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特開2023-70988画像読取装置、及び、画像読取システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070988
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び、画像読取システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20230515BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20230515BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20230515BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230515BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/387
H04N5/222 300
H04N5/232 290
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183530
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】上田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】川越 克哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 和音
(72)【発明者】
【氏名】浅野 啓介
(72)【発明者】
【氏名】吉沼 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 芳政
(72)【発明者】
【氏名】宮川 崇拓
(72)【発明者】
【氏名】宮川 拓己
(72)【発明者】
【氏名】大野 覚
(72)【発明者】
【氏名】林 雄太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慶
【テーマコード(参考)】
5C072
5C076
5C122
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA17
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA21
5C072EA08
5C072FB06
5C072LA02
5C072LA08
5C072LA12
5C072RA03
5C072RA07
5C072RA18
5C072UA11
5C072UA13
5C076AA23
5C076BA06
5C076BB23
5C076CA03
5C122DA28
5C122EA37
5C122FH06
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】大きなサイズの用紙を読み取る読取精度を向上できる。
【解決手段】画像読取装置が、第1記録媒体を読み取る読取部と、前記第1記録媒体より大きいサイズの第2記録媒体を撮影する撮影部と、前記撮影部を移動、又は、回転させる調整部と、前記撮影部による撮影結果を示す第1画像を補正する基準となるマーカを示す第2画像を記憶する記憶部と、前記第2画像に基づき、前記第1画像を補正して第3画像を生成する画像処理部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記録媒体を読み取る読取部と、
前記第1記録媒体より大きいサイズの第2記録媒体を撮影する撮影部と、
前記撮影部を移動、又は、回転させる調整部と、
前記撮影部による撮影結果を示す第1画像を補正する基準となるマーカを示す第2画像を記憶する記憶部と、
前記第2画像に基づき、前記第1画像を補正して第3画像を生成する画像処理部と
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記読取部は、
原稿台に載せられた前記第1記録媒体を読み取り、
大サイズ用原稿台には、
前記マーカが形成され、
前記撮影部は、
前記大サイズ用原稿台に形成された前記マーカを撮影して、第4画像を生成し、
前記大サイズ用原稿台に載せられた前記第2記録媒体を撮影して、前記第1画像を生成し、
前記画像処理部は、
前記第2画像と前記第4画像を比較して、補正データを生成し、
前記補正データに基づき、前記第1画像が有する歪みを補正して、前記第3画像を生成する
