(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067944
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、情報処理装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/445 20180101AFI20230509BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G06F9/445 130
H04N1/00 127B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031875
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2021016294の分割
【原出願日】2016-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 龍太郎
(57)【要約】
【課題】機器が出力した文書データをオペレーティングシステム部の管理の下で動作する他のアプリケーション部に与える。
【解決手段】情報処理装置は、プロセッサと、文書データを出力する機器と通信経路を介して情報を送受信する通信部とを備える情報処理装置であって、プロセッサは、機器から取得した文書データに対して、1以上の処理を含むワークフローを実行するワークフロー実行部と、文書データを取得可能な少なくとも1つのアプリケーション部と、ワークフロー実行部および少なくとも1つのアプリケーション部を管理するオペレーティングシステム部として機能し、ワークフロー実行部は、アプリケーション呼出処理がワークフローに含まれる場合、文書データを取得可能なアプリケーション部を呼び出す呼出指示を生成する指示生成部と、生成した呼出指示をオペレーティングシステム部に与える呼出部とを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを出力する機器と通信可能な情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記情報処理装置を、
前記機器から送信された前記文書データを取得する取得部と、
取得された前記文書データを配信可能なアプリケーションを呼び出す処理か、取得された前記文書データを指定された送信先に送信する処理か、のいずれかの処理の実行を決定する実行制御部と、
して機能させ、
前記実行制御部は、取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記実行制御部は、
取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与えることによって、当該文書データの配信を当該アプリケーションに実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記実行制御部は、
取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与えることによって、当該アプリケーションによって管理される特定のフォルダに前記文書データをアップロードさせる
ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記実行制御部は、
前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与えることによって、前記文書データを配信する処理を、当該呼出指示によって表示されたアプリケーションの一覧から選択されたアプリケーションに実行させる
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記実行制御部は、
呼び出すアプリケーションを指定しない前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与える
ことを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記機器は、画像形成装置であり、
前記取得部は、
前記画像形成装置におけるスキャン処理によって生成され、前記画像形成装置から送信された前記文書データを取得する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、前記情報処理装置をさらに、
前記画像形成装置におけるスキャン処理を開始させるユーザ指示を受け付ける受付部と して動作させる
ことを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記実行制御部は、
少なくとも前記文書データを配信する処理を含むワークフローの実行を制御し、前記ワークフローにおける前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す場合、前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与える
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記実行制御部は、
前記文書データの送信先を示す配信先情報に示されたアドレスに処理対象の前記文書データを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記実行制御部は、処理対象の文書データおよび配信処理を実行するために必要な設定値を与える配信部を備え、
前記配信先情報は、配信タイプ毎に配信先情報記憶部に記憶され、
前記配信部は、受け取った設定値に基づき配信タイプを特定し、特定したタイプに対応する配信先情報を前記配信先情報記憶部から読み出し、特定して配信タイプに応じたデータ形式の前記文書データを、前記配信先情報に示されたアドレスに処理対象の前記文書データを送信する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記文書データの送信先は、前記文書データを記憶する装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項12】
前記実行制御部は、ユーザの入力に応じて、取得された前記文書データを処理可能なアプリケーションを呼び出す処理か、取得された前記文書データを指定された送信先に送信する処理か、のいずれかの処理の実行を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
文書データを出力する機器と通信可能な情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置の取得部が、前記機器から送信された前記文書データを取得し、
前記情報処理装置の実行制御部が、取得された前記文書データを配信可能なアプリケーションを呼び出す処理か、取得された前記文書データを指定された送信先に送信する処理か、のいずれかの処理の実行を決定し、
前記実行制御部は、取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
文書データを出力する機器と通信可能な情報処理装置であって、
前記機器から送信された前記文書データを取得する取得部と、
