(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070474
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】定着装置、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230512BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230512BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
G03G21/00 386
G03G21/14
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182679
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】行方 伸一
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA20
2H033AA47
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA59
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB29
2H033BB30
2H033BE00
2H033BE06
2H033CA03
2H033CA07
2H033CA16
2H033CA20
2H033CA26
2H033CA30
2H033CA37
2H033CA57
2H270KA04
2H270KA32
2H270KA36
2H270LA25
2H270LC04
2H270MA35
2H270MB07
2H270MB43
2H270MC13
2H270MC28
2H270MC78
2H270MD17
2H270MD29
2H270MF17
2H270MH09
2H270NB22
2H270NC01
2H270NC08
2H270PA14
2H270PA16
2H270PA83
2H270QB05
2H270QB14
2H270ZC06
2H270ZD01
(57)【要約】
【課題】連続ジョブの時間を短縮でき、トナーの劣化を抑制可能な定着装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に転写された可視像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために当該定着装置の定着温度を上昇又は下降させる際に、当該定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知を行う、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知を行うことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に転写された可視像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、
複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために当該定着装置の定着温度を上昇又は下降させる際に、当該定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知を行う、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知を行う
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
潜像を担持する像担持体と、
前記潜像を現像剤により現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記可視像を定着させる定着手段と、を備え、
前記定着手段は、請求項1に記載の定着装置であり、
前記N番目の現像を開始する旨の通知を行う場合、前記N番目の現像を開始する旨の通知は、前記現像手段の駆動を開始する旨の通知であり、
N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知の後に、N番目の現像を行うために前記現像手段の駆動を開始させる、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知の後に、N番目の画像形成を行うために前記像担持体の駆動を開始させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記連続ジョブにおいて、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合であり、かつ、N-1番目の記録媒体の定着を行った後に前記定着手段の定着温度をN番目の記録媒体の定着温度にするまでに所定の時間がかかる場合、N-1番目の現像が終了してからN番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知までの間、又は、N-1番目の現像が終了してからN番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知がなされるまでの間、前記現像手段の駆動を停止させる、又は、前記像担持体の駆動を停止させる
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
潜像を担持する像担持体と、
前記潜像を現像剤により現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記可視像を定着させる定着手段と、を備える画像形成装置であって、
複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着手段の定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着手段が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始する、又は、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記連続ジョブにおいて、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合であり、かつ、N-1番目の記録媒体の定着を行った後に前記定着手段の定着温度をN番目の記録媒体の定着温度にするまでに所定の時間がかかる場合、N-1番目の現像が終了してからN番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始するまでの間、又は、N-1番目の現像が終了してからN番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始するまでの間、前記現像手段の駆動を停止させる、又は、前記像担持体の駆動を停止させる
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着手段の定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着手段が通紙可能状態となるときの前記定着手段の定着温度と、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始するときの前記定着手段の定着温度との差が所定の値以上である、又は、
N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着手段の定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着手段が通紙可能状態となるときの前記定着手段の定着温度と、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始するときの前記定着手段の定着温度との差が所定の値以上である
ことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度をあらかじめ求めておき、前記上昇速度又は前記下降速度に基づいて、前記現像手段の駆動を開始する時間又は前記像担持体の駆動を開始する時間を算出する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
