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特開2023-69227情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069227
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/1008 20220101AFI20230511BHJP
   H04L 45/121 20220101ALI20230511BHJP
   H04L 45/42 20220101ALI20230511BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20230511BHJP
   H04L 45/125 20220101ALI20230511BHJP
【FI】
H04L67/1008
H04L45/121
H04L45/42
G06F9/50 150D
H04L45/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180960
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 耕司
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA02
5K030LB07
5K030MA05
5K030MB06
(57)【要約】
【課題】複数の情報処理装置が複数のサーバへアクセスする場合に、システム全体の通信速度の低下を抑制することができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】同一のデータを保存する複数のサーバと、複数のサーバの少なくともいずれかのサーバのデータにアクセスする複数の情報端末と、を有する情報処理システムの情報処理装置であって、少なくとも各サーバとの第1通信速度、または各情報端末との第2通信速度のいずれかを測定する測定部と、少なくとも各第1通信速度または各第2通信速度のいずれかに基づいて、各情報端末の通信対象となるサーバを判断する判断部と、判断部により判断された通信対象となるサーバを、対応する情報端末へ通知する通知部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のデータを保存する複数のサーバと、前記複数のサーバの少なくともいずれかのサーバの前記データにアクセスする複数の情報端末と、を有する情報処理システムの情報処理装置であって、
少なくとも前記各サーバとの第1通信速度、または前記各情報端末との第2通信速度のいずれかを測定する測定部と、
少なくとも前記各第1通信速度または前記各第2通信速度のいずれかに基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する判断部と、
前記判断部により判断された通信対象となる前記サーバを、対応する前記情報端末へ通知する通知部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記測定部は、少なくとも前記各第2通信速度を測定し、
前記判断部は、前記各第2通信速度に基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記測定部は、少なくとも前記各第1通信速度を測定し、
前記判断部は、前記各第1通信速度に基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記各第1通信速度および前記各第2通信速度を測定し、該各第1通信速度および該各第2通信速度に基づいて、前記各サーバと前記各情報端末との間の第3通信速度を測定し、
前記判断部は、前記各第3通信速度に基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判断部は、少なくとも前記各第1通信速度および前記各第2通信速度の時間変化に応じて、前記各サーバに対する前記各情報端末の割り振りを切り替える請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記測定部は、データをアップロードする時間に基づいて、少なくとも前記各第1通信速度または前記各第2通信速度のいずれかを測定する請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記各サーバまたは前記各情報端末が、前記情報処理装置の動作を代替する請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
同一のデータを保存する複数のサーバと、
前記複数のサーバの少なくともいずれかのサーバの前記データにアクセスする複数の情報端末と、
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
を有する情報処理システム。
【請求項9】
同一のデータを保存する複数のサーバと、前記複数のサーバの少なくともいずれかのサーバの前記データにアクセスする複数の情報端末と、を有する情報処理システムの情報処理方法であって、
少なくとも前記各サーバとの第1通信速度、または前記各情報端末との第2通信速度のいずれかを測定する測定ステップと、
少なくとも前記各第1通信速度または前記各第2通信速度のいずれかに基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する判断ステップと、
判断した通信対象となる前記サーバを、対応する前記情報端末へ通知する通知ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
同一のデータを保存する複数のサーバと、前記複数のサーバの少なくともいずれかのサーバの前記データにアクセスする複数の情報端末と、を有する情報処理システムにおいて、少なくとも前記各サーバとの第1通信速度、または前記各情報端末との第2通信速度のいずれかを測定する測定ステップと、