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記大サイズ用原稿台は、
画像読取装置と別の物体である
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記大サイズ用原稿台は、
前記第2記録媒体を静電吸着する
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記撮影部と前記第2記録媒体の最適な距離を表示する表示部を更に備える
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
撮影装置と、前記撮影装置とネットワークを介して接続する画像読取装置とを有する画像読取システムであって、
前記撮影装置は、
第1記録媒体より大きいサイズの第2記録媒体を撮影する撮影部と、
前記撮影部を移動、又は、回転させる調整部を備え、
前記画像読取装置は、
前記第1記録媒体を読み取る読取部と、
前記撮影部による撮影結果を示す第1画像を補正する基準となるマーカを示す第2画像を記憶する記憶部と、
前記第2画像に基づき、前記第1画像を補正して第3画像を生成する画像処理部とを備える
画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
用紙等の記録媒体(以下、記録媒体を用紙とする例で説明する。)に画像形成された画像を読み取る技術が知られている。特に、画像形成装置が備える原稿台より大きなサイズの用紙を対象にする技術が知られている。
【0003】
具体的には、本体と台座を分離して使用する装置において、台座を連結させる技術が知られている。そして、台座を連結させるため、位置決め部と被位置決め部を備え、位置決め部と被位置決め部を結合させて、用途に応じて台座を使い分ける。このようにして、使い勝手のよい資料提示装置を実現する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、読取精度が悪い場合がある。すなわち、従来技術は、大きなサイズの用紙を読み取る精度が十分でない課題がある。
【0005】
本発明は、大きなサイズの用紙を読み取る読取精度を向上させること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である、画像読取装置は、
第1記録媒体を読み取る読取部と、
前記第1記録媒体より大きいサイズの第2記録媒体を撮影する撮影部と、
前記撮影部を移動、又は、回転させる調整部と、
前記撮影部による撮影結果を示す第1画像を補正する基準となるマーカを示す第2画像を記憶する記憶部と、
前記第2画像に基づき、前記第1画像を補正して第3画像を生成する画像処理部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大きなサイズの用紙を読み取る読取精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像読取装置の全体構成例を示す図である。
図2】ハードウェア構成例を示す図である。
図3】全体処理例を示す図である。
図4】第2画像の第1例を示す図である。
図5】第4画像の第1例を示す図である。
図6】補正の第1例を示す図である。
図7】第2画像の第2例を示す図である。
図8】第4画像の第2例を示す図である。
図9】補正の第2例を示す図である。
図10】画像読取システムの構成例を示す図である。
図11】表示部による表示例を示す図である。
図12】機能構成例を示す図である。
図13】全体処理の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。また、以下の説明は、記録媒体を用紙とする例で説明する。
【0010】
[第1実施形態]
[全体構成例]
図1は、画像読取装置の全体構成例を示す図である。例えば、画像読取装置は、図1に示すMultiFunction Peripheral(以下「MFP1」という。)である。
【0011】
MFP1は、Automatic Document Feeder(以下「ADF」という。)にカメラ2を備える。ADFは、ユーザの開閉操作で回転する。したがって、ADFを動かしてカメラ2が移動、又は、回転する調整を行う機構である。なお、調整は、他に機構部品、又は、アクチュエータ等を用いる構成でもよい。
【0012】
[ハードウェア構成例]
図2は、ハードウェア構成例を示す図である。例えば、MFP1は、カメラ2、Central Processing Unit(以下「CPU3」という。)、スキャナ4、記憶装置5、及び、インタフェース6を備えるハードウェア構成である。
【0013】
