(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071585
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230516BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230516BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 301L
H05K1/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116626
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021183970
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】孝井 健一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁志
【テーマコード(参考)】
5E336
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BB02
5E336BB12
5E336BC15
5E336BC21
5E336CC31
5E336EE01
5E336EE05
5E336EE08
5E336GG30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インダクタンスを低減する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、互いに反対側を向く2面を有し、一方の面に第1電極11が設けられ、他方の面に第2電極12が設けられた第1半導体素子10と、一方の面に第3電極21が設けられ、他方の面に第4電極22が設けられた第2半導体素子20と、各半導体素子が接着された絶縁基材41と、絶縁基材を貫通し、第1電極と電気的に接続されるとともに、絶縁基材に積層された第1配線63と、絶縁基材を貫通し、第3電極と電気的に接続されるとともに、絶縁基材に積層された第2配線64と、第1半導体素子に設けられ、第2電極と電気的に接続される第1配線部材110と、絶縁基材に設けられ、第2配線と電気的に接続される第2配線部材120と、を有する。絶縁基材は、折り曲げられて、第2配線部材が第1配線と接合され、第1配線部材と第2配線部材とに互いに逆方向の電流が流れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面に第1電極が設けられ、前記第2面に第2電極が設けられた第1半導体素子と、
第3面と、前記第3面とは反対側の第4面とを有し、前記第3面に第3電極が設けられ、前記第4面に第4電極が設けられた第2半導体素子と、
前記第1半導体素子及び前記第2半導体素子が接着された第5面と、前記第5面とは反対側の第6面とを有する絶縁基材と、
前記絶縁基材を貫通し、前記第1電極と電気的に接続されるとともに、前記絶縁基材の前記第6面に積層された第1配線と、
前記絶縁基材を貫通し、前記第3電極と電気的に接続されるとともに、前記絶縁基材の前記第6面に積層された第2配線と、
前記第1半導体素子の前記第2面側に設けられ、前記第2電極と電気的に接続される第1配線部材と、
第7面と、前記第7面とは反対側の第8面とを有し、前記第7面が前記絶縁基材の前記第6面側に設けられ、前記第2配線と電気的に接続される第2配線部材と、
を有し、
前記絶縁基材が前記第6面を内側にして折り曲げられて、前記第2配線部材の前記第8面が前記第1配線と接合され、
前記第1配線部材と前記第2配線部材とは互いに逆方向の電流が流れる半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁基材は可撓性を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1配線部材と前記第2電極とを互いに接合する第1導電性接着層と、
前記第2配線部材と前記第2配線とを互いに接合する第2導電性接着層と、
を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2配線部材と前記第1配線とを互いに接合する第1絶縁性接着層を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1配線部材は第1リード端子を有し、
前記第2配線部材は第2リード端子を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1配線部材は第1配線基板を有し、
前記第2配線部材は第2配線基板を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第5面に接着された導電部材と、
前記第2半導体素子の前記第4面側に設けられ、前記導電部材及び前記第4電極と電気的に接続される第3配線部材と、
を有し、
前記第1配線は、前記絶縁基材を貫通し、前記導電部材と電気的に接続されている請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3配線部材と前記導電部材とを互いに接合する第3導電性接着層と、
前記第3配線部材と前記第4電極とを互いに接合する第4導電性接着層と、