取得された前記文書データを配信可能なアプリケーションを呼び出す処理か、取得された前記文書データを指定された送信先に送信する処理か、のいずれかの処理の実行を決定する実行制御部と
を備え、
前記実行制御部は、取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
文書データを出力する機器と、前記機器と通信可能な情報処理装置にインストールされるプログラムとを含む情報処理システムであって、
前記機器は、
出力された前記文書データを前記情報処理装置に送信する送信部を有し、
前記プログラムは、前記情報処理装置を、
前記機器から送信された前記文書データを取得する取得部と、
取得された前記文書データを配信可能なアプリケーションを呼び出す処理か、取得された前記文書データを指定された送信先に送信する処理か、のいずれかの処理の実行を決定する実行制御部と
して機能させ、
前記実行制御部は、取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える、
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法、情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、スキャナおよびファクシミリ等の機能を有する複合機が知られている。複合機は、スキャナにより取り込んだ文書データに対して、1以上の処理を含むワークフローを実行する機能を有する。複合機は、ワークフローを実行することにより、取り込んだ文書データに対してノイズ除去等の所定の処理を施し、その後、指定されたファイルサーバ装置等に文書データを自動で送信することができる。
【0003】
また、操作パネルの機能を、スマートフォン等の携帯型の情報処理装置に実現させることができる複合機も知られている。複合機の操作パネルの機能を実現する情報処理装置は、専用のアプリケーションを実行することにより、複合機と無線の通信回線により接続し、相互に情報のやり取りをする。また、複合機の操作パネルの機能を実現する情報処理装置は、複合機がスキャンして取り込んだ文書データを複合機から受信し、受信した文書データにワークフローを実行することもできる。これにより、情報処理装置は、複合機に代わってワークフローを実行するので、複合機の処理負担を軽減させることができる。
【0004】
特許文献1には、アプリケーションと、通信手段を介して通信されるジョブ実行装置とを連携するための連携アプリケーションとがインストールされた携帯端末装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯型の情報処理装置は、一般に、例えばAndroid(登録商標)等の汎用のオペレーティングシステムが起動している。また、汎用のオペレーティングシステム上では、数多くのアプリケーションが動作可能である。このようなアプリケーションの中には、複合機により取り込まれた文書データを取り扱うことができるものも存在する。
【0006】
しかしながら、複合機から受信した文書データに対して所定の処理を施すことができる専用のアプリケーションは、予め登録されたワークフローを実行する。このため、このような専用のアプリケーションでは、予め登録されているネットワーク上のサーバ装置等にデータを送信することはできるが、オペレーティングシステム上で動作する他のアプリケーションに自動で文書データを取得させることはできなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、機器が出力した文書データを、オペレーティングシステム部の管理の下で動作する他のアプリケーション部に与えることができるプログラム、情報処理方法、情報処理装置および情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプログラムは、文書データを出力する機器と通信可能な情報処理装置にインストールされるプログラムであって、前記情報処理装置を、前記機器から送信された前記文書データを取得する取得部と、取得された前記文書データを配信可能なアプリケーションを呼び出す処理か、取得された前記文書データを指定された送信先に送信する処理か、のいずれかの処理の実行を決定する実行制御部と、して機能させ、前記実行制御部は、取得された前記文書データを配信する処理の実行において、前記アプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機器が出力した文書データを、オペレーティングシステム部の管理の下で動作する他のアプリケーション部に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る文書処理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、画像形成装置および情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の機能構成を画像形成装置とともに示す図である。
【
図4】
図4は、ワークフロー実行部により実行されるワークフローの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、アプリケーション呼出処理について説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るワークフロー実行部の機能構成を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る文書処理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るワークフロー実行部の機能構成を示す図である。
【
図9】
図9は、ワークフロー生成画面を表示している情報処理装置を示す図である。
【
図10】
図10は、アプリケーション呼出処理を選択した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る文書処理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る文書処理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る文書処理システム10の構成を示す図である。文書処理システム10は、画像形成装置20と、情報処理装置30と、情報提供サーバ装置32と、ファイルサーバ装置34と、メールサーバ装置36とを備える。
【0013】
画像形成装置20は、用紙の表面をスキャンして、用紙の表面の画像を表す文書データを出力する。画像形成装置20は、例えば、プリンタ、スキャナおよびファクシミリ等の機能を有する複合機である。
【0014】
なお、画像形成装置20は、文書データを出力する機器の一例である。文書処理システム10は、画像形成装置20に代えて、画像形成装置20以外の文書データを出力する機器を備えてもよい。例えば、文書処理システム10は、電子式カメラ装置またはファクシミリ装置等を、文書データを出力する機器として備えてもよい。また、文書データは、テキストデータまたは動画像データ等を含んでもよい。
【0015】
