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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070245
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20230512BHJP
   B65H 23/032 20060101ALI20230512BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230512BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
B65H5/02 N
B65H5/02 T
B65H23/032
G03G21/16 195
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182291
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元春
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
3F049
3F104
【Fターム(参考)】
2H171FA22
2H171GA08
2H171JA16
2H171LA01
2H171LA12
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB15
2H171QB17
2H171QB32
2H171QC03
2H171RA01
2H171SA04
2H171SA11
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA21
2H171SA28
2H171SA32
2H171TA08
2H171XA03
2H270KA42
2H270LA31
2H270LD03
2H270MB27
2H270MC61
2H270MD10
2H270MH09
2H270ZC03
2H270ZC04
3F049AA02
3F049DA02
3F049LA01
3F049LB03
3F104AA02
3F104BA11
3F104BA17
3F104CA19
(57)【要約】
【課題】一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物を搬送する挟持搬送方式において2つのベルトの位置制御を円滑に実施する。
【解決手段】シート搬送装置の一例としての冷却装置9は、第1ベルト56または第2ベルト59に発生した幅方向の寄り移動を停止させるように、ベルト位置検出センサ41、42の出力に基づいて第1ステアリングローラ55cまたは第2ステアリングローラ57cを傾動させる制御を行う制御部43を備える。制御部43は、第1ベルト56と第2ベルト59との幅方向の相対速度が所定値以下となるように第1ステアリングローラ55cまたは第2ステアリングローラ57cを制御する協調制御を実施する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物を搬送するシート搬送装置であって、
前記搬送物を搬送する前記間隙を形成する第1の搬送機構と第2の搬送機構とを備え、
前記第1の搬送機構は、無端状の第1ベルトと、前記搬送物の搬送方向に直交する前記第1ベルトの幅方向に対して傾動して前記第1ベルトの幅方向位置を調整する第1ステアリングローラと、前記第1ベルトの幅方向の位置を検出する第1検出部と、を有し、
前記第2の搬送機構は、無端状の第2ベルトと、前記搬送物の搬送方向に直交する前記第2ベルトの幅方向に対して傾動して前記第2ベルトの幅方向位置を調整する第2ステアリングローラと、前記第2ベルトの幅方向の位置を検出する第2検出部と、を有し、
当該シート搬送装置は、前記第1ベルトまたは前記第2ベルトに発生した幅方向の寄り移動を停止させるように、前記第1検出部または前記第2検出部の出力に基づいて前記第1ステアリングローラまたは前記第2ステアリングローラを傾動させる制御を行う制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの幅方向の相対速度が所定値以下となるように前記第1ステアリングローラまたは前記第2ステアリングローラを制御する協調制御を実施する、
シート搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記協調制御において、前記第1ベルトの幅方向位置が基準位置から所定距離以上離れているときに、前記第2ベルトの幅方向位置の目標位置を前記基準位置から現在位置に置き換える、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記協調制御において、前記第1ベルトの前記幅方向位置が前記基準位置にないときに、前記第2ベルトの幅方向位置の目標位置を前記基準位置から現在位置に置き換える、
