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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072018
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】撮像素子、及び電子カメラ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20230516BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038322
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2021128552の分割
【原出願日】2016-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2015195283
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 修
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮像素子及び電子カメラを提供する。
【解決手段】撮像素子において、画素30は、光を光電変換して電荷を生成する光電変換部であるフォトダイオード31と、光電変換部で生成された電荷を蓄積する蓄積部であるフローティングディフュージョンFDと、光電変換部で生成された電荷を蓄積部に転送する転送部であるトランジスタTxとを有するアナログ回路部301と、画素毎に設けられ、転送部を制御する信号を供給する転送信号供給部307aを制御する転送制御部306aと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する蓄積部と、前記光電変換部で生成された電荷を前記蓄積部に転送する転送部とを有する画素と、
前記転送部を制御する信号を供給する供給部を制御し、前記画素毎に設けられる制御部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
一部の前記制御部と他の前記制御部とは、前記信号を前記転送部に供給するタイミングが異なる撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
一部の前記制御部は、第1の期間に前記光電変換部で生成された電荷を転送するよう前記転送部に前記信号を供給するよう前記供給部を制御し、他の前記制御部は、前記第1の期間と異なる第2の期間に前記光電変換部で生成された電荷を転送するよう前記転送部に前記信号を供給するよう前記供給部を制御する撮像素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記転送部は、前記光電変換部と前記蓄積部との間を電気的に導通させて前記光電変換部により生成された電荷を前記蓄積部に転送し、
前記制御部は、前記光電変換部と前記蓄積部との間を電気的に導通させるための信号を前記転送部に供給するよう前記供給部を制御し、前記光電変換部と前記蓄積部との間を電気的に非導通にするための信号を前記転送部に供給するよう前記供給部を制御する撮像素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記光電変換部と前記蓄積部との間を電気的に導通させるために、第1電圧および第2電圧に基づく信号を前記転送部に供給するよう前記供給部を制御し、前記光電変換部と前記蓄積部との間を電気的に非導通にさせるために、前記第1電圧および所定電圧に基づく信号を前記転送部に供給するよう前記供給部を制御する撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記第1電圧を供給する第1電圧源と、
前記第2電圧を供給する第2電圧源と、
を備える撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第1電圧源は、前記所定電圧より低い電圧を前記第1電圧として供給し、
前記第2電圧源は、前記所定電圧より高い電圧を前記第2電圧として供給する撮像素子。
【請求項8】
請求項6または7に記載の撮像素子において、
前記第1電圧源と、前記第2電圧源または前記所定電圧との電気的な接続を切替可能な切替部を備える撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記切替部による、前記第1電圧源と、前記第2電圧源または前記所定電圧との電気的な接続を制御する撮像素子。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記供給部は、前記第1電圧源と前記転送部との間に配置される第1抵抗と、前記第2電圧源と前記転送部との間に配置される第2抵抗とを有する撮像素子。
【請求項11】
請求項5から10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
複数の前記画素が設けられた第1基板と、
前記蓄積部に蓄積された電荷の量に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部が前記画素毎に設けられ、前記第1基板と積層される第2基板と、を備える撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記供給部は、前記第2基板に設けられる撮像素子。
【請求項13】
請求項5から12のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記所定電圧は、接地電圧である撮像素子。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子から出力された信号に基づいて画像データを生成する生成部と、
