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特開2023-70200プラズマ処理装置における載置台のクリーニング方法およびプラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070200
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置における載置台のクリーニング方法およびプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230511BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230511BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230511BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
H01L21/302 101B
H01L21/205
H01L21/31 C
H05H1/46 M
【審査請求】有
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021695
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2019216210の分割
【原出願日】2019-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 貴光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳一
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB07
2G084BB23
2G084BB27
2G084BB30
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD40
2G084DD55
2G084FF04
2G084FF07
2G084FF15
5F004AA06
5F004AA15
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB28
5F004BB29
5F004BC03
5F004BC06
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA17
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA26
5F004DA27
5F045AA08
5F045AC00
5F045AC11
5F045AC16
5F045AC17
5F045BB15
5F045EB03
5F045EB06
5F045EB09
5F045EE20
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH08
5F045EH14
5F045EH20
5F045EJ03
5F045EM02
5F045EM05
5F045EN04
(57)【要約】
【課題】載置台へのダメージを抑えつつ、載置台の外周部に堆積した堆積物を除去すること。
【解決手段】クリーニング方法は、プラズマ処理装置における載置台のクリーニング方法であり、離隔させる工程と、除去する工程とを有する。離隔させる工程は、載置台と基板とを昇降機構を用いて離隔させる。除去する工程は、離隔させる工程の後、高周波電源から載置台に高周波電力を供給することによってプラズマを生成して、載置台に堆積した堆積物を除去する。また、離隔させる工程において、載置台と基板との離隔距離は、載置台の外周部周辺において形成される合成インピーダンスが、載置台の中心部直上において形成される合成インピーダンスよりも低くなるように設定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置におけるクリーニング方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板を支持するリフタピンを備える基板昇降機構と、を備え、
前記クリーニング方法は、
(a)前記処理容器内で基板に対してプラズマ処理した後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器に堆積した堆積物を除去する工程と、
(b)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を第1の位置に位置させ、前記処理容器内に搬入されたダミー基板を前記第1の位置で受け取る工程と、
(c)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を前記基板載置台の上方であって前記第1の位置よりも低い第2の位置に位置させる工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記基板載置台の外周部に堆積した堆積物を除去する工程と、
を有する、クリーニング方法。
【請求項2】
前記工程(a)の後に前記工程(b)を行う、請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
前記工程(b)、前記工程(c)および前記工程(d)の後に前記工程(a)を行う、請求項1または2に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
(e)前記工程(b)の後、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する工程、を有し、
前記工程(c)は、前記工程(e)の後、前記リフタピンを上昇させて前記ダミー基板を前記第2の位置に位置させる、請求項1~3のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項5】
(f)前記工程(e)の後であって前記工程(c)の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする工程、を有する、請求項4に記載のクリーニング方法。
【請求項6】
(g)前記工程(d)の後、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする工程、を有する、請求項1~5のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項7】
前記工程(d)において、前記基板載置台の外周部周辺にリング状プラズマが生成される、請求項1~6のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項8】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、前記工程(d)において生成されるプラズマのシースの厚さよりも小さい、請求項1~7のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項9】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である、請求項1~8のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項10】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3.5mm以下である、請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項11】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3mm以下である、請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項12】
前記工程(d)において生成されるプラズマの密度は、前記ダミー基板の中心部よりも前記基板の外周部周辺の方が高い、請求項1~11のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項13】
前記プラズマ処理装置は、前記基板載置台の載置面の外周を囲むリング部材を備え、
前記工程(d)において生成されるプラズマの密度は、前記リング部材の外周部よりも前記リング部材の内周部の方が高い、請求項12に記載のクリーニング方法。
【請求項14】
前記工程(d)において、酸素含有ガスのプラズマを生成する、請求項1~13のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項15】
前記工程(d)において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給する、請求項1~14のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項16】
前記工程(d)において、前記基板載置台にバイアス電力を供給する、請求項1~15のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項17】
プラズマ処理装置におけるクリーニング方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板昇降機構と、を備え、
前記クリーニング方法は、
基板に対するプラズマ処理の後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第1工程と、
前記基板載置台に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第2工程と、
前記基板昇降機構により前記ダミー基板を前記基板載置台の上方に位置させ、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第3工程と、
