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特開2023-67715画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067715
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20230509BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20230509BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20230509BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230509BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B41J29/393 105
H04N1/60 160
H04N1/60 300
H04N1/407
G06T1/00 510
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077436
(22)【出願日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021177701
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】牧野 洋二
【テーマコード(参考)】
2C061
2C262
5B057
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CQ34
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN22
2C061KK27
2C262AA02
2C262AA04
2C262AA24
2C262AC03
2C262EA04
2C262GA29
2C262GA36
2C262GA59
5B057AA12
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CH07
5B057CH18
5B057DA03
5B057DA08
5B057DA15
5B057DC25
5C077LL11
5C077MP08
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP43
5C077PP66
5C077PP74
5C077PQ23
5C077SS02
5C077SS04
5C077SS05
5C077TT02
5C079HA18
5C079HA19
5C079HB03
5C079HB08
5C079LA02
5C079LA10
5C079MA04
5C079MA19
5C079NA29
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】印刷対象の画像の色変動の検査精度を向上させる。
【解決手段】印刷対象の画像が形成される領域から、ユーザによる指定に基づき測色領域を抽出する測色領域抽出部と、抽出された前記測色領域における測色値から第1のページと後続の第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を備える画像形成装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の画像が形成される領域から、ユーザによる指定に基づき測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
抽出された前記測色領域における測色値から第1のページと後続の第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を備える、
画像形成装置。
【請求項2】
前記色差判定部は、前記印刷対象に含まれる複数の部数のうち、基準となる部数の前記測色領域における前記第1のページの測色値と、判定の対象となる部数の前記第2のページの測色値との差分を前記色差として算出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のページは、印刷ジョブの1部目に含まれるページであり、
前記第2のページは、前記印刷ジョブの2部目以降に含まれる、前記第1のページと同一のページ数のページであり、
前記色差判定部は、部ごとの同一のページ数のページの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記測色領域抽出部は、前記印刷対象の画像の階調変化の少ない領域を前記測色領域として抽出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記測色領域抽出部は、前記ユーザにより、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定を受けると、指定された前記除外領域以外の領域を前記測色領域として抽出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記測色領域抽出部は、前記ユーザにより、前記画像が形成される領域から測色する領域の指定を受けると、指定された前記領域を前記測色領域として抽出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記測色領域抽出部は、前記ユーザにより、測色する色を示す指定色情報の入力を受けると、選択された前記指定色情報に基づいて前記測色領域を抽出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記指定色情報に基づいて決定される測色領域を表示し、
前記測色領域抽出部は、表示された前記測色領域に対する前記ユーザの確認結果に基づいて、前記測色領域を抽出する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記測色領域抽出部によって自動的に抽出された測色領域を元にして、前記ユーザから、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定、追加する測色領域の指定、測色する色の指定、のうち少なくとも1つの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて変更した領域を前記測色領域とする、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記測色領域抽出部は、前記ユーザによる領域または色の指定を消去して再度、領域または色の指定を受け付ける、
請求項5から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記測色領域抽出部は、印刷ジョブにおいて指定された除外領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている前記除外領域の情報を呼び出して再利用する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記測色領域抽出部は、あらかじめ指定された画素面積の領域を単位として、前記測色領域を抽出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記測色領域抽出部は、あらかじめ指定された画素面積の領域が前記印刷対象の画像の階調変化の少ない領域に満たないと判定すると、前記画素面積より小さい領域を単位として前記測色領域を抽出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記色差判定部は、算出された測色領域毎の色差を、指定領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値と基準値の平均値から算出した色差によって判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記指定領域別の閾値の設定を受け付け、
前記色差判定部は、前記閾値と前記色差とを比較して判定する、
請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記色差判定部は、算出された測色領域毎の色差を、同一色系統別に分類してまとめ、各色系統別の測色値と基準値の平均値から算出した色差によって判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記同一色系統別の閾値の設定を受け付け、
前記色差判定部は、前記閾値と前記色差とを比較して判定する、
請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記色差判定部が、前記色差が設定された閾値を超過したと判定すると、印刷を一時停止して前記色差が超過したことを示すメッセージを表示する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項19】
