IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板搬送装置 図1
  • 特開-基板搬送装置 図2
  • 特開-基板搬送装置 図3
  • 特開-基板搬送装置 図4
  • 特開-基板搬送装置 図5
  • 特開-基板搬送装置 図6
  • 特開-基板搬送装置 図7
  • 特開-基板搬送装置 図8
  • 特開-基板搬送装置 図9
  • 特開-基板搬送装置 図10
  • 特開-基板搬送装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072556
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230517BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185189
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新藤 健弘
(72)【発明者】
【氏名】李 東偉
(72)【発明者】
【氏名】蒋 凌欣
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707CS08
3C707CY36
3C707HS26
3C707NS13
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA15
5F131BA17
5F131BA24
5F131BB03
5F131BB13
5F131BB22
5F131CA32
5F131CA39
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131DC18
5F131HA09
5F131HA12
5F131JA08
5F131JA09
5F131JA12
(57)【要約】
【課題】省スペースで高速搬送可能な基板搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送室に設けられ、配列されたコイルを有する平面モータと、永久磁石を有し、前記平面モータ上を移動して基板を搬送する複数の搬送ユニットと、前記搬送室内に設けられる第1通路及び前記第1通路と隣接する第2通路と、前記第1通路に設けられ、前記第1通路と前記第2通路との間の磁場を遮蔽する磁気シールドと、を備える、基板搬送装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送室に設けられ、配列されたコイルを有する平面モータと、
永久磁石を有し、前記平面モータ上を移動して基板を搬送する複数の搬送ユニットと、
前記搬送室内に設けられる第1通路及び前記第1通路と隣接する第2通路と、
前記第1通路に設けられ、前記第1通路と前記第2通路との間の磁場を遮蔽する磁気シールドと、を備える、基板搬送装置。
【請求項2】
前記コイルの通電を制御することにより前記搬送ユニットの動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
第1の搬送ユニットが前記第1通路を通過し、第2の搬送ユニットが前記第2通路を通過する際、前記磁気シールドですれ違う、
請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記磁気シールドは、前記第1通路と前記第2通路との間の側壁に段部を有する、
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ユニットの浮上量を制御して、前記搬送ユニットに支持された基板を搬送する、
請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記搬送ユニットは、前記基板の支持高さが異なる第1の搬送ユニットおよび第2の搬送ユニットを有する、
請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記搬送ユニットの浮上量を制御して、前記搬送ユニットの進行方向を回転軸とする傾きを制御して、前記搬送ユニットに支持された前記基板を搬送する、
請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記磁気シールドは、前記第1通路と前記第2通路との間の側壁が開閉可能に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送室内に設けられた平面モータ上で磁気浮上し、基板を搬送する搬送ユニットを備える基板搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-86986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板搬送装置は、装置の小型化及び搬送時間の短縮(高速搬送)が求められている。
【0005】
上記課題に対して、一側面では、省スペースで高速搬送可能な基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、搬送室に設けられ、配列されたコイルを有する平面モータと、永久磁石を有し、前記平面モータ上を移動して基板を搬送する複数の搬送ユニットと、前記搬送室内に設けられる第1通路及び前記第1通路と隣接する第2通路と、前記第1通路に設けられ、前記第1通路と前記第2通路との間の磁場を遮蔽する磁気シールドと、を備える、基板搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、省スペースで高速搬送可能な基板搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る基板処理システムの一例の構成を示す平面図。
図2】一実施形態に係る搬送ユニットの一例を示す斜視図。
図3】基板搬送装置の駆動原理を説明する斜視図。
図4】搬送ユニットが処理室に基板Wを搬送する動作の一例を示す平面図。
図5】ムーバー内に配列される永久磁石の配置を示す断面図の一例。
図6】搬送ユニットの進行方向にみた真空搬送室の断面模式図の一例。
図7】搬送ユニットの進行方向にみた真空搬送室の断面模式図の一例。
図8】搬送ユニットの進行方向にみた真空搬送室の断面模式図の一例。
図9】搬送ユニットの進行方向にみた真空搬送室の断面模式図の一例。
図10】他の搬送ユニットの側面図の一例。
図11】真空搬送室の平面図の他の一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<基板処理システム100>
一実施形態に係る基板処理システム100の全体構成の一例について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る基板処理システム100の一例の構成を示す平面図である。
【0011】
図1に示す基板処理システム100は、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムである。基板処理システム100は、複数の処理室110と、真空搬送室120と、ロードロック室130と、大気搬送室140と、ロードポート150と、制御部160と、を備えている。なお、図1において、真空搬送室120の長手方向をX方向とし、真空搬送室120の短手方向(幅方向)をY方向とし、真空搬送室120の高さ方向をZ方向として説明する。
【0012】
処理室110は、所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にて半導体ウェハ(以下、「基板W」ともいう。)に所望の処理(エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。処理室110は、真空搬送室120に隣接して配置される。処理室110と真空搬送室120とは、ゲートバルブ112の開閉により連通する。処理室110は、基板Wを載置する載置台111を有する。なお、処理室110における処理のための各部の動作は、制御部160によって制御される。
【0013】
