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特開2023-72167乾燥装置、基板処理装置、および乾燥方法
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  • 特開-乾燥装置、基板処理装置、および乾燥方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072167
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】乾燥装置、基板処理装置、および乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/00 20060101AFI20230517BHJP
   F26B 15/00 20060101ALI20230517BHJP
   G02B 5/00 20060101ALN20230517BHJP
【FI】
F26B5/00
F26B15/00 Z
G02B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184538
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 治士
(72)【発明者】
【氏名】寺田 和雄
【テーマコード(参考)】
2H042
3L113
【Fターム(参考)】
2H042AA04
2H042AA26
3L113AA01
3L113AA03
3L113AB02
3L113AC44
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC63
3L113AC69
3L113AC76
3L113BA32
3L113BA34
3L113DA10
(57)【要約】
【課題】基板に形成される塗布膜を速やかに乾燥させる技術を提供する。
【解決手段】実施形態に係る乾燥装置は、作動流体発生部と、乾燥部とを備える。作動流体発生部は、塗布膜が形成された基板上に乾燥流体を引き込むための作動流体を発生させる。乾燥部は、作動流体によって引き込まれる乾燥流体を供給し、塗布膜を乾燥させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布膜が形成された基板上に乾燥流体を引き込むための作動流体を発生させる作動流体発生部と、
前記作動流体によって引き込まれる前記乾燥流体を供給し、前記塗布膜を乾燥させる乾燥部と
を備える乾燥装置。
【請求項2】
前記作動流体発生部は、前記作動流体を前記基板の面方向に沿って導く誘導部
を備える請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記作動流体発生部は、
前記誘導部に向けて前記作動流体を供給する第1供給部と、
前記作動流体によって引き込まれた前記乾燥流体が、排気口から排出されるように排気流体を供給する第2供給部と
を備える、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記作動流体発生部は、前記作動流体を前記誘導部まで誘導する湾曲流路を有する、
請求項3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記第2供給部は、前記乾燥流体が前記基板から離れる方向に排出されるように前記排気流体を吐出する、
請求項3または4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記作動流体発生部は、前記基板の搬送方向の下流側から上流側に向けて前記乾燥流体が流れるように前記作動流体を発生させる、
請求項1~5のいずれか1つに記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記乾燥流体は、加熱された流体を含む、
請求項1~6のいずれか1つに記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記乾燥流体は、除湿された流体を含む、
請求項1~7のいずれか1つに記載の乾燥装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の乾燥装置と、
前記基板に前記塗布膜を形成する塗布装置と
を備える基板処理装置。
【請求項10】
前記乾燥装置は、前記塗布装置によって前記塗布膜が形成された後に、前記塗布膜における塗布液の状態が変わる前に前記塗布膜の乾燥が開始されるように設けられる、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