を有する、クリーニング方法。
【請求項18】
前記第1工程、前記第2工程、および前記第3工程をこの順に行う、請求項17に記載のクリーニング方法。
【請求項19】
前記第2工程および前記第3工程の後に、前記第1工程を行う、請求項17または18に記載のクリーニング方法。
【請求項20】
前記第1工程、前記第2工程、および前記第3工程において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給する、請求項17~19のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項21】
前記第3工程において、前記基板載置台にバイアス電力を供給する、請求項17~20のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項22】
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板を支持するリフタピンを備える基板昇降機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記処理容器内で基板に対してプラズマ処理した後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器に堆積した堆積物を除去する処理と、
(b)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を第1の位置に位置させ、前記処理容器内に搬入された前記ダミー基板を前記第1の位置で受け取る処理と、
(c)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を前記基板載置台の上方であって前記第1の位置よりも低い第2の位置に位置させる処理と、
(d)前記処理(c)の後、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記基板載置台の外周部に堆積した堆積物を除去する処理と、
を実行するよう構成される、プラズマ処理装置。
【請求項23】
前記制御部は、
前記処理(a)の後に前記処理(b)を実行するよう構成される、請求項22に記載のプラズマ処理装置。
【請求項24】
前記制御部は、
前記処理(b)、前記処理(c)および前記処理(d)の後に前記処理(a)を実行するよう構成される、請求項22または23に記載のプラズマ処理装置。
【請求項25】
前記制御部は、
(e)前記処理(b)の後、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する処理、を実行するよう構成されるとともに、前記処理(e)の後、前記処理(c)において、前記リフタピンを上昇させて前記ダミー基板を前記第2の位置に位置させるよう構成される、請求項22~24のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項26】
前記制御部は、
(f)前記処理(e)の後であって前記処理(c)の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする処理、を実行するよう構成される、請求項25に記載のプラズマ処理装置。
【請求項27】
前記制御部は、
(g)前記処理(d)の後、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする処理、を実行するよう構成される、請求項22~26のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項28】
前記処理(d)において、前記基板載置台の外周部周辺にリング状プラズマが生成される、請求項22~27のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項29】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である、請求項22~28のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項30】
前記処理(d)において生成されるプラズマの密度は、前記ダミー基板の中心部よりも前記基板の外周部周辺の方が高い、請求項22~29のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項31】
前記基板載置台の載置面の外周を囲むリング部材を備え、
前記処理(d)において生成されるプラズマの密度は、前記リング部材の外周部よりも前記リング部材の内周部の方が高い、請求項30に記載のプラズマ処理装置。
【請求項32】
前記制御部は、
前記処理(d)において、酸素含有ガスのプラズマを生成するよう構成される、請求項22~31のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項33】
前記制御部は、
前記処理(d)において、前記基板載置台にバイアス電力を供給するよう構成される、請求項22~32のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項34】
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板昇降機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
基板に対するプラズマ処理の後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第1処理と、
前記基板載置台に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第2処理と、
前記基板昇降機構によりダミー基板を前記基板載置台の上方に位置させ、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第3処理と、
を実行するよう構成される、プラズマ処理装置。
【請求項35】
前記制御部は、
前記第1処理、前記第2処理、および前記第3処理をこの順で実行するよう構成される、請求項34に記載のプラズマ処理装置。
【請求項36】
前記制御部は、
前記第2処理および前記第3処理の後に、前記第1処理を実行するよう構成される、請求項34または35に記載のプラズマ処理装置。
【請求項37】
前記制御部は、
前記第1処理、前記第2処理、および前記第3処理において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給するよう構成される、請求項34~36のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項38】
前記制御部は、
前記第3処理において、前記基板載置台にバイアス電力を供給するよう構成される、請求項34~37のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、プラズマ処理装置における載置台のクリーニング方法およびプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマ処理装置において、半導体ウエハ等の基板を載置する載置台に堆積した堆積物をプラズマを用いて除去する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-054825号公報
【特許文献2】特開平7-78802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、載置台へのダメージを抑えつつ、載置台の外周部に堆積した堆積物を除去することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるクリーニング方法は、基板が載置される載置台と、載置台に対して基板を昇降させる昇降機構と、載置台に接続された高周波電源とを備えるプラズマ処理装置における載置台のクリーニング方法である。本開示の一態様によるクリーニング方法は、離隔させる工程と、除去する工程とを有する。離隔させる工程は、載置台と基板とを昇降機構を用いて離隔させる。除去する工程は、離隔させる工程の後、高周波電源から載置台に高周波電力を供給することによってプラズマを生成して、載置台に堆積した堆積物を除去する。また、離隔させる工程において、載置台と基板との離隔距離は、載置台の外周部周辺において形成される合成インピーダンスが、載置台の中心部直上において形成される合成インピーダンスよりも低くなるように設定される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、載置台へのダメージを抑えつつ、載置台の外周部に堆積した堆積物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の構成を示す概略断面図である。
図2図2は、クリーニング処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、ウエハを載置台に載置した状態で高周波電力を供給した場合に生成されるプラズマの分布の一例を示す図である。
図4図4は、ウエハを載置台から離隔させた状態で高周波電力を供給した場合に生成されるプラズマの分布の一例を示す図である。
図5図5は、ウエハおよび載置面の離隔距離と、ウエハ上面の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
図6図6は、ウエハおよび載置面の離隔距離と、ウエハ下面の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
図7図7は、ウエハおよび載置面の離隔距離と、フォーカスリングの各位置におけるレジスト膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示するプラズマ処理装置における載置台のクリーニング方法およびプラズマ処理装置の実施形態について説明する。なお、本実施形態により、本開示が限定されるものではない。各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0009】
