(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069250
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230511BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
G03G15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180994
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
【テーマコード(参考)】
2H076
5C062
【Fターム(参考)】
2H076BA05
2H076BA08
2H076BA11
2H076BA52
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB32
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062BA01
(57)【要約】
【課題】画像読取装置の後側端部と対向壁面との隙間を狭くして画像読装置を設置することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、原稿読取部たるスキャナ20と、スキャナ20の原稿がセットされるコンタクトガラス22に重なる閉じた姿勢と、スキャナ20から立ち上がった開いた姿勢とを取り得るようにスキャナ20の後側に設けられたヒンジ23に取り付けられた開閉部たるADF30とを備えている。そして、スキャナ20の後側端部20aから、後側端部よりも前方に位置するヒンジ23の回転中心23aまでの前後方向の距離を、ADF30がコンタクトガラスに重なる姿勢のときのADF30の高さH2よりも長くした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取部と、
前記原稿読取部の原稿がセットされるコンタクトガラスに重なる閉じた姿勢と、前記原稿読取部から立ち上がった開いた姿勢とを取り得るように前記原稿読取部の後側に設けられたヒンジに取り付けられた開閉部とを備えた画像読取装置において、
前記原稿読取部の後側端部から、該後側端部よりも前方に位置する前記ヒンジの回転中心までの前後方向の距離を、前記開閉部が前記コンタクトガラスに重なる姿勢のときの前記開閉部の高さよりも長くしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記ヒンジの回転中心が、前記コンタクトガラスの原稿接触面よりも下方に位置することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読取装置において、
前記原稿読取部の後側端部から前記ヒンジの回転中心までの前後方向の距離が、前記ヒンジの回転中心から、前記開閉部が前記コンタクトガラスに重なる姿勢のときの前記開閉部の上端までの距離よりも長いことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記原稿読取部は、前記ヒンジよりも後側に底面が前記コンタクトガラスよりも下方に位置し、前記開閉部が立ち上がった姿勢を取ったときに、前記開閉部の後側を逃がす逃げ部を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置において、
前記逃げ部の底面から前記ヒンジの回転中心までの最小高さが、前記ヒンジの回転中心から前記開閉部の後側端部までの最大長さよりも長いことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読取装置において、
前記開閉部が立ち上がった姿勢を取ったとき、前記逃げ部の底面と前記開閉部の後端との間に指が入り込む空間を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記開閉部が立ち上がった姿勢を取ったときに、前記逃げ部の左右方向両端に設けられた側面と、前記開閉部との間に指が入り込む空間を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記原稿読取部は、前記ヒンジが差し込まれる袋形状のヒンジ取り付け部を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置において、
