(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072522
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】システムトイレ用トイレ砂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185137
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】秋野 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰生
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101GB05
(57)【要約】
【課題】猫にシステムトイレで容易に排泄させることができると共に、システムトイレのスノコ部分の複数の孔部にトイレ砂が目詰まりを起こすことを抑制可能なトイレ砂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂において、複数の粒状物の各々は、粒径が6.0mm以下であり、複数の粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合は、6%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂であって、
前記複数の粒状物の各々は、粒径が6.0mm以下であり、
前記複数の粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合は、6%以下である、
システムトイレ用トイレ砂。
【請求項2】
前記複数の粒状物のうち、粒長が3.5~10mmの粒状物の割合は、85%以上である、
請求項1に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項3】
前記複数の粒状物の見かけ比重は、1.00~1.50g/cm3である、
請求項1又は2に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項4】
前記複数の粒状物のうち、一粒当たりの質量が0.065g以上である粒状物の割合は55%以上である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項5】
前記複数の粒状物における粒状物間の隙間率は、45体積%以下である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項6】
前記複数の粒状物における安息角は、50度以下である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項7】
前記複数の粒状物は、臭気吸着材料を含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項8】
前記臭気吸着材料は、無機多孔質材料を含む、
請求項7に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項9】
前記複数の粒状物における吸水倍率は、160%未満である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項10】
前記複数の粒状物の各々における崩壊性が0.5mL未満である、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
【請求項11】
システムトイレと、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂と、排泄物処理シートと、を備えるシステムトイレキット。
【請求項12】
複数の第1粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂の製造方法であって、
複数の第2粒状物を形成する形成工程と、
前記複数の第2粒状物から所定の大きさの第2粒状物を除去して、前記複数の第1粒状物を取得する取得工程と、
を備え、
前記複数の第1粒状物の各々の粒径は6.0mm以下であり、前記複数の第1粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満の粒状物である割合が6%以下である、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムトイレ用トイレ砂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
猫や犬などの動物用のトイレとして、システムトイレが知られている。そのシステムトイレでは、システムトイレ用トイレ砂(以下、単に「トイレ砂」ともいう。)が使用されている。例えば、特許文献1には、動物用システムトイレと、動物用トイレ砂が開示されている。その動物用トイレ砂は、複数の粒状物を含んでいる。複数の粒状物の各々は、無機多孔質材料と、その無機多孔質材料を一体的に固定するバインダーと、を含んで構成される核部と、その核部の表面に形成され、吸水性を有しかつ吸水した状態で粘性を有する止水材により構成される止水コーティング層と、を備える。その動物用システムトイレは、底面部に複数の孔部を有し、動物用トイレ砂が敷設された上側容器と、吸液部材が敷設された下側容器と、を備える。このうち、複数の孔部(貫通孔)を有する上側容器の底面部は、スノコ(簀の子)状に形成された部分を有するので、以下では、そのスノコ状に形成された部分を、スノコ部分ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
猫は、元来、砂漠で生活をする生き物であることが知られている。発明者の検討により、猫は、砂の上で生活していた名残から、砂の上や、粒の大きさが小さい砂状のものの上では、自然に排泄をすることができるが、砂状のものの上であっても、粒の大きさが大きければ、砂ではなく石や岩と認識して違和感を覚えるためか、排泄をしたがらない、ということが今回初めて判明した。
【0005】
そのため、システムトイレのトイレ砂の粒の大きさが大きい場合、猫は、そのシステムトイレに入らないか、又は、入っても排泄しないおそれがある。そうなると、猫の健康に障害が生じたり、猫が思わぬところで排泄してしまい、飼い主に清掃の負担が追加で生じたりする、などの問題が生じ得る。
【0006】
一方、世の中に広く出回っているシステムトイレのうちの95%以上では、スノコ部分の複数の孔部の各々における開口幅が2.3~2.7mmである。そのため、トイレ砂の粒の大きさが小さい場合、トイレ砂は、孔部に嵌まって目詰まりを生じさせたり、孔部から下方へ落下したりするおそれがある。トイレ砂の目詰まりが生じると、尿がスノコ部分に蓄積する、あるいは、システムトイレの掃除のときにスノコ部分に嵌まった古いトイレ砂が除去し難くなる、などの問題が生じ得る。また、トイレ砂が孔部から下方へ落下すると、トイレ砂の本来の機能を果たせなくなる問題が生じ得る。
【0007】
このように、トイレ砂の粒の大きさが大きいと、猫がシステムトイレで排泄しないおそれがあり、トイレ砂の粒の大きさが小さいと、システムトイレのスノコ部分の複数の孔部にトイレ砂が目詰まりを起こすおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、猫にシステムトイレで容易に排泄させることができると共に、システムトイレのスノコ部分の複数の孔部にトイレ砂が目詰まりを起こすことを抑制可能なトイレ砂及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、複数の粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂であって、前記複数の粒状物の各々は、粒径が6.0mm以下であり、前記複数の粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合は、6%以下である、システムトイレ用トイレ砂、である。
