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特開2023-67767基板支持器、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067767
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】基板支持器、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230509BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230509BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230509BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230509BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H02N13/00 D
H05H1/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156563
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021178173
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】川端 淳史
(72)【発明者】
【氏名】小岩 真悟
(72)【発明者】
【氏名】工藤 恭久
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB21
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC15
2G084CC16
2G084CC17
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF06
2G084FF15
2G084FF31
2G084FF38
2G084FF39
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA04
5F004CA06
5F045AA08
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH14
5F045EH20
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EK07
5F045EK22
5F045EM05
5F045EM09
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA03
5F131CA06
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB19
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】基板支持器に支持された基板の温度を適切に調節し、高温域においても静電吸着を維持する。
【解決手段】基板を支持する基板支持器であって、基台と、前記基台上の第1のセラミック層と、前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、前記第1のセラミック層は、第1のセラミック製の第1の基部と、前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、前記第2のセラミック層は、前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持器であって、
基台と、
前記基台上の第1のセラミック層と、
前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、
前記第1のセラミック層は、
第1のセラミック製の第1の基部と、
前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、
前記第2のセラミック層は、
前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、
前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有する、基板支持器。
【請求項2】
前記第1の基部は、複数の領域を含み、
前記複数のヒータ電極は、前記複数の領域ごとに配置される、請求項1に記載の基板支持器。
【請求項3】
前記第1のセラミック層は、前記第1の基部に内包され前記複数のヒータ電極とそれぞれ接続する複数の多層電気配線を含む、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項4】
前記第1の基部は、複数のセラミック層が積層した多層構造体であり、
前記複数のセラミック層の各層の間に、少なくとも1つの前記ヒータ電極を有する、
請求項1に記載の基板支持器。
【請求項5】
前記複数のセラミック層は、複数のグリーンシートの焼結体である、請求項4に記載の基板支持器。
【請求項6】
前記第2の基部は、第2のセラミックの焼結体である、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項7】
前記第2のセラミックは、前記第1のセラミックよりも体積抵抗が高い、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項8】
前記第1のセラミック層と前記第2のセラミック層との間に、無機接着剤を含む接合層を有する、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項9】
前記第1のセラミックと前記第2のセラミックとは、同一のセラミックを主成分とする、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項10】
