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特開2023-67369クリーニング方法、基板の処理方法及びプラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067369
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】クリーニング方法、基板の処理方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230509BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230509BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
H01L21/31 C
H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178533
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】青木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】布施 吉貴
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA15
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BD01
5F004BD04
5F004CA06
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA17
5F004DA26
5F004DA27
5F045AA08
5F045DP03
5F045DQ10
5F045DQ17
5F045EB06
5F045EB08
5F045EF05
5F045EH14
5F045EH20
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EJ10
5F045EK07
5F045EM05
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA11
5F131BA15
5F131BA19
5F131BA21
5F131BA24
5F131BB04
5F131BB22
5F131CA04
5F131EB14
5F131EB72
5F131EB81
5F131EB82
5F131HA09
5F131HA12
(57)【要約】
【課題】静電チャック表面の帯電量を低減可能な技術を提供する。
【解決手段】基板のプラズマ処理装置におけるクリーニング方法が提供される。クリーニング方法は、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、(b)(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置におけるクリーニング方法であって、
(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、
(b)前記(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、を有する、
クリーニング方法。
【請求項2】
前記(a)は、プラズマ生成用の電力を供給する工程を含み、
前記(a)においてプラズマ生成用の電力の供給を開始した後に、前記(b)における前記静電チャックへの電圧の印加を開始し、
前記(a)においてプラズマ生成用の電力の供給を停止する前に、前記(b)における前記静電チャックへの電圧の印加を停止する、請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
前記(a)の前に、プラズマ生成用のガスを供給する工程を有し、
前記(a)においてプラズマ生成用のガスの供給を開始した後に、前記(b)における前記静電チャックへの電圧の印加を開始し、
前記(a)においてプラズマ生成用のガスの供給を停止する前に、前記(b)における前記静電チャックへの電圧の印加を停止する、請求項1又は請求項2に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
(c)前記(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャック表面の帯電状態を測定する工程を、さらに有し、
前記(c)で測定された静電チャック表面の帯電状態に基づいて、前記(b)において前記静電チャックに印加される電圧を決定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項5】
静電チャック表面の帯電状態と、その静電チャック表面の帯電状態において静電チャックに印加されるべき電圧との関係に基づいて、前記(c)における静電チャック表面の帯電状態の測定結果から、前記(b)における前記静電チャックに印加される電圧を決定する、請求項4に記載のクリーニング方法。
【請求項6】
前記(a)において、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバ内の静電チャックの表面がクリーニングされる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項7】
前記(a)において、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバの内部がクリーニングされる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項8】
(a1)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバの内部がクリーニングされる工程と、
(b1)前記(a1)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して、静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、
(a2)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバ内の静電チャックの表面がクリーニングされる工程と、
(b2)前記(a2)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して、静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【請求項9】
前記(b1)と前記(b2)は、静電チャックに印加される電圧が異なる、請求項8に記載のクリーニング方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のクリーニング方法と、
(c)前記(a)及び前記(b)の前又は後の少なくとも何れかに、前記静電チャックに基板を保持して、前記基板をプラズマ処理する工程と、を有する、
基板の処理方法。
【請求項11】
プラズマ処理装置における基板の処理方法であって、
(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、