を備える電子カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレーム毎に露光時間を制御できる撮像素子が知られている(例えば特許文献1)。従来の撮像素子において画素毎に露光時間を制御するには、各画素に、負電圧を供給する電源と正電圧を供給する電源とを配置せねばならず、開口率が低減するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2006-180111号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する蓄積部と、前記光電変換部で生成された電荷を前記蓄積部に転送する転送部とを有する画素と、前記転送部を制御する信号を供給する供給部を制御し、前記画素毎に設けられる制御部と、を備える。
また、第2の態様によると、電子カメラは、上記に記載の撮像素子と、前記撮像素子から出力された信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】撮像装置の構成を模式的に示す断面図
図2】撮像素子の断面図
図3】画素の構成を模式的に示すブロック図
図4】アナログ回路部および画素駆動部の回路図
図5】撮像素子を用いた撮像シーケンスを示すタイミングチャート
図6】撮像素子の断面図
図7】撮像素子の構成を模式的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像素子を用いた撮像装置の構成を模式的に示す断面図である。撮像装置1は、撮像光学系2、撮像素子3、制御部4、レンズ駆動部5、および表示部6を備える。
【0007】
撮像光学系2は、撮像素子3の撮像面に被写体像を結像させる。撮像光学系2は、レンズ2a、フォーカシングレンズ2b、およびレンズ2cから成る。フォーカシングレンズ2bは、撮像光学系2の焦点調節を行うためのレンズである。フォーカシングレンズ2bは、光軸O方向に駆動可能に構成されている。
【0008】
レンズ駆動部5は、不図示のアクチュエータを有する。レンズ駆動部5は、このアクチュエータにより、フォーカシングレンズ2bを光軸O方向に所望の量だけ駆動する。撮像素子3は、被写体像を撮像して画像を出力する。制御部4は、撮像素子3等の各部を制御する。制御部4は、撮像素子3により出力された画像信号に対して画像処理等を施して、不図示の記録媒体に記録したり、表示部6に画像を表示したりする。表示部6は、例えば液晶パネル等の表示部材を有する表示装置である。
【0009】
図2は、撮像素子3の断面図である。なお図2では、撮像素子3の全体のうち、一部の断面のみを示している。撮像素子3は、いわゆる裏面照射型の撮像素子である。撮像素子3は、紙面上方向からの入射光を光電変換する。撮像素子3は、第1半導体基板7と、第2半導体基板8とを備える。
【0010】
第1半導体基板7は、PD層71と、配線層72とを備える。PD層71は、配線層72の裏面側に配置される。PD層71には、埋め込みフォトダイオードである複数のフォトダイオード31が二次元状に配置される。従って、PD層71の配線層72側の表面(すなわち入射光の入射側とは反対側の面)は、PD層71とは逆の導電型とされる。例えば、PD層71がN型の半導体層であるなら、配線層72側の表面は、濃度が高く厚さの薄いP型の半導体層が配置される。第1半導体基板7には、基板電圧として接地電圧(GND)が印加される。第2半導体基板8には、フォトダイオード31から信号を読み出すための各種回路が配置される。具体的には、後述するA/D変換部302、サンプリング部303、画素値保持部304、および演算部305と、画素駆動部307の一部(後述する電圧Vnegを扱う転送信号供給部307aと第2リセット信号供給部307c)が第2半導体基板8に配置される。
【0011】
撮像素子3は、各々の画素30に第1電圧である電圧Vnegを供給する、第1電圧源である電源部94を備える。電圧Vnegは、第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧である。本実施の形態において、第1半導体基板7の基板電圧は接地電圧である。従って、電圧Vnegは、接地電圧よりも低い負電圧である。電源部94は、各々の画素30に対して個別に設けられるのではなく、複数の画素30に対して共通に1つ設けられる。
【0012】
各画素30に第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧Vnegを供給する電源部を画素30ごとに個別に配置した場合、撮像素子には煩雑な回路が必要となる。このため、撮像素子の歩留まりが悪化する恐れがあった。本実施の形態に係る撮像素子3は、後述するように簡単な構成で画素30の外部から各画素30に電圧Vnegを供給することが可能となり、このような懸念が解消される。
【0013】
なお、詳細は後述するが、第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧Vnegが要求されるのは、転送トランジスタTxのオフ時にフォトダイオード31からフローティングディフュージョンFDに電荷が転送されないようにするためである。
【0014】
電圧Vnegを供給する電源部94は、本実施の形態においては第1半導体基板7に設けられる。なお、電源部94を第1半導体基板7以外の場所に設けてもよい。例えば電源部94を第2半導体基板8に設け、第1半導体基板7にバンプを介して電圧Vnegを供給し、各画素30と電気的に接続してもよい。
【0015】
PD層71における入射光の入射側には、複数のフォトダイオード31の各々に対応する複数のカラーフィルタ73が設けられる。カラーフィルタ73には、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ対応する波長領域を透過する複数の種類が存在する。カラーフィルタ73は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する3種類が、ベイヤー配列を為すように配列される。
