(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067723
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230509BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20230509BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/22
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094309
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2021177467
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 弘明
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA86
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CE04
5F142CE13
5F142CE15
5F142CE32
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142DA14
5F142FA21
5F142FA24
5F142FA32
5F142FA42
5F142FA46
5F241AA41
5F241CA62
5F241CA77
5F241CA94
(57)【要約】
【課題】歩留まりを向上できる発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、複数の凹部を有する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する側面と、を有する半導体構造体を含む複数の発光素子を準備する工程と、前記第2面と粘着性を有するシート部材とを対向させて、前記側面が前記シート部材に覆われるように前記複数の発光素子を前記シート部材に配置する工程と、透光性を有する未硬化の樹脂部材を含む第1部材上に、波長変換物質を含み、未硬化の前記樹脂部材の硬度より高い硬度を有する第2部材が配置された状態で、前記第1部材が前記複数の凹部内および前記シート部材と前記第2部材との間に配置されるように、前記第1部材を前記複数の発光素子の前記第1面に接触させる工程と、前記第1部材を硬化する工程と、前記シート部材を前記複数の発光素子から除去する工程と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部を有する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する側面と、を有する半導体構造体を含む複数の発光素子を準備する工程と、
各前記発光素子の前記第2面と、粘着性を有するシート部材とを対向させて、各前記発光素子の前記側面が前記シート部材に覆われるように、前記複数の発光素子を前記シート部材に配置する工程と、
透光性を有する未硬化の樹脂部材を含む第1部材上に、波長変換物質を含み、未硬化の前記樹脂部材の硬度より高い硬度を有する第2部材が配置された状態で、前記第1部材が、前記複数の凹部内に配置され、かつ、前記シート部材と前記第2部材との間に配置されるように、前記第1部材を前記複数の発光素子の前記第1面に接触させる工程と、
前記第1部材を硬化する工程と、
前記シート部材を前記複数の発光素子から除去する工程と、
を備える、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記準備する工程において、表面に複数の凸部を有する基板上に、前記半導体構造体をエピタキシャル成長させ、
前記接触させる工程の前に、前記基板を前記半導体構造体から除去する工程をさらに備え、
前記基板を前記半導体構造体から除去する工程において、前記基板から露出された前記半導体構造体の表面が前記第1面であり、前記第1面の前記複数の凹部の形状は、前記複数の凸部に対応した形状である、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1面は、前記複数の凹部の間に位置する領域を含み、
前記接触させる工程において、前記第2部材と前記領域との間に前記第1部材が介在するように、前記第1部材を前記第1面に接触させる、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1面は、前記複数の凹部の間に位置する領域を含み、
前記接触させる工程において、前記第2部材が前記領域に接するように、前記第1部材を前記第1面に接触させる、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2部材は、前記波長変換物質の焼結体である、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記接触させる工程において、前記第1部材を加熱した状態で前記第1面に押し付けて接触させる、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1部材は、波長変換物質を含む、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1部材を硬化する工程の後に、
上面視において前記複数の発光素子の間に位置する前記第1部材および前記第2部材を除去することで複数の発光装置に分離する工程をさらに備える、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記複数の発光装置に分離する工程の後に、