算出された前記色差を示す情報を表示する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項20】
画像形成装置とユーザ端末とを含む画像形成システムであって、
前記ユーザ端末は、印刷対象の画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域または前記画像が形成される領域から測色する領域の指定を受け、
前記画像形成装置は、
前記印刷対象の画像が形成される前記領域から、前記除外領域または測色する領域の指定に基づいて、測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
抽出された前記測色領域における測色値から部数ごとに色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を備える、
画像形成システム。
【請求項21】
コンピュータが実行する方法であって、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出するステップと、
抽出された前記測色領域における測色値から部数ごとに色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定するステップと、を備える、
画像形成方法。
【請求項22】
コンピュータに、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出するステップと、
抽出された前記測色領域における測色値から部数ごとに色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で印刷に使用する色の階調を補正する技術が開発されている。例えば、画像形成装置で印刷された印刷物をセンサで読み取って、読み取った色と目標の色とを比較することによって、印刷対象の画像データの階調を補正する色安定処理が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷要求により印刷された画像の印刷領域外、すなわち用紙の端部付近となる位置に被測色部を合成した画像が印刷され、被測色部の測色結果に基づいて、画像品質を満たしているかを評価する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、検査の基準となる画像、又は読み取られた画像のいずれかに画像補正パターンが付加されている場合に、画像補正パターンが含まれる領域を検査対象から除外して画像の検査を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、印刷対象の画像とは異なる検査用の画像を印刷して検査するため、印刷対象の画像の色変動を精度良く検査することができないという問題がある。また、特許文献2にも、印刷対象の画像の色変動を精度良く検査する技術については記載されていない。
【0006】
開示の技術は、印刷対象の画像の色変動の検査精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術は、印刷対象の画像が形成される領域から、ユーザによる指定に基づき測色領域を抽出する測色領域抽出部と、抽出された前記測色領域における測色値から第1のページと後続の第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
印刷対象の画像の色変動の検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】画像形成装置の内部構造を説明するための図である。
図3】画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】画像形成装置の機能の一例を示す図である。
図5】第一の実施形態に係る画像形成装置の機能の詳細の一例を示す図である。
図6】第一の実施形態に係る色安定処理のフローの一例を示す図である。
図7】色差算出処理のフローの一例を示す図である。
図8】測色領域の抽出について説明するための図である。
図9】測色領域の指定について説明するための図である。
図10】測色領域指定画面の一例を示す図である。
図11】測色除外領域の指定について説明するための図である。
図12】測色除外領域指定画面の一例を示す図である。
図13】色差超過メッセージ表示画面の一例を示す図である。
図14】色差情報表示画面の一例を示す図である。
図15】第二の実施形態に係る画像形成装置の機能の詳細の一例を示す図である。
図16】第二の実施形態に係る指定色設定画面の一例を示す第一の図である。
図17】第二の実施形態に係る指定色設定画面の一例を示す第二の図である。
図18】第二の実施形態に係る色安定処理のフローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して本発明に係る画像形成システムの実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、画像形成システムの全体構成の一例を示す図である。
【0012】
画像形成システム1は、画像形成装置100と、ユーザ端末200と、サーバ201と、を備える。画像形成装置100、ユーザ端末200およびサーバ201は、通信ネットワーク500を介して通信可能に接続されている。
【0013】
画像形成装置100は、画像を形成する装置であって、例えば、カラープロダクションプリンタ、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ等である。画像形成装置100は、ユーザ端末200またはサーバ201から画像データを受信して、受信した画像データに基づいて、用紙に画像を印刷する。なお、用紙は、画像を形成する対象となる搬送媒体の一例である。
【0014】
ユーザ端末200は、ユーザの操作を受けて、画像の印刷を指示する端末である。具体的には、ユーザ端末200は、画像データを含む印刷ジョブデータを画像形成装置100またはサーバ201に送信する。また、ユーザ端末200は、ユーザの操作を受けて、色安定処理に利用するための閾値を示す情報を画像形成装置100に送信する。さらに、ユーザ端末200は、画像形成装置100から色安定処理の実行状況を示す表示データを受信して、色安定処理の実行状況を示す画面を表示する。
【0015】
サーバ201は、印刷ジョブデータの管理またはカラープロファイルの管理等を行う情報処理装置である。サーバ201は、ユーザ端末200から印刷ジョブデータを受信すると、印刷待ちの印刷ジョブデータを格納する記憶部に、待ち行列として追加する。そして、管理サーバ40は、待ち行列に追加された順に、または適宜設定された優先度にしたがって、待ち行列から印刷ジョブデータを抽出して、画像形成装置100に送信する。
【0016】
通信ネットワーク500は、LAN(Locak Area Network)またはインターネット等であって、データ通信を実現するネットワークである。
【0017】
図2は、画像形成装置の内部構造を説明するための図である。
【0018】
画像形成装置100は、画像形成機構4と、給紙部2と、転写部5と、定着部6と、測定センサ45と、排紙部7と、を備える。
【0019】
給紙部2は、用紙Pを画像形成機構4に搬送する。給紙部2は、給紙口20と、給紙ローラ21と、レジストローラ対22と、を有する。
【0020】
給紙口20は、画像形成機構4の内部に用紙Pを給紙するための開口部である。給紙ローラ21は、給紙口20から給紙された用紙Pを転写部5まで搬送するためのローラである。レジストローラ対22は、給紙ローラ21から搬送される用紙Pを所定のタイミングで転写部5に送り出すためのローラ対である。
【0021】
画像形成機構4は、用紙Pに画像を形成する。画像形成機構4は、4つのプロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kを有している。プロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kは、転写ベルト47にトナー像を転写するための複数の基本色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色に対応し、それぞれ像担持体であるドラム状の感光体40Y、40M、40Cおよび40Kを有する。プロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kは、いずれも同様の構成を有し、説明が重複するため、ここでは、特にイエロー(Y)に対応するプロセスユニット4Yの構成について説明する。
【0022】
プロセスユニット4Yは、感光体40Yと、帯電装置42Yと、レーザユニット53Yと、現像装置43Yと、1次転写ローラ475Yと、クリーニング装置44Yと、を有する。
【0023】
