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特開2023-7247嵩密度測定装置及び嵩密度調整済粉体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007247
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】嵩密度測定装置及び嵩密度調整済粉体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 9/02 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
G01N9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110369
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】大賀 雄介
(57)【要約】
【課題】粉体が通過する配管内に裸出状態で常設でき、かつ嵩密度の測定値に含まれる誤差を小さくすることができる嵩密度測定装置を提供する。
【解決手段】粉体7が通過する配管2内に設置されて、粉体7の一部を採取してその嵩密度を測定する嵩密度測定装置4であって、配管2内を通過する粉体7の一部を採取してその中空部内に収容する定量容器9と、この定量容器9の開口9c位置を超えて収容される粉体7をすり切って除去するすり切り機構13と、少なくとも定量容器9の重量及び定量容器9内に収容される粉体7の重量を測定する計量機構8と、この計量機構8の計量対象であり、かつ定量容器9の内側面9a以外の裸出部分の少なくとも一部をパージガスにより清掃するパージ構造17と、を備えた嵩密度測定装置4による。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が通過するライン内に設置されて、前記粉体の一部を採取してその嵩密度を測定する嵩密度測定装置であって、
通過する前記粉体の一部を採取してその中空部内に収容する定量容器と、
前記定量容器の開口位置を超えて収容される前記粉体をすり切って除去するすり切り機構と、
少なくとも前記定量容器の重量及び前記定量容器内に収容される前記粉体の重量を測定する計量機構と、
前記計量機構の計量対象であり、かつ前記定量容器の内側以外の裸出部分の少なくとも一部をパージガスにより清掃するパージ構造と、を備えていることを特徴とする嵩密度測定装置。
【請求項2】
前記パージ構造は、前記定量容器の外側を清掃するための第1のパージガス噴射口を備えていることを特徴とする請求項1に記載の嵩密度測定装置。
【請求項3】
前記計量機構は、前記定量容器と計量手段の間に介設される支持構造を備え、
前記パージ構造は、前記支持構造を清掃するための第2のパージガス噴射口を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の嵩密度測定装置。
【請求項4】
前記すり切り機構は、前記粉体の流路を遮るように、かつ前記計量機構上を被覆するように配されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の嵩密度測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の嵩密度測定装置による嵩密度の測定結果に基づいて、前記粉体の製造条件及び/又は前記粉体に対する処理条件を調整して、前記粉体の嵩密度を調整することを特徴とする嵩密度調整済粉体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体の製造ライン内に設置され、ライン内を通過する粉体の嵩密度を測定するための嵩密度測定装置及びそれを用いた嵩密度調整済粉体の製造方法に関する。
【0002】
一般に、生産される最終産物が粉体である場合や、製品製造時の原材料として粉体を使用する場合に、その粉体の嵩密度を目的に応じて調整しておく必要がある場合がある。
このような場合、製造ライン内を通過する粉体の嵩密度を測定して、その上流側又は下流側における粉体の処理設備の制御等に反映させる必要があった。
本発明と関連する先願としては以下に示すようなものが知られている。
【0003】
特許文献1には「嵩密度または密度若しくは比重のオンライン自動測定装置」という名称で、配管の中及び貯槽またはその他の容器に流動落下する粉粒体等または液体等の嵩密度または密度若しくは比重をオンライン自動測定する装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、試料を採取する定量容器と、この定量容器をガイドする軌道と、上記定量容器を自在性を有する継手を介して上記軌道に沿って移動させる駆動装置とを備え、少なくとも軌道及び定量容器は流動体が流下する装置空間及び該空間と連通する外部と遮断された空間内に配置され、定量容器が移動する軌道上には、流下する流動体が試料として定量容器に収納される試料採取部と、試料を収納した定量容器の重量を計量する計量部と、軌道の屈曲部により形成され、定量容器が転倒して試料を装置空間内に排出させる試料回収部を備えてなるものである。
上述のような特許文献1に開示される発明によれば、各種の粉粒体等または液体等の製造設備あるいは輸送設備の系内で、嵩密度または密度若しくは比重を高精度に自動測定し、かつ、計測に使用した試料を系内に直接回収せしめることのできるオンライン自動測定装置を提供することができる。
また、特許文献1に開示される発明では、同文献中の明細書段落0016に記載されるように、「取り扱う粉粒体の安息角等を考慮し、粉粒体が流下するハウジング21の屋根部の形状及び試料採取ダンパ22,試料採取口23a,緩衝板23b等の配設位置を決め、また、ハウジング21の屋根部の形状を考慮して試料採取ダンパ22の構成等が決め」られている。このため、特許文献1に開示される発明によれば、同文献中の明細書段落0021に記載されるように、「試料は落下衝撃をハウジング21の屋根部と緩衝板23bによって取り除かれるとともに枡24の中央部に誘導」することができる。
【0004】
特許文献2には「粉体サンプリング装置」という名称で、粉体を一定量サンプリングするための装置に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案は、隣接側壁を開通させると共に、一方のチャンバーにはサンプル投入装置と掻取り用シャッターを、他方のチャンバーにはサンプル受取容器、をそれぞれ配置した二つのチャンバーと、この二つのチャンバー内を往復移動しかつ交換可能に装着されるサンプリング容器と、このサンプリング容器を駆動する駆動装置と、サンプリング容器及びチャンバー内をパージするパージノズルと、からなることを特徴とするものである。
上述のような特許文献2に開示される考案によれば、空になったサンプリング容器の内面及びチャンバー内はパージノズルによってパージされる。このため、特許文献2に開示される考案によれば、前回のサンプルが次のサンプルに混入するのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-323979号公報
【特許文献2】実全昭63-107839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示される発明は、枡内への試料の収容や、枡内に収容された試料の重量の測定が、粉体の流路の一部を分画してなるハウジング内で行われるよう構成されている。このため、ロードセルの測定範囲に意図せず試料である粉体が付着したり、降り積もったりするリスクは低い。
その一方で、特許文献1に開示される発明の場合は、配管内における粉体の通過性を良好にするために、試料の採取と計量を行うためのハウジングを配管の中心側に大きくせり出した状態にすることが難しいと考えられる。
