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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071413
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】多結晶シリコン膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20230516BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184177
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 由裕
(72)【発明者】
【氏名】宮原 達也
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030BA30
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA09
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA06
4K030JA09
4K030JA10
4K030LA15
5F045AA06
5F045AB04
5F045AC01
5F045AC02
5F045AC03
5F045AC05
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE15
5F045AE17
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045AF01
5F045BB18
5F045DA52
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB03
5F045EB10
5F045EC02
5F045EF03
5F045EF09
5F045EF11
5F045EG02
5F045EK06
5F045EM10
5F045EN05
5F045HA16
(57)【要約】
【課題】大粒径の多結晶シリコン膜を形成できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による多結晶シリコン膜の形成方法は、基板の上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記第1アモルファスシリコン膜を覆う第2アモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記第2アモルファスシリコン膜の上に第3アモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記基板を第1温度に加熱する工程と、を有し、前記第1アモルファスシリコン膜は、前記第2アモルファスシリコン膜よりも低温で結晶化する膜であり、前記第1温度は、前記第2アモルファスシリコン膜よりも前記第1アモルファスシリコン膜が結晶化しやすい温度である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜を形成する工程と、
前記第1アモルファスシリコン膜を覆う第2アモルファスシリコン膜を形成する工程と、
前記第2アモルファスシリコン膜の上に第3アモルファスシリコン膜を形成する工程と、
前記基板を第1温度に加熱する工程と、
を有し、
前記第1アモルファスシリコン膜は、前記第2アモルファスシリコン膜よりも低温で結晶化する膜であり、
前記第1温度は、前記第2アモルファスシリコン膜よりも前記第1アモルファスシリコン膜が結晶化しやすい温度である、
多結晶シリコン膜の形成方法。
【請求項2】
前記第1アモルファスシリコン膜は、前記基板にSiHガスを供給することにより形成され、
前記第2アモルファスシリコン膜は、前記基板に高次シランガスを供給することにより形成される、
請求項1に記載の多結晶シリコン膜の形成方法。
【請求項3】
前記高次シランガスは、ジシラン、トリシラン、テトラシラン又はこれら2種以上の混合ガスである、
請求項2に記載の多結晶シリコン膜の形成方法。
【請求項4】
前記第1温度は、550℃以上600℃以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多結晶シリコン膜の形成方法。
【請求項5】
前記第1アモルファスシリコン膜を形成する工程は、前記第2アモルファスシリコン膜を形成する工程よりも高圧に維持された処理容器内で行われる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多結晶シリコン膜の形成方法。
【請求項6】
前記第1アモルファスシリコン膜を形成する工程と前記第2アモルファスシリコン膜を形成する工程とは同じ温度で行われる、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多結晶シリコン膜の形成方法。
【請求項7】
前記基板には絶縁膜が形成されており、