(b)前記(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加する工程と、
(c)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板を保持して、基板をプラズマ処理する工程と、を有し、
前記(c)は、前記(a)及び前記(b)の前又は後の少なくともいずれかに行われ、
前記(b)において前記静電チャックに印加する電圧の極性は、前記(c)において前記静電チャックに印加する電圧の極性と同じ極性である、
基板の処理方法。
【請求項12】
チャンバと、
前記チャンバ内で基板を保持する静電チャックと、
前記チャンバ内にプラズマ生成用の電力を供給する第1の電源と、
前記静電チャックに電圧を印加する第2の電源と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
(a)チャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、前記第1の電源により前記チャンバ内にプラズマ生成用の電力を供給し、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、
(b)前記(a)のプラズマが生成されている状態で、前記第2の電源により、静電チャックに電圧を印加して静電チャック表面の帯電量を下げる工程とを有する、制御を実行する、
プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、クリーニング方法、基板の処理方法及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電チャック表層の残留電荷による吸着を抑制する技術として、特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-56928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマ処理装置のクリーニング時に静電チャック表面が帯電する。本開示は、静電チャック表面の帯電量を低減可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、(b)(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、を有する、クリーニング方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、静電チャック表面の帯電量を低減可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理装置の一例を概略的に示す図である。
図2】リフトピンを有する本体部の一例を模式的に示す図である。
図3】基板処理システムの一例を概略的に示す図である。
図4】基板の処理方法のシーケンスの一例を説明するための図である。
図5】第2のクリーニング処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第2のクリーニング処理の処理ガス供給、高周波電力供給、静電チャックへの電圧印加のシーケンスの一例を示す図である。
図7】静電チャックの表面の帯電状態の一例を説明するための図である。
図8A】本クリーニング方法を適用しなかった場合の、クリーニング処理後の静電チャック表面の帯電状態の一例を模式的に示す図である。
図8B】本クリーニング方法を適用しなかった場合の、次のプラズマ処理の際の静電チャック表面の帯電状態の一例を模式的に示す図である。
図8C】本クリーニング方法を適用しなかった場合の、次のプラズマ処理後の静電チャック表面の帯電状態の一例を模式的に示す図である。
図9A】本クリーニング方法を適用した場合の、クリーニング処理後の静電チャック表面の帯電状態の一例を模式的に示す図である。
図9B】本クリーニング方法を適用した場合の、次のプラズマ処理の際の静電チャック表面の帯電状態の一例を模式的に示す図である。
図9C】本クリーニング方法を適用した場合の、次のプラズマ処理後の静電チャック表面の帯電状態の一例を模式的に示す図である。
図10】リフトピンのトルク差分と印加電圧との関係を示すグラフである。
図11】残留電荷差分と印加電圧との関係を示すグラフである。
図12】本クリーニング方法によるパーティクル量の低減効果を示すグラフである。
図13】測定装置を有するプラズマ処理装置の一例を概略的に示す図である。
図14】帯電状態(電位V1)と印加電圧の相関データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、(b)(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャック表面の帯電量が少なくなるように静電チャックに電圧を印加する工程と、を有する、クリーニング方法が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、(a)は、プラズマ生成用の電力を供給する工程を含み、(a)においてプラズマ生成用の電力の供給を開始した後に、(b)における静電チャックへの電圧の印加を開始し、(a)におけるプラズマ生成用の電力の供給を停止する前に、(b)における静電チャックへの電圧の印加を停止する。
【0011】
一つの例示的実施形態において、(a)は、プラズマ生成用のガスを供給する工程を含み、(a)においてプラズマ生成用のガスの供給を開始した後に、(b)における静電チャックへの電圧の印加を開始し、(a)においてプラズマ生成用のガスの供給を停止する前に、(b)における静電チャックへの電圧の印加を停止する。
【0012】
一つの例示的実施形態において、(c)(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャック表面の帯電状態を測定する工程を、さらに有し、(c)で測定された静電チャック表面の帯電状態に基づいて、(b)において静電チャックに印加される電圧を決定する。
【0013】
一つの例示的実施形態において、静電チャック表面の帯電状態と、その静電チャック表面の帯電状態において静電チャックに印加されるべき電圧との関係に基づいて、(c)における静電チャック表面の帯電状態の測定結果から、(b)における静電チャックに印加される電圧を決定する。
【0014】
一つの例示的実施形態において、(a)において、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバ内の静電チャックの表面がクリーニングされる。
【0015】
一つの例示的実施形態において、(a)において、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバの内部がクリーニングされる。
【0016】
一つの例示的実施形態において、(a1)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバの内部がクリーニングされる工程と、(b1)(a1)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して、静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、(a2)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバ内の静電チャックの表面がクリーニングされる工程と、(b2)前記(a2)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して、静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、を有する。前記(b1)と前記(b2)は、静電チャックに印加される電圧が異なる、一つの例示的実施形態において、(b1)と(b2)は、静電チャックに印加される電圧が異なる。