前記発光素子の前記側面、前記第1部材の側面、および前記第2部材の側面を覆う光反射性を有する樹脂部材を形成する工程をさらに備える、請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記接触させる工程において、前記第1部材を前記第2部材の側面に接触させる、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、支持基板に発光素子を貼り付け、発光素子の半導体層上に、蛍光体粒子等を吹き付けて蛍光体層を形成する発光装置の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、歩留まりを向上できる発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、複数の凹部を有する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する側面と、を有する半導体構造体を含む複数の発光素子を準備する工程と、各前記発光素子の前記第2面と、粘着性を有するシート部材とを対向させて、各前記発光素子の前記側面が前記シート部材に覆われるように、前記複数の発光素子を前記シート部材に配置する工程と、透光性を有する未硬化の樹脂部材を含む第1部材上に、波長変換物質を含み、未硬化の前記樹脂部材の硬度より高い硬度を有する第2部材が配置された状態で、前記第1部材が、前記複数の凹部内に配置され、かつ、前記シート部材と前記第2部材との間に配置されるように、前記第1部材を前記複数の発光素子の前記第1面に接触させる工程と、前記第1部材を硬化する工程と、前記シート部材を前記複数の発光素子から除去する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、歩留まりを向上できる発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る発光モジュールを示す断面図である。
【
図2A】
図1に示す半導体構造体の第1面の一部を拡大して示す上面図である。
【
図2B】第1の実施形態に係る発光モジュールを示す上面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図4A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図4B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図4C】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図5B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図6A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図6B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図7A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図7B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図7C】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図8】参考例に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図9】第1の実施形態の変形例に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【
図10】第2の実施形態に係る発光モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る発光モジュール10を示す断面図である。
図2Aは、
図1に示す半導体構造体121の第1面121s1の一部を拡大して示す上面図である。
図2Bは、本実施形態に係る発光モジュール10を示す上面図である。
本実施形態に係る発光モジュール10は、配線基板11と、発光装置12と、樹脂部材13と、を備える。発光装置12は、発光素子120と、第1部材130と、第2部材140と、を備える。以下、発光モジュール10の各部について詳述する。
【0010】
以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いる。以下、発光素子120、第1部材130、および第2部材140が並ぶ方向を「Z方向」とする。また、Z方向と直交する方向を「X方向」とし、Z方向およびX方向と直交する方向を「Y方向」とする。また、発光モジュール10の構造を説明する際、Z方向のうち、発光素子120から第2部材140に向かう方向を「上方向」とし、その逆方向を「下方向」とするが、これらの方向は相対的なものであり、重力方向とは無関係である。
【0011】
配線基板11は、例えば、絶縁層と、絶縁層上に配置された複数の配線と、を含む。配線基板11の形状は、例えば、平板状である。配線基板11の上面および下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。
【0012】
発光素子120は、配線基板11上に配置される。発光素子120は、半導体構造体121と、光反射性電極122と、絶縁膜123と、n側電極124と、p側電極125と、を含む。
【0013】
半導体構造体121は、例えば、窒化物半導体からなる複数の半導体層が積層された構造体である。ここで、「窒化物半導体」とは、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。半導体構造体121は、上方から下方に向かって順に、n側半導体層126と、活性層127と、p側半導体層128と、を含む。
【0014】
n側半導体層126の上面は、半導体構造体121の上面に相当する。以下、半導体構造体の上面を「第1面121s1」という。第1面121s1には、複数の凹部121aが配置される。第1面121s1において、複数の凹部121aの間の領域121bは、例えば、X-Y平面に概ね平行な領域である。上面視において、複数の凹部121aは、領域121bに囲まれている。