N番目の記録媒体の定着温度をA[℃]、N-1番目の記録媒体の定着温度をB[℃]、前記定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度をC[℃/s]、前記現像手段の駆動を開始してから駆動状態になるまでの時間をD1[s]、前記定着手段の定着温度の上昇又は下降を開始してからN番目の記録媒体の現像を行うために前記現像手段の駆動を開始するまでの時間をE1[s]としたとき、E1は、
E1=(|A-B|)/C-D1
であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
N番目の記録媒体の定着温度をA[℃]、N-1番目の記録媒体の定着温度をB[℃]、前記定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度をC[℃/s]、前記像担持体の駆動を開始してから駆動状態になるまでの時間をD2[s]、前記定着手段の定着温度の上昇又は下降を開始してからN番目の記録媒体の画像形成を行うために前記像担持体の駆動を開始するまでの時間をE2[s]としたとき、E2は、
E2=(|A-B|)/C-D2
であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
現像手段を用いて、像担持体が担持する潜像を現像剤により現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記可視像を定着させる定着工程と、を有する画像形成方法であって、
複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着工程での定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着工程で通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始する、又は、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始する
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真二成分現像技術や熱定着技術を用いた画像形成装置により、様々な用紙に画像を形成することが行われている。
【0003】
従来技術では、様々な用紙に連続で画像を形成する際、用紙切替に伴い、定着の温度調整待ちが生じることがある。また定着後に、後処理装置フィニッシャでステープル、パンチ穴、中綴じ、製本処理をする間、これらの処理の終了を待つ場合がある。この場合、これらの処理の終了を待っている間、トナー像形成工程(現像工程)では待ち、つまり空回りをすることがある。
【0004】
上記の待ちが生じると、例えばキャリアとトナーを混合している二成分現像では、トナーの収支がない状態で回転を続けることとなり、トナーが劣化してしまう。トナーの劣化としては、例えばトナー母体の表面に存在すべき添加剤がトナー母体に埋没したり、トナー母体の表面から添加剤が欠損したりすることが挙げられる。トナーが劣化すると、転写ムラなどが生じ、画像劣化につながる。
【0005】
特許文献1では、ぺージ間が開いた際に現像器の駆動を停止させ、給紙信号ONの後に、現像器の駆動を再開させることが開示されている。また、後続ページの画像部の画像パターンに基づいて、2ページの画像部間の非画像領域において停止されていた現像器の現像駆動の再開タイミングを決定している。特許文献1によれば、後続ページの画像部の画像パターンに応じて適切な再開タイミングを設定することができ、余分な再開マージンを削ることができるとしている。これにより、画像形成に不必要な現像駆動により現像剤に与えるストレスを低減し、現像剤に与えるストレスを最小限に抑えることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、用紙切り替えの際の紙間(画像間)が大きい場合、現像器を立下げ、給紙信号ONの後に現像器を再開させている。一般的に給紙信号ONは、定着手段が通紙可能状態になってからなされるものと考えられる。
【0007】
しかしながら、このように給紙信号ONの後に現像器を立ち上げる場合、定着手段が通紙可能状態であるにも関わらず、定着手段に用紙が搬送されず、ジョブの時間が長くなるという問題が生じる。一方、定着手段の定着温度を上昇させる際に、現像手段を駆動させたままにすると、ジョブの時間が長くなることを防止できるが、トナーの劣化が生じてしまうことがある。従来技術では、このような問題を同時に解決することができていなかった。
【0008】
そこで本発明は、連続ジョブの時間を短縮でき、トナーの劣化を抑制可能な定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、記録媒体に転写された可視像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために当該定着装置の定着温度を上昇又は下降させる際に、当該定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知を行う、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連続ジョブの時間を短縮でき、トナーの劣化を抑制可能な定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の画像形成装置の一例を説明するための概略図である。
【
図2】本発明の定着装置の一例を説明するための概略図である。
【
図3】本発明の画像形成方法の一例を説明するためのタイムチャートであり、定着手段の定着温度を上昇させる場合の例である。
【
図4】本発明には含まれない画像形成方法の一例を説明するためのタイムチャートである。
【
図5】本発明の画像形成方法の他の例を説明するためのタイムチャートである。
【
図6】本発明の画像形成方法の他の例を説明するためのタイムチャートであり、定着手段の定着温度を下降させる場合の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る定着装置、画像形成装置及び画像形成方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明の定着装置は、記録媒体に転写された可視像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために当該定着装置の定着温度を上昇又は下降させる際に、当該定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知を行う、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、前記潜像を現像剤により現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記可視像を定着させる定着手段と、を備え、前記定着手段は、本発明の定着装置であり、前記N番目の現像を開始する旨の通知を行う場合、前記N番目の現像を開始する旨の通知は、前記現像手段の駆動を開始する旨の通知であり、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知の後に、N番目の現像を行うために前記現像手段の駆動を開始させる、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知の後に、N番目の画像形成を行うために前記像担持体の駆動を開始させることを特徴とする。なお、本実施形態においては、定着装置と定着手段は同じ意味である。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、前記潜像を現像剤により現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記可視像を定着させる定着手段と、を備える画像形成装置であって、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着手段の定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着手段が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始する、又は、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始することを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成方法は、現像手段を用いて、像担持体が担持する潜像を現像剤により現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記可視像を定着させる定着工程と、を有する画像形成方法であって、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着工程での定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着工程で通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始する、又は、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始することを特徴とする。