を有する請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3配線部材は第3リード端子を有する請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3配線部材は第3配線基板を有する請求項7に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1半導体素子は、前記第1面に設けられた第5電極を有し、
前記第2半導体素子は、前記第3面に設けられた第6電極を有し、
前記絶縁基材を貫通し、前記第5電極と電気的に接続されるとともに、前記絶縁基材の前記第6面に積層された第3配線と、
前記絶縁基材を貫通し、前記第6電極と電気的に接続されるとともに、前記絶縁基材の前記第6面に積層された第4配線と、
を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記絶縁基材の前記第5面の上に設けられた第2絶縁性接着層を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2絶縁性接着層は、
前記第1半導体素子を前記第5面に接着する第1接着部と、
前記第2半導体素子を前記第5面に接着する第2接着部と、
を有し、
前記第1接着部と前記第2接着部との間で、前記絶縁基材の折り曲げられた部分の前記第5面が前記第2絶縁性接着層から露出する請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置として、ポリイミド等の樹脂フィルムに接着層を介して半導体素子が貼り付けられ、樹脂フィルムの接着層とは反対側の面に配線層が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速のスイッチング動作等のために更なるインダクタンスの低減が望まれる。
【0005】
本開示は、インダクタンスを低減することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面に第1電極が設けられ、前記第2面に第2電極が設けられた第1半導体素子と、第3面と、前記第3面とは反対側の第4面とを有し、前記第3面に第3電極が設けられ、前記第4面に第4電極が設けられた第2半導体素子と、前記第1半導体素子及び前記第2半導体素子が接着された第5面と、前記第5面とは反対側の第6面とを有する絶縁基材と、前記絶縁基材を貫通し、前記第1電極と電気的に接続されるとともに、前記絶縁基材の前記第6面に積層された第1配線と、前記絶縁基材を貫通し、前記第3電極と電気的に接続されるとともに、前記絶縁基材の前記第6面に積層された第2配線と、前記第1半導体素子の前記第2面側に設けられ、前記第2電極と電気的に接続される第1配線部材と、第7面と、前記第7面とは反対側の第8面とを有し、前記第7面が前記絶縁基材の前記第6面側に設けられ、前記第2配線と電気的に接続される第2配線部材と、を有し、前記絶縁基材が前記第6面を内側にして折り曲げられて、前記第2配線部材の前記第8面が前記第1配線と接合され、前記第1配線部材と前記第2配線部材とは互いに逆方向の電流が流れる半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インダクタンスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図7】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図8】第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本開示においては、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。なお、便宜上、Z1-Z2方向を上下方向とし、Z1側を上側、Z2側を下側とする。また、平面視とは、Z1側から対象物を視ることをいい、平面形状とは、対象物をZ1側から視た形状のことをいう。但し、半導体装置は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は半導体装置に関する。
【0011】
[半導体装置の構成]
まず、第1実施形態に係る半導体装置の断面構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、半導体素子10と、半導体素子20と、導電部材30と、フレキシブル配線基板40とを有する。各半導体素子10、20としては、例えば、シリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)を用いたデバイスを用いることができる。各半導体素子10、20としては、例えば、窒化ガリウム(GaN)やガリウム砒素(GaAs)などを用いたデバイスを用いることもできる。例えば、半導体素子10、20としては、能動素子としての半導体素子(例えば、CPU等のシリコンチップ)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やダイオード等を用いることができる。本実施形態の半導体素子10、20は、表裏面に電極が設けられた半導体素子である。半導体素子10、20の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。半導体素子10、20の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。半導体素子10、20の厚さは、例えば、50μm~500μm程度とすることができる。
【0013】
