(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070912
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】シート給送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/00 20060101AFI20230515BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B65H1/00 501A
G03G15/00 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183369
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】枡 祐輔
【テーマコード(参考)】
2H072
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AA07
2H072AA12
2H072AA23
2H072BA12
2H072BA17
2H072BB01
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC30
3F343GA03
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
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3F343KB07
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3F343LA12
3F343LA16
3F343LC02
3F343LC04
3F343LD04
3F343LD12
3F343LD25
3F343MA26
(57)【要約】
【課題】給送トレイに載置されたシートのサイズを誤検知してしまう不具合を生じにくくする。
【解決手段】エンドフェンス46に対して引張スプリング49を介して接続されて、エンドフェンス46とともに±X方向に移動可能な中継部材47が設けられている、また、中継部材47に接続されて中継部材47の±X方向の移動に連動して所定の回動方向に回動する回動部材48と、回動部材48の回動方向の姿勢に対応して給送トレイ40に載置可能な複数のシートサイズのうち対応するシートサイズを検知するサイズ検知部50と、が設けられている。さらに、サイズ検知部50が検知した対応するシートサイズの位置に対して、エンドフェンス46が所定範囲内で±X方向(接離する方向)に移動しても、中継部材47が±X方向(接離する方向)に移動しないように規制する被嵌合部44b及び嵌合部47c(規制手段)が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置される給送トレイと、
前記給送トレイに載置されたシートの端面に対して接離する方向に移動可能に構成されて、当該シートの位置を規制するフェンス部材と、
前記フェンス部材に対して付勢部材を介して接続されて、前記フェンス部材とともに前記接離する方向に移動可能な中継部材と、
前記中継部材に接続されて、前記中継部材の前記接離する方向の移動に連動して所定の回動方向に回動する回動部材と、
前記回動部材の前記回動方向の姿勢に対応して、前記給送トレイに載置可能な複数のシートサイズのうち対応するシートサイズを検知するサイズ検知手段と、
前記検知手段が検知した前記対応するシートサイズの位置に対して、前記フェンス部材が所定範囲内で前記接離する方向に移動しても、前記中継部材が前記接離する方向に移動しないように規制する規制手段と、
を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記給送トレイは、前記フェンス部材と前記中継部材との前記接離する方向の移動を案内するガイド部を具備し、
前記規制手段は、
前記ガイド部において、前記複数のシートサイズにそれぞれ対応して前記接離する方向に間隔をあけて形成された複数の被嵌合部と、
前記中継部材において、前記被嵌合部に嵌合可能に形成された嵌合部と、
であることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記中継部材の前記嵌合部が前記ガイド部における前記複数の被嵌合部のうちの1つに嵌合している状態で、前記フェンス部材が前記所定範囲を超えて前記接離する方向のうち接触方向に移動したときに、前記付勢部材に前記中継部材が付勢されて、前記嵌合部の前記被嵌合部への嵌合が解除されることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記中継部材の前記嵌合部が前記ガイド部における前記複数の被嵌合部のうちの1つに嵌合している状態で、前記フェンス部材が前記所定範囲を超えて前記接離する方向のうち離間方向に移動したときに、前記フェンス部材に前記中継部材が押動されて、前記嵌合部の前記被嵌合部への嵌合が解除されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記フェンス部材に対して前記中継部材を前記接離する方向のうち接触方向に相対的に付勢する引張スプリングであることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記引張スプリングは、その使用長さが所定長さを超えたときに、そのスプリング力が前記規制手段によって前記中継部材の移動を規制する力よりも大