この場合、配管の中心に向かうほど粉体の通過量が多い場合に、計量のための十分な量のサンプルを確保するのに時間がかかることが予想され、短いサイクルで連続的に粉体の嵩密度を測定することが難しいという課題があった。
【0007】
特許文献2に開示される考案の場合は、サンプリング容器やサンプリング容器移動用ロッドはそもそも計量対象でない。このため、サンプリング容器やサンプリング容器移動用ロッドに、サンプルである粉体の一部が付着したり、積もったりしても特に問題は生じない。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、粉体が通過する配管内に裸出状態で常設することができ、かつ嵩密度の測定値に含まれる誤差を小さくすることができる嵩密度測定装置及びそれを用いてなる嵩密度調整済粉体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の発明は、粉体が通過するライン内に設置されて、粉体の一部を採取してその嵩密度を測定する嵩密度測定装置であって、通過する粉体の一部を採取してその中空部内に収容する定量容器と、この定量容器の開口位置を超えて収容される粉体をすり切って除去するすり切り機構と、少なくとも定量容器の重量及び定量容器内に収容される粉体の重量を測定する計量機構と、計量機構の計量対象であり、かつ定量容器の内側以外の裸出部分の少なくとも一部をパージガスにより清掃するパージ構造と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、定量容器は、ライン内に配設されて、このライン内を通過する粉体を受け止めてその中空部内に収容保持するという作用を有する。また、すり切り機構は、定量容器の開口位置を超えて収容される粉体をすり切って除去するという作用を有する。加えて、計量機構は、少なくとも定量容器の重量及び定量容器内に収容される粉体の重量を測定するという作用を有する。また、パージ構造は、計量機構の計量対象であり、かつ定量容器の内側以外の裸出部分の少なくとも一部をパージガスにより清掃するという作用を有する。
【0010】
第2の発明は、上述の第1の発明であって、パージ構造は、定量容器の外側を清掃するための第1のパージガス噴射口を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第2の発明において第1のパージガス噴射口は、そこから噴射されるパージガスにより定量容器の外側に付着する粉体を吹き飛ばして除去するという作用を有する。
【0011】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明であって、計量機構は、定量容器と計量手段の間に介設される支持構造を備え、パージ構造は、支持構造を清掃するための第2のパージガス噴射口を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第3の発明において定量容器と計量手段の間に介設される支持構造は、定量容器及びその中空部内に収容される粉体の重量を計量手段に伝達するという作用を有する。
また、第3の発明において第2のパージガス噴射口は、そこから噴射されるパージガスにより支持構造の上面に降り積もった粉体や、支持構造の裸出面に付着する粉体を吹き飛ばして除去するという作用を有する。
【0012】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、すり切り機構は、粉体の流路を遮るように、かつ計量機構上を被覆するように配されていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第4の発明において、粉体の流路を遮るように、かつ計量機構上を被覆するようにすり切り機構を配設しておくことで、計量機構の上面に粉体が降り積もったり、計量機構の裸出部分に粉体が付着したりするのを好適に抑制するという作用を有する。
【0013】
第5の発明である嵩密度調整済粉体の製造方法は、上述の第1乃至第4のいずれかの発明である嵩密度測定装置による嵩密度の測定結果に基づいて、粉体の製造条件及び/又は粉体に対する処理条件を調整して、粉体の嵩密度を調整することを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明において嵩密度測定装置は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。
つまり、第5の発明では、ライン内を通過する粉体の嵩密度を測定する際に、計量機構に降り積もったり付着したりする粉体の少なくとも一部が、パージ構造から噴射されるパージガスにより吹き飛ばされて除去される。
このため、計量機構により定量容器内に収容される粉体の重量を測定した際に、この測定値に誤差として含まれる、計量機構に降り積もったり付着したりした粉体の重量が相対的に小さくなる。これにより、嵩密度測定装置により測定される嵩密度の測定精度が高まる。つまり、第5の発明では嵩密度測定装置による嵩密度の測定値が、真の値に近づく。
よって、第5の発明によれば、嵩密度測定装置による嵩密度の測定値に基づいて、その上流側の粉体の製造条件及び/又は粉体に対する処理条件を高い精度で制御することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
上述のような第1の発明によれば、計量機構の計量対象であり、かつ定量容器の内側以外の裸出部分に降り積もったり付着したりした粉体を、パージ構造から噴射されるパージガスにより吹き飛ばして除去することができる。
これにより、計量容器内に収容され、かつすり切られた粉体の重量を計量機構により測定する際に、計量機構の計量対象であり、かつ定量容器の内側以外の裸出部分に降り積もったり付着したりした粉体の重量が、意図せず計量機構の測定値に含まれることで、嵩密度の測定値が真の値からずれるのを抑制することができる。よって、第1の発明によれば、ライン内を通過する粉体の嵩密度を測定する際の測定精度を高めることができる。
【0015】
また、第1の発明によれば、粉体が通過するライン内に嵩密度測定装置を設置する際に、特許文献1に開示される発明のように、嵩密度測定装置をハウジング内に収容しておく必要がない。つまり、嵩密度測定装置と、粉体の通過路を仕切り壁等で分離しておく必要がない。
よって、第1の発明によれば嵩密度測定装置を、その周囲にハウジングや分離壁を設けることなく粉体が通過する配管内に常設しておくことができる。
【0016】
さらに、この場合、第1の発明である嵩密度測定装置を、粉体の通過量が最も多いライン内の中央部分に配設しておくことができる。
これにより、第1の発明を構成する定量容器内を嵩密度の測定対象である粉体で満たすのに必要な時間を短くすることができるので、ライン内を通過する粉体の嵩密度を短いサイクルで連続して測定することが可能になる。
【0017】
第2の発明は、上述の第1の発明においてパージ構造による清掃箇所を計量容器の外側に特定したものであり、その効果は、第1の発明による効果と同じである。
【0018】
第3の発明は、上述の第1の発明においてパージ構造による清掃箇所を、計量容器の外側及び/又は支持構造の裸出部分、に特定したものであり、その効果は、第1の発明による効果と同じである。
【0019】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明によれば、粉体の流路を遮るように、かつ計量機構上を被覆するようにすり切り機構を配置しておくことで、計量機構上に粉体が降り積もったり、計量機構の裸出面に粉体が付着したりするのを一層確実に防ぐことができる。