半導体素子10は、一方の面10Aと、一方の面10Aとは反対側の他方の面10Bとを有する。また、半導体素子10は、本体部15と、電極11と、電極12と、電極13とを有する。電極11及び電極13は一方の面10Aに設けられ、電極12は他方の面10Bに設けられている。例えば、電極11、電極12、電極13は、それぞれソース電極、ドレイン電極、ゲート電極とすることができる。
【0014】
半導体素子20は、一方の面20Aと、一方の面20Aとは反対側の他方の面20Bとを有する。また、半導体素子20は、本体部25と、電極21と、電極22と、電極23とを有する。電極21及び電極23は一方の面20Aに設けられ、電極22は他方の面20Bに設けられている。例えば、電極21、電極22、電極23は、それぞれソース電極、ドレイン電極、ゲート電極とすることができる。
【0015】
電極11、電極12、電極13、電極21、電極22及び電極23(以下、これらを「電極」と総称することがある)の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属、又はこれら金属から選択される少なくとも一種の金属を含む合金を用いることができる。なお、必要に応じて、電極の表面に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。
【0016】
導電部材30は、例えばCu板等の金属板である。導電部材30の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。導電部材30の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。導電部材30の厚さは半導体素子10及び20の厚さと同程度であり、例えば、50μm~500μm程度とすることができる。
【0017】
フレキシブル配線基板40は、絶縁基材41と、絶縁性の接着層42と、配線層45とを有する。絶縁基材41は、一方の面41Aと、一方の面41Aとは反対側の他方の面41Bとを有する。接着層42は一方の面41Aの上に設けられており、配線層45は他方の面41Bの上に設けられている。接着層42は一方の面41Aの上の全体に設けられていてよい。配線層45は他方の面41Bに積層されている。配線層45は、シード層43と、金属層44とを有する。
【0018】
絶縁基材41としては、例えば、樹脂フィルム等を用いることができる。樹脂フィルムの材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂やエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁基材41は、例えば、可撓性を有している。ここで、可撓性とは、曲げや撓みを持たせることができる性質をいう。絶縁基材41の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。絶縁基材41の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。絶縁基材41の厚さは、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。
【0019】
半導体素子10、半導体素子20及び導電部材30は、接着層42により絶縁基材41の一方の面41Aに接着されている。絶縁基材41の一方の面41Aに、半導体素子10の一方の面10A及び半導体素子20の一方の面20Aが対向している。絶縁基材41及び接着層42に、電極11が露出する貫通孔51と、電極21が露出する貫通孔52と、導電部材30が露出する貫通孔53と、電極13が露出する貫通孔54と、電極23が露出する貫通孔55とが形成されている。
【0020】
接着層42の材料としては、例えば、エポキシ系、ポリイミド系やシリコーン系などの接着剤を用いることができる。接着層42の厚さとしては、例えば、20μm~40μm程度とすることができる。
【0021】
電極11と貫通孔51との組が複数設けられていてもよく、電極21と貫通孔52との組が複数設けられていてもよい。
【0022】
配線層45は、貫通孔51を通じて電極11に接続された配線61と、貫通孔52を通じて電極21に接続された配線62と、貫通孔54を通じて電極13に接続された配線63と、貫通孔55を通じて電極23に接続された配線64とを有する。配線61は、貫通孔53を通じて導電部材30にも接続されている。
【0023】
配線61は、貫通孔51内に充填されたビア配線と、貫通孔53内に充填されたビア配線と、絶縁基材41の他方の面41Bに形成された配線パターンとを含む。配線62は、貫通孔52内に充填されたビア配線と、絶縁基材41の他方の面41Bに形成された配線パターンとを含む。配線63は、貫通孔54内に充填されたビア配線と、絶縁基材41の他方の面41Bに形成された配線パターンとを含む。配線64は、貫通孔55内に充填されたビア配線と、絶縁基材41の他方の面41Bに形成された配線パターンとを含む。
【0024】
シード層43は、絶縁基材41の他方の面41Bと、貫通孔51~55の内面とを被覆する。シード層43は、絶縁基材41の他方の面41Bと、貫通孔51~55の内面と、貫通孔51~55の底部に露出された電極の面とを連続して被覆するように形成されている。シード層43としては、スパッタ法により形成された金属膜(スパッタ膜)を用いることができる。スパッタ法により形成されたシード層43としては、例えば、絶縁基材41の他方の面41B及び貫通孔51~55の内面に、チタン(Ti)からなるTi層と、銅(Cu)からなるCu層とが順に積層された2層構造の金属膜を用いることができる。この場合には、Ti層の厚さは例えば10nm~300nm程度とすることができ、Cu層の厚さは例えば100nm~1000nm程度とすることができる。なお、Ti層は、絶縁基材41及び電極等とシード層43との密着性を向上させる密着層として機能する。また、Ti層は、Cu層等から絶縁基材41等に銅が拡散することを抑制する金属バリア層として機能する。このような密着層及び金属バリア層として機能する金属膜の材料としては、Tiの他に、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)等を用いることができる。