塗布膜が形成された基板上に乾燥流体を引き込むための作動流体を発生させる工程と、
前記作動流体によって引き込まれる前記乾燥流体を供給し、前記塗布膜を乾燥させる工程と、
を含む、乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乾燥装置、基板処理装置、および乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス基板に偏光膜用塗布液を塗布する基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-004862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板に形成される塗布膜を速やかに乾燥させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による乾燥装置は、作動流体発生部と、乾燥部とを備える。作動流体発生部は、塗布膜が形成された基板上に乾燥流体を引き込むための作動流体を発生させる。乾燥部は、作動流体によって引き込まれる乾燥流体を供給し、塗布膜を乾燥させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板に形成される塗布膜を速やかに乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る基板処理装置の一部を示す模式図である。
図2図2は、塗布膜における液晶材料の分子の向きを説明する模式図である。
図3図3は、実施形態に係る乾燥装置における作動流体の流れ、排気流体の流れ、および乾燥流体の流れを説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による乾燥装置、基板処理装置、および乾燥方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による乾燥装置、基板処理装置、および乾燥方法が限定されるものではない。
【0009】
基板処理装置は、基板に塗布膜を形成する装置である。基板処理装置は、例えば、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)に用いられる円偏光板を作製する装置である。基板は、例えば、ガラス基板である。塗布膜は、例えば、直線偏光膜(直線偏光板)、およびλ/4波長膜(λ/4波長板)である。なお、ガラス基板には、複数の有機膜などが積層されている。なお、基板、および塗布膜は、これらに限定されるものではない。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸負方向を鉛直方向とする直交座標系を示す場合がある。X軸方向は、基板が搬送される方向に平行な方向である。基板は、X軸方向の負方向に搬送される。以下では、Z軸正方向を「上方」とし、Z軸負方向を「下方」として説明する。また、X軸正方向側を「上流」とし、X軸負方向側を「下流」として説明する。基板は、上流側から下流側に搬送される。Y軸方向は、基板の幅方向である。
【0011】
図1は、実施形態に係る基板処理装置1の一部を示す模式図である。基板処理装置1において、基板Wは、ステージ2に載置されて、ステージ2に保持される。ステージ2は、塗布膜が形成される基板Wの表面をZ軸正方向として、基板Wの裏面を吸着することによって基板Wを保持する。ステージ2は、搬送機構によってX軸方向に沿って移動する。搬送機構は、レール、およびモータなどを含む。
【0012】
ステージ2は、X軸方向の両端に、整流板3a、3bを有する。整流板3aは、X軸正方向におけるステージ2の端部からX軸正方向に延びる。整流板3bは、X軸負方向におけるステージ2の端部からX軸負方向に延びる。整流板3a、3bは、ステージ2の上方の端部に取り付けられる。整流板3a、3bのX軸方向における長さは、基板WのX軸方向の長さ以上である。
【0013】
基板処理装置1は、塗布装置4と、乾燥装置5と、制御装置6とを備える。塗布装置4は、基板Wに塗布膜を形成する。塗布装置4は、吐出部10と、ブレード11とを備える。
【0014】
吐出部10は、塗布液を基板W上に吐出する。吐出部10は、塗布液を吐出するノズル、および塗布液の流量を調整するバルブなどを含む。塗布液は、液晶性材料を含む。液晶性材料は、リオトロピック液晶を含む。
【0015】