請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1ベルト及び前記第2ベルトの幅方向位置が基準位置に対して逆方向のときに、前記協調制御を実施する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記協調制御において、前記相対速度が所定値を超えているときに、前記第1ベルト及び前記第2ベルトの少なくとも一方の幅方向の移動速度を下げる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のシート搬送装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置におけるベルト搬送機構において、搬送ベルトのエッジを検出し、その目標位置の所定範囲内に収まるように、ステアリングローラを制御し、ベルトの寄りを制御し安定位置で搬送し続ける技術がある(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年は一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物を搬送するシート搬送装置が知られている。このような挟持搬送形式のシート搬送装置に特許文献1に記載されるベルト位置制御手法を適用すると、2つのベルトが個別に制御されるため、お互いのベルト寄りが逆方向となる場合があり、その状況ではベルト同士またはベルトと紙のこすれる量が大きくなるなどの不具合が生じる場合がある。
【0004】
本発明は、一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物を搬送する挟持搬送方式において2つのベルトの位置制御を円滑に実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係るシート搬送装置は、一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物を搬送するシート搬送装置であって、前記搬送物を搬送する前記間隙を形成する第1の搬送機構と第2の搬送機構とを備え、前記第1の搬送機構は、無端状の第1ベルトと、前記搬送物の搬送方向に直交する前記第1ベルトの幅方向に対して傾動して前記第1ベルトの幅方向位置を調整する第1ステアリングローラと、前記第1ベルトの幅方向の位置を検出する第1検出部と、を有し、前記第2の搬送機構は、無端状の第2ベルトと、前記搬送物の搬送方向に直交する前記第2ベルトの幅方向に対して傾動して前記第2ベルトの幅方向位置を調整する第2ステアリングローラと、前記第2ベルトの幅方向の位置を検出する第2検出部と、を有し、当該シート搬送装置は、前記第1ベルトまたは前記第2ベルトに発生した幅方向の寄り移動を停止させるように、前記第1検出部または前記第2検出部の出力に基づいて前記第1ステアリングローラまたは前記第2ステアリングローラを傾動させる制御を行う制御部をさらに備え、前記制御部は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの幅方向の相対速度が所定値以下となるように前記第1ステアリングローラまたは前記第2ステアリングローラを制御する協調制御を実施する。
【発明の効果】
【0006】
一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物を搬送する挟持搬送方式において2つのベルトの位置制御を円滑に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図
図2図1中の冷却装置を拡大視した側面図
図3図2に示す冷却装置の概略構成を示す斜視図
図4】ベルト位置制御を説明するための模式図
図5】従来のベルト位置制御において生じ得る不具合の一例を示す図
図6】本実施形態の協調制御の一例を説明するための図
図7】ベルト位置調整部の機能ブロック図
図8】ベルト位置調整制御の第1の例を示すフローチャート
図9】ベルト位置調整制御の第2の例を示すフローチャート
図10】制御部のハードウェア構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0009】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は水平方向であり、z方向は鉛直方向である。x方向は、二次転写ローラ12の位置よりも記録材搬送方向下流側の、定着装置8、冷却装置9、一対の排出ローラ16の配列方向であり、この部分における記録材Pの搬送方向C(図2参照)であり、図1では図面左右方向である。y方向は、記録材Pの搬送方向に直交する記録材Pの幅方向であり、図1では図面奥行き方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0010】
図1を参照して、本実施形態に係るシート搬送装置が適用される画像形成装置100の構成例について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。図1に示す画像形成装置100は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを並べて配設したタンデム型の画像形成部を備える。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体200に着脱可能に構成されており、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0012】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0013】