よって、第4の発明によれば、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明と比較して、嵩密度の測定精度を一層高めることができる。
【0020】
第5の発明における嵩密度測定装置は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。
また、第5の発明によれば、ライン内を通過する粉体の嵩密度を測定する際の誤差を極力小さくできるので、この測定値に基づいて粉体の製造条件及び/又は粉体に対する処理条件を、高い精度を維持しながら制御することができる。
この結果、第5の発明によれば、目的とする嵩密度に一致又は近似する粉体を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置を備えた嵩密度調整済粉体の製造ラインのイメージ図である。
図2】本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置をその一部を欠いた状態で示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置における計量容器の開口側から見た平面図である。
図4】(a),(b)はいずれも本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置の計量機構及びすり切り機構の斜視図である。
図5】(a),(b)はいずれも本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置の動作手順を説明するための一部を欠いて示す側面図である。
図6】(a),(b)はいずれも本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置の動作手順を説明するための一部を欠いて示す側面図である。
図7】本発明の変形例に係る嵩密度測定装置をその一部を欠いた状態で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置及びそれを用いた嵩密度調整済粉体の製造方法について図1乃至図7を参照しながら説明する。
【0023】
はじめに、図1を参照しながら本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ラインの概要について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置を備えた嵩密度調整済粉体の製造ラインのイメージ図である。
本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1は、例えば図1に示すように、処理対象である粉体6が通過する中空管体からなる配管2に、粉体6の嵩密度を所望に調整する処理を行う粉体処理設備3と、この粉体処理設備3により処理された処理済粉体7の嵩密度を測定する嵩密度測定装置4と、この嵩密度測定装置4による測定値に基づいて粉体処理設備3を制御するための制御手段5とを備えてなるものである。
つまり、本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1では、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の測定値に基づいて粉体処理設備3が制御されるよう構成されている。
このため、本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1では、嵩密度測定装置4の測定精度が高いほど、つまり嵩密度測定装置4による嵩密度の測定値が真の値に近づくほど、粉体処理設備3を高い精度で制御することができる。
また、本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1では、配管2内に本実施形態に係る嵩密度測定装置4がハウジングや仕切り壁等を設けることなく裸出状態で設置されている。
【0024】
次に、図2乃至図4を参照しながら本実施形態に係る嵩密度測定装置4の基本構成について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置をその一部を欠いた状態で示す側面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、例えば先の図1に示す嵩密度調整済粉体の製造ライン1をなす配管2内を通過する処理済粉体7の一部を採取してその中空部内に収容する定量容器9と、この定量容器9の開口9c位置を超えて収容される処理済粉体7をすり切って除去するすり切り機構13と、少なくとも定量容器9の重量及びこの定量容器9内に収容される処理済粉体7の重量を測定する計量機構8と、この計量機構8の計量対象であり、かつ定量容器9の内側以外の裸出部分の少なくとも一部をパージガスにより清掃するパージ構造17を備えてなるものである。
【0025】
上述のような本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、先の図1に示すような嵩密度調整済粉体の製造ライン1をなす配管2内に、ハウジングや仕切り壁等を設けることなく裸出状態で設置されて用いられる。つまり、本実施形態に係る嵩密度測定装置4には、配管2内を通過する処理済粉体7が、より具体的には配管2内を落下する処理済粉体7が、嵩密度測定装置4に常時降り注いで嵩密度測定装置4内を通過している。
このため、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の計量機構8において測定される重量の測定値には、計量機構8の計量対象であり、かつ定量容器9の内側以外の裸出部分に付着したり降り積もったりした処理済粉体7の重量が意図せず含まれる。
この場合、計量機構8による測定結果に基づいて得られる処理済粉体7の嵩密度が真の値からずれてしまうため、先の図1に示す本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1における粉体処理設備3を高い精度で制御することが困難になる。
【0026】
これに対して本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、計量機構8の計量対象であり、かつ定量容器9の内側以外の裸出部分の少なくとも一部をパージガスにより清掃するパージ構造17を備えている。
このため、本実施形態に係る嵩密度測定装置4によれば、計量機構8の計量対象であり、かつ定量容器9の内側以外の裸出部分に付着したり降り積もったりした処理済粉体7の少なくとも一部を、パージ構造17により吹き飛ばして除去することができる。
これにより、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の計量機構8による測定値に意図せず含まれてしまう、計量機構8の計量対象でありかつ定量容器9の内側以外の裸出部分に付着したり降り積もったりした処理済粉体7の重量、を小さくすることができる。
この結果、本実施形態に係る嵩密度測定装置4を、処理済粉体7が通過する配管2内に裸出状態で設置して使用する場合でも、その測定精度を高めることができる。
よって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4によれば、嵩密度の測定値を真の値に近付けることができるので、この測定値に基づいて嵩密度調整済粉体の製造ライン1における粉体処理設備3を高い精度を維持しながら制御することができる。
したがって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4を備えていることで、例えば先の図1に示すような嵩密度調整済粉体の製造ライン1において粉体の嵩密度が高精度に調整された嵩密度調整済粉体(例えば処理済粉体7等)を効率良く製造することができる。