【0017】
以下、本発明の画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式のタンデム型カラープリンタ(以下、プリンタ200という)を例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るプリンタ200の概要構成説明図である。また、
図2は、本実施形態のプリンタ200に備えることができる定着装置の構成例の説明図である。
【0019】
プリンタ200は、
図1に示すように、装置本体上部に位置する画像形成部200Aとこの画像形成部200Aの下方に位置する給紙部200Bとを備える高速機である。また、プリンタ200は、画像形成部200Aに定着装置100(定着手段)を組み込んでいる。
【0020】
画像形成部200Aには、装置本体の上下方向着中央に中間転写ベルト210が配置されている。中間転写ベルト210の上部には、色分解色と補色関係にある複数の色に対応したトナー像を形成するための構成が設けられている。具体的には、各補色関係にある色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を担持可能な像担持体(潜像担持体)としての感光体205Y,M,C,Kが中間転写ベルト210の上部転写面に沿って並べて配置されている。
【0021】
感光体205Y,M,C,Kは、それぞれ同じ方向(図中、反時計回り方向)に回転可能なドラム形状のものである。そして、各感光体205の周りにはそれぞれ、帯電装置202Y,M,C,K、現像装置203Y,M,C,K、一次転写装置204Y,M,C,及び感光体クリーニング装置206Y,M,C,K等が配置されている。
【0022】
現像装置203Y,M,C,Kには、それぞれのカラートナーが収容されている。
また、画像形成部200A内の最上部には、光書き込み装置201Y,Mと、光書き込み装置201C,Kが配置されている。
【0023】
中間転写ベルト210は、駆動ローラと従動ローラに掛け回されて感光体205Y,M,C,Kとの対向位置において、同じ方向に移動可能な構成を有している。また、従動ローラの1つである二次転写対向ローラ211に対向する位置に、二次転写ローラ212が設けられている。また、二次転写ローラ212から定着装置100までの、記録媒体(記録材、シートなどとも称する)としての用紙Pの搬送経路は、略水平方向の横パスとなっている。
【0024】
給紙部200Bは、用紙Pを積載収容する給紙トレイ220と、搬送機構とを有している。搬送機構は、該給紙トレイ内の用紙Pを最下のものから順に1枚ずつ分離して、二次転写ローラ212の位置まで搬送する。
【0025】
このプリンタ200における画像形成の一例を説明する。感光体205Yの表面が帯電装置202Yにより一様に帯電され、画像読取部からの画像情報に基づいて感光体205Y上に静電潜像(潜像などとも称する)が形成される。形成された静電潜像はイエロー(Y)のトナーを収容した現像装置203Yによりトナー像として可視像化される。このトナー像は所定のバイアスが印加される一次転写装置204Yにより中間転写ベルト210上に一次転写される。
【0026】
他の感光体205M,C,Kでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト210上に静電気力で順に転写されて重ね合わせられる。
【0027】
次いで、感光体205Y,M,C,Kから中間転写ベルト210上に一次転写されたトナー像は、二次転写対向ローラ211、二次転写ローラ212により搬送されてきた用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、さらに定着装置100まで搬送され、定着ベルト51と加圧ローラ55との定着ニップ部Nにて定着が行われ、定着ニップ部Nの出口側に排出される。ついで、定着ニップ部Nから排出された用紙Pは排出経路に沿ってスタッカ215へ送り出される。
【0028】
また、中間転写ベルト210上に一次転写されずに感光体205Y,M,C,K上に残った転写残トナー等は、それぞれ感光体クリーニング装置206Y,M,C,Kで除去される。また、用紙P上に二次転写されずに中間転写ベルト210上に残った転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置213で除去されて、次の画像形成に備える。
【0029】
図1では、制御部1000を図示している。
図1に示したプリンタ200が制御部1000を有していてもよいし、あるいは定着装置100が制御部1000を有していてもよい。また、あるいはプリンタ200と定着装置100がともに別の制御部を有していてもよい。
【0030】
制御部1000は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有した演算装置から構成された一般的なハードウェアを用いることができ、当該演算装置がプログラムを実行することにより上記制御が行われる。なお、プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0031】
次に、本実施形態の定着装置(定着手段)及び本実施形態のプリンタ200に備えることができる定着装置(定着手段)の一例について説明する。
【0032】
図2は、本実施形態のプリンタ200に好適に備えることができる、2つのベルト加熱方式の定着装置の構成例の概略説明図である。
図2(a)は、加熱ローラ54の加熱手段として、加熱ローラ54の内部にハロゲンヒータ等の加熱ヒータ53aを備える例の概略説明図である。
図2(b)は、加熱ローラ54の加熱手段として、電磁誘導によるIHシステムの加熱手段である誘導加熱手段53bを備える例の概略説明図である。
【0033】
図2(a)に示す構成例と、
図2(b)に示す構成例の定着装置100では、加熱ローラ54を加熱する加熱手段に係る点のみ異なるため、まず、各図に示した構成例に共通する構成を中心に説明する。
【0034】
図2(a)、
図2(b)(以下、適宜、
図2という)に示す定着装置100は、定着カバー100aの内部に、定着ローラ52、加熱ローラ54、定着ベルト51、及び加圧ローラ55を備えている。そして、定着ベルト51を挟んで定着ローラ52に加圧ローラ55が圧接されて、定着ベルト51と加圧ローラ55との間に定着ニップ部Nが形成される。
【0035】
定着ニップ部Nの用紙Pの排出側には、定着分離部材57、加圧分離部材58を備えている。
【0036】
定着ローラ52は、金属の芯金52aにシリコンゴム等からなる弾性ゴム層52bを有したものである。弾性ゴム層52bの材料としては、適宜選択することができ、例えば、発泡のシリコンゴムが挙げられる。発泡のシリコンゴムを用いる場合、定着ベルト51の熱を吸収しにくくでき、ウォームアップ時間を短縮できる。
【0037】
加熱ローラ54としては、例えばステンレス又はニッケル合金の中空ローラを用いることができる。
図2(a)に示す構成例では、その内部にハロゲンヒータを用いた加熱手段である加熱ヒータ53aが設けられている。この場合、加熱ローラ54はハロゲンヒータにより加熱される。
【0038】
一方、
図2(b)に示す構成例では、加熱ローラ54に架け回す定着ベルト51の外周部に対向して、誘導加熱手段53bが設けられている。誘導加熱手段53bは、電磁誘導によるIHシステムの加熱手段である。この場合、加熱ローラ54は誘導加熱手段53bにより加熱される。