【0017】
一つの例示的実施形態において、上記クリーニング方法と、(c)前記(a)及び前記(b)の前又は後の少なくとも何れかに、静電チャックに基板を保持して、基板をプラズマ処理する工程と、を有する、基板の処理方法が提供される。
【0018】
一つの例示的実施形態において、(a)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、(b)(a)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加する工程と、(c)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板を保持して、基板をプラズマ処理する工程と、を有し、(c)は、(a)及び(b)の前又は後の少なくともいずれかに行われ、(b)において静電チャックに印加する電圧の極性は、(c)において静電チャックに印加する電圧の極性と同じ極性である、基板の処理方法が提供される。
【0019】
一つの例示的実施形態において、チャンバと、チャンバ内で基板を保持する静電チャックと、チャンバ内にプラズマ生成用の電力を供給する第1の電源と、静電チャックに電圧を印加する第2の電源と、制御部と、を備え、制御部は、(a)チャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、第1の電源によりチャンバ内にプラズマ生成用の電力を供給し、チャンバ内にプラズマを生成する工程と、(b)(a)のプラズマが生成されている状態で、第2の電源により、静電チャックに電圧を印加して静電チャック表面の帯電量を下げる工程とを有する、制御を実行する、プラズマ処理装置が提供される。
【0020】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
<プラズマ処理装置1の構成>
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。一つの例示的実施形態に係る基板の処理方法(以下「本処理方法」という)は、プラズマ処理装置1を用いて実行される。
【0022】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ(単に「チャンバ」ともいう)10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10とは電気的に絶縁される。
【0023】
基板支持部11は、本体部50及びリングアセンブリ51を含む。本体部50は、基板Wを支持するための中央領域50aと、リングアセンブリ51を支持するための環状領域50bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部50の環状領域50bは、平面視で本体部50の中央領域50aを囲んでいる。基板Wは、本体部50の中央領域50a上に配置され、リングアセンブリ51は、本体部50の中央領域50a上の基板Wを囲むように本体部50の環状領域50b上に配置される。従って、中央領域50aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域50bは、リングアセンブリ51を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0024】
一実施形態において、本体部50は、基台60及び静電チャック61を含む。基台60は、導電性部材を含む。基台60の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック61は、基台60の上に配置される。静電チャック61は、セラミック部材61aとセラミック部材61a内に配置される静電電極61bとを含む。セラミック部材61aは、中央領域50aを有する。一実施形態において、セラミック部材61aは、環状領域50bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック61を囲む他の部材が環状領域50bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ51は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック61と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、RF又はDC電極がセラミック部材61a内に配置されてもよく、この場合、RF又はDC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号又はDC信号がRF又はDC電極に接続される場合、RF又はDC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台60の導電性部材とRF又はDC電極との両方が2つの下部電極として機能してもよい。
【0025】
静電チャック61の静電電極61bは、スイッチ70sを介して第2の電源としての直流電源70pに接続されている。静電電極61bに直流電源70pからの直流電圧が印加されると、静電チャック61と基板Wとの間に静電引力(クーロン力)が発生する。基板Wは、その静電引力によって静電チャック61に引き付けられて、静電チャック61の表面61cに吸着保持される。静電チャック61の表面61cは、平坦であってもよいし、凹凸形状になっていてもよい。静電チャック61は、クーロン力を用いたクーロン型のものに限られず、ジョンソン・ラベック力を用いたジョンソン・ラベック型のものであってもよい。
【0026】
リングアセンブリ51は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0027】
また、基板支持部11は、静電チャック61、リングアセンブリ51及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路60a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路60aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路60aが基台60内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック61のセラミック部材61a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域50aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0028】