感光体40Yは、図2に示される反時計方向である方向Aに回転する回転体としての像担持体であるドラム状の部材であり、レーザユニット53Yが射出する走査光の被走査面である感光層が形成されている。帯電装置42Yは、感光体40Yを帯電させる装置である。レーザユニット53Yは、走査光を走査することによって、感光体40Yに潜像を形成するユニットである。現像装置43Yは、レーザユニット53Yにより形成された感光体40Y上の潜像に対して、イエロー(Y)のトナーにより現像してトナー像を形成する装置である。1次転写ローラ475Yは、巻き掛けられた転写ベルト47に対して、感光体40Yに形成されたトナー像を転写するローラである。クリーニング装置44Yは、トナー像が転写ベルト47に転写された後に、感光体40Yに残っている余分なトナーを取り除く装置である。
【0024】
画像形成機構4はこのようなプロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kによって、入力された原稿データ(入力画像)に基づいて、基本色の混色により転写ベルト47上に混色の画像であるトナー像を形成する。
【0025】
転写部5は、転写ベルト47に形成されたトナー像を用紙Pに転写する。転写部5は、転写ベルト47と、駆動ローラ471と、従動ローラ472と、2次転写ローラ473と、を有する。
【0026】
転写ベルト47は、伸びの少ないポリイミド樹脂に、電気抵抗を調整するためのカーボン粉末を分散させたベルトである。転写ベルト47は、駆動ローラ471と、従動ローラ472と、2次転写ローラ473と、1次転写ローラ475Y、475M、475Cおよび475Kと、に巻き掛けられている。
【0027】
駆動ローラ471は、図2の方向Bに回転するように駆動源によって駆動される。従動ローラ472は、駆動ローラ471と同様に方向Bに回転する。
【0028】
2次転写ローラ473は、2次転写位置Nにおいて、対向するローラと共に転写ベルト47に当接してニップ部を形成しているローラである。2次転写ローラ473は、2次転写位置Nにおいて、対向するローラとの間に転写ベルト47を用紙Pと共に挟み込み、2次転写バイアスをかけて転写ベルト47表面のトナー像を用紙Pに転写する。2次転写バイアスとしては、転写ベルト47の表面に帯電している静電荷とは逆の極性の電荷を付与する。2次転写位置Nでトナー像が転写された用紙Pは、定着部6へ搬送される。
【0029】
測定センサ45は、用紙Pに定着された画像の反射特性を測定する。測定センサ45は、複数のモノクロラインセンサを組み合わせたインライン式の色度測定器である。複数のモノクロラインセンサは、R(赤)、G(緑)およびB(青)の3つの測定対象色に対して感度を持つように、前段に各測定対象色に対応するバンドパスフィルタが取り付けられている。
【0030】
測定センサ45は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に対応する3つの分光特性を備えた測定チャンネルを有している。測定センサ45が有する測定チャンネルの個数を測定チャンネル数という。測定センサ45は、定着位置N2よりも用紙Pの搬送方向の下流に設置され、用紙Pに形成された画像(カラー画像)の全体または一部の反射特性を測定する。
【0031】
なお、測定センサ45は、少なくとも1つの分光特性を有する測定チャンネル、すなわち、1つ以上の基本色に対して感度を持った測定チャンネルを有するセンサであればよく、いわゆるカラースキャナであってもよい。また、測定センサ45は、単一の分光特性を有するモノクロラインセンサであってもよい。
【0032】
定着部6は、転写部5により転写された用紙Pの画像を定着させる。定着部6は、加熱ローラ61と定着ローラ62との間に形成された定着ニップ部N2を用紙Pが通過する際に、熱および圧力の作用により、用紙Pに担持されたトナー像を定着させ、用紙P上に良好なカラー画像を形成する。定着部6を通過した定着済みの用紙Pは、排紙部7から画像形成機構4の外へ排紙される。
【0033】
排紙部7は、用紙Pを外部に排出する。排紙部7は、切替爪と両面ユニットとを備え、切替爪の態様に応じて用紙Pを両面ユニットに進入させることによって、両面への画像形成を実現させる構成であってもよい。
【0034】
図3は、画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0035】
画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、補助記憶装置103と、ネットワークI/F104と、プリンタエンジンI/F106と、画像形成機構4と、スキャナ27と、を備える。このうち、CPU101、メモリ102、補助記憶装置103、ネットワークI/F104、プリンタエンジンI/F106およびスキャナI/F108は、バス109を介して、互いにデータ通信可能に接続されている。
【0036】
CPU101は、画像形成装置100の動作を総括的に制御する演算装置である。
【0037】
メモリ102は、ファームウェア等のプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPU101の演算処理時のワークエリア(作業領域)として使用されるRAM(Random Access Memory)と、を備える。
【0038】
補助記憶装置103は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリ等の記憶装置であり、OS(Operating System)、各種プログラム、原稿データおよびカラープロファイル等を記憶する。
【0039】
ネットワークI/F104は、画像形成装置100が備える各装置が通信ネットワーク500を介して外部の装置と通信するためのインターフェースである。ネットワークI/F104は、例えば、Ethernet(登録商標)に対応し、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)の通信規格に対応していてもよい。画像形成装置100が備える各装置は、ネットワークI/F104を介して、外部の装置(ユーザ端末200またはサーバ201等)とデータ通信を行うことができる。
【0040】
プリンタエンジンI/F106は、画像形成装置100が備える各装置が画像形成機構4と通信するためのインターフェースである。
【0041】
スキャナI/F108は、画像形成装置100が備える各装置がスキャナ27と通信するためのインターフェースである。スキャナ27は、測定センサ45の機能により用紙Pの画像を読み取る装置である。
【0042】
なお、図3に示した画像形成装置100のハードウェア構成は一例を示すものであり、その他の構成要素を含むものとしてもよい。
【0043】
図4は、画像形成装置の機能の一例を示す図である。
【0044】
画像形成装置100は、画像処理部30と、画像形成部35と、を備える。
【0045】
画像処理部30は、ユーザ端末200またはサーバ201から通信ネットワーク500を介して受信した原稿データを、画像形成機構4で印刷可能な形式に変換するための画像処理を行う。なお、原稿データは、RGBまたはCMYKでカラー指定されたビットマップデータ、テキストデータまたは図形の描画命令等を含むデータフォーマットによって表現されたデータである。
【0046】
そして、画像処理部30は、画像処理を行った原稿データを、画像形成機構4の基本色から構成された画素配列(ビットマップデータ、または、それと等価な圧縮形式)を有する画像データに変換し、変換された画像データを階調処理部31に送る。
【0047】
画像処理部30は、画像形成部35を実現するハードウェアとは独立したハードウェアが、専用のソフトウェアおよび拡張ボード等を備えることによって実現される。したがって、画像処理部30を実現するハードウェアは、画像形成部35を実現するハードウェアと切り離して交換可能な構成となっている。
【0048】
なお、画像処理部30は、画像形成部35を実現するハードウェアと通信可能であれば、画像形成装置100とは別体の端末によって実現されてもよく、例えばユーザ端末200またはサーバ201によって実現されてもよい。また、画像処理部30は、画像形成部35を実現するハードウェアによって実現されてもよい。
【0049】
画像形成部35は、階調処理部31と、色差判定部32と、画像検査部33と、エンジン制御部39と、画像形成制御部36と、を含む。
【0050】
階調処理部31は、画像処理部30によって変換された画素配列を有する画像データを、画像形成機構4が表現可能な階調数の画像データに変換する。
【0051】
画像検査部33は、画像形成機構4により印刷出力された用紙Pからスキャナ27により画像をインライン形式により検出する(読み込む)。具体的には、画像検査部33は、スキャナ27に含まれる測定センサ45を制御することによって、画像を検出する。測定センサ45は、画像形成機構4によって形成された画像に向けて光を照射して、その反射光を受光することによって、画像の反射率を2次元的に面で測定して画像として検出する。すなわち、画像を検出することは、画像を構成する色を測定(以下、測色という)することになる。なお、画像検査部33の動作の詳細は後述する。
