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特開2023-70358情報処理システム、精算対象判断方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070358
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】情報処理システム、精算対象判断方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230512BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182474
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大竹 裕也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】経費の精算対象か否かの判断結果を機器による出力に関する情報に記録する情報処理システムを提供する。
【解決手段】出力システムにおいて、社内又は社外の機器に出力を要求する端末装置30とネットワークを介して通信する情報処理システム10は、端末装置30から画像形成装置20による出力に関する情報を受信する通信部11と、通信部が受信した機器による出力に関する情報が、経費の精算対象か否かの判断結果を機器による出力に関する情報に対応付けて記録する解析部12と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
社内又は社外の機器に出力を要求する端末装置とネットワークを介して通信することができる情報処理システムであって、
前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記機器による出力に関する情報が、経費の精算対象か否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録する解析部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
社員が施設へ入館している時間帯が記録された入退館履歴情報を取得する勤怠情報取得部を有し、
前記解析部は、前記時間帯に出力された前記出力に関する情報を、経費の精算対象でないと判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
業務用データを保持している外部ストレージサーバーから業務用データが取得された取得履歴情報を取得する取得情報取得部を有し、
前記解析部は、前記出力に関する情報が、前記取得履歴情報に含まれる前記業務用データを出力した旨を含む場合、経費の精算対象であると判断することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記勤怠情報取得部は、社員が社外で勤務した勤務時間情報を取得し、
前記解析部は、前記出力に関する情報が、前記勤務時間情報に登録されている勤務時間内に出力されている場合、経費の精算対象であると判断し、勤務時間内に出力されていない場合、経費の精算対象でないと判断することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
社員が施設へ入館している時間帯が記録された入退館履歴情報を取得する勤怠情報取得部を有し、
前記解析部は、前記時間帯に出力された前記出力に関する情報を、経費の精算対象でないと判断し、
業務用データを保持している外部ストレージサーバーから業務用データが取得された取得履歴情報を取得する取得情報取得部を有し、
前記解析部は、前記入退館履歴情報により経費の精算対象でない判断されなかった前記出力に関する情報が、前記取得履歴情報に含まれる前記業務用データを出力した旨を含む場合、経費の精算対象であると判断し、
前記勤怠情報取得部は、社員が社外で勤務した勤務時間情報を取得し、
前記解析部は、前記取得履歴情報により社外の前記機器が出力したと判断されなかった前記出力に関する情報が、前記勤務時間情報に登録されている勤務時間内に出力されている場合、経費の精算対象であると判断し、勤務時間内に出力されていない場合、経費の精算対象でないと判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
経費の精算対象か否かの判断結果が前記機器による出力に関する情報に対応付けられた画面を端末装置に提供する経費精算画面提供部を有し、
前記経費精算画面提供部は、前記機器による出力に関する情報が経費の精算対象か否かを判断の修正を受け付けることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記解析部は、前記出力に関する情報が、前記取得履歴情報に含まれる前記業務用データを出力した旨を含む場合でも、前記外部ストレージサーバーから取得された時刻から一定時間が経過している場合、経費の精算対象でないと判断することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項8】
社内又は社外の機器に出力を要求する端末装置とネットワークを介して通信することができる情報処理システムが行う精算対象判断方法であって、
通信部が、前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信するステップと、
前記通信部が受信した前記機器による出力に関する情報が、経費の精算対象か否かの判断結果を、解析部が、前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録するステップと、
を有することを特徴とする精算対象判断方法。
【請求項9】
社内又は社外の機器に出力を要求する端末装置とネットワークを介して通信することができる情報処理システムを、