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射するようになっている。
【0014】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、支持部材としての複数のローラ21~24に張架されており、それらローラ21~24のうちの1つが駆動ローラとして回転することによって、中間転写ベルト10は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0015】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト10の内周面を押圧しており、中間転写ベルト10の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)および/または交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0016】
また、中間転写ベルト10を張架する1つのローラ24に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト10の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)および/または交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0017】
画像形成装置本体200の下部には、紙やOHP等のシート状の記録材Pを収容した複数の給紙カセット13が配設されている。各給紙カセット13には、収容されている記録材Pを送り出す給紙ローラ14が設けてある。また、画像形成装置本体200の図の左側の外面には、機外に排出された記録材Pをストックする排紙トレイ20が設けてある。
【0018】
画像形成装置本体200内には、記録材Pを給紙カセット13から二次転写ニップを通って排紙トレイ20へ搬送するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも記録材搬送方向上流側にはレジストローラ15が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも記録材搬送方向下流側には、定着装置8、冷却装置9、一対の排出ローラ16が順次配設されている。定着装置8は、例えば、内部に図示しないヒータを有する定着部材としての定着ローラ17と、定着ローラ17を加圧する加圧部材としての加圧ローラ18を備える。定着ローラ17と加圧ローラ18とが接触した箇所には、定着ニップが形成されている。
【0019】
以下、図1を参照して上記画像形成装置100の基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図の反時計回りに回転駆動され、帯電ローラ3によって各感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。図示しない読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置6から帯電された各感光体2の表面にレーザ光が照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0020】
中間転写ベルト10を張架するローラの1つが回転駆動し、中間転写ベルト10を図の矢印の方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧または定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト10はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト10に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。
【0021】
給紙ローラ14が回転することによって、給紙カセット13から記録材Pが搬出される。搬出された記録材Pは、レジストローラ15によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト10上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像が記録材P上に一括して転写される。その後、記録材Pは定着装置8に送り込まれ、定着ローラ17と加圧ローラ18によって記録材Pが加圧および加熱されてトナー画像が記録材P上に定着される。そして、記録材Pは、冷却装置9によって冷却された後、一対の排出ローラ16によって排紙トレイ20に排出される。
【0022】