前記第1アモルファスシリコン膜は前記絶縁膜の上に形成される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多結晶シリコン膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多結晶シリコン膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁膜の上に、結晶化の進行を抑制する不純物がドープされたアモルファスシリコン膜と、ノンドープアモルファスシリコン膜とをこの順に積層し、次いで積層されたアモルファスシリコン膜を結晶化させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-255894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、大粒径の多結晶シリコン膜を形成できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による多結晶シリコン膜の形成方法は、基板の上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記第1アモルファスシリコン膜を覆う第2アモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記第2アモルファスシリコン膜の上に第3アモルファスシリコン膜を形成する工程と、前記基板を第1温度に加熱する工程と、を有し、前記第1アモルファスシリコン膜は、前記第2アモルファスシリコン膜よりも低温で結晶化する膜であり、前記第1温度は、前記第2アモルファスシリコン膜よりも前記第1アモルファスシリコン膜が結晶化しやすい温度である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、大粒径の多結晶シリコン膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を示すフローチャート
図2】実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を示す工程断面図(1)
図3】実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を示す工程断面図(2)
図4】実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を示す工程断面図(3)
図5】実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を示す工程断面図(4)
図6】実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を実施する処理装置の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔多結晶シリコン膜の形成方法〕
図1図5を参照し、実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法について説明する。以下では、基板に形成された絶縁膜の上に多結晶シリコン膜を形成する場合を例に挙げて説明する。
【0010】
図1に示されるように、実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法は、第1成膜工程S1、第2成膜工程S2、第3成膜工程S3及び結晶化工程S4をこの順に行うことを含む。
【0011】
(第1成膜工程S1)
第1成膜工程S1は、図2に示されるように、基板100の表面に形成された絶縁膜110上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜121を形成することを含む。第1アモルファスシリコン膜121は、後述する第2アモルファスシリコン膜122よりも低温で結晶化する膜である。第1アモルファスシリコン膜121は、基板100に第1シリコン含有ガスを供給することにより形成される。第1シリコン含有ガスとしては、モノシラン(SiH)を好適に利用できる。第1成膜工程S1は、第2成膜工程S2よりも高圧に維持された処理容器内で行われることが好ましい。これにより、第1シリコン含有ガスの熱分解温度を低くできる。例えば、一般に用いられる圧力範囲(例えば、1Pa以上1000Pa以下)において、モノシランの熱分解温度は450℃~530℃程度であり、後述する高次シランの一例であるジシランの熱分解温度は350℃~420℃程度である。そのため、第1成膜工程S1を第2成膜工程S2と同じ圧力に維持された処理容器内で行う場合、第1成膜工程S1の成膜温度は第2成膜工程S2の成膜温度よりも高い温度に設定される。これに対し、第1成膜工程S1を第2成膜工程S2よりも高圧に維持された処理容器内で行うことにより、モノシランの熱分解温度を低下させることができる。例えば、第1成膜工程S1を1.3kPa以上13kPa以下(10Torr以上100Torr以下)の圧力に維持された処理容器内で行うことにより、350℃以上420℃以下の温度でモノシランを熱分解させることができる。その結果、第1成膜工程S1と第2成膜工程S2とを同じ温度で実施できる。第1成膜工程S1における好適なプロセス条件は以下である。
【0012】
第1シリコン含有ガス:モノシラン