前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記機器による出力に関する情報が、経費の精算対象か否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録する解析部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、精算対象判断方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレワークを採用している企業が増えている。テレワークとは、情報通信技術を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいう。しかし、例えば自宅で勤務する場合、電気代などの種々のコストが発生し、社員の負担となるおそれがある。
【0003】
自宅で消費した電力を雇用者に通知する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、消費電力管理装置に接続された電気機器が消費する積算消費電力量を測定し、通信回線を介して外部に通知する消費電力管理装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、経費の精算対象か否かの判断結果が機器による出力に関する情報に記録されていないという問題がある。例えば、社員が社外で業務用のドキュメントを印刷したのであれば、社員が企業に請求してよい。しかし、出力に関する情報が精算対象か否かを判断することが困難であった。また、全ての出力に関する情報について企業側の担当者が、精算対象か否か判別するのでは手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、経費の精算対象か否かの判断結果を機器による出力に関する情報に記録する情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、社内又は社外の機器に出力を要求する端末装置とネットワークを介して通信することができる情報処理システムであって、前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する通信部と、前記通信部が受信した前記機器による出力に関する情報が、経費の精算対象か否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録する解析部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
経費の精算対象か否かの判断結果を機器による出力に関する情報に記録する情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】社員が印刷したドキュメントが精算対象か否かの判断の概略を説明する図である。
図2】出力システムのシステム構成例を示す図である。
図3】情報処理システム及び端末装置の一例のハードウェア構成図である。
図4】画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
図5】出力システムの一例の機能構成を示す図である。
図6】入退館履歴情報の一例を示す図である。
図7】勤務時間情報の一例を示す図である。
図8】ドキュメント取得履歴情報の一例を示す図である。
図9】印刷ログの一例を示す図である。
図10】判断条件記憶部が保持する判断条件の一例を示す図である。
図11】情報処理システムが各社員の入館時刻、退館時刻を記録する手順を示すシーケンス図の一例である。
図12】端末装置が表示する勤務時間の申請画面の一例を示す図である。
図13】印刷ログに含まれる印刷ジョブが精算対象か否かを判断する全体的な手順を説明するシーケンス図の一例である。
図14】解析部が印刷ジョブごとに精算対象か否かを判断する手順を示すフローチャート図の一例である。
図15】印刷ジョブが精算対象か否かの入退館履歴情報に基づく判断結果を説明する図である。
図16】印刷ジョブが精算対象か否かのダウンロード履歴情報に基づく判断結果を説明する図である。
図17】印刷ジョブが精算対象か否かの勤務時間情報に基づく判断結果を説明する図である。
図18】社員が精算対象か否かの修正を手動で行う処理の手順を示すシーケンス図の一例である。
図19】手動修正画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、出力システムと出力システムが行う精算対象判断方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<処理の概略>
図1は、社員が印刷したドキュメントが精算対象か否かの判断の概略を説明する図である。ユーザーは企業に勤務しているが、自宅9などの社外でリモートワークする場合がある。ユーザーは、業務用のドキュメント(業務用データの一例)を外部ストレージサーバー40に保存しており、企業や自宅で外部ストレージサーバー40からダウンロードしたドキュメントを印刷できる。
【0011】
(1) 自宅の端末装置30は、ドキュメントの印刷ログを保存している。端末装置30は日/週/月に一回などの決まったタイミングで、ルーター5を介して印刷ログを企業の情報処理システム10に送信する。
【0012】
(2) 情報処理システム10は、以下のような情報を利用して、印刷ログに登録されている印刷ジョブが経費の精算対象か否か判断する。
a. 企業への入退館履歴情報
b. 外部ストレージサーバー40からのドキュメントのダウンロード履歴
c. 勤務時間情報(リモートワーク時に社員が行う自己申告)
aの情報とドキュメントの印刷時刻を比較すれば、社内での印刷かどうか分かるので、情報処理システム10は、精算対象か否かを判断できる。また、bの情報により、外部ストレージサーバー40からダウンロードしたドキュメントと同名のドキュメントを社員が印刷しているか否かが分かるので、情報処理システム10は、印刷ジョブが精算対象か否かを判断できる。cの情報とドキュメントの印刷時刻を比較すれば、勤務時間内での印刷かどうか分かるので、情報処理システム10は、精算対象か否かを判断できる。