情報処理装置30は、ユーザにより持ち運びが可能な携帯型のコンピュータである。情報処理装置30は、例えば、スマートフォン、タブレット装置、携帯電話機器またはノート型コンピュータ等であってよい。情報処理装置30は、画像形成装置20と通信経路を介して情報を送受信することが可能である。通信経路は、例えば、電波式無線通信経路であってもよいし、赤外線による無線通信経路であってもよい。また、通信経路は、ケーブル等を用いた有線通信経路であってもよい。また、通信経路は、情報処理装置30と画像形成装置20とを一対一で接続する経路であってもよいし、バス等またはネットワークを介して接続する経路であってもよいし、インターネット等の公衆回線を介して接続する経路であってもよい。
【0016】
また、情報処理装置30は、インターネット等のネットワークを介して情報提供サーバ装置32、ファイルサーバ装置34およびメールサーバ装置36にアクセス可能である。
【0017】
情報提供サーバ装置32は、ネットワークを介して情報処理装置30に情報を提供する。例えば、情報提供サーバ装置32は、情報処理装置30が実行するプログラムを提供する。この場合、情報処理装置30は、情報提供サーバ装置32からプログラムをダウンロードして実行する。
【0018】
ファイルサーバ装置34は、ネットワークを介して情報処理装置30から送信された文書データを記憶する。情報処理装置30は、文書データをネットワークを介してファイルサーバ装置34に送信して記憶させる。
【0019】
メールサーバ装置36は、ネットワークを介して情報処理装置30からメール形式で送信された文書データを記憶する。情報処理装置30は、文書データをネットワークを介してメールサーバ装置36に送信して記憶させる。
【0020】
図2は、画像形成装置20および情報処理装置30のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ201と、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等のメモリ202と、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置203と、ディスプレイ等の表示部204と、ディスプレイ上に形成されたタッチセンサ等の入力部205と、通信部206と、ネットワークI/F207とを備える。通信部206は、画像形成装置20と通信経路を介して情報を送受信する。ネットワークI/F207は、ネットワークを介して、情報提供サーバ装置32、ファイルサーバ装置34およびメールサーバ装置36等の他の装置と情報を送受信する。このような情報処理装置30は、CPU等のプロセッサ201が記憶装置203に予め記憶されたオペレーティングシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムを実行する。
【0021】
画像形成装置20は、CPU等のプロセッサ211と、RAMおよびROM等のメモリ212と、HDD等の記憶装置213と、プリンタ214と、スキャナ215と、通信部216とを備える。プリンタ214は、データに応じた文字および画像等を用紙等に印刷する。スキャナ215は、用紙等に印刷された文字および画像等を読み取ってデータに変換する。なお、画像形成装置20は、プリンタ214またはスキャナ215の一方のみを備える構成であってもよい。通信部216は、情報処理装置30と通信経路を介して情報を送受信する。
【0022】
図3は、情報処理装置30の機能構成を画像形成装置20とともに示す図である。情報処理装置30は、操作部42と、ワークフロー実行部44と、少なくとも1つのアプリケーション部46(46-1~46-N)(Nは任意の自然数)と、OS部48(オペレーティングシステム部)とを有する。
【0023】
操作部42は、記憶装置203にインストールされた専用のアプリケーションプログラムを、プロセッサ201が実行することにより機能する。これに代えて、操作部42は、情報提供サーバ装置32からダウンロードしたスクリプトプログラムを、プロセッサ201がブラウザプログラム上で実行することにより機能してもよい。
【0024】
操作部42は、画像形成装置20を操作するためのユーザインターフェイスをユーザに提供する。操作部42は、ユーザインターフェイスに対する操作に応じた操作指示を通信経路を介して画像形成装置20に与える。画像形成装置20は、操作部42から与えられた操作指示に応じて、各種の動作を実行する。このような操作部42は、画像形成装置20の操作パネルとして機能することができる。これにより、操作部42は、スキャンの開始ボタンおよびスキャンをするための各種の設定値の入力ボタン等をユーザに提供することができる。
【0025】
ワークフロー実行部44は、記憶装置203にインストールされた専用のアプリケーションプログラムを、プロセッサ201が実行することにより機能する。ワークフロー実行部44は、画像形成装置20によりスキャンして生成された文書データを通信経路を介して取得する。ワークフロー実行部44は、画像形成装置20から取得した文書データに対して、1以上の処理を含むワークフローを実行する。
【0026】
ワークフロー実行部44は、ワークフローを定義するワークフロー情報を記憶する。ワークフロー実行部44は、ユーザにより選択されたワークフロー情報に従って順次に処理を実行することにより、ワークフローを実行する。
【0027】
ワークフロー実行部44は、ワークフローにサーバ配信処理が含まれる場合、処理対象の文書データを、例えば、ファイルサーバ装置34またはメールサーバ装置36等にネットワークを介して送信する。また、ワークフロー実行部44は、ワークフローにアプリケーション呼出処理が含まれる場合、OS部48を介して何れかのアプリケーション部46を呼び出して、処理対象の文書データを呼び出したアプリケーション部46に与える。
【0028】
アプリケーション部46は、記憶装置203にインストールされたアプリケーションプログラムをプロセッサ201が実行することにより機能する。アプリケーションプログラムは、例えば、ビジネス用プログラムであっても、ゲーム用プログラムであっても、無料であっても、有料であってもよい。また、情報処理装置30は、画像形成装置20により出力された文書データを取得可能な少なくとも1つのアプリケーション部46を有する。文書データを取得可能なアプリケーション部46は、文書データを管理する機能を有してもよいし、文書データを編集する機能を有してもよいし、文書データをネットワーク上のサーバに送信する機能を有してもよい。
【0029】
OS部48は、記憶装置203にインストールされたオペレーティングシステムプログラムをプロセッサ201が実行することにより機能する。オペレーティングシステムプログラムは、コンピュータを動作させるための基本プログラムである。OS部48は、操作部42、ワークフロー実行部44および少なくとも1つのアプリケーション部46を管理する。すなわち、操作部42、ワークフロー実行部44および少なくとも1つのアプリケーション部46は、OS部48の管理下で機能する。OS部48は、一例として、Android(登録商標)を実行することにより機能する。
【0030】