以上の説明は、記録材にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つまたは3つのプロセスユニットを使用して、2色または3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0023】
本実施形態では、画像形成装置100は、一対の無端ベルトの間隙にてシート状の搬送物(記録材P)を搬送するシート搬送装置をいずれかの構成要素として搭載する。図1の例では、このようなシート搬送装置が冷却装置9に適用される構成を例示する。以下、本実施形態に係るシート搬送装置の一例としての冷却装置9の構成について説明する。
【0024】
図2は、図1中の冷却装置9を拡大視した側面図である。図3は、図2に示す冷却装置9の概略構成を示す斜視図である。
【0025】
図2図3に示すように、冷却装置9は、ベルト搬送手段30と、ベルト搬送手段30のベルトの走行によって搬送される記録材Pを冷却する冷却部材33を備えている。ベルト搬送手段30は、記録材Pの一方の面(表面または上面)側に配置される第1の搬送機構31と、記録材Pの他方の面(裏面または下面)側に配置される第2の搬送機構32とを備える。各機構31、32には、無端状のベルト部材である第1ベルト56及び第2ベルト59が複数のローラ55,57,58によって保持・張架され、回転することができる。また、1対の冷却部材33が第1ベルト56及び第2ベルト59の内周面に接触して備えられ、冷却部材33aが記録材Pの一方の面(表面または上面)側に配置され、冷却部材33bが記録材Pの他方の面(裏面または下面)側に配置される。
【0026】
冷却部材33a,33bはそれぞれ平板矩形状に形成され、一対の主面が上方及び下方に向くように配置される。一方の冷却部材33aは、他方の冷却部材33bに当接せず、他方の冷却部材33bよりも上方に配置されている。また、一方の冷却部材33aの下面は、僅かに膨出した扁平円弧面状の吸熱面34aとして構成され、他方の冷却部材33bの上面は、僅かに膨出した扁平円弧面状の吸熱面34bとして構成されている。各冷却部材33a,33bの内部には、冷却液が流れる冷却液流路が形成されている。
【0027】
第1の搬送機構31は、複数個(図例では4個)の従動ローラ55a~55dと、この従動ローラ55に掛け回される無端状の第1ベルト(搬送ベルト)56とを備える。一方、第2の搬送機構32は、複数個(図例では3個)の従動ローラ57c,57d,58と、駆動ローラ57aと、ローラ57,58に掛け回される無端状の第2ベルト(搬送ベルト)59とを備える。
【0028】
このため、記録材Pを搬送する際には、第1の搬送機構31の第1ベルト56と第2の搬送機構32の第2ベルト59とで、記録材Pを挟持搬送することになる。つまり、駆動ローラ57aが駆動することによって、図2に示すように第2ベルト59が矢印A方向に走行し、ベルト56,59間に挟まれた記録材Pを介して、第2の搬送機構32の第2ベルト59の走行に伴い、第1の搬送機構31の第1ベルト56が矢印B方向に走行する。これによって、記録材Pは搬送方向Cに沿って上流側から下流側へと搬送される。第1ベルト56および第2ベルト59に掛かるテンションについて、ベルトのみ回転する場合および記録材Pを挟持搬送する場合においても隣接するローラ間にてベルトに弛みが生じないだけの同等な張力がそれぞれ働いている。
【0029】
次に、前記のように構成された冷却装置9の動作について説明する。
【0030】
記録材Pの挟持搬送する場合、図2図3に示すように、第1の搬送機構31と第2の搬送機構32とを近接させた状態とする。この図2図3に示す状態において、第2の搬送機構32の駆動ローラ57aを回転駆動させれば、前記したように各ベルト56,59が矢印方向に走行して、記録材Pは搬送方向Cに搬送される。この状態では、冷却部材33a,33bの冷却液流路内に冷却液を流す。
【0031】
この際、第1の搬送機構31の第1ベルト56の内面が、冷却部材33aの吸熱面34aを摺動し、第2の搬送機構32の第2ベルト59の内面が、冷却部材33bの吸熱面34bを摺動する。このため、記録材Pの表面(上面)側から、第1ベルト56を介して冷却部材33aは記録材Pの熱を吸収する。また、記録材Pの裏面(下面)側から、第2ベルト59を介して冷却部材33bは記録材Pの熱を吸収する。この場合、冷却部材33a,33bが吸熱した熱量を冷却液が外部に輸送することで冷却部材33a,33bは低温に保たれる。
【0032】
また、本実施形態では、図3に示すように、第1の搬送機構31のベルト56の幅方向の一方の端部には、ベルト56の幅方向位置を測定するベルト位置検出センサ41(第1検出部)が設けられている。同様に、第2の搬送機構32のベルト59の幅方向の一方の端部には、ベルト59の幅方向位置を測定するベルト位置検出センサ42(第2検出部)が設けられている。
【0033】