【0010】
本発明の他の態様は、システムトイレと、上記のシステムトイレ用トイレ砂と、排泄物処理シートと、を備えるシステムトイレキット、である。
【0011】
本発明の更に他の態様は、複数の第1粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂の製造方法であって、複数の第2粒状物を形成する形成工程と、前記複数の第2粒状物から所定の大きさの第2粒状物を除去して、前記複数の第1粒状物を取得する取得工程と、を備え、前記複数の第1粒状物の各々の粒径は6.0mm以下であり、前記複数の第1粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合が6%以下である、製造方法、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、猫にシステムトイレで容易に排泄させることができると共に、システムトイレのスノコ部分の複数の孔部にトイレ砂が目詰まりを起こすことを抑制可能なトイレ砂及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレ砂を用いたシステムトイレの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のシステムトイレの上側容器の構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の上側容器の底面部の構成を示す部分平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るトイレ砂の粒状物の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
複数の粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂であって、前記複数の粒状物の各々は、粒径が6.0mm以下であり、前記複数の粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合は、6%以下である、システムトイレ用トイレ砂。
【0015】
発明者の検討によれば、猫は、砂の上や粒の大きさが小さい砂状のものの上では自然に排泄をすることができるので、砂の上や粒の大きさが小さい砂状のものの上で排泄を行うことに慣れているということができる(以下、「慣れ性が高い」ともいう)。しかし、猫は、粒の大きさが大きい砂状のものの上では排泄をしたがらないので、粒の大きさが大きい砂状のものの上で排泄を行うことに慣れていないということができる(以下、「慣れ性が低い」ともいう)。
そこで、本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物の各々の粒径を6.0mm以下と小さくすることで、猫にとって慣れ性が高い大きさに調整している。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に排泄をさせ易くすることができる。それと共に、本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満である小さな粒状物の割合を6%以下(ただし、個数%)と少なくしている。したがって、複数の粒状物の各々の大きさを、概ね、システムトイレ用トイレのスノコ部分における複数の孔部(貫通孔)の各々の大きさ(例示:開口幅:2.3~2.7mm)よりも大きくしている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、本システムトイレ用トイレ砂をスノコ部分の複数の孔部に嵌まり難くすることができる。したがって、猫にシステムトイレで適切に排泄させることができると共に、システムトイレのスノコ部分の複数の孔部でのシステムトイレ用トイレ砂の目詰まりを抑制できる。
【0016】
[態様2]
前記複数の粒状物のうち、粒長が3.5~10mmの粒状物の割合は、85%以上である、態様1に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物の大きさを、概ね(85個数%以上)、10mm以下の大きさにしている。すなわち、複数の粒状物は大きな粒状物をほとんど含まず、猫にとって慣れ性が高い大きさになっている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。それと共に、複数の粒状物の大きさを、概ね(85%以上)、3.5mm以上の大きさにしている。すなわち、複数の粒状物は小さな粒状物をほとんど含まず、システムトイレのスノコ部分の複数の孔部よりも大きくなっている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレでは、本システムトイレ用トイレ砂をスノコ部分の複数の孔部に、より嵌まり難くできる。
【0017】
[態様3]
前記複数の粒状物の見かけ比重は、1.00~1.50g/cm3である、態様1又は2に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物の見かけ比重が1.00~1.50g/cm3であり、砂の見かけ比重に近く、猫にとって慣れ性が高い値になっている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、見かけ比重が高いため、本システムトイレ用トイレ砂を、システムトイレの外へ飛び散り難くすることができる。したがって、猫にシステムトイレで適切に排泄させることができると共に、システムトイレの周囲を衛生的な状態に保つことができる。
【0018】
[態様4]
前記複数の粒状物のうち、一粒当たりの質量が0.065g以上である粒状物の割合は55%以上である、態様1乃至3のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物のうち、一粒当たりの質量が0.065g以上である粒状物の割合を55%以上(ただし、個数%)と多くすることで、粒状物の質量を砂の質量に近づけて、猫にとって慣れ性が高い値にしている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、一粒当たりの質量が大きいため、本システムトイレ用トイレ砂を、システムトイレの外へ飛び散り難くすることができる。したがって、猫にシステムトイレで適切に排泄させることができると共に、システムトイレの周囲を衛生的な状態に保つことができる。
【0019】
[態様5]
前記複数の粒状物における粒状物間の隙間率は、45体積%以下である、態様1乃至4のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物における粒状物間の隙間率を体積45%以下と小さくし、隙間を小さくすることで、猫が本システムトイレ用トイレ砂を踏んだときの沈み込みを小さくして、砂の感触に近づけて、猫にとって慣れ性が高い状態にしている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、隙間を小さくすることで、複数の粒状物が互いに移動し難くできるので、粒状物が互いに移動して隙間を埋めてしまい、尿が隙間を通過して下方へ移動することを阻害する、という事態を抑制できる。それにより、排泄物が粒状物間に蓄積してしまい、尿臭・便臭が強くなる、という事態を抑制できる。
【0020】
[態様6]
前記複数の粒状物における安息角は、50度以下である、態様1乃至5のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物における安息角は、50度以下と小さくすることで、猫が本システムトイレ用トイレ砂を踏んだときの沈み込みを小さくして、砂の感触に近づけて、猫にとって慣れ性が高い状態にしている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、安息角を小さくすることで、粒状物で便全体を被覆し易くすることができ、便臭が分散することを抑制できる。