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記サイズ検知手段は、前記複数のシートサイズに対応して、前記回動部材の前記回動方向の姿勢に応じて前記回動部材に選択的に押動される複数のプッシュスイッチを具備したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載のシート給送装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載のシート給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙などのシートを給送するシート給送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタや印刷機等の画像形成装置に設置されるシート給送装置において、給送トレイに載置されたシートのサイズを検知するものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1におけるシート給送装置には、給送カセットに載置されたシートの位置を規制する、サイドフェンスやエンドフェンスなどのフェンス部材が設けられている。また、フェンス部材の移動(シートに対して接離する方向の移動である。)に連動して、所定の回動方向に回動するレバー(回動部材)が設けられている。そして、フェンス部材が所定のシートサイズに当接する位置に移動することで、レバーの回動方向の姿勢が定まり、その位置に回動したレバーによって複数のプッシュスイッチのうちの1つ又は複数が選択的に押動されて、給紙トレイ(給送トレイ)にセットされたシートのサイズが検知されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシート給送装置は、フェンス部材がズレてしまったときに、給送トレイに載置されたシートのサイズを誤検知してしまうことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、給送トレイに載置されたシートのサイズを誤検知してしまう不具合が生じにくい、シート給送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるシート給送装置は、シートが載置される給送トレイと、前記給送トレイに載置されたシートの端面に対して接離する方向に移動可能に構成されて、当該シートの位置を規制するフェンス部材と、前記フェンス部材に対して付勢部材を介して接続されて、前記フェンス部材とともに前記接離する方向に移動可能な中継部材と、前記中継部材に接続されて、前記中継部材の前記接離する方向の移動に連動して所定の回動方向に回動する回動部材と、前記回動部材の前記回動方向の姿勢に対応して、前記給送トレイに載置可能な複数のシートサイズのうち対応するシートサイズを検知するサイズ検知手段と、前記検知手段が検知した前記対応するシートサイズの位置に対して、前記フェンス部材が所定範囲内で前記接離する方向に移動しても、前記中継部材が前記接離する方向に移動しないように規制する規制手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給送トレイに載置されたシートのサイズを誤検知してしまう不具合が生じにくい、シート給送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】シート給送装置の給送機構を示す構成図である。
【
図3】シート給送装置の給送トレイをそれぞれ異なる方向から示す斜視図である。
【
図4】給送トレイを示す、(A)上面図と、(B)下面図と、である。
【
図5】給送トレイをそれぞれ下方の異なる方向から示す斜視図である。
【
図6】回動部材の突起部がサイズ検知部のプッシュスイッチを押動した状態を示す拡大図である。
【
図7】エンドフェンスとガイド部と中継部材と引張スプリングとを示す分解図である。
【
図8】エンドフェンスと中継部材と引張スプリングとの位置関係を示す断面図である。
【
図9】エンドフェンスをそれぞれ異なる方向から示す斜視図である。
【
図10】中継部材を示す、(A)上方斜視図と、(B)下方斜視図と、(C)下面図と、である。
【
図11】ガイド部を示す、(A)上方斜視図と、(B)下方斜視図と、である。
【
図12】給送トレイにシートをセットする前の、(A)エンドフェンスと中継部材との位置関係を示す側面図と、(B)ガイド部と中継部材との位置関係を示す下面図と、である。
【
図13】給送トレイにシートが載置されたときの、(A)エンドフェンスと中継部材との位置関係を示す側面図と、(B)ガイド部と中継部材との位置関係を示す下面図と、である。
【
図14】
図13の後にエンドフェンスが離間方向に押し戻されたときの、(A)エンドフェンスと中継部材との位置関係を示す側面図と、(B)ガイド部と中継部材との位置関係を示す下面図と、である。
【
図15】所定のシートサイズ位置からエンドフェンスを接触方向に大きく移動したときの、(A)エンドフェンスと中継部材との位置関係を示す側面図と、(B)ガイド部と中継部材との位置関係を示す下面図と、である。
【
図16】中継部材がエンドフェンスに押動されて離間方向に移動する状態を示す、(A)斜視図と、(B)側面図と、である。
【
図17】手差しシート給送装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部(画像形成部)、を示す。