図2に示すように本体部50には、上下方向に貫通する複数の貫通孔50cが形成されている。本体部50には、貫通孔50c内を上下方向に移動可能なリフトピン80が、各貫通孔50cに設けられている。リフトピン80は、基板Wを支持する。リフトピン80は、基板を支持するリフターの一例である。リフトピン80は、図示しない駆動装置により駆動する。このリフトピン80により、静電チャック61上又は静電チャック61の上方で基板Wを昇降させることができる。リフトピン80が下降することにより基板Wを静電チャック61の表面61cに載置することができ、リフトピン80が上昇することにより基板Wを静電チャック61の表面61cから離脱させることができる。
【0029】
図1に示すシャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0030】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0031】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合される第1の電源としてのRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0032】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0033】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0034】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0035】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、DCに基づく電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0036】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0037】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0038】
<基板処理システムPSの構成>
図3は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSを概略的に示す図である。一つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSは、プラズマ処理装置1を備えるものである。
【0039】
基板処理システムPSは、基板処理室PM1~PM6(以下、総称して「基板処理モジュールPM」ともいう。)と、搬送モジュールTMと、ロードロックモジュールLLM1及びLLM2(以下、総称して「ロードロックモジュールLLM」ともいう。)と、ローダーモジュールLM、ロードポートLP1からLP3(以下、総称して「ロードポートLP」ともいう。)とを有する。制御部CTは、基板処理システムPSの各構成を制御して、基板Wに所与の処理を実行する。
【0040】
基板処理モジュールPMは、その内部において、基板Wに対して、エッチング処理、トリミング処理、成膜処理、アニール処理、ドーピング処理、リソグラフィ処理、クリーニング処理、アッシング処理等の処理を実行する。基板処理モジュールPMの一部は、測定モジュールであってよく、基板W上に形成された膜の膜厚や、基板W上に形成されたパターンの寸法等を例えば光学的手法を用いて測定してもよい。図1に示すプラズマ処理装置1は、基板処理モジュールPMの一例である。
【0041】
搬送モジュールTMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、基板処理モジュールPM間又は基板処理モジュールPMとロードロックモジュールLLMとの間で、基板Wを搬送する。基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、搬送モジュールTMに隣接して配置されている。搬送モジュールTMと基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、開閉可能なゲートバルブによって空間的に隔離又は連結される。
【0042】
ロードロックモジュールLLM1及びLLM2は、搬送モジュールTMとローダーモジュールLMとの間に設けられている。ロードロックモジュールLLMは、その内部の圧力を、大気圧又は真空に切り替えることができる。ロードロックモジュールLLMは、大気圧であるローダーモジュールLMから真空である搬送モジュールTMへ基板Wを搬送し、また、真空である搬送モジュールTMから大気圧であるローダーモジュールLMへ搬送する。
【0043】
ローダーモジュールLMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、ロードロックモジュールLLMとロードボードLPとの間で基板Wを搬送する。ロードポートLP内の内部には、例えば25枚の基板Wが収納可能なFOUP(Front Opening Unified Pod)または空のFOUPが載置できる。ローダーモジュールLMは、ロードポートLP内のFOUPから基板Wを取り出して、ロードロックモジュールLLMに搬送する。また、ローダーモジュールLMは、ロードロックモジュールLLMから基板Wを取り出して、ロードボードLP内のFOUPに搬送する。
【0044】
制御部CTは、基板処理システムPSの各構成を制御して、基板Wに所与の処理を実行する。制御部CTは、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件等が設定されたレシピを格納しており、当該レシピに従って、基板Wに所与の処理を実行するように、基板処理システムPSの各構成を制御する。制御部CTは、図1に示すプラズマ処理装置1の制御部2の一部又は全部の機能を兼ねてもよい。
【0045】
<本処理方法の一例>
図4は、プラズマ処理装置1で行われる本処理方法のシーケンスの一例を示す説明図である。本処理方法では、プラズマ処理装置1において、基板Wのプラズマ処理P1、第1のクリーニング処理P2及び第2のクリーニング処理P3をこの順に含む処理Aが行われる。以下、第1のクリーニング処理P2をウェハレスドライクリーニング(WLDC)、第2のクリーニング処理P3をウェハレストリートメント(WLT)ともいう。例えばプラズマ処理装置1において、1ロットの複数枚の基板Wを処理するにあたり、処理Aが複数回繰り返し行われる。1ロットの最初のプラズマ処理P1において処理される基板Wは、製品基板ではなく、ダミー基板を用いて行われてもよい。一例では、ダミー基板は、パターンが形成されたレジスト膜を有しない基板であってよい。
【0046】
<基板Wのプラズマ処理P1>
プラズマ処理P1は、例えば、プラズマを用いて基板W上の膜をエッチングする処理を含む。
【0047】
先ず、基板Wが図示しない搬送アームによりプラズマ処理チャンバ10内に搬入され、図2に破線で示すようにリフトピン80に受け渡される。次に、基板Wがリフトピン80により下降され、静電チャック61の表面61c上に載置される。次に、図1に示す直流電源70pにより静電チャック61の静電電極61bに直流電圧が印加される。そして、静電チャック61と基板Wとの間に生じた静電引力により、基板Wが静電チャック61の表面61cに吸着保持される。
【0048】