【0015】
複数の凹部121aは、上面視において千鳥状に配列される。ただし、複数の凹部121aの配列パターンは上記に限定されない。例えば、複数の凹部121aは行列状に配列されてもよい。
【0016】
各凹部121aの形状は、
図1および
図2Aに示すように、略円錐形状である。各凹部121aの深さL1は、特に限定されない。各凹部121aの深さL1は、例えば、0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。また、各凹部121aの直径L2は、特に限定されない。各凹部121aの直径L2は、例えば、1μm以上6μm以下であることが好ましい。ただし、各凹部121aの形状及び大きさは、上記の形状及び大きさに特に限定されない。例えば各凹部121aの形状は、錐台形状、円錐形状、多角錐形状、半球状等であってもよい。
【0017】
n側半導体層126の下面は、
図1に示すように、外周領域126aと、被覆領域126bと、複数のコンタクト領域126cと、を含む。外周領域126aは、n側半導体層126の下面の外周縁から一定の範囲である。外周領域126aは、X-Y平面に概ね平行な領域である。被覆領域126bは、外周領域126aの内側に位置する。被覆領域126bは、X-Y平面に概ね平行な領域である。Z方向における被覆領域126bの位置は、外周領域126aの位置よりも下方である。各コンタクト領域126cは、被覆領域126bの外周縁よりも内側に位置する。各コンタクト領域126cは、X-Y平面に概ね平行な領域である。Z方向における各コンタクト領域126cの位置は、被覆領域126bの位置よりも上方であって、外周領域126aの位置と概ね同じである。
【0018】
活性層127は、n側半導体層126の下面の被覆領域126bの概ね全域を覆う。p側半導体層128は、活性層127の下面の概ね全域を覆う。活性層127およびp側半導体層128は、n側半導体層126の下面の外周領域126aおよび各コンタクト領域126cを露出する。
【0019】
以下、半導体構造体121の表面において、n側半導体層126の下面のうち、n側半導体層126の下面の外周縁、すなわち外周領域126aの外周縁よりも内側に位置する面を「第2面121s2」という。第2面121s2は、第1面121s1の反対側に位置する。また、第1面121s1と第2面121s2の間に位置し、第1面121s1と第2面121s2に接続される面を「側面121s3」という。
【0020】
光反射性電極122は、p側半導体層128の下面に配置される。光反射性電極122は、p側半導体層128の下面の少なくとも一部を覆う。光反射性電極122は、p側半導体層128に接する。これにより、光反射性電極122は、p側半導体層128に電気的に接続される。光反射性電極122には、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、またはこれらの金属を主成分とする合金等を用いることができる。
【0021】
絶縁膜123は、半導体構造体121および光反射性電極122の下方に配置される。絶縁膜123は、光反射性電極122の下面および半導体構造体121の第2面121s2を部分的に覆う。絶縁膜123には、n側半導体層126の複数のコンタクト領域126cを露出する複数の貫通穴123aと、光反射性電極122の下面を露出する貫通穴123bと、が配置される。
【0022】
絶縁膜123には、酸化シリコン(SiO2)または窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料を用いることができる。絶縁膜123は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0023】
n側電極124は、絶縁膜123の下方に配置される。n側電極124は、各貫通穴123aを介して、n側半導体層126の各コンタクト領域126cに接する。これにより、n側電極124は、n側半導体層126に電気的に接続される。n側電極124は、導電部材を介して配線基板11の一の配線に電気的に接続される。導電部材には、例えば、金属バンプや半田等を用いることができる。
【0024】
p側電極125は、絶縁膜123の下方に配置され、n側電極124から離隔する。また、p側電極125は、貫通穴123bを介して、光反射性電極122に接する。これにより、p側電極125は、p側半導体層128に電気的に接続される。p側電極125は、導電部材を介して配線基板11の他の配線に電気的に接続される。
【0025】
n側電極124およびp側電極125には、アルミニウム(Al)ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、またはこれらの金属を主成分とする合金等を用いることができる。
【0026】
ただし、発光素子120の構成は、半導体構造体121を含み、半導体構造体121の第1面121s1に複数の凹部121aが配置されていれば、上記に限定されない。例えば、n側半導体層126とn側電極124とが接する位置、およびp側半導体層128と光反射性電極122とが接する位置は、
図1に示す位置に特に限定されない。また、n側電極124とn側半導体層126は、電気的に接続されていればよく、n側電極124とn側半導体層126との間に、1以上の導電部材が介在してもよい。また、p側電極125と光反射性電極122は、電気的に接続されていればよく、p側電極125と光反射性電極122との間に、1以上の導電部材が介在してもよい。また、発光素子120に光反射性電極122が配置されておらず、p側電極125がp側半導体層128に接してもよい。
【0027】
第2部材140は、発光素子120の上方に配置される。第2部材140の形状は、例えば、平板状である。第2部材140の表面は、上面141と、上面141の反対側に位置する下面142とを含む。上面141および下面142は、X-Y平面に概ね平行である。
【0028】