【0021】
[態様7]
前記複数の粒状物は、臭気吸着材料を含む、態様1乃至6のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物が臭気吸着材料を含むことで、尿臭・便臭の拡散を抑制して、長期間使用した際にも、排泄物やその臭気のない元の砂の状態に近づけて、猫にとって慣れ性が高い状態を維持している。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。
【0022】
[態様8]
前記臭気吸着材料は、無機多孔質材料を含む、態様7に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、臭気吸着材料が無機多孔質材料を含むことで、粒状物の組成を砂の組成に近づけて、猫にとって慣れ性が高い状態にしている。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。
【0023】
[態様9]
前記複数の粒状物における吸水倍率は、160%未満である、態様1乃至8のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物の吸水倍率を160%未満と低くすることで、粒状物が尿を吸収して膨潤することを抑制し、砂の状態から乖離することを抑制して、猫にとって慣れ性が高い状態を維持できる。それにより、本システムトイレ用トイレ砂を用いたシステムトイレにおいて、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、吸水倍率を低くすることで、本システムトイレ用トイレ砂を長期間使用した場合でも、粒状物が尿を保持してしまい、当該尿が微生物等の影響で悪臭や有害物質を生じる事態を抑制できる。
【0024】
[態様10]
前記複数の粒状物の各々における崩壊性が0.5mL未満である、態様1乃至9のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂。
本システムトイレ用トイレ砂では、複数の粒状物の各々における崩壊性が0.5mL未満とすることで、尿を吸った後に粒状物が崩壊し難くして、粒状物が崩壊してシステムトイレ用トイレのスノコ部分の複数の孔部に嵌まることを抑制できる。
【0025】
[態様11]
システムトイレと、態様1乃至10のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂と、排泄物処理シートと、を備えるシステムトイレキット。
本システムトイレキットを組み立てて得られるシステムトイレでは、上記の態様1乃至10のいずれか一項に記載のシステムトイレ用トイレ砂が敷設されているので、当該システムトイレ用トイレ砂が発揮し得る上述の作用効果を奏することができる。
【0026】
[態様12]
複数の第1粒状物を含む、システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂の製造方法であって、複数の第2粒状物を形成する形成工程と、前記複数の第2粒状物から所定の大きさの第2粒状物を除去して、前記複数の第1粒状物を取得する取得工程と、を備え、前記複数の第1粒状物の各々の粒径は6.0mm以下であり、前記複数の第1粒状物のうち、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm未満の粒状物である割合が6%以下である、製造方法。
本システムトイレに用いられるシステムトイレ用トイレ砂を製造する方法によって製造されたシステムトイレ用トイレ砂は、上記の態様1に記載のシステムトイレ用トイレ砂と同様の作用効果を奏することができる。
【0027】
以下、本発明の実施形態に係るシステムトイレ用トイレ砂(以下、単に「トイレ砂」ともいう。)及びその製造方法について、説明する。
【0028】
図1は、実施形態に係るトイレ砂を用いたシステムトイレ1の構成を示す斜視図である。システムトイレ1は、底面部に複数の孔部を有し、その底面部にトイレ砂10が敷設される上側容器4と、上側容器4の下方に配置され、排泄物処理シート20が配置される下側容器6と、を備えている。上側容器4の底面部は、複数の孔部(貫通孔)を有する多孔構造又は網目状構造を有している。その構造は、液状の排泄物(例示:尿)を透過させる(水分を切る)機能、すなわち、スノコ(簀の子)の機能を有しているので、以下では、底面部をスノコ部分ともいう。底面部、すなわちスノコ部分の構成については後述される。なお、本実施形態では、システムトイレ1は、上側容器4の上方に配置され、動物の出入口を限定し、排泄物やトイレ砂10の飛散を抑制するカバー2を更に備えている。
【0029】
システムトイレ1は、動物(例示:猫)から排泄された液状の排泄物(例示:尿)が、トイレ砂10で殆ど吸収されずにトイレ砂10を通過し、トイレ砂10の下方に位置する排泄物処理シート20において吸収、保持されるように構成されている。そのため、動物の排泄直後に、排泄物処理シート20により排泄物及びその臭気を吸収し、悪臭を抑制できると共に、トイレ砂10により、その悪臭が拡散するのを抑制することができる。また、システムトイレ1は、トイレ砂10が、排泄物を吸収して固まりを形成するものではないため、従来の吸収粒体によって構成されたトイレ砂に比べて、トイレ砂10の交換頻度を減らすことができる。更に、動物が排泄後に砂掻き行動を行っても、動物の足に排泄物が付着し難い。さらに、システムトイレ1は、トイレ砂10が敷設される上側容器4の底面部と、排泄物処理シート20とが離間した状態で配置されているため、動物が排泄後にトイレ砂10の上に乗っていても、排泄物処理シート20には動物の体重による荷重が掛からず、排泄物処理シート20に吸収された排泄物が逆戻りし難いという利点もある。
【0030】
システムトイレ1とトイレ砂10と排泄物処理シート20とを一まとめにして、それらを備えるシステムトイレキットとすることもできる。本システムトイレキットを組み立てて得られるシステムトイレ1では、トイレ砂10が敷設されるので、後述されるトイレ砂10が発揮し得る作用効果を奏することができる。
【0031】
図2は
図1のシステムトイレ1の上側容器4の構成を示す平面図であり、
図3は
図2の上側容器4の底面部40(スノコ部分)の構成を示す部分平面図である。底面部40は、基部42と、基部42に設けられた複数の孔部41と、を備える。本実施形態では、基部42は、平面視で、略矩形の薄板の形状を有する。孔部41は、平面視で、縦方向に長い矩形(長辺(長さ)b×短辺(幅)a;短辺が半円弧)の形状を有する。本実施形態では、長さbは10~30mmであり、幅aは2.3~2.7mmであり、間隔c1、c2は1~3mmである。複数の孔部41は、平面視で、横方向に間隔c1、縦方向に間隔c2で、格子状に基部42に配置されている。本実施形態では、底面部40は、複数の孔部41を有するスノコ(簀の子)状に形成されたスノコ部分である。ただし、基部42の平面視の形状はこの例に限定されるものではなく、他の形状(例示:円形、楕円形、多角形)であってもよい。また、孔部41の平面視の形状はこの例に限定されるものではなく、他の形状(例示:円形、楕円形、菱形)であってもよい。また、複数の孔部41の平面視の配置はこの例に限定されるものではなく、他の配置(例示:千鳥配置)であってもよい。
【0032】