前記ヒンジは、上下方向に所定範囲移動可能に前記ヒンジ取り付け部に取り付けられることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記開閉部は、原稿を搬送する原稿搬送部であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
画像読取装置と
シートに画像形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、
前記画像読取装置として請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿読取部と、原稿読取部の原稿がセットされるコンタクトガラスに重なる閉じた姿勢と、原稿読取部から立ち上がって開いた姿勢とを取り得るように原稿読取部の後側に設けられたヒンジに取り付けられた開閉部とを備えた画像読取装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像読取装置として、開閉部としてのADFを原稿読取部に対して開閉可能に取り付けるヒンジの回転中心が、原稿読取部の後側端部付近に位置するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像読取装置の後側端部と、この後側端部に対向する対向壁面との間に大きな隙間を開けて画像読取装置を設置する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、原稿読取部と、前記原稿読取部の原稿がセットされるコンタクトガラスに重なる閉じた姿勢と、前記原稿読取部から立ち上がって開いた姿勢とを取り得るように前記原稿読取部の後側に設けられたヒンジに取り付けられた開閉部とを備えた画像読取装置において、前記原稿読取部の後側端部から、該後側端部よりも前方に位置する前記ヒンジの回転中心までの前後方向の距離を、前記開閉部が前記コンタクトガラスに重なる姿勢のときの前記開閉部の高さよりも長くしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像読取装置の後側端部と対向壁面との隙間を狭くして画像読取装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図。
【
図2】本実施形態に係る画像読取装置を示す斜視図。
【
図7】従来の画像読取装置が搭載された画像形成装置の側面図。
【
図8】ADFを閉じた状態から開いた状態を示す画像読取装置の後側の概略断面図。
【
図9】ADFを開いた状態を装置の後側から見た斜視図。
【
図10】ADFを開いたときのADFの高さについて、本実施形態と従来例とで比較した図。
【
図11】ADFを開いたときの逃げ部との隙間について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式の画像形成装置について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す概略構成図である。
図中Z方向は、上下方向であり、図中Y方向は、装置の前後方向であり、図中X方向は、装置の左右方向を示している。
【0010】
画像形成装置100は、画像形成部3、給紙部4、画像形成対象である原稿の画像を読み取る画像読取装置2などを備えている。画像読取装置2は、画像形成部3の上方に配置されており、給紙部4は、画像形成部3の下方に配置されている。給紙部4は、転写紙Pを収容する2つの給紙カセット4a,4bを備えている。
【0011】
画像形成部3は、各色を形成する4つの作像ユニット5Y,5M,5C,5Kを備えており、これらが図中矢印F方向に表面移動する中間転写ベルト6に沿って配置されている。各作像ユニット5Y,5M,5C,5Kは、ドラム状の像担持体としての感光体1Y,1M,1C,1Kをそれぞれ有している。さらに、画像形成部3は、露光装置7を備えている。
【0012】
中間転写ベルト6の内側には、感光体1Y,1M,1C,1Kから中間転写ベルト6上にトナー像を転写する一次転写ローラ8Y,8M,8C,8Kを設けている。一次転写ローラ8Y,8M,8C,Kよりも中間転写ベルト6の表面移動方向下流側には、中間転写ベルト6表面に対向するように二次転写ローラ9を設けている。また、二次転写ローラ9の上方には、転写紙P上の画像を定着する定着装置10と、排紙ローラ11とを設けている。
【0013】