また、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部(自動原稿搬送装置)、12、13は給送トレイ40内に収納されたシートPを給送するシート給送装置、16はユーザーが手差しでセットしたシートPを給送する手差しシート給送装置、を示す。
また、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ対(搬送ローラ対)、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、31は装置本体1から排紙されたシートPが積載される排紙トレイ、を示す。
また、40は各シート給送装置12、13に設置された給送トレイ、60は各シート給送装置12、13、16に設置された給送機構、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は
図1の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ対17により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数のシート給送装置12、13のうち、1つのシート給送装置が自動又は手動で選択される(例えば、下段のシート給送装置13が選択されたものとする。)。そして、シート給送装置13の給送トレイ40に収納された用紙などのシートPの最上方の1枚が、給送機構60によって給送されて、搬送経路Kに向けて搬送される。その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路Kを通過して、レジストローラ対17の位置に達する。
なお、装置本体1の側方に設置されたシート給送装置としての手差しシート給送装置16(
図17参照)が選択された場合には、ユーザーによってシート給送装置16の給送トレイ40(手差しトレイ)に載置されたシートP(複数枚のシートPが積載された場合には、最上方のシートP)が、給送機構60によって搬送経路に向けて-X方向に給送されて、レジストローラ対17の位置に達することになる。
【0014】
そして、レジストローラ対17の回転が開始されて、レジストローラ対17によって、斜行(スキュー)が補正された後のシートPが、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0015】
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排紙トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0016】
次に、
図2を用いて、本実施の形態におけるシート給送装置について説明する。
なお、以下、装置本体1に内設された複数のシート給送装置12、13のうち、下段のシート給送装置13について説明するが、上段のシート給送装置12も設置位置が異なる点を除いて下段のシート給送装置13とほぼ同様の構成となっているため、その説明を省略することにする。
【0017】
図2を参照して、シート給送装置13は、主として、複数枚のシートP(シート束)を積載できるように形成された給送トレイ40と、給送トレイ40に積載されたシートPを給送するための給送機構60と、で構成されている。
なお、給送トレイ40は、昇降可能な底板42(載置部)の他に、一対のサイドフェンス45、エンドフェンス46、回動部材48、中継部材47、サイズ検知部50(サイズ検知手段)、などが設置されているが、その詳細については後で
図3~
図16を用いて説明する。
【0018】
図2に示すように、給送機構60は、フィードローラ63、ピックアップローラ64、分離ローラ65、等で構成されている。
フィードローラ63は、給送トレイ40の底板42上に積載されたシートPに対して給送方向(
図2の白矢印方向であって、搬送方向である。)の先端側に設置されていて、シートPの上面に接触してシートPの給送方向に沿うように回転(
図2の反時計方向の回転である。)してシートPを一点鎖線矢印で示す給送方向(+X方向)に給送するものである。
【0019】
ピックアップローラ64は、給送トレイ40に積載されたシートPの表面(上面)に当接した状態で、走行方向に沿うように
図2の反時計方向に回転して、そのシートPをフィードローラ63の位置に向けて搬送するものである。
ピックアップローラ64に設置されたプーリと、フィードローラ63に設置されたプーリと、にはタイミングベルト69が張架・支持されている。そして、給送モータから、ギア列、フィードローラ63、タイミングベルト69を介して、ピックアップローラ64に駆動が伝達されて、ピックアップローラ64が
図2の反時計方向に回転駆動されることになる。
【0020】
また、ピックアップローラ64は、給送トレイ40に積載されたシートP(最上方のシートP)に対して接離可能に構成されている。すなわち、ピックアップローラ64は、給送トレイ40に積載されたシートPに対して、当接しない非当接位置と、当接する当接位置と、の間を移動可能に形成されている。
詳しくは、ピックアップローラ64は、アーム68に回転可能に保持されている。アーム68は、フィードローラ63の軸部に回動可能に保持されている。アーム68には、ピックアップローラ64が非当接位置に移動するように付勢するスプリングや、ピックアップローラ64をスプリングの付勢力に抗するように当接位置に移動させるソレノイド、が接続されている。そして、制御部に制御されて、ソレノイドがオン状態になったときに
図2に示すようにピックアップローラ64が当接位置に移動して、ソレノイドがオフ状態になったときにピックアップローラ64が非当接位置に移動することになる。