前記第2のセラミックは、前記第1のセラミックよりも高純度である、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項11】
前記第2の基部は、室温以上350℃以下における体積抵抗が1×1016Ω以上である、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項12】
前記第2のセラミックは、アルミナを質量パーセント濃度で99.95%以上含む、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項13】
前記第2のセラミックの誘電率は10以上11以下である、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項14】
前記第1の基部の熱膨張係数と前記第2の基部の熱膨張係数の差が5ppm以下である、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項15】
前記第2のセラミックは、気孔率が0.1%以下である、請求項1又は2に記載の基板支持器。
【請求項16】
基板を処理するプラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部で前記基板を支持する基板支持器と、を備え、
前記基板支持器は、
基台と、
前記基台上の第1のセラミック層と、
前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、
前記第1のセラミック層は、
第1のセラミック製の第1の基部と、
前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、
前記第2のセラミック層は、
前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、
前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有する、プラズマ処理装置。
【請求項17】
前記第1の基部は、複数の領域を含み、
前記複数のヒータ電極は、前記複数の領域ごとに配置される、請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記第1のセラミック層は、前記第1の基部に内包され前記複数のヒータ電極とそれぞれ接続する複数の多層電気配線を含む、請求項16又は17に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記複数の多層電気配線を介して前記複数のヒータ電極と接続する少なくとも1つの電源を備え、
前記複数のヒータ電極は、それぞれ独立して温度制御可能に構成される、請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
プラズマ処理装置を用いて基板を処理するプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
チャンバと、前記チャンバの内部に設けられ基板を支持する基板支持器と、を備え、
前記基板支持器は、
基台と、
前記基台上の第1のセラミック層と、
前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、
前記第1のセラミック層は、
第1のセラミック製の第1の基部と、
前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、
前記第2のセラミック層は、
前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、
前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有し、
前記プラズマ処理方法は、
前記基板支持器の基板支持面に前記基板を載置する工程と、
前記吸着電極を用いて前記基板を前記基板支持面で吸着保持する工程と、
前記複数のヒータ電極のうちいずれか又は全てを用いて、前記第2のセラミック層及び前記基板に入熱し、前記基板の一部の領域又は全部の領域の温度を300℃以上に調節する工程と、
前記温度が調節された前記基板の一部の領域又は全部の領域をプラズマで処理する工程と、を含む、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板支持器、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を載置する静電チャックを細分化した複数の領域のそれぞれに対応して少なくとも一組ずつ設けられた複数組のヒータ及びサイリスタと、前記複数組のサイリスタからヒータに電流を供給する一つの電源と、前記一つの電源から前記複数のヒータに電力を供給する電源ラインに設けられ、該電源に印加される高周波電力を除去する少なくとも一組のフィルタと、を有する温度制御機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-084350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板支持器に支持された基板の温度を適切に調節し、高温域においても静電吸着を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を支持する基板支持器であって、基台と、前記基台上の第1のセラミック層と、前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、前記第1のセラミック層は、第1のセラミック製の第1の基部と、前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、前記第2のセラミック層は、前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板支持器に支持された基板の温度を適切に調節し、高温域においても静電吸着を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を模式的に示す説明図である。
