピンを上昇させて搬送装置から基板Wを受け取り、さらにリフトピンを所定位置に下降させる。この所定位置において、保持制御部110は、各把持部22のうち各第1把持部22Aの接触端222eを把持位置CPに移動させる。これにより、保持制御部110は、各第1把持部22Aの各接触端222eが基板Wの周縁を把持した第1クランプ形態を形成する(
図4(B)も参照)。リフトピンは、第1クランプ形態の形成後にさらに下方に退避する。
【0092】
第1クランプ形態で、回転制御部111は、基板処理のレシピに応じた目標回転数をモータドライバに指令することで、回転盤21および基板Wの回転を開始する(ステップS2)。回転盤21および基板Wは、回転開始後に回転速度を徐々に上げていき、目標回転数に達すると定速で回転する。
【0093】
また、回転盤21および基板Wの回転中において、検出部35は、アンプ38の制御に基づきファイバセンサ36により各把持部22の反射板221rの位置を検出している。アンプ38は、ファイバセンサ36から受信した検出信号100を判定閾値Thと比較し、検出信号100が判定閾値Th以上となるとそれに応じたパルスを形成する。このようにアンプ38は、判定閾値Thを用いることで、ファイバセンサ36の検出信号に応じたパルス信号105を簡単に生成することが可能となる。そして、制御部90は、アンプ38から出力されたパルス信号105に基づき、各把持部22の動作状態を監視する。この動作状態監視方法については後に詳述する。
【0094】
次に、液処理制御部112は、基板Wの上面Waと下面Wbの両方に、薬液を供給する(ステップS3)。薬液は、第1液供給部50のノズル51から上面Waの中央に供給され、遠心力によって上面Wa全体に濡れ広がり、上面Wa全体を処理する。また、薬液は、第3液供給部70のノズル71Aから下面Wbの中央に供給され、遠心力によって下面Wb全体に濡れ広がり、下面Wb全体を処理する。
【0095】
また、ステップS3では、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとが、交互に基板Wを把持する。例えば、保持制御部110は、第1クランプ形態で薬液が基板Wに供給されて基板Wをエッチングした後、第2クランプ形態への基板Wの持ち替えを行う。この際、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bの両方が基板Wを同時に把持する全クランプ形態をに移行する(
図5(A)も参照)。そして保持制御部110は、全クランプ形態後に各第1把持部22Aを離して、各第2把持部22Bにより基板Wを把持する第2クランプ形態をとる(
図5(B)も参照)。第2クランプ形態で基板Wに薬液を供給することにより、第1クランプ形態で進行が遅れた第1把持部22Aの近傍のエッチングを進行させることができる。特に薬液の供給中に、基板処理装置10は、保持部20の回転数を加減速しなくてもよくなり、処理速度の低下を抑制できる。
【0096】
基板処理装置10は、基板Wのエッチングが完了した後も、基板Wに薬液を供給することで、異物を除去することが好ましい。この際も、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとの基板Wの持ち替え(例えば、第2クランプ形態→全クランプ形態→第1クランプ形態への移行)を行うとよい。
【0097】
次に、液処理制御部112は、基板Wの上面Waと下面Wbの両方にリンス液を供給し、上記ステップS3で形成された薬液の液膜をリンス液の液膜に置換する。リンス液は、第1液供給部50のノズル51から上面Waの中央に供給され、遠心力によって上面Wa全体に濡れ広がり、上面Waに残る薬液を洗い流してリンス液の液膜を形成する。また、リンス液は、第3液供給部70のノズル71Aから下面Wbの中央に供給され、遠心力によって下面Wb全体に濡れ広がり、下面Wbに残る薬液を洗い流してリンス液の液膜を形成する。
【0098】
このステップS4でも、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとが、交互に基板Wを把持する。例えば、第1クランプ形態でリンス液が基板Wに供給されることで、基板Wに残る薬液を洗い流した後、第2クランプ形態への基板Wの持ち替えを行う。この際も、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bの両方が同時に基板Wを把持する全クランプ形態を経て、第2クランプ形態となる。これにより、基板処理装置10は、薬液からリンス液への置換ムラを抑制できる。
【0099】
次に、液処理制御部112は、基板Wの上面Waに、乾燥液を供給し、上記ステップS4で形成されたリンス液の液膜を乾燥液の液膜に置換する(ステップS5)。乾燥液は、第2液供給部60のノズル61から上面Waの中央に供給され、遠心力によって上面Wa全体に濡れ広がり、上面Waに残るリンス液を洗い流して乾燥液の液膜を形成する。