Z方向に見て、第2部材140の外周縁は、本実施形態では、発光素子120の第1面121s1の外周縁よりも外側に位置する。ただし、Z方向にみて第2部材140の外周は、第1面121s1の外周縁と一致してもよい。
【0029】
第2部材140は、例えば、波長変換物質の焼結体である。波長変換物質は、発光素子120が発する光の一部を波長変換し、発光素子120が発する光の発光ピーク波長と異なる発光ピーク波長の光を発する。発光装置12は、半導体構造体121が発する光と、第2部材140が発する光との混色光を出射する。ただし、半導体構造体121が発する光の大部分を第2部材140が波長変換し、発光装置12からは主に第2部材140が発する光が出射してもよい。波長変換物質には、例えば、蛍光体の粒子を用いることができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。
【0030】
第2部材140の厚さは、第1部材130の厚さよりも厚い。第2部材140の厚さは、例えば、30μm以上200μm以下とすることができる。
【0031】
第1部材130は、半導体構造体121と第2部材140との間に配置される。第1部材130は、本実施形態では、半導体構造体121の第1面121s1および第2部材140の下面142の概ね全域を覆う。具体的には、第1部材130は、半導体構造体121の第1面121s1の各凹部121a内および複数の凹部121aの間の領域121b上に配置される。また、Z方向において、第1部材130は、第2部材140の下面142のうち、半導体構造体121の第1面121s1の外側に位置する領域を覆う。
【0032】
第1部材130は、透光性を有する樹脂部材131を含む。ここで、「透光性」とは、入射した光の70%以上、好ましくは80%以上を透過可能であることを意味する。また、樹脂部材131は、未硬化の樹脂を硬化させてなる。樹脂部材131には、熱硬化性樹脂、または紫外光を照射することにより硬化する樹脂等を用いることができる。第2部材140の硬度は、本実施形態では、硬化した状態の樹脂部材131の硬度よりも高い。ただし、第2部材140の硬度と、硬化した状態の樹脂部材131の硬度との大小関係は、上記に限定されない。
【0033】
第1部材130は、樹脂部材131中に配置された波長変換物質132をさらに含む。第1部材130の波長変換物質132には、第2部材140に用いる波長変換物質と同じものを用いることができる。ただし、第1部材130は、波長変換物質132を含まなくてもよい。
【0034】
第1部材130の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることができる。第1部材130のうち凹部121aに配置された第1部材130の厚さは、第1部材130のうち領域121b1に配置された第1部材130の厚さよりも薄い。第1部材130のうち凹部121aに配置された第1部材130の厚さは、例えば、1μm以上10μm以下である。第1部材130のうち領域121b1に配置された第1部材130の厚さは、例えば、3μm以上50μm以下である。
【0035】
樹脂部材13は、配線基板11上に配置される。樹脂部材13は、Z方向に見て発光装置12を囲む。具体的には、樹脂部材13は、発光素子120における半導体構造体121の側面121s3と、第1部材130の側面および下面において発光素子120から露出する領域と、第2部材140の側面と、を覆う。また、樹脂部材13は、
図2Bに示すように、Z方向に見て、発光素子120における絶縁膜123およびn側電極124を囲むように配置されている。
【0036】
樹脂部材13は、光反射性を有する。樹脂部材13は、例えば、第2部材140が発する光を拡散反射可能な光拡散材を含む。樹脂部材13に用いられる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂等が挙げられる。樹脂部材13に用いられる光拡散剤としては、例えば、チタニア、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ジルコニア、イットリア、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、五酸化ニオブ、チタン酸バリウム、五酸化タンタル、硫酸バリウムまたはガラスなどの粒子が挙げられる。
【0037】
ただし、発光モジュール10の構成は、上記に限定されない。例えば、発光モジュール10には、発光装置12が複数配置されてもよい。この場合、樹脂部材13は、各発光装置12を囲むように配置されてもよい。また、発光モジュール10は、発光装置12と樹脂部材13を備え、配線基板11を備えなくてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る発光装置12を含む発光モジュール10の製造方法の一例を説明する。
図3は、本実施形態に係る発光モジュール10の製造方法を示すフローチャートである。
図4A~
図7Cは、本実施形態に係る発光モジュール10の製造方法を説明するための断面図である。
【0039】
図3に示すように、本実施形態に係る発光装置12の製造方法は、複数の発光素子120を準備する工程S11と、複数の発光素子120をシート部材920に配置する工程S12と、基板910を半導体構造体121から除去する工程S13と、第1部材130および第2部材140を準備する工程S14と、第1部材130を複数の発光素子120の第1面121s1に接触させる工程S15と、第1部材を硬化する工程S16と、シート部材920を複数の発光素子120から除去する工程S17と、複数の発光装置12に分離する工程S18と、を備える。以下、各工程S11~S18について詳述する。
【0040】
先ず、複数の発光素子120を準備する工程S11を行う。
具体的には、
図4Aに示すように、表面に複数の凸部911を有する基板910上に半導体構造体121をエピタキシャル成長させる。この際、n側半導体層126、活性層127、およびp側半導体層128が、この順で形成される。半導体構造体121において、基板910と対向する面が第1面121s1である。