なお、タイミングベルト69は、ピックアップローラ64の接離動作がおこなわれても、ピックアップローラ64のプーリとフィードローラ63のプーリとによって張架・支持されている。
【0021】
分離ローラ65は、フィードローラ63との間にニップ部を形成するように設置されている。
そして、分離ローラ65は、ニップ部に1枚のシートPが挟持されたときと、ニップ部にシートPが挟持されていないときと、には、給送方向に沿うように順方向(
図2の破線矢印方向であって、時計方向である。)に回転する。
これに対して、分離ローラ65は、ニップ部に複数枚のシートが挟持されたときには、上述した順方向に対して逆方向(
図2の実線矢印方向であって、反時計方向である。)に回転する。これにより、ニップ部に挟持された複数枚のシートPのうち最上方のシートPがフィードローラ63の回転に沿って給送方向に給送されて、下方のシートPが給送方向(順方向)に対して逆方向に搬送されて、シートPの重送が抑止される。
【0022】
ここで、本実施の形態におけるシート給送装置13は、ピックアップローラ64が給送トレイ40に積載された最上方のシートPに当接できるように、底板42上に積載されるシートPの枚数によって、底板42が上下方向に昇降する。そして、上下方向の位置が調整された底板42に載置されたシートPの上面に当接する位置までピックアップローラ64が降下してから、シートPの給送動作がおこなわれることになる。
また、給送トレイ40と、フィードローラ63と分離ローラ65とのニップ部と、の間には、入口ガイド板が設置されている。
【0023】
このように構成されたシート給送装置13において、給送トレイ40にシートPがセットされていない状態では、その状態が底部に設置されたエンド検知センサ(不図示)によって検知されて、制御部によるソレノイドの制御によってピックアップローラ64が非当接位置に退避した状態になっている。
そして、給送トレイ40にシートPがセットされると、その状態がエンド検知センサによって検知されて、制御部によるソレノイドの制御によってピックアップローラ64が非当接位置から当接位置(
図2に示す位置である。)に向けて移動される。
そして、
図2に示すように、底板42に載置された最上方のシートPの上面にピックアップローラ64が当接した状態でピックアップローラ64の反時計方向の回転駆動が開始されて、同じタイミングでフィードローラ63と分離ローラ65との回転が開始される。これにより、ピックアップローラ64によって給送トレイ40に載置されたシート束のうち最上方のシートPが、フィードローラ63と分離ローラ65とのニップ部に向けて搬送されて、さらにそのニップ部から1枚のシートPが画像形成部に向けて分離され搬送されることになる。
また、給送トレイ40に載置されたすべてのシートPが給送されて給送トレイ40にシートPがセットされていない状態になると、その状態がエンド検知センサ(不図示)によって検知されて、制御部によるソレノイドの制御によってピックアップローラ64が再び非当接位置に移動することになる。
【0024】
以下、
図3~
図16を用いて、本実施の形態におけるシート給送装置13において、特徴的な構成・動作について説明する。
図3~
図5に示すように、シート給送装置13における給送トレイ40は、シートPが載置される略直方体の箱状の部材である。給送トレイ40の内部には、一対のサイドフェンス45、エンドフェンス46、底板42(
図1、
図2参照)などが設けられている。また、給送トレイ40には、その下面に回動部材48(
図4(B)等参照)が設けられ、その側面にサイズ検知手段としてのサイズ検知部50(
図4(A)等参照)が設けられている。また、給送トレイ40のガイド部44に一部が埋め込まれるように、中継部材47(
図4、
図7等参照)が設けられている。
なお、
図3、
図4等では、給送トレイ40の内部における底板42(
図1、
図2等参照)の下方の構造を示すため、底板42の図示を省略している。
【0025】
ここで、シート給送装置13は、その一部(給送トレイ40である。)が画像形成装置本体1に対して着脱可能(引出し可能)に設置されている。
詳しくは、給送トレイ40の4方向の側部のうちの1つには外装カバーが設置されている。その外装カバーには取っ手(不図示)が設けられていて、この取っ手をユーザーが把持しながら画像形成装置本体1に対して給送トレイ40を±Y方向に着脱(挿脱)することになる。すなわち、給送トレイ40は、幅方向(給送トレイ40に載置されたシートPが給送される給送方向(+X方向)に対して直交する方向である。)を着脱方向として、画像形成装置本体1に対して着脱されることになる。そして、画像形成装置本体1に対して給送トレイ40が+Y方向(幅方向)に引き出された状態で、給送トレイ40に複数のシートP(シート束)が積載されて、その後に画像形成装置本体1に対して給送トレイ40が-Y方向に装着されることになる。
【0026】
ここで、給送トレイ40には、シートPが載置される空間(底板42が設置された空間である。)を、給送方向先端側(+X方向)を除く三方で囲むように、1つのエンドフェンス46と一対のサイドフェンス45とが設置されている。
【0027】
図3、
図4(A)を参照して、エンドフェンス46は、給送トレイ40に載置されたシートP(又は、シート束)の端面に対して接離する方向(±X方向である。)に移動可能に構成されていて、そのシートPの位置(±X方向の位置である。)を規制するフェンス部材である。すなわち、フェンス部材としてのエンドフェンス46は、シートPの給送方向後端に当接するように設置されていて、シートPの給送方向のサイズに合わせて給送方向に移動可能に構成されている。