【0013】
(3) 精算対象と判断した印刷ジョブの印刷コストを情報処理システム10は計算し、印刷コストを費用として社員に支払う。したがって、社員は費用精算のための作業を全くすることなく、又は、最小限の作業で、リモートワークで印刷した業務用のドキュメントの印刷コストを精算できる。
【0014】
<用語について>
精算対象であるとは、印刷にかかった費用を社員が企業に請求できること(精算要求できること)をいう。
【0015】
社員が社外で勤務することをリモートワークという。
入館とは、社員が勤務する企業の建屋、工場等の施設に勤務のために入ること、退館とは勤務を終了して出ることをいう。
【0016】
機器とはユーザーが印刷物等のコストを発生させる出力物を出力するものであればよい。本実施形態では、画像形成装置という用語で説明される。
【0017】
機器による出力に関する情報は、機器が印刷した印刷ジョブなどの出力に関する記録である。例えば、だれがどの文書をいつ、どの機器から、どのような条件で出力したかの情報を含む。本実施形態では、機器による出力に関する情報を印刷ログと称する。
【0018】
社内の機器とは、主に社内に設置してある機器である。社外に存在しても所有者である企業に管理されている機器は社内の機器である。
【0019】
社員とは、企業や自治体等に雇用されている労働者である。社員は正規社員、派遣社員、契約社員、パートやアルバイトなどが含まれてよい。社員を出力システムのユーザーと称してもよい。
【0020】
<システム構成例>
図2は、本実施形態の出力システム1のシステム構成例を示す。図2では社内8、自宅9、及び、外部オフィス7の3つの勤務場所がある。このうち、自宅9、及び、外部オフィス7がリモートワークにおける勤務場所である。自宅9及び外部オフィス7を単に「社外」という場合がある。社内8には、一台以上の画像形成装置20、一台以上の端末装置30、及び、ゲートウェイサーバ70が存在する。
【0021】
自宅9と外部オフィス7にも、一台以上の画像形成装置20、及び、一台以上の端末装置30、が存在する。自宅9と外部オフィス7の端末装置30は、社内8の端末装置30を社員が持ち出したものでもよいし、自宅用又は外部オフィス7に予め設置されている端末装置30でもよい。ただし、自宅用又は外部オフィス7用の端末装置30には、情報処理システム10と通信して印刷ログ等を送信するためのアプリケーションプログラム(以下、アプリという)がインストールされる。
【0022】
なお、以下の説明において、1つ以上の端末装置30a、30b、・・・のうち、任意の端末装置30を示す場合、「端末装置30」を用いる。1つ以上の画像形成装置20a、20b、・・・のうち、任意の画像形成装置20を示す場合、「画像形成装置20」を用いる。
【0023】
また、外部オフィス7は、サテライトオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペース、又はレンタルオフィス等と呼ばれてもよい。社員が社内8以外でもオフィスと同様に勤務することが可能なように、外部オフィス7には、画像形成装置20、会議室、電源、及び、無線LAN等の設備が用意されている。外部オフィス7は主に商用サービスであるが、自治体が無料で提供してもよいし、マンションの共有施設が利用されてもよい。また、画像形成装置20による印刷が可能なら、社員は喫茶店やネットカフェ等で勤務してもよい。
【0024】
画像形成装置20は、端末装置30から送信された印刷ジョブを画像に変換して、用紙に画像を形成し、定着させ出力する。画像形成装置20は、プリンタ機能だけでなく、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、及びドキュメントボックス機能の1つ以上を有してよい。このような複数の機能を有する画像形成装置20をMFP(Multifunction Peripheral)や複合機という。また、画像形成装置20は、プリンタ又は印刷装置と呼ばれる場合がある。また、画像形成装置20の印刷方法には、電子写真方式やインクジェット方式があるが、本実施形態ではどちらでもよい。また、社内8、自宅9、又は外部オフィス7の画像形成装置20には印刷速度、カラー/モノクロなどの機能に違いがあってよい。
【0025】
社内8の画像形成装置20はプルプリントに対応していることが好ましい。プルプリントとは、社員が端末装置30やモバイル端末6から印刷ジョブをサーバに登録しておき、画像形成装置20を操作して印刷ジョブをサーバからダウンロードして印刷する仕組みをいう。プルプリントはセキュア印刷等と呼ばれる場合もある。本実施形態では、社内8の画像形成装置20は情報処理システム10(又はゲートウェイサーバ70)から印刷ジョブをダウンロードして、印刷できる。
【0026】
社内8の画像形成装置20には、印刷ログを送信するものと送信しないものがある。この違いは、画像形成装置20に所定のアプリが搭載されているか否かによる。一方、アプリが搭載された端末装置30は印刷ログを情報処理システム10に送信するので、1回の印刷ジョブの実行で、端末装置30と画像形成装置20から同じ印刷ログが情報処理システム10に送信される場合がある。このため、情報処理システム10はジョブID等で印刷ログをマージする。本実施形態では、情報処理システム10が、マージ後の印刷ログを処理するものとする。なお、自宅9又は外部オフィス7の画像形成装置20はアプリが搭載されていないので、印刷ログを送信することはない。
【0027】
また、本実施形態では、情報処理システム10が、社外で印刷された業務用のドキュメントの印刷コストを精算するので、社内8の画像形成装置20や社内8の端末装置30は、印刷ログを情報処理システム10に送信しなくてもよい。
【0028】