少なくとも前記各第1通信速度または前記各第2通信速度のいずれかに基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する判断ステップと、
判断した通信対象となる前記サーバを、対応する前記情報端末へ通知する通知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数人が同時に複数のサーバへアクセスして同じファイルを参照するような場合において、通信速度に基づいてどのサーバへアクセスするのが最適化を決める技術が知られている。
【0003】
例えば、データの処理効率および複数のサーバの利用効率を向上するために、複数のサーバを利用する上で最適なサーバを選択し、通信速度が最速のサーバを選択する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、同時に複数人が複数のサーバのファイルへアクセスする場合には、そのタイミングの最速なサーバを選択するだけだと同じサーバを選択することになり、通信トラフィックが増えてシステム全体の速度低下につながるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の情報処理装置が複数のサーバへアクセスする場合に、システム全体の通信速度の低下を抑制することができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、同一のデータを保存する複数のサーバと、前記複数のサーバの少なくともいずれかのサーバの前記データにアクセスする複数の情報端末と、を有する情報処理システムの情報処理装置であって、少なくとも前記各サーバとの第1通信速度、または前記各情報端末との第2通信速度のいずれかを測定する測定部と、少なくとも前記各第1通信速度または前記各第2通信速度のいずれかに基づいて、前記各情報端末の通信対象となる前記サーバを判断する判断部と、前記判断部により判断された通信対象となる前記サーバを、対応する前記情報端末へ通知する通知部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の情報処理装置が複数のサーバへアクセスする場合に、システム全体の通信速度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの動作の概要を説明する図である。
図3図3は、実施形態に係るマスタPCのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るマスタPCの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理システムにおいてPCとの通信速度に応じてサーバとの通信可能なPCをグルーピングする動作を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理システムにおいてPCとの通信速度に応じてサーバとの通信可能なPCをグルーピングした結果の一例を説明する図である。
図7図7は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとの通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングする動作を説明する図である。
図8図8は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとPCとの間の通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングする動作を説明する図である。
図9図9は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとPCとの間の通信速度の結果の一例を説明する図である。
図10図10は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとPCとの間の通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングした結果の一例を説明する図である。
図11図11は、実施形態に係る情報処理システムにおいてPCとの間の通信速度の時間変化に応じて各サーバと通信するPCを切り替える動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
(情報処理システムの全体構成)
図1は、実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。図1を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1の全体構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、マスタPC(Personal Computer)10と、サーバ20a、20bと、PC30a~30cと、を含む。各装置は、ネットワークNを介してデータ通信が可能となっている。ネットワークNは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)またはインターネット等によって構成されたネットワークである。なお、ネットワークNは、有線ネットワークであっても無線ネットワークであってもよい。また、図1では、サーバ20a、20bの2台のサーバが示されているが、これに限定されるものではなく、3台以上のサーバであってもよい。なお、サーバ20a、20b等について、任意のサーバを示す場合、または総称する場合、単に「サーバ20」と称するものとする。また、図1では、PC30a~30cの3台のサーバが示されているが、これに限定されるものではなく、2台または4台以上のサーバであってもよい。なお、PC30a~30c等について、任意のPCを示す場合、または総称する場合、単に「PC30」と称するものとする。