ブレード11は、吐出部10よりも下流側に設けられる。ブレード11は、Y軸方向に延びる。ブレード11は、基板W上に塗布膜を形成する。吐出部10によって塗布液が吐出された基板Wが、X軸負方向に移動することによって、ブレード11は、塗布液にせん断応力を加えながら基板W上に塗布液を広げる。これによって、基板W上に塗布膜が形成される。ブレード11は、塗布液にX軸方向に沿ってせん断応力を加える。そのため、図2に示すように、ブレード11よりも下流側の基板Wに形成される塗布膜では、液晶材料の分子Nが基板Wの搬送方向に沿って配向される。図2は、塗布膜における液晶材料の分子Nの向きを説明する模式図である。液晶材料の分子Nは、ブレード11によるせん断応力によって、上方側が上流側に傾斜するように配向される。
【0016】
図1に戻り、乾燥装置5は、作動流体発生部20と、乾燥部21とを備える。作動流体発生部20は、塗布膜が形成された基板W上に乾燥流体を引き込むための作動流体を発生させる。作動流体発生部20は、コアンダ効果によって基板W上に乾燥流体を引き込ませる作動流体を発生させる。作動流体は、コアンダ効果によって随伴流を発生させて、乾燥気体を基板W上に引き込ませる。作動流体は、気体である。作動流体は、例えば、空気である。乾燥流体は、加熱された流体、および除湿された流体の少なくとも1つを含む。乾燥流体は、気体である。乾燥流体は、加熱された空気、加熱されたN2ガス、除湿された空気、除湿されたN2ガスの少なくとも1つを含む。
【0017】
作動流体発生部20は、第1供給部22と、第2供給部23と、誘導部24とを備える。第1供給部22、第2供給部23、および誘導部24は、上流側から下流側にかけて、第2供給部23、誘導部24、および第1供給部22の順に配置される。作動流体発生部20は、基板Wの搬送方向の下流側から上流側に向けて乾燥流体が流れるように作動流体を発生させる。
【0018】
第1供給部22は、誘導部24に向けて作動流体を供給する。第1供給部22は、第1エアポンプ30を備える。第1供給部22は、第1供給流路31を有する。
【0019】
第1エアポンプ30は、外部から取り込んだ空気を圧縮し、圧縮した空気を第1供給流路31に吐出する。第1エアポンプ30は、第1所定流量、および第1所定流速の空気を第1供給流路31に吐出する。第1所定流量、および第1所定流速は、予めそれぞれ設定される。第1所定流量、および第1所定流速は、コアンダ効果によって基板W上に乾燥流体を引き込ませる作動流体を発生させる値である。
【0020】
第1供給流路31は、本体部25に形成される。第1供給流路31は、第1湾曲流路31aを含む。第1湾曲流路31a(湾曲流路の一例)は、作動流体を誘導部24まで誘導する。第1湾曲流路31aは、下方側となるにつれて上流側を向くように湾曲して形成される。第1湾曲流路31aは、第1供給口31bから誘導部24に向けて作動流体を吐出する。第1供給口31bは、スリット状に形成される。第1供給口31bは、Y軸方向、すなわち基板Wの幅方向に沿って延びる。本体部25は、複数の部品によって構成されてもよい。
【0021】
第2供給部23は、作動流体によって引き込まれた乾燥流体が、排気口50cから排出されるように排気流体を供給する。第2供給部23は、乾燥流体が基板Wから離れる方向に排出されるように排気流体を吐出する。排気流体は、空気である。第2供給部23は、第2エアポンプ40を備える。第2供給部23は、第1排出流路41を有する。
【0022】
第2エアポンプ40は、外部から取り込んだ空気を圧縮し、圧縮した空気を第1排出流路41に吐出する。第2エアポンプ40は、第2所定流量、および第2所定流速の空気を第1排出流路41に吐出する。第2所定流量、および第2所定流速は、予めそれぞれ設定される。第2所定流量、および第2所定流速は、乾燥流体を排気口50cに向けて押し出し、上流側における乾燥流体の滞留を防止する値である。第2所定流量、および第2所定流速は、コアンダ効果によって後述する第2排出流路50の気体を排気口50cから排出させる値である。
【0023】
第1排出流路41は、本体部25に形成される。第1排出流路41は、第2湾曲流路41aを含む。第2湾曲流路41aは、上流側となるにつれて上方側を向くように湾曲して形成される。第2湾曲流路41aは、第2供給口41bから斜め上方に向けて排気流体を第2排出流路50に吐出するように形成される。
【0024】
第2排出流路50は、本体部25に形成される。第2排出流路50は、第3湾曲流路50aを含む。第3湾曲流路50aは、上流側となるにつれて上方側を向くように湾曲して形成される。第3湾曲流路50aの下端には、吸入口50bが形成される。吸入口50bは、スリット状に形成される。吸入口50bは、Y軸方向、すなわち基板Wの幅方向に沿って延びる。第2排出流路50は、乾燥流体を上方に排出するように形成される。第2排出流路50の上端には、排気口50cが形成される。