【0100】
このステップS5でも、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとで交互に基板Wを把持する。例えば、第1クランプ形態で、乾燥液が基板Wに供給され、基板Wに残るリンス液を置換した後、第2クランプ形態への基板Wの持ち替えを行う。この際も、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bの両方が同時に基板Wを把持する全クランプ形態を経て、第2クランプ形態となる。これにより、基板処理装置10は、リンス液から乾燥液への置換ムラを抑制できる。
【0101】
次に、回転制御部111は、基板Wを所定の回転数で回転する(ステップS6)。この際、基板Wに対して処理液が供給されないことで、基板Wに残る乾燥液が振り切られ、基板Wが乾燥させられる。このステップS6でも、保持制御部110は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bとで、交互に基板Wを把持する。例えば、第1クランプ形態で、乾燥液を振り切った後、全クランプ形態を経て、第2クランプ形態への基板Wの持ち替えを行う。これにより、基板処理装置10は、乾燥液の乾燥ムラを抑制できる。
【0102】
次に、制御部は、リフトピンの上昇に伴って保持部20による基板Wの保持を解除し、基板Wを搬送装置に受け渡すことで、基板処理装置10の外部に基板Wを搬出する(ステップS7)。これにより、今回の基板処理が終了する。
【0103】
上記のステップS2~S6の処理フローにおいて、制御部90は、
図12に示すように、回転中の各把持部22の動作状態が正常か否かを監視する動作監視方法を実施する。具体的には上記したように、回転盤21および基板Wの回転中に、制御部90は、アンプ38に対してファイバセンサ36による各把持部22の測定を指令する(ステップS11)。これにより、アンプ38は、ファイバセンサ36が検出した第1山形部103に応じたパルス信号105を生成して、カウント用基板95に継続的に送信する。
【0104】
複数の把持部22が回転盤21と共に回転するのに対し、ファイバセンサ36は固定されている。ファイバセンサ36は、複数の把持部22が通る回転軌道の一点の真下に、固定されている。基板処理装置10は、各把持部22の動作状態の検出において、1つのファイバセンサ36を用いて、各反射板221r全ての反射光を検出している(
図3も参照)。これにより、制御部90は、各把持部22の動作状態を簡単かつ低コストで認識できる。そして、反射板221rが下位置LPに位置して、ファイバセンサ36に近接かつ対向している状態では、反射板221rからファイバセンサ36に多く(最大)の反射光量を返すことができる。反射板221rが下位置LPに位置している場合とは、接触端222eが把持位置CPに位置していることなる。よって、制御部90は、基板Wの保持状態を良好に認識できる。
【0105】
逆に、反射板221rが上位置HPに位置して、ファイバセンサ36から離間かつ傾斜している状態では、反射板221rからファイバセンサ36に少ない反射光量を返すことになる。このため、反射板221rの反射光量が少ないことに基づき、制御部90は、把持位置CPにないことを直ちに認識できる。つまり、検出部35は、第1山形部103の形状と第2山形部104の形状に大きな差を生じさせることで、制御部90の認識精度を高めることができる。
【0106】
制御部90のカウント値取得部115は、回転数取得部113が取得する回転数に基づき、回転盤21および基板Wが目標回転数で定速回転となったか否かを判定する(ステップS12)。定速回転となった場合(ステップS12:YES)、カウント値取得部115は、実回転数に応じて設定されたサンプリング期間に基づき、パルス信号105のカウントをカウント用基板95に指令する(ステップS13)。これにより、カウント用基板95は、カウント値取得部115から受信した開始指令と終了指令との間にわたって、アンプ38のパルス信号105をカウントし、そのカウント値をカウント値取得部115に送信する。カウント値取得部115は、送信されたカウント値を取得し(ステップS14)、このカウント値を、次のカウント値の取得までメモリ93に一時的に記憶する。
【0107】
このように、基板処理装置10は、アンプ38からパルス信号105を出力して、パルス信号105のパルス数をカウントすることで、回転している各把持部22全体の動作状態を簡単に捉えることができる。また、制御部90は、回転盤21の回転数に応じてサンプリング期間を変化させることで、例えば、200rpmよりも低い回転数や200rpm~1500rpmの高速回転でも、各把持部22の動作状態を良好に確認できる。そして、制御部90は、サンプリング期間のカウント値に基づき各把持部22の動作状態を充分に高い精度で判断することが可能となる。