図4は、実施形態に係るトイレ砂10の粒状物10aの構成を模式的に示す斜視図である。トイレ砂10は、複数の粒状物10aを含んでいる。本実施形態では、粒状物10aは、円柱(底面の粒径D×粒長L)の形状を有している。ただし、粒状物10aには、製造時又は輸送時の衝撃等により、例えば、破線に示す破断線10xでの破断など、側面や底面に変形があり得るので、厳密には円柱の形状とは言えない場合がある。そのような場合には、粒状物10aの形状を、その粒状物10aを最小体積で内包し得る円柱状、とみなす。ただし、粒状物10aの形状はこの例に限定されるものではなく、他の形状(例示:球体、楕円体、多面体)であってもよい。その場合でも、粒状物10aに関する以下の記述は、粒状物10aの形状を、その粒状物10aを最小体積で内包し得る円柱状、とみなして適用し得る。
【0033】
複数の粒状物10aの各々は、粒径Dが6.0mm以下である。そして、複数の粒状物10aのうち、粒径D又は粒長Lのいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合(個数)が6%以下である。
【0034】
発明者の検討によれば、猫は、砂の上や粒の大きさが小さい砂状のものの上では自然に排泄をすることができるので、砂の上や粒径が小さい砂状のものの上で排泄を行うことに慣れているといえる(以下、「慣れ性が高い」ともいう)。しかし、猫は、粒の大きさが大きい砂状のものの上では排泄をしたがらないので、粒径が大きい砂状のものの上で排泄を行うことに慣れていないといえる(以下、「慣れ性が低い」ともいう)。そこで、システムトイレ用トイレ砂10では、複数の粒状物10aの各々の粒径を6.0mm以下と小さくすることで、猫にとって慣れ性が高い大きさにしている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に排泄をさせ易くすることができる。なお、慣れ性に関し、猫は、足などによる触感やにおいなどで判断すると考えられる。
【0035】
一方、発明者の検討によれば、スノコ部分の孔部の幅が2.3~2.7mmの場合、粒径又は粒長のいずれか小さい方が3.2mm以上(孔部の幅に対して少なくとも約115%以上)とすることで、粒状物が孔部に嵌まったり、孔部から抜け落ちたりすることを抑えられることが判明した。そこで、トイレ砂10では、複数の粒状物10aのうち、粒径D又は粒長Lのいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物の割合を6(個数)%以下と少なくしている。すなわち、大部分の複数の粒状物10aの大きさを、システムトイレ1の底面部40(スノコ部分)の複数の孔部41の各々の大きさよりも大きくしている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、トイレ砂10の粒状物10aをスノコ部分(底面部40)の複数の孔部41に嵌まり難くすることができる。このようにトイレ砂10は、猫にシステムトイレ1で適切に排泄させることができると共に、システムトイレ1のスノコ部分(底面部40)における複数の孔部41でのトイレ砂10の目詰まりを抑制できる。
【0036】
上記の効果を得る観点から、複数の粒状物10aのうち、粒径D又は粒長Lのいずれか小さい方が3.2mm未満である粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下である。
【0037】
なお、粒径D又は粒長Lのいずれか大きい方が3.5mm未満である粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは6%以下であってもよく、好ましくは3%以下であってもよい。このように、粒径D又は粒長Lのいずれか大きい方が3.5mm未満である粒状物の個数の割合が小さい程、大部分の複数の粒状物10aの各々の大きさを、底面部40の複数の孔部41の大きさ(幅a:2.3~2.7mm)よりも大きくできる。したがって、複数の孔部41にトイレ砂10が目詰まりを起こすことを抑制できる。
【0038】
また、粒径D又は粒長Lのいずれか大きい方が3.2mm未満である粒状物10aの割合(個数)が6%以下(好ましくは3%以下)であってもよい。このように、粒径D又は粒長Lのいずれか大きい方が3.2mm未満である粒状物の個数の割合が小さい程、大部分の複数の粒状物10aの各々の大きさを、底面部40の複数の孔部41の大きさよりも大きくでき、複数の孔部41にトイレ砂10が目詰まりを起こすことを抑制できる。
【0039】
ただし、トイレ砂の粒状物における粒長の個数分布の測定(算出)方法は以下のとおりである。なお、本実施形態では、粒状物は直径が概ね等しい円柱状であるため、粒径の個数分布は測定していない。
<粒長の個数分布>
(1)評価対象の複数の粒状物の粒径(直径)を、一個ずつノギスを用いて測定し、粒状物100個当たりの平均値を、粒状物の平均粒径とする。
(2)評価対象の複数の粒状物を、スキャナーの上に、粒状物同士が互いに接触しないように載置する。粒状物が円柱状なので、粒状物を横倒しの状態で載置する。
(3)複数の粒状物のスキャン画像を取り込む。
(4)ソフトウェアで、スキャン画像を二値化して、連続した領域を一個の粒状物として、粒状物が横倒しの状態での面積を一個ずつ算出する。
(5)ソフトウェアで、上記(1)で求めた平均粒径を粒径として、粒長を一個ずつ算出する。ただし、粒長は、粒径の中心の位置での長さとする。
(6)得られた複数の粒状物の各々の粒長に基づいて、粒長について、階級分けを行う。例えば、0.5mmごとに階級を設定する階級分け(例示:0~0.5mm、0.5~1.0mm、…)を行う。
ただし、スキャナーは特に制限はなく、例えば、一般的なプリンターが挙げられる。ソフトウェアは、特に制限はなく、例えば、フリーソフトウェアの「ImageJ」が挙げられる。
【0040】
トイレ砂の粒状物に関するスノコ部分の孔部への目詰まりの測定方法は以下のとおりである。
<目詰まり>
(1)2.7mm×8mmの矩形状の孔部(貫通孔)が2mm間隔で格子状に配置されたスノコ部分を有する薄板部材の上に、内径100mm×高さ30mmの円筒容器を、平面視で薄板部材のスノコ部分からはみ出さないように配置する。
(2)評価対象の複数の粒状物(粒長6mm以下)を、円筒容器内の薄板部材上に、厚さが2cmとなるように敷設する。
(3)粒状物及び円筒容器が載置された薄板部材を、ふるい振とう機に設置して、振とう幅1.8mm、振とう速度60Hz、振とう時間1分、の条件で振とうする。ふるい振とう機はRetsch社製AS-200を用いる。
(4)振とう終了後、ふるい振とう機から薄板部材を取り出し、パッド上で約90度傾けて、薄板部材の孔部に嵌まったままの粒状物の数、粒径及び粒長を確認する。孔部に嵌まったままの粒状物の数が、5個以上の場合、評価対象の粒状物は孔部に嵌まり易い(詰まり易い)と判定し、5個未満の場合、評価対象の粒状物は孔部に嵌まり難い(詰まり難い)と判定する。
【0041】
トイレ砂の粒状物に対する猫の慣れ性の測定方法は以下のとおりである。
<猫の慣れ性>
(1)同一の二つシステムトイレA、Bを準備する。システムトイレAには本発明のトイレ砂Aを敷設し、システムトイレBには比較対象のトイレ砂Bを敷設する。
(2)四日間の測定日のうち、初日及び二日目には、排泄部屋内の相対的に手前の位置にシステムトイレAを配置し、奥の位置にシステムトイレBを配置する。三日目及び四日目には、逆の位置、すなわち、排泄部屋内の相対的に手前の位置にシステムトイレBを配置し、奥の位置にシステムトイレAを配置する。
(3)測定では、二匹の猫での排泄の様子を撮影して、撮影された映像により、二匹の猫がどのシステムトイレで排泄したかを確認する。複数回の排泄のうちの6割以上において特定のトイレ砂で排泄を行った場合、慣れ性の高いトイレ砂であると判定する。
【0042】
複数の粒状物10aのうち、粒長Lが3.5~10mmである粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。
【0043】