【0041】
基板910は、例えばサファイア基板等の透光性を有する基板である。複数の凸部911は、千鳥状に配列される。また、各凸部911の形状は、略円錐形状である。また、基板910の表面において複数の凸部911の間の領域912は、X-Y平面に概ね平行な領域である。そのため、第1面121s1は、複数の凸部911に対応して複数の凹部121aを有する。また、第1面121s1の複数の凹部121aの間の領域121bは、基板910の複数の凸部911の間の領域912に対応してX-Y平面に概ね平行な領域となる。ただし、複数の凸部の配列パターンは上記に限定されない。例えば、複数の凸部は行列状に配列されてもよい。また、各凸部の形状は、上記の形状に特に限定されない。例えば各凸部の形状は、錐台形状、円錐形状、多角錐形状、半球状等であってもよい。
【0042】
次に、半導体構造体121の一部をエッチングし、活性層127およびp側半導体層128から、n側半導体層126の外周領域126aおよび複数のコンタクト領域126cを露出させる。
【0043】
次に、光反射性電極122をp側半導体層128上に形成する。次に、絶縁膜123を半導体構造体121を覆うように形成する。次に、絶縁膜123上に位置しn側半導体層126と電気的に接続されるn側電極124および絶縁膜123上に位置しp側半導体層128と電気的に接続されるp側電極125を形成する。次に、発光素子120となる領域の間に位置する半導体構造体121を除去し、基板910を露出させることで複数の発光素子120に分離する。以上により、複数の発光素子120が得られる。なお、複数の発光素子120を準備する工程の順序は、上記に特に限定されない。
【0044】
次に、複数の発光素子120をシート部材920に配置する工程S12を行う。
具体的には、
図4Bに示すように、各発光素子120の第2面121s2と、粘着性を有するシート部材920とを対向させて、各発光素子120の側面121s3がシート部材920に覆われるように、複数の発光素子120をシート部材920に配置する。この際、複数の発光素子120は、シート部材920中に埋没し、基板910は、シート部材920に接触してもよい。
【0045】
シート部材920には、ポリイミド等の耐熱性および粘着性を有する材料を用いることができる。
【0046】
次に、
図4Cに示すように、基板910を半導体構造体121から除去する工程S13を行う。半導体構造体121から基板910を除去する方法としては、例えば、基板910側から半導体構造体121と基板910との界面の近傍において集光するようにレーザを照射して、半導体構造体121から基板910を除去するレーザーリフトオフ(LLO)等の方法が挙げられる。これにより、半導体構造体121の第1面121s1が露出する。このように、基板910から露出された半導体構造体121の表面が第1面121s1である。なお、第1面121s1を塩酸等により洗浄してもよい。また、第1面121s1をウェットエッチングにより粗面化してもよい。第1面121s1を粗面化することで光取り出し効率を向上することできる。
【0047】
次に、第1部材130および第2部材140を準備する工程S14を行う。具体的には、
図5Aに示すように、透光性を有する未硬化の樹脂部材131を含む第1部材130上に、波長変換物質を含み、未硬化の樹脂部材131の硬度より高い硬度を有する第2部材140を配置する。本実施形態では、未硬化の樹脂部材131中に、波長変換物質132が配置される。第2部材140の硬度は、例えば、ビッカース硬さにおいて、10GPa以上20GPa以下である。ここで、「未硬化」とは、硬化反応が進行する前の状態、即ち、硬化反応を進行させるための操作を行う前の状態をいう。硬化反応を進行させるための操作とは、加熱または光照射等が挙げられる。なお、硬化反応を進行させるための操作前に、硬化反応はわずかに進行する場合があるが、未硬化の状態は、そのような状態も包含する。
【0048】
次に、
図5Aおよび
図5Bに示すように、第1部材130を複数の発光素子120の第1面121s1に接触させる工程S15を行う。具体的には、第1部材130が、複数の凹部121a内に配置され、かつ、シート部材920と第2部材140との間に配置されるように、第1部材130を複数の発光素子120の第1面121s1に接触させる。この際、複数の凹部121aの間の領域121bと第2部材140との間には、第1部材130を介在させる。
【0049】
また、この際、第1部材130を加熱した状態で第1面121s1に接触させる。例えば、第1部材130を第1面121s1に接触させて第1部材130を第1面121s1に押し付ける。これにより、第1部材130が流動し易くなり、各凹部121a内に第1部材130を配置し易くなる。例えば、各部材をホットプレート上に配置し加熱することで第1部材130を加熱した状態とし荷重を印加する。加熱時の温度は、例えば、150℃以上200℃以下とすることできる。印加する荷重は、例えば、70N以上150N以下とすることできる。なお、第1部材130および第2部材140を準備する工程S14は、接触させる工程S15よりも前に行えばよく、基板910を半導体構造体121から除去する工程S13の後に行う必要はない。
【0050】
次に、第1部材130を硬化する工程S16を行う。硬化後の第1部材130の硬度は、例えば、ビッカース硬さにおいて、0.5GPa以上2GPa以下である。
次に、
図6Aに示すように、シート部材920を複数の発光素子120から除去する工程S17を行う。
【0051】
ここで、参考例の製造方法について
図8を参照して説明する。
図8は、参考例に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。参考例では、複数の発光素子120がシート部材920ではなく、支持基板930上に配置された複数の発光素子120に第1部材130を接触させる。
【0052】