【0016】
カラーフィルタ73における入射光の入射側には、複数のカラーフィルタ73の各々に対応する複数のマイクロレンズ74が設けられる。マイクロレンズ74は、対応するフォトダイオード31に向けて入射光を集光する。マイクロレンズ74を通過した入射光は、カラーフィルタ73により一部の波長領域のみがフィルタされ、フォトダイオード31に入射する。フォトダイオード31は、入射光を光電変換して電荷を生成する。
【0017】
配線層72の表面には複数のバンプ75が配置される。第2半導体基板8の、配線層72に対向する面には、複数のバンプ75に対応する複数のバンプ76が配置される。複数のバンプ75と複数のバンプ76とは互いに接合されている。複数のバンプ75と複数のバンプ76とを介して、第1半導体基板7と第2半導体基板8とが電気的に接続される。
【0018】
詳細は後述するが、撮像素子3は複数の画素30を有している。1つの画素30は、第1半導体基板7に設けられた第1画素30xと、第2半導体基板8に設けられた第2画素30yとを含む。1つの第1画素30xには、1つのマイクロレンズ74、1つのカラーフィルタ73、1つのフォトダイオード31等が含まれる。第1画素30xにはこの他に、第2電圧である電圧V1を供給する第2電圧源である個別電源部341などの第1半導体基板7に設けられた種々の回路(後述)が含まれる。第2画素30yには、第2半導体基板8に設けられた種々の回路(後述)が含まれる。
【0019】
図3は、画素30の構成を模式的に示すブロック図である。画素30は、アナログ回路部301、A/D変換部302、サンプリング部303、画素値保持部304、画素駆動部307、個別画素制御部306、および演算部305を備える。
【0020】
アナログ回路部301は、入射光を光電変換した結果をアナログ信号としてA/D変換部302に出力する。A/D変換部302は、アナログ回路部301が出力したアナログ信号をサンプリングし、所定のゲイン倍されたデジタル信号を出力する。A/D変換部302は、画素リセット信号と画素信号とを繰り返しサンプリングし、画素リセット信号のサンプリング結果と画素信号のサンプリング結果とをデジタル信号としてそれぞれ個別に出力する。
【0021】
サンプリング部303は、画素リセット信号のサンプリング結果と画素信号のサンプリング結果の積分値を演算し保持する。サンプリング部303は、画素リセット信号用の第1加算器308および第1メモリ309と、画素信号用の第2加算器310および第2メモリ311を備える。
【0022】
サンプリング部303は、A/D変換部302により出力された画素リセット信号のサンプリング結果と、第1メモリ309に保持されている過去のサンプリング結果の積分値とを、第1加算器308により加算する。サンプリング部303は、この加算結果を第1メモリ309に記憶する。サンプリング部303は、A/D変換部302により画素リセット信号のサンプリング結果が出力される度に、第1メモリ309に記憶されている値を更新する。
【0023】
サンプリング部303は、A/D変換部302により出力された画素信号のサンプリング結果と、第2メモリ311に保持されている過去のサンプリング結果の積分値とを、第2加算器310により加算する。サンプリング部303は、この加算結果を第2メモリ311に記憶する。サンプリング部303は、A/D変換部302により画素信号のサンプリング結果が出力される度に、第2メモリ311に記憶されている値を更新する。
【0024】
以上のように、A/D変換部302およびサンプリング部303は、画素リセット信号と画素信号とを繰り返しサンプリングし、サンプリング結果を積分する処理を実行する。この処理は、いわゆる相関多重サンプリング処理である。
【0025】
個別画素制御部306により予め定められた回数のサンプリングが完了すると、サンプリング部303は、第1メモリ309に記憶されている値と、第2メモリ311に記憶されている値と、に基づくデジタル値を、画素値保持部304に出力する。画素値保持部304は、このデジタル値を、画素30による光電変換結果として記憶する。画素値保持部304は、信号線340に接続されている。画素値保持部304に記憶されているデジタル値は、信号線340を介して外部から読み出し可能である。
【0026】
演算部305は、外部から指示された露光時間や、画素値保持部304に保持されている前回の光電変換結果に基づき、相関多重サンプルリング処理における繰り返し回数、露光時間、ゲイン等を演算する。個別画素制御部306は、演算部305により演算された繰り返し回数およびゲインをA/D変換部302に出力する。個別画素制御部306は、演算部305により演算された露光時間およびゲインを画素駆動部307に出力する。画素駆動部307は、アナログ回路部301の各部を駆動する種々の駆動信号(後述)をアナログ回路部301に出力する。
【0027】
図4は、アナログ回路部301、個別画素制御部306、および画素駆動部307の回路図である。なお、図4では、便宜上、個別画素制御部306および画素駆動部307の一部のみを図示している。個別画素制御部306の一部には306a、306bのように符号を付し、画素駆動部307の一部には307a、307bのように符号を付している。
【0028】
アナログ回路部301は、フォトダイオード31、転送トランジスタTx、フローティングディフュージョンFD、第1リセットトランジスタRST1、第2リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMI、選択トランジスタSEL、容量拡張トランジスタFDS、および容量C1を有する。
【0029】