次に、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに処理ガスが供給される。このとき供給される処理ガスは、基板Wのエッチング処理のために必要な活性種を生成するガスを含む。RF電源31により高周波電力が下部電極に供給される。プラズマ処理空間10s内の雰囲気がガス排出口10eから排気され、プラズマ処理空間10s内は所定の圧力に減圧されてもよい。これにより、プラズマ処理空間10sにプラズマが生成され、基板Wがエッチング処理される。
【0049】
所定時間エッチング処理が行われ、その後プラズマ処理空間10sへの処理ガスの供給と下部電極への高周波電力の供給が停止され、エッチング処理が終了する。
【0050】
その後、静電電極61bへの直流電圧の印加が停止される。そして、基板Wがリフトピン80により持ち上げられ、静電チャック61の表面61cから離脱される。基板Wは、図示しない搬送アームにより、プラズマ処理チャンバ10から搬出される。
【0051】
<第1のクリーニング処理P2>
第1のクリーニング処理P2は、基板Wが静電チャック61の表面61cにない状態で、プラズマを用いてプラズマ処理チャンバ10の内部、例えば側壁10aや天井壁等に付着又は堆積した副生産物を除去する処理を含む。なお、第1のクリーニング処理P2では、静電チャック61に付着又は堆積した副生産物が除去されてもよい。
【0052】
先ず、上述のプラズマ処理P1において基板Wがプラズマ処理チャンバ10から搬出された後、基板Wが静電チャック61の表面61cに保持されていない状態で、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに処理ガスが供給される。当該処理ガスは、プラズマ処理P1で生成された副生産物を除去し得る活性種を生成するガスを含む。例えば、副生成物がCF系のポリマーである場合、当該処理ガスは、O2ガスであってよい。また、当該処理ガスは、O2ガスに限らず、COガス、CO2ガス、O3ガス等の他の酸素含有ガスであってよい。また、副生成物として、CF系のポリマーに加えて、シリコンや金属が含まれている場合、当該処理ガスは、酸素含有ガスの他に、例えばハロゲン含有ガスを含んでよい。ハロゲン含有ガスは、例えば、CF4ガス、NF3ガス等のフッ素系のガスである。また、ハロゲン含有ガスは、Cl2ガス等の塩素系ガス、HBrガス等の臭素系ガスであってもよい。
【0053】
次に、RF電源31により高周波電力が下部電極に供給される。ガス排出口10eからは、プラズマ処理空間10s内の雰囲気が排気され、プラズマ処理空間10s内は所定の圧力に減圧されてもよい。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、プラズマ処理チャンバ10の内部の副生産物が除去される。なお、RF電源31が発生させる高周波電力の周波数は、例えば、10MHz以上100MHz以下であってもよく、40MHz以上100MHz以下であってもよい。また、当該高周波電力は、例えば、50W以上10,000W以下であってよく、100W以上7,000W以下であってもよく、200W以上2,000W以下であってもよい。
【0054】
所定時間プラズマの生成が行われた後、高周波電力の供給と処理ガスの供給が停止され、第1のクリーニング処理P2が終了する。
【0055】
<第2のクリーニング処理P3>
第2のクリーニング処理P3は、基板Wが静電チャック61の表面61cにない状態で、プラズマを用いてプラズマ処理チャンバ10内の静電チャック61の表面61cを改質する処理を含む。本実施の形態に係るクリーニング方法(「本クリーニング方法」ともいう)は、第2のクリーニング処理P3に含まれる。図5は、第2のクリーニング処理P3の一例を示すフローチャートであり、図6は、プラズマ生成用の処理ガス(Gas)の供給、プラズマ生成用の高周波電力(RF)の供給及び静電チャック61への電圧(ESC DC)の印加のタイミングを示すシーケンスである。
【0056】
第2のクリーニング処理P3が開始されると、先ず、基板Wが静電チャック61の表面61cに保持されていない状態で、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに処理ガスの供給が開始される(図5の工程S1)。このとき供給される処理ガスは、プラズマ処理P1や第1のクリーニング処理P2においてプラズマに曝された静電チャック61の表面61cを改質するために必要なプラズマを生成するものを含む。当該処理ガスは、N2ガスなどの不活性ガスであってもよい。次に、RF電源31により下部電極に高周波電力の供給(プラズマの生成)が開始される(図5の工程S2)。これにより、プラズマ処理空間10s内に例えばN2ガスからプラズマが生成され、静電チャック61の表面61cが窒化され、表面61cのフッ素が除去される。第2のクリーニング処理P3において供給される高周波電力は、第1のクリーニング処理P2において供給される高周波電力よりも高くてもよい。なお、処理ガスの供給の開始タイミング(工程S1)と、高周波電力の供給の開始タイミング(工程S2)は、同時であってよい。
【0057】
プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成されている状態(図5におけるプラズマの生成工程SA)で、静電チャック61の静電電極61bに直流電圧が印加され、静電チャック61の表面61cの帯電量が下げられる(図5の工程S3)。例えば、図7に示すようにプラズマの生成により、静電チャック61の表面61cに正の電荷が生成された場合には、直流電源70pにより静電チャック61の静電電極61bに例えば正の直流電圧を印加する。これにより、静電チャック61の表面61cが負に帯電し、電荷が相殺されて表面61cの帯電量が減少する。逆に、静電チャック61の表面61cに負の電荷が生成された場合には、静電チャック61の静電電極61bに例えば負の直流電圧を印加する。これにより、静電チャック61の表面61cが正に帯電し、電荷が相殺されて表面61cの帯電量が減少する。なお、図7は、静電チャック61の表面61cが凹凸形状を有する場合の例である。一つの例示的実施形態では、クリーニング処理P3において静電チャック61に印加する電圧の極性は、基板Wのプラズマ処理P1において静電チャック61に印加する電圧の極性と同じ極性である。
【0058】
その後所定時間、処理ガスが供給され、高周波電力が供給されてプラズマが生成されつつ、静電チャック61に直流電圧が印加され続ける(図5における電圧印加工程SB)。
【0059】
その後、静電チャック61への電圧の印加が停止される(図5の工程S4)。続いて高周波電力の供給が停止され(図5の工程S5)、続いて処理ガスの供給が停止される(図5の工程S6)。こうして、第2のクリーニング処理P3が終了する。なお、本例示的実施形態において、プラズマの生成工程SPは、処理ガスの供給と高周波電力の供給の両方が行われている工程(工程S2乃至工程S5)であり、電圧印加工程SBは、工程S4から工程S5までの間となる。
【0060】