【0027】
続いて、図2乃至図4を参照しながら、上述の本実施形態に係る嵩密度測定装置4の基本構成に必要に応じて付加することができる細部構造の例について説明する。
図3は本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置における計量容器の開口側から見た平面図である。なお、図1及び図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、本実施形態に係る嵩密度測定装置4のパージ構造の細部構造について説明する。
本実施形態に係る嵩密度測定装置4における計量機構8は、図2及び図3に示すように、定量容器9と計量手段11である例えばロードセルの間に介設される支持構造10を備えていてもよい。
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の計量機構8は、図2及び図3に示すように、定量容器9及びこの定量容器9内に収容される処理済粉体7の重量の測定後に、定量容器9の開口9cを反転させてその中空部内に収容される処理済粉体7を配管2内に排出可能な反転機構12を備えていてもよい。
なお、このような反転機構12としては、例えば円柱状のシャフト、すなわち計量手段11である例えばロードセル等を支持するシャフトを、円筒体の中空部内にその周方向に回動可能に保持してなるものを用いることができる。
この場合、計量手段11(例えばロードセル等)による重量の測定対象は、定量容器9及び、この定量容器9内にすり切り状態で収容される処理済粉体7及び、支持構造10の3つのパーツになる。
さらに、この場合は、本実施形態に係るパージ構造17による清掃対象は、定量容器9の外側面9bのみ、支持構造10の裸出面のみ、定量容器9の外側面9b及び支持構造10の裸出面の両方、のいずれかになる。
【0028】
そして、本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、例えば図2及び図3に示すように、定量容器9の外側面9bを清掃するためのパージ構造17として、定量容器9の外側面9bに向かってパージガスを噴射する第1のパージガス噴射口18aを備えていてもよい。
この場合、定量容器9の外側面9bに付着したり降り積もったりした処理済粉体7を、第1のパージガス噴射口18aから噴射されるパージガスにより吹き飛ばして除去することができる(効果A)。
【0029】
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、例えば図3に示すように、支持構造10の裸出面を清掃するためのパージ構造17として、支持構造10の裸出面に向かってパージガスを噴射する第2のパージガス噴射口18bを備えていてもよい。
この場合、支持構造10の裸出面に付着した又は降り積もった処理済粉体7を第2のパージガス噴射口18bから噴射されるパージガスにより吹き飛ばして除去することができる(効果B)。
なお、本実施形態では、第2のパージガス噴射口18bから噴射されるパージガスにより、支持構造10のみならず計量手段11(例えばロードセル等)についても清掃できるよう構成している場合を例に挙げて説明しているが、例えば支持構造10の長さが大きい場合は、支持構造10を清掃するための第2のパージガス噴射口18bとは別に、計量手段11を清掃するためのパージガス噴射口(図示せず)を備えていてもよい。
【0030】
また、本実施形態に係る嵩密度測定装置4が、パージ構造17として第1のパージガス噴射口18a及び第2のパージガス噴射口18bの両者を備える場合は、上記効果A及び効果Bを同時に発揮させることができる。
【0031】
よって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4がパージ構造17として第1のパージガス噴射口18a又は第2のパージガス噴射口18b、あるいはこれらを同時に備えていることで、計量機構8による重量の測定値に意図せず含まれてしまう、定量容器9の外側面9bや支持構造10の裸出面に、付着したり又は降り積もったりした処理済粉体7の重量を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る嵩密度測定装置4では、パージ構造17として、第2のパージガス噴射口18bのみを備えている場合(すなわち上記効果Bのみが発揮される場合)よりも、第1のパージガス噴射口18aのみを備えている場合(すなわち上記効果Aのみが発揮される場合)の方が、計量機構8による測定値に含まれる誤差を小さくする効果がより顕著に発揮される。
さらに、パージ構造17が、第1のパージガス噴射口18a又は第2のパージガス噴射口18bのいずれかを備える場合よりもこれらを同時に備える方が、計量機構8による測定値に含まれる誤差を小さくする効果が一層顕著に発揮される。
いずれの場合も、本実施形態に係る嵩密度測定装置4から得られる嵩密度を真の値に近付けることができる。
この結果、本実施形態に係る嵩密度測定装置4から得られる精度の高い測定値に基づいて、先の図1に示す嵩密度調整済粉体の製造ライン1の上流側に位置する粉体処理設備3の制御を高精度に行うことができる。
よって、先の図1に示す嵩密度調整済粉体の製造ライン1が本実施形態に係る嵩密度測定装置4を備えていることで、目的とする嵩密度に一致又は近似した嵩密度調整済粉体を効率良く製造することができる。
【0032】
なお、図3では、定量容器9をその開口9c側から見た場合に、定量容器9開口9cの周側面の外側における三方に第1のパージガス噴射口18aを配設する場合を例に挙げて説明しているが、第1のパージガス噴射口18aの設置数及び配置は図3に示すものに特定される必要はない。
より具体的には、第1のパージガス噴射口18aは、定量容器9の開口9cの周側面の外側における2箇所に、互いに相対するように配設してもよいし、定量容器9開口9cの周側面の外側における3箇所以上に例えば所望間隔毎に配設してもよい。
本実施形態に係る嵩密度測定装置4では、定量容器9の外側面9bの全域にくまなくパージガスを吹き付けるために、定量容器9の外側面9bの周囲における第1のパージガス噴射口18aの配置を密にするほど、つまり定量容器9の外側面9bの周囲に分散されて配設される第1のパージガス噴射口18aの総数が増えるほど、定量容器9の外側面9bに付着して残存する処理済粉体7の量を減らすことができる。
その一方で、第1のパージガス噴射口18aの設置数が増えるにつれて、パージガス供給管19の本数が増える等してパージ構造17が複雑化し、故障等が生じ易くなる。このため、第1のパージガス噴射口18aの設置数は、嵩密度の測定対象である処理済粉体7の性質(例えば帯電性等)に応じて適宜設定すればよく、一般的には60°~120°間隔で3~4つ設ければよい。
【0033】
より詳細には、第1のパージガス噴射口18aは、例えば定量容器9をその開口9c側から見た際に、開口9cの周方向における3方向にそれぞれ1つずつ合計3つ、より詳細には定量容器9の開口9cの中心を基準にして90°~120°毎に1つずつ合計3つ、備えていてもよい。
この場合は、定量容器9の周側面を清掃するための第1のパージガス噴射口18aの数を最少にしつつ、定量容器9の側面の全域にくまなくパージガスを吹き付けることができる(効果C)。
さらに、この場合は、図3に示すように、3つの第1のパージガス噴射口18aを1のパージガス供給管19上に直列状に配置してもよい。
この場合、パージ構造17自体を極めてシンプルにできる。この結果、上記効果Cに加えて、本実施形態に係る嵩密度測定装置4を故障し難くできる上、そのメンテナンスも容易にできるという効果を奏する。
【0034】