図2】本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の一例を示す断面図である。
図3】本実施形態にかかる基板支持器の構成の一例を示す断面図である。
図4】本実施形態にかかる第1の基部の複数の領域の構成の一例を示す上から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体基板(以下、「基板」という場合がある。)を基板支持器上に載置した状態で、当該基板に所望の処理が施される。基板支持器の基板支持面を構成するセラミック部材上に載置される基板は、製造プロセスに応じて適切な温度に調節される。特許文献1には、セラミック部材中に吸着電極とともにヒータ電極を内包し、セラミック部材上における基板の固定支持と、基板等の温度調節の両方の機能を有するよう構成される基板支持器が提案されている。特に特許文献1には、基板支持器中に設けるヒータ電極を細分化し、複数の領域のそれぞれを局所的に温度調節可能とする構成が開示されている。
【0009】
セラミック部材における基板の固定支持は、セラミック部材中に組み込まれる吸着電極による、基板支持面に対する電圧の印加によって行われる。基板支持面は吸着電極による電圧の印加を受けると、基板支持面の電荷とは逆の電荷に分極した基板との間で電位差を生じ、クーロン力による吸着力を発生させる。基板支持面を構成するセラミック部材は、誘電体であるセラミックで構成されるが、これは、吸着電極による電圧の印加を効率よく吸着力に寄与させる誘電性を備えるとともに、基板と基板支持面との間で電流が流れないように絶縁する絶縁性を備えるためである。絶縁に関し、仮に基板と基板支持面との間で電流が流れてしまうと、基板と基板支持面との間の電位差が低下し、吸着力が低下する。
【0010】
ところで近年、プラズマエッチング装置において、次世代半導体デバイスとして金属を含む基板の膜のエッチングを精度よく行うことが要求されている。その実現のため、基板支持器において、200℃を超える高温域(以下、単に高温域と称する。)に基板を調節可能であることや、高温域においても基板の面内温度を均一に、又は局所的に調節することが可能であることなどが要求される。なお、本開示において基板を均一に温度調節することとは、基板の全部の領域において面内温度の差がなく、又は無視できる程度に差が小さいことをいう。また、本開示において基板を局所的に温度調節することとは、基板の任意の一部について所望の温度に調節し、当該任意の一部の領域内において温度の差がなく、又は無視できる程度に差が小さいことをいう。
【0011】
特許文献1に開示の基板支持器は、従来のエッチング温度、すなわち200℃に達しない温度域において均一に、又は局所的に温度調節することを可能とするものの、高温域への温度調節を想定したものではなく、高温域においては採用することができない。具体的には、本発明者の検討によると、特許文献1に開示の基板支持器を高温域に温度調節すると、基板支持面を構成するセラミック部材の体積抵抗が低下し、絶縁性が低下することが分かった。さらに、絶縁性の低下したセラミック部材は、上述の理由により基板との間の吸着力が低下するため静電吸着を維持できず、基板がずれるなどの問題を生じ得ることが分かった。したがって、高温域においても静電吸着を維持し、かつ基板の面内温度を均一に、又は局所的に温度調節することが可能な基板支持器が求められている。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、静電吸着による基板の固定支持及び温調が可能な基板支持器であって、高温域においても静電吸着を維持し、かつ基板の面内温度の均一な、又は局所的な温度調節が可能な基板支持器を提供する。
【0013】
以下、本実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<プラズマ処理システム>
図1は、本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を模式的に示す説明図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0015】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 200kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0016】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0017】
<プラズマ処理装置>
次に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合プラズマ処理装置の構成例について、図2を用いて説明する。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0018】
基板支持部11は、基板支持器111及びリングアセンブリ112を含む。基板支持器111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。基板支持器111の環状領域111bは、平面視で基板支持器111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、基板支持器111の中央領域111a上(基板支持面114)に配置され、リングアセンブリ112は、基板支持面114上の基板Wを囲むように基板支持器111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、基板支持器111は、基台120及び静電チャック122を含む。基台120は、導電性部材123を含む。基台120の導電性部材123は下部電極として機能する。静電チャック122は、基台の上に配置される。静電チャック122の上面は、基板支持面114を有する。