4つの作像ユニット5Y,5M,5C,5Kは、収容するトナーの色が異なる以外は、同一の構成であるため、以下、色分け符号を適宜省略して説明する。作像ユニット5は、感光体1の周りに、感光体1表面に電荷を与える帯電装置、感光体1表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置を備えている。また、トナー像転写後の感光体1表面のクリーニングをするクリーニング装置が配置されている。
【0014】
次に、本実施形態に係る画像形成装置100の動作例について説明する。
画像開始の信号を受けると、中間転写ベルト6が表面移動を開始する。同時に、イエロー用作像ユニット5Yでは、イエロー用感光体1Yを帯電装置により一様に帯電し、露光装置7によりレーザ光を照射され静電潜像を形成する。静電潜像は、現像装置により現像され、これによりイエロー用感光体1Yにイエローのトナー像が形成される。同様にして、他の色用の作像ユニット5M,5C,5Kにおいても、各感光体1M,1C,1Kに、それぞれマゼンタ、シアン、黒のトナー像が形成される。中間転写ベルト6の表面移動に伴い、各色トナー像は一次転写ローラ8Y,8M,8C,8Kで順次転写され、中間転写ベルト6上に合成カラー画像を形成する。なお、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト6の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト6の表面移動方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
【0015】
一方、上段の給紙カセット4aまたは下段の給紙カセット4bから転写紙Pが給紙され、中間転写ベルト6と二次転写ローラ9とによって形成される二次転写ニップ部に搬送される。そして、中間転写ベルト6上の合成カラー画像を二次転写ローラ9で転写して転写紙P上にカラー画像を転写する。画像転写後の転写紙Pは、定着装置10へと送り込まれ、転写画像を定着される。定着装置10内で定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ11により排紙トレイ12上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために反転経路13に送られるかのいずれかの搬送形態が選択される。
【0016】
また、トナー像転写後の各感光体1Y,1M,1C,1K上の残留トナーは、それぞれのクリーニング装置によってクリーニングされる。また、トナー像転写後の中間転写ベルト6上の残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置によってクリーニングされる。
【0017】
また、画像形成によりトナーを消費した各現像装置には、
図1中左上方の、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各トナーが充填されたトナーボトル14Y,14M,14C,14Kから搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置にトナーが補給される。なお、四つの作像ユニット5Y,5M,5C,5K及びトナーボトル14Y,14M,14C,14Kの配列順は
図1に示す例に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態に係る画像形成装置100で、原稿のコピーがとられる際には、例えばシート状の原稿が画像読取装置2にセットされる。原稿がセットされた後、コピースタートスイッチが押下されると、画像読取装置2が、原稿の読取動作がスタートする。
【0019】
この原稿読取動作と並行して、各作像ユニット5Y,5M,5C,5K内の各機器や、中間転写ベルト6、二次転写ローラ9、定着装置10等がそれぞれ駆動を開始する。そして、画像読取装置2によって読み取られた画像情報に基づいて、露光装置7が駆動制御されて、各感光体1Y,1M,1C,1K上に、Y、M、C及びKトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト6上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0020】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙部4内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、多段に収容される給紙カセット4a,4bの一つから転写紙Pが送り出される。送り出された転写紙Pは、二次転写ニップに向けて搬送される。
【0021】