【0025】
金属層44の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層44としては、例えば、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。
【0026】
フレキシブル配線基板40は、他方の面41Bを内側に、一方の面41Aを外側にして折り曲げられている。具体的には、フレキシブル配線基板40は、貫通孔52、53及び55が、貫通孔51及び54の上側(Z1側)に位置するように、折り曲げられている。このため、配線層45の配線62及び64が配線63の上側(Z1側)に位置するとともに、配線61が途中で折り曲げられている。また、半導体素子10と半導体素子20とがZ1-Z2方向で重なり合っている。半導体素子20が半導体素子10の上側(Z1側)に位置し、半導体素子10の一方の面10Aと半導体素子20の一方の面20Aとが互いに対向する。フレキシブル配線基板40は、折り曲げられることで屈曲部を有している。
【0027】
例えば、フレキシブル配線基板40が折り曲げられた状態で、電極11及び貫通孔51は、電極13及び貫通孔54のX1側にあり、電極21及び貫通孔52は、電極23及び貫通孔55のX2側にある。また、導電部材30及び貫通孔53は、半導体素子20及び貫通孔55のX1側にある。
【0028】
半導体装置1は、更に、リード端子110と、リード端子120と、リード端子130と、リード端子140とを有する。リード端子110、120、130及び140は、例えばリードフレームから形成されている。リード端子110、120及び130は、配線部材の一例である。
【0029】
リード端子110は、導電性接着層71により半導体素子10の電極12に接合されている。リード端子120は、導電性接着層72により配線層45の配線62に接合されている。リード端子130は、導電性接着層73により導電部材30に接合され、かつ導電性接着層74により半導体素子20の電極22に接合されている。リード端子140は、導電性接着層75により配線層45の配線64に接合されている。導電性接着層71~75は、例えば、はんだ層又は焼結金属層である。導電性接着層71~75が導電性ペーストから構成されていてもよい。
【0030】
リード端子120及び140は、絶縁性接着層70により配線層45の配線61及び63に接合されている。絶縁性接着層70の材料としては、例えば、エポキシ系、ポリイミド系やシリコーン系などの接着剤を用いることができる。絶縁性接着層70を介して、半導体素子10及び20が互いに固定されている。
【0031】
リード端子110及び120は、半導体素子10及び20から見てX2側に互いに平行に延びる。リード端子110とリード端子120との間の距離は、概ね半導体素子10の厚さとフレキシブル配線基板40の厚さとの和と同程度であり、例えば1mm以下である。また、リード端子130は、半導体素子10及び20から見てX1側に延びる。
【0032】
リード端子110に半導体素子10の電極12が電気的に接続されている。リード端子120に半導体素子20の電極21が電気的に接続されている。リード端子130に半導体素子10の電極11及び半導体素子20の電極22が電気的に接続されている。すなわち、配線層45の配線61と半導体素子20の電極22とが、導電部材30及びリード端子130を介して電気的に接続されている。また、リード端子140は、半導体素子20の電極23に電気的に接続されている。配線層45の配線63にもリード端子(図示せず)が接続され、このリード端子は半導体素子10の電極13に電気的に接続される。
【0033】
ここで、第1実施形態に係る半導体装置1の回路構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【0034】
図2に示すように、半導体素子10の電極12がリード端子110を介してP端子に電気的に接続される。半導体素子20の電極21がリード端子120を介してN端子に電気的に接続される。また、半導体素子10の電極11及び半導体素子20の電極22がリード端子130を介してO端子に電気的に接続される。P端子は正極側の入力端子であり、N端子は負極側の入力端子であり、O端子は出力端子である。従って、リード端子110とリード端子120とに互いに逆方向の電流が流れる。
【0035】
[半導体装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図3~
図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。以下の説明では、半導体装置1となる部分を一括して製作した後に、個片化して多数の半導体装置1を製造する、いわゆる多数個取りの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に半導体装置1の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0036】
まず、