基台120及び静電チャック122の構成の詳細については後述する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。また、基板支持部11は、静電チャック122、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面114との間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0019】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0020】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0021】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0022】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック122内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0024】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
<基板支持器>
次に、本実施の形態にかかる基板支持器111の詳細について説明する。図3は、本実施の形態にかかる基板支持器111の構成の概略を模式的に示す断面図である。なお、図3は基板支持器111における中央領域111aの一部を示し、中央領域111aの他の部分並びに環状領域111b及び、基台120の下方については図示を省略する。ただし、中央領域111aの他の部分及び環状領域111bについても、図示する一部と同様の構成を備えるものとする。
【0026】
図3において、基板支持器111は基台120と静電チャック122を備える。基台120の導電性部材123は、材料としてアルミニウムを用い、基台120の内部において冷却流路124を備える。静電チャック122は、基台120の上に設けられる第1のセラミック層126と、当該第1のセラミック層126の上に設けられる第2のセラミック層128と、を有する。なお、基台120の導電性部材123としては、アルミニウムの他、適切な金属製材料を用いることができる。
【0027】
第1のセラミック層126は、基台120の上に載置されている。載置の方法は特に限定されず、公知の手段を用いて固定し載置することができる。また、第1のセラミック層126は、第1のセラミックの焼結体である第1の基部130と、複数のヒータ電極132と、当該複数のヒータ電極132に接続する多層に設けられた多層電気配線134と、を含む。第1の基部130は、複数のヒータ電極132と、当該複数のヒータ電極132に接続する多層に設けられた多層電気配線134と、後述する第2のセラミック層128において吸着電極に接続する電気配線144と、を内包するように構成される。なお本開示において「内包する」とは、例えば一の構成が他の構成を内包するというとき、当該一の構成の内部に当該他の構成が埋設され外部に露出しない状態のみならず、当該一の構成の内部に当該他の構成の一部が埋設され、かつ当該他の構成の他部が外部に露出する状態を含む。
【0028】
第2のセラミック層128は、第1のセラミック層126の上に設けられており、本実施形態においては第1のセラミック層126に対して無機接着剤からなる接着層136を介して接合されている。また第2のセラミック層128は、第2のセラミックの焼結体である第2の基部140と、吸着電極142と、を含む。第2の基部140は、吸着電極142と、吸着電極142に接続する電気配線144と、を内包するように構成される。吸着電極142は、本実施形態においてHV電極を用いることができ、これに対してDC電圧を印加することで、基板支持面114と図示しない基板Wとの間で静電吸着が可能なように構成される。
【0029】
ヒータ電極132に接続する多層電気配線134と、吸着電極142に接続する電気配線144は、基台120の内部又は外部を通り図示しない電源に接続される。このため、基台120は、多層電気配線134及び電気配線144を内包するよう構成される。
【0030】
ここで、上記のように構成される基板支持器111における、静電チャック122の製造方法の一例について、以下説明する。
【0031】
第1のセラミック層126の製造方法は、グリーンシート法を採用可能である。具体的には、それぞれ別々に焼成した第1のセラミックからなる複数のグリーンシートを積層し、焼結することで製造可能である。なお、グリーンシートは、セラミックを主成分とする材料をシート状に形成したものである。グリーシートを焼成することにより、静電チャックを構成する多層構造体としてのセラミック層を形成することができる。上述のように、第1の基部130は複数のヒータ電極132と、これらに接続する多層電気配線134を内包するため、グリーンシート法はこのような複雑な内部構造を有する第1のセラミック層126の製造に当たって好適である。具体的には、グリーンシート法によって複数のグリーンシートを積層して多層構造体を形成する場合、当該複数のグリーンシートの各層の間に、ヒータ電極又は電気配線を有するように積層することができる。したがって材料である第1のセラミックは、グリーンシート法に適用可能なセラミックであることが好ましく、本実施形態においてはアルミナを用いる。
【0032】
第2のセラミック層128の製造方法は、Hot Press法を採用可能である。材料である第2のセラミックとしては、アルミナを質量パーセント濃度で99.95%以上含み、かつ気孔率が0.1%以下である高純度アルミナを用いることができる。ここで、気孔率とは、第2のセラミック層128を断面観察した場合に、当該断面の観察視野の面積に対する、当該断面の観察視野に含まれる全ての気孔(空隙)の面積の合計の割合を示す値である。当該高純度アルミナに対しHot Press法を用いることで、高温域でも高い体積抵抗、具体的には室温以上、350℃以下の温度で1×1016Ω以上の体積抵抗と、10以上11以下の誘電率と、を有する第2のセラミック層128を製造することができる。
【0033】