図2は、本実施形態にかかる画像読取装置2を示す斜視図である。
画像読取装置2は、画像形成部3の上に固定された原稿読取部としてのスキャナ20と、これに支持される開閉部であり原稿搬送部たるADF30とを有している。
【0022】
スキャナ20の上に配設されたADF30は、スキャナ20に重なる状態の閉じ姿勢と、
図4に示すスキャナ20から立ち上がった開いた姿勢とを取り得るようにヒンジ23によってスキャナ20に開閉自在に取り付けられている。
【0023】
ADF30は、読取前の原稿を載置するための原稿載置台32、原稿を搬送するための搬送ユニット33、読取後の原稿をスタックするための原稿スタック台34などを有している。また、ADF30の前側端部の左右方向(X方向)中央には、ADF30をスキャナ20に対して開閉するための取っ手部31が設けられている。
【0024】
スキャナ20の上面部には、第一コンタクトガラス21と、第二コンタクトガラス22とが設けられている。ADF30は、
図4に示すように開かれた状態でスキャナ20の上面の第一コンタクトガラス21や第二コンタクトガラス22を露出させる。
【0025】
原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF30による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF30を
図4に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス22上に載せた後、ADF30を閉じる。そして、スキャナ20の移動読取部によってそのページの画像が読み取られる。
【0026】
一方、互いに独立した複数の原稿を単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿をADF30によって1枚ずつ自動搬送しながら、順次スキャナ20により読み取らせていくことができる。この場合、原稿束をADF30の原稿載置台32上にセットした後、ユーザーは、コピースタートボタンを押す。すると、ADF30が、原稿載置台32上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に送り、それを反転させながら原稿スタック台34に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿は、反転し、直後にスキャナ20の第一コンタクトガラス21の真上を通る。このとき、原稿の画像がスキャナ20の固定読取部によって読み取られる。
【0027】
図3は、本実施形態のスキャナ20の平面図である。
図3に示すように、本実施形態のスキャナ20の上部は、第一カバー部材24と、第二カバー部材25とによって覆われている。第一カバー部材24は、第一コンタクトガラス21と第二コンタクトガラス22とを保持するしている。また、第一カバー部材24の後側端部付近には、ヒンジ23のスキャナ取り付け部231(
図4参照)が差し込まれて取り付けられる袋形状をしたヒンジ取り付け部26が装置の左右方向(X方向)に所定の間隔を開けて2つ設けられている。
【0028】
第二カバー部材25は、スキャナ20の後側に設けられており、ADF30を開いたときに、ADF30の後側がスキャナ20にぶつからないように、下側に逃げた逃げ部25aを有している。逃げ部25aは、上部と後側が開口した形状で、装置の左右方向端部には、側面251aを有している。
【0029】
図4は、本実施形態の画像読取装置2の後側の概略断面図である。
図4に示すように、第一カバー部材24に設けられる袋形状のヒンジ取り付け部26の後側側面には、上下方向に延びる長孔部26aを有している。このヒンジ取り付け部26にヒンジ23のスキャナ取り付け部231差し込まれている。そして、上記長孔部26aに段付きネジ27を貫通させて、段付きネジ27をヒンジ23のスキャナ取り付け部231にネジ止めすることで、ヒンジ23は、上下方向に所定の範囲移動可能にスキャナ20に取り付けられる。
ヒンジ23のADF取り付け部232は、ADF30の下面30a(閉じたときに下面となる面)に取り付けられており、ヒンジ23の回転中心23aは、ADF30の下面30aよりも下方に位置している。
【0030】