詳しくは、給送トレイ40の底部には、エンドフェンス46を給送方向(給送トレイ40に載置されたシートPに接離する方向であって、±X方向である。)に移動可能に案内するガイド部44(エンドフェンス用ガイド部)が、給送方向に延在するように設けられている。そして、エンドフェンス46は、このガイド部44に沿って手動により±X方向に移動して、給送トレイ40内におけるシートPの給送方向(±X方向)の姿勢を定めることになる。これにより、給送トレイ40から給送方向(±X方向)の位置が定められたシートPがスムーズに給送されることになる。
【0028】
図3、
図4(A)を参照して、一対のサイドフェンス45は、給送トレイ40に載置されたシートP(又は、シート束)の端面に対して接離する方向(±Y方向である。)に移動可能に構成されていて、そのシートPの位置(±Y方向の位置である。)を規制するフェンス部材である。すなわち、一対のサイドフェンス45は、シートPを挟むように幅方向両端部にそれぞれ設置されていて、シートPの幅方向のサイズに合わせて幅方向(±Y方向)に移動可能に構成されている。
詳しくは、給送トレイ40の底部には、サイドフェンス45を±Y方向に移動可能に案内するガイド部43(サイドフェンス用ガイド部)が、±Y方向に延在するように設けられている。そして、サイドフェンス45は、そのガイド部43に沿って手動により±Y方向に移動して、給送トレイ40内におけるシートPの±Y方向(幅方向)の姿勢を定めることになる。これにより、給送トレイ40から±Y方向(幅方向)の位置が定められたシートPがスムーズに給送されることになる。
なお、本実施の形態においてサイドフェンス用のガイド部43は、一対のサイドフェンス45が連動して幅方向の間隔を増減するように構成されている。すなわち、一方のサイドフェンス45が+Y方向に手動で移動されたときには他方のサイドフェンス45が-Y方向に連動して移動して、一方のサイドフェンス45が-Y方向に手動で移動されたときには他方のサイドフェンス45が+Y方向に連動して移動するように構成されている。具体的に、一対のサイドフェンス45を連動させる移動機構としても機能するガイド部43は、一方のサイドフェンス45に直交して幅方向に延在するように一体的に形成されたラックギア部と、他方のサイドフェンス45に直交して幅方向に延在するように一体的に形成されたラックギア部と、双方のラックギア部の間に挟まれて噛合するピニオンギアと、からなるピニオン・ラック機構を備えたものとなっている。
【0029】
ここで、本実施の形態における給送トレイ40(シート給送装置13)には、上述したエンドフェンス46やサイドフェンス45の他に、中継部材47、回動部材48、サイズ検知手段としてのサイズ検知部50が設けられている。
【0030】
中継部材47は、フェンス部材としてのエンドフェンス46とともに±X方向(給送トレイ40に載置されたシートPに対して「接離する方向」である。)に移動可能に構成されている。また、中継部材47は、
図8、
図12等を参照して、フェンス部材としてのエンドフェンス46に対して、付勢部材としての引張スプリング49を介して接続(連結)されている。
【0031】
詳しくは、
図7、
図10等を参照して、中継部材47は、略「山」の字状の断面を有する部材であって、引掛部47a、略T字状の断面からなるレール部47b、後述する規制手段として機能する嵌合部47c、係合部47dなどが設けられている。
また、
図7、
図9等を参照して、エンドフェンス46(フェンス部材)は、略L字状の断面を有する部材であって、引掛部46a、レール保持部46b、一対の凸部46cなどが設けられている。
さらに、
図7、
図11等を参照して、ガイド部44は、略凹状の部材が2つY方向に離間して対として設けられたものであって、溝部44a、後述する規制手段として機能する被嵌合部44bなどが設けられている。
【0032】
そして、給送トレイ40のガイド部44は、エンドフェンス46(フェンス部材)と中継部材47との±X方向(上述した「接離する方向」である。)の移動を案内するように構成されている。
具体的に、エンドフェンス46は、その凸部46cがガイド部44の溝部44aに嵌合するように設置されて、ガイド部44に沿って±X方向にスライド移動可能になっている。
また、中継部材47は、そのレール部47bがエンドフェンス46のレール保持部46bに摺動可能に嵌合するとともに、その底部が一対のガイド部44に挟まれるように設置されて、ガイド部44に沿って±X方向にスライド移動可能になっている。
さらに、
図7、
図8、
図12等を参照して、引張スプリング49は、一端側のフック部49aがエンドフェンス46の引掛部46aに接続され、他端側のフック部49bが中継部材47の引掛部47aに接続されている。このように、引張スプリング49は、フェンス部材に対して前記中継部材を+X方向(上述した「接離する方向」のうち接触方向である。)に相対的に付勢する付勢部材として機能している。
なお、
図8は、引張スプリング49のフック部49a、49bの形状の理解を容易とするため、引掛部46a、47aに接続されていない状態を図示している。
【0033】
このような構成により、ユーザーによる手動操作によってエンドフェンス46がガイド部44に沿って+X方向に移動されると(後述する「所定範囲」を超えて+X方向移動されると)、引張スプリング49にスプリング力によって、エンドフェンス46に追従するように中継部材47も+X方向に移動することになる。これに対して、ユーザーによる手動操作によってエンドフェンス46がガイド部44に沿って-X方向に移動されると(後述する「所定範囲」を超えて-X方向移動されると)、エンドフェンス46に押動されて中継部材47も-X方向に移動することになる。