【0025】
誘導部24は、本体部25に設けられる。誘導部24は、本体部25とは別に設けられてもよい。誘導部24は、作動流体を基板Wの面方向に沿って導く。誘導部24は、水平に設けられる板状の部材である。誘導部24は、ステージ2によって搬送される基板Wの上方を覆う天板である。
【0026】
誘導部24は、搬送される基板WとのZ方向における距離が所定距離となるように設けられる。所定距離は、予め設定される距離である。所定距離は、作動流体によって、乾燥流体が誘導部24と基板Wとの間に引き込まれ、乾燥流体によって基板Wが乾燥するように設定される。
【0027】
乾燥部21は、作動流体によって引き込まれる乾燥流体を供給し、塗布膜を乾燥させる。乾燥部21は、乾燥流体を貯留するタンクである。乾燥流体は、第2供給流路51に向けて乾燥流体を供給する。第2供給流路51は、本体部25に形成される。第2供給流路51は、第4湾曲流路51aを含む。乾燥部21は、ブロアなどによって乾燥流体を吹き出してもよい。
【0028】
第4湾曲流路51aは、第1供給流路31の第1湾曲流路31aよりも下流側に設けられる。第4湾曲流路51aは、下方側となるにつれて上流側を向くように湾曲して形成される。第4湾曲流路51aは、第3供給口51bから上流側に向けて乾燥流体を供給する。第3供給口51bは、第1供給口31bよりも下流側に設けられる。第3供給口51bは、スリット状である。第3供給口51bは、Y軸方向、すなわち基板Wの幅方向に沿って延びる。
【0029】
乾燥装置5は、塗布装置4によって塗布膜が形成された後に、塗布膜における塗布液の状態が変わる前に塗布膜の乾燥が開始されるように設けられる。例えば、乾燥装置5は、ブレード11によって塗布膜が形成されてから、1~2秒後に乾燥流体による乾燥が開始されるように設けられる。また、乾燥装置5は、乾燥流体の熱によってブレード11の変形しないように設けられる。
【0030】
塗布膜の乾燥が開始されるまでの時間が長くなると、塗布膜に含まれる液晶材料の分子Nの配向が乱れるおそれがある。乾燥装置5は、塗布膜に含まれる液晶材料の分子Nの配向が乱れる前に、塗布膜の乾燥が開始されるように設けられる。
【0031】
制御装置6は、たとえばコンピュータであり、制御部6aと記憶部6bとを備える。記憶部6bには、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部6aは、記憶部6bに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。制御部6aは、吐出部10、第1エアポンプ30、および第2エアポンプ40の動作を制御する。制御部6aは、ステージ2を移動させる搬送機構の動作を制御する。
【0032】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置6の記憶部6bにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0033】
次に乾燥装置5における作動流体の流れ、排気流体の流れ、および乾燥流体の流れについて図3を参照し説明する。図3は、実施形態に係る乾燥装置5における作動流体の流れ、および乾燥流体の流れを説明する図である。図3においては、作動流体、および排気流体の流れが破線で示され、乾燥流体の流れが一点鎖線で示される。
【0034】
乾燥装置5では、第1エアポンプ30によって空気が第1供給流路31に吐出されることによって、作動流体が形成される。第1供給流路31を流れる作動流体は、第1湾曲流路31aによって流れ方向が変更される。作動流体の流れ方向は、第1湾曲流路31aによって上流側に変更される。そして、作動流体は、第1供給口31bから誘導部24に沿って吐出される。
【0035】
作動流体は、周囲の気体を巻き込みつつ、誘導部24に沿って上流側に流れる。そのため、基板Wの上方に下流側から上流側に向けた気体の流れが形成される。このような気体の流れが形成されることによって、第2供給流路51の乾燥流体が引き込まれて、乾燥流体が下流側から上流側に向けて流れる。また、乾燥部21の乾燥流体が第2供給流路51を介して基板Wの上方に引き込まれて、乾燥流体が、基板Wの上方を、下流側から上流側に向けて流れる。乾燥流体が基板Wの上方を流れることで、基板W上の塗布膜が乾燥する。
【0036】
作動流体によって乾燥流体が基板Wの上方に引き込まれることで、乾燥流体の流れが乱れることが抑制される。作動流体、および乾燥流体は、誘導部24に沿って、基板Wの上方を下流側から上流側に向けて流れる。そのため、基板Wの幅方向(Y軸方向)への作動流体、および乾燥流体の漏れが抑制される。