フォトダイオード31は、入射光を光電変換し、入射光の光量に応じた量の電荷を生成する光電変換部である。転送トランジスタTxは、後述する転送信号供給部307aから供給された転送信号に基づき、フォトダイオード31が生成した電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送部である。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTxにより転送された電荷を蓄積する蓄積部である。増幅トランジスタAMIは、フローティングディフュージョンFDに蓄積されている電荷の量に応じた信号を出力する。選択トランジスタSELがオンされているとき、増幅トランジスタAMIにより出力された信号は、A/D変換部302に入力される。
【0030】
アナログ回路部301は、第1リセットトランジスタRST1および第2リセットトランジスタRST2の2つのリセットトランジスタを有している。第1リセットトランジスタRST1は、フローティングディフュージョンFDをリセットするとき、後述する第1リセット信号供給部307bから第1リセット信号の供給を受ける。後述する第1リセット信号供給部307bは、電圧VDDの信号を第1リセット信号として供給される。第1リセットトランジスタRST1は、この第1リセット信号に基づき、フローティングディフュージョンFDをリセットする。第2リセットトランジスタRST2は、フォトダイオード31をリセットするとき、後述する第2リセット信号供給部307cから第2リセット信号の供給を受ける。後述する第2リセット信号供給部307cは、電圧VDDの信号を第2リセット信号として供給する。第2リセットトランジスタRST2は、この第2リセット信号に基づき、フォトダイオード31をリセットする。
【0031】
容量拡張トランジスタFDSは、後述する容量拡張信号供給部307dから供給された容量拡張信号に基づき、フローティングディフュージョンFDと容量C1との接続を切り替える。例えばフォトダイオード31への入射光量が大きく、フローティングディフュージョンFDが飽和してしまう場合には、容量拡張トランジスタFDSをオンすることで、フローティングディフュージョンFDと容量C1とを接続する。これにより、フローティングディフュージョンFDの容量が、容量C1の分だけ実質的に増加し、より大きな光量に対応することができる。
【0032】
第1リセット信号供給部307bは、pMOSトランジスタTr7およびnMOSトランジスタTr8から成るCMOS回路である。第1リセット信号供給部307bは、第1リセット制御部306bの出力信号に基づき、電圧VDD(所定の電源電圧。以下同じ)と接地電圧(GND)いずれかの電圧を第1リセット信号として第1リセットトランジスタRST1のゲートに供給する。前述の通り、第1リセット制御部306bは個別画素制御部306の一部であり、第1リセット信号供給部307bは画素駆動部307の一部である。なお、オーバードライブを行う際は、第1リセット制御部306bが第1リセットトランジスタRST1のゲートに、電圧VDDの代わりに、電圧VDDよりも高い電圧VRST1Hを供給するようにすればよい。
【0033】
容量拡張信号供給部307dは、pMOSトランジスタTr11およびnMOSトランジスタTr12から成るCMOS回路である。容量拡張信号供給部307dは、容量拡張制御部306dの出力信号に基づき、電圧VDDと接地電圧(GND)いずれかの電圧を容量拡張信号として容量拡張トランジスタFDSのゲートに供給する。前述の通り、容量拡張制御部306dは個別画素制御部306の一部であり、容量拡張信号供給部307dは画素駆動部307の一部である。
【0034】
転送信号供給部307aは、バッファ340、抵抗R1、および抵抗R2を有する。バッファ340には、転送制御部306aによって、転送制御信号が供給される。転送制御部306aは、所定のハイレベルの電圧(例えば電圧VDD)とローレベルの電圧(例えば第1半導体基板7の基板電圧である接地電圧)とのいずれかを転送制御信号としてバッファ340に出力する。バッファ340は、転送制御信号がハイレベルの電圧である場合には画素30内の個別電源部341から供給された電圧V1を出力し、ローレベルの電圧である場合には第1半導体基板7の基板電圧である接地電圧を出力する。電圧V1は、第1半導体基板7の基板電圧よりも高い電圧である。本実施の形態において、第1半導体基板7の基板電圧は接地電圧である。従って、電圧V1は、接地電圧よりも高い正電圧である。
【0035】
バッファ340の出力端子は、抵抗R2を介して転送トランジスタTxのゲートに接続される。抵抗R2と転送トランジスタTxとの間には、抵抗R1を介して電源部94が電圧Vnegを供給する。つまり、転送トランジスタTxからみると、ゲート電極から先の配線は2つに分岐しており、一方には抵抗R1を介して電源部94が、他方には抵抗R2を介してバッファ340が接続されている。
【0036】
バッファ340が電圧V1を出力しているとき、転送トランジスタTxのゲートには次式(1)により定まる電圧Vg1が印加される。なお、次式(1)において、r1は抵抗R1の抵抗値であり、r2は抵抗R2の抵抗値である。
Vg1=(Vneg×r2+V1×r1)/(r1+r2) ・・・(1)
【0037】
例えばVnegが-2V、V1が8V、r1がr2と等しいとすると、電圧Vg1は3Vになる。つまりバッファ340が電圧V1を出力しているとき、転送トランジスタTxのゲートには3Vの正電圧が印加され、転送トランジスタTxはオン状態になる。換言すると、転送制御信号がハイレベルの電圧である場合、転送トランジスタTxはフォトダイオード31により生成された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0038】
他方、バッファ340が接地電圧を出力しているとき、転送トランジスタTxのゲートには次式(2)により定まる電圧Vg2が印加される。
Vg2=(Vneg×r2)/(r1+r2) ・・・(2)
【0039】