【0012】
マスタPC10は、各サーバ20との通信速度、および各PC30との通信速度を測定し、各PC30がどのサーバ20と通信すべきかを判断して通知する情報処理装置である。なお、マスタPC10は、PCに限定されるものではなく、ワークステーションまたはタブレット端末等のその他の情報処理装置であってもよい。
【0013】
複数のサーバ20は、それぞれ同じファイル等のデータを保存しているファイルサーバ等のサーバ装置である。サーバ20は、PC30からのダウンロード要求に応じて、対象のデータを当該PC30へ送信する。
【0014】
複数のPC30は、各ユーザが利用する情報処理装置であり、サーバ20から特定のデータをダウンロードする場合に、複数のサーバ20のうちマスタPC10から通知されたサーバ20に対して当該データのダウンロードの要求をする情報端末である。なお、PC30とサーバ20との通信の一例として、ダウンロードについて説明したが、PC30からサーバ20へのデータのアップロードを想定してもよい。以下の説明では、PC30とサーバ20との通信として、ダウンロードを想定して説明するものとする。また、PC30は、PCに限定されるものではなく、ワークステーションまたはタブレット端末等のその他の情報端末であってもよい。
【0015】
(情報処理システムの動作の概要)
図2は、実施形態に係る情報処理システムの動作の概要を説明する図である。図2を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1の動作の概要について説明する。
【0016】
情報処理システム1におけるマスタPC10は、サーバ20aとの通信速度を測定する((1)通信速度測定)。また、マスタPC10は、サーバ20bとの通信速度を測定する((2)通信速度測定)。これによって、マスタPC10は、各サーバ20との通信速度を認識する。
【0017】
マスタPC10は、PC30との通信速度を測定する((3)通信速度測定)。なお、図2では、1台のPC30のみを図示しているが、複数のPC30の1つを図示しているものとする。これによって、マスタPC10は、各PC30との通信速度を認識する。
【0018】
マスタPC10は、少なくとも各サーバ20との通信速度、および各PC30との通信速度に基づいて、PC30の通信対象となるサーバ20、すなわちPC30が通信すべきサーバ20を判断し、当該サーバ20の情報を当該PC30へ通知する((4)通信対象のサーバの通知)。これによって、PC30は、情報処理システム1全体の通信速度の低下を抑制するために、複数のサーバ20のうちどのサーバ20からデータをダウンロードすべきかを認識することができる。
【0019】
PC30は、マスタPC10から通知されたサーバ20に対して、所望のデータのダウンロードを要求し、当該サーバ20からデータをダウンロードする((5)ダウンロード)。
【0020】
(マスタPCのハードウェア構成)
図3は、実施形態に係るマスタPCのハードウェア構成の一例を示す図である。図3を参照しながら、本実施形態に係るマスタPC10のハードウェア構成について説明する。
【0021】
図3に示すように、マスタPC10は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、補助記憶装置505と、メディアドライブ507と、ディスプレイ508と、ネットワークI/F509と、キーボード511と、マウス512と、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ514と、を備えている。
【0022】
CPU501は、マスタPC10全体の動作を制御する演算装置である。ROM502は、CPU501により最初に実行されるIPL(Initial Program Loader)等のプログラムを記憶する不揮発性記憶装置である。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0023】
補助記憶装置505は、プログラム等の各種データを記憶する不揮発性記憶措置である。補助記憶装置505は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等である。
【0024】
メディアドライブ507は、フラッシュメモリ等の記録メディア506に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御する装置である。
【0025】
ディスプレイ508は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。
【0026】
ネットワークI/F509は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。ネットワークI/F509は、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)のプロトコルで通信可能にするNIC(Network Interface Card)等である。なお、ネットワークI/F509は、Wi-Fi(登録商標)等の規格に基づく無線通信機能を有する通信インターフェースであってもよい。
【0027】
キーボード511は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力装置の一例である。マウス512は、各種指示の選択、実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力装置の一種である。
【0028】