本例示的実施形態によれば、本クリーニング方法が、プラズマ処理装置1のチャンバ10内の静電チャック61に基板Wが保持されていない状態で、チャンバ10内にプラズマを生成する工程SAと、当該プラズマの生成工程SAにおいてプラズマが生成されている状態で、静電チャック61に電圧を印加して静電チャック61の表面61cの帯電量を下げる工程SBと、を有している。これにより、第2のクリーニング処理P3時に静電チャック61の表面61cに残留する電荷の帯電量を低減することができる。この結果、第2のクリーニング処理P3の次に行われるプラズマ処理P1において、基板Wの裏面に付着するパーティクルを低減することができる。また基板Wを静電チャック61から離脱させる際のリフトピン80のトルクを低減することができる。この点について図8及び図9を用いてより詳しく説明する。
【0061】
本クリーニング方法を適用しなかった場合、すなわち、クリーニング処理P3時に静電チャック61に電圧を印加しなかった場合には、図8Aに示すように、クリーニング処理P3後の静電チャック61の表面61cには正の電荷が残留している。
【0062】
このため、次に行われるプラズマ処理P1の際に、基板Wを静電チャック61に吸着させた場合に、図8Bに示すように、基板Wから静電チャック61に負の電荷が過剰に移動することとなり、静電チャック61の吸着力が増大する。このような状態では、基板Wと静電チャック61の熱膨張係数差に起因して、基板Wの裏面と静電チャック61の表面との摩擦によって生じるパーティクルが増加することとなる。
【0063】
また、図8Cに示すように、プラズマ処理P1後の残留電荷量が増大するため、リフトピンにより静電チャック61から基板Wを離脱させる際のピントルク(Pin torque)が増加することとなる。
【0064】
一方、本クリーニング方法を適用した場合、すなわち、クリーニング処理P3時に静電チャック61に電圧を印加した場合には、図9Aに示すように、クリーニング処理P3後の静電チャック61の表面61cに残留する正の電荷を低減することできる。
【0065】
このため、次に行われるプラズマ処理P1の際に、基板Wを静電チャック61に吸着させた場合に、図9Bに示すように、基板Wから静電チャック61への負の電荷の移動が抑制され、静電チャック61の吸着力の増加が抑制される。この結果、基板Wの裏面と静電チャック61の表面との摩擦によって生じるパーティクルを低減することができる。
【0066】
また、図9Cに示すように、プラズマ処理P1後の残留電荷の増加が抑制されるため、リフトピンにより静電チャック61から基板Wを離脱させる際のピントルク(Pin torque)の増加を抑制することができる。
【0067】
本例示的実施形態によれば、プラズマの生成工程SAにおいてプラズマ生成用の高周波電力の供給を開始した後(工程S2の後)に、静電チャック61への電圧の印加を開始し、プラズマの生成工程SAにおいてプラズマ生成用の高周波電力の供給を停止する前(工程S5の前)に、静電チャック61への電圧の印加を停止する。これにより、プラズマが生成されている間でのみ静電チャック61に電圧が印加されることになる。この結果、プラズマが生成されていない状態で静電チャック61に電圧を印加したことにより生じ得る放電を防止することができる。
【0068】
本例示的実施形態によれば、プラズマの生成工程SAにおいてプラズマ生成用の処理ガスの供給を開始した後(工程S1の後)に、静電チャック61への電圧の印加を開始し、プラズマの生成工程SAにおいてプラズマ生成用の処理ガスの供給を停止する前(工程S6の前)に、静電チャック61への電圧の印加を停止する。これにより、プラズマが生成されている間でのみ静電チャック61に電圧が印加されることになる。この結果、プラズマが生成されていない状態で静電チャック61に電圧を印加したことにより生じ得る放電を防止することができる。
【0069】
本例示的実施形態における本クリーニング方法のプラズマの生成工程SAにおいて、チャンバ10内にプラズマを生成して、チャンバ10内の静電チャック61の表面61cがクリーニングされる。この第2のクリーニング処理P3では、プラズマの状態として、静電チャック61の表面61cに多くの電荷が残りやすい。このため、第2のクリーニング処理P3において静電チャック61に電圧を印加することで、残留電荷の帯電量を効果的に低減することができる。
【0070】
本例示的実施形態によれば、本処理方法が、プラズマ処理装置1のチャンバ10内の静電チャック61に基板Wが保持されていない状態で、チャンバ10内にプラズマを生成する工程SAと、当該プラズマの生成工程SAにおいてプラズマが生成されている状態で、静電チャック61に電圧を印加して静電チャック61の表面61cの帯電量を下げる工程と、プラズマ処理装置1のチャンバ10内の静電チャック61に基板Wを保持して、基板Wをプラズマ処理する工程(プラズマ処理P1)と、を有している。これにより、静電チャック61に基板Wが保持されない例えば第2のクリーニング処理P3時に、静電チャック61の表面61cに残留する電荷の帯電量を低減することができる。そして、静電チャック61に基板Wが保持されるプラズマ処理P1が第2のクリーニング処理P3の例えば次に行われ、このプラズマ処理P1において、基板Wの裏面に付着するパーティクルを低減することができる。また基板Wを静電チャック61から離脱させる際のリフトピン80のトルクを低減することができる。また、第2のクリーニング処理P3の前に行われたプラズマ処理P1により生じた電荷が静電チャック61に残留している場合でも、第2のクリーニング処理P3において、前のプラズマ処理P1の残留電荷と第2のクリーニング処理P3時に生じる残留電荷をまとめて低減することができる。
【0071】
本例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置1が、チャンバ10と、チャンバ10内で基板Wを保持する静電チャック61と、チャンバ10内にプラズマ生成用の電力を供給する第1の電源としてのRF電源31と、静電チャック61に電圧を印加する第2の電源としての直流電源70pと、制御部2と、を備える。そして、制御部2は、チャンバ10内の静電チャック61に基板Wが保持されていない状態で、RF電源31によりチャンバ10内にプラズマ生成用の電力を供給し、チャンバ10内にプラズマを生成する工程SAと、当該プラズマの生成工程SAにおいてプラズマが生成されている状態で、直流電源70pにより、静電チャック61に電圧を印加して静電チャック61の表面61cの帯電量を下げる工程とを実行する。これにより、プラズマ処理装置1を用いた基板処理において、静電チャック61に基板Wが保持されない例えば第2のクリーニング処理P3時に、静電チャック61の表面61cに残留する電荷の帯電量を低減することができる。そして、静電チャック61に基板Wが保持されるプラズマ処理P1が第2のクリーニング処理P3の例えば次に行われ、このプラズマ処理P1において、基板Wの裏面に付着するパーティクルを低減することができる。また基板Wを静電チャック61から離脱させる際のリフトピン80のトルクを低減することができる。
【0072】
<実施例>
本クリーニング方法を適用したクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1において、基板Wを静電チャック61から離脱させる際に必要なリフトピンのトルクを測定した。また本クリーニング方法を適用しない従来のクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1において、基板Wを静電チャック61から離脱させる際に必要なリフトピンのトルクを測定した。図10のグラフは、本クリーニング方法を適用したクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1におけるリフトピンのトルクと、従来のクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1におけるリフトピンのトルクとの差分を示す。図10のグラフの横軸は、静電チャック61への印加電圧である。かかる測定結果から、静電チャック61に適正に印加電圧を印加することにより、プラズマ処理P1時のリフトピンのトルクが減少することが確認できる。