ベルト位置検出センサ41、42は、例えば光学的な手法によってベルトと非接触の状態でベルト位置を検出する非接触型センサである。この構成では、LEDなどからなる発光部と、フォトダイオードなどからなる受光部とが、ベルト56、59の幅方向の一方の端部を挟んでz方向に沿って配置されている。ベルト位置検出センサ41、42の受光部は、発光部からの光を受けて電圧を生じる構成になっており、発光部から受ける光量によって検出電圧が異なる。従って、発光部と受光部によって挟んでいるベルトの端部の位置が幅方向にずれると、発光部から受光部に照射される光量が変化し、それに応じて受光部の検出電圧も変化する。ベルト位置検出センサ41、42は、このような受光部の検出電圧の変化に応じて第1ベルト56、第2ベルト59の幅方向位置を検出できる。
【0034】
なお、ベルト位置検出センサ41、42は、それぞれ第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向の位置を検出することができる要素であればよく、本実施形態で例示する非接触型センサ以外の任意の検出要素を適用してもよい。
【0035】
第1の搬送機構31の従動ローラ55の少なくとも一部(図3の例では従動ローラ55cは、幅方向に対して軸方向を傾動可能なステアリングローラである。同様に、第2の搬送機構32の従動ローラ57の少なくとも一部(図3の例では従動ローラ57cは、幅方向に対して軸方向を傾動可能なステアリングローラである。以下では、これらの従動ローラ55c、57cをそれぞれ「第1ステアリングローラ55c」及び「第2ステアリングローラ57c」とも表記し、両者を纏めて「ステアリングローラ55c、57c」とも表記する場合がある。
【0036】
ステアリングローラ55c、57cは、例えば回転軸の一端部がカムモータ44、45(図7参照)等の駆動系に接続され、駆動系によって回転軸の一端部を所定方向(図3の例では矢印D、Eで示すようにz方向)に移動させることによって、回転軸を幅方向に対して傾斜させることができる。
【0037】
また、ベルト搬送手段30は、制御部43を備える。制御部43は、ベルト位置検出センサ41、42により計測される各ベルト56、59の幅方向位置の情報に基づき、ステアリングローラ55c、57cの傾斜角度を調整して、各ベルト56、59の幅方向位置が所望の範囲に収まるように制御するベルト位置制御を実行できる。
【0038】
図4は、ベルト位置制御を説明するための模式図である。図4に示すように、ベルト56、59の端部の幅方向(y方向)の現在位置Fcは、上述のようにベルト位置検出センサ41、42によって検出できる。また、ベルト位置制御では、図4に示すように、各ベルト56、59の端部の各ローラ55、57、58に対する基準位置Fsが予め設定されている。制御部43は、各ベルト56,59の現在位置Fcの情報に基づき、ベルト56,59が基準位置Fsの方向へ移動するようにステアリングローラ55c、57cの傾斜角度を制御する。図4の例では、ベルトの端部位置Fcは、基準位置Fsに対して図面左方向(y正方向側)にずれている状態が例示されている。この例の場合、ステアリングローラ55c、57cの傾斜角度の調整によって、ベルト56、59を図面右方向に移動させることによって、端部位置Fcを基準位置Fsに近づけるよう制御が行われる。
【0039】
ベルト56、59の片寄りや、蛇行が生じると、記録材Pの幅方向位置にずれが生じて、冷却装置9による記録材Pの主面の冷却効果にむらが生じて画像品質が低下するなどの不具合が生じる場合がある。本実施形態では、ベルト56、59の位置を常に基準位置Fsを保持できるように制御することによって、ベルト56、59の片寄りや、蛇行の発生を防止でき、画質の低下などの不具合を防止できる。
【0040】
ベルト位置検出センサ41、42と、ステアリングローラ55c、57cと、制御部43とは、ベルト位置調整部40を構成する。
【0041】
ところで、本実施形態に係るシート搬送装置の一例としての冷却装置9は、上述のように一対の無端ベルト56、59の間隙にてシート状の搬送物Pを搬送する構成のため、上記のベルト位置制御では2つのベルト56、59の位置を個別に制御する必要がある。
【0042】
このとき、2つのベルト56、59を独立で制御すると、図5に示す状態が生じる場合がある。図5は、従来のベルト位置制御において生じ得る不具合の一例を示す図である。図5の(A)は第1ベルト56、第2ベルト59の幅方向位置Fc1、Fc2の時間推移を示す。図5の(B)は、(A)のベルト位置推移に対応する第1ベルト56と第2ベルト59との相対速度の時間推移を示す。図5(A)の縦軸のベルト位置、及び(B)の縦軸の相対速度の正方向は、例えば共にy軸の正方向に対応する。
【0043】
上述のように、ベルト位置制御では、各ベルト56、59についてそれぞれ基準位置Fsを目標位置として、ベルト位置を基準位置Fsに寄せるよう制御を行う。ここで、図5(A)に示すように、第1ベルト56と第2ベルト59とが基準位置Fsから逆の方向にずれている状態を考える。この状態では、ベルト位置制御を行うと、第1ベルト56と第2ベルト59とが互いに異なる方向に移動するため、図5(B)に示すように相対速度が大きくなってしまう状況が起こり得る。図5の例では、時刻t1までの区間では第1ベルト56と第2ベルト59の移動方向が同方向のため相対速度は0で推移しているが、時刻t1~t2の区間で第1ベルト56と第2ベルト59の移動方向が逆向きとなると、相対速度が増大している。また、時刻t2~t3の区間では、第2ベルト59の位置が基準位置Fsとなって、第1ベルト56のみが移動しているので、相対速度はt1~t2の区画より減少している。