図4は、ワークフロー実行部44により実行されるワークフローの一例を示す図である。ワークフロー実行部44には、管理者により生成された複数のワークフロー情報が登録されている。ワークフロー情報は、コンピュータにより解釈が可能なデータ形式で記述される。ワークフロー情報は、例えば、XML(Extensible Markup Language)により記述される。ワークフロー実行部44は、ワークフロー情報に記述された内容を解釈してワークフローを実行する。
【0031】
ワークフロー情報は、ワークフロー実行部44が実行するワークフロー(少なくとも1つの処理およびそれらの処理の実行順序)を定義する。
図4に示すワークフローは、ノイズ除去処理→文字認識処理→フォーマット変換処理→配信処理の順で処理をすることを示している。
【0032】
例えば、ノイズ除去処理において、ワークフロー実行部44は、画像のノイズ除去等をする。文字認識処理において、ワークフロー実行部44は、画像に含まれる文字を認識して、テキストデータを生成する。フォーマット変換処理において、ワークフロー実行部44は、文書データを指定されたファイルフォーマット(例えばPDF(Portable Document Format)等)に変換する。
【0033】
また、
図4に示す配信処理では、ワークフロー実行部44は、サーバ配信処理およびアプリケーション呼出処理を実行する。なお、ワークフロー実行部44は、ワークフローの実行前にユーザが入力した設定値に応じて、サーバ配信処理またはアプリケーション呼出処理の何れを実行するかを決定してもよい。
【0034】
サーバ配信処理において、ワークフロー実行部44は、文書データを指定されたサーバ(例えばファイルサーバ装置34またはメールサーバ装置36)に送信する。また、アプリケーション呼出処理において、ワークフロー実行部44は、OS部48の管理の下で機能する他のアプリケーション部46を呼び出して起動させ、処理対象の文書データを与える。アプリケーション呼出処理において、ワークフロー実行部44は、例えば、アプリケーション部46の一例であるDropbox(登録商標)アプリケーションを呼び出して起動させ、Dropbox(登録商標)により管理される特定のフォルダに文書データをアップロードさせてもよい。また、アプリケーション呼出処理において、ワークフロー実行部44は、例えば、アプリケーション部46の一例であるLINE(登録商標)アプリケーションを起動させ、LINE(登録商標)により管理される宛先に文書データを送信させてもよい。
【0035】
図5は、アプリケーション呼出処理について説明するための図である。ワークフロー実行部44は、ワークフローの中の1つの処理として、アプリケーション呼出処理を実行することができる。
【0036】
OS部48は、呼出マネージャ52を含む。呼出マネージャ52は、ワークフロー実行部44に対して、アプリケーション部46を呼び出す機能(アプリケーション呼出機能)を提供する。
【0037】
ワークフローにアプリケーション呼出処理が含まれる場合、ワークフロー実行部44は、アプリケーション呼出処理の実行において、OS部48の呼出マネージャ52に呼出指示を与える。呼出指示は、処理対象の文書データを含む。呼出マネージャ52は、呼出指示を受け取った場合、対応するアプリケーション部46を呼び出して起動させる。そして、呼出マネージャ52は、呼出指示に含まれる文書データを与える。呼び出されたアプリケーション部46は、呼出マネージャ52から文書データを受け取る。
【0038】
また、この場合、ワークフロー実行部44は、呼び出されたアプリケーション部46に実行させるべき動作も指定することができる。指定される動作は、例えば、アプリケーション部46の起動方法および振る舞い等である。動作が指定された場合、呼び出されたアプリケーション部46は、起動した後に指定された動作を実行する。
【0039】
このように、アプリケーション呼出処理において、ワークフロー実行部44は、OS部48の管理の下で機能する他のアプリケーション部46を呼び出して起動させ、処理対象の文書データを与えることができる。これにより、呼び出されたアプリケーション部46は、ワークフロー実行部44から処理対象の文書データを取得することができる。例えば、Android(登録商標)では、このような機能をインテントと呼ぶ。
【0040】
なお、ワークフロー実行部44は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定する呼出指示をOS部48に与えてもよいし、呼び出すべきアプリケーション部46を指定しない呼出指示をOS部48に与えてもよい。ここでは、呼び出すべきアプリケーション部46をワークフロー実行部44が指定する呼出指示を、明示的な呼出指示と呼ぶ。例えば、Android(登録商標)では、このような呼出指示を、明示的インテントと呼ぶ。また、呼び出すべきアプリケーション部46をワークフロー実行部44指定しない呼出指示を、暗黙的な呼出指示と呼ぶ。例えば、Android(登録商標)では、このような呼出指示を、暗黙的インテントと呼ぶ。
【0041】
なお、第1実施形態においては、ワークフロー実行部44は、明示的な呼出指示をOS部48に与える。
【0042】
図6は、第1実施形態に係るワークフロー実行部44の機能構成を示す図である。ワークフロー実行部44は、受信部61と、ワークフロー情報記憶部62と、プラグイン実行部64と、フロー制御部65と、配信先情報記憶部66と、配信部67と、ユーザ情報記憶部68と、呼出情報記憶部69と、指示生成部70と、呼出部71とを有する。
【0043】
受信部61は、画像形成装置20から、通信経路を介して、画像形成装置20がスキャンして生成した文書データを受信する。さらに、受信部61は、画像形成装置20から、実行すべきワークフローを識別するワークフローID、および、ワークフローを実行するために必要な設定値を受信する。
【0044】
ワークフロー情報記憶部62は、ワークフロー情報を記憶する。例えば、表1に示すように、ワークフロー情報記憶部62は、ワークフローIDに関連付けて、XMLデータで表されたワークフロー情報を記憶する。ワークフロー情報記憶部62は、複数のワークフロー情報を記憶してもよい。
【0045】
【0046】
プラグイン実行部64は、フロー制御部65から処理対象の文書データおよび設定値が与えられるとともに、実行すべき処理が指定される。プラグイン実行部64は、与えられた文書データに対して、指定された処理を設定値に従って施す。より具体的には、プラグイン実行部64は、異なる複数のプラグインプログラム81(81-1~81-n)を有する。プラグイン実行部64は、指定された処理に対応するプラグインプログラム81を実行することにより、与えられた文書データに対して、指定した処理を施すことができる。プラグイン実行部64は、指定された処理の実行を終えると、処理を施した後の文書データをフロー制御部65に戻す。
【0047】
フロー制御部65は、受信したワークフローIDに関連付けられたワークフロー情報を読み出す。フロー制御部65は、ワークフロー情報を解析して、実行すべきワークフローに含まれるそれぞれの処理および処理順序を特定する。そして、フロー制御部65は、実行すべきワークフローにおけるそれぞれの処理の実行において、プラグイン実行部64に対して処理を指定する。さらに、フロー制御部65は、処理を指定するとともに、処理対象の文書データ、および、その処理を実行するための設定値をプラグイン実行部64に与える。プラグイン実行部64が指定した処理を実行した後、フロー制御部65は、処理が施された後の文書データをプラグイン実行部64から受け取る。そして、フロー制御部65は、ワークフローに含まれる1つの処理が終了すると、プラグイン実行部64に対して次の処理を指定する。これにより、フロー制御部65は、プラグイン実行部64に、ワークフローにより特定される1以上の処理を順次に実行させることができる。