図8に示すように、複数の発光素子120がシート部材920ではなく支持基板930上に配置される場合、各発光素子120の側面121s3は、支持基板930から露出する。この状態で第2部材140を複数の発光素子120に接触させた場合、各発光素子120と第2部材140との間から第1部材130の一部が押し出され、側面121s3に接触する。このような場合、押し出された第1部材130が、発光素子120の側面121s3を流れて支持基板930に付着する可能性がある。第1部材130が支持基板930に付着した状態で第1部材130が硬化した場合、第1部材130が支持基板930に固着され、複数の発光素子120から支持基板930を剥離等により除去することが難しくなる。また、支持基板930を複数の発光素子120から無理に除去させようとした場合、複数の発光素子120および第2部材140が破損する可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施形態では、
図5Bに示すように、シート部材920に複数の発光素子120が配置され、シート部材920は、複数の発光素子120の側面121s3を覆う。そのため、第2部材140を複数の発光素子120に接触させた際に押し出された第1部材130の一部は、半導体構造体121の側面121s3を流れずに、第2部材140の側面に回り込む。すなわち、第1部材130において押し出された部分は、第2部材140の側面の少なくとも一部を覆う。このように、第1部材130が半導体構造体121の側面121s3に付着することを低減できる。これにより、シート部材920を複数の発光素子120から剥離等により容易に除去できる。その結果、シート部材920を除去する際に複数の発光素子120および第2部材140が破損することを低減できる。また、シート部材920は、可撓性を有することが好ましい。これにより、シート部材920を複数の発光素子120から容易に除去できる。
【0054】
次に、
図6Bに示すように、複数の発光装置12に分離する工程S18を行う。具体的には、ダイシングソー等の切削機を用いて、上面視において複数の発光素子120の間に位置する第1部材130および第2部材140を除去する。これにより、発光素子120と、第1部材130と、第2部材140と、を含む複数の発光装置12が得られる。
【0055】
工程S18の後、
図3に示すように、複数の発光装置12を配線基板11上に配置する工程S21、樹脂部材13を形成する工程S22、および複数の発光モジュール10に分離する工程S23と、をさらに行ってもよい。以下各工程S21~S23について詳述する。
【0056】
図7Aに示すように、複数の発光装置12を配線基板11上に配置する工程S21では、配線基板11と各発光素子120の第2面121s2が対向するように各発光装置12を配置する。配線基板11の一の配線と各発光素子120のn側電極124とを導電部材により接続する。また、配線基板11の他の配線と各発光素子120のp側電極125とを導電部材により接続する。これにより、各発光素子120が配線基板11にフリップチップ実装される。
【0057】
なお、
図9に示すように、第1部材130の側面と、第2部材140の側面とに反射部材150を形成してもよい。
図9は、本実施形態の変形例に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。反射部材150は、第1部材130及び第2部材140からの光を反射させるための部材である。反射部材150には、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、もしくは白金、またはこれらの金属を主成分とする合金等を用いることができる。また、反射部材150には、複数の誘電体層を含む誘電体多層膜を用いてもよい。このような反射部材150を形成する場合、樹脂部材13を形成する工程は行わなくてもよい。
【0058】
次に、
図7Bに示すように、樹脂部材13を形成する工程S22を行う。具体的には、発光素子120の側面121s3と、第1部材130の側面および下面において発光素子120から露出する領域と、第2部材140の側面と、を覆う光反射性を有する樹脂部材13を形成する。例えば、樹脂部材13を形成する工程S22において、第2部材140の上面を覆うように樹脂材料を形成した後、樹脂材料の一部を除去し第2部材140の上面を樹脂材料から露出させることで樹脂部材13を形成する。接触させる工程S15において、第1部材130が発光素子120の側面121s3に付着することを低減することで、樹脂部材13を発光素子120の側面121s3を覆うように形成できる。また、樹脂部材13は、波長変換物質の焼結体である第2部材140だけでなく樹脂部材131を含む第1部材130にも接続される。そのため、樹脂部材13と発光装置12の接合強度を高めることができる。
【0059】
次に、
図7Cに示すように、複数の発光モジュールに分離する工程S23を行う。具体的には、ダイシングソー等の切削機を用いて、上面視において複数の発光装置12の間に位置する樹脂部材13および配線基板11を除去する。これにより、配線基板11と、発光装置12と、樹脂部材13と、を含む複数の発光モジュール10が得られる。ただし、工程S23を行わずに、
図7Bに示す配線基板11と、複数の発光装置12と、樹脂部材13とを含むモジュールを発光モジュール10としてもよい。また、工程S21において、配線基板11ではなく配線が配置されていない支持基板上に複数の発光装置12を配置し、樹脂部材13を形成する工程S22の後に、この支持基板を複数の発光装置12から除去してもよい。
【0060】
次に、発光モジュール10の使用例を説明する。
配線基板11を介して発光素子120のn側電極124とp側電極125との間に電圧を印加することにより、活性層127が発光する。活性層127が発する光の大部分は、第2部材140に入射する。これにより、第2部材140が発光する。本実施形態では、第1部材130が波長変換物質132を含むため、第1部材130の波長変換物質132も発光する。