基板温度:350℃以上420℃以下
処理容器内の圧力:1.3kPa以上13kPa以下
【0013】
(第2成膜工程S2)
第2成膜工程S2は、図3に示されるように、第1アモルファスシリコン膜121を覆う第2アモルファスシリコン膜122を形成することを含む。第2アモルファスシリコン膜122は、基板100に第2シリコン含有ガスを供給することにより形成される。第2シリコン含有ガスとしては、一分子中に2つ以上のシリコン(Si)を含む高次シランガスを好適に利用できる。高次シランガスは一分子中のシリコンの数が多く、低温で滑らか(スムース)な成膜が行える。そのため、高次シランガスを用いることにより、第2アモルファスシリコン膜122が絶縁膜110及び第1アモルファスシリコン膜121を覆うように形成される。高次シランガスとしては、例えばジシラン(Si)、トリシラン(Si)、テトラシラン(Si10)又はこれら2種以上の混合ガスが挙げられる。第2成膜工程S2における好適なプロセス条件は以下である。
【0014】
第2シリコン含有ガス:ジシラン
基板温度:350℃以上420℃以下
処理容器内の圧力:1Pa以上1000Pa以下
【0015】
(第3成膜工程S3)
第3成膜工程S3は、図4に示されるように、第2アモルファスシリコン膜122上に第3アモルファスシリコン膜123を形成することを含む。第3アモルファスシリコン膜123は、基板100に第3シリコン含有ガスを供給することにより形成される。第3シリコン含有ガスとしては、例えばモノシラン、高次シランガス、ハロゲン含有シリコンガス又はこれら2種以上の混合ガスを利用できる。ハロゲン含有シリコンガスとしては、例えばSiF、SiHF、SiH、SiHF等のフッ素含有シリコンガス、SiCl、SiHCl、SiHCl(DCS)、SiHCl等の塩素含有シリコンガス、SiBr、SiHBr、SiHBr、SiHBr等の臭素含有ガスが挙げられる。第3シリコン含有ガスとしては、成膜レートが大きく、かつ安価であるという観点から、モノシランを好適に利用できる。第3成膜工程S3は、第2成膜工程S2と同じ温度で行ってもよく、第2成膜工程S2と異なる温度で行ってもよい。第3成膜工程S3における好適なプロセス条件は以下である。
【0016】
第3シリコン含有ガス:モノシラン
基板温度:450℃以上530℃以下
処理容器内の圧力:1Pa以上1000Pa以下
【0017】
(結晶化工程S4)
結晶化工程S4は、基板100を第1温度に加熱することにより、第1アモルファスシリコン膜121、第2アモルファスシリコン膜122及び第3アモルファスシリコン膜123を結晶化させることにより、多結晶シリコン膜を形成することを含む。第1温度は、第2アモルファスシリコン膜122よりも第1アモルファスシリコン膜121が結晶化しやすい温度である。この場合、図5に示されるように、島状を有する第1アモルファスシリコン膜121を核として第1アモルファスシリコン膜121、第2アモルファスシリコン膜122及び第3アモルファスシリコン膜123の結晶化が進行する。その結果、大粒径の多結晶シリコン膜を形成できる。なお、図5中の参照符号124は隣接する単結晶領域の結晶粒界を模式的に図示したものである。例えば、第1成膜工程S1においてモノシランを利用し、第2成膜工程S2においてジシランガスを利用する場合、第1温度は550℃以上600℃以下であってよい。結晶化工程S4は、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気、水素雰囲気等の還元ガス雰囲気で行われる。
【0018】
以上に説明した実施形態の多結晶シリコン膜の形成方法によれば、まず、基板100の上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜121を形成する。次いで、第1アモルファスシリコン膜121を覆う第2アモルファスシリコン膜122を形成する。次いで、第2アモルファスシリコン膜122の上に第3アモルファスシリコン膜123を形成する。次いで、基板100を第1温度に加熱する。また、第1アモルファスシリコン膜121は第2アモルファスシリコン膜122よりも低温で結晶化する膜であり、第1温度は第2アモルファスシリコン膜122よりも第1アモルファスシリコン膜121が結晶化しやすい温度である。これにより、島状を有する第1アモルファスシリコン膜121を核として第1アモルファスシリコン膜121、第2アモルファスシリコン膜122及び第3アモルファスシリコン膜123の結晶化が進行する。その結果、大粒径の多結晶シリコン膜を形成できる。
【0019】
〔処理装置〕
図6を参照し、実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を実施する処理装置の一例について説明する。処理装置1は、複数の基板に対して一度に処理を行うバッチ式の装置である。基板は、例えば半導体ウエハ(以下単に「ウエハW」という。)であってよい。
【0020】
処理装置1は、処理容器10、ガス供給部30、排気部40、加熱部50、制御部80等を有する。
【0021】