【0048】
また、フロー制御部65は、実行すべきワークフローにサーバ配信処理が含まれる場合には、サーバ配信処理の実行において、配信部67に対して、処理対象の文書データおよび配信処理を実行するために必要な設定値を与える。また、フロー制御部65は、実行すべきワークフローにアプリケーション呼出処理を含む場合には、アプリケーション呼出処理の実行において、指示生成部70に対して、処理対象の文書データおよび配信処理を実行するために必要な設定値を与える。
【0049】
配信先情報記憶部66は、文書データの送信先を示す配信先情報を記憶する。配信先情報記憶部66は、例えば、表2に示すように、フォルダ配信かメール配信かといったタイプ毎に、配信先のサーバのアドレスを記憶する。
【0050】
【0051】
配信部67は、ワークフローにサーバ配信処理を含む場合、フロー制御部65から文書データおよび設定値を受け取る。配信部67は、受け取った設定値に基づき配信タイプを特定し、特定した配信タイプに対応する配信先情報を配信先情報記憶部66から読み出す。そして、配信部67は、サーバ配信処理の実行において、特定した配信タイプに応じたデータ形式の文書データを、配信先情報に示されたアドレスに送信する。なお、配信部67は、ネットワーク上のプリンタ装置等に文書データを送信してもよい。
【0052】
ユーザ情報記憶部68は、アプリケーション部46を起動させるために必要なユーザ情報を記憶する。ユーザ情報記憶部68は、例えば、表3に示すように、ワークフロー実行部44を起動させるためのログインIDに関連付けて、ユーザ名およびパスワード等を含むユーザ情報を記憶する。
【0053】
【0054】
なお、アプリケーション部46毎に異なるユーザ情報(例えばユーザ名およびパスワード)が設定されていてもよい。この場合、ユーザ情報記憶部68は、アプリケーション部46毎にユーザ情報を記憶する。
【0055】
呼出情報記憶部69は、表4に示すように、呼出指示を生成するために必要となる呼出情報を、呼出指示を識別する呼出IDに関連付けて記憶する。呼出情報には、呼び出すべきアプリケーション部46を特定する情報および呼び出したアプリケーション部46に実行させるべき動作等を記憶する。呼出情報記憶部69は、例えば、管理者により予め設定された1以上の呼出情報を記憶し、ユーザがこの1以上の呼出情報の中から選択してもよい。また、例えば、ワークフローが実行される毎に、ユーザが呼出情報を設定し、設定された呼出情報が呼出情報記憶部69に登録されてもよい。ユーザが選択または設定した呼出情報に関連付けられた呼出IDは、ユーザが設定する設定値に含まれる。なお、暗黙的な呼出指示を生成する場合には、呼出情報は、呼び出すべきアプリケーション部46を含まなくてもよい。
【0056】
【0057】
指示生成部70は、アプリケーション呼出処理がワークフローに含まれる場合、文書データを取得可能なアプリケーション部46を呼び出す呼出指示を生成する。本実施形態においては、指示生成部70は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定する明示的な呼出指示を生成する。
【0058】
具体的には、指示生成部70は、フロー制御部65から、アプリケーション部46に与えるべき文書データおよび設定値を受け取る。設定値には、呼出IDが含まれる。指示生成部70は、受け取った呼出IDに対応する呼出情報(アプリケーションおよび動作等)を呼出情報記憶部69から読み出す。さらに、指示生成部70は、アプリケーション部46を起動するために必要なユーザ情報(ユーザ名およびパスワード等)をユーザ情報記憶部68から読み出す。そして、指示生成部70は、これらに情報に基づき、表5に示すような呼出指示を生成する。
【0059】
【0060】
すなわち、呼出指示には、呼び出すべきアプリケーション部46を特定する情報、呼び出したアプリケーション部46に実行させるべき動作、呼び出したアプリケーション部46に与える文書データ、および、付加情報が含まれる。動作は、アプリケーション部46の起動方法および振る舞い等を表す。付加情報には、アプリケーション部46を起動させるために必要なユーザ情報(ユーザ名およびパスワード等)が含まれる。なお、指示生成部70は、ユーザ情報記憶部68から読み出したユーザ情報に代えて、ワークフロー実行部44を起動させるためのログインIDおよびパスワード等のログイン情報に基づいて呼出指示を生成してもよい。
【0061】
例えば、OS部48がAndroid(登録商標)を実行して機能している場合、指示生成部70は、コンポーネント、アクション、データ、カテゴリ、エクストラおよびフラグを含むインテントを、呼出指示として生成する。この場合、指示生成部70は、コンポーネントとして、呼び出すべきアプリケーション部46を指定する。指示生成部70は、アクションとして、アプリケーション部46にデータを渡すための汎用的な起動方法を指定する。また、指示生成部70は、データに、ワークフローにおけるアプリケーション呼出処理までの1以上の処理を実行して得られた文書データを含める。また、指示生成部70は、カテゴリおよびフラグとして、アプリケーション部46の振る舞いを指定する。また、指示生成部70は、エクストラに、ユーザ情報を含める。例えば、指示生成部70は、Dropbox(登録商標)により管理される特定のフォルダに文書データをアップロードさせる場合、Dropbox(登録商標)にログインするためのログイン情報をエクストラに含める。また、例えば、指示生成部70は、LINE(登録商標)により管理される宛先に文書データを送信させる場合、LINE(登録商標)により管理される送信宛先を示す情報をエクストラに含める。
【0062】
指示生成部70は、このように生成した呼出指示を呼出部71に与える。呼出部71は、アプリケーション呼出処理の実行において、指示生成部70により生成された呼出指示をOS部48に与える。
【0063】
OS部48は、呼出部71から呼出指示を受けた場合、対応するアプリケーション部46を呼び出し、呼び出したアプリケーション部46を起動させて文書データを与える。本実施形態においては、OS部48は、明示的な呼出指示を受け取る。OS部48は、明示的な呼出指示を受けた場合、呼出指示により指定されたアプリケーション部46を呼び出す。また、OS部48は、呼出指示に含まれるユーザ情報によりアプリケーション部46を起動させる。
【0064】
図7は、第1実施形態に係る文書処理システム10の処理の流れを示すシーケンス図である。文書処理システム10は、例えば、
図7に示すシーケンスのように処理を実行する。
【0065】
まず、操作部42は、ユーザに対してログイン情報を入力させるためのログイン情報入力画面を表示する。ユーザは、ログイン情報入力画面にログイン情報(例えば、ログインIDおよびパスワード)を入力する。そして、操作部42は、ユーザにより入力されたログイン情報を取得する(S11)。