【0052】
色差判定部32は、画像検査部33によって検出された部ごとの画像の色を比較して色差を算出する。具体的には、色差判定部32は、基準となる印刷ジョブデータの1部目の画像の色と、n部目の画像の色との色差を算出する。そして、色差判定部32は、算出された色差が、あらかじめ設定された閾値を超過した場合に、画像形成制御部36に通知する。なお、色差判定部32の動作の詳細については後述する。
【0053】
画像形成制御部36は、画像形成機構4による画像の形成を制御する。画像形成制御部36は、階調処理部31によって変換された画像データに基づいて、用紙Pに画像を印刷するように、画像形成機構4を制御する。また、画像形成制御部36は、通知を受けると、印刷を一時停止して、ユーザの指示を待つ。そして、画像形成制御部36は、ユーザから再開の指示を受けると、印刷を再開する。
【0054】
階調処理部31、色差判定部32、画像検査部33および画像形成制御部36は、それぞれ、CPU101がメモリ102に展開したプログラムに規定された処理を実行することによって実現される。なお、階調処理部31、色差判定部32、画像検査部33(スキャナ27を除く)および画像形成制御部36の機能の一部または全部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0055】
図5は、第一の実施形態に係る画像形成装置の機能の詳細の一例を示す図である。
【0056】
画像処理部30は、第一変換部310と、第二変換部311と、階調補正部312と、画像記憶部302と、を有する。
【0057】
第一変換部310は、原稿データQをLab形式に変換する。第二変換部311は、Lab形式をCMYK形式に変換する。階調補正部312は、選択されたカラープロファイルに基づいて階調を補正する。階調が補正されたデータを画像データRとする。
【0058】
画像記憶部302は、生成された画像データRを含む各種のデータを、一時的に、あるいは画像形成を行う間、継続的に、記憶する。
【0059】
画像検査部33は、測定センサ45によって測定された計測値mesColに基づいて測色値mesLabを算出する。すなわち、画像検査部33は、計測値mesColを測色値mesLabに変換する計測値変換部318を有する。
【0060】
色差判定部32は、抽出された測色領域における測色の結果から第1のページと後続の第2のページとの間の色差を算出し、算出された色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する。第1のページと第2のページは、印刷ジョブに含まれる異なるページである。なお、第1のページと第2のページは、印刷ジョブが複数の部数を含む場合において、異なる部に含まれる同一のページ数のページであってもよい。
【0061】
例えば、第1のページは、印刷ジョブの1部目に含まれるページである。また、第2のページは、印刷ジョブの2部目以降に含まれる、第1のページと同一のページ数のページである。
【0062】
色差判定部32は、測色領域抽出部317と、色差算出部319と、を有する。
【0063】
測色領域抽出部317は、印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する。例えば、測色領域抽出部317は、画像データRに含まれる画像の階調変化を解析して、例えば階調変化の少ない領域を測色に適した領域として抽出する。
【0064】
また、測色領域抽出部317は、ユーザの指定を受けた領域を測色領域としてもよい。さらに、測色領域抽出部317は、ユーザの指定を受けた除外領域を測色除外領域としてもよい。ユーザから測色除外領域が指定されると、測色領域抽出部317は、画像データRにおける画像領域のうち、測色除外領域以外の領域から測色領域を抽出する。
【0065】
色差算出部319は、印刷対象に含まれる複数の部数のうち、基準となる部数の測色領域における測色値と、判定の対象となる部数の測色値との差分を色差として算出する。具体的には、色差算出部319は、繰り返して印刷される印刷ジョブの1部目に含まれる各ページの測色値mesLabと、2部目以降に含まれる各ページの測色値mesLabとを画像検査部33から取得して、取得された各測色値mesLabの色差を算出する。詳細な説明については後述する。
【0066】
図5に示される各機能部の動作の詳細について、画像の形成を行う手順に沿ってさらに説明する。ユーザ端末200またはサーバ201は、通信ネットワーク500を介して、印刷要求と共に原稿データQを画像形成装置100に送信する。原稿データQは、RGBあるいはCMYKなどによってカラー指定されたビットマップ、テキストまたは図形の描画命令を含む複雑なデータフォーマットである。
【0067】
画像処理部30は、受け取った原稿データQを展開し、画像形成機構4が有するシアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの各基本色で構成された画素配列、例えば各画素の色情報を格子状に並べたビットマップデータに変換する。
【0068】
階調処理部31は、ビットマップデータに含まれる各画素を画像形成機構4で表現可能な階調数に変換する。画像形成制御部36は、階調処理部31によって階調数が変換された画像データRに基づいて、用紙P上に画像を形成するように、画像形成機構4を制御する。
【0069】
画像検査部33は、測定センサ45の検知したトナー像の反射特性を用いて、後述するように用紙P上の画像をスキャンする。色差算出部319は、測色領域抽出部317に基づいて抽出された測色領域における1部目の測色値mesLabと、2部目以降の同一ページ、同一領域における測色値mesLabとの色差を算出する。
【0070】
色差判定部32は、各測色値の色差が設定された閾値を超過した場合に、画像形成制御部36に印刷を一時停止するように指示する。画像形成装置100は、印刷を中断するか継続するかの選択をユーザに促すためのメッセージをオペレーション画面等に表示し、ユーザの操作を受けて印刷を中断もしくは継続する。
【0071】
なお、色差判定部32が扱う形式をLab(CIELab)形式とし、画像処理部30がCMYK形式の色データである原稿データQをLab形式に変換する例を示しているが、Lab形式に限定されるものではなく、色の変化量を明確にできる形式であればどのような色表現形式を用いてもよい。
【0072】
また、第一変換部310、第二変換部311および計測値変換部318は、それぞれの色空間変換のために、カラープロファイルと呼ばれる基礎データを必要とする。これらのカラープロファイルのうち、原稿色からLab値への変換に必要なカラープロファイルは、原稿データQに添付されているか予め用意されているものが使用される。また、計測値変換部318に必要なカラープロファイルは、画像検査部33に予め設定されている。
【0073】
第二変換部311に必要なカラープロファイルは、用紙Pの種類によって色再現特性に影響が出るために、サーバ201に予め保存された複数のカラープロファイルから用紙Pの種類に合った適切なカラープロファイルを選択して設定することが望ましい。
【0074】
画像処理部30は、このような用紙Pの種類によるカラープロファイルの変更を、ユーザの選択に応じて行ってもよいし、入力された原稿データQに適合する用紙Pの選択に合わせて行ってもよい。
【0075】
画像処理部30は、このようなカラープロファイルとして、例えばICC(International Color Consortium)の定めるICCプロファイルを用いてもよい。
【0076】
次に、画像形成装置100の動作について、図面を参照して説明する。
【0077】
図6は、第一の実施形態に係る色安定処理のフローの一例を示す図である。画像形成装置100は、ユーザの操作を受けて、色差判定を行うための色差閾値の設定を受ける(ステップS300)。画像形成装置100は、色系統別にまとめられた測色値の判定を行う場合は、色系統別に複数の色差閾値の設定を受けてもよい。また、画像形成装置100は、領域別またはページ別に複数の色差閾値の設定を受けてもよいし、領域またはページに共通の色差閾値の設定を受けてもよい。
【0078】
次に、測色領域抽出部317は、ユーザの操作を受けて、測色除外領域の指定があったか否かを判定する(ステップS301)。測色除外領域は、測色の対象から除外する領域であって、測色対象ページ内の画像上の一部の領域で除外したい領域がある場合にユーザによって指定される。
【0079】
測色領域抽出部317は、ユーザから測色除外領域の指定を受けたと判定すると(ステップS301:YES)、指定された領域を測色除外領域として設定する(ステップS302)。測色領域抽出部317は、ユーザから測色除外領域の指定を受けていないと判定すると(ステップS301:NO)、ステップS302の処理をスキップする。
【0080】