カメラ2は、撮影装置の例であって、画角内に載置された用紙10の画像を取得する。したがって、カメラ2は、光学センサ、及び、レンズ等を有する。
【0014】
CPU3は、演算装置、及び、制御装置の例である。
【0015】
スキャナ4は、載置した用紙10に対し、画像読取素子で走査処理を行うことで用紙10に形成された画像を読み取る画像読取機能を供する構成である。
【0016】
記憶装置5は、主記憶装置、及び、補助記憶装置等である。
【0017】
インタフェース6は、外部とデータを送受信する装置である。
【0018】
以上のように、MFP1とカメラ2が一体であると、処理をする上で用いるデバイス等を共有できる。そのため、コストを抑えることができる。
【0019】
また、MFP1は、インタフェース6により情報処理装置とデータを送受信して、クラウド等で処理の全部、又は、一部を実行する構成でもよい。このような構成であると、MFP1は、スキャナ4、又は、カメラ2を介して読み取った画像に対する処理を実行するのにCPU3での処理の量を軽減し、外部のリソースを用いて処理が実行できる。
【0020】
なお、MFP1は、図2に示すハードウェア構成に限られない。例えば、MFP1は、更に演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、画像形成を行う装置、及び、周辺機器等を備えてもよい。
【0021】
MFP1は、用紙10のサイズに応じて、スキャナ4、及び、カメラ2を使い分ける。例えば、MFP1は、用紙10がA3以下のサイズであればスキャナ4による走査によって画像を読み取る。一方で、MFP1は、用紙10がA0等の大きなサイズであればカメラ2を用いて撮影する。
【0022】
ただし、スキャナ4とカメラ2を切り替えるサイズは、MFP1の大きさ、及び、設定等で決まる。また、スキャナ4、及び、カメラ2のどちらを使ってもよいサイズがあってもよい。
【0023】
スキャナ4が読取対象とする用紙10のサイズは、カメラ2が撮影可能な用紙10のサイズよりも小さい。
【0024】
スキャナ4は、光学素子を用紙10に対して走査して画像を読み取る構造であるから、光学素子の走査可能範囲がMFP1の構造、及び、大きさによって規制されるが故である。
【0025】
一方、カメラ2は、レンズを組み合わせて焦点距離と画角を調整することで、スキャナ4における走査可能範囲を超える部分までを撮影できる。
【0026】
すなわち、MFP1は、走査によって、用紙10に形成された画像を読み取る機能を提供する構成と、撮影によって、用紙10に形成された画像を読み取る機能を提供する構成とを備える。
【0027】
以下、スキャナ4が読み取れるサイズの記録媒体を「第1記録媒体」という。一方で、カメラ2が撮影するサイズの記録媒体を「第2記録媒体」という。すなわち、第2記録媒体は、第1記録媒体より大きいサイズである。
【0028】
図1に示すように、カメラ2で用紙10を撮影する場合には、MFP1は、大サイズ用原稿台11を用いる。具体的には、大サイズ用原稿台11は、原稿台の上等に設置する。そして、カメラ2で用紙10を撮影する際に、大サイズ用原稿台11は、用紙10を載せる。また、大サイズ用原稿台11は、吸着等で原稿台に対し取り外しが可能な機構である。
【0029】
[大サイズ用原稿台を別の物体とする変形例]
大サイズ用原稿台11は、MFP1及びカメラ2と別の物体であってもよい。このように、大サイズ用原稿台11がMFP1とは別の物体であると、大サイズ用原稿台11は、MFP1の大きさより大きなサイズが可能になる。そのため、大きなサイズの大サイズ用原稿台11を用いると、大きさサイズの用紙10を扱うことができる。
【0030】
大サイズ用原稿台11は、用紙10を静電吸着する構成が望ましい。具体的には、大サイズ用原稿台11は、用紙10を吸着させる面に微弱な電流を流して静電気を発生させる。すなわち、大サイズ用原稿台11は、用紙10を吸着させる面に微弱な電流を流す電源装置を備える。そして、スイッチを押す等の操作があると、大サイズ用原稿台11には、電源装置が出力する電流が流れて静電気が発生する。
【0031】
このように静電気を発生させると、大サイズ用原稿台11は、用紙10を吸着させることができる。そのため、大サイズ用原稿台11は、いわゆる「壁掛け」等の姿勢であっても、用紙10を吸着させることができ、用紙10がずれるのを防げる。
【0032】
[全体処理例]
図3は、全体処理例を示す図である。以下、全体処理を「事前処理」と「実行処理」に分けて説明する。「事前処理」は、「実行処理」より前に行う処理である。ゆえに、「事前処理」と「実行処理」は、連続して実行されなくてもよい。すなわち、「事前処理」と「実行処理」の間に他の処理を行う等があって間隔があいてもよい。また、「事前処理」は、条件が同じであれば、1度行えばよく、「事前処理」を実行した後、同じ条件で実行する場合には、「事前処理」は省略されてもよい。以下、「事前処理」と「実行処理」を連続して行う全体処理で説明する。