【0066】
続いて、操作部42は、画像形成装置20にログイン情報を送信する(S12)。続いて、画像形成装置20は、ログイン情報を受信し、受信したログイン情報が正しいか否かを認証する(S13)。画像形成装置20は、外部の認証サーバ等にネットワークを介してログイン情報を送信して、ログイン情報が正しいか否かを認証させてもよい。続いて、画像形成装置20は、認証結果を操作部42に送信する(S14)。操作部42は、ログイン情報が正しいとの認証結果を受け取った場合、画像形成装置20の操作パネルとしての機能を実行することができる。
【0067】
操作部42は、実行すべきワークフローを選択させるためのワークフロー選択画面を表示する。ユーザは、ワークフロー選択画面により何れか1つのワークフローを選択する。そして、操作部42は、ユーザにより選択されたワークフローを識別するワークフローIDを取得する(S15)。
【0068】
続いて、操作部42は、選択されたワークフローを実行するために必要な設定値を入力させるための設定値入力画面を表示する。ユーザは、設定値入力画面に必要な設定値を入力する。そして、操作部42は、ユーザにより入力された設定値を取得する(S16)。例えば、操作部42は、ユーザにより選択されたワークフローにアプリケーション呼出処理が含まれる場合、アプリケーション呼出処理に関する設定値をユーザに入力させるための設定値入力画面を表示し、この設定値入力画面を介して設定値を取得する。
【0069】
続いて、操作部42は、ユーザによるスキャン開始操作を受け付ける(S17)。スキャン開始操作を受け付けた場合、操作部42は、スキャン開始指示、ワークフローIDおよび設定値を画像形成装置20に送信する(S18)。
【0070】
画像形成装置20は、操作部42からスキャン開始指示を受信した場合、予めセットされた用紙をスキャンする(S19)。そして、画像形成装置20は、用紙の表面の画像を表す文書データを生成する。スキャンが完了すると、画像形成装置20は、生成した文書データ、ワークフローIDおよび設定値をワークフロー実行部44に送信する(S20)。
【0071】
ワークフロー実行部44は、画像形成装置20から文書データ、ワークフローIDおよび設定値を受信する。ワークフロー実行部44は、ワークフローIDにより特定されるワークフロー情報に従って、文書データに対して1以上の処理を実行する(S21-1~S21-M)。
【0072】
さらに、ワークフロー実行部44は、ワークフロー情報により定義されるワークフローに、アプリケーション呼出処理が含まれるか否かを判断する(S22)。ワークフロー実行部44は、アプリケーション呼出処理がワークフローに含まれる場合、ワークフロー情報により指定されたアプリケーション部46を呼び出す明示的な呼出指示を生成する(S23)。例えば、OS部48がAndroid(登録商標)を実行して機能している場合、ワークフロー実行部44は、明示的なインテントを生成する。
【0073】
そして、ワークフロー実行部44は、ワークフローにおけるアプリケーション呼出処理の実行において、生成した呼出指示をOS部48に与える(S24)。OS部48は、ワークフロー実行部44から呼出指示を受け取った場合、呼出指示に示されたアプリケーション部46を呼び出して、起動させる(S25)。この場合において、OS部48は、アプリケーション部46に、呼出指示に含まれる文書データおよびユーザ情報を与える。呼び出されたアプリケーション部46は、OS部48から与えられたユーザ情報を用いて起動するとともに、OS部48から与えられた文書データを取得する(S26)。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る文書処理システム10によれば、ワークフローを実行することにより、画像形成装置20が出力した文書データを、OS部48の管理の下で動作する他のアプリケーション部46に自動的に与えることができる。これにより、文書処理システム10によれば、画像形成装置20が出力した文書データを手動で保存した後、アプリケーション部46を手動で起動して保存した文書データを取り込むといったような煩雑な操作を無くし、ユーザの作業を軽減することができる。
【0075】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る文書処理システム10について説明する。第2実施形態に係る文書処理システム10は、第1実施形態の文書処理システム10と略同一の機能および構成を有する。従って、第2実施形態における第1実施形態と略同一の機能および構成を有する部分については、同一の符号を付けて相違点を除き詳細な説明を省略する。第3実施形態においても同様である。
【0076】
図8は、第2実施形態に係るワークフロー実行部44の機能構成を示す図である。第2実施形態に係るワークフロー実行部44は、ワークフロー情報生成部91をさらに有する。
【0077】
ワークフロー情報生成部91は、ワークフローの実行に先だって、管理者による操作に応じて、ワークフロー情報を生成する。ワークフロー情報生成部91は、生成したワークフロー情報をワークフローIDに関連付けてワークフロー情報記憶部62に記憶させる。
【0078】
さらに、ワークフロー情報生成部91は、生成したワークフロー情報により定義されるワークフローにアプリケーション呼出処理が含まれる場合、呼出情報も生成する。呼出情報は、アプリケーション呼出処理において生成する呼出指示を生成するために必要な情報である。そして、ワークフロー情報生成部91は、生成した呼出情報を識別する呼出IDをワークフロー情報の設定値に含めるとともに、生成した呼出情報を呼出IDに関連付けて呼出情報記憶部69に記憶させる。
【0079】
また、第2実施形態において、指示生成部70は、明示的な呼出指示に限らず、暗黙的な呼出指示を生成してもよい。アプリケーション呼出処理において暗黙的な呼出指示を生成させる場合、ワークフロー情報生成部91は、その呼出指示を生成するために参照する対応する呼出情報に、呼び出すべきアプリケーション部46を特定する情報を含めなくてよい。
【0080】
また、指示生成部70は、暗黙的な呼出指示を生成する場合、複数のアプリケーション部46を呼び出すために必要な複数のユーザ情報を、呼出指示に含める。これにより、指示生成部70は、何れのアプリケーション部46が選択された場合であっても、選択されたアプリケーション部46を起動させることができる。
【0081】
図9は、ワークフロー生成画面92を表示している情報処理装置30を示す図である。ワークフロー情報生成部91は、例えば、
図9に示すような、ワークフロー生成画面92を表示して、管理者にワークフロー情報を生成させる。
【0082】
ワークフロー生成画面92は、選択領域93と、作成領域94とを含む。選択領域93には、ワークフローに含めることが可能な処理を示す複数のアイコン95が表示されている。
【0083】
管理者は、選択領域93においてワークフローに含めるべき処理を示す何れかのアイコン95を選択し、選択したアイコン95を作成領域94にドラッグアンドドロップをする。そして、管理者は、作成領域94において、ドロップした2つのアイコン95の間を、処理順序を示す矢印96により接続する。
【0084】