【0073】
本クリーニング方法を適用したクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1において、静電チャック61の表面の残留電荷を測定した。また本クリーニング方法を適用しない従来のクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1において、静電チャック61の表面の残留電荷を測定した。図11のグラフは、本クリーニング方法を適用したクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1における残留電荷と、従来のクリーニング処理を行った後のプラズマ処理P1における残留電荷との差分を示す。図11のグラフの横軸は、静電チャック61への印加電圧である。かかる測定結果から、静電チャック61に適正に印加電圧を印加することにより、プラズマ処理P1時の残留電荷が減少することが確認できる。
【0074】
単独で行ったプラズマ処理P1による基板(3枚の基板W1、W2、W3)の裏面パーティクルの量(ケースC1)と、本クリーニング方法を適用した第2のクリーニング処理P3を行った後のプラズマ処理P1による基板(3枚の基板W1、W2、W3)の裏面パーティクルの量(ケースC2)と、本クリーニング方法を適用しない第2のクリーニング処理P3を行った後のプラズマ処理P1による基板(3枚の基板W1、W2、W3)の裏面パーティクルの量(ケースC3)とを測定した。そしてそれらを比較した。その結果を図12のグラフに示す。なお、図12中の「Pt」は、裏面パーティクルを意味する。かかる測定結果から、本クリーニング方法を適用した第2のクリーニング処理P3の後に行ったプラズマ処理P1(ケースC2)において、基板Wの裏面パーティクルが減少していることが確認できる。
【0075】
<本クリーニング方法の他の例示的実施形態>
本クリーニング方法において静電チャック61に印加される電圧は、理論値、経験則等で予め定められたものであってもよい。また、本クリーニング方法において静電チャック61に印加される電圧は、静電チャック61の表面61cの帯電状態を測定し、当該帯電状態に基づいて決めてもよい。例えば、本クリーニング方法は、プラズマの生成工程SAにおいてプラズマが生成されている状態で、静電チャック61の表面の帯電状態を測定する工程を有し、当該帯電状態の測定工程で測定された静電チャック61の表面61cの帯電状態に基づいて、静電チャック61に印加される電圧を決定してもよい。さらに、静電チャック61の表面61cの帯電状態と、その帯電状態において静電チャック61に印加されるべき電圧との関係に基づいて、静電チャック61の表面61cの帯電状態の測定結果から、静電チャック61に印加される電圧を決定してもよい。かかる一つの例示的実施形態について説明する。
【0076】
<測定装置100の構成>
一つの例示的実施形態において、静電チャック61の表面61cの帯電状態は、静電チャック61の静電電極61bの電位V1に対応する。例えば静電チャック61の表面61cが正に帯電していると、静電電極61bの電位V1が下がり負になる。静電チャック61の表面61cが負に帯電すると、静電電極61bの電位V1が上がり正になる。そこで、図13に示すように、一つの例示的実施形態のプラズマ処理装置1は、静電チャック61の表面61cの帯電状態に対応する、静電電極61bの電位V1を測定する測定装置100を備える。
【0077】
測定装置100は、例えばフィルタ101、銅円板102、銅板103、アクリル板104、プローブ105及び表面電位計106を有する。プローブ105及び表面電位計106は、電位測定系107を構成する。
【0078】
静電チャック61のスイッチ70sは、説明の便宜上、測定装置100と分けて図示しているが、測定装置100は、スイッチ70sを有していてもよい。スイッチ70sは、静電電極61bの接続を、直流電源70pと測定装置100の静電容量を有する部材との間で切り替える。スイッチ70sは、静電チャック61の表面61cの帯電状態を測定するタイミングで、静電電極61bを測定装置100に接続する。銅円板102と銅板103の間にアクリル板104を挟んだ構成の部材は、静電容量を有する部材の一例である。静電容量を有する部材は、銅円板102、銅板103及びアクリル板104の構成に限らず、絶縁された導体により構成することができる。
【0079】
電位測定系107では、銅円板102と銅板103の間のアクリル板104に生じる電位を、銅円板102の表面に非接触に設けられたプローブ105を用いて表面電位計106により測定する。電位測定系107は、静電容量を有する部材に蓄積される電荷量に相当する値を測定する測定部の一例である。プローブ105は、銅円板102と銅板103の間の電位差を測定できれば、銅円板102に接触していてもよいし、非接触であってもよい。
【0080】
スイッチ70sと静電容量を有する部材との間には、高周波電力を除去するフィルタ101が設けられる。これにより、高周波電力が測定装置100に伝播することを防ぐ。スイッチ70sが直流電源70pと接続される側から測定装置100の静電容量を有する部材と接続される側へ切り替わると、静電容量を有する部材に生じた電位V1の測定、つまり、フローティング状態の静電電極61bの電位V1の測定が可能となる
【0081】
具体的には、銅板103は接地されており、銅円板102の表面に非接触に設けられたプローブ105を用いて表面電位計106により測定された電位が、フローティング状態の静電電極61bの電位V1となる。
【0082】
表面電位計106により測定された電位V1の情報は、静電チャック61の帯電状態を示す情報として制御部2に出力され、制御部2は、当該情報に基づいて、直流電源70pを制御し、静電チャック61の表面61cの帯電量を減少させる電圧を静電チャック61に印加する。
【0083】
制御部2は、図14に示すような帯電状態(例えば電位V1)と、その帯電状態において静電チャック61に印加されるべき電圧との関係としての相関データDを有している。相関データDは、例えば基板Wを処理する前にプラズマ処理装置1を作動させて得たデータにより作成されてもよいし、理論値、計算値等により作成されてもよい。制御部2は、測定装置100による静電チャック61の表面61cの帯電状態の測定結果から、相関データDに基づいて、測定されたクリーニング処理中にプラズマより発生する帯電量に応じて静電チャック61に印加される電圧を決定する。
【0084】
<測定装置100を用いた第2のクリーニング処理P3>
第2のクリーニング処理P3において、測定装置100により、静電電極61bの電位V1を測定する。この電位V1は、静電チャック61の表面61cの帯電状態に対応している。この測定は、第2のクリーニング処理P3において継続的に行われてもよいし、断続的に複数回行われてもよいし、特定の時に1回行われてもよい。
【0085】