次に、測色領域抽出部317は、ユーザの操作を受けて、測色領域の指定があったか否かを判定する(ステップS303)。測色領域は、測色対象ページ内の画像上の測色の対象とする領域であって、ユーザが注目して色管理したい領域がある場合にはユーザによって指定される。
【0081】
測色領域抽出部317は、ユーザから測色領域の指定を受けたと判定すると(ステップS303:YES)、指定された領域を測色領域として抽出する(ステップS304)。測色領域抽出部317は、ユーザから測色領域の指定を受けていないと判定すると(ステップS303:NO)、自動抽出による測色領域の抽出を行う(ステップS305)。
【0082】
次に、画像形成装置100は、印刷ジョブを開始する(ステップS306)。印刷ジョブを開始すると、画像形成装置100は、後述する色差算出処理を実行する(ステップS307)。色差算出処理は、用紙Pに画像を印刷するとともに、印刷された画像から抽出したそれぞれの測色領域の測色値mesLabを抽出して1部目と2部目以降の色差を算出する処理である。色差算出処理のフローの詳細については後述する。
【0083】
次に、色差判定部32は、色差算出処理で算出された色差がステップS300で設定された色差閾値を超過しているか否かを判定する(ステップS308)。色差判定部32が、色差が色差閾値を超過していると判定すると(ステップS308:YES)、画像形成制御部36は、印刷を一時停止する。そして、画像形成装置100は、色差が超過したことを示すメッセージを含む画面を表示する(ステップS309)。表示される画面の具体例については後述する。
【0084】
画像形成制御部36は、表示されたメッセージに対するユーザによる指示内容を判定し(ステップS310)、指示内容が継続であると判定すると(ステップS310:継続)、印刷を継続して印刷ジョブを終了させる(ステップS312)。また、画像形成制御部36は、指示内容が中断であると判定すると(ステップS310:中断)、印刷を中断する(ステップS311)。
【0085】
画像形成装置100は、印刷動作終了後、色差判定を行った印刷ジョブ毎に色差情報を示す画面を表示する(ステップS313)。表示される画面の具体例については後述する。
【0086】
図7は、色差算出処理のフローの一例を示す図である。図6に示した色安定処理のステップS307において、画像形成装置100は、色差算出処理を実行する。
【0087】
画像形成装置100は、印刷ジョブに複数の部数の印刷指示が含まれる場合、各部ごとに以下に示すステップS100からステップS107までの処理を実行する。
【0088】
画像処理部30の第一変換部310は、受信した原稿データQを、デバイスに依存しないLab形式の表色値docLabに変換する(ステップS100)。原稿データQは、RGB形式またはCMYK形式で表現された色を示すデータである。
【0089】
第二変換部311は、表色値docLabを画像形成機構4の基本色であるシアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの各色それぞれの8bitの整数階調値の組である階調値prnCMYKに変換する(ステップS101)。
【0090】
階調補正部312は、初期状態においては階調値prnCMYKを変更せずにそのまま画像データRとして出力する(ステップS102)。なお、階調補正部312は、色安定処理の結果として階調補正が必要となった場合、色安定処理の結果に基づく階調の補正を行ってもよい。
【0091】
ステップS100からステップS102までの処理は、原稿データQに含まれるベクトルデータおよびフォント等の展開とともに行われる。結果として得られる画像データRは、原稿データQの色情報を量子化した基本色C、M、Y、Kの4色分のビットマップデータである。出力された画像データRは、印刷に用いた原稿毎に画像処理部30の画像記憶部302に格納される。
【0092】
次に、階調処理部31は、基本色毎に例えば8bitで送られてくるカラー値を、画像形成機構4が表現可能な階調数に合うように、面積階調法や誤差拡散法を用いて変換する(ステップS103)。画像形成制御部36は、出力された画像データRに基づいて、画像形成機構4を制御してトナー像を形成し、形成されたトナー像を転写部5によって用紙P上に転写する(ステップS104)。
【0093】
画像形成制御部36によって形成されたトナー像は、転写部5によって用紙P上に転写された後、測定センサ45の測定したトナー像の反射特性を用いてスキャンされる。画像検査部33は、スキャンされた画像の色を計測して計測値mesColとして計測値変換部318に入力する。計測値変換部318は、入力された計測値mesColをLab値に変換することで、Lab値化された測色値mesLabを得る(ステップS105)。
【0094】
画像形成装置100は、処理中の部数が1部目であるか否かを判定する(ステップS106)。画像形成装置100は、処理中の部数が1部目であると判定すると(ステップS106:YES)、測色値mesLabを比較の基準として記憶し、色安定処理を終了する。
【0095】
また、画像形成装置100が、処理中の部数が1部目でないと判定すると(ステップS106:NO)、色差算出部319は、1部目の測色値と処理中の部数の測色値との色差を算出する(ステップS107)。
【0096】
次に、測色領域の抽出方法について、図面を参照して説明する。
【0097】
図8は、測色領域の抽出について説明するための図である。
【0098】
図6に示した色安定処理のステップS305において、測色領域抽出部317は、自動抽出による測色領域の抽出を行う。図8は、画像データRから測色領域を抽出する方法の一例を表しており、同一の色系統の印刷領域から抽出される測色領域を示している。図内の黒い四角形は、測色領域抽出部317によって自動的に印刷領域から抽出されたN個の測色領域(xi,yi)(i=1,・・・,N)を示している。各測色領域は、測色するのに適した数mm四方程度の測色領域であって、形成される画像上の色階調変化の少ない領域に配置される。以下、各測色領域の位置をその中心座標(x,y)で表す。
【0099】
なお、ここでは、用紙Pが画像形成装置100において搬送される紙送り方向、所謂、副走査方向を座標yとし、副走査方向と直行する方向(主走査方向)を座標xとして説明している。
【0100】
また、1つの測色領域の大きさは、あらかじめ指定された画素面積の領域でもよく、例えば5mm角程度、すなわち400dpi換算で41×41画素の領域である。しかし、測色領域抽出部317は、例えば、測色に適した領域があらかじめ指定された画素面積に満たない場合には、1つの測色領域の大きさをより小さい画素面積の領域としてもよい。例えば、測色領域抽出部317は、測色に適した領域が5mm角程度に満たないと判断すると、測色領域1点の大きさを例えば21×21画素の領域として抽出してもよい。これにより、画像上の色階調の違いによる色変化の影響の小さい、適切な色変動量を取得することができる。
【0101】
測色領域抽出部317は、単ページもしくは連続する数ページで構成された最初に印刷される印刷ジョブ1部数分からN個の測色領域Ref(xi,yi)を抽出する。色差算出部319は、N個の測色領域Ref(xi,yi)の測色値mesLabを、それぞれ基準値mesLabRef(xi,yi)として記憶する。
【0102】
そして、色差算出部319は、続けて繰り返し印刷が行われる印刷ジョブの2部目以降の部毎に、測色領域Ref(xi,yi)と同一のページ数のページの同じ位置の測色領域となるDif(nc)(xi,yi)の測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)を取得する(ncは部数を示す)。
【0103】
色差算出部319は、部ごとにN個取得したそれぞれの測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)とを式(1)にあてはめて、色差ΔLab(nc)(xi,yi)を算出する。
【0104】
ΔLab(nc)(xi,yi)=mesLabDif(nc)(xi,yi)-mesLabRef(xi,yi) (1)
【0105】
次に、色差判定部32は、算出された色差ΔLab(nc)(xi,yi)が予め設定された色差閾値を超過しているか否かを判定する。
【0106】
また、色差判定部32は、算出された測色領域毎の色差ΔLab(nc)(xi,yi)を、図8に示すような領域1~11の領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)の平均値から算出された色差による判定を行ってもよい。
【0107】
また、色差判定部32は、例えば、青系、赤系、緑系、グレー系で濃度が薄い範囲、濃い範囲、その中間の範囲などの色系統(図中の色系統A~Eなど)別に分類し、その同一色系統別にまとめられた測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)の平均値から算出された色差による判定を行ってもよい。
【0108】