また、ヒンジ取り付け部26の後側側面の上端は、ヒンジ取り付け部26の前側側面よりも低くなっている。これにより、ADF30を開いたときに、ヒンジ23のADF取り付け部232がヒンジ取り付け部26の後側側面の上端に干渉しない(ぶつからない)ようにできる。よって、ADF30の開き角度を大きくすることができる。また、ヒンジ23の回転中心23aを、ADF30の下面30aよりも下方に位置させている。これにより、ヒンジ23の回転中心23aが、ADFの内部にある(ADF30の下面30aよりも上方に位置する)場合に比べて、ADFを開くときにADFの下面30aがヒンジ取り付け部26の後側側面の上端に干渉し難く(ぶつからない)できる。その結果、ADF30の開き角度を大きくすることができる。
【0031】
本実施形態では、ヒンジ取り付け部26を、ヒンジ23のスキャナ取り付け部231が差し込まれる袋形状としている。これにより、ADF30にヒンジ23を取り付け、ヒンジ23のスキャナ取り付け部231をヒンジ取り付け部26に差し込むだけで、ADF30のスキャナ20への取り付けを行うことができる。よって、画像読取装置2の組み立て性を高めることができる。
【0032】
また、袋形状のヒンジ取り付け部26にヒンジ23のスキャナ取り付け部231を差し込むことでヒンジをスキャナに取り付ける構成としたことで、次の利点も得ることができる。すなわち、
図6に示すように、ヒンジ23をスキャナ20の上面に固定する場合に比べて、スキャナ20のヒンジ取り付けのための前後方向(Y方向)のスペースを低減することが可能となる。これにより、ヒンジをコンタクトガラスの近傍に配置することが可能となり、ヒンジの回転中心23aをスキャナの前側に配置することができる。
【0033】
また、本実施形態では、ヒンジ23がスキャナ20に対して所定範囲で上下方向移動可能に取り付けられる。これにより、例えば、厚みのある本などの片綴じ原稿を第二コンタクトガラス22上に載せた後、ADF30を閉じたときに、ヒンジがスキャナ20に対して上方へ移動し、片綴じ原稿の装置手前側もADF30によりしっかりと押さえることができる。これにより、片綴じ原稿の装置手前側の第二コンタクトガラス22からの浮きを抑制できる。
【0034】
また、ヒンジ23は、段付きネジ27によりヒンジ取り付け部26から抜け出さないように取り付けられている。よって、ユーザーが故意にADF30を高さ方向に引っ張ってしまっても、ADF30がスキャナ20から取り外されるのを防止できる。その結果、ADF30が落下して、ADF30が破損したりするのを防止できる。
【0035】
なお、例えば、ヒンジ23のスキャナ取り付け部231に先端に爪部を有し、弾性変形可能なスナップフィット部を設けて、このスナップフィット部の先端の爪部を長孔部26aに嵌め込むことで、ヒンジをスキャナ部に取り付ける構成としてもよい。
【0036】
また、本実施形態においては、ADF30の後側端部30bからヒンジ23の回転中心23aまでの最大長さD2が、第二カバー部材25の逃げ部25aの底面251bからヒンジの回転中心23aまでの最小高さH1よりも短くなっている。本実施形態では、
図5などに示すように、ADF30の左右方向一端の搬送ユニット33側が後ろ側に突出している。そのため、本実施形態では、ADF30の後側端部30bからヒンジ23の回転中心23aまでの最大長さD2は、この搬送ユニット33側の後側端部30bからヒンジ23の回転中心23aまでの長さとなる。
【0037】
また、本実施形態では、スキャナ20の後側端部20aからヒンジ23の回転中心までの前後方向の長さD1が、ADF30が閉じた状態のときのADF30の最大高さH2よりも長くなっている。さらに、スキャナ20の後側端部20aからヒンジ23の回転中心までの前後方向の長さD1が、ヒンジの回転中心23aからADF30の上端までの距離(高さ)H3よりも長くなっている。
【0038】
図5は、本実施形態の画像形成装置の平面図である。
図5に示すように、第二カバー部材25に設けられた逃げ部25aの装置の左右方向(X方向)の長さdaが、ADF30を開いたときに逃げ部25aに入り込むADF30の後ろ側部分の左右方向長さdbよりも指の太さ分長くなっている。これにより、ADF30を開いたときに逃げ部25aの側面251aと、ADF30の後側側面との間に指が挟まれるのを防止できる。
【0039】
図6は、従来の画像読取装置200を示す斜視図であり、
図7は、従来の画像読取装置200が搭載された画像形成装置100の側面図である。
従来の画像読取装置200は、ADF30を開閉する際の回転支点であるヒンジ23の回転中心23aが
図7に示すように、スキャナ20の後端付近にある。そのため、
図6、