【0033】
以下、用紙10に形成された画像の撮影結果を示す画像を「第1画像」という。例えば、第1画像は、設計図、図形、文字、模様、又は、これらの組み合わせ等を示す。一方で、第1画像を補正する基準となるマーカを含む画像を「第2画像」という。第2画像の詳細は後述する。
【0034】
また、第1画像を補正した後の画像を「第3画像」という。さらに、第2画像が写すのと同様のマーカを被写体とし、レンズ等を通して撮影した画像を「第4画像」という。
【0035】
[事前処理例]
ステップS0301では、MFP1は、第2画像を記憶する。すなわち、MFP1には、事前に第2画像が入力される。以降、MFP1は、同様のマーカを示す第4画像が入力されると、補正データを生成できる。
【0036】
ステップS0302では、MFP1は、カメラ2を調整する。例えば、ユーザは、カメラ2を移動、及び、回転させて用紙10が画角に入るように操作する。このようにして、カメラ2の位置、及び、姿勢が調整される。
【0037】
ステップS0303では、MFP1は、マーカを撮影する。例えば、マーカは、事前に大サイズ用原稿台に形成される。そして、大サイズ用原稿台11を設置すると、カメラ2は、大サイズ用原稿台11に形成されたマーカを撮影し、第4画像を生成する。
【0038】
ステップS0304では、MFP1は、補正データを生成する。
【0039】
補正データは、撮影した画像を理想的な状態、すなわち、歪み、及び、線の曲がり等がない状態にするための補正処理の内容を示す。つまり、補正データは、理想的な状態のマーカを示す第2画像と、実際にマーカを撮影した第4画像とを比較して、第1画像をどのように補正して第3画像を生成するかの画像処理内容を示すデータである。このような補正データがあると、マーカのデータに基づき、スケールの場所ごとの伸び縮み、歪み、及び、マーカ間の距離等が補正できる。
【0040】
特に、補正データは、第1画像が有する歪曲収差等の歪みを補正する画像処理内容を含むのが望ましい。ただし、補正データは、色収差等を補正する画像処理内容を含んでもよい。
【0041】
[実行処理例]
実行処理は、事前処理で補正データが生成された後に実行される。
【0042】
ステップS0305では、MFP1は、用紙10を撮影する。このようにして、第1画像が生成される。
【0043】
ステップS0306では、MFP1は、補正データに基づき、第1画像を補正して第3画像を生成する。
【0044】
図4は、第2画像の第1例を示す図である。なお、図において、横方向における中心を「横中心線C1」で示す。同様に、図において、縦方向における中心を「縦中心線C2」で示す。
【0045】
例えば、第2画像は、目盛り等のマーカで構成する。そして、1目盛の長さは、事前に測定しておき、MFP1に入力する。このように、1目盛の長さが分かっていると、MFP1は、スケールが容易に判断できる。
【0046】
また、マーカは、点対称の図形であるのが望ましい。具体的には、図4に示す例では、第2画像は、横中心線C1を中心に左右対称、かつ、縦中心線C2を中心に上下対称の図形である。
【0047】
カメラ2は、レンズの製造誤差等により、歪みが均一であるとは限らない。そこで、マーカを点対称にすると、歪みが発生している点が分かりやすく、精度良く補正ができる。
【0048】
図5は、第4画像の第1例を示す図である。図4に示すマーカを撮影すると、例えば、図5に示す第4画像が生成される。
【0049】
具体的には、図4図5を比較すると、歪み、及び、カメラ2の傾き等により、第4画像は、第2画像より画像上部が内側へ縮んだ形状の画像である。すなわち、第1例では、理想状態であれば、第2画像は画像全体が長方形の画像であるのに対し、第4画像は、歪み等により、画像上部が短い台形の画像となる。
【0050】
図6は、補正の第1例を示す図である。図6(A)は、図5と同様、すなわち、第4画像を示す。一方で、図6(B)は、補正後の画像を示す。破線で示すように、補正は、第4画像の上部を変形する画像処理である。このような補正をすると、図6(A)に示す歪みがある第4画像から、図6(B)に示す歪みが少ない画像、すなわち、第2画像に近い画像が生成できる。
【0051】
このような補正により、MFP1は、第1画像から第3画像を生成できる。
【0052】
図7は、第2画像の第2例を示す図である。マーカは、図示するような構成でもよい。
【0053】