【0061】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光装置12の製造方法は、複数の発光素子120を準備する工程S11と、複数の発光素子120をシート部材920に配置する工程S12と、第1部材130を複数の発光素子120の第1面121s1に接触させる工程S15と、第1部材130を硬化する工程S16と、シート部材920を複数の発光素子120から除去する工程S17と、を備える。工程S1では、複数の凹部121aを有する第1面121s1と、第1面121s1の反対側に位置する第2面121s2と、第1面121s1と第2面121s2とを接続する側面121s3と、を有する半導体構造体121を含む複数の発光素子120を準備する。工程S12では、各発光素子120の第2面121s2と、粘着性を有するシート部材920とを対向させて、各発光素子120の側面121s3がシート部材920に覆われるように、複数の発光素子120をシート部材920に配置する。工程S15では、透光性を有する未硬化の樹脂部材131を含む第1部材130上に、波長変換物質を含み、未硬化の樹脂部材131の硬度より高い硬度を有する第2部材140が配置された状態で、第1部材130が、複数の凹部121a内に配置され、かつ、シート部材920と第2部材140との間に配置されるように、第1部材130を複数の発光素子120の第1面121s1に接触させる。
【0062】
このように本実施形態に係る発光装置12の製造方法においては、発光素子120と第2部材140との間に、半導体構造体121のエピタキシャル成長に用いる基板910が配置されておらず、発光素子120の半導体構造体121と第2部材140を第1部材130により接続する。そのため、発光装置12の光の取り出し効率を向上できる。
【0063】
また、第1面121s1に複数の凹部121aを配置される。そのため、活性層127が発する光が第1面121s1において全反射することを低減できる。これにより、活性層127が発する光が第2部材140に入射し易くなり、発光装置12の光の取り出し効率を向上できる。
【0064】
また、シート部材920により各発光素子120の側面121s3を覆った状態で、第1部材130を複数の発光素子120に接触させる。そのため、各発光素子120の側面121s3に第1部材130が付着することを低減できる。これにより、シート部材920を容易に除去できる。その結果、シート部材920を除去する際に第2部材140が破損することを低減し、歩留まりを向上できる。
【0065】
また、準備する工程S11において、表面に複数の凸部911を有する基板910上に、半導体構造体121をエピタキシャル成長させる。接触させる工程S15の前に、基板910を半導体構造体121から除去する工程S13をさらに備える。基板910を半導体構造体121から除去する工程S13において、基板910から露出された半導体構造体121の表面が第1面121s1であり、第1面121s1の複数の凹部121aの形状は、複数の凸部911に対応した形状である。そのため、基板910の除去後に、半導体構造体121の表面に複数の凹部121aを形成するための加工を行う必要がなく、工程を簡略化することができる。
【0066】
また、第1面121s1は、複数の凹部121aの間に位置する領域121bを含む。接触させる工程S15において、第2部材140と領域121bとの間に第1部材130が介在するように、第1部材130を第1面121s1に接触させる。そのため、第1部材130を介して発光素子120を第2部材140に強固に固着できる。
【0067】
また、第2部材140は、波長変換物質の焼結体である。そのため、第2部材140が樹脂部材と、樹脂部材中に配置される波長変換物質と、により構成される場合と比較して、第2部材140の硬度を高くできる。これにより、接触させる工程S15やシート部材920を複数の発光素子120から除去する工程S17において第2部材140が変形することを低減できる。
【0068】
また、接触させる工程S15において、第1部材130を加熱した状態で第1面121s1に接触させる。これにより、第1部材130の流動性を高め、第1部材130を半導体構造体121の各凹部121a内に配置し易くなる。
【0069】
また、第1部材130は、波長変換物質132を含む。これにより、第2部材140のみに波長変換物質が含まれている場合と比較して、波長変換物質による光変換効率を向上できる。
【0070】
また、第1部材130を硬化する工程S16の後に、上面視において複数の発光素子120の間に位置する第1部材130および第2部材140を除去することで複数の発光装置12に分離する工程S18をさらに備える。このように、複数の発光素子120を第1部材130を介して第2部材140に接続した後に、複数の発光装置12に分離することで、発光装置12を歩留まり良く製造することができる。
【0071】
また、複数の発光装置12に分離する工程S18の後に、発光素子120の側面121s3、第1部材130の側面、および第2部材140の側面を覆う光反射性を有する樹脂部材13を形成する工程S19をさらに備える。そのため、各発光素子120の側面121s3に向かう光は、樹脂部材13によって反射され、第2部材140に向かう。これにより、発光装置12の光の取り出し効率を向上できる。また、樹脂部材13は、波長変換物質の焼結体である第2部材140だけでなく樹脂部材131を含む第1部材130にも接続される。そのため、樹脂部材13と発光装置12との接合強度を高めることができる。
【0072】
また、接触させる工程S15において、第1部材130を第2部材140の側面に接触させる。具体的には、接触させる工程S15においては、発光素子120の側面121s3がシート部材920によって覆われた状態で第2部材140を複数の発光素子120に接触させる。これにより、第1部材130を複数の凹部121a内に配置しつつ、発光素子120と第2部材140の間から第1部材130の一部が第2部材140の側面に接触するように押し出される。これにより、押し出された第1部材130の一部が、発光素子120の側面121s3に付着することを低減しつつ、第1部材130と第2部材140との接合強度を高めることができる。