従来、半導体ウエハ等の基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置が知られている。このようなプラズマ処理装置は、例えば、真空空間を構成可能な処理容器内に、基板を載置するための載置台を有する。載置台の内部には、リフターピンが収容されており、プラズマ処理装置は、かかるリフターピンを用いて基板の受け渡しを行う。
【0010】
プラズマ処理装置では、プラズマ処理を行うことにより、載置台の載置面に例えばCF系のポリマー等の反応生成物からなる堆積物が堆積する。載置面に堆積物が堆積することで、基板の吸着不良等の異常が生じるおそれがある。このため、プラズマ処理装置では、載置面に堆積した堆積物をプラズマ処理によって除去するドライクリーニングが行われる。
【0011】
ここで、たとえば載置面の径がウエハの径よりも小さい場合、プラズマ処理に用いられる処理ガスの反応生成物が載置台の外周部とウエハの裏面との間に入り込むことによって、載置台の外周部に堆積物が局所的に堆積することがある。また、載置台の外周部周辺にはフォーカスリング等の構造物が配置される。このため、載置台の外周部は中心部と比べてプラズマに触れにくい。したがって、ドライクリーニング後の載置台の外周部には堆積物が残存し易い。
【0012】
このように、載置台の外周部は、載置台の中心部と比較して堆積物が堆積しやすい傾向にある。
【0013】
載置台の外周部に堆積した堆積物を除去するために、たとえば、ドライクリーニングの時間を長くすることが考えられる。しかしながら、ドライクリーニングの時間を長くすると、載置台に与えるダメージが大きくなり、載置台の寿命を短くするおそれがある。
【0014】
そこで、載置台へのダメージを抑えつつ、載置台に堆積した堆積物を除去することが期待されている。
【0015】
[プラズマ処理装置の構成]
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置10の構成を示す概略断面図である。プラズマ処理装置10は、気密に構成され、電気的に接地電位とされた処理容器1を有している。この処理容器1は、円筒状とされ、例えばアルミニウム等から構成されている。処理容器1は、プラズマが生成される処理空間を画成する。処理容器1内には、基板(work-piece)である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wを水平に支持する載置台2が設けられている。載置台2は、基材(ベース)2a及び静電チャック(ESC:Electrostatic chuck)6を含んで構成されている。基材2aは、導電性の金属、例えばアルミニウム等で構成されており、下部電極としての機能を有する。静電チャック6は、ウエハWを静電吸着するための機能を有する。静電チャック6は、基材2aの上面に配置される。載置台2は、支持台4に支持されている。支持台4は、例えば石英等からなる支持部材3に支持されている。
【0016】
載置台2の上方の外周には、例えば単結晶シリコンで形成されたフォーカスリング5が設けられている。具体的には、フォーカスリング5は、環状に形成されており、載置台2における載置面(静電チャック6の上面)の外周を囲むように基材2aの上面に配置される。さらに、処理容器1内には、載置台2及び支持台4の周囲を囲むように、例えば石英等からなる円筒状の内壁部材3aが設けられている。
【0017】
基材2aには、第1の整合器11aを介して第1のRF電源10aが接続され、また、第2の整合器11bを介して第2のRF電源10bが接続されている。第1のRF電源10aは、プラズマ発生用のものであり、この第1のRF電源10aからは所定の周波数の高周波電力が載置台2の基材2aに供給されるように構成されている。また、第2のRF電源10bは、イオン引き込み用(バイアス用)のものであり、この第2のRF電源10bからは第1のRF電源10aより低い所定周波数の高周波電力が載置台2の基材2aに供給されるように構成されている。このように、載置台2は電圧印加可能に構成されている。一方、載置台2の上方には、載置台2と平行に対向するように、上部電極としての機能を有するシャワーヘッド16が設けられている。シャワーヘッド16と載置台2は、一対の電極(上部電極と下部電極)として機能する。
【0018】
静電チャック6は、上面が平坦な円盤状に形成され、当該上面がウエハWの載置される載置面6eとされている。静電チャック6は、該絶縁体6bの間に電極6aを介在させて構成されており、電極6aには直流電源12が接続されている。そして電極6aに直流電源12から直流電圧が印加されることにより、クーロン力によってウエハWが吸着されるよう構成されている。
【0019】
なお、本実施形態では、一例として、載置面6eの径は、ウエハWの径よりも僅かに小さいものとする。
【0020】
載置台2の内部には、温調媒体流路2dが形成されており、温調媒体流路2dには、入口配管2b、出口配管2cが接続されている。そして、温調媒体流路2dの中に適宜の温調媒体、例えば冷却水等を循環させることによって、載置台2を所定の温度に制御可能に構成されている。また、載置台2等を貫通するように、ウエハWの裏面にヘリウムガス等の冷熱伝達用ガス(バックサイドガス)を供給するためのガス供給管30が設けられており、ガス供給管30は、図示しないガス供給源に接続されている。これらの構成によって、載置台2の上面に静電チャック6によって吸着保持されたウエハWを、所定の温度に制御する。
【0021】
載置台2には、複数、例えば3つのピン用貫通孔200が設けられており(図1には1つのみ示す。)、これらのピン用貫通孔200の内部には、夫々リフターピン61が配設されている。リフターピン61は、昇降機構62に接続されている。昇降機構62は、リフターピン61を昇降させて、載置台2の載置面6eに対してリフターピン61を出没自在に動作させる。リフターピン61を上昇させた状態では、リフターピン61の先端が載置台2の載置面6eから突出し、載置台2の載置面6eの上方にウエハWを保持した状態となる。一方、リフターピン61を下降させた状態では、リフターピン61の先端がピン用貫通孔200内に収容され、ウエハWが載置台2の載置面6eに載置される。このように、昇降機構62は、リフターピン61により載置台2の載置面6eに対してウエハWを昇降させる。また、昇降機構62は、リフターピン61を上昇させた状態では、リフターピン61により載置台2の載置面6eの上方にウエハWを保持する。
【0022】
上記したシャワーヘッド16は、処理容器1の天壁部分に設けられている。シャワーヘッド16は、本体部16aと電極板をなす上部天板16bとを備えており、絶縁性部材95を介して処理容器1の上部に支持される。本体部16aは、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなり、その下部に上部天板16bを着脱自在に支持できるように構成されている。
【0023】
本体部16aは、内部にガス拡散室16cが設けられている。また、本体部16aは、ガス拡散室16cの下部に位置するように、底部に、多数のガス通流孔16dが形成されている。また、上部天板16bは、当該上部天板16bを厚さ方向に貫通するようにガス導入孔16eが、上記したガス通流孔16dと重なるように設けられている。このような構成により、ガス拡散室16cに供給された処理ガスは、ガス通流孔16d及びガス導入孔16eを介して処理容器1内にシャワー状に分散されて供給される。
【0024】
本体部16aには、ガス拡散室16cへ処理ガスを導入するためのガス導入口16gが形成されている。ガス導入口16gには、ガス供給配管15aの一端が接続されている。このガス供給配管15aの他端には、処理ガスを供給するガス供給源(ガス供給部)15が接続される。ガス供給配管15aには、上流側から順にマスフローコントローラ(MFC)15b、及び開閉弁V2が設けられている。ガス拡散室16cには、ガス供給配管15aを介して、ガス供給源15からプラズマエッチングのための処理ガスが供給される。処理容器1内には、ガス拡散室16cからガス通流孔16d及びガス導入孔16eを介して、シャワー状に分散されて処理ガスが供給される。
【0025】
上記した上部電極としてのシャワーヘッド16には、ローパスフィルタ(LPF)71を介して可変直流電源72が電気的に接続されている。この可変直流電源72は、オン・オフスイッチ73により給電のオン・オフが可能に構成されている。可変直流電源72の電流・電圧ならびにオン・オフスイッチ73のオン・オフは、後述する制御部100によって制御される。なお、後述のように、第1のRF電源10a、第2のRF電源10bから高周波が載置台2に印加されて処理空間にプラズマが発生する際には、必要に応じて制御部100によりオン・オフスイッチ73がオンされる。これにより、上部電極としてのシャワーヘッド16に所定の直流電圧が印加される。
【0026】
処理容器1の側壁からシャワーヘッド16の高さ位置よりも上方に延びるように円筒状の接地導体1aが設けられている。この円筒状の接地導体1aは、その上部に天壁を有している。
【0027】
処理容器1の底部には、排気口81が形成されている。排気口81には、排気管82を介して第1排気装置83が接続されている。第1排気装置83は、真空ポンプを有しており、この真空ポンプを作動させることにより処理容器1内を所定の真空度まで減圧することができるように構成されている。一方、処理容器1内の側壁には、ウエハWの搬入出口84が設けられており、この搬入出口84には、当該搬入出口84を開閉するゲートバルブ85が設けられている。
【0028】