例えばVnegが-2V、r1がr2と等しいとすると、電圧Vg2は-1Vになる。つまりバッファ340が第1半導体基板7の基板電圧である接地電圧を出力しているとき、転送トランジスタTxのゲートには第1半導体基板7の基板電圧よりも低い-1Vの負電圧が印加され、転送トランジスタTxはオフ状態になる。換言すると、転送制御信号がローレベルの電圧である場合、転送トランジスタTxはフォトダイオード31により生成された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送しない。
【0040】
以上のように構成された転送信号供給部307aは、転送制御部306aの出力信号に基づき、正電圧と第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧(本実施形態では負電圧)のいずれかの電圧を転送信号として転送トランジスタTxのゲートに供給する。前述の通り、転送制御部306aは個別画素制御部306の一部であり、転送信号供給部307aは画素駆動部307の一部である。なお、転送トランジスタTxのゲートに第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧を印加するのは、転送トランジスタTxのオフ時にフォトダイオード31からフローティングディフュージョンFDに電荷が転送されないようにするためである。
【0041】
第2リセット信号供給部307cは、バッファ350、抵抗R3、および抵抗R4を有する。第2リセット信号供給部307cは、第2リセット制御部306cの出力信号に基づき、正電圧と第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧(本実施形態では負電圧)のいずれかの電圧を第2リセット信号として第2リセットトランジスタRST2のゲートに供給する。第2リセット信号供給部307cの構成は、転送信号供給部307aと同様であるので説明を省略する。前述の通り、第2リセット制御部306cは個別画素制御部306の一部であり、第2リセット信号供給部307cは画素駆動部307の一部である。
【0042】
次に、図3および図4に示した各部の半導体基板へのレイアウトについて説明する。第1半導体基板7には、図3および図4に示した各部のうち、アナログ回路部301と、転送駆動部307aと、個別電源部341(図4)とが配置される。第2半導体基板8には、図3および図4に示した各部のうち、それ以外の各部が配置される。
【0043】
このようにしたのは、フォトダイオード31を可能な限り大きくするためである。本実施の形態では、画素30が有する各部を、第2半導体基板8に可能な限り配置するようにしたので、フォトダイオード31の面積を大きくすることができ、入射光の利用効率を高めることや飽和電子数の向上が期待できる。
【0044】
図5は、撮像素子3を用いた撮像シーケンスを示すタイミングチャートである。撮像素子3は、多重露光と相関多重サンプリングとを選択的に実行することができる。まず、図5(a)を用いて、多重露光制御について説明する。
【0045】
図5(a)は、画素30ごとの多重露光を行う場合のタイミングチャートである。図5(a)の横軸は時間であり、右方向に向かって時間が進んでいる。図5(a)の「Dark」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素リセット信号のサンプリングを行うタイミングを示している。図5(a)の「Sig」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素信号のサンプリングを行うタイミングを示している。図5(a)の「Out」と書かれた四角形は、画素値保持部304が記憶するデジタル値(光電変換結果)を、信号線340を介して周辺回路に出力するタイミングを示している。図5(a)では、入射光量の多さで、画素30を画素30a~画素30dの4つに分類して多重露光を行っている。
【0046】
露光期間T1の開始時刻t0に、フォトダイオード31およびフローティングディフュージョンFDをリセットする動作は、全ての画素30について同一である。その後、入射光量が極めて少ない画素30aでは、時刻t3に、フローティングディフュージョンFDをリセットし、画素リセット信号のサンプリングを行う。時刻t3は、露光期間T1の終了時刻t4から、フローティングディフュージョンFDのリセットと画素リセット信号のサンプリングとに必要な時間を差し引いた時刻である。露光期間T1の終了時刻t4に、時刻t0~t4にかけて生成された、フォトダイオード31に蓄積されている電荷をフローティングディフュージョンFDに転送し、画素信号のサンプリングを行う。その後、時刻t5に、画素値保持部304に光電変換結果を記憶する。
【0047】
入射光量がやや少ない画素30bでは、外部から指定された露光期間T1を期間T2と期間T3の2つの期間に等分して、上述の動作を2回行う。具体的には、時刻t1と時刻t3に、フローティングディフュージョンFDをリセットし、画素リセット信号のサンプリングを行う。時刻t1は、期間T2の終了時刻t2から、フローティングディフュージョンFDのリセットと画素リセット信号のサンプリングとに必要な時間を差し引いた時刻である。その後、時刻t2に、フォトダイオード31に蓄積されている電荷をフローティングディフュージョンFDに転送し、画素信号のサンプリングを行う。時刻3~t5の動作は、画素30aの場合と同様である。
【0048】
入射光量がやや多い画素30cでは、外部から指定された露光期間T1を4等分して、上述の動作を4回行う。入射光量が極めて多い画素30dでは、外部から指定された露光期間T1を8等分して、上述の動作を8回行う。
【0049】
以上のように、多重露光制御によれば、入射光量が多い画素30と入射光量が少ない画素30とで露光時間を個別に変化させて撮像を行うことができる。通常の撮像ではフローティングディフュージョンFDが飽和してしまうほど入射光量が多い場合であっても、露光時間を細かく区切って繰り返し撮像を行うことで、ダイナミックレンジを拡大させることができる。