図8は、第4画像の第2例を示す図である。以下、図7に示すマーカが図8に示すように撮影された場合の例で説明する。カメラ2が用紙10に対して傾きがある姿勢であると、図8に示すような第4画像が生成される。
【0054】
図9は、補正の第2例を示す図である。図9(A)は、図8と同様、すなわち、第4画像を示す。一方で、図9(B)は、補正後の画像を示す。
【0055】
このような補正をすると、図9(A)に示す傾きがある第4画像から、図9(B)に示す傾きが少ない画像、すなわち、第2画像に近い画像が生成できる。
【0056】
マーカは、上記に説明したマーカに限られない。例えば、マーカは、十字等の図形でもよい。
【0057】
上記に説明するように、カメラ2をADFに設置すると、ADFを開閉させる操作により、カメラ2と用紙10の位置関係が調整できる。ただし、カメラ2は、ADF以外の機構で位置、及び、姿勢が調整されてもよい。ゆえに、カメラ2を調整するには、機構、及び、自由度を問わない。
【0058】
カメラ2と用紙10の位置関係、すなわち、カメラ2が用紙10を撮影する位置、及び、カメラ2の用紙10に対する角度がばらつくと、倍率等に誤差が生じる。同様に、カメラ2のレンズの精度等のばらつきも、倍率等に誤差を生じさせる。
【0059】
また、カメラ2の位置、及び、姿勢が変わると、カメラ2と用紙10の距離が変わり、画像の大きさ等がばらつきやすい。
【0060】
ゆえに、これらのカメラ2を用いる大きなサイズの用紙を読み取る場合であっても、MFP1は、画像が補正できると、読取精度を向上できる。
【0061】
[第2実施形態]
第1実施形態と比較すると、第2実施形態は、撮影装置と、撮影装置とネットワークを介して接続する画像読取装置とを有する画像読取システムである点が異なる。具体的には、画像読取システムは以下のような構成である。
【0062】
図10は、画像読取システムの構成例を示す図である。第1実施形態と比較すると、画像読取システム100では、MFP1とカメラ2が別の物体である点が異なる。
【0063】
MFP1とカメラ2は、ネットワークを介して接続する。したがって、カメラ2が撮影して生成する画像データは、ネットワークを介してMFP1へ送られる。
【0064】
MFP1とカメラ2が別の物体、すなわち、カメラ2をMFP1に組み込まない構成とすると、カメラ2が自由に動かせる。
【0065】
特に、カメラ2と用紙10の距離は、細かく調整できるのが望ましい。具体的には、用紙10は、カメラ2の画角に収まる範囲内において、可能な限り大きく撮影されているのが望ましい。つまり、カメラ2は、用紙10の全体が写せる範囲において、できるだけ用紙10に近づいた距離が最適である。このような最適な距離で用紙10がされると、用紙10を撮影した画像の解像度を高くできる。したがって、MFP1は、カメラ2と用紙10の距離を調整できる自由度の調整機構を備えるのが望ましい。
【0066】
[最適な距離の表示例]
MFP1は、カメラ2と用紙10の距離が最適な距離となるように、最適な距離を表示するのが望ましい。
【0067】
図11は、表示部による表示例を示す図である。例えば、MFP1は、パネル等の表示装置で、図示するようなメッセージを表示する。なお、メッセージは、図示する以外の形式以外で表示されてもよい。例えば、メッセージは、「カメラの角度を右に少しずらしてください。」、又は、「大サイズ用原稿台をもう少し左側に移動させてください。」等でもよい。
【0068】
カメラ2と用紙10の最適な距離は、カメラ2のレンズ等により異なる場合がある。したがって、MFP1は、最適な距離をユーザへ表示するのが望ましい。
【0069】
また、図示するように、MFP1は、最適な距離と現時点の距離との差を計算して差を表示してもよい。したがって、MFP1は、カメラ2と用紙10の距離を計測するセンサを備える。
【0070】
このような表示ができると、カメラ2と用紙10の距離を最適な距離にするようにユーザに指示が出せる。
【0071】
なお、表示部は、パネル以外の装置でもよい。例えば、MFP1は、ネットワークを介して他の情報処理装置で表示してもよい。
【0072】
[機能構成例]
図12は、機能構成例を示す図である。具体的には、MFP1は、読取部1F1、撮影部1F2、調整部1F3、記憶部1F4、及び、画像処理部1F5を備える。また、MFP1は、表示部1F6を更に備えるのが望ましい。
【0073】
読取部1F1は、第1記録媒体を読み取る読取手順を行う。例えば、読取部1F1は、スキャナ4等で実現する。
【0074】
撮影部1F2は、第2記録媒体を撮影する撮影手順を行う。例えば、撮影部1F2は、カメラ2等で実現する。
【0075】
調整部1F3は、第2記録媒体に対し、カメラ2を移動、又は、回転させる調整手順を行う。例えば、調整部1F3は、ADF等で実現する。
【0076】