端末装置30は、社員が印刷ジョブを画像形成装置20に送信して、印刷を実行するためのコンピュータである。端末装置30は、Windows(登録商標)、MAC OS(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)等、一般的なOSで動作するデスクトップPC(パーソナルコンピュータ)、ノート型PC、スマートフォン、タブレット端末等でよい。この他、端末装置30は所定のアプリが動作可能な装置であればよい。また、このアプリはWebアプリでもよいし、ネイティブアプリでもよい。本実施形態では、該アプリは、例えば常駐型のアプリであり、情報処理システム10又はゲートウェイサーバ70のURL(IPアドレスでもよい)を保持している。また、アプリには、出力システム1のユーザーの識別情報(例えば、社員ID、ドメイン、コンピュータ名等)が設定されている。
【0029】
情報処理システム10は、一台以上の情報処理装置で実現され、ネットワークを介して、端末装置30又は画像形成装置20と通信する。情報処理システム10は、端末装置30及び画像形成装置20から印刷ログを受信し、経費精算の対象か否かを判断し、判断結果が追加された印刷ログ(経費精算情報)を経費精算システムに登録する。
【0030】
情報処理システム10は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。情報処理システム10は、インターネット上に存在しても、オンプレミス(社内8)に存在してもよい。
【0031】
ゲートウェイサーバ70は、幾つかの役割を有している。役割の1つは、情報処理システム10との通信を維持しておき、情報処理システム10からの通信を受け付けることである。役割の1つは、プルプリントにおいて印刷ジョブを保存することである。プルプリントにおいて印刷ジョブを保存するのは情報処理システム10が多いが、顧客によってはゲートウェイサーバ70に印刷ジョブが保存される。また、役割の1つは、印刷ログを情報処理システム10に送信することである。端末装置30又は画像形成装置20では、社員が、印刷ログを情報処理システム10に送信するか、ゲートウェイサーバ70に送信するかを設定できる。
【0032】
このように、ゲートウェイサーバ70は、端末装置30又は画像形成装置20と情報処理システム10との通信が途絶しても顧客が印刷を実行できるようにしたり、社内8で可能な限り出力システム1を運用したりするための装置なので、本実施形態では必須ではない。本実施形態では、ゲートウェイサーバ70を介した通信については説明を省略する。
【0033】
外部ストレージサーバー40は、業務用のドキュメントを保存している一台以上の情報処理装置である。外部ストレージサーバー40では、社員が業務用のドキュメントを保存できるように社員にログインIDとパスワードが割り当てられている。したがって、情報処理システム10は、各社員のログインIDとパスワードを使用して、社員ごとにドキュメントのダウンロード履歴を取得できる。
【0034】
勤怠管理システム60は、社員の入館履歴、及び、勤務時間を記録している。勤務先の入館ゲート50aと退館ゲート50bに配置されたICリーダーが、社員が携帯するICカードを読み取って社員ごとに入館履歴が記録される。また、社員が出勤しない場合(リモートワーク時)、社員は社外から端末装置30を情報処理システム10に接続して、Webサイトから勤務開始時刻と勤務終了時刻を打刻する。打刻方法はこれに限られず、勤務開始時と終了時に社員がメール送信してもよい。なお、社員は、このような勤務時間の自己申告を企業への出勤時には行わなくてよい。
【0035】
<ハードウェア構成例>
本実施形態に係る出力システム1に含まれる情報処理システム10、端末装置30及び
画像形成装置20のハードウェア構成について説明する。
【0036】
<<情報処理システム及び端末装置>>
図3は、本実施形態に係る情報処理システム10及び端末装置30の一例のハードウェア構成を示す図である。図3に示されているように、情報処理システム10及び端末装置30はコンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0037】
これらのうち、CPU501は、情報処理システム10及び端末装置30全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0038】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光メディア513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光メディア513は、CD、DVD、Blu-Ray(登録商標)等でよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0039】
<<画像形成装置>>
図4は、画像形成装置20のハードウェア構成図である。図4に示されているように、画像形成装置20は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0040】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0041】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置20の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0042】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0043】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931、プリンタ部932、及びファクシミリ部との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されてもよい。