【0050】
次に、図5(b)を用いて、相関多重サンプリング制御について説明する。図5(b)は、画素30ごとに相関多重サンプリング制御を行う場合のタイミングチャートである。図5(b)の横軸は時間であり、右方向に向かって時間が進んでいる。図5(b)の「Dark」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素リセット信号のサンプリングを行うタイミングを示している。図5(b)の「Sig」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素信号のサンプリングを行うタイミングを示している。図5(b)の「Out」と書かれた四角形は、A/D変換部302がサンプリング部303に向けてサンプリング結果を出力するタイミングを示している。図5(b)では、入射光量の多さで、画素30を画素30a~画素30dの4つに分類して相関多重サンプリングを行っている。
【0051】
画素30aがもっとも露光時間が長く、画素30dがもっとも露光時間が短い。相関多重サンプリング制御では、露光時間が長い画素30ほど、早いタイミングでフローティングディフュージョンFDをリセットする。露光時間が長い画素30ほど、フローティングディフュージョンFDをリセットしてから画素信号をサンプリングするまでに間が空くことになる。その期間に、画素リセット信号を繰り返しサンプリングする。
【0052】
例えば図5(b)では、画素30aがもっとも露光時間が長い。画素30aの露光時間T4の終了時刻t6から、期間T5だけ前の時刻t7に、フローティングディフュージョンFDをリセットする。その結果、時刻t6までに、画素リセット信号が4回サンプリングされる。露光時間T4が終了した後、次の露光時間T6が終了するまでの間、今度は画素信号を繰り返しサンプリングする。
【0053】
露光時間が長いということは、入射光量が少ないということであり、画素信号における増幅トランジスタAMI、選択トランジスタSEL、およびA/D変換部302のノイズの影響が大きいということである。つまり前述のノイズの影響が大きい画素30ほど、画素リセット信号と画素信号とをより多い回数サンプリングすることになり、より高感度で撮像を行うことができるようになる。
【0054】
撮像素子3は、画素30の各々について、以上の動作を並列に実行する。すなわち、各々の画素30は、フォトダイオード31による光電変換から、画素値保持部304へのデジタル値の記憶までの動作を、並列して行う。画素値保持部304からの撮像結果の読み出しは、画素30ごとに順次行われる。
【0055】
以上のように、本実施の形態の撮像素子3は、画素毎に露光時間を制御することができる。画素毎に露光時間を制御するためには、転送トランジスタTxのオンオフのタイミングを画素毎に制御できなければならない。すなわち、転送トランジスタTxのゲートに供給する電圧(本実施の形態では電圧V1および電圧Vnegに基づく電圧Vg1および電圧Vg2)を画素毎に制御できなければならない。つまり、電圧Vnegを供給する第1電源部と、電圧V1を供給する第2電源部とを、画素毎に設けなければならない。第1半導体基板7が扱う電圧は、電圧Vnegや電圧V1と異なるため、第1電源部および第2電源部を画素30内に設けようとすると、第1電源部および第2電源部は多大な面積を占めることになる。特に第1電源部は、基板電圧よりも低い電圧Vnegを扱うため、基板に対して順バイアスとならないように、トリプルウェル構造が必要となる。従って、第1電源部は特に広い面積を必要とする。その結果、画素30に占めるフォトダイオード31の面積が大幅に小さくなってしまう。つまり、フォトダイオード31の開口率が大幅に低下してしまい、撮像素子の微細化が困難になる。本実施の形態では、第1電源部である電源部94を全画素で共通の電源として画素の外部に設けることにより、第1半導体基板7のフォトダイオード31近傍に第1電源部および第2電源部を個別に設けることなく(フォトダイオード31の開口率を低下させることなく)、画素毎に露光時間を制御することができる。また、撮像素子を微細化することができる。
【0056】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、負電圧を供給する電源部94と、複数の画素30とを備える。複数の画素30の各々は、入射光を光電変換するフォトダイオード31と、フォトダイオード31により光電変換された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンFDと、フォトダイオード31により光電変換された電荷を転送信号に基づきフローティングディフュージョンFDに転送する転送トランジスタTxと、正電圧を供給する個別電源部341と、電源部94により供給された負電圧および個別電源部341により供給された正電圧に基づき、接地電圧より低い第1の電圧および接地電圧より高い第2の電圧のいずれかを転送信号として転送トランジスタTxに供給する転送信号供給部307aと、を有する。このようにしたので、各画素30に負電圧を供給する電源を設けることなく、画素毎の並列読み出しを行うことができる。
【0057】
(2)第1半導体基板7には、フォトダイオード31と、転送トランジスタTxと、フローティングディフュージョンFDと、転送信号供給部307aと、個別電源部341とが設けられる。第2半導体基板8には、A/D変換部302とサンプリング部303とが設けられる。このように、負電源を扱う回路を第2半導体基板8に設け、第1半導体基板7に存在しないようにしたので、第1半導体基板7には負電源を扱うための拡散層等を設ける必要がなく、フォトダイオード31の開口率を向上させることができる。
【0058】
(3)転送信号供給部307aには、接地電圧と正電圧とからなる転送制御信号が入力される。転送信号供給部307aは、転送制御信号を負電圧と正電圧とからなる転送信号に変換して出力する。このようにしたので、負電圧を扱うための特別の回路素子を導入することなく、負電圧を含む転送信号を供給することができる。