このように、多く(85%以上)の粒状物10aの粒長Lが10mm以下の大きさである。すなわち、複数の粒状物10aは、大き過ぎる粒状物をほとんど含んでいないため、猫にとって慣れ性が高い大きさになっている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。それと共に、多く(85%以上)の粒状物10aの粒長Lが3.5mm以上の大きさである。すなわち、複数の粒状物10aは、小さ過ぎる粒状物をほとんど含んでいないため、システムトイレ1のスノコ部分の複数の孔部41よりも大きくなっている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1では、トイレ砂1をスノコ部分の複数の孔部41に、より嵌まり難くでき、目詰まりを抑制できる。
【0044】
同様の観点から、粒長Lが3.5~7.5mmである粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは75%以上であり、粒長Lが3.5~6.5mmである粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは50%以上であり、粒長Lが6.5mm以下である粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは50%以上である。
【0045】
複数の粒状物10aのうち、粒径Dが3.2~5.0mmである粒状物10aの割合(個数)は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。
【0046】
このように、多く(85%以上)の粒状物10aの粒径Dが5.0mm以下の大きさである。すなわち、複数の粒状物10aは、大き過ぎる粒状物をほとんど含んでいないため、猫にとって慣れ性が高い大きさになっている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。それと共に、多く(85%以上)の粒状物10aの粒径Dが3.2mm以上の大きさである。すなわち、複数の粒状物10aは、小さ過ぎる粒状物をほとんど含んでいないため、システムトイレ1のスノコ部分の複数の孔部41よりも大きくなっている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1では、トイレ砂1をスノコ部分の複数の孔部41に、より嵌まり難くでき、目詰まりを抑制できる。
【0047】
複数の粒状物10aの見かけ比重は、好ましくは1.00~1.50g/cm3であり、より好ましくは、1.00~1.30g/cm3、更好ましくは1.10~1.30g/cm3である。
【0048】
このように複数の粒状物10a(トイレ砂10)の見かけ比重が、1.00~1.50g/cm3であり、猫にとって慣れ性が高い砂の見かけ比重に近くなっている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。そのとき、見かけ比重が高いため、トイレ砂10をシステムトイレ1の外へ飛び散り難くすることができる。したがって、猫にシステムトイレ1で適切に排泄させることができると共に、システムトイレ1の周囲を衛生的な状態に保つことができる。
【0049】
トイレ砂の粒状物における見かけ比重の算出方法は以下のとおりである。
<見かけ比重>
(1)ノギスを用い、100個の粒状物の粒径(直径)を一個ずつ測定し、粒状物100個当たりの平均値を粒径とする。
(2)ノギスを用い、100個の粒状物における粒径(直径)と垂直な方向の長さのうち最も長い長さを一個ずつ測定する。
(3)質量測定器を用い、100個の粒状物の質量を一個ずつ測定する。
(4)測定された粒状物の粒径、粒長及び質量に基づいて、以下の式で見かけ比重を算出する。
見かけ比重
=(粒状物の質量)/[π・{(粒状物の粒径)/2)}2・(粒状物の粒長)]
算出された100個の粒状物分の見かけ比重の平均値を最終的な見かけ比重とする。
【0050】
複数の粒状物10aのうち、一粒当たりの質量が0.065g以上である粒状物の割合(個数)は、好ましくは55%以上であり、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。
【0051】
このように、多く(55%以上)の粒状物10aの一粒当たりの質量が、0.065g以上であり、猫にとって慣れ性が高い砂の質量に近くなっている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、一粒当たりの質量が比較的大きいため、トイレ砂10を、システムトイレ1の外へ飛び散り難くすることができる。したがって、猫にシステムトイレ1で適切に排泄させることができると共に、システムトイレ1の周囲を衛生的な状態に保つことができる。
【0052】
同様の観点から、複数の粒状物10aのうち、一粒当たりの質量が0.060~0.10gである粒状物の割合(個数)が、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上、更に好ましくは70%以上である。特に、多くの粒状物10aの一粒当たりの質量が0.10g以下であるので、大き過ぎず、猫にとって慣れ性が高い砂の質量に近く、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。
【0053】
同様の観点から、複数の粒状物10aの一粒当たりの平均質量が、好ましくは0.08~0.095gであり、より好ましくは0.085~0.095gである。それにより、猫にとって慣れ性が高い砂の質量に近く、かつ、システムトイレ1の外へ飛び散り難い重い質量とすることができる。
【0054】
粒状物の質量の個数分布の測定方法は以下のとおりである。
<質量の個数分布>
(1)ノギスを用い、100個の粒状物の粒径(直径)を一個ずつ測定し、粒状物100個当たりの平均値を粒径とする。
(2)ノギスを用い、複数の粒状物における粒径(直径)と垂直な方向の長さのうち最も長い長さを一個ずつ測定する。
(3)測定された粒径及び粒長から、複数の粒状物の各々の体積を算出し、上記の<見かけ比重>で算出された見かけ比重を掛け合わせることで、複数の粒状物の各々の質量を算出する。
(4)算出された複数の粒状物の質量に基づいて、粒状物の質量の階級分けを行う。例えば、0.005gごとに階級を設定する階級分け(例示:0~0.005g、0.005~0.010g、…)を行う。
【0055】
複数の粒状物10aにおける粒状物10a間の隙間率は、好ましくは45体積%以下である。このように、トイレ砂10では、粒状物10a間の隙間率を体積45%以下と小さくすることで、猫がトイレ砂10を踏んだときの沈み込みを小さくして、砂の感触に近づけて、猫にとって慣れ性が高い状態にしている。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、隙間を小さくすることで、複数の粒状物10aが互いに移動し難くできるので、粒状物が互いに移動して隙間を埋めてしまって尿が隙間を通過して下方へ移動することを阻害する、という事態を抑制できる。それにより、排泄物が粒状物間に蓄積してしまい、尿臭・便臭が強くなる、という事態を抑制できる。
【0056】
隙間率の測定方法は以下のとおりである。
<隙間率>
(1)湿潤状態にある粒状物を、メスシリンダー(Arrow社製メスシリンダー200ml(品番6-231-07))の110ccの目盛線まで入れる。
(2)メスシリンダーの100ccの目盛線まで水を入れる。
(3)メスシリンダー内の粒状物及び水をザルにあけて、ザルから下に落ちた水の量を測定する。その体積を、隙間率(体積%)とする。
【0057】
複数の粒状物10aにおける安息角は、好ましくは50度以下である。このように、トイレ砂10では、複数の粒状物10aにおける安息角が50度以下と小さいため、猫がイレ砂10を踏んだときの沈み込みが小さく、砂の感触に近づけることができるので、猫にとって慣れ性が高い状態にできる。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、安息角を小さくすることで、粒状物10aで便全体を被覆し易くすることができ、便臭が分散することを抑制できる。同様の観点から、複数の粒状物10aにおける安息角は、より好ましくは40~48度であり、更に好ましくは42~47度である。下限を40度以上とすることで、猫がイレ砂10を踏んだときの沈み込みが小さくなり過ぎることを抑制できる。