【0044】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0045】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0046】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931、プリンタ部932及びファクシミリ部933を有している。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、画像形成装置20全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0047】
なお、画像形成装置20は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。画像形成装置20は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0048】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0049】
<機能について>
次に、本実施形態に係る出力システム1の機能構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る出力システム1の一例の機能構成を示す図である。
【0050】
<<端末装置>>
端末装置30は、印刷ログ送信部41と、印刷処理監視部42とを有する。端末装置30が有する各機能部は、端末装置30にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。この構成は、自宅9、社内8及び外部オフィス7で同じでよい。
【0051】
端末装置30は、画像形成装置20に印刷ジョブの実行を要求する場合と、情報処理システム10に印刷ジョブを送信しておき画像形成装置20がダウンロードする(プルプリント)場合がある。端末装置30の以下の機能は、端末装置30が画像形成装置20に印刷ジョブの実行を要求する場合の機能である。プルプリントの場合(社内で行われる)、印刷ログは画像形成装置20が情報処理システム10に送信する。
【0052】
印刷処理監視部42は、社員が端末装置30で動作するワープロソフトなどから文書を印刷することで、ワープロソフトからプリンタドライバーに渡された印刷ジョブに関する情報を、プリンタドライバーから取得する。印刷処理監視部42は、印刷ジョブを印刷ログ送信部41に送信する。
【0053】
印刷ログ送信部41は、1つ以上の印刷ジョブが蓄積された印刷ログを情報処理システム10に送信する。印刷ログ送信部41はリアルタイムに印刷ログを送信してもよいし、一定時間ごとに送信してもよいし、又は、印刷ログが一定量蓄積したら送信してもよい。
【0054】
なお、図5では、本実施形態の特徴部のみを示し、端末装置30が有する一般的な機能(表示制御部、操作受付部等)は省略されている。
【0055】
<<画像形成装置>>
画像形成装置20の以下の機能は、端末装置30が画像形成装置20に印刷ジョブの実行を要求する場合、及び、プルプリントで印刷される場合の機能である。
【0056】
社内8の画像形成装置20は、印刷ログ送信部43を有する。画像形成装置20が有する各機能部は、画像形成装置20にインストールされた1以上のプログラム(アプリ)に含まれる命令を図4に示したCPU901が実行することで実現される機能又は手段である。なお、自宅9又は外部オフィス7の画像形成装置20は、アプリがインストールされていないので、印刷ログを情報処理システム10に送信しない。
【0057】
印刷ログ送信部43は、画像形成装置20が蓄積する印刷ログを情報処理システム10に送信する。印刷ログ送信部43はリアルタイムに印刷ログを送信してもよいし、一定時間ごとに送信してもよいし、又は、印刷ログが一定量蓄積したら送信してもよい。
【0058】
なお、上記のように印刷ジョブは情報処理システム10でマージされるので、印刷ジョブがプルプリントで実行されても、端末装置30から直接、実行されても、印刷ログ送信部43は区別なく印刷ログを情報処理システム10に送信してよい。プルプリントによる印刷ログに、その旨が記録されてもよい。
【0059】
<<勤怠管理システム>>
勤怠管理システム60は、通信部61、入退館検出部62、及び申告受付部63を有している。勤怠管理システム60が有する各機能部は、勤怠管理システム60にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。また、勤怠管理システム60は、図3に示したHD504やRAM503等に構築される勤務時間情報記憶部65と入退館履歴情報記憶部64を有している。
【0060】
通信部61は、情報処理システム10からの要求に対し、又は、1日に1回などの決まったタイミングで、勤務時間情報記憶部65に記憶されている勤務時間情報、及び、入退館履歴情報記憶部64に記憶されている入退館履歴情報を情報処理システム10に送信する。
【0061】
入退館検出部62は、社員が入館する入館ゲート50aや退館する退館ゲート50bに配置されたICカードリーダーから、読み取られたカード番号を受信する。カード番号は社員IDと対応付けられており、入退館検出部62は各社員の入館履歴と退館履歴を入退館履歴情報記憶部64に記録する。
【0062】
申告受付部63は、社員がリモートワークした場合に、勤務時間の申告を受け付ける。申告受付部63はWebサーバとして勤務時間の入力用のWebページを端末装置30に提供し、社員が申請する勤務開始時刻と勤務終了時刻を勤務時間情報記憶部65に保存する。なお、勤務時間の申告は、社員がリモートワークした場合にだけ必要になる。仮に、出勤時に勤務時間を申請しても、入館履歴が優先される。
【0063】
図6は、入退館履歴情報の一例を示す。図6に示すように、入退館履歴情報は、日付に対する入館時刻と退館時刻のリストである。入館時刻は、社員が入館ゲート50aを通過した時刻、退館時刻は、社員が退館ゲート50bを通過した時刻である。入館時刻と退館時刻は、出勤した場合にのみ記録される。入館時刻と出勤時刻の間に実行された印刷ジョブは、社内の画像形成装置20が使用されていると判断してよい。