これによって、領域別もしくは色系統別の色差判定が可能になるほか、近傍領域もしくは、同一色系統の色変動が平滑化できるので、例えば画像形成プロセスで生じるページ内の濃度ムラなどによる変動の偏り誤差が低減でき、より正確な色差判定を実現できる。また、色差判定部32は、ページ毎に測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)をまとめ、その平均値から算出した色差による判定をしてもよい。これによって、同一ページ間での色差判定を行うことができる。
【0109】
また、色差判定部32は、色差算出部319が色差ΔLab(nc)(xi,yi)から国際照明委員会(CIE)で定義されている計算式に基づく色差ΔE値を算出し、算出された色差ΔEによる判定を行ってもよい。
【0110】
図9は、測色領域の指定について説明するための図である。また、図10は、測色領域指定画面の一例を示す図である。
【0111】
図9は、図8に図示した測色領域とは異なり、測色領域抽出部317が、ユーザによって指定された領域を抽出した場合の状態を示す図の一例である。例えばユーザが注目して色管理したい領域を自ら指定し、指定された領域の測色値に基づく色差判定を実現する。
【0112】
画像形成装置100は、図10に示すような測色領域指定画面をモニタなどに表示する。ユーザは、コンピュータ操作で使用するマウスなどを使って、指定したい領域が含まれるように矩形枠で囲んで領域の指定を行う。図10は、図9に示した2つの指定領域1,2を指定した例を示しているが、測色領域指定画面では、1つまたは3つ以上の領域を指定できるようになっている。
【0113】
また、測色領域指定画面では、指定済の領域の情報を消去して再度、領域を指定できるようにしてもよい。これによって、ユーザが誤って領域を指定した場合や、色管理したい領域が変更された場合の対応が容易となる。
【0114】
それぞれ指定された領域の座標情報は、測色領域抽出部317へ送られる。測色領域抽出部317は、送られた座標情報に基づいて測色領域を抽出し、色差判定部32は、抽出された測色領域において取得された測色値に基づいて色差判定を行う。
【0115】
これにより、ユーザが注目して色管理したい領域を自ら指定し、指定された領域の測色値に基づく色差判定が実現できる。
【0116】
また、色差判定部32は、算出された測色領域毎の色差ΔLab(nc)(xi,yi)を、指定領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)の平均値から算出した色差によって判定してもよい。また、色差判定部32は、同一色系統別に分類し、色系統別にまとめられた測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)の平均値から算出した色差によって判定してもよい。さらに、同一ページ単位毎の色差判定を行うために、色差判定部32は、ページ単位毎の測色値mesLabDif(nc)(xi,yi)と基準値mesLabRef(xi,yi)をまとめ、その平均値から算出した色差によって判定してもよい。
【0117】
また、色差判定部32は、色差ΔLab(nc)(xi,yi)から国際照明委員会(CIE)で定義されている計算式に基づく色差ΔE値を算出し、算出した色差ΔEによる判定を行っても良い。
【0118】
なお、測色領域抽出部317は、図9に示した指定された領域と図8に示した自動抽出された領域とを組み合わせた測色領域を抽出してもよい。その際、指定された領域が自動抽出された領域の色系統に含まれる場合は、色差算出部319は、測色値を同一色系統にまとめて色差を算出してもよい。
【0119】
また、測色領域抽出部317は、印刷ジョブにおいて指定された領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている指定領域の情報を呼び出して再利用してもよい。これにより、再印刷時においても同一印刷ジョブにおける同一領域の色差評価が可能となる。
【0120】
図11は、測色除外領域の指定について説明するための図である。図12は、測色除外領域指定画面の一例を示す図である。
【0121】
図11は、測色対象ページ内の画像上の一部の領域に対する測色を行いたくない場合に、ユーザが測色を行いたくない領域を除外領域として指定した状態を表す図の一例である。
【0122】
バリアブルデータ印刷は、印刷ジョブの複数部数による繰り返し印刷を行う際に、任意のページの部分的な領域に対して印刷部ごとに異なる文字または画像を挿入して印刷する方法である。繰り返し印刷の部ごとに異なる文字または画像が挿入された場合、挿入された領域の色構成が変わる可能性があるため、色管理には適さない領域となることが考えられる。そのため、異なる文字または画像が挿入される領域を測色領域から除外することが望ましい。
【0123】
そこで、画像形成装置100は、図12に示すような測色除外領域指定画面をモニタなどに表示する。ユーザは、コンピュータ操作で使用するマウスなどを使って、測色を除外したい領域を矩形枠で囲んで指定を行う。図12では、図11に示した1つの除外領域を指定した例を示しているが、測色領域指定画面では、1つまたは3つ以上の領域を指定できるようになっている。
【0124】
また、測色除外領域指定画面では、指定済の領域の情報を消去して再度、領域を指定できるようにしてもよい。これによって、ユーザが誤って領域を指定した場合や、色管理したくない領域が変更された場合の対応が容易となる。
【0125】
それぞれ指定された領域の座標情報は、測色領域抽出部317へ送られる。測色領域抽出部317は、送られた座標情報に基づいて測色除外領域以外の領域を測色領域として抽出し、色差判定部32は、抽出された測色領域において取得された測色値に基づいて色差判定を行う。
【0126】
これにより、繰り返し印刷部ごとに異なる画像情報が挿入されるような場合でも、異なる画像情報が挿入される領域に含まれる測色領域を除外した測色による色差判定が実現できる。
【0127】
また、測色領域抽出部317は、印刷ジョブにおいて指定された除外領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている除外領域の情報を呼び出して再利用してもよい。これにより、再印刷時においても同一印刷ジョブにおける同一領域を除外した色差評価が可能となる。
【0128】
なお、測色領域抽出部317は、自動的に抽出された測色領域を元にして、ユーザから、除外領域の指定、及び、追加する測色領域の指定、のうち少なくとも1つの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて変更した領域を測色領域としてもよい。
【0129】
図13は、色差超過メッセージ表示画面の一例を示す図である。
【0130】
図6に示した色安定処理のステップS309において、画像形成装置100は、色差が超過したことを示すメッセージを含む画面(色差超過メッセージ表示画面)を表示する。色差超過メッセージ表示画面は、印刷継続ボタン901と、印刷ストップボタン902とを含む。
【0131】
ユーザが印刷継続ボタン901を押下すると、画像形成制御部36は、図6に示した色安定処理のステップS310の判定において、指示内容が継続であると判定して、印刷を継続して印刷ジョブを終了させる。
【0132】
また、ユーザが印刷ストップボタン902を押下すると、画像形成制御部36は、図6に示した色安定処理のステップS310の判定において、指示内容が中断であると判定して、印刷を中断する。
【0133】
図14は、色差情報表示画面の一例を示す図である。
【0134】
図6に示した色安定処理のステップS313において、画像形成装置100は、印刷動作終了後、色差判定を行った印刷ジョブ毎に色差情報を示す画面(色差情報表示画面)を表示する。色差情報表示画面には、データ保護ボタン911、削除ボタン912およびデータチェックボタン913が印刷ジョブ毎に表示される。
【0135】
データ保護ボタン911は、色差判定を行った印刷ジョブ毎の色差情報を表示するほか、色差情報を一定期間保護するためのGUI(Graphical User Interface)である。データ保護ボタン911がON(保護有効)されている期間は、対象の印刷ジョブの色差情報は削除不可能となり保護される。
【0136】
削除ボタン912は、色差情報を削除するためのGUIである。削除ボタン912が押された場合は、画像形成装置100は、対象の印刷ジョブの色差情報を削除する。
【0137】
データチェックボタン913は、色差情報の詳細を確認するためのGUIである。データチェックボタン913が押されると、画像形成装置100は、対象の印刷ジョブの色差情報の詳細情報を表示する。詳細情報は、例えば、色系統別の色差判定結果に対し色系統別、部ごとの判定結果の一覧、または領域別、部ごとまたはページ毎の判定結果の一覧を含んでもよい。
【0138】
本実施形態に係る画像形成装置100によれば、印刷対象の画像における測色領域を抽出し、抽出された測色領域において用紙に印刷された画像を測色した測色値に基づいて、印刷ジョブの部ごとの色差によって色変動を判定する。したがって、印刷対象の画像の色変動の検査の精度を向上させることができる。