【0058】
安息角の測定方法は以下のとおりである。
<安息角>
(1)100gの粒状物を準備する。
(2)ステンレス製のパッドの底面(平面)に4cmの高さから粒状物を落下させて、粒状物の山を形成する。
(3)粒状物の山の斜面と底面との角度を測定し、安息角とする。
【0059】
複数の粒状物10aにおける吸水倍率は、好ましくは160%未満であり、より好ましくは130%未満であり、更に好ましくは125%未満である。このように、トイレ砂10では、粒状物10aの吸水倍率を160%未満と低くすることで、粒状物10aが尿を吸収して膨潤することを抑制し、砂の状態から乖離することを抑制して、猫にとって慣れ性が高い状態を維持できる。それによりトイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。また、吸水倍率を低くすることで、トイレ砂10を長期間使用した場合でも、粒状物10aが尿を保持してしまい、尿が微生物等の影響で悪臭や有害物質を生じる事態を抑制できる。
【0060】
吸水倍率の測定方法は以下のとおりである。
<吸水倍率>
(1)複数の粒状物を、100g(吸水前重量)を容器に入れる。
(2)複数の粒状物が十分浸るように容器に水を注ぎ、10分間静置する。
(3)複数の粒状物をザルに移して水を切った後、ペットシートの上に均一にばらまき、表面を拭いた後、5分間静置する。
(4)静置後、重量を測定する(吸水後重量)。
(5)吸水倍率(%)を、次の式により算出する。
吸水倍率(%)=(吸水後重量)/(吸水前重量)×100
【0061】
複数の粒状物10aの各々における崩壊性は、好ましくは0.5mL未満であり、より好ましくは0.3mL未満であり、更に好ましくは0.1mL未満である。このように、トイレ砂10では、複数の粒状物10aの各々における崩壊性を0.5mL未満と低くすることで、粒状物10aが尿を吸った後に崩壊し難くすることができる。それにより、粒状物10aが崩壊して、トイレ1のスノコ部分の複数の孔部41に嵌まることを抑制できる。
【0062】
崩壊性の測定方法は以下のとおりである。
<崩壊性>
(1)初期質量100gのトイレ砂の粒状物を準備し、容器に入れる。
ただし、粒状物は、目開き2mmのふるいを通過しないものを用いる。
(2)粒状物が十分浸るように容器に水を注ぎ、5分間静置する。
(3)粒状物をペットシートの上に均一にばらまき、10分間静置する。
(4)静置後の粒状物を目開き2mmのふるいに入れ、ふるい振とう機にて振とう幅3mm、新党速度60Hz、振とう時間5分、の条件で振とうする。ふるい振とう機はRetsch社製AS-200を用いた。
(5)ふるいを通過した2mm以下の粒状物の体積をメスシリンダーにて測定する。
【0063】
複数の粒状物10aの各々における表面粗さが比較的小さく、凹凸の程度が相対的に砂を圧したときの凹凸に近い。そのため、トイレ砂10を猫にとって慣れ性が高い状態にできる。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1では、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。
【0064】
実施形態のトイレ砂10の粒状物10aは、基材と止水被覆層とを備えていることが好ましい。
【0065】
基材は、猫の排泄した尿や便の臭気を吸収し得る臭気吸着材料を含んでいることが好ましく、更に、その臭気吸着材料を一体的に固定する固化剤を含んでいることが好ましい。
【0066】
このように、トイレ砂10では、基材、したがって粒状物10aが臭気吸着材料を含むことで、猫の排泄した尿や便の臭気の拡散が抑制される。それにより、トイレ砂10を、長期間使用した際にも、排泄物やその臭気のない元の砂の状態に近づけることができ、猫にとって慣れ性が高い状態にできる。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1では、猫に、より排泄をさせ易くすることができる。
【0067】
臭気吸着材料は、多孔質材料を含んでいることが好ましく、無機多孔質材料を含んでいることがより好ましい。無機多孔質材料としては、例えば、天然鉱物(例示:ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイト、珪藻土、珪藻頁岩)、人工のゼオライト、シリカゲル、又は、それらの少なくとも二種類の組み合わせ等が挙げられる。無機多孔質材料は、アンモニア等の臭いを吸着する性質を有しているため、無機多孔質材料の粒子を主体として粒状物を構成することで、消臭性能に優れたトイレ砂を得ることができる。このように、臭気吸着材料が無機多孔質材料を含むことで、粒状物10aの組成を砂の組成に近づけることができ、猫にとって慣れ性が高い状態にできる。それにより、トイレ砂10を用いたシステムトイレ1において、猫に、より排泄をさせ易くすることができる
【0068】
無機多孔質材料の粒子は、トイレ砂10の粒状物10aの強度を強くする観点から、その平均粒子径が小さい物を用いることが好ましい。無機多孔質材料の粒子の平均粒子径は、例えば、300μm以下が挙げられる。粒状物10aの基材中の無機多孔質材料の含有量は、好ましくは50~95質量%である。基材中の無機多孔質材料の含有量が50質量%未満の場合、粒状物10aの消臭効果が低下するおそれがあり、95質量%よりも多い場合、粒状物10aが十分な強度を得られないおそれがある。
【0069】
固化剤としては、無機固化剤及び有機固化剤が挙げられ、粒状物10aが十分な強度を得る観点から、無機固化剤が好ましい。無機固化剤としては、セメント及び非セメント系固化剤が挙げられる。セメントは、ケイ酸カルシウムを主成分とし、水と反応(水和)して硬化する固化剤である。セメントとしては、ポルトランドセメントやホワイトセメント等が挙げられる。非セメント系固化剤とは、セメント以外の固化剤、すなわち、ケイ酸カルシウムを主成分としていない固化剤である。非セメント系固化剤としては、ドロマイト、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。そのうち、無機固化剤としては、非セメント系固化剤である硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤とセメントとの混合物を用いることが好ましい。これらの混合物を無機固化剤として用いることにより、粒状物の強度を高めることができるとともに、セメントの使用による粒状物のpHの上昇を抑制することができる。粒状物のpHの上昇を抑制することで、尿からのアンモニアの発生を抑制することができる。粒状物10aの基材中における固化剤の含有量は、好ましくは5~30質量%である。固化剤全体の含有量が5質量%未満の場合、粒状物が十分な強度を得られないおそれがあり、30質量%よりも多い場合、粒状物の消臭効果が低下するおそれがある。無機固化剤を用いた場合、無機固化剤中における非セメント系固化剤の含有量は、好ましくは20質量%以上である。非セメント系固化剤の含有量が20質量%未満の場合には、粒状物のpHが十分に低くならないおそれがある。
【0070】
更に、基材には、無機多孔質材料の粒子及び無機固化剤に加えて、ポゾラン物質を添加してもよい。ポゾラン物質は、シリカを主成分とした微粉末の総称であり、水酸化カルシウムと反応して不溶性の安定なカルシウムシリケート水和物を生成する物質である。このようなポゾラン物質としては、シリカゲル、珪藻土、珪藻頁岩等が挙げられる。これらのポゾラン物質を添加することにより、粒状物のpHを更に低下させることができる。
【0071】