管理者は、ワークフローに含めるべき処理を示す全てのアイコン95を作成領域94にドロップし、実行すべき順序に従って矢印96によりアイコン95の間を接続した後に、完了ボタン97を押す。完了ボタン97が押された場合、ワークフロー情報生成部91は、作成領域94上に表示されたアイコン95の並びに従った順序で処理を実行させるワークフロー情報を生成する。
【0085】
図10は、アプリケーション呼出処理を選択した場合の処理の流れを示すフローチャートである。また、ワークフロー情報生成部91は、生成したワークフロー情報にアプリケーション呼出処理が含まれている場合、
図10に示すフローチャートの流れに従って、呼出指示を生成するための設定値等を生成する。
【0086】
まず、ワークフロー情報生成部91は、呼出指示に含めるべき情報のうち、呼び出すべきアプリケーション部46を特定する情報以外の情報を管理者から受け付ける(S31)。例えば、インテントを生成する場合、ワークフロー情報生成部91は、コンポーネントおよびデータ以外の情報を受け付ける。
【0087】
続いて、ワークフロー情報生成部91は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定するか否かを管理者に選択させる(S32)。呼び出すべきアプリケーション部46を指定しないと管理者が選択した場合(S32のNo)、ワークフロー情報生成部91は、ステップS31で受け付けた情報をワークフロー情報に登録し(S33)、本フローを終了する。これにより、ワークフロー実行部44は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定しない呼出指示(暗黙的な呼出指示)を生成することができる。
【0088】
一方、呼び出すべきアプリケーション部46を指定すると管理者が選択した場合(S32のYes)、ワークフロー情報生成部91は、文書データを取得可能なアプリケーション部46をOS部48に問い合わせる(S34)。この場合、ワークフロー情報生成部91は、暗黙的な呼出指示を仮にOS部48に与えることにより、文書データを取得可能なアプリケーション部46をOS部48に問い合わせる。
【0089】
OS部48は、ワークフロー情報生成部91から問い合わせを受けた場合、文書データを取得可能なアプリケーション部46の一覧をワークフロー情報生成部91に通知する。ワークフロー情報生成部91は、OS部48から一覧の通知を受けた場合、受け取った一覧を表示して(S35)、一覧の中から何れか1つのアプリケーション部46を選択させる(S36)。
【0090】
そして、ワークフロー情報生成部91は、選択されたアプリケーション部46を特定する情報、および、ステップS31で受け付けた情報を、ワークフロー情報に登録し(S33)、本フローを終了する。これにより、ワークフロー実行部44は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定する呼出指示(明示的な呼出指示)を生成することができる。
【0091】
このようにワークフロー情報生成部91は、呼び出すべきアプリケーション部46を予め指定するか否かを管理者に選択させる。そして、ワークフロー情報生成部91は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定しない場合には暗黙的な呼出指示を生成するための情報を受け付けることができる。
【0092】
また、ワークフロー情報生成部91は、呼び出すべきアプリケーション部46を指定する場合には、例えば暗黙的な呼出指示をOS部48に与えることにより、文書データを取得可能なアプリケーション部46をOS部48に問い合わせる。そして、ワークフロー情報生成部91は、管理者に、文書データを取得可能な何れかのアプリケーション部46を選択させることができる。これにより、ワークフロー情報生成部91は、明示的な呼出指示を生成するための情報を受け付けることができる。
【0093】
図11は、第2実施形態に係る文書処理システム10の処理の流れを示すシーケンス図である。アプリケーション呼出処理において、呼び出すべきアプリケーション部46を指定しない呼出指示(暗黙的な呼出指示)を与える場合、文書処理システム10は、
図11に示すシーケンスのように処理を実行する。
【0094】
まず、文書処理システム10は、ステップS11からステップS20までは、
図7に示すシーケンスと同様に処理を実行する。続いて、ワークフロー実行部44は、画像形成装置20から文書データ、ワークフローIDおよび設定値を受信する。続いて、ワークフロー実行部44は、ワークフローIDにより特定されるワークフロー情報に従って、文書データに対して1以上の処理を実行する(S51-1~S51-M)。
【0095】
さらに、ワークフロー実行部44は、ワークフローにアプリケーション呼出処理が含まれるか否かを判断する(S52)。ワークフロー実行部44は、アプリケーション呼出処理がワークフローに含まれる場合、ワークフロー情報により指定されたアプリケーション部46を呼び出す暗黙的な呼出指示を生成する(S53)。例えば、OS部48がAndroid(登録商標)を実行して機能している場合、ワークフロー実行部44は、暗黙的なインテントを生成する。
【0096】
そして、ワークフロー実行部44は、ワークフローにおけるアプリケーション呼出処理の実行において、生成した暗黙的な呼出指示をOS部48に与える(S54)。
【0097】
OS部48は、ワークフロー実行部44から暗黙的な呼出指示を受け取った場合、OS部48の管理下において動作するアプリケーション部46のうち、文書データを取得可能なアプリケーション部46の一覧を表示して(S55)、1つのアプリケーション部46をユーザに選択させる。続いて、OS部48は、表示したアプリケーション部46のうち1つのアプリケーション部46の選択を受け付ける(S56)。
【0098】
続いて、OS部48は、ユーザにより選択されたアプリケーション部46を呼び出して、起動させる(S57)。この場合において、OS部48は、アプリケーション部46に、呼出指示に含まれる文書データおよびユーザ情報を与える。呼び出されたアプリケーション部46は、OS部48から与えられたユーザ情報を用いて起動するとともに、OS部48から与えられた文書データを取得する(S58)。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る文書処理システム10によれば、呼び出すべきアプリケーション部46を予め指定しておかなくても、暗黙的な呼出指示を生成することにより、アプリケーション呼出処理の実行時においてアプリケーション部46を指定することができる。これにより、本実施形態に係る文書処理システム10によれば、同一のワークフローを実行した場合であっても、ワークフローの実行毎に異なるアプリケーション部46に文書データを取得させることができる。
【0100】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る文書処理システム10の構成を示す図である。第3実施形態に係る文書処理システム10は、情報処理装置30が画像形成装置20に一体的に設けられている。第3実施形態においては、画像形成装置20の筐体の内部において、情報処理装置30が通信経路を介して画像形成装置20の主制御部と接続されている。