【0139】
また、測色領域抽出部317は、印刷対象の画像の階調変化の少ない領域を測色領域として抽出してもよい。これによって、画像上の色階調の違いによる色変化の影響の小さい適切な色変動量を取得することができる。
【0140】
また、測色領域抽出部317は、画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定を受けると、指定された除外領域以外の領域を測色領域として抽出してもよい。これによって、繰り返し印刷の部ごとに異なる画像が挿入されるような場合でも、異なる画像が挿入される領域に含まれる測色領域を除外した測色が可能となる。
【0141】
また、測色領域抽出部317は、画像が形成される領域から測色する領域の指定を受けると、指定された領域を測色領域として抽出してもよい。これによって、ユーザが注目して色管理したい領域を自ら指定し、指定された領域の測色値に基づく色差判定を実現できる。
【0142】
また、測色領域抽出部317は、あらかじめ指定された画素面積の領域を単位として、測色領域を抽出してもよい。これによって、測色領域内の予め指定した画素面積の色を少なくとも一つ取得することで測色領域の測色値を取得できる。
【0143】
また、測色領域抽出部317は、あらかじめ指定された画素面積の領域が印刷対象の画像の階調変化の少ない領域に満たないと判定すると、画素面積より小さい領域を単位として測色領域を抽出してもよい。これによって、画像上の色階調の違いによる色変化の影響の小さい、適切な色変動量を取得することができる。
【0144】
また、画像形成装置100は、色差判定部32が、色差が設定された閾値を超過したと判定すると、印刷を一時停止して色差が超過したことを示すメッセージを表示してもよい。これによって、色変動状態が悪化したことを、印刷操作を行うオペレータ等に知らせることができる。
【0145】
また、画像形成装置100は、算出された前記色差を示す情報を表示してもよい。これによって、ユーザが色変動状態を確認できる。
【0146】
(第二の実施形態)
以下に、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、ユーザによる色の指定を示す情報に基づいて、測色領域を抽出する形態について説明する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点を中心に説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0147】
図15は、第二の実施形態に係る画像形成装置の機能の詳細の一例を示す図である。本実施の形態では、測色領域抽出部317は、ユーザによる測色する色の指定を示す指定色情報を取得して、指定された色に基づいて測色領域を決定してもよい。なお、本実施の形態に係る測色領域抽出部317は、第一の実施形態と同様に、解析による測色領域の抽出、測色領域または除外領域のユーザによる指定に基づいて、またはこれらと指定色情報とに基づいて、測色領域を決定してもよい。
【0148】
図16は、第二の実施形態に係る指定色設定画面の一例を示す第一の図である。画像形成装置100は、図16に示すような指定色設定画面をモニタなどに表示する。これによって、例えばユーザが注目して管理したい特定の色を自ら指定または選択し、その領域の測色値に基づいて色差判定を行うことを実現することができる。
【0149】
ユーザは、モニタなどに表示された指定色設定画面上で、コンピュータ操作で使用するマウス、キーボードなどを使って、指定したい色、すなわち測色する色の階調値をCMYKごとに入力する。各階調値が入力されると、測色領域抽出部317は、入力された階調値が含まれる領域(図16の例では「ABC」ロゴ領域)を抽出する。なお、図16では、ユーザが1種類の色を指定した例を示しているが、複数の色を指定してもよい。
【0150】
また、一度入力された色の情報に対して、改めて別の色を指定したい場合、入力済の色を示す情報を消去して再度色を指定できるようにしてもよい。これによって、誤って指定した場合や、色管理したい領域が変更された場合の対応が可能となる。
【0151】
測色領域抽出部317は、指定色情報に基づいて測色領域を抽出する。そして、色差判定部32は、抽出された測色領域の測色値に基づいて色差判定を行う。これにより、ユーザが注目して管理したい特定の色を自ら指定または選択し、その色と一致する領域の測色値に基づく色差判定を実現できる。
【0152】
また、指定された色情報を保存管理しておき、指定色情報に係る印刷ジョブを、期間を空けて再度同様の印刷を行う場合などに、保存された指定色情報を呼び出して再利用してもよい。これにより、再印刷時においても同一印刷ジョブにおける同一の色情報に基づく領域の色差評価が可能となる。
【0153】
図17は、第二の実施形態に係る指定色設定画面の一例を示す第二の図である。図17に示される指定色設定画面では、ユーザによって指定したい領域を選択(図中の破線枠)されると、画像形成装置100は、選択された領域の画像を形成する色情報の一覧を図中右の色情報リストに表示する。
【0154】
さらに、画像形成装置100は、表示された一覧の中からユーザによって、注目して管理したい特定の色、すなわち測色する色が指定されると、指定された色情報に該当する画像領域を強調表示する。例えば、図17の例では、画像形成装置100は、選択された領域から測色する色の候補として、4種類の色が抽出され、その中のNo.2にあたる色(測色対象)の指定ボタンが押下されると、「ABC」のロゴ領域を強調表示する。測色する色の候補は、選択された領域の中から測色可能な色を抽出してもよい。さらに選択された領域の中に測色可能な色が無い場合は、その旨のエラーメッセージ、または選択された領域以外も含めた測色可能な色または領域等を全て表示してユーザに案内してもよい。
【0155】
そして、測色領域抽出部317は、表示された測色領域に対するユーザの確認結果に基づいて、測色領域を抽出する。例えば、指定された状態で確定(OK)ボタンが押下されると、測色領域抽出部317は、選択された領域(図17の例では「ABC」ロゴ領域)を測色領域として抽出する。なお、図17では、ユーザが1種類の色を指定した例を示しているが、複数の色を指定してもよい。
【0156】
なお、図16で説明した測色領域の指定方法と図17で説明した測色領域の指定方法とを併用してもよい。
【0157】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置100の動作について説明する。
【0158】
図18は、第二の実施形態に係る色安定処理のフローの一例を示す図である。本実施の形態に係る色安定処理は、第一の実施形態に係る色安定処理におけるステップS301からステップS305に代えて、ステップS401の処理が追加されたフローを有する。
【0159】
ステップS300に続いて、測色領域抽出部317は、指定色情報を取得する(ステップS401)。指定色情報は、ユーザによって指定または選択された測色対象の色を示す情報である。測色領域抽出部317は取得した指定色情報に基づいて、測色領域を抽出する。
【0160】
そして、画像形成装置100は、第一の実施形態と同様に、ステップS306からステップS313までの処理を実行する。
【0161】
本実施の形態に係る画像形成装置100によれば、ユーザによって測色する色を示す指定色情報の入力を受けると、選択された指定色情報に基づいて測色領域を抽出する。これによって、ユーザが注目して管理したい色に基づく色差を判定することができる。例えばロゴ、企業名、タイトル等の印刷物を見た人に注目させたい文字の部分、または印刷物のポイントになる色など、ユーザが印刷指示した印刷画像のなかで特に色を安定して管理したい領域を、容易なユーザ操作で精度よく色を一定にすることができる。なお、画像形成装置100は、前述の、測色領域指定画面、色差超過メッセージ表示画面、色差情報表示画面、または指定色設定画面等の各画面を、画像形成装置100に接続されているユーザ端末200が備えるモニタに表示してもよいし、画像形成装置100が備える、オペレーション画面等を表示するためのモニタに表示してもよい。
【0162】
ある実施形態では、画像形成装置100の一部の機能は、情報処理装置によって実現されてもよい。情報処理装置は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む情報処理システムとして構成されてもよい。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施してもよい。
【0163】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0164】
本実施の形態の画像形成装置、画像形成システムおよびプログラムは、下記の各項に示す画像形成装置、画像形成システムおよびプログラムとして構成されてもよい。また、下記の画像形成方法が実施されてもよい。