【0037】
乾燥装置5は、基板Wの下流側から上流側に乾燥流体を流すことで、基板W上の塗布膜を乾燥させる。基板W上の塗布膜では、液晶材料の分子N(図2参照)の上方側が上流側に傾斜するように配向される。乾燥流体が下流側から上流側に向けて流れることによって、塗布膜の液晶材料の分子Nの配向の乱れが抑制される。
【0038】
また、乾燥装置5では、第2エアポンプ40によって空気が第1排出流路41に吐出されることによって、排気流体が形成される。第1排出流路41を流れる排気流体は、第2湾曲流路41aによって流れ方向が変更される。排気流体の流れ方向は、第2湾曲流路41aによって上方側に変更される。そして、排気流体は、第2供給口41bから第2排出流路50に吐出される。排気流体は、第2排出流路50を形成する壁面に沿って吐出される。
【0039】
排気流体は、周囲の気体を巻き込みつつ、排気口50cから排出される。そのため、第2排出流路50では、下方側から上方側に向けた気体の流れが形成される。このような気体の流れが形成されることによって、第2排気流路の吸入口50b付近の作動流体、および乾燥流体が第2排出流路50に引き込まれて、作動流体、および乾燥流体が排気口50cから排出される。従って、作動流体、および乾燥流体が、第2排出流路50の吸入口50b付近、すなわち上流側の乾燥装置5に滞留することが抑制される。
【0040】
作動流体、および乾燥流体が、排気流体によって、排気口50cから排出されるため、基板Wの上方において、下流側から上流側への作動流体の流れ、および下流側から上流側への乾燥流体の流れが促進される。
【0041】
なお、基板Wを搬送するステージ2には、整流板3a、3bが設けられる。そのため、基板Wが乾燥装置5の下方にない状態であっても、作動流体、および排気流体によって乾燥流体は、上記するように流れる。従って、基板W上の塗布膜の乾燥状態は、搬送方向において均一になり、乾燥むらの発生が抑制される。
【0042】
次に、実施形態に係る基板処理について、図4を参照し説明する。図4は、実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【0043】
制御装置6は、塗布処理を行う(S100)。制御装置6は、基板W上に塗布液を塗布させる。吐出部10によって基板W上に吐出された塗布液は、基板Wの搬送に伴ってブレード11によって広げられる。そして、基板W上に塗布膜が形成される。
【0044】
制御装置6は、乾燥処理を行う(S101)。制御装置6は、作動流体を発生させる。制御装置6は、第1エアポンプ30によって空気を第1供給流路31に吐出させて、作動流体を発生させる。また、制御装置6は、第2エアポンプ40によって空気を第1排出流路41に吐出させて、排気流体を発生させる。
【0045】
制御装置6は、作動流体を発生させることによって、基板Wの上方に乾燥流体を引き込み、基板Wを乾燥させる。また、制御装置6は、排気流体を発生させることによって、排気口50cから、上流側まで流れた乾燥流体を排出させて、下流側における乾燥流体の引き込みを促進させる。
【0046】
基板処理装置1において、直線偏光膜、およびλ/4波長膜を作製する場合、基板Wの向きを変えて2回の処理が行われる。なお、直線偏光膜、およびλ/4波長膜の1つが、上記する乾燥装置5によって乾燥されて作製されてもよい。
【0047】
また、基板処理装置1において、塗布装置4と乾燥装置5とは、近接して配置されることが望ましい。例えば、塗布装置4のブレード11と、乾燥装置5の吸入口50bとの距離は、500mm以下、好ましくは100mm以下に設定されることが望ましい。
【0048】
乾燥装置5は、作動流体発生部20と、乾燥部21とを備える。作動流体発生部20は、塗布膜が形成された基板W上に乾燥流体を引き込むための作動流体を発生させる。乾燥部21は、作動流体によって引き込まれる乾燥流体を供給し、塗布膜を乾燥させる。
【0049】
これにより、乾燥装置5は、作動流体によって引き込まれる乾燥流体によって塗布膜を乾燥させることができるため、塗布膜を速やかに乾燥させることができる。そのため、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れる前に、塗布膜を乾燥させることができ、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。また、乾燥装置5は、乾燥流体の乱れを抑制することができる。そのため、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0050】