また、図3では、支持構造10(及びそれに延設される計量手段11)の側面の一方にのみ第2のパージガス噴射口18bを配設する場合を例に挙げて説明しているが、支持構造10(及びそれに延設される計量手段11)の両側面にそれぞれに個別に第2のパージガス噴射口18bを配設してもよい。
より具体的には、例えば図2又は図3に示すように、本実施形態に係る嵩密度測定装置4が、定量容器9、その支持構造10及びそれに延設される計量手段11を反転させるための反転機構12を備えている場合は、これらの反転時と正転時のそれぞれに第2のパージガス噴射口18bから支持構造10(及びそれに延設される計量手段11)の側面側に向かってパージガスを噴射することで、1つの第2のパージガス噴射口18bを用いて支持構造10(及びそれに延設される計量手段11)の裸出面を効率良く清掃することができる。
【0035】
続いて、図2及び図4を参照しながら本実施形態に係る嵩密度測定装置4のすり切り機構13の細部構造について説明する。
図4(a),(b)はいずれも本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置の計量機構及びすり切り機構の斜視図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る嵩密度測定装置4のすり切り機構13は、例えば図2及び図4(a),(b)に示すように、計量機構8における計量手段11と平行(略平行の概念も含む)に配され、かつその中心軸方向にスライドするスライド機構16と、このスライド機構16の先端側に設けられ、その下端が定量容器9の開口9cに接触することなくかつ可能な限り近付いた状態で配設されるすり切り14とを備えてなるものである。
【0036】
そして、すり切り機構13を備える嵩密度測定装置4において、スライド機構16を作動させると、これの動作に連動してすり切り14の下端が、定量容器9の開口9cに接近したままスライドする。より具体的には、図4(b)に示す位置にあるすり切り14が、図4(a)に示す位置にスライドする。
この結果、定量容器9の開口9cを超えて収容される処理済粉体7を除去することができる。
【0037】
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4のすり切り機構13は、図2及び図4(a),(b)に示すように、すり切り14とスライド機構16先端の間にカバー15を備えていてもよい。
この場合、すり切り14ですり切った直後の定量容器9の開口9cを、カバー15で被覆しておくことができる。
この場合、すり切り後の定量容器9内に、配管2内を通過中の処理済粉体7が入り込んで定量容器9内のすり切り済の処理済粉体7の量が変わるのを好適に防ぐことができる。
この結果、計量機構8により定量容器9及びその中空部内に収容されるすり切り済の処理済粉体7の重量(及び必要に応じて設けられる支持構造10の重量)を測定する際に、測定値中に含まれる誤差を小さくすることができる。
よって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4におけるすり切り機構13が、すり切り14に加えてカバー15を備えている場合は、計量機構8による重量の測定精度を高めることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る嵩密度測定装置4では、図2及び図4(a),(b)に示すように、すり切り機構13を、配管2内を通過する処理済粉体7の流路を遮るように、かつ計量機構8上を被覆するように配設してもよい。なお、ここでいうすり切り機構13とは、スライド機構16がすり切り14のみを備える場合と、スライド機構16がすり切り14及びカバー15を備える場合、の両者を包含する概念である。
この場合、すり切り機構13があたかも傘のように機能して、配管2内を通過する処理済粉体7が計量機構8上に降り積もるのを妨げることができる。
この結果、計量機構8上にすり切り機構13を配設しない場合に比べて、定量容器9の外側面9bや、支持構造10、さらには計量手段11の裸出部分に付着したり降り積もったりする処理済粉体7の量を少なくすることができる。
よって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4において計量機構8上にすり切り機構13を配設しておくことで、計量機構8による重量の測定時に測定値に含まれる誤差を小さくすることができ、これにより嵩密度測定装置4による嵩密度の測定精度を高めることができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4のすり切り機構13がすり切り14に加えてカバー15を備えている場合は、図4(b)に示すように、処理済粉体7の採取時に、計量手段11上を、又は支持構造10及び計量手段11上を、被覆するようにカバー15を配設してもよい。
この場合、定量容器9に処理済粉体7の一部を採取している最中に、計量手段11の裸出面に、又は支持構造10及び計量手段11の裸出面に、処理済粉体7が付着したり降り積もったりするのを一層確実に防ぐことができる。
この場合も、本実施形態に係る嵩密度測定装置4による嵩密度の測定精度を一層高めることができる。
【0040】
なお、本実施形態に係る嵩密度測定装置4では、処理済粉体7の流路を遮るように、かつ計量機構8上を被覆するようにすり切り機構13を配設する場合を例に挙げて説明しているが、すり切り機構13は図2及び図4(a),(b)に示す以外の構造を有していてもよい。
より具体的には、図2及び図4(a),(b)に示す以外のすり切り機構としては、特に図示しないが、例えば配管2内にすり切り14、又はすり切り14及びカバー15を不動に設置しておき、その直下において計量機構8及び反転機構12を、計量手段11の中心軸方向にスライドさせてもよい。
この場合も、本実施形態に係る嵩密度測定装置4が図2及び図4(a),(b)に示すようなすり切り機構13を備える場合と同様の作用・効果を奏する。
【0041】
次に、本実施形態に係る嵩密度測定装置4における他の細部構造について説明する。
本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、図2及び図3に示すように、計量機構8、すり切り機構13及びパージ構造17(第1のパージガス噴射口18a及び/又は第2のパージガス噴射口18b)をその内部に収容する枠構造20を備えていてもよい。
この場合、配管2への嵩密度測定装置4の設置と撤去を、枠構造20を介して行うことができる。
よって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4が枠構造20を備えている場合は、嵩密度測定装置4の修理やメンテナンス作業を容易にできる。
【0042】
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4は、特に図示しないが、計量機構8及びすり切り機構13を枠構造20内に収容するとともに、パージ構造17(第1のパージガス噴射口18a及び/又は第2のパージガス噴射口18b)を枠構造20とは別体に設けてもよい。
この時、パージ構造17は、配管2の内壁に設けてもよいし、枠構造20を収容可能な別の枠構造(図示せず;例えば第2の枠構造)を設けて、この別の枠構造にパージ構造17のみを設けてもよい。
この場合は、計量機構8及びすり切り機構13を備えた従来公知の嵩密度測定装置を、本実施形態に係る嵩密度測定装置4に転用することができる。
この場合、本実施形態に係る嵩密度測定装置4をオーダーメイドする必要がなくなるので、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の設置に要するコストを廉価にできる。
【0043】