上記のようにして製造した第1のセラミック層126及び第2のセラミック層128は、例えば、無機接着剤からなる接着層136を介して接合される。無機接着剤を用いる理由として、熱抵抗性が低いことが挙げられる。これは、第1のセラミック層126のヒータ電極132から第2のセラミック層128に対して入熱することから、その間に設けられる接着層136は熱抵抗性が低いことが好ましいためである。また無機接着剤を用いることで、基板支持器111の外縁部において、接着層136がプラズマに暴露する場合であっても当該接着層136の劣化が少ないことから、好ましい。
【0034】
本実施形態にかかる基板支持器111を上記のように構成する利点について、以下説明する。上述したように従来の静電チャック122は、高温域において基板支持面114を構成するセラミック部材の体積抵抗が低下し、基板Wとの間で電流が流れてしまう場合がある。その場合静電吸着を維持できず、基板Wが所望の位置からずれるなどしてその後のプロセスに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0035】
高温域において基板Wと基板支持面114との間で静電吸着を維持するためには、これらの間で電流が流れることがない程度に高温域における体積抵抗が高いセラミック部材を用いることが考えられる。高温域における体積抵抗が高いセラミック部材は、上述したように高純度アルミナに対しHot Press法を用いることで製造することが可能である。一方、上記複数のヒータ電極132を当該高純度アルミナ中に内包するようなセラミック部材は、グリーンシート法により製造することが好ましい。
【0036】
この点について、本発明者がさらに検討を重ねた結果、複数のヒータ電極132を含む第1のセラミック層126をグリーンシート法によって製造し、吸着電極142を含み高温域における体積抵抗が高い第2のセラミック層128をHot Press法で製造し、さらにこれら2種類の層を接合することで、上記課題を解決する静電チャック122を形成することが可能であることを知見した。すなわち、本実施形態にかかる静電チャック122によると、複数のヒータ電極132を含む第1のセラミック層126によって高温域における均一な、又は局所的な温度調節を可能とし、かつ、吸着電極142を含み高温域における体積抵抗が高い第2のセラミック層128によって高温域における静電吸着の維持を可能としている。なお、異なるセラミック材料を接合する場合には、加熱又は冷却時に変形を生じる場合に、これらの熱膨張係数の差に伴うたわみなどが懸念される。これに対して、本実施形態にかかる静電チャック122にあっては、第1のセラミック層126及び第2のセラミック層128は共にアルミナを主材料としているため、これらの熱膨張係数の差を小さく抑えることができ、上記懸念を解消している。
【0037】
以上の実施形態によれば、多層電気配線134によって、複数のヒータ電極132をそれぞれ独立に温度制御することができる。また、複数のヒータ電極132を含む第1のセラミック層126によって、高温域においても基板Wを均一に、又は局所的に温度調節することが可能であり、かつ、吸着電極142を含み高温域における体積抵抗が高い第2のセラミック層128によって、高温域における基板Wの静電吸着の維持が可能である、基板支持器111が提供される。
【0038】
一実施形態で、第1の基部130は平面視において複数の領域200を含み、複数のヒータ電極132は複数の領域200ごとに配置される。すなわち、一の領域200に対しては、一又は二以上のヒータ電極132が対応するように設けられ、ヒータ電極132のそれぞれは、対応する複数の領域200のそれぞれの温度を調節する。
【0039】
図4は、一実施形態にかかる第1の基部130を上から見たときの平面図であり、第1の基部130における複数の領域200の数、形状及び配置の好適な一例を示す。図4で、実線で囲まれる領域のそれぞれが一の領域200である。第1の基部130は、第1の基部130の中心の周りに回転対称となるような形状及び配置の複数の領域200を含む。図4に示す例では、複数の領域200は、第1の基部130の中心の周りに90度の回転対称となる。具体的には、複数の領域200は、第1の基部130の中心に位置して1つ設けられる第1の領域200aと、当該第1の領域200aの外周側に位置して4つ設けられる第2の領域200bと、当該第2の領域200bの外周側に位置して8つ設けられる第3の領域200cと、当該第3の領域200cの外周側、すなわち第1の基部130の外周に位置して1つ設けられる第4の領域200dを含む。これら複数の領域200のそれぞれにはヒータ電極132が対応するように設けられている。一実施形態では、一の領域200に対しては、一の領域200の形状と同様の形状を有するヒータ電極132が対応して設けられる。
【0040】
第1の基部130が平面視において複数の領域200を含み、複数のヒータ電極が複数の領域200ごとに配置されることによって、複数のヒータ電極により複数の領域200のそれぞれの温度を調節することができる。これによって、より効率的に局所的な温度調節が可能となり、基板Wの面内温度をより均一に調節することができる。
【0041】
<プラズマ処理方法>
次に、上記のように構成される基板支持器111を備えるプラズマ処理装置1を用いたプラズマ処理方法について、以下説明する。プラズマ処理としては、例えばエッチング処理や成膜処理が行われる。
【0042】
先ず、プラズマ処理チャンバ10の内部に基板Wを搬入し、静電チャック122上に基板Wを載置する。その後、静電チャック122の吸着電極142にDC電圧を印加することにより、基板Wはクーロン力によって静電チャック122に静電吸着され、保持される。
【0043】
次に、基板Wの一部の領域又は全部の領域は、第1のセラミック層126の複数のヒータ電極132のうちいずれか又は全てのヒータ電極によって、所望の温度に調整される。なお当該温度調節においては、基板Wの一部の領域又は全部の領域の温度を、高温域に調節することができる。また、基板Wの搬入後、排気システム40によってプラズマ処理チャンバ10内を所望の真空度まで減圧する。