【0039】
定着ベルト51は、無端ベルトであり、断面構造としては、例えばポリイミドなどの基材にシリコンゴム層などの弾性層を形成した2層構造となっている。そして、定着ベルト51は、加熱ローラ54と定着フレームに固定された加熱ローラ引張りばねにより、一定のテンションで定着ベルト51と加熱ローラ54に架け渡されている。
【0040】
加圧ローラ55は、アルミ又は鉄等の中空ローラで、中空ローラの外周上にシリコンゴム等からなる弾性層が設けられた円筒形状のローラである。その内部にハロゲンヒータを用いた加熱手段である加熱ヒータ59が設けられている。
【0041】
また、加圧ローラ55は、次のような加圧脱圧手段80により、定着ベルト51側へ加圧する加圧状態と、定着ベルト51から離間して脱圧された脱圧状態(離間状態)とに切り替え可能に構成されている。
【0042】
加圧脱圧手段80は、
図2に示すように加圧レバー81、加圧スプリング82、加圧カム83、及び加圧カムシャフト84を有し、加圧カムシャフト84を駆動モータで回転させることで、加圧状態と脱圧状態とに切り替え可能に構成されている。具体的には、加圧カムシャフト84を回転させることで、加圧ローラ55を定着ベルト51側へ移動させて加圧することと、加圧ローラ55を定着ベルト51から引き離す方向に移動させて離間させて脱圧することが可能である。
【0043】
また、この加圧脱圧手段80を用いて、駆動モータにより加圧カム83のカム位置を調整することで、所定のニップ圧を得ることもできる。
【0044】
定着装置100を駆動するときには、例えば、定着ローラ52の
図2図中、時計回り方向の回転駆動により定着ベルト51が用紙Pを排出する方向に回転し、定着ベルト51に圧接している加圧ローラ55がつれ回りする。なお、回転駆動されるローラは定着ローラ52に限らず加圧ローラ55であっても良い。
【0045】
定着動作時には、
図2(a)に示す例では、まず加熱ローラ54の内部に設けられた加熱ヒータ53aにより加熱ローラ54が加熱され、加熱ローラ54の熱が定着ベルト51に伝熱する。サーモパイル56で検出される定着ベルト51の温度が所定の温度(例えばトナー定着に適する温度)になるまで加熱ローラ54が加熱される。
【0046】
一方、
図2(b)に示す例では、まず加熱ローラ54外部に設けられた誘導加熱手段53の電磁誘導により加熱ローラ54が加熱され、加熱ローラ54の熱が定着ベルト51へ伝熱される。サーモパイル56で検出される定着ベルト51の温度が所定の温度になるまで加熱ローラ54が加熱される。
【0047】
本実施形態において、定着手段の定着温度は、定着ベルト51の温度であり、例えばサーモパイル56で検出される温度である。
【0048】
また、加圧ローラ55においても、昇温の際など必要なときに、内部に配置された加熱ヒータ59の発熱により所定の温度まで加熱される。ここで、本実施形態では、加圧部材としてローラタイプの加圧ローラ55を用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、2つのローラに架け渡された無端ベルトを用いたベルトタイプの加圧部材としても良い。
【0049】
定着装置100では、例えば、定着ベルト51、加圧ローラ55が回転駆動された状態で、定着ベルト51の表面は所定の温度まで加熱される。そして、定着ニップNに未定着のトナー像Tが担持(形成)された用紙Pが搬送(通紙)され、定着ニップNにおける加圧及び加熱により、未定着のトナー像Tを用紙Pに定着させる。
【0050】
このとき、用紙Pが定着ベルト51に巻き付いたまま出てくることがあるため、定着分離部材57により分離される。また、加圧ローラ55側に巻き付いて排出される用紙Pは、加圧分離部材58により分離され、搬送ガイドに沿って搬送される。
【0051】
定着装置100においては、加熱ローラ54が所定の温度まで加熱され、定着装置100で通紙可能状態となった後、定着ニップNへ用紙Pが通紙(搬送)されることになる。なお、通紙と記載しているが、記録媒体としては紙に限られない。
【0052】
上記の加熱ローラ54における所定の温度としては、特に制限されるものではないが、例えば、150℃程度にすることができる。下限や上限は適宜選択することができ、例えば120℃以上200℃以下の範囲が挙げられる。記録媒体の種類によっても適宜変更され、特に記録媒体の定着温度によっても適宜変更される。
【0053】
用紙Pが定着ニップNを通過すると、定着ニップNから熱が奪われるため、これを考慮して加熱を行う。特に、用紙Pを連続で通紙させる連続ジョブの場合、定着ニップNから用紙Pが奪う熱量を補うため、加熱ローラ54は継続的に加熱される。加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51は、定着ニップNに熱を運び、用紙Pにトナーを定着させる。同時に、定着ベルト51は、定着ローラ52にも熱を継続的に与えている。
【0054】
なお、上記の連続ジョブとしては、特に制限されるものではなく、適宜選択することが可能である。連続ジョブは、複数のジョブからなる。単にジョブと称した場合、特に断りのない限り、連続ジョブ内の1つのジョブを意味する。1つのジョブで画像形成を行う記録媒体の枚数は、適宜選択することができ、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。例えば、1つのジョブで10枚以上の用紙Pを連続で通紙させ、このようなジョブを複数行う連続ジョブが挙げられる。
【0055】
上記では、定着ベルトを用いる例を挙げて説明したが、本発明は定着ベルトを用いる場合に限られない。定着ベルトを用いない場合の例としては、例えば、定着ローラと加圧ローラを用いる方法が挙げられる。
【0056】
(第1の実施形態)
次に、本実施形態における画像形成の詳細例について説明する。
本実施形態の定着装置、画像形成装置及び画像形成方法では、定着温度の異なる複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、例えば以下の特徴を有している。
【0057】
本実施形態の定着装置は、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために当該定着装置の定着温度を上昇又は下降させる際に、当該定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知を行う、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知を行う。
【0058】
本実施形態の定着装置を備える画像形成装置において、前記N番目の現像を開始する旨の通知を行う場合、前記N番目の現像を開始する旨の通知は、前記現像手段の駆動を開始する旨の通知であり、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知の後に、N番目の現像を行うために前記現像手段の駆動を開始させる、又は、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知の後に、N番目の画像形成を行うために前記像担持体の駆動を開始させるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態の画像形成装置は、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着手段の定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着手段が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始する、又は、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始する。
【0060】
また、本実施形態の画像形成方法は、複数の記録媒体に対して画像を形成する連続ジョブにおいて、2以上の整数Nをジョブ番号としたとき、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着工程での定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着工程で通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための前記現像手段の駆動を開始する、又は、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始する。