加えて、本実施形態に係る嵩密度測定装置4では、すり切り機構13及び/又は反転機構12の駆動源を空気圧としてもよい。
この場合、パージ構造17に供給するパージガス(例えば空気等)を、すり切り機構13及び/又は反転機構12の駆動源としても利用できるので、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の構造をシンプルにできる。
この結果、本実施形態に係る嵩密度測定装置4を故障し難い構造にできる上、そのメンテナンス作業も容易になる。
【0044】
ここで、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の動作手順の一例について図2乃至図6を参照しながら説明する。
図5(a),(b)はいずれも本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置の動作手順を説明するための一部を欠いて示す側面図である。また、図6(a),(b)はいずれも本発明の実施形態に係る嵩密度測定装置の動作手順を説明するための一部を欠いて示す側面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る嵩密度測定装置4により配管2内を通過する処理済粉体7の嵩密度を測定するには、定量容器9内を処理済粉体7で満たす必要がある(ステップS1;粉体採取工程)。
このステップS1の粉体の採取工程では、まず、すり切り機構13のスライド機構16を作動させて、定量容器9の開口9cを被覆するカバー15を移動させて、定量容器9の開口9cを開放する(ステップS1-1;粉体採取開始)。
より詳細には、すり切り機構13のスライド機構16を作動させて、図4(a)中の符号Sで示す方向にカバー15をスライドさせて、カバー15を計量手段11上に、又は支持構造10及び計量手段11上に、配置する。
これにより、配管2内を通過する処理済粉体7の一部が、図5(a)に示すように、定量容器9の開口9cからその中空部内に降り注がれて次第に溜まっていき、図5(b)に示すように、定量容器9の開口9cの位置を超えた状態になる(ステップS1-2;粉体採取完了)。
なお、ステップS1-2のタイミングの判断の仕方としては、例えば図示しないタイマーを利用する、あるいは計量手段11を利用する等がある。
【0045】
この後、すり切り機構13のスライド機構16を作動させて、定量容器9の開口9c上においてすり切り14をスライドさせる。より詳細には、例えばすり切り機構13におけるすり切り14を、図5(b)中の符号Tで示す方向にスライドさせる。
この結果、図6(a)に示すように、定量容器9内に収容される処理済粉体7がすり切られて、そのすり切り面が定量容器9の開口9cとほぼ同じ高さになる(ステップS2;すり切り工程)。
【0046】
そして、この状態で計量機構8を構成する計量手段11(例えばロードセル等)により、定量容器9の重量、定量容器9内のすり切り済の処理済粉体7の重量(及び必要に応じて設けられる支持構造10の重量)の合計値を測定する(ステップS3;重量測定工程)。
なお、すり切り機構13がすり切り14に加えてカバー15を備える場合は、定量容器9の開口9cをすり切り14ですり切った後に、スライド機構16の動作を停止して、カバー15を定量容器9の開口9c上に配置しておいてもよい。
この場合、定量容器9をすり切った後に、定量容器9内に新たな処理済粉体7が降り注がれて、定量容器9内の粉体の容積が変わってしまうのを好適に防ぐことができる。これにより、計量手段11による測定値に含まれる誤差を小さくすることができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4では、すり切り機構13におけるスライド機構16を、嵩密度測定装置4を平面視した際の、計量手段11の配設位置、あるいは支持構造10及び計量手段11の配設位置、と重なるように配置しておくとともに、スライド機構16の幅の最小値を、計量手段11の幅の最大値、あるいは計量手段11の幅の最大値と支持構造10の幅の最大値のうちいずれか大きい方、よりも大きくなるよう設定しておいてもよい。
この場合、計量手段11の上面を、あるいは支持構造10及び計量手段11の上面を、スライド機構16で被覆しておくことができる。これにより、定量容器9のすり切り後で計量手段11による重量の測定が行われるまでの間に、あるいは計量手段11による重量の測定中に、計量手段11や支持構造10の裸出面に、配管2内を通過する処理済粉体7が付着したり降り積もったりするのを好適に抑制することができる。よって、この場合も計量手段11による測定値に含まれる誤差を小さくすることができる。
【0048】
さらに、計量機構8による処理済粉体7等の重量の測定が完了した後、反転機構12を作動させて定量容器9の開口9cを上下反転させることで、定量容器9内に収容されていた処理済粉体7を配管2内に排出する(ステップS4;粉体排出工程)。
【0049】
そして、このステップS4の粉体排出工程に続く清掃工程(ステップS5)では、定量容器9の外側面9bを第1のパージガス噴射口18aから噴射されるパージガスにより清掃する。
また、ステップS5の清掃工程では、定量容器9の外側面9bを清掃することに代えて、支持構造10の裸出面を第2のパージガス噴射口18bから噴射されるパージガスにより清掃してもよい。あるいは、支持構造10及び計量手段11の裸出面を第2のパージガス噴射口18bから噴射されるパージガスにより清掃してもよい。
なお、パージガスによる清掃対象箇所は、定量容器9の外側面9bのみ又は支持構造10の裸出面のみのいずれかでもよいし、あるいはこれらの両方でもよい。さらには、上記それぞれの箇所に加えて計量手段11の裸出面を清掃してもよい。
つまり、パージガスによる清掃対象箇所が多いほど、定量容器9内に収容される処理済粉体7以外の処理済粉体7の重量が、計量手段11による測定値に含まれる可能性が低くなり、これにより本実施形態に係る嵩密度測定装置4による嵩密度の測定精度を高めることができる。
【0050】
より詳細には、先のステップS1の粉体採取工程時に、例えば支持構造10や計量手段11上にカバー15が配設されるなどの理由により、支持構造10や計量手段11の裸出部分への処理済粉体7の付着や降り積もりがほとんど起こらない場合は、支持構造10や計量手段11の裸出面を清掃する必要性は低くなる。このような場合は、支持構造10や計量手段11の裸出面の清掃を行うことなく定量容器9の外側面9bの清掃のみを行えばよい。
他方、定量容器9の外側面9bへの処理済粉体7の付着や降り積もりがほとんど起こらず、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の構造上、支持構造10や計量手段11の裸出部分への処理済粉体7の付着や降り積もりが、計量手段11による測定値に誤差が生じる主因であるような場合は、定量容器9の外側面9bの清掃を行うことなく支持構造10や計量手段11の裸出面の清掃のみを行えばよい。
【0051】
そして、上述のステップS5の清掃工程を完了した後に、反転機構12を作動させて、反転されていた定量容器9を正転させて元の向きに戻し、つまり、先の図2及び図4(a)に示すように定量容器9の開口9cを鉛直上方側に向けた状態で、計量手段11により計量対象の風袋の測定を行う(ステップS6;風袋測定工程)。
なお、本実施形態に係る嵩密度測定装置4のすり切り機構13がカバー15を備えている場合は、ステップS6の風袋測定工程を行う際に、正転させた定量容器9の開口9c上にカバー15を配設しておいてもよい。
この場合、風袋測定中の測定対象である定量容器9、あるいは定量容器9及び支持構造10に配管2内を通過中の処理済粉体7が付着したり降り積もったりするのを好適に防ぐことができる。