【0044】
時刻t1~t2のように相対速度が相対的に増大する状況では、ベルト56、59同士またはベルト56、59と記録材(搬送物)Pとが幅方向に沿ってこすれる量が大きくなり、ベルト表面の摩耗の促進や、記録材Pの捻じれや変形、などの不具合が生じる虞がある。
【0045】
そこで本実施形態では、ベルト位置調整部40は、第1ベルト56と第2ベルト59との幅方向の相対速度が所定値以下となるように第1ステアリングローラ55cまたは第2ステアリングローラ57cを制御する協調制御を実施する。このような協調制御によって、第1ベルト56と第2ベルト59の移動を協調させ、図5に示すような2つのベルト間の相対速度の増大を抑制する。
【0046】
図6は、本実施形態のベルト位置調整部40による協調制御の一例を説明するための図である。図6の(A)、(B)は、図5と同様にベルト位置と相対速度の時間推移を示す。
【0047】
本実施形態の協調制御では、第1ベルト56の現在位置Fc1が基準位置Fsからずれている場合、第2ベルト59のベルト位置制御の目標位置を基準位置Fsから現在位置Fc2に変更する。図6(A)の例では、第1ベルト56の位置が基準位置Fsからずれている時刻t3までの区間では、第2ベルト59の位置制御の目標位置は基準位置Fsではなく、現在位置Fc2が設定されている。このため、第2ベルト59の位置は時刻t3まで同一位置が維持されており、これにより第2ベルト59の移動速度は0となって、図6(B)に示すようにベルト56,59間の相対速度は図5の例と比較して低減されている。そして、第1ベルト56の位置が基準位置Fsとなった時刻t3の後に、第2ベルト59の位置制御の目標位置が基準位置Fsに戻されて、第2ベルト59の位置Fc2が基準位置Fsに近づく挙動となる。
【0048】
なお、第2ベルト59の位置制御の目標位置を基準位置Fsに戻す条件は、必ずしも第1ベルト56の位置が基準位置Fsとなったことには限定されず、例えば第1ベルト56の位置が基準位置Fsから所定範囲内など、ある程度許容範囲を広げてもよい。図6の例では、第1ベルト56の位置が基準位置Fsとなる時刻t3より前のタイミングで、第2ベルト59の位置制御の目標位置を基準位置Fsに戻す構成としてもよい。
【0049】
本実施形態では、このような協調制御を実施して、第1ベルト56の寄りが小さくなってから第2ベルト59の目標位置を基準位置Fsに設定にすることで、第1ベルト56と第2ベルト59との相対速度を小さくしたままベルト位置の制御を行うことができる。この構成により、一対の無端状ベルトの間隙にてシート状の搬送物Pを搬送する挟持搬送方式において2つのベルトの位置制御を円滑に実施することができる。
【0050】
図7は、ベルト位置調整部40の機能ブロック図である。制御部43は、上記のベルト位置制御と強調制御に関する機能として、第1ベルト制御部46と、協調制御部47と、第2ベルト制御部48と、を備える。
【0051】
第1ベルト制御部46は、ベルト位置検出センサ41から入力される第1ベルト56の位置Fc1の情報に基づいて、所定の目標位置に第1ベルト56を移動させるための制御指令を第1カムモータ44に出力する。第1カムモータ44は、制御指令に応じて第1ステアリングローラ55cの軸方向を傾斜させて、これにより第1ベルト56を移動させる。また、第1ベルト制御部46は、協調制御部47から入力される制御指令に基づき、第1ベルト56の目標位置を基準位置Fsと現在位置のいずれかに切り替える。
【0052】
第2ベルト制御部48は、ベルト位置検出センサ42から入力される第2ベルト59の位置Fc2の情報に基づいて、所定の目標位置に第2ベルト59を移動させるための制御指令を第2カムモータ45に出力する。第2カムモータ45は、制御指令に応じて第2ステアリングローラ57cの軸方向を傾斜させて、これにより第2ベルト59を移動させる。また、第2ベルト制御部48は、協調制御部47から入力される制御指令に基づき、第2ベルト59の目標位置を基準位置Fsと現在位置のいずれかに切り替える。
【0053】
協調制御部47は、ベルト位置検出センサ41から入力される第1ベルト56の位置Fc1と、ベルト位置検出センサ42から入力される第2ベルト59の位置Fc2の情報に基づいて、上述の協調制御の実施要否を判定し、協調制御の実施が必要と判定した場合には、第1ベルト制御部46または第2ベルト制御部48に対して目標位置を切り替える制御指令を出力する。
【0054】
図8は、ベルト位置調整制御の第1の例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS101では、協調制御部47により、第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向位置Fc1、Fc2が基準位置Fsに対して逆方向であるか否かが判定される。逆方向である場合(S101のYES)には、協調制御を実施する必要があると判断してステップS102に進む。逆方向でない場合(S101のNO)には、協調方向は不要と判断してステップS107に進む。