【0061】
本実施形態では、主に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始することについて説明する。N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始することについては、下記の実施形態で説明する。
【0062】
本実施形態について、
図3を用いて一例を説明する。
図3は、本実施形態における連続ジョブを説明するためのタイムチャートである。ここでは、N-1番目のジョブで薄紙に対して画像形成を行い、N番目のジョブで厚紙に対して画像形成を行う場合の例について説明する。
【0063】
本例は、1つのジョブで1つの記録媒体に対して画像形成を行う場合の例である。これは説明のしやすさの観点も考慮しており、本実施形態はこの例に限られない。本実施形態には、1つのジョブで複数の記録媒体に対して画像形成を行う態様も含まれる。ただし、本実施形態において、1つのジョブ内で画像形成を行う記録媒体の種類、特に定着温度は、同じであるものとする。
【0064】
また、本例は、N番目のジョブの画像形成を行うために、定着手段の定着温度を上昇させる場合の例である。本実施形態には、N番目のジョブの画像形成を行うために、定着手段の定着温度を下降させる態様も含まれる。
【0065】
本実施形態における厚紙及び薄紙の定義としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、RicohProC7200シリーズでは坪量が105gsm(g/m2)以下を薄紙とし、220gsm以上を厚紙とすることができる。なお、RicohProC7200シリーズでは360gsm程度を最大としている。
【0066】
図3中、(a)は作像動作状態を表し、(b)は作像駆動を表し、(c)は定着動作状態を表す。(a)~(c)の縦軸は単位があるものではなく、どのような状態であるかを模式的に説明するものである。(d)は定着手段の定着温度を表し、縦軸の単位は温度である。定着手段の定着温度としては、適宜選択することができ、例えば定着手段が有する定着部材の温度を表し、本例では定着ベルト51の温度としている。また、(a)~(d)の横軸は時間を表している。
【0067】
なお、以下、作像動作状態を「(a)作像動作状態」と表記することもあるし、「作像動作状態(a)」と表記することもある。また、単に「作像動作状態」と表記することもある。(b)作像駆動、(c)定着動作状態及び(d)定着手段の定着温度についても同様である。
【0068】
作像は、像担持体の駆動、潜像形成、現像、転写を含む動作である。像担持体の除電やクリーニングを作像に含めてもよい。
像担持体の駆動は、像担持体の回転であるともいえる。
潜像形成は、像担持体に潜像(静電潜像などと称してもよい)を形成することであり、例えば帯電手段、露光手段を用いる。
現像は、潜像を現像剤により可視化して可視像(トナー像)を形成する。
転写は、可視像を記録媒体に転写する。
作像を行った後、定着を行う。
【0069】
まず、本例における連続ジョブのおおまかな流れについて説明する。
N-1番目のジョブにおいて、現像及び転写を行い、更に定着を行う。次いで、N番目のジョブにおいて、N-1番目のジョブと同様に、現像及び転写を行い、更に定着を行う。このような動作は、(a)作像動作状態のa1~a4及び(c)定着動作状態のc1~c4に示している。
【0070】
図示するように、N-1番目のジョブにおける現像及び転写について、開始のタイミングを図中のa1で示しており、終了のタイミングをa2で示している。同様に、N番目のジョブにおける現像及び転写について、開始のタイミングを図中のa3で示しており、終了のタイミングをa4で示している。また、N-1番目のジョブにおける定着について、開始のタイミングをc1、終了のタイミングをc2で示し、同様に、N番目のジョブにおける定着について、開始のタイミングをc3、終了のタイミングをc4で示している。
【0071】
なお、上述したように、本例は1つのジョブで1つの記録媒体の画像形成を行う場合の例である。そのため、図示するように、a2の後にc1となっている。後述もしているが、1つのジョブで複数の記録媒体の画像形成を行う場合、a1、c1、a2、c2の順になる。すなわち、N-1番目のジョブにおける1つ目の記録媒体の転写が終わった後、1つ目の記録媒体の定着が行われるが、1つ目の記録媒体の定着を行っている間に、2つ目以降の記録媒体の現像や転写が行われることとなる。
【0072】
本例における連続ジョブでは、N-1番目の記録媒体が薄紙であり、N番目の記録媒体が厚紙である。N番目の記録媒体の定着温度はN-1番目の記録媒体の定着温度よりも高くなっている。そのため、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために定着手段(定着装置)の定着温度を上昇させる。
【0073】
図中、(d)定着手段の定着温度に、定着温度を上昇させることが図示されている。d1は定着手段の定着温度の上昇を開始する地点であり、d4は定着手段の定着温度が目的の温度に達した時点である。本例では、定着手段の定着温度をN番目の記録媒体(厚紙)の定着温度まで上昇させるため、d4はN番目の記録媒体の定着温度になった時点を表す。
【0074】
上述した
図2(a)に示す例では、加熱ローラ54の内部に設けられた加熱ヒータ53aにより加熱ローラ54が加熱され、これにより定着ベルト51の温度が上昇する。本例では、例えば、サーモパイル56で検出される定着ベルト51の温度を定着手段の定着温度としている。上述した
図2(b)に示す例では、加熱ローラ54外部に設けられた誘導加熱手段53の電磁誘導により加熱ローラ54が加熱され、これにより定着ベルト51の温度が上昇する。そのため、本例では、N-1番目の記録媒体に定着を行った後、定着ベルト51の温度を上昇させ、N番目の記録媒体に定着を行える温度まで上昇させる。
【0075】
(b)作像駆動は、作像を行う部材の駆動を説明するものである。作像駆動としては、例えば、像担持体の駆動(回転)、現像手段の駆動が挙げられる。現像手段の駆動としては、例えば、現像手段が有する現像ローラの駆動(回転)が挙げられる。
【0076】
本例では、N-1番目のジョブの作像動作が終了した後(図中a2の後)、作像駆動の立下げを開始し、作像駆動を停止させる。作像駆動の立下げを開始する時点は、図中のb1で示しており、作像駆動が停止した時点は、図中のb2で示している。本例では、(b)作像駆動における動作及び停止としては、現像手段が有する現像ローラの回転及び回転停止であるものとして説明する。現像ローラは像担持体の近傍で回転することにより、像担持体にトナーを付与する。ただし、(b)作像駆動における動作及び停止としては、この他にも、像担持体(感光体)の回転及び回転停止であってもよい。
【0077】
なお、本実施形態では、作像駆動の動作を開始することを、作像駆動を立ち上げる、もしくは作像駆動の立上げを開始するとも称する。作像駆動の立上げとしては、例えば、現像ローラの回転を開始すること、像担持体の回転を開始することが挙げられる。
また、作像駆動の動作を停止することを、作像駆動を立下げる、もしくは作像駆動の立下げを開始するとも称する。作像駆動の立下げとしては、例えば、現像ローラの回転を停止すること、像担持体の回転を停止することが挙げられる。
一般的に、現像ローラや像担持体が停止した状態から回転を開始させた場合、現像や画像形成が行える回転速度に達するまでにある程度の時間を要する。同様に、現像ローラや像担持体が回転した状態から回転を停止させる場合、現像ローラや像担持体の回転が停止するまでにある程度の時間を要する。立上げに要する時間と立下げに要する時間は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0078】
上記のように、作像駆動を停止させる理由は、画像形成に寄与しない現像手段の駆動(もしくは感光体の回転)を低減するためであり、すなわち不必要な現像手段の駆動(もしくは感光体の回転)を抑えるためである。N-1番目のジョブにおける作像とN番目のジョブにおける作像との間で、作像駆動を停止させることは必ずしも必須となるわけではないが、トナーの劣化を抑えるという観点からは、このような作像駆動を停止させることが好ましい。そのため、連続ジョブにおいて、N-1番目の記録媒体に転写を行った後、現像手段の立下げを開始し、現像手段を停止させることが好ましい。又は、連続ジョブにおいて、N-1番目の記録媒体に転写を行った後、像担持体の駆動停止(回転停止)を開始し、像担持体を停止させる(像担持体の回転を停止させる)ことが好ましい。