【0059】
(4)複数の画素30の各々は、一端を電源部94に、他端を転送トランジスタTxに接続した抵抗R1と、一端から転送信号が入力され、他端を転送トランジスタTxに接続した抵抗R2とを有する。このようにしたので、転送トランジスタTxに供給される電圧の大きさを抵抗R1と抵抗R2の抵抗値の組み合わせによる電位分割回路によって容易にコントロールすることができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る撮像素子3は、第1の実施の形態に係る撮像素子3とは異なり、第2半導体基板8を備えておらず、1枚の半導体基板70のみを備えている。以下、第2の実施の形態に係る撮像素子3について、第1の実施の形態に係る撮像素子3との差異を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の箇所については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
図6は、撮像素子3の断面図である。なお図6では、撮像素子3の全体のうち、一部の断面のみを示している。撮像素子3は、いわゆる裏面照射型の撮像素子である。撮像素子3は、紙面上方向からの入射光を光電変換する。
【0062】
撮像素子3は複数の画素30を有している。1つの画素30は、図6に図示したマイクロレンズ74およびカラーフィルタ73を含む。画素30にはこの他に、図4に図示したアナログ回路部301、A/D変換部302、サンプリング部303、画素値保持部304、演算部305、個別画素制御部306、および画素駆動部307が含まれる。これらの領域は、領域710に設けられる。なお、符号720は、配線層である。
【0063】
図7は、撮像素子3の構成を模式的に示すブロック図である。半導体基板70には、二次元状に配列された複数の画素30が設けられる。なお図7では、半導体基板70に設けられた複数の画素30のうち、3行3列の計9個の画素30のみを図示している。
【0064】
半導体基板70は、各々の画素30に第1電圧である電圧Vnegを供給する、第1電圧源である電源部94を備える。電圧Vnegは、第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧である。本実施の形態において、第1半導体基板7の基板電圧は接地電圧である。従って、電圧Vnegは、接地電圧よりも低い負電圧である。電源部94は、各々の画素30に対して個別に設けられるのではなく、複数の画素30に対して共通に1つ設けられる。
【0065】
複数の画素30の各々は、所定の電圧V1を供給する個別電源部341を備える。個別電源部341は、画素30ごとに設けられる。個別電源部341が供給する電圧V1は、第1半導体基板7の基板電圧よりも高い電圧である。本実施の形態において、第1半導体基板7の基板電圧は接地電圧である。従って、電圧V1は、接地電圧よりも高い正電圧である。
【0066】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した作用効果に加えて、更に次の作用効果が得られる。
(5)単一の半導体基板70に、画素30を構成する全ての部位を設けた。このようにしたので、撮像素子3の製造コストを低減することができる。また、複数の半導体基板を重ね合わせる工程を省略することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0067】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0068】
(変形例1)
電源部94と複数の画素30との間に、電源部94と複数の画素30との電気的接続をオンオフするスイッチを設けてもよい。このスイッチをオフすると、複数の画素30から電源部94に向かう電流が遮断される。このスイッチを設けることで、撮像動作を行わない場合には、電源部94と転送信号供給部307aとの間に電流が流れず、消費電力を低減することができる。なお、全ての画素30に対して同一のタイミングで電源部94との電気的接続をオンオフするのであれば、スイッチは電源部94の手前に1つだけ設ければよい。また、電源部94が上述のスイッチを内蔵するようにしてもよい。
【0069】
(変形例2)
上述した各実施の形態において、抵抗R1の代わりにキャパシタやコイル等を配置してもよい。バッファ340から出力される信号は一定の周波数を持った信号であり、キャパシタやコイル等の任意のインピーダンスを組み合わせて電位分割回路を構成することができる。
【0070】
(変形例3)
第1の実施の形態において、抵抗R1を、第1半導体基板7と第2半導体基板とを接続するシリコン貫通電極としてもよい。このようにすることで、抵抗R1の抵抗値を所望の値にすることが容易になる。
【0071】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子および電子カメラも含む。
(1)第1電圧を供給する第1電圧源と上記第1電圧が供給される複数の画素とを備える撮像素子であって、上記画素は、入射光を光電変換する光電変換部と、上記光電変換部により光電変換された電荷が転送されて蓄積される蓄積部と、上記光電変換部から上記電荷を上記蓄積部に転送する転送部と、第2電圧を供給する第2電圧源と、上記第1電圧源による上記第1電圧および上記第2電圧源による上記第2電圧のいずれかによる転送信号を上記転送部に供給する供給部と、を有する。
(2)(1)のような撮像素子において、上記供給部は、上記第1電圧源と上記転送部との間に配置される第1抵抗と、上記第2電圧源と上記転送部との間に配置される第2抵抗とを有する。
(3)(2)のような撮像素子において、上記撮像素子は、基板電圧が印加され、上記第1電圧源は、上記基板電圧より低い電圧を供給し、上記第2電圧源は、上記基板電圧より高い電圧を供給する。