処理容器1の側部内側には、内壁面に沿ってデポシールド86が設けられている。デポシールド86は、処理容器1にエッチング副生成物(デポ)が付着することを防止する。このデポシールド86のウエハWと略同じ高さ位置には、グランドに対する電位が制御可能に接続された導電性部材(GNDブロック)89が設けられており、これにより異常放電が防止される。また、デポシールド86の下端部には、内壁部材3aに沿って延在するデポシールド87が設けられている。デポシールド86,87は、着脱自在とされている。
【0029】
上記構成のプラズマ処理装置10は、制御部100によって、その動作が統括的に制御される。制御部100には、CPUを備えプラズマ処理装置10の各部を制御するプロセスコントローラ101と、ユーザインターフェース102と、記憶部103とが設けられている。
【0030】
ユーザインターフェース102は、工程管理者がプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、プラズマ処理装置10の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成されている。
【0031】
記憶部103には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ101の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記憶されたレシピが格納されている。そして、必要に応じて、ユーザインターフェース102からの指示等にて任意のレシピを記憶部103から呼び出してプロセスコントローラ101に実行させることで、プロセスコントローラ101の制御下で、プラズマ処理装置10での所望の処理が行われる。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読取り可能なコンピュータ記憶媒体(例えば、ハードディスク、CD、フレキシブルディスク、半導体メモリ等)などに格納された状態のものを利用することも可能である。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで使用することも可能である。
【0032】
[クリーニング処理]
次に、実施形態に係るプラズマ処理装置10が実行するクリーニング処理の内容について図2を参照して説明する。図2は、クリーニング処理の一例を示すフローチャートである。図2に例示されるクリーニング処理は、主に制御部100の制御に従ってプラズマ処理装置10が動作することにより実現される。
【0033】
クリーニング処理に使用されるウエハWは、製品ウエハであってもよいし、ダミーウエハであってもよい。
【0034】
まず、ウエハWが処理容器1内に搬入される(S100)。ステップS100では、ゲートバルブ85が開けられ、図示しない搬送アームによってウエハWが処理容器1内に搬入され、載置台2の載置面6eに載置される。具体的には、ステップS100では、リフターピン61が上昇した状態となっており、ウエハWは、搬送アームからリフターピン61に渡される。その後、リフターピン61が下降することにより、ウエハWは、リフターピン61から載置面6eへ渡される。その後、ゲートバルブ85が閉じられる。
【0035】
次に、リフターピン61を上昇させる(ピンアップさせる)ことにより、ウエハWを載置面6eから離隔させる(S101)。ウエハWと載置面6eとの離隔距離の情報は、たとえば記憶部103に予め記憶されており、制御部100は、記憶部103に記憶された情報に従ってリフターピン61を上昇させる。
【0036】
ここでは、ステップS101においてウエハWを載置面6eに一旦載置した後、ステップS101においてウエハWを設定された離隔距離まで上昇させる場合の例を示した。本例に限らず、たとえば、ステップS101においてリフターピン61を用いてウエハWを受け取った後、リフターピン61を下降させることにより、ウエハWと載置面6eとの離隔距離が予め設定された距離となる高さ位置にウエハWを配置させてもよい。ステップS101におけるウエハWと載置面6eとの離隔距離は、少なくとも、ステップS100においてリフターピン61がウエハWを受け取る高さ位置における載置面6eとの距離よりも小さい。
【0037】
次に、第1排気装置83によって処理容器1内が所定の真空度まで減圧された後、ガス供給源15からガス供給配管15aを介して処理容器1内に反応ガスが供給される(S102)。本実施形態において、クリーニングの対象である堆積物がCF系のポリマーである場合、ガス供給源15から供給される反応ガスは、Oガスである。また、反応ガスは、Oガスに限らず、COガス、COガス、Oガス等の他の酸素含有ガスであってよい。また、堆積物がCF系のポリマー以外にシリコンや金属が含まれている場合、反応ガスOガスには、たとえばハロゲン含有ガスが添加されてもよい。ハロゲン含有ガスは、たとえば、CFガス、NFガス等のフッ素系のガスである。また、ハロゲン含有ガスは、Clガス等の塩素系ガス、HBrガス等の臭素系ガスであってもよい。このように、クリーニング処理では、反応ガスとして、酸素含有ガスが用いられる。
【0038】
次に、下部電極である載置台2に高周波電力が供給される(S103)。ステップS103では、制御部100が、第1のRF電源10aおよび第2のRF電源10bを制御して高周波電力を発生させることにより、高周波電力を載置台2の基材2aに供給する。また、制御部100は、オン・オフスイッチ73をオンすることにより、可変直流電源72から供給される直流電力をシャワーヘッド16に印加する。これにより、処理容器1内に酸素含有ガスのプラズマが生成される。なお、第1のRF電源10aおよび第2のRF電源10bが発生させる高周波電力の周波数は、特に限定されない。また、ここでは、プラズマ処理装置10が第1のRF電源10aおよび第2のRF電源10bを備える場合の例を示したが、プラズマ処理装置10は、必ずしも第2のRF電源10bを備えることを要しない。
【0039】
次に、制御部100は、ステップS103において高周波電力の供給を開始してから予め設定された処理時間が経過したか否かを判定する(S104)。設定された処理時間が経過していない場合(S104:No)、再びステップS104の処理が実行される。
【0040】
一方、設定された処理時間が経過した場合(S104:Yes)、載置台2に対する高周波電力の供給が停止される(S105)。また、処理容器1内への反応ガスの供給が停止される(S106)。
【0041】
そして、処理容器1内の反応ガスが排気された後、ゲートバルブ85が開かれ、図示しない搬送アームによりウエハWが処理容器1から搬出される(S107)。具体的には、制御部100が、リフターピン61を上昇させてウエハWを受渡位置に配置させて、リフターピン61に支持されたウエハWを搬送アームに渡す。これにて、本フローチャートに示されたクリーニング方法が終了する。
【0042】
[クリーニング処理において生成されるプラズマについて]
図3は、ウエハWを載置台2に載置した状態で高周波電力を供給した場合に生成されるプラズマの分布の一例を示す図である。また、図4は、ウエハWを載置台2から離隔させた状態で高周波電力を供給した場合に生成されるプラズマの分布の一例を示す図である。
【0043】
図3に示すように、ウエハWを載置台2に載置した状態で第1のRF電源10aから載置台2に高周波電力を供給した場合、プラズマPは、ウエハWおよびシャワーヘッド16間の減圧空間において、ウエハWの面内方向に均等に分布する。
【0044】
これに対し、本願発明者は、ウエハWと載置面6eとを離隔させ、且つ、この離隔距離を適切に設定することで、図4に示すように、プラズマPを載置台2の外周部周辺に偏在化させることができることを見出した。
【0045】
このメカニズムは、たとえば以下のように説明され得る。すなわち、ウエハWと載置面6eとを離隔させた場合、ウエハWおよび載置面6e間にも減圧空間が形成される。この減圧空間は、第1のRF電源10aから載置台2を介してシャワーヘッド16に接続されたグランドに至る高周波電力の経路上に設けられたキャパシタとみなすことができる。このキャパシタは、第1のRF電源10aからグランドに至る高周波電力の経路上の合成インピーダンスの一部となる。
【0046】
ここで、載置台2からシャワーヘッド16へ至る高周波電力の経路を載置台2の中心部の直上と載置台2の外周部の上方とで分割された経路(以下、「中心部の経路」、「外周部の経路」と記載する)として考える。図3に示すように、ウエハWを載置台2に載置した状態において、載置面6eにおける単位面積当たりの合成インピーダンスは、中心部の経路と外周部の経路とでほぼ同じである。これに対し、図4に示すように、ウエハWと載置面6eとを離隔させると、外周部の経路は、ウエハWを介する経路と、ウエハWより外側でウエハWを介さない経路との並列的な経路となる。ウエハWを介する経路とは、ウエハWおよび載置面6e間の減圧空間に形成されるキャパシタを介する経路のことであり、ウエハWを介さない経路とは、上記キャパシタを介さない経路のことである。
【0047】
そのため、載置面6eの外周部周辺において2つの並列した高周波電力の経路によって形成される単位面積当たりの合成インピーダンスは、載置面6eの中心部直上において形成される単位面積当たりの合成インピーダンスよりも低くなる。
【0048】
高周波電力は、合成インピーダンスが相対的に低い載置面6eの外周部周辺を集中的に流れるようになる。この結果、載置面6eの外周部周辺におけるプラズマPの密度が、載置面6eの中心部におけるプラズマPの密度と比べて高くなり、載置面6eの外周部周辺にリング状のプラズマPが形成される。
【0049】
実施形態に係るクリーニング処理では、載置台2の外周部周辺に偏在化したプラズマPを用いることで、載置台2の外周部に堆積した堆積物を効率よく除去することができる。すなわち、実施形態に係るクリーニング処理によれば、載置台2の外周部周辺にプラズマPが集中することで、載置台2の外周部に堆積した堆積物の除去力を高めることができる。したがって、載置台2の外周部に堆積した堆積物を短時間で確実に除去することができる。また、外周部以外の部分においては、プラズマPの密度が相対的に低下するため、載置台2の外周部以外の部分がプラズマPによってダメージを受けることを抑制することができる。