止水被覆層は、基材の表面に形成され、吸水性を有しかつ吸水した状態で粘性を有する止水剤により構成される。粒状物10aの基材の表面に止水被覆層が形成されることで、粒状物10が液透過性に優れるようになる。すなわち、基材の表面に止水被覆層が存在することで、動物の排尿時等に排泄される液体の大部分はトイレ砂10に吸収されることなく、粒状物10a間を通過する。しかし、粒状物10aの表面に残存した液体は、止水剤に吸収され、時間の経過とともに基材に取り込まれる。更に、基材の表面に形成される止水被覆層の止水剤によって、無機多孔質材料の粒子同士が結着するので、トイレ砂からの粉塵の発生を防止することができる。止水剤としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、カキタンニン、マツヤニ、ゼラチン、それらの少なくとも二種類の組み合わせ等を挙げることができる。止水剤は、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含んで構成されることがより好ましい。止水被覆層は、基材表面の70%以上を覆うことが好ましく、基材表面の90%以上を覆うことがより好ましい。止水被覆層が、基材表面の90%以上を覆うことにより、トイレ砂が良好な液透過性を発揮する。止水被覆層の厚さは、0.1~300μmであることが好ましく、1~100μmであることがより好ましい。止水被覆層の厚さが、0.1μm未満であると、トイレ砂の使用中に、止水被覆層が剥がれ落ちたり、溶けて無くなってしまったりしやすくなり、300μmよりも厚いと、粒状物の表面に付着した液体の基材への取り込みがし難くなる。
【0072】
次に、実施形態に係るトイレ砂10の製造方法について説明する。
(1)混合工程
本実施形態では、粒状物10aを構成する基材が、無機多孔質材料及び固化剤を含む混合物から造粒される。そのために、まず、無機多孔質材料及び固化剤を所定の割合で混合し、更に水を加えた後、ミキサー等にてダマを発生させないように均一に撹拌混合する。
(2)造粒工程
次いで、得られた混合物を用いて基材を造粒する。例えば、ディスクペレッター、ブリケットマシーン、打錠機等の各種粉体の造粒装置を用いて、得られた混合物を、所定の形状・大きさを有する基材に造粒する。
(3)養生工程
次いで、得られた基材を、固化剤の固化のため所定時間だけ放置する。所定時間(養生時間)は気温によって異なるが、セメントを十分に固化させる観点から72時間以上行うことが好ましい。
(4)乾燥工程
次いで、十分に固化した基材を乾燥機で乾燥させる。この乾燥は、例えばロータリーキルン乾燥機を用いて行われる。乾燥は、基材の水分率が10%以下になるように行うことが好ましい。水分率の測定は、乾燥後の基材を更に110℃にて24時間再乾燥させ、再乾燥前後の基材の質量の差を基材の水分量とし、該水分量を再乾燥前の粒状物の質量で除して求める。
(5)被覆工程
次いで、乾燥後の基材に止水剤を被覆して止水被覆層を形成する。止水剤は、あらかじめ水に溶解又は分散させておき、その止水剤の溶解液又は分散液を基材にスプレーで噴霧する。乾燥後の基材が80~100℃の状態で、止水材の溶解液又は分散液をスプレーで噴霧することで、吹き付けられた水分は蒸発し、基材表面に止水被覆層が形成される。それにより、止水被覆層で覆われた基材、すなわち第2粒状物が生成される。
(6)篩い分け工程
第2粒状物から、所定の目幅の篩を用いた篩い分け工程によって大小の粒状物が除去され、所定の大きさの第1粒状物、すなわち粒状物10aが得られる。
このようにして、トイレ砂10が製造される。
【0073】
ここで、上記(1)混合工程~(5)被覆工程までは、第2粒状物(第1粒状物と構成は同じだが粒径(粒長)分布が相違する)を形成するための形成工程ということができる。また、上記(6)篩い分け工程は、第1粒状物(粒状物10a)を取得するための取得工程ということができる。
【0074】
別の実施形態として、トイレ砂10の粒状物10aは、植物由来の素材の粉砕物と、合成樹脂と、非水溶性無機物とを含んでもよい。
【0075】
植物由来の素材の粉砕物としては、木本及び草本を由来とした粉砕物が挙げられ、例えば、木粉(木質又は樹皮の粉砕物)や、種子油残査、穀物外皮粉砕物、草本粉砕物などが挙げられる。粒状物の成形性及び消臭性を高める観点から、スギ科、マツ科又はヒノキ科などの針葉樹由来の木粉を60質量%以上用い、ブナ科、ニレ科又はカバノキ科などの広葉樹由来の木粉を40質量%以下用いることが好ましい。植物由来の素材の粉砕物の形状は、粉状、粒状、針状、板状又はこれらの集合体等が挙げられるが、成形性及び取扱いの観点から、その形状は粉状であることが好ましい。本実施形態における植物由来の素材の粉砕物の含有量は、消臭効果の持続性及び植物由来の素材特有の芳香を発現させる観点から、70.0質量%以上であることが好ましい。
【0076】
合成樹脂としては、粒状物の保形性を高める観点から、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらの合成樹脂は単独で又は組み合わせて使用してもよい。植物由来の素材の粉砕物との混合性を高める観点から、ポリプロピレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体を少なくとも一種を用いることが好ましい。粒状物の保形性を高める観点から、合成樹脂の含有量は、1.0質量%以上であることが好ましい。
【0077】
非水溶性無機物としては、金属酸化物、金属水酸化物が挙げられ、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で又は複数用いることができる。中でも、非水溶性無機物は、酸化亜鉛及び酸化チタンのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。非水溶性無機物を含むことによって、排泄物の消臭効果を高めることができる。非水溶性無機物の形状は、粒状、針状、板状、柱状、塊状等又はこれらの組み合わせとすることができる。また、結晶質又は非晶質であっていてもよい。取扱い性の観点から、非水溶性無機物の形状は粒状であることが好ましい。非水溶性無機物の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましい。
【0078】
次に、別の実施形態係るトイレ砂10の製造方法について説明する。
(1)混合工程
まず、植物由来の素材の粉砕物と、合成樹脂と、非水溶性無機物を、所定の割合で十分に混合して、混合物を調製する。ただし、合成樹脂は、粉末や顆粒などの固体として混合されてもよく、予め溶融された状態で混合されてもよい。混合工程は、パドルミキサー等の混合機を用いて行うことができる。
(2)成形工程
次いで、得られた混合物を用いて粒状物を形成する。例えば、ペレタイザーやエクストルーダー等の各種の押出成形機を用いて、得られた混合物を、所定の大きさ・形状を有する粒状物に成形する。それにより、第2粒状物が生成される。
(3)篩い分け工程
第2粒状物から、所定の目幅の篩を用いた篩い分け工程によって大小の粒状物が除去され、所定の大きさの第1粒状物、すなわち粒状物10aが得られる。
このようにして、トイレ砂10が製造される。
【0079】
ここで、上記(1)混合工程~(2)成形工程までは、第2粒状物(第1粒状物と構成は同じだが粒径(粒長)分布が相違する)を形成するための形成工程ということができる。また、上記(3)篩い分け工程は、第1粒状物(粒状物10a)を取得するための取得工程ということができる。
【実施例0080】
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0081】
(A)試料
(A-1)実施例1,3,比較例2
(1)混合工程
ゼオライト75質量部、セメント20質量部、及びシリカゲル5質量部を混合し、更に水40質量部を加え、レディゲミキサーにて撹拌混合した。
(2)造粒工程