【0056】
ステップS102では、協調制御部47により、第1ベルト56の幅方向位置Fc1が基準位置Fsから規定範囲内か否かが判定される。
【0057】
ステップS102の判定の結果、第1ベルト56が規定範囲内の場合(S103のYES)には、ステップS103にて、協調制御部47により、第1ベルト56の目標位置が現在位置Fc1にセットされる。これにより第1ベルト制御部46は第1カムモータ44に駆動を停止する制御指令を送信し、第1ステアリングローラ55cは傾斜角度を現在の状態に維持して第1ベルト56の幅方向位置が現在位置Fc1に維持される。
【0058】
次いで、ステップS104にて、協調制御部47により、第2ベルト59の目標位置が基準位置Fsにセットされて、第2ベルト59を基準位置Fsに移動するよう第2ステアリングローラ57cの傾斜が制御される。このとき、第2ベルト制御部48は第2カムモータ45に現在位置Fc2と基準位置Fsとの偏差に応じた駆動量の制御指令を送信し、第2ステアリングローラ57cの傾斜角度を制御指令に応じて変動させて、第2ベルト59の幅方向位置が基準位置Fsに近づくように制御される。
【0059】
つまり、ステップS102の判定の結果、第1ベルト56の幅方向位置Fc1が基準位置Fsから所定距離以上離れていないとき(S103のYES)には、第1ベルト56のベルト位置制御が停止され、第2ベルト59のベルト位置制御が実施される。
【0060】
一方、ステップS102の判定の結果、第1ベルト56が規定範囲外の場合(S103のNO)には、ステップS105にて、協調制御部47により、第2ベルト59の目標位置が現在位置Fc2にセットされる。これにより第2ベルト制御部48は第2カムモータ45に駆動を停止する制御指令を送信し、第2ステアリングローラ57cは傾斜角度を現在の状態に維持して第2ベルト59の幅方向位置が現在位置Fc2に維持される。
【0061】
次いで、ステップS106にて、協調制御部47により、第1ベルト56の目標位置が基準位置Fsにセットされて、第1ベルト56を基準位置Fsに移動するよう第1ステアリングローラ55cの傾斜が制御される。このとき、第1ベルト制御部46は第1カムモータ44に現在位置Fc1と基準位置Fsとの偏差に応じた駆動量の制御指令を送信し、第1ステアリングローラ55cの傾斜角度を制御指令に応じて変動させて、第1ベルト56の幅方向位置が基準位置Fsに近づくように制御される。
【0062】
つまり、ステップS102の判定の結果、第1ベルト56の幅方向位置Fc1が基準位置Fsから所定距離以上離れているとき(S103のNO)には、第2ベルト59のベルト位置制御が停止され、第1ベルト56のベルト位置制御が規定範囲内に遷移するまで実施される。
【0063】
ステップS101にて第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向位置が逆方向ではない場合(S101のNO)には、第1ベルト56と第2ベルト59とが同方向に移動し、両者の相対速度は比較的小さいため、協調制御は不要と判断する。このとき、ステップS107にて、第1ベルト制御部46及び第2ベルト制御部48により、第1ベルト56と第2ベルト59の両方を基準位置Fsに移動するよう第1ステアリングローラ55cと第2ステアリングローラ57cの傾斜が制御される。つまり、従来のベルト位置制御が実施される。
【0064】
図8のフローチャートでは、ステップS101にて第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向位置Fc1、Fc2が基準位置Fsに対して逆方向であるか否かが判定される。この判定処理を設けることにより、第1ベルト56及び第2ベルト59の幅方向位置Fc1、Fc2がそれぞれ基準位置Fsに対して幅方向(y方向)の反対側であるときに、協調制御を実施させることができる。つまり、第1ベルト56及び第2ベルト59の幅方向位置が基準位置Fsに対して同方向の場合には、相対速度が比較的小さいので、協調制御を実施しないようにできる。この構成により、協調制御の実施機会をより必要な状況の場合に限定することが可能となり、ベルト位置制御の効率を向上できる。
【0065】
なお、図8のフローチャートにおいて、ステップS101の判断ブロックを設けない構成としてもよい。この場合は、ステップS101の協調制御の実施要否判断が行われず、第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向位置Fc1、Fc2が基準位置Fsに対して逆方向か同方向であるかによらず、常に協調制御が実施される。
【0066】
また、図8のフローチャートでは、ステップS102の判断ブロックにおいて、「第1ベルト56の幅方向位置Fc1が基準位置Fsから規定範囲内か否か」というように、判断の条件にある程度の幅を持たせる構成としている。この代わりに、「第1ベルト56の幅方向位置Fc2が基準位置Fsにあるか否か」というように、判断の条件をピンポイントに絞る構成としてもよい。この構成により、第1ベルト56の幅方向位置Fc1が基準位置Fsと完全に一致するまでは第1ベルト56のベルト位置制御が停止されないので、第1ベルト56を基準位置Fsに確実に移動させることができ、第1ベルト56のベルト位置制御の精度を向上できる。