【0108】
動作監視部116は、回転盤21の目標回転数と、各把持部22の把持数と、サンプリング期間とに基づき、カウント理論値CLおよび許容範囲ARを算出する(ステップS15)。さらに、動作監視部116は、算出した許容範囲ARを含むカウント理論値CLと、カウント値取得部115が取得したカウント値とを比較することで、各把持部22の状態監視を行う(ステップS16)。
【0109】
カウント理論値CLを中心とした許容範囲AR内にカウント値が含まれる場合(ステップS16:YES)、動作監視部116は、各把持部22が正常に動作していると判定する(ステップS17)。このため、制御部90は、基板処理をそのまま継続する。そして、制御部90は、上記した基板Wの乾燥(ステップS6)の終了まで基板処理が進んだか否かを判定する(ステップS18)。基板Wの乾燥まで終了していない場合(ステップS18:NO)には、ステップS13に戻り、以下同様の処理フローを繰り返す。一方、基板Wの乾燥まで終了した場合(ステップS18:YES)には、今回の動作状態監視方法を終了する。
【0110】
また、カウント理論値CLを中心とした許容範囲AR内にカウント値が含まれない場合(ステップS16:NO)、動作監視部116は、各把持部22のうちいずれかの動作に異常があると判定する(ステップS19)。この異常の判定がなされると、制御部90は、基板処理を中止するとともに、ユーザインタフェース94を介して異常の発生をユーザに報知する(ステップS19)。これにより、ユーザは、必要な対処を早期に図ることができる。
【0111】
以上のように、基板処理装置10は、基板Wの回転中に、把持部22(第1把持部22A、第2把持部22B)の動作状態を検出部35により非接触で検出する。そのため例えば、基板処理の最中でも、基板処理装置10は、把持部22の動作状態を安定して確認することが可能となり、基板処理を良好に継続できる。特に、複数の把持部22毎に検出部35を設置する必要がなくなるため、基板処理装置10は、装置構成をシンプルにして、製造コストの低廉化などを促すことができる。
【0112】
そして、基板処理装置10は、各第1把持部22Aと各第2把持部22Bにより基板Wを持ち替える場合に、各把持部22の動作状態の認識がより有効となる。一例として、第1クランプ形態→全クランプ形態→第2クランプ形態に切り替える過程では、各把持部22が基板Wを把持する個数は、3個→6個→3個の順に変化することになる。各形態において基板Wを把持する個数が異なる場合には、動作不良が生じていることになる。したがって例えば、全クランプ形態にて動作異常(把持位置CPに存在しない把持部22)がある場合、制御部90は、第2クランプ形態に移行しないように制御することが好ましい。これにより、各第2把持部22Bの基板Wの把持不良による脱落を未然に防ぐことができる。なお、基板処理装置10は、全クランプ形態にて動作異常がある場合、その形態(または正常と推定される第1クランプ形態)で基板処理を継続してもよい。この場合でも基板Wを継続することで、例えば、ステップS6の乾燥工程まで進んでいた場合にその基板Wを無駄にすることを防ぐことができる。なお、この処理は、第2クランプ形態→全クランプ形態→第1クランプ形態に切り替える過程でも同様である。
【0113】
また、基板処理装置10は、回転盤21よりも下方にファイバセンサ36を備えることで、基板処理の処理液やパーティクルなどがファイバセンサ36に付着するのを抑制でき、把持部の動作状態を継続的かつ安定的に監視することが可能となる。しかも、ファイバセンサ36は、各把持部22に対向する発光レンズ361や受光レンズ362(検出子)に対して連続的または間欠的にパージガスを吐出するパージ吐出口363(吐出部)を有する。このため、ファイバセンサ36の検出精度が低下する機会を一層減らすことができる。
【0114】
さらに、基板処理装置10は、アンプ38において設定したリミット設定値Tlimに基づき、経年または異物の付着に伴う検出信号の低下を、ユーザに早期に報知することが可能である。この結果、基板処理装置10のユーザは、適切なタイミングでメンテナンスなどの対応をとるとことができる。
【0115】
今回開示された実施形態に係る基板処理装置10および動作状態監視方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0116】
10 基板処理装置
20 保持部
21 回転盤
22A 第1把持部
22B 第2把持部
35 検出部
36 ファイバセンサ
40 回転部
90 制御部
100 検出信号
W 基板