これらのエンドフェンス46の±X方向の移動に連動した中継部材47の±X方向の移動については、後でさらに詳しく説明する。
【0034】
ここで、
図4(B)、
図5、
図6等を参照して、回動部材48は、中継部材47に接続されていて、中継部材47の±X方向(上述した「接離する方向」である。)の移動に連動して所定の回動方向に回動する略扇状の板状部材である。
すなわち、エンドフェンス46の±X方向の移動に連動して中継部材47が±X方向に移動すると、回動部材48が回動軸48a(支軸)を中心に正逆方向に回動することになる。
詳しくは、回動部材48は、ガイド部44とサイズ検知部50との間に位置する回動軸48aを中心に回動可能に、給送トレイ40の下面(裏面)に保持されている。また、回動部材48は、その被係合部48c(回動軸48aから離れた位置で径方向に延在するように形成された長穴である。)が、中継部材47の係合部47d(ガイド部44からトレイ裏面側に突出している。)に係合している。換言すると、中継部材47の係合部47dは、回動部材48の長穴状の被係合部48cに対して、相対的にスライド移動可能に係合している。
このような構成により、中継部材47(及び、エンドフェンス46)が
図4(B)の左方に移動すると、回動部材48が回動軸48aを中心に反時計方向に回動することになる。これに対して、中継部材47(及び、エンドフェンス46)が
図4(B)の右方に移動すると、回動部材48が回動軸48aを中心に時計方向に回動することになる。
また、回動部材48には、回動軸48aを挟んで係合部47dの反対側に充分に離れた位置に、その外周面に沿うように略櫛歯状の複数の突起部48bが形成されている。
【0035】
また、
図4(B)、
図5、
図6等を参照して、サイズ検知部50は、回動部材48の前記回動方向の姿勢に対応して、給送トレイ40に載置可能な複数のシートサイズ(シートPの±X方向のサイズである。)のうち対応するシートサイズを検知するサイズ検知手段として機能するものである。
詳しくは、
図6に示すように、サイズ検知部50(サイズ検知手段)は、複数のシートサイズ(例えば、A3、A4、A5サイズなどである。)に対応して、回動部材48の回動方向の姿勢に応じて回動部材48に選択的に押動される複数のプッシュスイッチ50a(
図6の例では、A~Eの位置にそれぞれ設置された6つのプッシュスイッチ50aである。)が設けられている。
一方、回動部材48の外周面に設けられた複数の突起部48bは、周方向長さ(円弧長)が互いに異なるように形成されている。
そのため、回動部材48の回動方向の姿勢(回動部材48が回動する角度)によって、回動部材48(突起部48b)に押し込まれるプッシュスイッチ50aの数や位置が変化することになる。なお、
図6の例では、B~Eの位置にそれぞれ設置された5つのプッシュスイッチ50aが、回動部材48によって押し込まれている。
このような構成によって、給送トレイ40にセットされたシートPの端面に沿うように(シートサイズに合わせるように)、エンドフェンス46が移動すると、それに連動して中継部材47を介して回動部材48が回動して、そのシートサイズに対応したプッシュスイッチ50aが回動部材48に押し込まれて、そのシートサイズが検知されることになる。
このように、本実施の形態では、エンドフェンス46(及び、中継部材47)の直線的な移動に連動させて、回動部材48を回動させて(直線運動を回転運動に変換させて)、回動部材48によってプッシュスイッチ50aをオン・オフするようにしている。そのため、エンドフェンス46(及び、中継部材47)の直線的な移動に連動させてプッシュスイッチをオン・オフするように構成する場合に比べて、サイズ検知部50を小型化することができる。
【0036】
ここで、
図11(B)、
図12(B)~
図15(B)等を参照して、本実施の形態における給送トレイ40(シート給送装置13)には、サイズ検知部50(検知手段)が検知した対応するシートサイズの位置に対して、エンドフェンス46(フェンス部材)が所定範囲W内で±X方向(接離する方向)に移動しても、中継部材47が±X方向(接離する方向)に移動しないように規制する被嵌合部44b及び嵌合部47c(規制手段)が設けられている。
換言すると、給送トレイ40には、エンドフェンス46が狙いのシートサイズの位置に対して所定範囲W内で±X方向に移動しても、中継部材47が±X方向に移動しないように規制する規制手段が設けられている。
すなわち、エンドフェンス46が狙いのシートサイズ(例えば、A4サイズである。)の位置に対して、所定範囲W(不図示であって、例えば、±1~4mm程度である。)を超えずに±X方向に移動しても、中継部材47は規制手段によって±X方向の移動が規制されて、回動部材48も回動しないことになる(回動方向の姿勢が変化しないことになる)。
【0037】
詳しくは、
図11(B)、
図12(B)~
図15(B)等を参照して、複数の被嵌合部44bは、ガイド部44において、複数のシートサイズにそれぞれ対応して±X方向(「接離する方向」)に間隔をあけて形成されている。具体的に、被嵌合部44bは、ガイド部44において中継部材47に対向する対向面から凹むように形成された凹状部である。
これに対して、嵌合部47cは、中継部材47において、ガイド部44の被嵌合部44bに嵌合可能に形成されている。具体的に、嵌合部47cは、中継部材47の側面から+X方向に延びる腕部の先端に形成された凸状部(角部が曲面状に形成されている。)である。この嵌合部47cが形成された腕部は、