この場合は、計量手段11による測定値に、定量容器9の重量以外に、あるいは定量容器9及び支持構造10の重量以外に、処理済粉体7の重量が意図せず含まれてしまうのを好適に抑制することができる。
したがって、すり切り機構13がカバー15を備える場合は、計量機構8による風袋測定時の測定精度を高めることができ、これによっても本実施形態に係る嵩密度測定装置4による嵩密度の測定精度を高めることができる。
【0052】
なお、このステップS6の風袋測定工程を完了した後は、上述のステップS1からステップS6までを繰り返せばよい。
このように、本実施形態に係る嵩密度測定装置4によれば、処理済粉体7が常時通過する配管2内において同粉体の嵩密度を、連続的に又は定期的に、しかもその測定精度を高めながら測定することができる。
また、本実施形態に係る嵩密度測定装置4によれば、処理済粉体7が常時通過する配管2内に嵩密度測定装置4を裸出状態のまま常設して使用することができる。
このことは、配管2内を移動する処理済粉体7の嵩密度を、連続的に又は定期的に、かつその測定精度を高めながら測定するために、配管2に嵩密度測定装置を設置するための分岐管を併設したり、あるいは配管2内に嵩密度測定装置を設置したりしておくためのハウジングや隔壁を別途設ける必要がない。このため、本実施形態に係る嵩密度測定装置4の構造をシンプルにできる。
この場合、配管2への本実施形態に係る嵩密度測定装置4の設置や撤去が容易になる上、嵩密度測定装置4に対するメンテナンスや修理も容易になる。
【0053】
ここで、図7を参照しながら本実施形態に係る嵩密度測定装置4の変形例について説明する。
まず、本発明の変形例に係る嵩密度測定装置の変形例の構成について説明する。
図7は本発明の変形例に係る嵩密度測定装置の一部を欠いて示す側面図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態の変形例に係る嵩密度測定装置4’のパージ構造17は、例えば図7に示すように、定量容器9の外側面9bにおける底面を清掃するための第3のパージガス噴射口18cを備えていてもよい。
この場合は、第3のパージガス噴射口18cから噴射されるパージガスにより、定量容器9の外側面9bにおける底面に付着する処理済粉体7を吹き飛ばして除去することができる。
この場合、パージ構造17として第1のパージガス噴射口18a及び/又は第2のパージガス噴射口18bを備える場合に比べて、定量容器9の外側面9bに残存する処理済粉体7の量を減らすことができるので、変形例に係る嵩密度測定装置4’による嵩密度の測定精度を一層高めることができる。
【0054】
なお、図7では、枠構造20の外に第3のパージガス噴射口18cにパージガスを供給するパージガス供給管19を設ける場合を、つまり第3のパージガス噴射口18cを備えたパージガス供給管19を配管2の内壁に取設する場合を、例に挙げて説明しているが、枠構造20の外形サイズを先の図2図5及び図6に示すものよりも大きくするなどして、第3のパージガス噴射口18cを備えるパージガス供給管19を枠構造20に設置してもよい。
この場合は、枠構造20とともに第3のパージガス噴射口18cを備えたパージガス供給管19を配管2に設置又は取外しすることができるので、変形例に係る嵩密度測定装置4’の修理やメンテナンスを容易にできる。
【0055】
次に、本発明の変形例に係る嵩密度測定装置の動作手順について説明する。
変形例に係る嵩密度測定装置4’の動作手順は、先の嵩密度測定装置4の使用手順とほぼ同じであるが、ステップS5の清掃工程の後に定量容器9を正転させた状態で、すなわち定量容器9の開口9cを鉛直上方側に向けた状態で、第3のパージガス噴射口18cからパージガスを噴射して定量容器9の外側面9bのうちの底面を清掃する(ステップS5-2;容器底面清掃工程)をさらに備えている。なお、この場合は、先のステップS5の清掃工程が、容器側面清掃工程(ステップS5-1)となる。
この場合、その後のステップS6の風袋測定工程において、計量手段11による重量の測定値に誤差として含まれる、定量容器9の外側面9bの底面に付着する処理済粉体7の重さを小さくすることができる。
よって、変形例に係る嵩密度測定装置4’によれば、パージ構造17が第3のパージガス噴射口18cをさらに備えていることで、嵩密度の測定精度を一層高めることができる。
【0056】
なお、変形例に係る嵩密度測定装置4’のパージ構造17が第3のパージガス噴射口18cを備えている場合は、先のステップS5の清掃工程において、定量容器9の開口9cを反転させて定量容器9内の処理済粉体7を配管2内に排出した後に、第3のパージガス噴射口18cから噴射されるパージガスにより定量容器9の内側面9aに付着する処理済粉体7を吹き飛ばして除去することができる。
つまり、変形例に係る嵩密度測定装置4’によれば、計量手段11による重量の測定の度毎に、定量容器9内に収容される処理済粉体7を確実に入れ替えることができる。
この場合、例えば1つの嵩密度調整済粉体の製造ライン1を用いて嵩密度が異なる処理済粉体7を連続して製造する際に、嵩密度が変わる前の処理済粉体7が定量容器9内に残存することで、嵩密度が変わった後の処理済粉体7の嵩密度の測定値に誤差が生じるのを好適に防ぐことができる。
よって、変形例に係る嵩密度測定装置4’によれば、嵩密度の測定値を真の値に近付けることができる。さらに、この測定値に基づいて配管2の上流側に配される設備(例えば粉体処理設備3等)を制御する際の精度を一層向上させることができる。
この結果、本実施形態に係る嵩密度測定装置4’を備えた嵩密度調整済粉体の製造ライン1により製造される粉体の品質管理を高精度に行うことができる。
【0057】
続いて、本発明の嵩密度測定装置の他の変形例について説明する。
図1乃至図7中には特に示していないが、本実施形態に係る嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’は、すり切り機構13を清掃するための第2のパージ構造や、計量機構8やその反転機構12の動作部分及び/又は裸出部分を清掃するための第3のパージ構造を、それぞれ単独で又は組み合わせて備えていてもよい。
【0058】
また、本実施形態に係る嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’が第2のパージ構造を備える場合は、必要時にすり切り機構13の裸出部分に付着したり降り積もったりした処理済粉体7をパージガスで吹き飛ばして除去することができるので、嵩密度測定装置4又は嵩密度測定装置4’の使用中に、すり切り機構13が故障するリスクを低減することができる。
さらに、本実施形態に係る嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’が第3のパージ構造を備える場合は、必要時に計量機構8やその反転機構12の動作部分及び/又は裸出部分に付着したり降り積もったりした処理済粉体7をパージガスで吹き飛ばして除去することができるので、嵩密度測定装置4又は嵩密度測定装置4’の使用中に、計量機構8や反転機構12が故障するリスクを低減することができる。
【0059】
また、本実施形態の変形例に係る嵩密度測定装置4’が上記第2のパージ構造及び第3のパージ構造の両者を備える場合は、第2のパージ構造や第3のパージ構造を例えば以下に示すような手順にて動作させてもよい。
すなわち、ステップS4の粉体排出工程の後に(先の図6(b)を参照)、図示しない第2のパージ構造からパージガスを噴射してすり切り機構13を清掃する。
この後、第3のパージガス噴射口18cからパージガスを噴射して、定量容器9の内側面9aを清掃する。
この後、定量容器9を反転させた状態のまま第1のパージガス噴射口18aからパージガスを噴射して、定量容器9の外側面9bのうち側面を清掃する。なお、計量機構8が支持構造10を備える場合は、これと同時に第2のパージガス噴射口18bからパージガスを噴射して支持構造10の裸出面を清掃すればよい。