DVDドライブ514は、着脱可能な記憶媒体の一例としてのDVD513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する装置である。また、DVD513は、例えば、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable、DVD-R(Digital Versatile Disk Recordable)、CD-RW(Compact Disc Rewritable)、またはCD-R(Compact Disc Recordable)等である。
【0029】
上述のCPU501、ROM502、RAM503、補助記憶装置505、メディアドライブ507、ディスプレイ508、ネットワークI/F509、キーボード511、マウス512およびDVDドライブ514は、アドレスバスおよびデータバス等のバスライン510によって互いに通信可能に接続されている。
【0030】
なお、図3に示したマスタPC10のハードウェア構成は一例であり、すべての構成機器を備えている必要はなく、また、他の構成機器を備えているものとしてもよい。また、サーバ20およびPC30のハードウェア構成についても、図3に示した構成に準ずる。
【0031】
(マスタPCの機能ブロックの構成および動作)
図4は、実施形態に係るマスタPCの機能ブロックの構成の一例を示す図である。図4を参照しながら、本実施形態に係るマスタPC10の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0032】
図4に示すように、マスタPC10は、通信部101と、通信速度測定部102(測定部)と、判断部103と、通知部104と、を有する。
【0033】
通信部101は、サーバ20およびPC30とデータ通信を行う機能部である。通信部101は、例えば、図3に示すネットワークI/F509、およびCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0034】
通信速度測定部102は、各サーバ20との通信速度、および各PC30との通信速度を測定する機能部である。例えば、通信速度測定部102は、各装置との実際の通信速度を測定するものとすればよい。また、通信速度測定部102は、サーバ20との通信速度とPC30との通信速度とから、サーバ20とPC30との間の通信速度を測定する。例えば、通信速度測定部102は、サーバ20との通信速度とPC30との通信速度とに基づいて、サーバ20とPC30との間の通信速度を予測するものとしてもよく、サーバ20および通信速度とPC30との通信速度のうち遅い方の通信速度を、サーバ20とPC30との間の通信速度としてみなすものとしてもよい。通信速度測定部102は、例えば、図3に示すCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0035】
判断部103は、通信速度測定部102により測定された各サーバ20との通信速度(第1通信速度)、各PC30との通信速度(第2通信速度)、および各サーバ20と各PC30との間の通信速度(第3通信速度)のうち少なくともいずれかに基づいて、PC30の通信対象となるサーバ20、すなわちPC30が通信すべきサーバ20を判断する機能部である。判断部103は、例えば、図3に示すCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0036】
通知部104は、判断部103により判断されたPC30の通信対象となるサーバ20の情報を、通信部101を介して当該PC30へ通知する機能部である。通知部104は、例えば、図3に示すCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0037】
なお、図4に示したマスタPC10の通信速度測定部102、判断部103および通知部104は、図3に示すCPU501によりプログラムが実行されることによって実現されることに限られない。例えば、集積回路等のハードウェアにより実現してもよく、または、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0038】
また、図4に示したマスタPC10の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図4に示したマスタPC10において独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、図4に示したマスタPC10において1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0039】
また、マスタPC10が有する通信速度測定部102、判断部103および通知部104は、各サーバ20または各PC30が有するものとしてもよい。これによって、サーバ20およびPC30とは別の情報処理装置であるマスタPC10を用意しなくても、情報処理システム1を構築することができる。
【0040】
(PCとの通信速度に応じてサーバとの通信可能なPCをグルーピングする動作)
図5は、実施形態に係る情報処理システムにおいてPCとの通信速度に応じてサーバとの通信可能なPCをグルーピングする動作を説明する図である。図6は、実施形態に係る情報処理システムにおいてPCとの通信速度に応じてサーバとの通信可能なPCをグルーピングした結果の一例を説明する図である。図5および図6を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1におけるPC30との通信速度に応じてサーバ20との通信可能なPC30をグルーピングする動作について説明する。
【0041】
図5において、サーバ20は、通信帯域が狭く、同時に通信可能なPC30の台数が2台に制限される場合を想定する。図5に示す通信速度を示す秒数は、例えば、所定のデータのダウンロードが完了するまでの時間であるものとして説明する。
【0042】