図3(a)に示すように、一方の面41A及び他方の面41Bを有する大判の絶縁基材41を準備する。大判の絶縁基材41は、例えば、半導体装置1が形成される個別領域がマトリクス状に複数個連設されている。ここで、個別領域は、最終的に所定の切断線に沿って切断させて個片化され、各々個別の半導体装置1となる領域である。なお、大判の絶縁基材41が有する個別領域の数は特に限定されない。絶縁基材41の一方の面41Aには、一方の面41Aの全体を被覆する絶縁性の接着層42が設けられている。
【0037】
次に、
図3(b)に示すように、絶縁基材41及び接着層42の所要箇所に、絶縁基材41及び接着層42を厚さ方向に貫通する貫通孔51~55を形成する。貫通孔51~55は、例えば、CO
2レーザやUV-YAGレーザ等によるレーザ加工法又はパンチング法によって形成することができる。例えば、貫通孔51は貫通孔54のX1側に形成し、貫通孔53は貫通孔51のX1側に形成し、貫通孔55は貫通孔53のX1側に形成し、貫通孔52は貫通孔55のX1側に形成する。
【0038】
次に、
図3(c)に示すように、半導体素子10、半導体素子20及び導電部材30を接着層42により絶縁基材41に接着させる。このとき、半導体素子10の一方の面10Aを絶縁基材41の一方の面41Aに対向させ、平面視で、電極11が貫通孔51に重なり、電極13が貫通孔54に重なるように位置合わせを行う。また、半導体素子20の一方の面20Aを絶縁基材41の一方の面41Aに対向させ、平面視で、電極21が貫通孔52に重なり、電極23が貫通孔55に重なるように位置合わせを行う。更に、平面視で、導電部材30の一方の面(Z1側の面)が貫通孔53に重なるように位置合わせを行う。
【0039】
次に、
図4(a)に示すように、絶縁基材41の他方の面41Bの上にシード層43及び金属層44を含む配線層45を形成する。配線層45は、例えばセミアディティブ法によって形成することができる。
【0040】
具体的には、絶縁基材41の他方の面41Bの全体と貫通孔51~55の内面の全体とを被覆するようにシード層43を形成する。シード層43は、例えば、スパッタ法や無電解めっき法により形成することができる。例えば、スパッタ法によりシード層43を形成する場合には、まず、絶縁基材41の他方の面41Bと貫通孔51~55の内面とを被覆するように、チタンをスパッタリングにより堆積させてTi層を形成する。その後、Ti層上に銅をスパッタリングにより堆積させてCu層を形成する。これにより、2層構造(Ti層/Cu層)のシード層43を形成することができる。また、無電解めっき法によりシード層43を形成する場合には、例えば、無電解銅めっき法によりCu層(1層構造)からなるシード層43を形成することができる。
【0041】
次いで、シード層43の上に、配線層45を形成する部分、すなわち配線61~64を形成する部分に開口部が設けられためっきレジスト層(不図示)を形成する。続いて、シード層43をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、めっきレジスト層の開口部に銅等からなる金属層44を形成する。その後、めっきレジスト層を除去する。次いで、金属層44をマスクにしてシード層43をウェットエッチングにより除去する。このようにして、シード層43及び金属層44を含む配線層45を形成することができる。配線層45は、配線61~64を有する。絶縁基材41、接着層42及び配線層45からフレキシブル配線基板40が構成される。
【0042】
配線層45の形成後、
図4(b)に示すように、半導体素子10の他方の面10Bの上に導電性接着層71を設け、導電部材30の他方の面(Z2側の面)の上に導電性接着層73を設け、半導体素子20の他方の面20Bの上に導電性接着層74を設ける。また、配線層45の配線62の上面(Z1側の面)の上に導電性接着層72を設け、配線64の上面(Z1側の面)の上に導電性接着層75を設ける。導電性接着層71~75は未硬化の状態とする。
【0043】
次に、
図5(a)に示すように、リード端子110を導電性接着層71により電極12に接合し、リード端子130を導電性接着層73により導電部材30に接合するともに、導電性接着層74により電極22に接合する。また、リード端子120を導電性接着層72により配線62に接合し、リード端子140を導電性接着層75により配線64に接合する。この接合の際に、導電性接着層71~75を硬化させる。
【0044】
次に、
図5(b)に示すように、配線層45の配線61及び63の上面(Z1側の面)の上に絶縁性接着層70を設ける。絶縁性接着層70は、例えば配線61及び63にまたがるように設ける。絶縁性接着層70は未硬化の状態とする。
【0045】
次に、
図6(a)に示すように、フレキシブル配線基板40を、貫通孔51と貫通孔53との間で、絶縁基材41の他方の面41Bが内側に、一方の面41Aが外側になるようにして折り曲げる。
【0046】
そして、
図6(b)に示すように、絶縁性接着層70を配線層45の配線61及び63の上面(Z1側の面)に押し付けて広げる。次に、絶縁性接着層70を硬化させて、リード端子120を配線層45の配線61及び63にも固定する。
【0047】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置1を製造することができる。なお、大判の絶縁基材41の分割は、例えば、配線層45の形成(
図4(a)参照)の後で、導電性接着層71~75を設ける(
図4(b)参照)前に行うことができる。
【0048】