【0079】
また、どのような場合に作像駆動を停止させるかについては、適宜選択することができる。N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合に、毎回、作像駆動を停止させるようにしてもよいが、この場合、少しでも定着温度を上げる又は下げる場合に作像駆動を停止させることになるため、好ましくない場合がある。そのため、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合であり、かつ、定着手段の定着温度をN番目の記録媒体の定着温度にするまでに所定の時間がかかる場合に、作像駆動を停止させることが好ましい。
【0080】
すなわち、前記連続ジョブにおいて、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度と異なる場合であり、かつ、N-1番目の記録媒体の定着を行った後に前記定着手段の定着温度をN番目の記録媒体の定着温度にするまでに所定の時間がかかる場合、N-1番目の現像が終了してからN番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知までの間、又は、N-1番目の現像が終了してからN番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知がなされるまでの間、前記現像手段の駆動を停止させる、又は、前記像担持体の駆動を停止させることが好ましい。これにより、現像手段の空回りを防止でき、トナーの劣化をより抑制できる。
【0081】
なお、N-1番目のジョブにおける現像及び転写の前において、(b)作像駆動が動作中であるのは、例えばN-2番目のジョブの記録媒体の定着温度がN-1番目のジョブの記録媒体の定着温度と同じもしくは略同じであることによる。また、この場合、N-2番目のジョブとN-1番目のジョブとの間で作像駆動を動作中にすることで、感光体回転の安定、帯電電位の安定、トナー帯電量の安定といった利点がある。
【0082】
また、N番目のジョブにおける現像及び転写が終了した後において、(b)作像駆動が動作中であるのは、例えばN+1番目のジョブの記録媒体の定着温度がN番目のジョブの記録媒体の定着温度と同じもしくは略同じであることによる。また、この場合、N番目のジョブとN+1番目のジョブとの間で作像駆動を動作中にすることで、部材の安定稼働や部材の損傷防止といった利点がある。例えば、中間転写体が停止するまで感光体のみが停止するような場合、こすれなど発生することがあるため、接触している部材の回転が終わるのを待つことが好ましいという理由のためである。
【0083】
例えば、N-1番目のジョブで薄紙10枚の画像形成を行った後、N番目のジョブで厚紙10枚の画像形成を行う場合、最後の薄紙と最初の厚紙との間で、作像駆動を停止させることが好ましい。
【0084】
図中b1の時点で作像立下げ判定がなされる。作像立下げ判定は、例えば画像形成装置が有する制御部により行う。作像立下げ判定は、特に制限されるものではないが、例えば、記録媒体に一次転写を行ったことにより判定してもよいし、記録媒体に二次転写を行ったことにより判定してもよい。また、作像時間をあらかじめ把握しておき、作像終了時間を予測することにより判定するようにしてもよい。なお、像担持体の除電やクリーニングが終了したことにより作像立下げ判定をしてもよい。
【0085】
作像立下げ判定がなされることで、例えば画像形成装置が有する制御部から現像手段や像担持体に作像駆動の停止の指示がなされる。本例では、図中b1の時点で、現像ローラに対して回転停止の指示がなされ、図中b2の時点で、現像ローラの回転が停止する。図中、作像駆動の立下げに要する時間、すなわち、b1からb2までの時間を立下げ時間t2として示している。N-1番目のジョブにおける作像動作が終了して、作像駆動が停止した後、作像駆動の開始が指示されるまで作像駆動は停止する。
【0086】
本例では、N番目のジョブにおける作像を行うための作像駆動を開始するタイミングは、定着手段の定着温度によって判定する。上述したように、N-1番目の記録媒体の定着を行った後(図中c2後)、N番目の記録媒体の定着を行うために定着手段の定着温度を上昇させる(図中d1~d4)。本例では、定着装置(定着手段)が通紙可能状態となる時点の前に、すなわち図中d3の前に、N番目の現像を行うための現像手段の立上げを開始する(図中b3及びd2)。
【0087】
図中、d3は定着手段の定着温度の調整が完了した時点を表し、定着手段において記録媒体を給紙してもよい状態(通紙可能状態)となった時点を表す。このような状態になった時点で、N番目のジョブにおける現像及び転写の開始指示がなされる。d3の温度(通紙可能状態になる時点の温度)は、例えば定着成立幅の下限を実験にて導出することで決定することができる。d3の温度は、記録媒体によって異なるため、適宜選択することができる。
【0088】
本発明に含まれない例では、定着装置が通紙可能状態になった時点で、作像駆動の立上げを開始する。この例については後述する。
【0089】
図中b3及びd2で示すように、本例では、定着手段の定着温度がd2の地点になったときに作像駆動を開始する。具体的には例えば、画像形成装置が有する制御部が、サーモパイル56で検出される定着ベルト51の温度を取得して判定するようにし、取得した温度がd2の地点になった場合に、画像形成装置が有する制御部は作像駆動の開始、例えば現像ローラの回転を開始させることを指示する。
【0090】
または、図中「作像立上げを通知」と記載しているように、定着装置が有する制御部が、サーモパイル56で検出される定着ベルト51の温度を取得し、判定して通知を行うようにしてもよい。この場合、例えば、取得した温度がd2の地点になった場合に、定着装置が有する制御部は、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知を行う。現像手段の駆動を開始する旨の通知は、例えば画像形成装置が有する制御部に対して通知される。
【0091】
作像駆動の開始が指示されることにより、現像手段は立上げを開始し、b4の時点で立ち上がりが完了する。換言すると、b3の時点で現像手段の駆動を開始し、b4の時点で現像手段が駆動状態となる。なお、図中、現像手段の立上りが完了するのに要する時間、すなわち、b3からb4までの時間を立上げ時間t3で示している。立上げ時間t3は、立下げ時間t2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0092】
なお、定着手段の定着温度がd2の地点になったときに作像駆動の立上げを開始することから、d2の地点の説明として立上げトリガなどとしてもよい。そのため、図ではこのような説明を記載している。
【0093】
現像手段の立上りが完了した後、N番目のジョブにおける現像及び転写を行う(図中a3)。N番目のジョブにおける現像及び転写の開始のタイミングとしては、適宜選択することができる。例えば、定着手段の定着温度がd3の時点、すなわち定着手段が通紙可能状態になったときに、N番目のジョブにおける現像及び転写を開始する。通紙可能状態になったかどうかの判定は、画像形成装置が有する制御部により行われてもよいし、定着装置が有する制御部により行われてもよい。
【0094】
画像形成部は、N番目のジョブにおける現像及び転写の開始を指示されることにより、N番目のジョブにおける現像及び転写を開始する(図中a3)。そして、図中a4の時点で、N番目のジョブにおける現像及び転写が終了する。次いで、N番目のジョブにおける現像及び転写が行われた記録媒体(本例では厚紙)は、定着手段に搬送され、定着が行われる(図中c3、c4)。
【0095】
N番目のジョブにおける現像及び転写が行われている間にも、定着手段の定着温度の上昇は継続されている。そのため、記録媒体が定着手段に搬送されて到達するときには、定着手段の定着温度はN番目の記録媒体の定着を行うことができる温度にまで達している(図中c3、d4)。
【0096】