【0073】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る発光モジュール20を示す断面図である。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。
【0074】
本実施形態に係る発光モジュール20は、発光装置22における第2部材140が、第1面121s1において複数の凹部121aの間の領域121bに接する点で、第1の実施形態に係る発光装置12と相違する。このような発光装置22は、第1の実施形態における接触させる工程S15において、第2部材140を第1面121s1に接するまで複数の発光素子120に接近させることで得ることができる。
【0075】
次に、本実施形態の効果を説明する。
第1面121s1は、複数の凹部121aの間に位置する領域121bを含み、接触させる工程S15において、第2部材140が領域121bに接するように、第1部材130を第1面121s1に接触させる。そのため、X-Y平面上の位置によって第2部材140と発光素子120との距離がばらつくことを低減できる。また、第2部材140が領域121bに接することで、第2部材140と領域121bとの間に第1部材130が配置されている場合と比較して、第2部材140から半導体構造体121への放熱経路を確保し、放熱性を向上することができる。
【0076】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0077】
(付記1)
複数の凹部を有する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する側面と、を有する半導体構造体を含む複数の発光素子を準備する工程と、
各前記発光素子の前記第2面と、粘着性を有するシート部材とを対向させて、各前記発光素子の前記側面が前記シート部材に覆われるように、前記複数の発光素子を前記シート部材に配置する工程と、
透光性を有する未硬化の樹脂部材を含む第1部材上に、波長変換物質を含み、未硬化の前記樹脂部材の硬度より高い硬度を有する第2部材が配置された状態で、前記第1部材が、前記複数の凹部内に配置され、かつ、前記シート部材と前記第2部材との間に配置されるように、前記第1部材を前記複数の発光素子の前記第1面に接触させる工程と、
前記第1部材を硬化する工程と、
前記シート部材を前記複数の発光素子から除去する工程と、
を備える、発光装置の製造方法。
【0078】
(付記2)
前記準備する工程において、表面に複数の凸部を有する基板上に、前記半導体構造体をエピタキシャル成長させ、
前記接触させる工程の前に、前記基板を前記半導体構造体から除去する工程をさらに備え、
前記基板を前記半導体構造体から除去する工程において、前記基板から露出された前記半導体構造体の表面が前記第1面であり、前記第1面の前記複数の凹部の形状は、前記複数の凸部に対応した形状である、付記1に記載の発光装置の製造方法。
【0079】
(付記3)
前記第1面は、前記複数の凹部の間に位置する領域を含み、
前記接触させる工程において、前記第2部材と前記領域との間に前記第1部材が介在するように、前記第1部材を前記第1面に接触させる、付記1または2に記載の発光装置の製造方法。
【0080】
(付記4)
前記第1面は、前記複数の凹部の間に位置する領域を含み、
前記接触させる工程において、前記第2部材が前記領域に接するように、前記第1部材を前記第1面に接触させる、付記1または2に記載の発光装置の製造方法。
【0081】
(付記5)
前記第2部材は、前記波長変換物質の焼結体である、付記1~4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0082】
(付記6)
前記接触させる工程において、前記第1部材を加熱した状態で前記第1面に押し付けて接触させる、付記1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0083】
(付記7)
前記第1部材は、波長変換物質を含む、付記1~6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0084】
(付記8)
前記第1部材を硬化する工程の後に、
上面視において前記複数の発光素子の間に位置する前記第1部材および前記第2部材を除去することで複数の発光装置に分離する工程をさらに備える、付記1~7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0085】
(付記9)
前記複数の発光装置に分離する工程の後に、
前記発光素子の前記側面、前記第1部材の側面、および前記第2部材の側面を覆う光反射性を有する樹脂部材を形成する工程をさらに備える、付記8に記載の発光装置の製造方法。
【0086】
(付記10)
前記接触させる工程において、前記第1部材を前記第2部材の側面に接触させる、付記1~9のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0087】
10、20 :発光モジュール
11 :配線基板
12、22 :発光装置
13 :樹脂部材
120 :発光素子
121 :半導体構造体
121a :凹部
121b :領域
121s1 :第1面
121s2 :第2面
121s3 :側面
122 :光反射性電極
123 :絶縁膜
123a、123b:貫通穴
124 :n側電極
125 :p側電極
126 :n側半導体層
126a :外周領域
126b :被覆領域
126c :コンタクト領域
127 :活性層
128 :p側半導体層
130 :第1部材
131 :樹脂部材
132 :波長変換物質
140 :第2部材
141 :上面
142 :下面
150 :反射部材
910 :基板
911 :凸部
912 :領域
920 :シート部材
930 :支持基板
L1 :深さ
L2 :直径