(4)(3)のような撮像素子において、上記転送部は、上記光電変換部と上記蓄積部との間を電気的に導通させて上記光電変換部により生成された電荷を上記蓄積部に転送し、上記供給部は、上記光電変換部と上記蓄積部との間を電気的に導通または非導通にするための転送信号を上記転送部に供給する。
(5)(3)または(4)のような撮像素子において、上記複数の画素が設けられた第1半導体基板と、上記蓄積部に蓄積された電荷の量に基づくデジタル信号を出力するA/D変換部が、上記複数の画素ごとに設けられた第2半導体基板と、を備える。
(6)(5)のような撮像素子において、上記第1電圧源は、上記第2半導体基板に設けられ、上記第1抵抗は、上記第1半導体基板と上記第2半導体基板とを接続する電極を少なくとも含む。
(7)(3)~(5)のような撮像素子において、上記供給部は、上記第1電圧源と上記転送部との間に配置される容量を有する。
(8)(3)~(7)のような撮像素子において、複数の上記供給部のうちの一部の上記供給部は、第1の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させ、他の一部の上記供給部は、上記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる。
(9)(3)~(8)のような撮像素子において、上記光電変換部は埋め込みフォトダイオードであり、上記転送部は、上記転送信号が上記第1電圧源により供給された電圧に基づく第1の電圧であるときには上記光電変換部により光電変換された電荷を上記蓄積部に転送し、上記転送信号が第1電圧源により供給された電圧に基づく第2の電圧であるときには上記光電変換部により光電変換された電荷を上記蓄積部に転送しない。
(10)(3)~(9)のような撮像素子において、上記供給部には、上記基板電圧以上の第3の電圧と上記基板電圧以上で上記第3の電圧よりも高い第4の電圧とのいずれかが入力され、上記供給部は、上記第3の電圧が入力されたときには上記第1電圧である上記転送信号を出力し、上記第4の電圧が入力されたときには上記第2電圧である上記転送信号を供給する。
(11)(1)~(10)のような撮像素子において、上記複数の画素の各々は、上記供給部と上記第1電圧源との間を電気的に導通または非導通にする切替部を有する。
(12)(1)~(11)のような撮像素子を有する電子カメラ。
【0072】
また、上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子も含む。
(1)負電圧を供給する負電圧電源部と、入射光を光電変換する光電変換部と、上記光電変換部により光電変換された電荷を蓄積する蓄積部と、上記光電変換部により光電変換された電荷を転送信号に基づき上記蓄積部に転送する転送部と、正電圧を供給する正電圧電源部と、上記負電圧電源部により供給された負電圧および上記正電圧電源部により供給された正電圧に基づき、接地電圧より低い第1の電圧および接地電圧より高い第2の電圧のいずれかを上記転送信号として上記転送部に供給する転送信号供給部と、をそれぞれ有する複数の画素と、を備える撮像素子。
(2)(1)のような撮像素子において、上記複数の画素が設けられた第1半導体基板と、上記蓄積部に蓄積された電荷の量に基づくデジタル信号を出力するA/D変換部が、上記複数の画素ごとに設けられた第2半導体基板と、を備える。
(3)(2)のような撮像素子において、上記転送信号供給部は、一端を上記負電圧電源部に、他端を上記転送部に接続した第1抵抗と、一端から上記転送信号が入力され、他端を上記転送部に接続した第2抵抗と、を有する。
(4)(3)のような撮像素子において、上記負電圧電源部は、上記第2半導体基板に設けられ、上記第1抵抗は、上記第1半導体基板と上記第2半導体基板とを接続する電極を少なくとも含む。
(5)(1)または(2)のような撮像素子において、上記転送信号供給部は、一端を上記負電圧電源部に、他端を上記転送部に接続した容量を有する。
(6)(1)~(5)のような撮像素子において、複数の上記転送信号供給部のうちの一部の上記転送信号供給部は、第1の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させ、他の一部の上記転送信号供給部は、上記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる。
(7)(1)~(6)のような撮像素子において、上記光電変換部は埋め込みフォトダイオードであり、上記転送部は、上記転送信号が上記第1の電圧であるときには上記光電変換部により光電変換された電荷を上記蓄積部に転送し、上記転送信号が上記第2の電圧であるときには上記光電変換部により光電変換された電荷を上記蓄積部に転送しない。
(8)(1)~(7)のような撮像素子において、上記転送信号供給部には、接地電圧以上である第3の電圧と接地電圧以上であり上記第3の電圧よりも高い第4の電圧とのいずれかが駆動信号として入力され、上記転送信号供給部は、上記駆動信号が上記第3の電圧であるときには上記第1の電圧である上記転送信号を出力し、上記駆動信号が上記第4の電圧であるときには上記第2の電圧である上記転送信号を出力する。
(9)(1)~(8)のような撮像素子において、上記複数の画素の各々は、上記転送信号供給部と上記負電圧電源部との電気的接続をオンオフする切替部を有する。
【0073】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2015年第195283号(2015年9月30日出願)
【符号の説明】
【0074】
3…撮像素子、7…第1半導体基板、8…第2半導体基板、30…画素、31…フォトダイオード、70…半導体基板、301…アナログ回路部、302…A/D変換部、303…サンプリング部、306…個別画素制御部、307…画素駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7