第1実施形態に係る半導体装置1では、P端子からN端子に向けて電流が流れる。このため、リード端子110では、X2側からX1側に向けて電流が流れ、リード端子120では、X1側からX2側に向けて電流が流れる。また、本実施形態では、リード端子110とリード端子120との間の距離は、概ね半導体素子10の厚さとフレキシブル配線基板40の厚さとの和と同程度である。従って、インダクタンスを著しく低減することができる。
【0049】
また、配線層45は絶縁基材41の他方の面41Bにセミアディティブ法により、微細かつ高精度で形成することができる。配線層45は絶縁基材41の他方の面41Bにサブトラクティブ法により形成することも可能である。更に、接着層42により絶縁基材41の一方の面41Aに半導体素子10及び20を接着することで、絶縁基材41及び配線層45に対して半導体素子10及び20の位置を固定することができる。従って、本実施形態によれば、優れた位置精度及び接続信頼性を得ることができる。
【0050】
参考例として、絶縁基板(セラミックス基板等)の表面に設けられた金属箔(銅箔等)に半導体素子が固定された半導体装置(パワーモジュール)を製造するとする。このような半導体装置を製造する際には、半導体素子の固定のためにはんだのリフローが行われ、このリフロー時に少なからず半導体素子の位置ずれが生じ得る。このため、設計段階において、半導体素子の配置に比較的大きなマージンが必要とされる。
【0051】
一方、本実施形態では、貫通孔51~55が形成された絶縁基材41に半導体素子10及び20が接着され、セミアディティブ法により配線層45が形成される。このため、優れた位置精度及び接続信頼性を得ることができ、参考例のような大きなマージンは必要とされない。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0053】
図7に示すように、第2実施形態に係る半導体装置2は、リード端子110に代えて配線基板210を有し、リード端子120及び140に代えて配線基板220を有し、リード端子130に代えて配線基板230を有する。配線基板210、220及び230は、配線部材の一例である。
【0054】
配線基板210は、絶縁層211と、配線層212とを有する。配線層212は絶縁層211の上面(Z1側の面)の上に設けられている。絶縁層211の材料は無機材料であってもよく、有機材料であってもよく、複合材料であってもよい。配線層212の材料は、例えば、銅又は銅合金である。配線層212が導電性接着層71により半導体素子10の電極12に接合されている。
【0055】
配線基板220は、絶縁層221と、配線層222と、配線層223とを有する。配線層222及び223は絶縁層221の上面(Z1側の面)の上に設けられている。絶縁層221の材料は無機材料であってもよく、有機材料であってもよく、複合材料であってもよい。配線層222及び223の材料は、例えば、銅又は銅合金である。配線層222が導電性接着層72により配線層45の配線62に接合され、配線層223が導電性接着層75により配線層45の配線64に接合されている。また、絶縁層221は、絶縁性接着層70により配線層45の配線61及び63に接合されている。
【0056】
配線基板230は、絶縁層231と、配線層232とを有する。配線層232は絶縁層231のZ2側の面の上に設けられている。絶縁層231の材料は無機材料であってもよく、有機材料であってもよく、複合材料であってもよい。配線層232の材料は、例えば、銅又は銅合金である。配線層232が導電性接着層73により導電部材30に接合され、かつ導電性接着層74により半導体素子20の電極22に接合されている。
【0057】
配線基板210は、半導体素子10及び20から見てX2側に延びる配線層(例えば配線層212)を含み、配線基板220は、半導体素子10及び20から見てX2側に延びる配線層(例えば配線層222)を含む。また、配線基板230は、半導体素子10及び20から見てX1側に延びる配線層(例えば配線層232)を含む。
【0058】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
第2実施形態に係る半導体装置2を製造する場合、配線基板210、220及び230を予め準備しておく。そして、リード端子110に代えて配線基板210を半導体素子10に接合し、リード端子120及び140に代えて配線基板220を配線層45に接合し、リード端子130に代えて配線基板230を半導体素子20及び導電部材30に接合する。このようにして、半導体装置2を製造することができる。
【0060】
第2実施形態に係る半導体装置2でも、P端子からN端子に向けて電流が流れる。このため、配線基板210では、X2側からX1側に向けて電流が流れ、配線基板220では、X1側からX2側に向けて電流が流れる。また、本実施形態では、配線基板210と配線基板220との間の距離は、概ね半導体素子10の厚さとフレキシブル配線基板40の厚さとの和と同程度である。従って、第1実施形態と同様に、インダクタンスを著しく低減することができる。
【0061】
また、第1実施形態と同様に、貫通孔51~55が形成された絶縁基材41に半導体素子10及び20が接着され、セミアディティブ法により配線層45が形成される。このため、優れた位置精度及び接続信頼性を得ることができる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
【0063】
[半導体装置の構成]
まず、第3実施形態に係る半導体装置の断面構成について説明する。
図8は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0064】