処理容器10は、内部を減圧可能であり、ウエハWを収容する。処理容器10は、下端が開放された有天井の円筒形状の内管11と、下端が開放されて内管11の外側を覆う有天井の円筒形状の外管12とを有する。内管11及び外管12は、石英等の耐熱性材料により形成されており、同軸状に配置されて2重管構造となっている。
【0022】
内管11の天井は、例えば平坦になっている。内管11の一側には、その長手方向(上下方向)に沿ってガスノズルを収容する収容部13が形成されている。収容部13は、内管11の側壁の一部を外側へ向けて突出させて形成された凸部14内の領域である。
【0023】
収容部13に対向させて内管11の反対側の側壁には、その長手方向(上下方向)に沿って矩形状の開口15が形成されている。
【0024】
開口15は、内管11内のガスを排気できるように形成されたガス排気口である。開口15の長さは、ウエハボート16の長さと同じであるか、又は、ウエハボート16の長さよりも長く上下方向へそれぞれ延びるようにして形成されている。
【0025】
処理容器10の下端は、例えばステンレス鋼により形成される円筒形状のマニホールド17によって支持されている。マニホールド17の上端にはフランジ18が形成されており、フランジ18上に外管12の下端を設置して支持するようになっている。フランジ18と外管12との下端との間にはOリング等のシール部材19を介在させて外管12内を気密状態にしている。
【0026】
マニホールド17の上部の内壁には、円環状の支持部20が設けられており、支持部20上に内管11の下端を設置して支持するようになっている。マニホールド17の下端の開口には、蓋体21がOリング等のシール部材22を介して気密に取り付けられており、処理容器10の下端の開口、すなわち、マニホールド17の開口を気密に塞ぐようになっている。蓋体21は、例えばステンレス鋼により形成される。
【0027】
蓋体21の中央部には、磁性流体シール23を介してウエハボート16を回転可能に支持する回転軸24が貫通させて設けられている。回転軸24の下部は、ボートエレベータよりなる昇降機構25のアーム25Aに回転自在に支持されている。
【0028】
回転軸24の上端には回転プレート26が設けられており、回転プレート26上に石英製の保温台27を介してウエハWを保持するウエハボート16が載置されるようになっている。従って、昇降機構25を昇降させることによって蓋体21とウエハボート16とは一体として上下動し、ウエハボート16を処理容器10内に対して挿脱できるようになっている。ウエハボート16は、処理容器10内に収容可能であり、複数(例えば、50~150枚)のウエハWを上下方向に間隔を有して略水平に保持する。
【0029】
ガス供給部30は、前述した第1成膜工程S1、第2成膜工程S2及び第3成膜工程S3において利用する処理ガスを、内管11内に供給する。処理ガスは、第1シリコン含有ガス、第2シリコン含有ガス、第3シリコン含有ガス、パージガス等を含む。ガス供給部30は、ガスノズル31を有する。
【0030】
ガスノズル31は、例えば石英製であり、内管11内にその長手方向に沿って設けられると共に、その基端がL字状に屈曲されてマニホールド17を貫通するようにして支持されている。ガスノズル31には、その長手方向に沿って複数のガス孔32が形成されており、ガス孔32より水平方向に向けて処理ガスを放出する。複数のガス孔32は、例えばウエハボート16に支持されるウエハWの間隔と同じ間隔で配置される。ガスノズル31には、流量が制御された処理ガスが導入される。
【0031】
図6では、ガス供給部30が1つのガスノズル31を有する場合が示されているが、ガス供給部30の形態はこれに限定されず、例えばガス供給部30は複数のガスノズルを有していてもよい。この場合、第1シリコン含有ガスと、第2シリコン含有ガスと、第3シリコン含有ガスと、パージガスとは、同じガスノズルから内管11内に供給されてもよく、異なるガスノズルから内管11内に供給されてもよい。
【0032】
排気部40は、内管11内から開口15を介して排出され、内管11と外管12との間の空間P1を介してガス出口41から排出されるガスを排気する。ガス出口41は、マニホールド17の上部の側壁であって、支持部20の上方に形成されている。ガス出口41には、排気通路42が接続されている。排気通路42には、圧力調整弁43及び真空ポンプ44が順次介設されて、処理容器10内を排気できるようになっている。
【0033】
加熱部50は、外管12の周囲に設けられている。加熱部50は、例えばベースプレート28上に設けられている。加熱部50は、外管12を覆うように円筒形状を有する。加熱部50は、例えば発熱体を含み、処理容器10内のウエハWを加熱する。
【0034】
制御部80は、処理装置1の各部の動作を制御する。制御部80は、例えばコンピュータであってよい。処理装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体90に記憶されている。記憶媒体90は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0035】
〔処理装置の動作〕
処理装置1において、実施形態に係る多結晶シリコン膜の形成方法を実施する場合について説明する。以下の多結晶シリコン膜の形成方法は、制御部80が処理装置1の各部の動作を制御することにより実施される。
【0036】