【0101】
このような本実施形態に係る文書処理システム10は、Android(登録商標)等の汎用のオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムにより、操作パネルの機能、および、ワークフローの実行処理機能を提供することができる。従って、本実施形態に係る文書処理システム10によれば、操作パネルの機能およびワークフローを実行するためのプログラムの開発を容易に行うことができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。
【符号の説明】
【0103】
10 文書処理システム
20 画像形成装置
30 情報処理装置
32 情報提供サーバ装置
34 ファイルサーバ装置
36 メールサーバ装置
42 操作部
44 ワークフロー実行部
46 アプリケーション部
48 OS部
52 呼出マネージャ
61 受信部
62 ワークフロー情報記憶部
64 プラグイン実行部
65 フロー制御部
66 配信先情報記憶部
67 配信部
68 ユーザ情報記憶部
69 呼出情報記憶部
70 指示生成部
71 呼出部
81 プラグインプログラム
91 ワークフロー情報生成部
92 ワークフロー生成画面
93 選択領域
94 作成領域
95 アイコン
96 矢印
97 完了ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプログラムは、画像形成装置と通信可能な情報処理装置にインストールされるプログラムであって、前記情報処理装置を、前記画像形成装置によりスキャンして生成されたデータを取得する取得部、前記情報処理装置がネットワークを介して接続されるサーバ装置に対して前記取得された前記データをアップロード可能な前記情報処理装置にインストールされているアプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える呼出部、として機能させる、ことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と通信可能な情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記情報処理装置を、
前記画像形成装置によりスキャンして生成されたデータを取得する取得部、
前記情報処理装置がネットワークを介して接続されるサーバ装置に対して前記取得された前記データをアップロード可能な前記情報処理装置にインストールされているアプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える呼出部、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記呼出部は、
前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与えることによって、前記アプリケーションを起動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記呼出部は、
前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与えることによって、前記データを前記アプリケーションに与える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記呼出部は、
呼び出すアプリケーションを指定しない前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与える
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記呼出部は、
呼び出すアプリケーションを指定しない前記呼出指示を前記オペレーティングシステム部に与えることによって、前記アプリケーションの一覧を表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記取得部は、
前記画像形成装置から送信された前記データを取得する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、前記情報処理装置をさらに、
前記画像形成装置におけるスキャン処理を開始させるユーザ指示を受け付ける受付部、
として機能させ、
前記取得部は、
前記ユーザ指示によって、前記画像形成装置によりスキャンして生成されたデータを取得する
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記データは、前記アプリケーションにより管理される特定のフォルダにアップロードされる
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、スマートフォン、タブレット装置、携帯電話機器またはノート型コンピュータのいずれか一つを少なくとも含む
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記アプリケーションは、Drobox(登録商標)を少なくとも含む
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記サーバ装置は、前記データを記憶する装置である、
ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
画像形成装置と通信可能な情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置の取得部が、前記画像形成装置によりスキャンして生成されたデータを取得し、
前記情報処理装置がネットワークを介して接続されるサーバ装置に対して前記取得された前記データをアップロード可能な前記情報処理装置にインストールされているアプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
画像形成装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記画像形成装置によりスキャンして生成されたデータを取得する取得部と、
前記情報処理装置がネットワークを介して接続されるサーバ装置に対して前記取得された前記データをアップロード可能な前記情報処理装置にインストールされているアプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える呼出部と
を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能な情報処理装置にインストールされるプログラムとを含む情報処理システムであって、
前記画像形成装置は、
スキャンして生成されたデータを前記情報処理装置に送信する送信部を有し、
前記プログラムは、前記情報処理装置を、
前記画像形成装置によりスキャンして生成された前記データを取得する取得部と、
前記情報処理装置がネットワークを介して接続されるサーバ装置に対して前記取得された前記データをアップロード可能な前記情報処理装置にインストールされているアプリケーションを呼び出す呼出指示を、前記情報処理装置が有するオペレーティングシステム部に与える呼出部と
して機能させる、
ことを特徴とする情報処理システム。