図10(C)の黒矢印方向に弾性変形可能に構成されている。この腕部の弾性変形によって、被嵌合部44bへの嵌合部47cの嵌合と嵌合解除とが可能になる。
そして、複数の被嵌合部44bの1つに嵌合部47cが嵌合することで、ガイド部44に沿った中継部材47の±X方向の移動が規制される。すなわち、所定の大きさ以上の外力が作用しない限り、被嵌合部44bにおける嵌合部47cの嵌合は解除されず、中継部材47が移動できず、回動部材48も回動できない状態になる。
このように、ガイド部44の被嵌合部44bと、中継部材47の嵌合部47cと、が中継部材47の移動を規制する規制手段として機能することになる。
【0038】
以下、
図12~
図14を用いて、給送トレイ40においてエンドフェンス46を手動操作する手順と、中継部材47の動作と、の関係について説明する。
まず、給送トレイ40に所定のシートサイズのシートPがセットされる前に、
図12(A)に示すように、所定のシートサイズに対応した位置に向けて、エンドフェンス46がガイド部44に沿って白矢印方向(+X方向)に移動される(押し込まれる)。このとき、中継部材47は、
図12(B)に示すように、その嵌合部47cが、所望のシートサイズに対応した被嵌合部44bに嵌合するまで、その他の被嵌合部44bを乗り越えながら、引張スプリング49のスプリング力によってエンドフェンス46に追従するようにガイド部44に沿って白矢印方向(+X方向)に移動する。
そして、
図13(A)、(B)に示すように、嵌合部47cが所望のシートサイズに対応した被嵌合部44bに嵌合して、エンドフェンス46の±X方向の位置が定められると、給送トレイ40上にシートP(シート束)がセットされる。
このとき、給送トレイ40上にセットされるシートP(シート束)が、±X方向にきれいに揃っていない状態であったり、±X方向に僅かにサイズがズレたものが混在した状態であったりすることにより、エンドフェンス46が、
図14(A)に示すように、-X方向(白矢印方向)に押し戻されてしまうことがある。また、給送トレイ40上にセットされるシートP(シート束)が、一様に-X方向に僅かにサイズがズレたものである場合には、エンドフェンス46が狙いの位置より+X方向に押し込まれてしまう可能性もある。
本実施の形態では、このようにエンドフェンス46が狙いのシートサイズの位置からズレてしまっても、そのズレ量が所定範囲Wを超えない限り、
図14(B)に示すように、被嵌合部44bに対する嵌合部47cの嵌合が解除されず、中継部材47が±X方向に移動しないように構成している。そのため、回動部材48の回動方向の姿勢も変化せずに、予定しないプッシュスイッチ50aが押し込まれることがなく、給送トレイ40に載置されたシートPのサイズを誤検知してしまう不具合が生じにくくなる。
【0039】
そして、このような効果は、主として、
(1)回動部材48が、エンドフェンス46の移動に連動して直接的に回動するのではなくて、中継部材47の移動を介してエンドフェンス46の移動に連動して間接的に回動するように構成したこと。
(2)中継部材47が、エンドフェンス46の移動に連動して直接的に移動しないように構成したこと(+X方向については引張スプリング49を介してエンドフェンス46の移動に連動して間接的に移動して、-X方向についてはエンドフェンス46が接触する位置に移動した後に連動して移動するように構成したこと)。
(3)中継部材47の±X方向の移動を規制する規制手段を設けたこと。
により得られるものである。
【0040】
ここで、
図15を参照して、本実施の形態では、中継部材47の嵌合部47cがガイド部44における複数の被嵌合部44bのうちの1つに嵌合している状態(
図13、
図14の状態である。)で、エンドフェンス46(フェンス部材)が所定範囲W(不図示)を超えて±X方向(接離する方向)のうち接触方向(+X方向であって、
図15(A)の白矢印方向である。)に移動したときに、引張スプリング49(付勢部材)に中継部材47が付勢されて、
図15(B)に示すように、嵌合部47cの被嵌合部44bへの嵌合が解除される。
詳しくは、引張スプリング49は、その使用長さが所定長さを超えたときに、そのスプリング力が規制手段によって中継部材47の移動を規制する力(被嵌合部44bから嵌合部44bが外れるのに必要な力である。)よりも大きくなるように形成されている。このときの引張スプリング49の「所定長さ」は、上述したエンドフェンス46の「所定範囲W」に応じて設定される長さであって、引張スプリング49の使用長さが「所定長さ」よりも短いときは、嵌合部47cの被嵌合部44bへの嵌合が解除されないことになる。
このように構成することで、中継部材47の+X方向の移動を規制する規制手段の機能が確保されることになる。
【0041】
また、
図16を参照して、本実施の形態では、中継部材47の嵌合部47cがガイド部44における複数の被嵌合部44bのうちの1つに嵌合している状態(
図13、
図14の状態である。)で、エンドフェンス46(フェンス部材)が所定範囲Wを超えて±X方向(接離する方向)のうち離間方向(-X方向である。)に移動したときに、エンドフェンス46に中継部材47が押動されて、嵌合部47cの被嵌合部44bへの嵌合が解除される。
詳しくは、
図16に示すように、エンドフェンス46の+X方向の下部には、2つの凸部46cに挟まれる位置に、下方に突出するストッパ部46xが形成されている。そして、被嵌合部44bに嵌合部47cが嵌合した状態で、エンドフェンス46が-X方向に移動されていくと、やがて、