【0050】
このように、実施形態に係るクリーニング処理によれば、載置台2へのダメージを抑えつつ、載置台2の外周部に堆積した堆積物を除去することができる。
【0051】
また、実施形態に係るクリーニング処理によれば、載置台の外周部に局所的なプラズマを発生させるような特殊な構造の電極を用意することなく、載置台2の外周部に堆積した堆積物を効率よく除去することができる。
【0052】
なお、載置台2の外周部に堆積した堆積物のうち、CF系ポリマーの堆積物は、Oガス等の酸素含有ガスのプラズマによって除去することができる。また、Si系、もしくは金属系の堆積物は、CFガス、NFガス、Clガス、HBrガス等のハロゲン含有ガスのプラズマによって除去することができる。また、CF系ポリマーと、Si系、金属系の少なくとも一方の混合堆積物は、酸素含有ガスとハロゲン含有ガスの混合ガスのプラズマによって除去することができる。また、CF系ポリマーの堆積物は、Hガスなど水素含有ガスやNなどの窒素含有ガスでも除去することができる。また、アルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスが添加されてもよい。
【0053】
本願発明者は、CF系ポリマーの堆積物の代用としてCF系ポリマーの堆積物と同様に有機膜であるレジスト膜が塗布されたウエハWをOガスのプラズマによって処理した時のウエハW上面の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートを調べる実験を行った。この実験結果を図5に示す。図5は、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離と、ウエハW上面の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【0054】
また、本願発明者は、ウエハWのレジスト膜が塗布された面を載置面6eに向けた状態で、上記と同様の実験を行った。すなわち、このウエハWをOガスのプラズマによって処理した時のウエハW下面(レジスト膜が塗布された面)の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートを調べる実験を行った。この実験結果を図6に示す。図6は、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離と、ウエハW下面の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【0055】
図5および図6に示した実験結果の処理条件は、以下の通りである。
処理容器1内の圧力:100~800mT
高周波電力:~1000W
ガス種および流量:Oガス
ウエハWの直径:300mm
処理時間:30sec
【0056】
また、図5および図6中の凡例は、エッチングレートの測定位置をウエハWの中心からの距離で示している。たとえば、ウエハWの中心は0mmである。
【0057】
図5に示すように、離隔距離が2.3mmより小さい場合、ウエハWの中心部である0mm(図中、四角のプロットで表示)および中心部に比較的近い100mm(図中、丸のプロットで表示)におけるエッチングレートが上昇する。この結果から、離隔距離が2.3mmより小さいと、プラズマがウエハW上面の中心部付近に拡がってしまうことがわかる。
【0058】
また、図6に示すように、離隔距離が2.3mmより小さい場合、ウエハWの外周部である148mm(図中、菱形のプロットで表示)および外周部に比較的近い145mm(図中、逆三角のプロットで表示)はほとんどエッチングされない。載置台2の載置面6eはウエハWの径とほぼ同一(僅かに小さい)である。したがって、この結果から、離隔距離が2.3mmより小さい場合、ウエハWおよび載置面6e間にはほとんどプラズマが発生しないことが分かる。
【0059】
一方で、図6に示すように、離隔距離が5mmより大きい場合、ウエハW中心部付近である0mmおよび100mmにおけるエッチングレートが上昇する。この結果から、離隔距離を5mmより大きくすると、ウエハW下面の中心部付近、換言すれば、載置面6eの中心部付近にプラズマが拡がってしまうことがわかる。
【0060】
以上の結果から、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離は、2.3mm以上5mm以下であることが好ましい。かかる範囲に離隔距離を設定することで、載置台2の外周部周辺にプラズマを適切に偏在化させることができる。すなわち、載置台2の中心部をプラズマから保護しつつ、載置台2の外周部周辺にリング状のプラズマを生成することができる。
【0061】
また、図6に示すように、ウエハWの外周部付近である148mmおよび145mmのエッチングレートは、離隔距離が3mmである場合に最大となる。この結果から、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離は、好ましくは2.3mm以上3.5mm以下、より好ましくは2.3mm以上3mm以下である。かかる範囲に離隔距離を設定することで、載置台2の外周部に堆積した堆積物を短時間で確実に除去することができる。
【0062】
以上のように、本実施形態において設定されるウエハWおよび載置面6eの離隔距離は小さい。少なくとも、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離は、クリーニング処理において、ウエハWおよびシャワーヘッド16間に生成されるプラズマのシースの厚さよりも小さい。
【0063】
本願発明者は、ウエハWよりも外方におけるプラズマの状態を調べるために、レジスト膜が塗布されたチップ状のウエハWをフォーカスリング5上に張り付け、このチップ状のウエハW上面の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートを調べる実験を行った。この実験結果を図7に示す。図7は、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離と、フォーカスリング5の各位置におけるレジスト膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。図7に示す実験結果の処理条件は、図5および図6に示す実験結果と同様である。
【0064】
図7に示すグラフ中、横軸はフォーカスリング位置を示す。フォーカスリング位置は、フォーカスリング5上のエッチングレートの測定位置のことであり、フォーカスリング5上面の内縁からの距離で示される。たとえば、載置台2の載置面6eに最も近いフォーカスリング5上面の内縁は0mmである。また、図7に示すグラフ中、横軸は載置面6eからの距離を示し、図7では、15mmまでをプロットする。
【0065】
また、図7に示すグラフ中、縦軸はフォーカスリング5上のレジスト膜のエッチングレートを示している。具体的には、フォーカスリング5の上面に載置した所定の材料のエッチングレートを、フォーカスリングのエッチングレートとして示している。
【0066】
図7に示すように、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離が2.3未満以下である0mm(図中、三角のプロットで表示)および1mm(図中、四角のプロットで表示)の場合、フォーカスリング5上のレジスト膜のエッチングレートは低い。これに対し、離隔距離が2.3mm以上である2.5mm(図中、丸のプロットで表示)の場合、フォーカスリング5上のレジスト膜のエッチングレートは、0mm、1mmと比較して上昇し、また、載置台2に近い内周部において高い値を示した。
【0067】
この結果から、ウエハWおよび載置面6eの離隔距離を2.3mm以上とすることで、載置面6eの外周部周辺、具体的には、載置面6eの外周部およびフォーカスリング5の上面内周部を含む領域にプラズマ密度が高いプラズマが生成されることがわかる。
【0068】
また、離隔距離を2.5mmとした場合のフォーカスリング5上のレジスト膜のエッチングレートは、載置台2に近いフォーカスリング5の内周部において最も高く、載置台2から遠ざかるほど低くなる。
【0069】
この結果から、クリーニング処理において生成されるプラズマの密度は、フォーカスリング5の外周部よりも内周部の方が高いことがわかる。すなわち、離隔距離を2.3mm以上とすることで、載置面6eの外周部周辺、具体的には、載置面6eの外周部およびフォーカスリング5の上面内周部を含み、フォーカスリング5の上面外周部を含まない局所的な領域にプラズマを生成することができる。
【0070】
[変形例]
上述したクリーニング処理において、プラズマ処理装置10は、処理容器1の内壁を含む載置台2以外の構造物のクリーニングを行ってもよい。
【0071】
たとえば、プラズマ処理装置10は、ウエハWを載置面6eに載置させた状態で、処理容器1内にプラズマを発生させることにより、発生したプラズマを用いて処理容器1の内壁等に堆積した堆積物を除去する処理を行ってもよい。
【0072】
この処理は、たとえば、ステップS100において処理容器1内にウエハWを搬入して載置面6eに載置した後、ステップS101においてリフターピン61を上昇させる前に行われてもよい。この場合、ステップS101においてリフターピン61を上昇させる前に、高周波電力および反応ガスの供給を停止してプラズマを消滅させておくことが好ましい。プラズマが発生した状態でリフターピン61を上昇させると、載置台2の外周部周辺にリング状のプラズマが適切に形成されないおそれがあるためである。
【0073】
また、この処理は、たとえば、ステップS104において設定された処理時間が経過した後に行われてもよい。この場合、ステップS104において設定された処理時間が経過した後に、リフターピン61を下降させてウエハWを載置面6eに載置させ、この状態でプラズマ処理を継続すればよい。