【0044】
次に、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10sに処理ガスを供給する。また、RF電源31の第1のRF生成部31aによりプラズマ生成用のソースRF電力を基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給する。そして、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、第2のRF生成部31bによりイオン引き込み用のバイアスRF信号を供給してもよい。そして、生成されたプラズマの作用によって、基板Wにプラズマ処理が施される。
【0045】
上記プラズマ処理方法は、制御部2によってプラズマ処理装置1の各構成を、所望の工程を実行するように制御することで実行することができる。
【0046】
上記プラズマ処理方法によると、上記のように構成される基板支持器111に基板Wを載置することで基板Wの一部の領域又は全部の領域の温度を調節することができ、かつ、高温域においても静電吸着を維持したままプラズマ処理を行うことができる。これによって、高温域における基板Wのプラズマ処理を精度よく行い、特に、金属を含む基板Wの膜のプラズマ処理を精度よく行うことができる。
【0047】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲、後述の本開示の技術的範囲に属する構成例及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0048】
例えば基板支持器111の材料及び製造方法については、上記の実施形態に限定されない。すなわち、第1のセラミック層126は、第1のセラミックとしてアルミナを用いてグリーンシート法によって製造することとしたが、これに代えて、内部に複数のヒータ電極132及びこれに接続する多層電気配線134を内包することが可能な、公知の材料及び製造方法に置換、変更されてもよい。また、第2のセラミック層128は、第2のセラミックとして高純度アルミナを用いてHot Press法によって製造することとしたが、これに代えて、内部に吸着電極142及びこれに接続する配線を内包することが可能で、高温における体積抵抗が静電吸着を維持するのに十分な程度に高くなるような、公知の材料及び製造方法に置換、変更されてもよい。なお、これらの場合、第1のセラミック層126及び第2のセラミック層128を製造した際にこれらの熱膨張係数の差が5ppm以下となるような組合せであることが好ましい。第1のセラミック層126及び第2のセラミック層128の熱膨張係数の差が5ppm以下であれば、これらが加熱又は冷却され変形する場合でも、同定度の膨張率又は収縮率で変形するため、少なくとも室温から400℃の温度域では、これらの間でたわみなどを生じることを抑制できる。このため、第1のセラミックと第2のセラミックとは、同一のセラミックを主成分とするものを用いることとしてもよい。
【0049】
また第2のセラミック層128が高温域において静電吸着を維持する効果を発揮するためには、使用環境温度(例えば、室温以上、350℃以下の温度)で1×1016Ω以上の体積抵抗を示せばよい。この場合、第2のセラミックは、第1のセラミックよりも体積抵抗が高いものを用いることとしてもよい。なお上記の実施形態において、第2のセラミックとしてはアルミナを99.95%以上含み、かつ気孔率が0.1%以下である高純度アルミナを用いたが、これに限定されず、上記使用環境温度で上記体積抵抗を示し得るセラミック材料を適用可能である。第2のセラミックは、前記第1のセラミックよりも高純度であるものを用いることとしてもよい。
【0050】
また上記の実施形態において、第1のセラミック層126と第2のセラミック層128を接合する接着層136としては無機接着剤を使用することとしたが、これに限定されない。接着層136に適用可能な接着手段として、例えば、有機接着材を用いることができる。この場合、当該有機接着剤としては少なくとも熱抵抗性が低く、またプラズマに暴露する場合であっても劣化が少ないように耐プラズマ性を有することが好ましい。また、拡散接合法によって第1のセラミック層126及び第2のセラミック層128を接合することが可能であり、この場合、接着層136を設けなくてもよい。
【0051】
また、上記プラズマ処理方法において、温度は、高温域に調節することとしたが、基板Wの一部又は全部が200℃に達しない温度域においてもプラズマ処理を実行することができる。また温調は、さらに高温であってもよく、具体的には基板Wの一部の領域又は全部の領域の温度が300℃以上となるように調節してプラズマ処理を行うこととしてもよい。
【0052】
また、例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0053】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0054】
例えば、本開示は、以下の実施形態を含む。
【0055】
(付記1)
基板を支持する基板支持器であって、
基台と、
前記基台上の第1のセラミック層と、
前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、
前記第1のセラミック層は、
第1のセラミック製の第1の基部と、
前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、
前記第2のセラミック層は、
前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、
前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有する、基板支持器。
【0056】
(付記2)
前記第1の基部は、複数の領域を含み、
前記複数のヒータ電極は、前記複数の領域ごとに配置される、付記1に記載の基板支持器。
【0057】
(付記3)