作動流体発生部20は、作動流体を基板Wの面方向に沿って導くように形成される誘導部24を備える。
【0051】
これにより、乾燥装置5は、作動流体によって生じるコアンダ効果によって、乾燥流体を引き込み、塗布膜を乾燥させることができる。そのため、乾燥装置5は、塗布膜を速やかに乾燥させることができる。また、乾燥装置5は、乾燥流体の乱れを抑制することができる。そのため、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。また、乾燥装置5は、作動流体、および乾燥流体を誘導部24に沿って流すことができ、作動流体、および乾燥流体が基板Wの幅方向に漏れることを抑制することができる。そのため、乾燥装置5は、作動流体、および乾燥流体の漏れに起因するパーティクルの発生を抑制することができる。
【0052】
作動流体発生部20は、第1供給部22と、第2供給部23とを備える。第1供給部22は、誘導部24に向けて作動流体を供給する。第2供給部23は、作動流体によって引き込まれた乾燥流体が、排気口50cから排出されるように排気流体を供給する。
【0053】
これにより、乾燥装置5は、第2供給部23から供給される排気流体によって乾燥流体を排気口50cから排出させることで、作動流体の滞留、および乾燥流体の滞留を抑制することができる。そのため、乾燥装置5は、第1供給部22によって供給される作動流体の流れを促進させて、乾燥流体の流れを促進させることができる。従って、乾燥装置5は、塗布膜を速やかに乾燥させることができ、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0054】
作動流体発生部20は、作動流体を誘導部24まで誘導する第1湾曲流路31aを有する。
【0055】
これにより、乾燥装置5は、作動流体が誘導部24へ流れる時に、作動流体のベクトルの変化を小さくすることができる。そのため、乾燥装置5は、作動流体の乱れを抑制し、乾燥流体の乱れを抑制することができる。従って、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0056】
第2供給部23は、乾燥流体が基板Wから離れる方向に排出されるように排気流体を吐出する。
【0057】
これにより、乾燥装置5は、乾燥流体を基板Wの上方から排出する場合に、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0058】
作動流体発生部20は、基板Wの搬送方向の下流側から上流側に向けて乾燥流体が流れるように作動流体を発生させる。
【0059】
これにより、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向に合わせて乾燥流体を流すことができ、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制することができる。
【0060】
乾燥流体は、加熱された流体を含む。これにより、乾燥装置5は、塗布膜を速やかに乾燥させることができる。また、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0061】
乾燥流体は、除湿された流体を含む。これにより、乾燥装置5は、塗布膜を速やかに乾燥させることができる。また、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0062】
乾燥装置5は、塗布装置4によって塗布膜が形成された後に、塗布膜における塗布液の状態が変わる前に塗布膜の乾燥が開始されるように設けられる。
【0063】
これにより、乾燥装置5は、塗布膜に含まれる分子Nの配向が乱れることを抑制できる。
【0064】
変形例に係る乾燥装置5は、乾燥流体を生成する装置を有してもよい。変形例に係る乾燥装置5は、ヒータ、および除湿装置の少なくとも1つを含んでもよい。
【0065】
変形例に係る乾燥装置5は、作動流体を上流側から下流側に向けて流すように構成されてもよい。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 基板処理装置
2 ステージ
3a、3b 整流板
4 塗布装置
5 乾燥装置
6 制御装置
10 吐出部
11 ブレード
20 作動流体発生部
21 乾燥部
22 第1供給部
23 第2供給部
24 誘導部
30 第1エアポンプ
31 第1供給流路
31a 第1湾曲流路(湾曲流路)
40 第2エアポンプ
41 第1排出流路
50 第2排出流路
50c 排気口
図1
図2
図3
図4