【0074】
このように、ウエハWを載置台2に載置した状態でクリーニング処理を行うことで、載置面6eをウエハWで保護しつつ、処理容器1の内壁等に堆積した堆積物を除去することができる。
【0075】
また、プラズマ処理装置10は、処理容器1内にウエハWが収容されていない状態で、処理容器1内にプラズマを発生させることにより、発生したプラズマ用いて処理容器1に堆積した堆積物を除去する処理を行ってもよい。
【0076】
この処理は、たとえば、ステップS100においてウエハWが処理容器1に搬入される前に行われてもよい。この場合も、ステップS100においてウエハWを処理容器1に搬入する前に、高周波電力および反応ガスの供給を停止してプラズマを消滅させておくことが好ましい。また、この処理は、ステップS107においてウエハWが処理容器1から搬出された後に行われてもよい。
【0077】
このように、処理容器1内にウエハWが収容されていない状態でクリーニング処理を行うことで、載置面6eの外周部に堆積した堆積物を重点的に除去しつつ、載置面6eの外周部以外の場所に堆積した堆積物も除去することができる。すなわち、載置面6eの全面をクリーニングすることができる。
【0078】
以上のように、本実施形態に係るクリーニング方法は、基板(一例として、ウエハW)が載置される載置台(一例として、載置台2)と、載置台に対して基板を昇降させる昇降機構(一例として、昇降機構62)と、載置台に接続された高周波電源(一例として、第1のRF電源10a)とを備えるプラズマ処理装置(一例として、プラズマ処理装置10)における載置台のクリーニング方法である。本実施形態に係るクリーニング方法は、離隔させる工程と、除去する工程とを有する。離隔させる工程は、載置台と基板とを昇降機構を用いて離隔させる。除去する工程は、離隔させる工程の後、高周波電源から載置台に高周波電力を供給することによってプラズマを生成して、載置台に堆積した堆積物を除去する。また、離隔させる工程において、載置台と基板との離隔距離は、載置台の外周部周辺において形成される合成インピーダンスが、載置台の中心部直上において形成される合成インピーダンスよりも低くなるように設定される。
【0079】
本実施形態に係るクリーニング方法によれば、載置台の外周部周辺にプラズマを偏在化させることができるため、載置台へのダメージを抑えつつ、載置台の外周部に堆積した堆積物を除去することができる。
【0080】
載置台と基板との離隔距離は、除去する工程において生成されるプラズマ(一例として、ウエハWおよびシャワーヘッド16間に生成されるプラズマ)のシースの厚さよりも小さい。すなわち、本実施形態に係るクリーニング方法において、載置台と基板との離隔距離は僅かである。
【0081】
具体的には、載置台と基板との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である。かかる範囲に離隔距離を設定することで、載置台の外周部周辺にプラズマを適切に偏在化させることができる。すなわち、載置台の中心部をプラズマから保護しつつ、載置台の外周部周辺にリング状のプラズマを生成することができる。
【0082】
また、載置台と基板との離隔距離は、好ましくは2.3mm以上3.5mm以下であり、より好ましくは2.3mm以上3mm以下である。かかる範囲に離隔距離を設定することで、載置台2の外周部に堆積した堆積物を短時間で確実に除去することができる。
【0083】
除去する工程において生成されるプラズマの密度は、基板の中心部よりも基板の外周部周辺の方が高い。したがって、載置台へのダメージを抑えつつ、載置台の外周部に堆積した堆積物を除去することができる。
【0084】
プラズマ処理装置は、載置台における載置面の外周を囲むリング部材(一例として、フォーカスリング5)を備える。また、除去する工程において生成されるプラズマの密度は、リング部材の外周部よりもリング部材の内周部の方が高い。すなわち、本実施形態に係るクリーニング方法によれば、載置台の外周部周辺、具体的には、載置台の外周部およびリング部材の内周部を含み、且つ、リング部材の外周部を含まない局所的な領域にリング状のプラズマを形成することができる。
【0085】
除去する工程は、酸素含有ガス(一例として、OガスまたはOガスにハロゲンガスが添加された反応ガス)のプラズマを生成する。これにより、載置台の外周部に堆積した炭素系の堆積物を好適に除去することができる。
【0086】
プラズマ処理装置は、載置台を収容する処理容器(一例として、処理容器1)を備える。また、実施形態に係るクリーニング方法は、離隔させる工程の前(一例として、ステップS101の前)または除去する工程の後(一例として、ステップS104の後)において、基板を載置台に載置させた状態で、プラズマを用いて処理容器に堆積した堆積物を除去する工程を有する。これにより、載置台を基板で保護しつつ、処理容器の内壁等に付着した付着物を除去することができる。
【0087】
プラズマ処理装置は、載置台を収容する処理容器(一例として、処理容器1)を備える。また、実施形態に係るクリーニング方法は、離隔させる工程の前(一例として、ステップS100の前)または除去する工程の後(一例として、ステップS107の後)において、処理容器内に基板が収容されていない状態で、プラズマを用いて処理容器に堆積した堆積物を除去する工程を有する。これにより、載置台の載置面全体をクリーニングすることができる。
【0088】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0089】
また、上記の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0090】
(付記1)
プラズマ処理装置におけるクリーニング方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板を支持するリフタピンを備える基板昇降機構と、を備え、
前記クリーニング方法は、
(a)前記処理容器内で基板に対してプラズマ処理した後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器に堆積した堆積物を除去する工程と、
(b)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を第1の位置に位置させ、前記処理容器内に搬入されたダミー基板を前記第1の位置で受け取る工程と、
(c)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を前記基板載置台の上方であって前記第1の位置よりも低い第2の位置に位置させる工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記基板載置台の外周部に堆積した堆積物を除去する工程と、
を有する、クリーニング方法。
(付記2)
前記工程(a)の後に前記工程(b)を行う、付記1に記載のクリーニング方法。
(付記3)
前記工程(b)、前記工程(c)および前記工程(d)の後に前記工程(a)を行う、付記1または2に記載のクリーニング方法。
(付記4)
(e)前記工程(b)の後、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する工程、を有し、
前記工程(c)は、前記工程(e)の後、前記リフタピンを上昇させて前記ダミー基板を前記第2の位置に位置させる、付記1~3のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記5)
(f)前記工程(e)の後であって前記工程(c)の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする工程、を有する、付記4に記載のクリーニング方法。
(付記6)
(g)前記工程(d)の後、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする工程、を有する、付記1~5のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記7)
前記工程(d)において、前記基板載置台の外周部周辺にリング状プラズマが生成される、付記1~6のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記8)
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、前記工程(d)において生成されるプラズマのシースの厚さよりも小さい、付記1~7のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記9)
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である、付記1~8のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記10)
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3.5mm以下である、付記9に記載のクリーニング方法。
(付記11)
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3mm以下である、付記9に記載のクリーニング方法。
(付記12)
前記工程(d)において生成されるプラズマの密度は、前記ダミー基板の中心部よりも前記基板の外周部周辺の方が高い、付記1~11のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記13)
前記プラズマ処理装置は、前記基板載置台の載置面の外周を囲むリング部材を備え、
前記工程(d)において生成されるプラズマの密度は、前記リング部材の外周部よりも前記リング部材の内周部の方が高い、付記12に記載のクリーニング方法。
(付記14)