【0165】
<本実施の形態に関する構成>
(第1項)
印刷対象の画像が形成される領域から、ユーザによる指定に基づき測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
抽出された前記測色領域における測色値から第1のページと後続の第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を備える、
画像形成装置。
(第2項)
前記色差判定部は、前記印刷対象に含まれる複数の部数のうち、基準となる部数の前記測色領域における前記第1のページの測色値と、判定の対象となる部数の前記第2のページの測色値との差分を前記色差として算出する、
第1項に記載の画像形成装置。
(第3項)
前記第1のページは、印刷ジョブの1部目に含まれるページであり、
前記第2のページは、前記印刷ジョブの2部目以降に含まれる、前記第1のページと同一のページ数のページであり、
前記色差判定部は、部ごとの同一のページ数のページの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する、
第1項または第2項に記載の画像形成装置。
(第4項)
前記測色領域抽出部は、前記印刷対象の画像の階調変化の少ない領域を前記測色領域として抽出する、
第1項から第3項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第5項)
前記測色領域抽出部は、前記ユーザにより、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定を受けると、指定された前記除外領域以外の領域を前記測色領域として抽出する、
第1項から第4項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第6項)
前記測色領域抽出部は、前記ユーザにより、前記画像が形成される領域から測色する領域の指定を受けると、指定された前記領域を前記測色領域として抽出する、
第1項から第5項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第7項)
前記測色領域抽出部は、前記ユーザにより、測色する色を示す指定色情報の入力を受けると、選択された前記指定色情報に基づいて前記測色領域を抽出する、
第1項から第6項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第8項)
前記画像形成装置は、前記指定色情報に基づいて決定される測色領域を表示し、
前記測色領域抽出部は、表示された前記測色領域に対する前記ユーザの確認結果に基づいて、前記測色領域を抽出する、
第7項に記載の画像形成装置。
(第9項)
前記測色領域抽出部によって自動的に抽出された測色領域を元にして、前記ユーザから、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定、追加する測色領域の指定、測色する色の指定、のうち少なくとも1つの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて変更した領域を前記測色領域とする、
第1項から第8項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第10項)
前記測色領域抽出部は、前記ユーザによる領域または色の指定を消去して再度、領域または色の指定を受け付ける、
第5項から第9項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第11項)
前記測色領域抽出部は、印刷ジョブにおいて指定された除外領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている前記除外領域の情報を呼び出して再利用する、
第1項から第10項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第12項)
前記測色領域抽出部は、あらかじめ指定された画素面積の領域を単位として、前記測色領域を抽出する、
第1項から第11項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第13項)
前記測色領域抽出部は、あらかじめ指定された画素面積の領域が前記印刷対象の画像の階調変化の少ない領域に満たないと判定すると、前記画素面積より小さい領域を単位として前記測色領域を抽出する、
第1項から第12項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第14項)
前記色差判定部は、算出された測色領域毎の色差を、指定領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値と基準値の平均値から算出した色差によって判定する、
第1項から第13項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第15項)
前記指定領域別の閾値の設定を受け付け、
前記色差判定部は、前記閾値と前記色差とを比較して判定する、
第14項に記載の画像形成装置。
(第16項)
前記色差判定部は、算出された測色領域毎の色差を、同一色系統別に分類してまとめ、各色系統別の測色値と基準値の平均値から算出した色差によって判定する、
第1項から第13項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第17項)
前記同一色系統別の閾値の設定を受け付け、
前記色差判定部は、前記閾値と前記色差とを比較して判定する、
第16項に記載の画像形成装置。
(第18項)
前記色差判定部が、前記色差が設定された閾値を超過したと判定すると、印刷を一時停止して前記色差が超過したことを示すメッセージを表示する、
第1項から第17項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第19項)
算出された前記色差を示す情報を表示する、
第1項から第18項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(第20項)
画像形成装置とユーザ端末とを含む画像形成システムであって、
前記ユーザ端末は、印刷対象の画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域または前記画像が形成される領域から測色する領域の指定を受け、
前記画像形成装置は、
前記印刷対象の画像が形成される前記領域から、前記除外領域または測色する領域の指定に基づいて、測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
抽出された前記測色領域における測色値から部数ごとに色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を備える、
画像形成システム。
(第21項)
コンピュータが実行する方法であって、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出するステップと、
抽出された前記測色領域における測色値から部数ごとに色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定するステップと、を備える、
画像形成方法。
(第22項)
コンピュータに、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出するステップと、
抽出された前記測色領域における測色値から部数ごとに色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【0166】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0167】
1 画像形成システム
2 給紙部
4 画像形成機構
5 転写部
6 定着部
7 排紙部
30 画像処理部
31 階調処理部
32 色差判定部
33 画像検査部
34 測色予測部
35 画像形成部
36 画像形成制御部
39 エンジン制御部
45 測定センサ
100 画像形成装置
200 ユーザ端末
201 サーバ
302 画像記憶部
310 第一変換部
311 第二変換部
312 階調補正部
313 形式変換部
315 スキャナ色変換部
317 測色領域抽出部
319 色差算出部
325 スキャナ補正部
500 通信ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0168】
【特許文献1】特許第5365888号公報
【特許文献2】特開2020-038483号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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