撹拌混合した混合物をディスクペレッター(株式会社ダルトン製)にて圧縮、造粒した。ディスクの出口の開口寸法は、直径3.5mm(実施例1)、5.5mm(実施例3、比較例2)、ディスク厚みは35mm、有効長は12mmであった。得られた基材は、粒径3.5mm(実施例1)、5.5mm(実施例3、比較例2)、粒長25mmの円柱状であった。
(3)養生工程
得られた基材を室温20度において72時間放置して、セメントの固化などを進行させた。
(4)乾燥工程
養生工程を経た基材を、ロータリーキルン乾燥機を用いて仕上がり水分率が10%以下になるまで乾燥させた。乾燥工程において、粒状物は一部には収縮、一部には折れが発生した。その結果、乾燥工程後に得られた基材は、粒径3.5mm(実施例1)、5.5mm(実施例3、比較例2)、平均粒長9mmであった。
(5)被覆工程
止水剤としては、EVAを用いた。この止水材を10倍の質量の水に分散した分散液を、基材の質量に対して5質量%塗布した。塗布は、乾燥工程後に得られた基材が高温(100℃)のうちに、基材を撹拌混合しながら止水剤の分散液をスプレーして行った。
(6)篩い分け工程
得られた粒状物を、先ず目開き10mm×10mmの篩で篩い分けて所定の大きさよりも大きい粒状物を除去し、その後、実施例1、実施例3及び比較例2の各々に対応して、目開きを徐々に小さくして、所定の大きさよりも小さい粒状物を徐々に除去した。そして、所定の範囲の大きさの粒状物を得た。このようして実施例1、実施例3及び比較例2のトイレ砂を得た。
【0082】
(A-2)実施例2,比較例1
(1)混合工程
植物由来の素材の粉砕物として木粉80質量部、合成樹脂としてエチレン-酢酸ビニル共重合体10質量部、及び、非水溶性無機物として炭酸カルシウム1質量部を、レディゲミキサーにて撹拌混合した。
(2)成形工程
撹拌混合した混合物を、押し出し口の孔径を3.5mm(実施例2)、6.0mm(比較例1)、厚みを40mmとしたダイスと、ペレタイザー(株式会社ダルトン製)とを用いて、粒状物を形成した。得られた粒状物は、円柱状で、粒径3.5mm(実施例2)、6.0mm(比較例1)、平均粒長10mmの円柱状であった。
(3)篩い分け工程
得られた粒状物を、先ず目開き10mm×10mmの篩で篩い分けて所定の大きさよりも大きい粒状物を除去し、その後、実施例2及び比較例1の各々に対応して、目開きを徐々に小さくして、所定の大きさよりも小さい粒状物を徐々に除去した。そして、所定の範囲の大きさの粒状物を得た。このようして実施例2及び比較例1のトイレ砂を得た
【0083】
(B)評価
実施例1~3の少なくとも一つ、及び、比較例1~2の少なくとも一つについて、粒状物の粒径、粒長及び質量、及びそれらの個数分布、猫の慣れ性、見かけ比重、隙間率、安息角、吸水倍率、崩壊性について評価した。それぞれの測定方法(算出方法)は既述のとおりである。
【0084】
(C)結果
(C-1)粒長の個数分布
実施例1,2,3,比較例1,2の粒状物では、粒径がそれぞれ3.5mm、3.5mm、5.5mm、3,5mm、5.5mmで概ね一定であるので、粒長の個数分布のみ評価した(粒径の個数分布は評価しなかった)。
その結果、粒長が3.2mm未満の粒状物の割合(個数%)は、実施例1~3ではそれぞれ0.57%、5.16%、0.60%と6%以下であった。一方、比較例1~2ではそれぞれ8.18%、13.0%と6%を超えていた。また、粒長が3.5~10mmの粒状物の割合(個数%)は、実施例1~3ではそれぞれ98.6%、94.8%、87.4%と85%以上であった。一方、比較例1~2ではそれぞれ79.3%、75.1%と85%を下回っていた。
【0085】
(C-2)目詰まり
実施例1,2,3,比較例1,2の粒状物について、目詰まりを評価したところ、実施例1,2,3ではいずれも1個(5個未満)となり、孔部に嵌まり難い(詰まり難い)ことが判明し、比較例1,2ではいずれも5個(5個以上)となり、孔部に嵌まり易い(詰まり易い)ことが判明した。
【0086】
(C-3)猫の慣れ性
トイレ砂に対する猫の慣れ性について、実施例1と比較例2とを比較した。二匹の猫は、四日間で合計32回(17回及び15回)排泄を行ったが、実施例1のトイレ砂では合わせて26回排泄を行い(81%)、比較例2のトイレ砂では合わせて6回排泄を行った(19%)。したがって、実施例1のトイレ砂は慣れ性が高く(〇)、比較例2のトイレ砂は慣れ性が低い(×)ということが判明した。
また、猫の慣れ性について、実施例3と比較例1とを比較した。二匹の猫は、四日間で合計18回(8回及び10回)排泄を行ったが、実施例3のトイレ砂では合わせて11回排泄を行い(61%)、比較例1のトイレ砂では合わせて7回排泄を行った(39%)。したがって、実施例3のトイレ砂は慣れ性が高く(〇)、比較例1のトイレ砂は慣れ性が低い(×)ということが判明した。
また、猫の慣れ性について、実施例2と比較例2とを比較した。二匹の猫は、四日間で合計26回(19回及び7回)排泄を行ったが、実施例2のトイレ砂では合わせて19回排泄を行い(73%)、比較例2のトイレ砂では合わせて7回排泄を行った(27%)。したがって、実施例2のトイレ砂は慣れ性が高く(〇)、比較例1のトイレ砂は慣れ性が低い(×)ということが判明した。
【0087】
(C-4)小括1
これまでの結果を表1に示す。
【表1】
【0088】
(C-5)見かけ比重
実施例1,2,3,比較例1,2について、粒状物の見かけ比重を求めた。その結果、それぞれ、1.28g/cm3,1.06g/cm3,1.28g/cm3,0.95g/cm3,1.26g/cm3であり、少なくとも実施例1~3については、1.00~1.50g/cm3であった。
【0089】
(C-6)一粒当たり質量
実施例1,2,3,比較例1,2について、一粒当たりの質量が0.065g以上である粒状物の割合(個数)を求めた。その結果、それぞれ、78.8%、57.0%、100%、40.2%、97.9%であり、少なくとも実施例1~3については、一粒当たりの質量が0.065g以上である粒状物の割合(個数)は55%以上であった。
実施例1,2,3,比較例1,2について、一粒当たりの質量が0.060~0.10gである粒状物の割合(個数)を求めた。その結果、それぞれ、74.4%、66.9%、8.39%、54.3%、0.57%であり、少なくとも実施例1~2については、一粒当たりの質量が0.060~0.10gである粒状物の割合(個数)は60%以上であった。
また、実施例1,比較例1について、一粒当たりの平均質量を求めた。その結果、それぞれ、0.090g、0.079gであり、少なくとも実施例1については、一粒当たりの平均質量が0.080g以上であった。
【0090】
(C-7)隙間率
実施例1,2,3,比較例1,2について、隙間率を求めた。その結果、それぞれ、40.6体積%、40.7体積%、44.9体積%、43.7体積%、44.9体積%であり、少なくとも実施例1~3については、隙間率が45体積%以下であった。
【0091】
(C-8)安息角
実施例1,2,3,比較例1,2について、安息角を求めた。その結果、それぞれ、44度、47度、41度、35度、39度であり、少なくとも実施例1~3については、安息角が50度以下であり、40~48度であった。
【0092】
(C-9)吸水倍率
実施例1,2,3,比較例1,2について、吸水倍率を求めた。その結果、それぞれ、123%、157%、121%、160%、121%であり、少なくとも実施例1~3については、吸水倍率が160%未満であった。
【0093】
(C-10)崩壊性
実施例1,2,3,比較例1,2について、崩壊性を求めた。その結果、それぞれ、0mL、0.1mL、0%、0.5mL、0mLであり、少なくとも実施例1~3については、崩壊性が0.5mL未満であった。
【0094】
(C-11)小括2
これまでの結果を表2に示す。
【表2】
【0095】
本発明のシステムトイレ用トイレ砂及びシステムトイレ用トイレ砂の製造方法は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜変更や公知技術との組合せ等が可能である。