前記工程(d)において、酸素含有ガスのプラズマを生成する、付記1~13のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記15)
前記工程(d)において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給する、付記1~14のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記16)
前記工程(d)において、前記基板載置台にバイアス電力を供給する、付記1~15のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記17)
プラズマ処理装置におけるクリーニング方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板昇降機構と、を備え、
前記クリーニング方法は、
基板に対するプラズマ処理の後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第1工程と、
前記基板載置台に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第2工程と、
前記基板昇降機構により前記ダミー基板を前記基板載置台の上方に位置させ、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第3工程と、
を有する、クリーニング方法。
(付記18)
前記第1工程、前記第2工程、および前記第3工程をこの順に行う、付記17に記載のクリーニング方法。
(付記19)
前記第2工程および前記第3工程の後に、前記第1工程を行う、付記17または18に記載のクリーニング方法。
(付記20)
前記第1工程、前記第2工程、および前記第3工程において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給する、付記17~19のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記21)
前記第3工程において、前記基板載置台にバイアス電力を供給する、付記17~20のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
(付記22)
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板を支持するリフタピンを備える基板昇降機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記処理容器内で基板に対してプラズマ処理した後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器に堆積した堆積物を除去する処理と、
(b)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を第1の位置に位置させ、前記処理容器内に搬入された前記ダミー基板を前記第1の位置で受け取る処理と、
(c)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を前記基板載置台の上方であって前記第1の位置よりも低い第2の位置に位置させる処理と、
(d)前記処理(c)の後、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記基板載置台の外周部に堆積した堆積物を除去する処理と、
を実行するよう構成される、プラズマ処理装置。
(付記23)
前記制御部は、
前記処理(a)の後に前記処理(b)を実行するよう構成される、付記22に記載のプラズマ処理装置。
(付記24)
前記制御部は、
前記処理(b)、前記処理(c)および前記処理(d)の後に前記処理(a)を実行するよう構成される、付記22または23に記載のプラズマ処理装置。
(付記25)
前記制御部は、
(e)前記処理(b)の後、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する処理、を実行するよう構成されるとともに、前記処理(e)の後、前記処理(c)において、前記リフタピンを上昇させて前記ダミー基板を前記第2の位置に位置させるよう構成される、付記22~24のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記26)
前記制御部は、
(f)前記処理(e)の後であって前記処理(c)の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする処理、を実行するよう構成される、付記25に記載のプラズマ処理装置。
(付記27)
前記制御部は、
(g)前記処理(d)の後、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して前記処理容器をクリーニングする処理、を実行するよう構成される、付記22~26のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記28)
前記処理(d)において、前記基板載置台の外周部周辺にリング状プラズマが生成される、付記22~27のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記29)
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である、付記22~28のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記30)
前記処理(d)において生成されるプラズマの密度は、前記ダミー基板の中心部よりも前記基板の外周部周辺の方が高い、付記22~29のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記31)
前記基板載置台の載置面の外周を囲むリング部材を備え、
前記処理(d)において生成されるプラズマの密度は、前記リング部材の外周部よりも前記リング部材の内周部の方が高い、付記30に記載のプラズマ処理装置。
(付記32)
前記制御部は、
前記処理(d)において、酸素含有ガスのプラズマを生成するよう構成される、付記22~31のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記33)
前記制御部は、
前記処理(d)において、前記基板載置台にバイアス電力を供給するよう構成される、付記22~32のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記34)
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板昇降機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
基板に対するプラズマ処理の後、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第1処理と、
前記基板載置台に前記ダミー基板を載置した状態で、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第2処理と、
前記基板昇降機構によりダミー基板を前記基板載置台の上方に位置させ、前記処理容器内にプラズマを生成して、前記処理容器内をクリーニングする第3処理と、
を実行するよう構成される、プラズマ処理装置。
(付記35)
前記制御部は、
前記第1処理、前記第2処理、および前記第3処理をこの順で実行するよう構成される、付記34に記載のプラズマ処理装置。
(付記36)
前記制御部は、
前記第2処理および前記第3処理の後に、前記第1処理を実行するよう構成される、付記34または35に記載のプラズマ処理装置。
(付記37)
前記制御部は、
前記第1処理、前記第2処理、および前記第3処理において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給するよう構成される、付記34~36のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
(付記38)
前記制御部は、
前記第3処理において、前記基板載置台にバイアス電力を供給するよう構成される、付記34~37のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【符号の説明】
【0091】
P プラズマ
W ウエハ
1 処理容器
2 載置台
6 静電チャック
6a 電極
10 プラズマ処理装置
10a 第1のRF電源
16 シャワーヘッド
61 リフターピン
62 昇降機構
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置におけるクリーニング方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板を支持するリフタピンを備える基板昇降機構と、を備え、
前記クリーニング方法は、
(a)前記基板昇降機構を制御して、リフタピンを上昇させ、前記処理容器内に搬入されたダミー基板を受け取る工程と、
)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を前記基板載置台の上方であって前記ダミー基板を受け取った位置よりも低位置させる工程と、
)前記工程()の後、プラズマを用いて、前記処理容器内をクリーニングする工程と、
(d)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンを上昇させ、前記ダミー基板を前記処理容器外へ搬出する工程と、
を有する、クリーニング方法。
【請求項2】
前記工程(a)の後に前記工程(b)を行う、請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
前記工程(c)の後に前記工程(d)を行う、請求項1または2に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