図16に示すように、エンドフェンス46のストッパ部46xが中継部材47の端面に当接した状態で、エンドフェンス46によって中継部材47が押動されてガイド部44に沿って-X方向に移動することになる。したがって、被嵌合部44bに嵌合部47cが嵌合した状態から、ストッパ部46xが中継部材47の端面に当接するまでの距離(クリアランス)が、被嵌合部44bへの嵌合部47cの嵌合が解除されない「所定範囲W」の-X方向の分となる。
このように構成することで、中継部材47の-X方向の移動を規制する規制手段の機能が確保されることになる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態におけるシート給送装置13は、シートPが載置される給送トレイ40と、給送トレイ40に載置されたシートPの端面に対して接離する方向(±X方向)に移動可能に構成されてシートPの位置を規制するエンドフェンス46(フェンス部材)と、が設けられている。また、エンドフェンス46に対して引張スプリング49(付勢部材)を介して接続されて、エンドフェンス46とともに±X方向(接離する方向)に移動可能な中継部材47が設けられている。また、中継部材47に接続されて中継部材47の±X方向(接離する方向)の移動に連動して所定の回動方向に回動する回動部材48と、回動部材48の回動方向の姿勢に対応して給送トレイ40に載置可能な複数のシートサイズのうち対応するシートサイズを検知するサイズ検知部50(サイズ検知手段)と、が設けられている。さらに、サイズ検知部50が検知した対応するシートサイズの位置に対して、エンドフェンス46が所定範囲内で±X方向(接離する方向)に移動しても、中継部材47が±X方向(接離する方向)に移動しないように規制する被嵌合部44b及び嵌合部47c(規制手段)が設けられている。
これにより、給送トレイ40に載置されたシートPのサイズを誤検知してしまう不具合を生じにくくすることができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置されるシート給送装置13に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置されるシート給送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置されるシート給送装置13に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置されるシート給送装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、フェンス部材としてのエンドフェンス46の給送方向(±X方向)の移動に連動した中継部材47の移動によって回動部材48が回動して給送方向のシートサイズを検知するシート給送装置13に対して、本発明を適用した。これに対して、フェンス部材としてのサイドフェンス45の幅方向(±Y方向)の移動に連動した中継部材の移動によって回動部材が回動して幅方向のシートサイズを検知するシート給送装置に対しても、本発明を適用することもできる。さらには、給送方向のシートサイズを検知するとともに、幅方向のシートサイズを検知するシート給送装置に対しても、本発明を適用することもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、画像形成装置本体1に内設されたシート給送装置12、13に対して本発明を適用したが、画像形成装置本体1の側方に突出するように設置されたシート給送装置としての手差しシート給送装置16(
図17参照)に対しても、本発明を適用することができる。さらには、シートとしての原稿Dを給送するシート給送装置としての原稿搬送部10に対しても、本発明を適用することができる。
なお、
図17に示すシート給紙装置16(手差しシート給送装置)は、(1)給送トレイ40(手差しトレイ)が略箱状に形成されておらず、略平板に形成されている点と、(2)シートPが給送される方向が-X方向である点と、を除き、
図3~
図16を用いて説明したシート給送装置13と概ね同じように構成されている。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0047】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、通常の用紙(紙)の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート、金属シート、フィルム、プリプレグ、布、等のシート状の記録媒体(原稿を含む。)のすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
13 シート給送装置、
40 給送トレイ(シート載置装置)、
43 サイドフェンス用ガイド部、
44 エンドフェンス用ガイド部(ガイド部)、
44a 溝部、
44b 被嵌合部(規制手段)、
45 サイドフェンス、
46 エンドフェンス(フェンス部材)、
46a 引掛部、
46b レール保持部、
46c 凸部、
46x ストッパ部、
47 中継部材、
47a 引掛部、
47b レール部、
47c 嵌合部(規制手段)、
47d 係合部、
48 回動部材(レバー)、
48a 回動軸、
48b 突起部、
48c 被係合部、
49 引張スプリング(付勢部材)、
49a、49b フック部、
50 サイズ検知部(サイズ検知手段)、
50a プッシュスイッチ、
P シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】