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特開2023-710フィンチューブ外面の洗浄治具および洗浄方法
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  • 特開-フィンチューブ外面の洗浄治具および洗浄方法 図1
  • 特開-フィンチューブ外面の洗浄治具および洗浄方法 図2
  • 特開-フィンチューブ外面の洗浄治具および洗浄方法 図3
  • 特開-フィンチューブ外面の洗浄治具および洗浄方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000710
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】フィンチューブ外面の洗浄治具および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   F28G 1/16 20060101AFI20221222BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20221222BHJP
   B08B 9/023 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
F28G1/16 Z
B08B3/02 F
B08B3/02 G
B08B9/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101689
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 兼大
(72)【発明者】
【氏名】星 琢麿
(72)【発明者】
【氏名】財津 昭則
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AB52
3B116BB32
3B116BB90
3B201AA12
3B201AB52
3B201BB32
3B201BB90
3B201BB93
(57)【要約】
【課題】フィンチューブ外面の付着物を効率よく洗浄除去することができる洗浄治具と、この洗浄治具を用いた洗浄方法とを提供する。
【解決手段】洗浄治具1は、グリップ部2と、該グリップ部2の一端に連なるヘッダ部3と、該ヘッダ部3から延出する複数本の水噴射管4、5、6とを有する。各水噴射管4、5、6は、直管状であり、先端又は側面に各水噴射管4、5、6の管軸延長方向に水を噴出させる噴射口が設けられている。水噴射管4、5、6の順に長さが短くなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンチューブ束のフィンチューブ間に差し込まれ、先端又は側面から水を噴出する水噴射管を有する洗浄治具において、
長さの異なる水噴射管を備えたことを特徴とするフィンチューブ外面の洗浄治具。
【請求項2】
前記水噴射管は、基端側がヘッダ部に連なっており、各水噴射管の管軸方向を平行とし、かつ同一平面上に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブ外面の洗浄治具。
【請求項3】
前記水噴射管は、長さの短いものから順次に配列されていることを特徴とする請求項2に記載のフィンチューブ外面の洗浄治具。
【請求項4】
隣接する長さの異なる前記水噴射管同士の長さの差は、前記フィンチューブの配列間隔と略同一であることを特徴とする請求項2又は3に記載のフィンチューブ外面の洗浄治具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のフィンチューブ外面の洗浄治具を用いたフィンチューブ外面の洗浄方法。
【請求項6】
前記フィンチューブが水平に配列されたフィンチューブ束が上下に複数段配置されており、該フィンチューブ束同士の間に水平な仕切板が配置されており、
該仕切板の上面に沿って水を噴射し、その噴出水によって、該仕切板上に落下した剥離物を押し流して該仕切板上から除去することを特徴とする請求項5に記載のフィンチューブ外面の洗浄方法。
【請求項7】
洗浄排水を固液分離処理して再度前記洗浄治具に供給することを特徴とする請求項5又は6に記載のフィンチューブ外面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用などの廃熱回収ボイラの蒸発管等に使用されているフィンチューブの外面に付着する付着物を水洗浄して除去する洗浄冶具及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電用等の廃熱ボイラやガス-ガスヒーターのフィンチューブ(蒸発管や伝熱管等)には、ボイラ運転中に硫酸アンモニウム等の水溶性成分および酸化鉄やカルシウム、シリカ等の不溶解成分が付着し堆積する。これにより廃熱ボイラやガス-ガスヒーターの排ガスの差圧が大きくなったり、熱効率が悪化してボイラ効率が悪化する。このため、定期的にボイラを停止し、高圧水洗浄等によるフィンチューブの洗浄が行われる。
【0003】
ボイラの型式やメーカーによってフィンチューブの配列や構造が様々である。フィンチューブの間隔が狭く、千鳥配列になったボイラでは、高圧水洗浄の噴射水がチューブ束の奥のフィンチューブまで届かず、高圧水洗浄の効果が得られなかった。
【0004】
例えば、フィンチューブの表面に向って高圧水を噴射した場合、噴射水が直接当たったフィンチューブの付着物のみが除去され、管束の奥のフィンチューブまで高圧水が届かないため、付着物の除去効果が悪い。フィンチューブの上部から水を掛け流す方法や、水をスプレーする方法も行われるが、水溶性成分はある程度除去できるが、不溶解成分は除去できない。
【0005】
特許文献1には、フィンチューブの付着物を効率よく洗浄除去することができるフィンチューブの洗浄治具および洗浄方法として、高圧水噴射口が管長手方向に間隔をあけて複数個設けられた洗浄管を有する洗浄治具であって、洗浄管の管軸を含む面と垂直な2方向に高圧水を噴射するように前記高圧水噴射口が設けられている洗浄治具と、この洗浄治具を用いた洗浄方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-133734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の高圧水洗浄治具では、チューブ束の奥部やフィンチューブの裏側で高圧水を噴射し、付着物を剥離しても、剥離した付着物を洗い流すには水量が不足し、下部のフィンチューブのフィンに挟まることがある。