【0064】
図7は、勤務時間情報の一例を示す。図7に示すように、勤務時間情報は、日付に対する勤務開始時刻と勤務終了時刻のリストである。勤務開始時刻は、社員が出勤した時刻、勤務終了時刻は、社員が退勤した時刻である。勤務開始時刻と勤務終了時刻の間に実行された印刷ジョブは、社外における印刷であるが経費の精算対象と判断される。
【0065】
<<外部ストレージサーバー>>
図5に戻って説明する。外部ストレージサーバー40は、通信部31を有している。外部ストレージサーバー40が有する各機能部は、外部ストレージサーバー40にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。また、外部ストレージサーバー40は、図3に示したHD504やRAM503等に構築されるドキュメント取得履歴情報記憶部32を有している。
【0066】
通信部31は、情報処理システム10からの要求に対し、又は、1日に1回などの決まったタイミングで、ドキュメント取得履歴情報記憶部32に記憶されているドキュメント取得履歴情報を情報処理システム10に送信する。
【0067】
図8は、ドキュメント取得履歴情報の一例を示す。図8に示すように、ドキュメント取得履歴情報は、ダウンロード日と時刻に対応付けられたドキュメント名のリストである。ドキュメント名はファイル名でよい。外部ストレージサーバー40は、会社が社員に割り当てた記憶領域なので、業務で使用するドキュメントが保存されているものとする。
【0068】
<<情報処理システム>>
情報処理システム10は、クラウドサービスA,Bの3つの機能を有している。クラウドサービスA,Bは一つのサービスとして存在してもよいし、図5のように一つずつが独立して存在してもよい。また、クラウドサービスA,Bはそれぞれ別の情報処理装置に配置されてもよいし、一台の情報処理装置に配置されてもよい。
【0069】
クラウドサービスA,Bの主な機能は以下のとおりである。
クラウドサービスA = 印刷ジョブ解析サービス
クラウドサービスB = 経費精算サービス(経費精算システム)
端末装置30又は画像形成装置20から送信された印刷ログは、クラウドサービスAで、経費の精算対象か否か判断される。クラウドサービスAは、通信部11と、解析部12と、勤怠情報取得部13と、取得情報取得部14と、経費精算登録部15と、を有している。クラウドサービスAが有する各機能部は、情報処理システム10にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。クラウドサービスBについても同様である。
【0070】
また、クラウドサービスAは、図3のHD504等に形成される印刷ログ記憶部18と判断条件記憶部19とを有している。
【0071】
通信部11は、印刷ジョブを端末装置30及び画像形成装置20から受信する。通信部11は、端末装置30又は画像形成装置20から送信された印刷ログを単に受信してもよいし、端末装置30又は画像形成装置20に印刷ログの有無を問い合わせてもよい。通信部11は、受信した印刷ログを印刷ログ記憶部18に保存する。
【0072】
勤怠情報取得部13は、勤怠管理システム60から勤務時間情報と入退館履歴情報を取得する。取得情報取得部14は、外部ストレージサーバー40からドキュメント取得履歴情報を取得する。
【0073】
解析部12は、印刷ログが、「精算対象」か「精算対象でない」かを判断条件記憶部19に記憶されている判断条件を使って仕分ける。解析部12は、「精算対象」か「精算対象でない」の判断結果を印刷ログに登録する。
【0074】
経費精算登録部15は、「精算対象」か「精算対象でない」の判断結果が添付された印刷ログ(これを経費精算情報という)を、経費精算情報として情報処理システム10に送信する。
【0075】
図9は、印刷ログの一例を示す。印刷ログは印刷ジョブのリストである。印刷ログは、ID、印刷日、印刷時刻、印刷枚数(モノクロ)、印刷枚数(フルカラー)、ドキュメント名、及び、精算対象の判断結果、の各項目を有している。
・IDは、印刷ジョブの識別情報である。
・印刷日と印刷時刻は、画像形成装置20が印刷ジョブを実行した日時である。
・印刷枚数(モノクロ)は、印刷ジョブにおいて印刷されたモノクロの印刷枚数である。・印刷枚数(フルカラー)は、印刷ジョブにおいて印刷されたフルカラーの印刷枚数である。
・ドキュメント名は、印刷されたドキュメントのファイル名である。
・精算対象の判断結果は、印刷ジョブが精算対象か否かの判断結果である。精算対象のドキュメントは、社外で印刷されたことが推定されるドキュメントである。YESは精算対象を、NOは精算対象でないことを示す。
【0076】
図10は、判断条件記憶部19が保持する判断条件を示す図である。判断条件の各項目について説明する。条件番号は、判断条件の識別情報である。図10では、一例として、3つの判断条件がある。
条件1 印刷時刻が入館中に含まれる
条件2 ドキュメント名が外部ストレージサーバー40からダウンロードしたファイル名と同じである
条件3 印刷時刻が勤務時間内に含まれる
まず、条件1で、印刷時刻が入館中に含まれる場合、社員が社内に存在した時間帯に印刷したことが分かるので、精算対象から除外できる。条件1の判断時には、解析部12は、条件2,3は考慮しない。
【0077】
次に、条件2で、外部ストレージサーバー40からダウンロードしたドキュメントは、業務用のドキュメントなので、社員が社外に存在した状態で印刷しても、精算対象に含める。条件2の判断時には、解析部12は、条件3を考慮しない。
【0078】
次に、条件3で、勤務時間内の印刷はリモートワーク中の印刷であることを示すので、勤務時間内の印刷は精算対象に含める。
【0079】
条件1~3のこの順番に判断しなくてもよいが、精算対象か否かの再判断が必要になることを避けるため(条件1>条件2>条件3の関係があるため)、条件1~3の順番に判断することが好ましい。
【0080】
解析部12は、条件1を満たす印刷ログは、費用の精算対象でないと判断する。解析部12は、条件2,3のいずれかを満たす印刷ログは、費用の精算対象であると判断する。