前記工程(d)の後に、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態でプラズマを用いて前記処理容器内をクリーニングする工程を行う、請求項1~3のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項5】
(e)前記()の後、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する工程、を有し、
前記工程()は、前記工程(e)の後、前記リフタピンを上昇させて前記ダミー基板を前記ダミー基板を受け取った位置よりも低く位置させる、請求項1~のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項6】
(f)前記工程(e)の後であって前記工程()の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、プラズマを用いて前記処理容器をクリーニングする工程、を有する、請求項に記載のクリーニング方法。
【請求項7】
(g)前記工程(c)の後、前記工程(d)の前に、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する工程、を有する、請求項1~6のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項8】
(h)前記工程(g)の後であって前記工程(d)の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、プラズマを用いて前記処理容器内をクリーニングする工程、を有する、請求項7に記載のクリーニング方法。
【請求項9】
前記工程()において、前記基板載置台の外周部周辺にリング状プラズマが生成される、請求項1~のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項10】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、前記工程()において生成されるプラズマのシースの厚さよりも小さい、請求項1~のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項11】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である、請求項1~10のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項12】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3.5mm以下である、請求項11に記載のクリーニング方法。
【請求項13】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3mm以下である、請求項11に記載のクリーニング方法。
【請求項14】
前記工程()において生成されるプラズマの密度は、前記ダミー基板の中心部よりも前記基板の外周部周辺の方が高い、請求項1~13のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項15】
前記プラズマ処理装置は、前記基板載置台の載置面の外周を囲むリング部材を備え、
前記工程()において生成されるプラズマの密度は、前記リング部材の外周部よりも前記リング部材の内周部の方が高い、請求項14に記載のクリーニング方法。
【請求項16】
前記工程()において、酸素含有ガスのプラズマを生成する、請求項1~15のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項17】
前記工程()において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給する、請求項1~16のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項18】
前記工程()において、前記基板載置台にバイアス電力を供給する、請求項1~17のいずれか一つに記載のクリーニング方法。
【請求項19】
処理容器と、
前記処理容器内に設けられる基板載置台と、
基板を支持するリフタピンを備える基板昇降機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記基板昇降機構を制御して、リフタピンを上昇させ、前記処理容器内に搬入されたダミー基板を受け取る処理と、
)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンの先端を前記基板載置台の上方であって前記ダミー基板を受け取った位置よりも低位置させる処理と、
)前記処理()の後、プラズマを用いて、前記処理容器内をクリーニングする処理と、
(d)前記基板昇降機構を制御して、前記リフタピンを上昇させ、前記ダミー基板を前記処理容器外へ搬出する処理と、
を実行するよう構成される、プラズマ処理装置。
【請求項20】
前記制御部は、
前記処理(a)の後に前記処理(b)を実行するよう構成される、請求項19に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記制御部は、
前記処理(c)の後に前記処理(d)を実行するように構成される、請求項19または20に記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
前記制御部は、
前記処理(d)の後に、前記処理容器内に前記基板およびダミー基板が収容されていない状態でプラズマを用いて前記処理容器内をクリーニングする処理を実行するように構成される、請求項19~21のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項23】
前記制御部は、
(e)前記処理()の後、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する処理、を実行するよう構成されるとともに、前記処理(e)の後、前記処理()において、前記リフタピンを上昇させて前記ダミー基板を前記ダミー基板を受け取った位置よりも低く位置させるよう構成される、請求項19~22のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項24】
前記制御部は、
(f)前記処理(e)の後であって前記処理()の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、プラズマを用いて前記処理容器をクリーニングする処理、を実行するよう構成される、請求項23に記載のプラズマ処理装置。
【請求項25】
前記制御部は、
(g)前記処理(c)の後、前記処理(d)の前に、前記リフタピンを下降させて前記ダミー基板を前記基板載置台に載置する処理、を実行するように構成される、請求項19~24のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項26】
前記制御部は、
(h)前記処理(g)の後であって前記処理(d)の前に、前記基板載置台の載置面に前記ダミー基板を載置した状態で、プラズマを用いて前記処理容器内をクリーニングする処理、を実行するように構成される、請求項25に記載のプラズマ処理装置。
【請求項27】
前記処理()において、前記基板載置台の外周部周辺にリング状プラズマが生成される、請求項19~26のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項28】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、前記処理(c)において生成されるプラズマのシースの厚さよりも小さい、請求項19~27のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項29】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上5mm以下である、請求項19~28のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項30】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3.5mm以下である、請求項29に記載のプラズマ処理装置。
【請求項31】
前記基板載置台の載置面と前記ダミー基板の前記載置面に対向する面との離隔距離は、2.3mm以上3mm以下である、請求項29に記載のプラズマ処理装置。
【請求項32】
前記処理()において生成されるプラズマの密度は、前記ダミー基板の中心部よりも前記基板の外周部周辺の方が高い、請求項19~31のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項33】
前記基板載置台の載置面の外周を囲むリング部材を備え、
前記処理()において生成されるプラズマの密度は、前記リング部材の外周部よりも前記リング部材の内周部の方が高い、請求項32に記載のプラズマ処理装置。
【請求項34】
前記制御部は、
前記処理()において、酸素含有ガスのプラズマを生成するよう構成される、請求項19~33のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項35】
前記処理(c)において、プラズマを生成するための高周波電力を前記基板載置台に供給するよう構成される、請求項19~34のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項36】
前記制御部は、
前記処理()において、前記基板載置台にバイアス電力を供給するよう構成される、請求項19~35のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。