このように、本例では、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために定着手段の定着温度を上昇させる際に、定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始している(図中b3、d2)。これにより、N番目のジョブにおける定着を開始するタイミングと、定着手段の定着温度の温度上昇が完了するタイミングとを一致、もしくは近づけることができる。このため、本例によれば、作像動作を開始できる状態にも関わらず、定着手段の定着温度の上昇の完了を待って現像手段が空回りしてしまうことを防止できる。これにより、トナーの劣化を抑制することができる。
【0097】
トナーの劣化としては、例えばトナー母体の表面に存在すべき添加剤がトナー母体に埋没したり、トナー母体の表面から添加剤が欠損したりすることが挙げられる。トナーが劣化すると、転写ムラなどが生じ、画像劣化につながってしまうが、本例によればこのような不具合を防止できる。なお、添加剤としては、酸化チタンやシリカが一般的である。
【0098】
また、本例によれば、定着手段の定着温度の上昇が完了した状態であるにも関わらず、作像動作を開始できる状態になるまで待たなくてはならない事態を防止できる。このような事態になると、定着手段の定着温度を維持する必要が生じ、電力消費が増えてしまう問題の他、待ち時間が生じることで、定着手段の定着温度の下降が生じ、再上昇が必要になる問題が生じてしまう。本例によれば、これらの問題が生じることを防止でき、定着手段の定着温度の再上昇が必要になる事態を避けることができるため、ジョブの時間が長くなること防止できる。
【0099】
本例では、定着温度の低い薄紙から定着温度の高い厚紙に切り替えを行うジョブの場合、切り替え時における温度定着を引き上げる際、現像手段を含む作像部は立下げ停止して待つ。そして、定着手段の定着温度が通紙許可温度に達する前に、作像立上げを開始し、作像駆動が再び立ち上がる。これにより、少しでも早く作像部の復帰立上げ動作に入ることができる。
【0100】
本発明に含まれない例では、d3の時点で、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する。この場合の例(比較例)を
図4に示す。
図4に示すように、定着手段の定着温度の調整が完了した時点、すなわちd3でN番目の現像を行うための現像手段の立上げを開始している。このとき、N番目のジョブにおける現像及び転写の開始指示もなされているが、作像駆動の立上りが完了していないため(b3、b4)、現像及び転写は作像駆動の立上り待ちとなってしまう。このため、定着手段では、温度の上昇が完了しているにも関わらず、紙待ちの状態になってしまい、更なる加熱が必要になる他、ジョブの時間を短縮できない。
【0101】
作像駆動の立上げを開始する起点となるd2としては、適宜選択することができる。より詳細には、定着手段の定着温度を上昇させて、どの温度になったときに作像駆動を開始するかは適宜選択することができる。例えば、N番目の記録媒体の定着を行うために定着手段の定着温度を上昇させる際に、定着手段が通紙可能状態になった時点(d3)の定着手段の定着温度と、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始するとき(d2)の定着手段の定着温度との差が所定の値以上であることが好ましい。この場合、記録媒体の種類によってd2を変える必要がなく、処理が複雑化することを防止できる。
【0102】
上記の所定の値としては、適宜選択することができ、定着手段の定着温度の上昇速度や下降速度、記録媒体の定着温度等を考慮して設定することができる。このため、一概にはいえないが、例えば10℃であることが好ましい。この場合、N番目のジョブにおける現像及び転写の時間的余裕を確保でき、定着手段の定着温度が早い段階で完了してしまうことを抑制しやすくなる。
【0103】
作像駆動の立上げを開始する起点となるd2としては、上記の他にも、例えば、立上げ時間t3及び定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度を考慮して設定するようにしてもよい。例えば、定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度をあらかじめ求めておき、上昇速度又は下降速度に基づいて現像手段の立上げ又は像担持体の駆動を開始する時間を算出することが好ましい。この場合、定着手段の定着温度を検出して判定を行う処理が不要になり、簡易に設計することができる。
【0104】
本例において、図に示す定着温度待ち予測時間t1は、例えば、作像系を立下げるか否かという目的で使用することができる。t1を使用することで、立下げたのにすぐ立ち上げて余計な時間を要することを防止することができる。定着温度待ち予測時間t1は、例えば作像系値下げ立ち上げの所要時間に10秒を足した数値とすることが挙げられる。
【0105】
本例は、N-1番目の記録媒体が薄紙であり、N番目の記録媒体が厚紙である場合の例であり、N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度よりも高い場合の例に該当する。N番目の記録媒体の定着温度がN-1番目の記録媒体の定着温度よりも高いかどうかを判定する方法としては、例えば、制御部がもっているジョブ情報から判定することができる。上記の他にも、連続ジョブを実行する前にあらかじめ記録媒体の種類(定着温度)や枚数を装置に設定するようにしてもよい。
【0106】
本実施形態では、上記のように、N番目の記録媒体の定着を行うために定着手段の定着温度を上昇させる場合について説明した。定着手段の定着温度を下降させる場合については、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、N+1番目の記録媒体が薄紙である場合、換言すると、N+1番目の記録媒体の定着温度がN番目の記録媒体の定着温度よりも低い場合、定着手段の定着温度の下降速度を考慮して、適宜、作像駆動を立下げ及び立上げを行う。
【0107】
ここで、1つのジョブで複数の記録媒体に対して画像形成を行う場合の例について説明する。
図5は、本例を説明するためのタイムチャートであり、
図3と同様の図である。図示するように、N-1番目のジョブにおける現像と転写が終了する前に定着を開始している。すなわちa2の前にc1が位置しており、a1、c1、a2、c2の順になっている。同様に、N番目のジョブにおける現像と転写が終了する前に定着を開始している。すなわちa4の前にc3が位置しており、a3、c3、a4、c4の順になっている。
【0108】
例えば、N-1番目のジョブにおける1つ目の記録媒体の転写が終わった後、1つ目の記録媒体の定着が行われるが、1つ目の記録媒体の定着を行っている間に、2つ目以降の記録媒体の現像や転写が行われることとなる。
【0109】
次に、N番目の記録媒体の定着を行うために、定着手段の定着温度を下降させる場合の例について説明する。
図6は、本例における連続ジョブを説明するためのタイムチャートである。ここでは、N-1番目のジョブで厚紙に対して画像形成を行い、N番目のジョブで薄紙に対して画像形成を行う場合の例について説明する。
【0110】
図6に示す例は、
図3に示す例と略同じであるが、(d)定着手段の定着温度をN番目の定着を行うために下降させている。図示するように、N-1番目の記録媒体の定着を行った後(c2の後)、N番目の記録媒体の定着を行うために定着装置の定着温度を下降させる際に、定着装置が通紙可能状態となる前(d3の前)に、N番目の現像を行うための現像手段の駆動を開始する旨の通知が行われている(d2)。
【0111】
また、N-1番目の記録媒体の定着を行った後(c2の後)、N番目の記録媒体の定着を行うために定着装置の定着温度を下降させる際に、定着装置が通紙可能状態となる前(d3の前)に、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知が行われてもよい(d2)。
【0112】
上記の通知は、主に定着手段(定着装置)が行うものであるが、通知を行う構成ではなく、上記の例と同様に、画像形成装置の構成であってもよく、現像手段の駆動を開始する、又は、像担持体の駆動を開始するとしてもよい。
【0113】
定着手段の定着温度の下降を行うための方法としては、特に制限されるものではなく、例えば冷却手段を用いてもよいし、自然に冷却されることを待つようにしてもよい。
【0114】
図6に示す例は、
図3と同様に、1つのジョブで1つの記録媒体に画像形成する場合の例である。
図5に示す例と同様に、