記憶部1F4は、第2画像を記憶する記憶手順を行う。例えば、記憶部1F4は、記憶装置5等で実現する。
【0077】
画像処理部1F5は、第2画像に基づき、第1画像を補正して第3画像を生成する画像処理手順を行う。例えば、画像処理部1F5は、CPU3等で実現する。
【0078】
表示部1F6は、カメラ2と用紙10の最適な距離を表示する表示手順を行う。例えば、表示部1F6は、表示装置等で実現する。
【0079】
読取部1F1は、第1記録媒体を読み取る。一方で、撮影部1F2は、第1記録媒体よりサイズの大きい第2記録媒体を撮影して第1画像を生成する。この第1画像は、第2画像のように歪み等がない状態が望ましい。そこで、MFP1は、第2画像を参照して第1画像を補正する。このように補正すると、MFP1は、歪み等が少ない第3画像を生成できる。ゆえに、MFP1は、原稿台に乗りきらないような大きなサイズの用紙を読み取る読取精度を向上できる。
【0080】
また、このように補正ができると、大きなサイズの用紙を読み取る装置が大がかりになるのを防げる。又は、カメラ2を高精度するためにコストアップになるのを抑制できる。
【0081】
特に、カメラ2と用紙10の距離を短くし、かつ、装置を小型化するには、カメラ2は、広角レンズを用いる装置が望ましい。一方で、広角レンズを用いて撮影すると、画像の端等が歪みやすい。そこで、上記のように補正ができると、MFP1は、広角レンズによる歪み等を少なくできる。ゆえに、MFP1は、広角レンズのカメラ2を採用して、高解像度化、及び、装置の小型化を実現できる。
【0082】
また、カメラ2のレンズを安価にすると、レンズの精度にばらつきが生じやすい。そのようなレンズであっても、上記のように補正ができると、MFP1は、広角レンズによる歪み等を少なくできる。ゆえに、MFP1は、コストアップを抑制できる。
【0083】
[その他の実施形態]
全体処理は、図3に示す順序以外の順序で処理を行うでもよい。
【0084】
図13は、全体処理の変形例を示す図である。図3と比較すると、図13に示す全体処理は、記録媒体の撮影(ステップS0305)、「事前処理」(ステップS0301乃至ステップS0304)、補正(ステップS0306)といった順に処理を行う点が異なる。すなわち、「事前処理」は、記録媒体の撮影(ステップS0305)の前後のどちらで実行されてもよい。
【0085】
画像読取装置は、2台以上の装置で構成されてもよい。
【0086】
記録媒体は、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)以外でもよい。例えば、記録媒体は、コート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。すなわち、記録媒体の素材は、トナー、又は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、記録媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。このように、記録媒体の材質は、液体が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。
【0087】
各々の装置は、複数の装置であってもよい。すなわち、各装置は、複数の装置で分散、冗長、又は、並列に処理を行う構成等でもよい。一方で、各装置は、一体であってもよい。すなわち、上記に説明した複数の装置が1台の装置で実現されてもよい。
【0088】
上記のような画像読取方法は、画像読取プログラムによって実現されてもよい。すなわち、画像読取プログラムは、コンピュータが備える演算装置、制御装置、及び、記憶装置等の装置を協働して動作させて、画像読取方法を実現する。また、画像読取プログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体、又は、電気通信回線等を介して配布されてもよい。
【0089】
上記の実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 :MFP
1F1 :読取部
1F2 :撮影部
1F3 :調整部
1F4 :記憶部
1F5 :画像処理部
1F6 :表示部
2 :カメラ
3 :CPU
4 :スキャナ
5 :記憶装置
6 :インタフェース
10 :用紙
11 :大サイズ用原稿台
100 :画像読取システム
C1 :横中心線
C2 :縦中心線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2007-180712号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図13