図5に示すように、マスタPC10の通信速度測定部102は、PC30aとの通信速度を20秒と測定し、PC30bとの通信速度を30秒と測定し、PC30cとの通信速度を40秒と測定し、PC30dとの通信速度を50秒と測定したものとする。この場合、マスタPC10の判断部103は、サーバ20から所定のデータのダウンロードが完了するまでの時間を最適化するために、図6に示すように、PC30aおよびPC30dをグループAとして、PC30bおよびPC30cをグループBとする。
【0043】
これによって、PC30aおよびPC30dがサーバ20から所定のデータをダウンロードするまでの時間が70秒となり、PC30bおよびPC30cがサーバ20から所定のデータをダウンロードするまでの時間が70秒となり、情報処理システム1全体としてのダウンロードの時間を最速するにことができる。よって、情報処理システム1全体の通信速度の低下を抑制することができる。
【0044】
(サーバとの通信速度に応じてサーバとの通信可能なPCをグルーピングする動作)
図7は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとの通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングする動作を説明する図である。図7を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1におけるサーバ20との通信速度に応じてサーバ20との通信可能なPC30をグルーピングする動作について説明する。図7では、サーバ20a、20bに対して7台のPC30(PC30a~30g)がアクセスする場合を想定する。図7に示す通信速度を示す秒数は、例えば、所定のデータのダウンロードが完了するまでの時間であるものとして説明する。
【0045】
図7に示すように、通信速度測定部102は、サーバ20aとの通信速度を30秒と測定し、サーバ20bとの通信速度を40秒と測定しものとする。この場合、判断部103は、サーバ20から所定のデータのダウンロードが完了するまでの時間を最適化するために、図7に示すように、PC30a~30dがサーバ20aと通信すべきと判断し、PC30e~30gがサーバ20bと通信すべきと判断する。そして、通知部104は、PC30a~30dそれぞれに対して通信対象としてサーバ20aの情報を、PC30e~30gそれぞれに対して通信対象としてサーバ20bの情報を通知する。
【0046】
これによって、サーバ20aからのダウンロードの時間が30秒×4=120秒となり、サーバ20bからのダウンロードの時間が40秒×3=120秒となり、情報処理システム1全体としてのダウンロードの時間を最速するにことができる。よって、複数のPC30が複数のサーバ20へアクセスする場合に、情報処理システム1全体の通信速度の低下を抑制することができる。
【0047】
(サーバとPCとの間の通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングする動作)
図8は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとPCとの間の通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングする動作を説明する図である。図9は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとPCとの間の通信速度の結果の一例を説明する図である。図10は、実施形態に係る情報処理システムにおいてサーバとPCとの間の通信速度に応じて各サーバと通信するPCをグルーピングした結果の一例を説明する図である。図8図10を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1におけるサーバ20とPC30との間の通信速度に応じて各サーバ20と通信するPC30をグルーピングする動作について説明する。図8では、サーバ20a、20bに対して7台のPC30(PC30a~30g)がアクセスする場合を想定する。図8図10に示す通信速度を示す秒数は、例えば、所定のデータのダウンロードが完了するまでの時間であるものとして説明する。
【0048】
通信速度測定部102は、PC30a~30gとの通信速度、およびサーバ20a、20bとの通信速度を測定し、これらの通信速度に基づいて各サーバ20と各PC30との間の通信速度を測定する。その結果、図8および図9に示す例では、各サーバ20と各PC30との間の通信速度がそれぞれ異なるものなっている。例えば、サーバ20aとの通信速度として、PC30aは50秒、PC30bは60秒、PC30cは70秒、PC30dは80秒、PC30eは90秒、PC30fは100秒、PC30gは110秒となっている。この場合、判断部103は、サーバ20a、20bから所定のデータのダウンロードが完了するまでの時間を最適化するために、サーバ20a、20bから7台のPC30からデータをダウンロードする時間が最短となるように、サーバ20a、20bそれぞれに対して各PC30を割り振る。例えば、図10に示すように、判断部103は、PC30b、PC30cおよびPC30eがサーバ20aと通信すべきと判断し、PC30a、PC30d、PC30fおよびPC30gがサーバ20bと通信すべきと判断する。そして、通知部104は、PC30b、PC30cおよびPC30eそれぞれに対して通信対象としてサーバ20aの情報を、PC30a、PC30d、PC30fおよびPC30gそれぞれに対して通信対象としてサーバ20bの情報を通知する。
【0049】
これによって、サーバ20aからのダウンロードの時間が60秒+70秒+90秒=220秒となり、サーバ20bからのダウンロードの時間が20秒+50秒+70秒+80秒=220秒となり、サーバ20a、20bそれぞれに対して要するダウンロードの時間が同一となり、情報処理システム1全体としてのダウンロードの時間を最速にすることができる。よって、複数のPC30が複数のサーバ20へアクセスする場合に、情報処理システム1全体の通信速度の低下を抑制することができる。