まず、複数のウエハWを搭載したウエハボート16を処理容器10内に搬入する。続いて、蓋体21によりマニホールド17の下端の開口を閉じることにより処理容器10内を密閉空間とする。
【0037】
続いて、第1成膜工程S1を行う。第1成膜工程S1では、まず、処理容器10内を真空引きして第1プロセス圧力に維持すると共に、加熱部50への供給電力を制御してウエハ温度を第1プロセス温度に上昇させる。第1プロセス圧力は、例えば1.3kPa以上13kPa以下に設定される。第1プロセス温度は、例えば350℃以上420℃以下に設定される。処理容器10内が第1プロセス圧力に安定し、かつウエハ温度が第1プロセス温度に安定した後、ウエハボート16を回転させながら、処理容器10内に第1シリコン含有ガスとしてモノシランを供給する。これにより、ウエハWの上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜121が形成される。ウエハWの上に島状を有する第1アモルファスシリコン膜121が形成された後、処理容器10内への第1シリコン含有ガスの供給を停止する。なお、ウエハボート16の回転は継続させる。
【0038】
続いて、第2成膜工程S2を行う。第2成膜工程S2では、まず、処理容器10内を第1プロセス圧力から第2プロセス圧力に調整すると共に、加熱部50への供給電力を制御してウエハ温度を第2プロセス温度に調整する。第2プロセス圧力は、例えば1Pa以上1000Pa以下に設定される。第2プロセス温度は、例えば第1プロセス温度と同じに設定される。これにより、第2成膜工程S2において温度変更が不要となるため、生産性が向上する。ただし、第2プロセス温度は、第1プロセス温度と異なっていてもよい。処理容器10内が第2プロセス圧力に安定し、かつウエハ温度が第2プロセス温度に安定した後、ウエハボート16の回転が継続された状態で、処理容器10内に第2シリコン含有ガスとしてジシランを供給する。これにより、第1アモルファスシリコン膜121を覆う第2アモルファスシリコン膜122が形成される。第1アモルファスシリコン膜121が第2アモルファスシリコン膜122によって完全に覆われた後、処理容器10内への第2シリコン含有ガスの供給を停止する。なお、ウエハボート16の回転は継続させる。
【0039】
続いて、第3成膜工程S3を行う。第3成膜工程S3では、まず、処理容器10内を第2プロセス圧力から第3プロセス圧力に調整すると共に、加熱部50への供給電力を制御してウエハ温度を第3プロセス温度に調整する。第3プロセス圧力は、例えば1Pa以上1000Pa以下に設定される。第3プロセス温度は、例えば第2プロセス温度と同じであってもよく、異なっていてもよい。処理容器10内が第3プロセス圧力に安定し、かつウエハ温度が第3プロセス温度に安定した後、ウエハボート16の回転が継続された状態で、処理容器10内に第3シリコン含有ガスとしてモノシランを供給する。これにより、第2アモルファスシリコン膜122上に第3アモルファスシリコン膜123が形成される。第3アモルファスシリコン膜123は、例えば第2アモルファスシリコン膜122よりも厚く形成される。所望の膜厚を有する第3アモルファスシリコン膜123が形成された後、処理容器10内への第3シリコン含有ガスの供給を停止する。なお、ウエハボート16の回転は継続させる。
【0040】
続いて、結晶化工程S4を行う。結晶化工程S4では、まず、処理容器10内を不活性ガス雰囲気に調整すると共に、加熱部50への供給電力を制御してウエハ温度を第4プロセス温度に調整する。不活性ガス雰囲気は、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気であってよい。また、不活性ガス雰囲気に代えて、水素雰囲気等の還元ガス雰囲気であってもよい。第4プロセス温度は、第2アモルファスシリコン膜122よりも第1アモルファスシリコン膜121が結晶化しやすい温度、例えば550℃以上600℃以下に設定される。これにより、島状を有する第1アモルファスシリコン膜121を核として第1アモルファスシリコン膜121、第2アモルファスシリコン膜122及び第3アモルファスシリコン膜123の結晶化が進行する。その結果、大粒径の多結晶シリコン膜を形成できる。
【0041】
多結晶シリコン膜が形成された後、処理容器10内にウエハWを搬入した手順と逆の手順で処理容器10内からウエハWを搬出する。
【0042】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0043】
上記の実施形態では、処理装置が複数のウエハに対して一度に処理を行うバッチ式の装置である場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、処理装置はウエハを1枚ずつ処理する枚葉式の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
100 基板
121 第1アモルファスシリコン膜
122 第2アモルファスシリコン膜
123 第3アモルファスシリコン膜
S1 第1成膜工程
S2 第2成膜工程
S3 第3成膜工程
S4 結晶化工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6