図7に示すように、ADF30を開いた状態において、ADF30の一部が、スキャナ20や画像形成部3の後端に比べて、後方(+Y方向)へαmm飛び出してしまう。そのため、画像形成装置100が設置される設置室の壁面に対して画像形成装置100をαmm離して設置しないと、ADF30壁面にぶつかってADF30が開けなくなってしまう。また、画像形成装置を壁面に対してαmm離して配置しても、装置にぶつかるなどして、装置が後側へずれてしまう場合がある。装置が後側にずれたことに気づかずに、ADF30を開けてしまうと、ADF30が壁面にぶつかって、壁面やADFが傷ついてしまうおそれもある。
【0040】
図8は、ADF30を閉じた状態から略90°開いた状態を示す画像読取装置2の後側の概略断面図であり、
図9は、ADF30を開いた状態を装置の後側から見た斜視図である。
本実施形態では、スキャナ20の後側端部20aからヒンジの回転中心23aまでの前後方向の長さD1を、ヒンジの回転中心23aからADF30が閉じた状態のときのADF30の上端までの距離H3よりも長くしている。これにより、ADF30が開いた状態のときにADF30がスキャナ20の後側端部20aから飛び出すのを防止できる。これにより、設置室の壁面と画像形成装置100との間に隙間が無くても、ADF30が設置室の壁面にぶつかることなく開くことができる。よって、画像形成装置100を設置面の壁面に離さずに設置することができる。また、ADF30を開いたときに、ADF30が、画像形成装置の後側端部に対向する壁面にぶつかるのを防止でき、ADF30や壁面が傷つくのを防止できる。
【0041】
なお、スキャナ20の後側端部20aからヒンジの回転中心23aまでの前後方向の長さD1を、ADF30の最大高さH2以上にすることで、スキャナ20の後側端部20aからヒンジの回転中心23aまでの前後方向の長さD1が、ADF30の最大高さH2未満の場合に比べて、ADF30を開いたときのスキャナ部の後側端部からの飛び出しを抑制できる。これにより、スキャナ20の後側端部20aからヒンジの回転中心23aまでの前後方向の長さD1が、ADF30の最大高さH2未満の場合に比べて、画像形成装置100と設置室の壁面との隙間を狭くして画像形成装置100を設置することができる。
【0042】
なお、ADF30の最大開き角度が90°よりも多少小さい場合は、スキャナ20の後側端部20aからヒンジの回転中心23aまでの前後方向の長さD1が、ADF30の高さH2以上でも、ADF30が開いたときのスキャナ20の後側端部20aから飛び出しを防止できる。
【0043】
また、本実施形態では、第二カバー部材25に逃げ部25aを設けて、ADF30を開いたときに、ADF30の後ろ側が、第二カバー部材25に当接しないように構成している。これにより、ADF30の開き角度を大きくすることができる。例えば、ヒンジ23として、リフトアップヒンジを用いることで、このような逃げ部25aを設けなくても、ADF30の開き角度を大きくすることができる。すなわち、ADF30の後ろ側が、第二カバー部材25に当接したときに、リフトアップヒンジが上昇することで、ADF30をさらに回動させることができ、ADF30を大きく開くことが可能である。
【0044】
しかしながら、ヒンジ23が上昇することで、ADF30を開いたときのADFの取っ手部31(
図2参照)の位置が高くなり、操作者の身長によっては、ADF30を閉じる際に取っ手部31にアクセスし難くなるという不具合がある。
【0045】
図10は、ADF30を開いたときのADF30の高さについて、本実施形態と従来例とで比較した図である。
図10(a)が、本実施形態であり、
図10(b)が、従来例である。
図10(b)の従来例では、ヒンジの回転中心23aをスキャナ20の上面よりも上方に位置し、ADF30を開いたときに、ADF30の後側端部が、スキャナ20の上面よりも上方に位置するようにしている。
一方、
図10(a)に示すように、本実施形態では、第二カバー部材に逃げ部25aを設け、ADF30を開いたときに、ADF30の後側が逃げ部25aに入り込み、ADF30の後側端部30bが、スキャナ20の上面よりも下方に位置する構成としている。これにより、
図9に示すように、従来よりもH4mm低くすることができる。よって、身長の低いユーザーであっても、ADF30を閉じる際に取っ手部31にアクセスしやすくできる。
【0046】
また、本実施形態では、ADF30の後側端部30bからヒンジ23の回転中心23aまでの最大長さD2が、第二カバー部材25の逃げ部25aの底面251bからヒンジの回転中心23aまでの最小高さH1よりも短くなっている。これにより、
図8に示すように、ADF30の後側端部30bが、逃げ部25aの底面251bに当たってADF30の回動を阻害することなく、ADF30を90°開くことができる。