【0050】
(通信速度の時間変化に応じて各サーバと通信するPCを切り替える動作)
図11は、実施形態に係る情報処理システムにおいてPCとの間の通信速度の時間変化に応じて各サーバと通信するPCを切り替える動作を説明する図である。図11を参照しながら、各PC30との間の通信速度の時間変化に応じて各サーバ20と通信するPC30を切り替える動作について説明する。図11では、サーバ20a、20bに対して8台のPC30(PC30a~30h)がアクセスする場合を想定する。
【0051】
通信速度測定部102は、例えば、所定の時間間隔(例えば5秒)ごとに各PC30との通信速度を測定する。次に、判断部103は、所定の時間間隔ごとにおいて、通信速度測定部102により測定された通信速度について順位付けを行う。図11では、5秒ごとに各サーバ20と各PC30との通信速度の順番が時間変化する状態を示しており、「1」が通信速度が最も速く、「8」が通信速度が最も遅いものとする。そして、判断部103は、所定の時間間隔ごとに、サーバ20aを通信対象とするPC30の通信速度の合計と、サーバ20bを通信対象とするPC30の通信速度の合計とが、同一となるように、サーバ20a、20bに対する各PC30の割り振りを切り替える。図11に示す例では、判断部103は、通信速度の順番が「1」、「3」、「5」および「7」のPC30をサーバ20aに割り振り、「2」、「4」、「6」および「8」のPC30をサーバ20bに割り振るものとしている。ここで、「同一」とは、通信速度の合計が厳密に同一でなければならないことを意味するのではなく、当該合計がほぼ同一になるようにすることも含む概念である。そして、通知部104は、各PC30に対して、判断部103により割り振られたサーバ20の情報を通知する。
【0052】
なお、図11の例では、判断部103により、通信速度の順番に基づいて、サーバ20a、20bそれぞれに対して4台のPC30を割り振るものとしているが、同じ台数のPC30を割り振ることに限定されるものではなく、通信速度の合計が同一となるようにすれば各サーバ20に割り振られるPC30の台数は限定されない。また、図11の例では、通信速度測定部102により測定された各PC30との通信速度に基づいて、各サーバ20へPC30を割り振るものとしているが、これに限定されるものではなく、通信速度測定部102により測定される各サーバ20との通信速度、またはサーバ20とPC30との間の通信速度に基づいて、各サーバ20へPC30を割り振るものとしてもよい。
【0053】
このように、通信速度の時間変化に応じて、サーバ20a、20bそれぞれに対して要するダウンロードの時間が同一となるようにPC30の割り振りを切り替えることによって、情報処理システム1全体としてのダウンロードの時間を最速にすることができる。よって、複数のPC30が複数のサーバ20へアクセスする場合に、情報処理システム1全体の通信速度の低下を抑制することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係るマスタPC10では、通信速度測定部102が、少なくとも各サーバ20との通信速度、または各PC30との通信速度のいずれかを測定し、判断部103が、少なくとも各サーバ20との通信速度または各PC30との通信速度のいずれかに基づいて、各PC30の通信対象となるサーバ20を判断し、通知部104が、判断部103により判断された通信対象となるサーバ20を、対応するPC30へ通知するものとしている。これによって、複数のPC30が複数のサーバ20へアクセスする場合に、情報処理システム1全体の通信速度の低下を抑制することができる。
【0055】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0056】
また、上述の実施形態のマスタPC10で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供するように構成してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態のマスタPC10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供するように構成してもよい。
【0058】
また、上述の実施形態のマスタPC10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態のマスタPC10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0059】
また、上述の実施形態のマスタPC10で実行されるプログラムは、上述した各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)がROMからプログラムを読み出して実行することにより上述の各機能部が主記憶装置上にロードされ、各機能部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0060】
1 情報処理システム
10 マスタPC
20、20a、20b サーバ
30、30a~30h PC
101 通信部
102 通信速度測定部
103 判断部
104 通知部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
505 補助記憶装置
506 記録メディア
507 メディアドライブ
508 ディスプレイ
509 ネットワークI/F
510 バスライン
511 キーボード
512 マウス
513 DVD
514 DVDドライブ
N ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平10-283296号公報
図1
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図11