【0008】
そのため多水量で洗い流すことが必要となるが、最上段には隙間がないため、チューブ束の中央部に上部から水を掛けることができない構造であり、さらにチューブ束の間の仕切板と呼ばれる水平方向に設置された一定間隔の金属板により水が下方へ流れずに仕切板に沿って横方向にチューブ束の外側へ流れ出てしまっている。また、側面から洗い流すことは千鳥配列のチューブで阻害され、奥まで水が掛からない。
【0009】
本発明は、フィンチューブ外面の付着物を効率よく洗浄除去することができる洗浄治具と、この洗浄治具を用いた洗浄方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィンチューブ外面の洗浄治具は、フィンチューブ束のフィンチューブ間に差し込まれ、先端又は側面から水を噴出する水噴射管を有する洗浄治具において、長さの異なる水噴射管を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明のフィンチューブ外面の洗浄治具の一態様では、前記水噴射管は、基端側がヘッダ部に連なっており、各水噴射管の管軸方向を平行とし、かつ同一平面上に配列されている。
【0012】
本発明のフィンチューブ外面の洗浄治具の一態様では、前記水噴射管は、長さの短いものから順次に配列されている。
【0013】
本発明のフィンチューブ外面の洗浄治具の一態様では、隣接する長さの異なる前記水噴射管同士の長さの差は、前記フィンチューブの配列間隔と略同一である。
【0014】
本発明のフィンチューブ外面の洗浄方法は、かかる本発明の洗浄治具を用いる洗浄方法である。
【0015】
本発明の洗浄方法の一態様では、前記フィンチューブが水平に配列されたフィンチューブ束が上下に複数段配置されており、該フィンチューブ束同士の間に水平な仕切板が配置されており、該仕切板の上面に沿って水を噴射し、その噴出水によって、該仕切板上に落下した剥離物を押し流して該仕切板上から除去する。
【0016】
本発明の洗浄方法の一態様では、洗浄排水を固液分離処理して再度前記洗浄治具に供給する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の洗浄治具及び洗浄方法によると、長さの異なる複数本の水噴射管を、フィンチューブ間の狭い隙間に挿入し、各水噴射管の先端又は側面から多量の水を噴射し、固形物を剥離させて洗い流すことができる。また、本発明の一態様では、下部にある仕切板上に固形物が堆積することを防止するため、仕切板の上面に沿って水を噴射し、固形物を横方向に押し流すことができる。
【0018】
本発明の洗浄方法では、噴射水量が多いが、回収及び処理し再使用することにより、系外に排出される排出量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係る洗浄治具の平面図である。
図2図1のII-II線矢視図である。
図3図1のIII-III線矢視図である。
図4】実施の形態に係る洗浄方法を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1~4を参照して実施の形態について説明する。
【0021】
図1~3は実施の形態に係る洗浄治具1を示すものである。この洗浄治具1は、グリップ部2と、該グリップ部2の一端に連なるヘッダ部3と、該ヘッダ部3から延出する複数本の水噴射管4、5、6とを有する。各水噴射管4、5、6は、直管状であり、先端に各水噴射管4、5、6の管軸延長方向に水を噴出させる噴射口が設けられている。各水噴射管4、5、6は、ヘッダ部3の長手方向に沿って、同一平面上に互いに平行に配列されている。また、長さの短いものから長さの長いものへ順次に配列されている。
【0022】
この実施の形態では、長さの長い水噴射管4が3本、長さの短い水噴射管6が2本及び長さが両者の中間の水噴射管5が2本の合計7本の水噴射管が設置されているが、長さの種類は2又は4種類以上であってもよい。また、各長さの水噴射管の本数は上記以外であってもよい。
【0023】
この実施の形態では、水噴射管4と水噴射管5との長さの差及び水噴射管5と水噴射管6との長さの差はそれぞれフィンチューブ8の配列間隔とほぼ同程度(例えば0.8~1.2倍程度)であることが好ましいが、これに限定されない。
【0024】
この洗浄治具1を用いたフィンチューブ外面の洗浄方法について図4を参照して説明する。
【0025】
図4の通り、多数のフィンチューブ8が平行に、且つチューブ軸心線方向を水平方向にして設置されている。所定本数のフィンチューブ8の束7同士の間に、水平な仕切板9が配置されている。
【0026】
ポンプ(図示略)から延びる耐圧ホース(図示略)をグリップ部2に接続する。洗浄治具1を作業者が手で持ち、該洗浄治具1をフィンチューブ8間に差し込み、各水噴射管4~6の先端又は側面から水を噴出させると共に、洗浄治具1を差し込み方向及びフィンチューブ8の長手方向に移動させて各フィンチューブ8を万遍なく洗浄する。
【0027】
各水噴射管4~6から噴射された水が当ったフィンチューブ付着物は、フィンチューブ8から剥離及び粉砕され、仕切板9上へ落下する。この仕切板9上から剥離物を除去するために、仕切板9の上面に沿って水を噴出するように洗浄治具1を配置し、この洗浄治具1から噴射される水によって仕切板9上の剥離物を押し流す。
【0028】
洗浄治具1からは大量の洗浄水が噴出するので、フィンチューブ束7及び仕切板9上から落下した洗浄排水を回収し、薬品処理(例えば凝集剤添加による凝集処理)及び固液分離処理(例えば沈殿処理)し、上澄水と沈殿物とに分離し、上澄水を上記ポンプに戻して洗浄に再使用する。これにより、系外に排出される排水量が少なくなる。
【0029】
上記説明は、本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 洗浄治具
2 グリップ部
3 ヘッダ部
4,5,6 水噴射管
7 フィンチューブ束
8 フィンチューブ
9 仕切板
図1
図2
図3
図4