【0081】
クラウドサービスBは、経費精算情報取得部21、経費精算処理部22、及び、経費精算画面提供部23を有する。また、クラウドサービスBは、図3のHD504等に形成される経費精算情報記憶部24を有している。
【0082】
経費精算情報取得部21は、「精算対象」か「精算対象でない」の判断結果が添付された印刷ログに関する経費精算情報をクラウドサービスAから取得する。経費精算情報は経費精算情報記憶部24に保存される。
【0083】
経費精算処理部22は、経費精算情報記憶部24に保存されている経費精算情報に基づいて経費を精算する。すなわち、経費精算処理部22は、例えば月末などの締め日に、精算対象の印刷ジョブについて社員ごとに費用を計算し、社員に支払われるように処理する。
【0084】
経費精算画面提供部23は、経費精算画面を端末装置30に提供し、社員からの経費精算の変更等を受け付ける。
【0085】
<入館時刻、退館時刻の記録>
図11は、情報処理システム10が各社員の入館時刻、退館時刻を記録する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0086】
S1:入館ゲート50aに社員がICカードをかざすと、ICカードリーダーがカード番号を読み取って勤怠管理システム60に送信する。
【0087】
S2:入退館検出部62は、カード番号を社員IDに変換して、現在時刻を入館時刻として入退館履歴情報記憶部64に保存する。
【0088】
S3:退館ゲート50bに社員がICカードをかざすと、ICカードリーダーがカード番号を読み取って勤怠管理システム60に送信する。
【0089】
S4:入退館検出部62は、カード番号を社員IDに変換して、現在時刻を退館時刻として入退館履歴情報記憶部64に保存する。
【0090】
このように、社員ごとに入館時刻、退館時刻が記録される。
【0091】
<勤務時間の申請>
図12は、端末装置30が表示する勤務時間の申請画面200の一例である。勤務時間の申請画面200は、端末装置30が勤怠管理システム60に接続して表示する画面である。社員はログインすることで、社員IDが特定されている。
【0092】
勤務時間の申請画面200は、出勤ボタン201、退勤ボタン202、及び、打刻ボタン203を有している。社員は、リモートワークを開始する際に出勤ボタン201を選択した状態で打刻ボタン203を押下し、リモートワークを終了する際に退勤ボタン202を選択した状態で打刻ボタン203を押下する。打刻ボタン203が押下された場合、出勤した旨又は退勤した旨が勤怠管理システム60に送信され、申告受付部63が勤務時間情報記憶部65に、社員IDに対応付けて勤務開始時刻又は勤務終了時刻を保存する。
【0093】
<印刷ジョブが精算対象か否かの判断手順>
図13は、印刷ログに含まれる印刷ジョブが精算対象か否かを判断する全体的な手順を説明するシーケンス図の一例である。
【0094】
S11:端末装置30の印刷ログ送信部43は、印刷ログを情報処理システム10に送信する。送信タイミングは印刷ごとでも、決まった時刻でも、一定量の印刷ログが蓄積されたタイミングのいつでもよい。また、端末装置30は社内又は社外のいずれに存在してもよい。情報処理システム10の通信部11は、印刷ログを受信し、印刷ログ記憶部18に保存する。
【0095】
S12:勤怠管理システム60の通信部61は、入退館履歴情報及び勤務時間情報を情報処理システム10に送信する。送信タイミングは入館、退館、勤務開始、又は勤務終了ごとでも、決まった時刻でも、一定量の入退館履歴情報及び勤務時間情報が蓄積されたタイミングのいつでもよい。また、入退館履歴情報及び勤務時間情報は異なるタイミングで送信されてもよい。情報処理システム10の勤怠情報取得部13は入退館履歴情報及び勤務時間情報を取得する。
【0096】
S13:外部ストレージサーバー40の通信部31は、ドキュメント取得履歴情報を情報処理システム10に送信する。送信タイミングはドキュメントの取得ごとでも、決まった時刻でも、一定量のドキュメント取得履歴情報が蓄積されたタイミングのいつでもよい。情報処理システム10の取得情報取得部14はドキュメント取得履歴情報を取得する。
【0097】
S14:情報処理システム10の解析部12は、判断条件記憶部19に記憶されている条件1~3を使用し、印刷ジョブごとに精算対象か否かを判断する。この処理の詳細を図14図17を使用して説明する。
【0098】
図14は、解析部12が印刷ジョブごとに精算対象か否かを判断する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0099】
まず、解析部12は、入退館履歴情報に基づいて、印刷ジョブが精算対象か否かを判断する(S101)。詳細を図15にて説明する。
【0100】
次に、解析部12は、ダウンロード履歴情報に基づいて、印刷ジョブが精算対象か否かを判断する(S102)。詳細を図16にて説明する。
【0101】
次に、解析部12は、勤務時間情報に基づいて、印刷ジョブが精算対象か否かを判断する(S103)。詳細を図17にて説明する。
【0102】
このような順番で判断することで、印刷ジョブに対する重複した判断をなくすことができる。
【0103】
図15は、印刷ジョブが精算対象か否かの入退館履歴情報に基づく判断結果を説明する図である。図15(a)は入退館履歴情報を示し、図15(b)は入退館履歴情報に基づく判断結果を示す。なお、図15(a)は図6と同じものであるが説明のため再掲した。
【0104】
入退館履歴情報によれば、2011年1月10日の入館時刻が9:00,退館時刻が17:30である。印刷ログによると、2011年1月10日に印刷ジョブがあるが、13:50に印刷されているので、社員が社内に存在した時間帯に印刷したと判断し、解析部12が精算対象でない(NO)と判断する。
【0105】