【0047】
また、第二カバー部材25の逃げ部25aの底面251bからヒンジの回転中心23aまでの最小長さH1を、ADF30の後側端部30bからヒンジ23の回転中心23aまでの最大長さD2よりも指の太さ以上、長くするのが好ましい。これにより、
図11の斜線γで示すように、ADF30を開いたときに、ADF30の後側端部30bと逃げ部25aの底面251bとの間に指が入り込む隙間ができる。これにより、ADF30の後側端部30bと逃げ部25aの底面251bとの間に、指が挟み込まれるのを防止できる。
【0048】
また、本実施形態では、
図5を用いて説明したように、逃げ部25aの装置の左右方向(X方向)の長さdaが、ADF30を開いたときに逃げ部25aに入り込むADF30の後側部分の左右方向長さdbよりも指の太さ以上長くなっている。従って、
図11の斜線βで示すように、ADF30を開いたときに、ADF30の側面の後側と逃げ部25aの側面251aとの間に指が入り込む隙間ができる。これにより、ADF30の側面の後側と逃げ部25aの側面251aとの間に、指が挟み込まれるのを防止できる。
【0049】
上述では、スキャナ部に開閉可能に取り付けられる開閉部としてADF30を用いた装置に本発明を適用した実施形態について説明した。しかし、開閉部として、コンタクトガラスにセットされた原稿をコンタクトガラスに押し付ける機能しか有さない押圧部材を用いた装置にも本発明を適用することができる。しかし、開閉部としてADF30を用いた場合の方が、開閉部の高さが高くなるため、開いたときのスキャナ部からの飛び出しが多くなる。そのため、開閉部としてADF30を用いた装置に本発明を適用することで、効果的に装置の後側端部と、その後側端部に対向する壁面との隙間を低減することができる。
【0050】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
スキャナ20などの原稿読取部と、原稿読取部の原稿がセットされるコンタクトガラスに重なる閉じた姿勢と、原稿読取部から立ち上がって開いた姿勢とを取り得るように原稿読取部の後側に設けられたヒンジ23に取り付けられたADF30などの開閉部とを備えた画像読取装置2において、原稿読取部の後側端部20aから後側端部よりも前方に位置するヒンジ23の回転中心23aまでの前後方向の距離を、開閉部がコンタクトガラスに重なる姿勢のときの開閉部の高さH2よりも長くした。
特許文献1に記載では、コンタクトガラスに重なる閉じた状態から90°回転させて開いた姿勢を取ったとき、開閉部のほぼ全体が原稿読取部の後側端部から飛び出してしまう。その結果、開閉部を開けられるようにするために、画像読取装置の後側端部と、この後側端部に対向する対向壁面との間に、少なくとも開閉部が閉じた状態の時の開閉部の高さ以上の隙間を設けて、画像読取装置を設置する必要があった。
これに対し、態様1では、原稿読取部の後側端部から該後側端部よりも前方に位置するヒンジの回転中心までの前後方向の距離を、開閉部がコンタクトガラスに重なる姿勢のときの開閉部の高さよりも長くした。これにより、原稿読取部から立ち上がって開いた姿勢を取ったときの開閉部の原稿読取部の後側端部からの飛び出しを抑制できる。その結果、従来に比べて、画像読取装置の後側端部と、対向壁面との隙間を狭くして画像読取装置を設置することができる。
【0051】
(態様2)
態様1において、ヒンジの回転中心23aが、コンタクトガラスの原稿接触面よりも下方に位置する。
これによれば、
図10を用いて説明したように、ADF30などの開閉部がスキャナ20などの原稿読取部から立ち上がった開いた姿勢を取ったときの高さを抑えることができる。これにより、開閉部を閉じるときに、身長の低いユーザーでも開閉部にアクセスすることが容易となり、開閉部の開閉の操作性を高めることができる。
【0052】
(態様3)
態様1または2において、スキャナ20などの原稿読取部の後側端部20aからヒンジの回転中心23aまでの前後方向の距離D1が、ヒンジの回転中心23aから、ADF30などの開閉部がコンタクトガラスに重なる姿勢のときの開閉部の上端までの距離H3よりも長い。
これによれば、
図8を用いて説明したように、ADF30などの開閉部を閉じた状態から90°開いても、開閉部がスキャナ20などの原稿読取部の後側端部20aよりも後側へ飛び出すことがない。これにより、装置の後側を壁面に接触させても、壁面にぶつかることなく開閉部を開くことができ、開閉部や壁面が傷つくのを抑制できる。