図8に示すように、第3実施形態に係る半導体装置3は、接着層42に代えて接着層342を有する。接着層42と同じく、接着層342は絶縁基材41の一方の面41Aの上に設けられている。接着層342の材料及び厚さは、接着層42の材料及び厚さと同様である。
【0065】
接着層342は、半導体素子10を一方の面41Aに接着する接着部342Aと、半導体素子20を一方の面41Aに接着する接着部342Bとを有する。接着部342Aと接着部342Bとの間で、絶縁基材41の折り曲げられた部分の一方の面41Aが接着層342から露出している。
【0066】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0067】
[半導体装置の製造方法]
次に、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図9は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。以下の説明では、半導体装置3となる部分を一括して製作した後に、個片化して多数の半導体装置3を製造する、いわゆる多数個取りの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に半導体装置3の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0068】
まず、
図9(a)に示すように、第1実施形態と同様に、一方の面41A及び他方の面41Bを有する大判の絶縁基材41を準備する。ただし、絶縁基材41の一方の面41Aには、接着層42に代えて、接着部342Aと、接着部342Bとを備え、接着部342Aと接着部342Bとの間に開口部342Xが形成された絶縁性の接着層342が設けられる。開口部342Xは、例えば接着層の打ち抜き加工により形成することができる。
【0069】
次に、
図9(b)に示すように、絶縁基材41及び接着層342の所要箇所に、絶縁基材41及び接着層342を厚さ方向に貫通する貫通孔51~55を形成する。
【0070】
次に、
図9(c)に示すように、半導体素子10、半導体素子20及び導電部材30を接着層342により絶縁基材41に接着させる。このとき、半導体素子10は接着部342Aにより絶縁基材41に接着させ、半導体素子20及び導電部材30は接着部342Bにより絶縁基材41に接着させる。また、第1実施形態と同様の位置合わせを行う。
【0071】
その後、第1実施形態と同様にして、シード層43及び金属層44を含む配線層45の形成以降の処理を行う。このようにして、第3実施形態に係る半導体装置3を製造することができる。
【0072】
第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、接着部342Aと接着部342Bとの間で、絶縁基材41の折り曲げられた部分の一方の面41Aが接着層342から露出する。このため、接着層342には、絶縁基材41の折り曲げに付随して折り曲げられた部分が含まれないか、含まれていたとしてもその範囲は第1実施形態よりも狭い。第1実施形態では、接着層42の材料によっては、硬化後の接着層42の靭性が低く、折り曲げられると接着層42に割れが生じるおそれがある。接着層42に割れが生じると、絶縁基材41から接着層42が剥離したり、半導体素子10、半導体素子20又は導電部材30が絶縁基材41から剥離したりするおそれがある。これに対し、第3実施形態では、接着層342はほとんど折り曲げられないため、硬化後の接着層342の靭性が低い場合でも、接着層342の割れを生じにくくすることができる。
【0073】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図10は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0074】
図10に示すように、第4実施形態に係る半導体装置4は、第2実施形態と同様に、リード端子110に代えて配線基板210を有し、リード端子120及び140に代えて配線基板220を有し、リード端子130に代えて配線基板230を有する。
【0075】
他の構成は第3実施形態と同様である。
【0076】
第4実施形態によれば、第2実施形態及び第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、配線基板の構成は上記のものに限定されず、セラミックス基板又はビルドアップ基板等が用いられてもよく、単層構造に限定されない。例えば、1層又は複数層の配線層と複数層の絶縁層とを積層した積層構造に具体化してもよい。配線層は表面及び裏面の両方に設けられていてもよい。
【0078】
また、リード端子110,120,130と配線基板210,220,230をそれぞれ組み合わせて半導体装置を構成しても良い。例えば、
図1において、リード端子120を配線基板220に置換した構成でも良い。
【0079】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0080】
1、2、3、4 半導体装置
10、20 半導体素子
10A、10B、20A、20B 面
11、21 電極
12、22 電極
13、23 電極
30 導電部材
40 フレキシブル配線基板
41 絶縁基材
42、342 接着層
45 配線層
51、52、53、54、55 貫通孔
61、62、63、64 配線
70 絶縁性接着層
71、72、73、74、75 導電性接着層
110、120、130、140 リード端子
210、220、230 配線基板
211、221、231 絶縁層
212、222、223、232 配線層
342A、342B:接着部