図16は、印刷ジョブが精算対象か否かのダウンロード履歴情報に基づく判断結果を説明する図である。図16(a)はダウンロード履歴情報を示し、図16(b)はダウンロード履歴情報に基づく判断結果を示す。なお、図16(a)は図8と同じものであるが説明のため再掲した。条件1>条件2>条件3の関係があるので、解析部12は条件1で判断されていない印刷ジョブのみを判断する。
【0106】
ダウンロード履歴情報によれば、「CCC.docx」と「GGG.pptx」がダウンロードされたことが分かる。印刷ログによると、「CCC.docx」と「GGG.pptx」を印刷した印刷ジョブがあるので、この2つの印刷ジョブ(ID=3,7)は、勤務時間内か否かに関係なく、解析部12が精算対象である(YES)と判断する。
【0107】
ファイル名の一致だけでなく、ダウンロード日と印刷日時が同じ場合に、精算対象と判断したり、ダウンロードした時刻から一定時間内に印刷されている場合に精算対象と判断したりしてもよい(ダウンロードした時刻から一定時間が経過している場合、経費の精算対象でないと判断する)。
【0108】
図17は、印刷ジョブが精算対象か否かの勤務時間情報に基づく判断結果を説明する図である。図17(a)は勤務時間情報を示し、図17(b)は勤務時間情報に基づく判断結果を示す。なお、図17(a)は図7と同じものであるが説明のため再掲した。条件2>条件3の関係があるので、解析部12は、条件1,2で判断されていない印刷ジョブのみを判断する。
【0109】
勤務時間情報によれば、社員は、2011年1月11日から2011年1月15日の各日にち、9:00~17:30まで勤務した。印刷ログによると、IDが2の印刷ジョブが勤務時間内、IDが4の印刷ジョブが勤務時間内、IDが5の印刷ジョブが勤務時間外、IDが6の印刷ジョブが勤務時間内、である。したがって、解析部12は、IDが2、4,6の印刷ジョブを精算対象、IDが5の印刷ジョブを精算対象でないと判断する。
条件1>条件2>条件3の関係があるので、解析部12は、この順番で判断する場合、精算対象か否かが判断されていない印刷ジョブのみ判断すればよい。この順番で判断されない場合、解析部12は、すでに精算対象か否かが判断されている印刷ジョブも再度、判断する。
【0110】
<社員による精算対象か否かの修正>
図18は、社員が精算対象か否かの修正を手動で行う処理の手順を示すシーケンス図の一例である。例えば、月末などの締め日の前にクラウドサービスBが、精算対象か否かの判断を見直すようにメールなどで促す。
【0111】
S31:社員が端末装置30を操作して情報処理システム10にログインする。ログインにより社員IDが特定される。社員が精算対象か否かの修正を手動で行うための手動修正画面を要求すると、情報処理システム10の経費精算画面提供部23が社員IDに対応付けられた印刷ログを含む手動修正画面を端末装置30に提供する。
【0112】
S32:端末装置30は手動修正画面の画面情報を受信し、表示する。手動修正画面の一例を図19に示す。社員は、任意の印刷ジョブについて精算対象か否かの判断結果を修正できる。端末装置30は修正を受け付ける。
【0113】
S33:端末装置30は修正内容を情報処理システム10に送信する。経費精算画面提供部23は修正内容にしたがって、経費精算情報記憶部24に保存されている経費精算情報の精算対象の判断結果を修正する。
【0114】
図19は、手動修正画面210の一例である。手動修正画面210は、印刷日211、印刷時刻212、及びドキュメント名213に対応付けて、修正ボタン214を有している。修正ボタン214は、YES又はNOを表示するプルダウンメニューである。社員はプルダウンメニューでYES又はNOを選択することで、印刷ジョブごとに精算対象か否かを修正できる。
【0115】
<主な効果>
本実施形態によれば、条件1~3により、印刷ジョブが精算対象か否かを判断できる。条件1~3の順に判断することで重複する判断をなくすことができる。社員は費用精算のための作業を全くすることなく、又は、最小限の作業で、リモートワークで印刷した業務用のドキュメントの印刷コストを精算できる。
【0116】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0117】
例えば、本実施形態では、リモートワーク時の印刷物のコストを生産する方法を説明したが、出力にコストが発生し出力の記録が情報処理システム10に送信できる出力物であれば同様に適用できる。
【0118】
また、図5などの構成例は、端末装置30、画像形成装置20及び情報処理システム10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。端末装置30、画像形成装置20及び情報処理システム10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0119】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0120】
更に、情報処理システム10は、本実施形態で開示された処理ステップ、例えば図13を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、情報処理システム10が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、情報処理システム10は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0121】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0122】
1 出力システム
10 情報処理システム
20 画像形成装置
30 端末装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特開2000-214186号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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