【0053】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、原稿読取部は、前記ヒンジ23よりも後側に底面251bがコンタクトガラスよりも下方に位置し、ADF30などの開閉部が立ち上がった姿勢を取ったときに、開閉部の後側を逃がす逃げ部25aを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、リフトアップヒンジを用いずに、ADF30などの開閉部を大きく開くことができる。リフトアップヒンジを用いた場合に比べて、開閉部を開いたときの開閉部の高さを抑えることができ、開閉部を閉じるときに、身長の低いユーザーでも開閉部にアクセスすることが容易となり、開閉部の開閉の操作性を高めることができる。
【0054】
(態様5)
態様4において、逃げ部25aの底面251bからヒンジ23の回転中心23aまでの最小高さH1が、ヒンジ23の回転中心23aからADF30などの開閉部の後側端部30bまでの最大長さD2よりも長い。
これによれば、
図8を用いて説明したように、ADF30などの開閉部の後側端部30bが逃げ部25aの底面251bにぶつかって回動を阻害されることなく、開閉部を90°開くことが可能となる。このように、開閉部を大きく開くことができるため、コンタクトガラスにセットした原稿を容易に取り出すことができる。
【0055】
(態様6)
態様5において、ADF30などの開閉部が立ち上がった姿勢を取ったとき、逃げ部25aの底面251bと開閉部の後側端部30bとの間に指が入り込む空間を有する。
これによれば、
図11を用いて説明したように、逃げ部25aの底面251bと開閉部の後側端部30bとの間に指が挟まれるのを防止できる。
【0056】
(態様7)
態様4乃至6いずれかにおいて、ADF30などの開閉部が立ち上がった姿勢を取ったときに、逃げ部25aの左右方向両端に設けられた側面251aと、開閉部との間に指が入り込む空間を有する。
これによれば、
図11を用いて説明したように、逃げ部25aの左右方向両端に設けられた側面251aと、開閉部との間に指が挟まれるのを防止できる。
【0057】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、スキャナ20などの原稿読取部は、ヒンジ23が差し込まれる袋形状のヒンジ取り付け部26を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、ヒンジ23をヒンジ取り付け部26に差し込むだけで、ヒンジ23をスキャナ部に取り付けることが可能となり、組み付け性を高めることができる。
【0058】
(態様9)
態様8において、ヒンジ23は、上下方向に所定範囲移動可能にヒンジ取り付け部26に取り付けられる。
これによれば、実施形態で説明したように、厚みの厚い本などの原稿をコンタクトガラスにセットしたときに、原稿の前側もADF30などの開閉部により良好に押さえることができる。
【0059】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、開閉部は、ADF30などの原稿を搬送する原稿搬送部である。
これによれば、実施形態で説明したように、ADF30などの原稿搬送部は、高さがあるため、開いたときに後側への飛び出し量が多くなる。従って、態様1の構成を採用することで、装置の後側端部とこの後側端部に対向する壁面との隙間を低減できる。
【0060】
(態様11)
画像読取装置2とシートに画像形成する画像形成部3と、を備えた画像形成装置100において、画像読取装置として態様1乃至10の画像読取装置を用いた。
これによれば、画像形成装置の後側端部とこの後側端部に対向する対向壁面の隙間を狭くして画像形成装置を設置することができる。
【符号の説明】
【0061】
2 :画像読取装置
3 :画像形成部
20 :スキャナ
20a :スキャナの後側端部
21 :第一コンタクトガラス
22 :第二コンタクトガラス
23 :ヒンジ
23a :回転中心
24 :第一カバー部材
25 :第二カバー部材
25a :逃げ部
26 :ヒンジ取り付け部
26a :長孔部
27 :段付きネジ
30 :ADF
30a :ADFの下面
30b :ADFの後側端部
31 :取っ手部
32 :原稿載置台
33 :搬送ユニット
34 :原稿スタック台
100 :画像形成装置
200 :従来の画像読取装置
231 :スキャナ取り付け部
232 :ADF取り付け部
251a :逃げ部の側面
251b :逃げ部の底面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】