図6に示す例においても1つのジョブで複数枚の記録媒体に画像形成を行うようにしてもよい。この場合、(a)作像動作状態及び(c)定着動作状態等のタイミングは、
図5に示す例のようになる。
【0115】
<実施例1>
次に、具体的な温度を用いた実施例を説明する。
本実施例では、N-1番目の記録媒体として定着温度が140℃の薄紙を用い、N番目の記録媒体として定着温度が180℃の厚紙を用いる。
図3のa1、a2及びb1に示すように、N-1番目の現像及び転写を行った後、現像手段の停止を開始する(立下げる)。また、N-1番目の現像及び転写を行った後、記録媒体を定着手段に搬送し、定着を行う(c1)。このときの定着手段の定着温度は140℃である。N-1番目のジョブにおける定着が終了した後(c2)、定着手段はN番目の記録媒体(厚紙)を定着するために定着温度の引き上げ動作に入る(d1)。具体的には、d1からd4になるように、定着手段の定着温度を140℃から180℃に引き上げる(上昇させる)。
なお、作像駆動は、b1で停止を開始し、b2で停止が完了している。
【0116】
本実施例ではd2の温度を165℃に設定しており、定着手段の定着温度が165℃になった時点で、作像駆動の開始が指示される。そのため、定着手段の定着温度が165℃になった時点で現像手段の駆動が開始する(b3)。
【0117】
d2を通過した後、更に定着手段の定着温度を上昇させ、d3の時点で定着手段が通紙可能状態となる。本実施例では、d3の温度(通紙可能状態になった時点での温度)は、175℃に設定している。
そのため、本実施例では、通紙許可温度よりも10℃分早く現像手段の立上げが開始可能となり、用紙切り替え待ち時間が低減される。従来の構成によっても異なるが、従来に比べて約5秒の低減をすることができた。
【0118】
<実施例2>
次に、具体的な温度を用いた他の実施例を説明する。
上記実施例ではd2を設定していたが、本実施形態ではこれに限られない。例えば、本実施例のように、定着手段の定着温度の上昇速度をあらかじめ求めておき、上昇速度に基づいて現像手段の立上げを開始する時間を算出してもよい。
【0119】
具体的には、N番目の記録媒体の定着温度をA[℃]、N-1番目の記録媒体の定着温度をB[℃]、定着手段の定着温度の上昇速度をC[℃/s]、現像手段の駆動を開始してから駆動状態になるまでの時間をD1[s]、定着手段の定着温度の上昇を開始してからN番目の記録媒体の現像を行うために現像手段の駆動を開始するまでの時間をE1[s]としたとき、E1は、以下のようにして求めることができる。
E1=(|A-B|)/C-D1
【0120】
なお、A-Bが絶対値であるのは、定着温度の定着温度を下降させる場合(例えば下記の実施例3)を考慮したためである。
【0121】
具体的な数値を用いて説明する。
本実施例では、N-1番目の記録媒体として定着温度が150℃の薄紙を用い、N番目の記録媒体として定着温度が180℃の厚紙を用いる。また、定着手段の定着温度の上昇速度として、例えばRicohProC7200の実測データを利用して、上昇速度が2℃/sであり、下降速度が0.5℃/sであるとする。また、現像手段の立上げを開始してから現像を開始するまでの時間が5sであるとする。
【0122】
このような例の場合、上記の説明にあてはめると、Aが180℃、Bが150℃、Cが2℃/s、D1が5sとなる。そのため、以下のようにE1を求めることができる。
E1=(|180-150|)/2-5=10[s]
【0123】
従って、N-1番目の記録媒体(薄紙)に定着を行い、定着手段の定着温度の上昇を開始する時点d1から10秒後に現像手段の立上げを開始する。すなわち、d1からd2までの時間が10秒となる。このように、本実施例によれば、あらかじめ作像立上げ通知を行う時間を求めておくことができ、定着手段の定着温度を都度判定する必要がなく、部材の構成を簡易にできる等の利点が得られる。
【0124】
<実施例3>
次に、上記実施例2において、定着手段の定着温度を下降させる場合について説明する。実施例2と同様に、d2については、例えば、本実施例のように、定着手段の定着温度の下降速度をあらかじめ求めておき、下降速度に基づいて現像手段の立上げを開始する時間を算出してもよい。
【0125】
具体的には、N番目の記録媒体の定着温度をA[℃]、N-1番目の記録媒体の定着温度をB[℃]、前記定着手段の定着温度の下降速度をC[℃/s]、前記現像手段の駆動を開始してから駆動状態になるまでの時間をD1[s]、前記定着手段の定着温度の下降を開始してからN番目の記録媒体の現像を行うために前記現像手段の駆動を開始するまでの時間をE1[s]としたとき、E1は、以下のようにして求めることができる。
E1=(|A-B|)/C-D1
【0126】
このような例の場合、上記の説明にあてはめると、Aが150℃、Bが180℃、Cが0.5℃/s、D1が5sとなる。そのため、以下のようにE1を求めることができる。
E1=(|150-180|)/0.5-5=55[s]
となる。このため、定着手段の定着温度の下降を開始してから55秒後に作像立上げ通知をすることが好ましい。
【0127】
(第2の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
上記実施形態では、現像手段の駆動開始について説明したが、その他にも像担持体の駆動開始としてもよい。
【0128】
本実施形態の定着装置は、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために当該定着装置の定着温度を上昇又は下降させる際に、当該定着装置が通紙可能状態となる前に、N番目の画像形成を行うための像担持体の駆動を開始する旨の通知を行う。
【0129】
また、本実施形態の画像形成装置は、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着手段の定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着手段が通紙可能状態となる前に、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始する。
【0130】
また、本実施形態の画像形成方法は、N-1番目の記録媒体の定着を行った後、N番目の記録媒体の定着を行うために前記定着工程での定着温度を上昇又は下降させる際に、前記定着工程で通紙可能状態となる前に、N番目の画像形成を行うための前記像担持体の駆動を開始する。
【0131】
本実施形態では、
図3の(b)作像駆動において、動作中及び停止中とあるのは、像担持体の回転及び回転の停止とする。そのため、
図3の(b)作像駆動において、b1の前では像担持体は回転しており、b1で像担持体の回転の停止が指示される。そして、b2の時点で像担持体の回転が停止する。次いで、定着手段の定着温度がN番目の記録媒体の定着温度に達する前に、像担持体の回転の開始が指示され(b3)、像担持体が立上り、b4の地点で像担持体の立上りが完了して駆動状態となる。
【0132】
このように、像担持体の駆動を制御することで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0133】
また、本実施形態においても上記実施形態と同様に、定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度をあらかじめ求めておき、前記上昇速度又は下降速度に基づいて、前記像担持体の駆動を開始する時間を算出することも可能である。
【0134】
また、本実施形態においても上記実施形態の実施例1~3と同様にすることができる。例えば、N番目の記録媒体の定着温度をA[℃]、N-1番目の記録媒体の定着温度をB[℃]、前記定着手段の定着温度の上昇速度又は下降速度をC[℃/s]、前記像担持体の駆動を開始してから駆動状態になるまでの時間をD2[s]、前記定着手段の定着温度の上昇又は下降を開始してからN番目の記録媒体の画像形成を行うために前記像担持体の駆動を開始するまでの時間をE2[s]としたとき、E2は、
E2=(|A-B|)/C-D2
で求めることができる。
【符号の説明】
【0135】
51 定着ベルト
52 定着ローラ
54 加熱ローラ
55 加圧ローラ
56 サーモパイル
100 定着装置
200 プリンタ
200A 画像形成部
200B 給紙部
203 現像装置
205 感光体
210 中間転写ベルト
1000 制御部
N 定着ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0136】