具体的には、測定装置100により、プローブ105を用いて表面電位計106により静電チャック61の静電電極61bの電位V1が測定される。測定された電位V1は、制御部2に出力され、制御部2は、当該電位V1(帯電状態)から、相関データDに基づいて、静電チャック61に印加される電圧(電圧の正負、値など)を決定する。
【0086】
制御部2は、直流電源70pを制御し、静電チャック61の表面61cの帯電量が減少する電圧を静電チャック61の静電電極61bに印加する。例えば静電チャック61の静電電極61bの電位V1が正の方向の電位変化、すなわち静電チャック61の表面61cに正の電荷が帯電している場合には、静電チャック61の表面61cに負の電荷を供給するために、静電チャック61の静電電極61bに対し正の電圧を印加する。また、静電電極61bの正の電位変化量が大きいほど、静電チャック61の静電電極61bに、より高い正の電圧を印加する。
【0087】
逆に静電チャック61の静電電極61bの電位V1が負の方向の電位変化、すなわち静電チャック61の表面61cに負の電荷が帯電している場合には、静電チャック61の表面61cに正の電荷を供給するために、静電チャック61の静電電極61bに対し負の電圧を印加する。また、静電電極61bの負の電位変化量が小さいほど、静電チャック61の静電電極61bに、より低い負の電圧を印加する。
【0088】
本例示的実施形態によれば、静電チャック61の表面61cの帯電量を正確かつ確実に減少させることができる。
【0089】
なお、静電チャック61の表面61cの帯電状態を測定する測定装置は、上記測定装置100の構成に限られない。この測定装置は、静電チャック61の表面61cの帯電状態を直接測定するもの、あるいは帯電状態に対応する値を測定するものであれば、静電電極61bの電位V1を測定するものでなくてもよい。
【0090】
<本クリーニング方法の第1のクリーニング処理P2への適用>
本クリーニング方法は、第1のクリーニング処理P2に適用してもよい。
【0091】
この場合、第1のクリーニング処理P2が開始されると、先ず、基板Wが静電チャック61の表面61cに保持されていない状態で、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに処理ガスの供給が開始される。このとき供給される処理ガスは、プラズマ処理P1で生成され副生産物を除去するために必要なプラズマを生成するものを含む。次に、RF電源31により下部電極に高周波電力の供給が開始される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、プラズマ処理チャンバ10の内部の副生産物が除去される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、プラズマ処理チャンバ10の副生産物が除去される。このプラズマが生成されている状態で、静電チャック61に電圧が印加され、静電チャック61の表面61cの帯電量が下げられる。例えば、図7に示すようにプラズマの生成により、静電チャック61の表面61cに正の電荷が生成された場合には、静電チャック61の静電電極61bに例えば正の直流電圧を印加する。これにより、静電チャック61の表面61cが負に帯電し、電荷が相殺されて表面61cの帯電量が減少する。逆に、静電チャック61の表面61cに負の電荷が生成された場合には、静電チャック61の静電電極61bに例えば負の直流電圧を印加する。これにより、静電チャック61の表面61cが正に帯電し、電荷が相殺されて表面61cの帯電量が減少する。
【0092】
その後所定時間、処理ガスが供給され、高周波電力が供給されてプラズマが生成されつつ、静電チャック61に直流電圧が印加され続ける。
【0093】
その後、静電チャック61への電圧の印加が停止される。続いて高周波電力の供給が停止され、続いて処理ガスの供給が停止される。こうして、第1のクリーニング処理P2が終了する。
【0094】
本例示的実施形態によれば、第1のクリーニング処理P2時に静電チャック61の表面61cに残留する電荷の帯電量を低減することができる。
【0095】
本クリーニング方法は、第2のクリーニング処理P3に適用されず、第1のクリーニング処理P2にのみ適用してもよいし、第1のクリーニング処理P2と第2のクリーニング処理P3の両方に適用してもよい。すなわち、本クリーニング方法は、第1クリーニング処理P2において、(a1)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバの内部がクリーニングされる工程と、(b1)前記(a1)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して、静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、第2のクリーニング処理P3において、(a2)プラズマ処理装置のチャンバ内の静電チャックに基板が保持されていない状態で、チャンバ内にプラズマを生成して、チャンバ内の静電チャックの表面がクリーニングされる工程と、(b2)(a2)のプラズマが生成されている状態で、静電チャックに電圧を印加して、静電チャック表面の帯電量を下げる工程と、を有していてもよい。かかる場合、第1のクリーニング処理P2及び第2のクリーニング処理P3時に静電チャック61の表面61cに残留する電荷の帯電量を低減することができる。
【0096】
本クリーニング方法を第1のクリーニング処理P2と第2のクリーニング処理P3の両方に適用する場合、第1のクリーニング処理P2と第2のクリーニング処理P3において静電チャック61の印加される電圧は、異なっていてもよい。また、静電チャック61の印加される電圧は、第1のクリーニング処理P2よりも第2のクリーニング処理P3の方が高くてもよい。かかる場合、静電チャック61の帯電量が相対的に多い第2のクリーニング処理P3において印加電圧が高くなるため、例えばエネルギー効率を向上することができる。
【0097】
本クリーニング方法及び本処理方法は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【0098】
例えば本クリーニング方法における静電チャック61への電圧の印加は、プラズマが生成されている間の一部或いは全部で行ってもよい。また、静電チャック61への電圧の印加は、プラズマが生成されていない間にも行われてもよい。
【0099】
本クリーニング方法は、第2のクリーニング処理P3、第1のクリーニング処理P2以外のクリーニング処理にも適用することができる。
【0100】
本処理方法は、プラズマ処理P1、第1のクリーニング処理P2、第2のクリーニング処理P3を繰り返すシーケンス以外の他のシーケンスにも適用することができる。
【0101】
本クリーニング方法及び本処理方法は、容量結合型のプラズマ処理装置1以外にも、誘導結合型プラズマやマイクロ波プラズマ等、任意のプラズマ源を用いたプラズマ処理装置を用いて実行してよい。
【符号の説明】
【0102】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……チャンバ、31……RF電源、61……静電チャック、61c……表面、70p……直流電源、W…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14