続いて、反転機構12を作動させて定量容器9を正転させてから、すなわち定量容器9の開口9cを鉛直上方側に配設してから、第3のパージガス噴射口18cから再度パージガスを噴射して、定量容器9の外側面9bのうちの底面を清掃する。
この後、図示しない第3のパージ構造からパージガスを噴射して計量機構8及び/又は反転機構12を清掃してから、ステップS6の風袋測定工程を行えばよい。
【0060】
つまり、本実施形態の変形例に係る嵩密度測定装置4’が上述の第2のパージ構造及び第3のパージ構造の両者を備える場合は、処理済粉体7の流路の上流側に配されるパーツから下流側に配されるパーツに向かって順次で清掃すればよい。
また、水平方向においては計量手段11からより離れた場所に配置されるパーツから清掃をはじめ、順次計量手段11に近づいてゆき、最後に計量手段11を清掃すればよい。
この場合、ステップS6の風袋測定工程を行う際に、計量手段11の計量対象に残存する処理済粉体7の量を最少にできる。
これにより、ステップS6の風袋測定工程において得られる重量の測定値に含まれる誤差を最少にできるので、本実施形態の変形例に係る嵩密度測定装置4’による嵩密度の測定精度を一層高めることができる。
この結果、本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1において製造される粉体の嵩密度を高い精度を維持しながら制御することができる。
【0061】
ここで、本発明の効果を説明するためのシミュレーション結果について説明する。
まず、定量容器内に粉体が残存する場合の影響についてのシミュレーション結果について説明する。
最初の測定に供した粉末(1)の嵩密度を100として、2回目の測定に供された粉末(2)の嵩密度が下表1に示す値であると仮定する。なお、下表1及び下表2に示す値はあくまでもシミュレーションのための仮定の値であり、実際に測定対象とする粉体における値がこのようなものとなることを示すものではない。
1回目の測定後に容器(定量容器9に相当)内に残存した粉末の量が10%、5%、3%である場合に、粉末(2)の嵩密度がどのような数値として算出されるか、すなわち「見かけの嵩密度」がどのように変化するかを、シミュレーションして下記表1に示した。
なお、このシミュレーションでは計量機構(計量機構8に相当)として支持構造10を備えない形態を想定し、容器(定量容器9に相当)の外側(外側面9bに相当)への粉体(例えば処理済粉体7等)の付着はなしとした。
【0062】
【表1】
【0063】
次に、定量容器の外側に粉体が残存する場合の影響についてのシミュレーション結果について説明する。
上述の「定量容器内に粉体が残存する場合の影響についてのシミュレーション結果」の場合と同様に粉末(1)の測定の際に容器(定量容器9に相当)の外側(外側面9bに相当)に付着残存する粉末の量が5%、3%、1%である場合に、粉末(2)の嵩密度がどのような数値として算出されるか、すなわち「見かけの嵩密度」がどのように変化するかを、シミュレーションして下記表2に示した。
なお、このシミュレーションでは計量機構(計量機構8に相当)として支持構造10を備えない形態を想定し、容器(定量容器9に相当)の内側(内側面9aに相当)への粉体(例えば処理済粉体7等)の付着はなしとした。
【表2】
【0064】
上表1及び表2のシミュレーション結果から明らかなように、容器(定量容器9に相当)の内側(内側面9aに相当)に粉体が残存する場合は、その量が少量であれば見かけの嵩密度は、真の値から大きくずれない。
その一方で、容器(定量容器9に相当)の外側(外側面9bに相当)に粉体が付着するなどして残存する場合は、その量が少量であっても見かけの嵩密度は、真の値よりも高い方に大きくずれてしまう。
したがって、本実施形態に係る嵩密度測定装置4やその変形例に係る嵩密度測定装置4’がパージ構造17(第1のパージガス噴射口18a~第3のパージガス噴射口18c)を備えていることで、嵩密度の測定値を真の値に近付けることができるという独自の効果を発揮させることができる。
【0065】
最後に、本発明の構成要素及び概念について説明を加える。
本実施形態に係る嵩密度調整済粉体の製造ライン1における粉体処理設備3としては、例えば粉体6の嵩密度を高い方向にシフトさせるための圧密処理設備や、粉体6の嵩密度を低い方向にシフトさせる解砕処理設備等などを採用できる。
【0066】
また、本実施形態では、嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’による嵩密度の測定結果を粉体処理設備3の制御に利用する場合を例に挙げて説明しているが、嵩密度測定装置4又は嵩密度測定装置4’による嵩密度の測定結果を粉体6自体の製造条件の制御に用いることもできる。
つまり、粉体6の嵩密度は、粉体6を構成する個々の粒子同士の物理的な距離を縮めたり離間させたりすることによっても変化するが、粉体6を構成する個々の粒子径が変わることによっても変化する。
このため、本発明はその概念に、嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’による嵩密度の測定結果を、粉体6自体の製造条件の制御に利用する場合も含む。
この場合、本実施形態に係る嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’における嵩密度の測定対象は、処理済粉体7でなく粉体6(図1を参照)になる。
また、本発明では、嵩密度測定装置4又はその変形例に係る嵩密度測定装置4’による嵩密度の測定結果を、粉体6自体の製造条件の制御と、この粉体6に対する物理的な処理(粉体処理設備3による処理等)の制御の両方に利用してもよい。
この場合も、最終製品である粉体の嵩密度を高い精度で制御することができるので、高い品質を有する嵩密度調整済粉体を効率良く製造することができる。
【0067】
本実施形態に係る嵩密度測定装置4又はその変形例である嵩密度測定装置4’、並びにそれを用いてなる嵩密度調整済粉体の製造ライン1において取り扱う粉体6の平均粒径については特に限定されないが、粉体6を構成する粒子が特にナノレベルの微粉体である場合に、より具体的には粉体6が煙霧状の微粉体である場合に、さらに具体的には、四塩化ケイ素などの揮発性ケイ素化合物を火炎加水分解により二酸化ケイ素へと変換して製造される煙霧シリカ(フュームドシリカ)等のような平均粒径が3~50nm程度、さらには5~35nm程度の範囲内にある粉体である場合に特に適している。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように本発明は、粉体が通過する配管内に裸出状態で常設することができ、かつ嵩密度の測定値に含まれる誤差を小さくすることができる嵩密度測定装置及びそれを用いてなる嵩密度調整済粉体の製造方法であり、粉体や微粉体の製造設備に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…嵩密度調整済粉体の製造ライン 2…配管 3…粉体処理設備 4,4’…嵩密度測定装置 5…制御手段 6…粉体 7…処理済粉体 8…計量機構 9…定量容器 9a…内側面 9b…外側面 9c…開口 10…支持構造 11…計量手段(例えばロードセル等) 12…反転機構 13…すり切り機構 14…すり切り 15…カバー 16…スライド機構 17…パージ構造 18a…第1のパージガス噴射口 18b…第2のパージガス噴射口 18c…第3のパージガス噴射口 19…パージガス供給管 20…枠構造


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7