前記第1のセラミック層は、前記第1の基部に内包され前記複数のヒータ電極とそれぞれ接続する複数の多層電気配線を含む、付記1又は付記2に記載の基板支持器。
【0058】
(付記4)
前記第1の基部は、複数のセラミック層が積層した多層構造体であり、
前記複数のセラミック層の各層の間に、少なくとも1つの前記ヒータ電極を有する、
付記1~付記3のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0059】
(付記5)
前記複数のセラミック層は、複数のグリーンシートの焼結体である、付記4に記載の基板支持器。
【0060】
(付記6)
前記第2の基部は、第2のセラミックの焼結体である、付記1~付記5のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0061】
(付記7)
前記第2のセラミックは、前記第1のセラミックよりも体積抵抗が高い、付記1~付記6のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0062】
(付記8)
前記第1のセラミック層と前記第2のセラミック層との間に、無機接着剤を含む接合層を有する、付記1~付記7のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0063】
(付記9)
前記第1のセラミックと前記第2のセラミックとは、同一のセラミックを主成分とする、付記1~付記8のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0064】
(付記10)
前記第2のセラミックは、前記第1のセラミックよりも高純度である、付記1~付記9のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0065】
(付記11)
前記第2の基部は、室温以上350℃以下における体積抵抗が1×1016Ω以上である、付記1~付記10のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0066】
(付記12)
前記第2のセラミックは、アルミナを質量パーセント濃度で99.95%以上含む、付記1~付記11のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0067】
(付記13)
前記第2のセラミックの誘電率は10以上11以下である、付記1~付記12のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0068】
(付記14)
前記第1の基部の熱膨張係数と前記第2の基部の熱膨張係数の差が5ppm以下である、付記1~付記13のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0069】
(付記15)
前記第2のセラミックは、気孔率が0.1%以下である、付記1~付記14のいずれか一つに記載の基板支持器。
【0070】
(付記16)
基板を処理するプラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部で前記基板を支持する基板支持器と、を備え、
前記基板支持器は、
基台と、
前記基台上の第1のセラミック層と、
前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、
前記第1のセラミック層は、
第1のセラミック製の第1の基部と、
前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、
前記第2のセラミック層は、
前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、
前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有する、プラズマ処理装置。
【0071】
(付記17)
前記第1の基部は、複数の領域を含み、
前記複数のヒータ電極は、前記複数の領域ごとに配置される、付記16に記載のプラズマ処理装置。
【0072】
(付記18)
前記第1のセラミック層は、前記第1の基部に内包され前記複数のヒータ電極とそれぞれ接続する複数の多層電気配線を含む、付記16又は付記17に記載のプラズマ処理装置。
【0073】
(付記19)
前記複数の多層電気配線を介して前記複数のヒータ電極と接続する少なくとも1つの電源を備え、
前記複数のヒータ電極は、それぞれ独立して温度制御可能に構成される、付記18に記載のプラズマ処理装置。
【0074】
(付記20)
プラズマ処理装置を用いて基板を処理するプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
チャンバと、前記チャンバの内部に設けられ基板を支持する基板支持器と、を備え、
前記基板支持器は、
基台と、
前記基台上の第1のセラミック層と、
前記第1のセラミック層上の第2のセラミック層と、を有し、
前記第1のセラミック層は、
第1のセラミック製の第1の基部と、
前記第1の基部に内包され前記基板の温度を調節するための複数のヒータ電極と、を有し、
前記第2のセラミック層は、
前記第1のセラミックと異なる、第2のセラミック製の第2の基部と、
前記第2の基部に内包され前記基板を保持するための吸着電極と、を有し、
前記プラズマ処理方法は、
前記基板支持器の基板支持面に前記基板を載置する工程と、
前記吸着電極を用いて前記基板を前記基板支持面で吸着保持する工程と、
前記複数のヒータ電極のうちいずれか又は全てを用いて、前記第2のセラミック層及び前記基板に入熱し、前記基板の一部の領域又は全部の領域の温度を300℃以上に調節する工程と、
前記温度が調節された前記基板の一部の領域又は全部の領域をプラズマで処理する工程と、を含む、プラズマ処理方法。
【符号の説明】
【0075】
111 基板支持器
120 基台
122 静電チャック
126 第1のセラミック層
128 第2のセラミック層
130 第1の基部
132 ヒータ電極
140 第2の基部
142 吸着電極
W 基板
図1
図2
図3
図4