【0067】
なお、図8のフローチャートのステップS102~S107では、第1ベルト56の幅方向位置Fc1を判定の基準としているが、第2ベルト59の幅方向位置Fc2を判定の基準としてもよい。この場合、ステップS103~S107の対象のベルト56、59がそれぞれ他方のものに入れ替えられる。
【0068】
図9は、ベルト位置調整制御の第2の例を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、ベルト位置検出センサ41、42が計測した第1ベルト56、第2ベルト59の幅方向位置Fc1、Fc2に基づく位置制御の一例を示したものである。一方、ベルト位置検出センサ41、42の代わりに、第1ベルト56、第2ベルト59の幅方向の速度を計測できる検出要素を用いる場合や、制御部43がベルト位置検出センサ41、42により計測された位置情報に基づき速度を算出する構成を有する場合など、第1ベルト56、第2ベルト59の幅方向の移動速度の情報を利用できる構成とすれば、図9に示すフローチャートのように協調制御に速度制御を適用することもできる。
【0069】
ステップS201では、協調制御部47により、第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向相対速度が閾値以上か否かが判定される。
【0070】
第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向相対速度が閾値未満の場合(S201のNO)には、協調方向は不要と判断して、ステップS202を実施せずにステップS203に進む。
【0071】
一方、ステップS201の判定の結果、第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向相対速度が閾値以上の場合(S201のYES)には、協調制御を実施する必要があると判断して、ステップS202にて、第1ベルト56、第2ベルト59cの少なくとも一方の幅方向移動速度が下げられる。例えば、第1ベルト56、第2ベルト59cの一方の移動速度を0に設定するか、所定の規定速度以下となるように設定される。本ステップでは、協調制御部47が、第1ベルト制御部46または第2ベルト制御部48に減速の制御指令を送信し、これに応じて第1カムモータ44または第2カムモータ45の駆動速度が変更される。これにより、第1ベルト56、第2ベルト59cの少なくとも一方の幅方向移動速度が下げられて、第1ベルト56と第2ベルト59の幅方向相対速度が低減する。
【0072】
ステップS203では、第1ベルト制御部46及び第2ベルト制御部48により、第1ベルト56と第2ベルト59の両方を基準位置Fsに移動するよう第1ステアリングローラ55cと第2ステアリングローラ57cの傾斜が制御される。このとき、ステップS202を実施した場合には、ステップS202で設定された減速指令にしたがった制御を行われる。
【0073】
図10は、制御部43のハードウェア構成図である。図10に示すように、制御部43は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、補助記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
【0074】
図7を参照して説明した制御部43の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0075】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0076】
上記実施形態では、本実施形態に係るシート搬送装置が画像形成装置100の冷却装置9に適用される構成を例示したが、シート搬送装置は、少なくとも一対の無端ベルトの間隙にてシート状の搬送物(記録材)Pを搬送する構成であればよく、画像形成装置100内の冷却装置9以外の要素に適用される構成でもよい。例えば図1に示す転写装置7や、搬送路R上の記録材Pを搬送するための搬送装置などにシート搬送装置を適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
9 冷却装置(シート搬送装置)
31 第1の搬送機構
32 第2の搬送機構
41 ベルト位置検出センサ(第1検出部)
42 ベルト位置検出センサ(第2検出部)
43 制御部
55c 第1ステアリングローラ
56 第1ベルト
57c 第2ステアリングローラ
59 第2ベルト
100 画像形成装置
Fs 基準位置
Fc1 第1ベルトの幅方向位置の現在位置
Fc2 第2ベルトの幅方向位置の現在位置
P 記録材(搬送物)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2012-063427号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10