真空搬送室120は、ゲートバルブ112,132を介して、複数の室(処理室110、ロードロック室130)と連結され、所定の真空雰囲気に減圧されている。また、真空搬送室120の内部には、基板Wを搬送する基板搬送装置125が設けられている。基板搬送装置125は、真空搬送室120に配置される平面モータ10と、平面モータ10上を移動可能な複数の搬送ユニット30(30A,30B)と、を有する。搬送ユニット30は、平面モータ10上を移動可能なムーバー31と、基板Wを保持することが可能に構成されたアーム32と、を有する。基板搬送装置125は、ゲートバルブ112の開閉に応じて、処理室110と真空搬送室120との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。また、基板搬送装置125は、ゲートバルブ132の開閉に応じて、ロードロック室130と真空搬送室120との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。なお、基板搬送装置125の動作、ゲートバルブ112,132の開閉は、制御部160によって制御される。なお、基板搬送装置125(平面モータ10、搬送ユニット30)については、図2から図4を用いて後述する。
【0014】
また、真空搬送室120には、真空搬送室120の長手方向(X方向)に伸びる第1通路121及び第2通路122が設けられている。第1通路121と第2通路122とは、隣接して並行に設けられている。また、第1通路121には、トンネル状の磁気シールド200が設けられている。即ち、真空搬送室120には、真空搬送室120の長手方向に伸びるトンネル状の磁気シールド200が設けられ、磁気シールド200の内側に搬送ユニット30が通行可能な第1通路121と、磁気シールド200の外側に搬送ユニット30が通行可能な第2通路122と、が設けられる。
【0015】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、基板Wを載置する載置台131を有する。ロードロック室130は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるようになっている。ロードロック室130と真空雰囲気の真空搬送室120とは、ゲートバルブ132の開閉により連通する。ロードロック室130と大気雰囲気の大気搬送室140とは、ドアバルブ133の開閉により連通する。なお、ロードロック室130内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替えは、制御部160によって制御される。
【0016】
大気搬送室140は、大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140の内部には、基板Wを搬送する搬送装置(図示せず)が設けられている。搬送装置(図示せず)は、ドアバルブ133の開閉に応じて、ロードロック室130と大気搬送室140との間で基板Wの搬入及び搬出を行う。なお、搬送装置(図示せず)の動作、ドアバルブ133の開閉は、制御部160によって制御される。
【0017】
また、大気搬送室140の壁面には、ロードポート150が設けられている。ロードポート150は、基板Wが収容されたキャリア(図示せず)又は空のキャリアが取り付けられる。キャリアとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)等を用いることができる。
【0018】
搬送装置(図示せず)は、ロードポート150に取り付けられたキャリアに収容された基板Wを取り出して、ロードロック室130の載置台131に載置することができる。また、搬送装置(図示せず)は、ロードロック室130の載置台131に載置された基板Wを取り出して、ロードポート150に取り付けられたキャリアに収容することができる。
【0019】
制御部160は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を有する。制御部160は、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)等の他の記憶領域を有してもよい。HDD、RAM等の記憶領域には、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件が設定されたレシピが格納されている。
【0020】
CPUは、レシピに従って各処理室110における基板Wの処理を制御し、基板Wの搬送を制御する。HDDやRAMには、各処理室110における基板Wの処理や基板Wの搬送を実行するためのプログラムが記憶されてもよい。プログラムは、記憶媒体に格納して提供されてもよいし、ネットワークを通じて外部装置から提供されてもよい。
【0021】
次に、基板処理システム100の動作の一例について説明する。ここでは、基板処理システム100の動作の一例として、ロードポート150に取り付けられたキャリアに収容された基板Wを処理室110で処理を施し、ロードポート150に取り付けられた空のキャリアに収容する動作に沿って説明する。なお、動作の開始時点において、ゲートバルブ112,132、ドアバルブ133は閉じており、ロードロック室130内は大気雰囲気となっている。
【0022】
制御部160は、ドアバルブ133を開ける。制御部160は、大気搬送室140内の搬送装置を制御して、ロードポート150のキャリアから基板Wを取り出し、ロードロック室130の載置台131に載置する。基板Wがロードロック室130の載置台131に載置され、搬送装置がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ドアバルブ133を閉じる。
【0023】
制御部160は、ロードロック室130の排気装置(図示せず)を制御して室内の空気を排気し、ロードロック室130を大気雰囲気から真空雰囲気へと切り替える。
【0024】
次に、ロードロック室130の載置台131に載置された基板Wを、処理室110に搬送して、載置台111に載置する。具体的には、制御部160は、ゲートバルブ132を開ける。制御部160は、後述する基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までアーム32をロードロック室130に挿入し、ロードロック室130の載置台131に載置された基板Wを保持して、真空搬送室120へと搬送する。アーム32がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ132を閉じる。
【0025】
制御部160は、搬送先の処理室110のゲートバルブ112を開ける。制御部160は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までアーム32を処理室110に挿入し、保持している基板Wを処理室110の載置台111に載置する。アーム32が処理室110から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ112を閉じる。
【0026】
制御部160は、処理室110を制御して、基板Wに所望の処理を施す。
【0027】
基板Wの処理が終了すると、処理室110の載置台111に載置された基板Wを、ロードロック室130に搬送して、載置台131に載置する。具体的には、制御部160は、ゲートバルブ112を開ける。制御部160は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までアーム32を処理室110に挿入し、処理室110の載置台111に載置された基板Wを保持して、真空搬送室120へと搬送する。アーム32が処理室110から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ112を閉じる。
【0028】
制御部160は、ゲートバルブ132を開ける。制御部160は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された受渡位置までアーム32をロードロック室130に挿入し、保持している基板Wをロードロック室130の載置台131に載置する。アーム32がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ゲートバルブ132を閉じる。
【0029】
制御部160は、ロードロック室130のガス供給装置(図示せず)を制御して室内に例えば清浄空気を供給し、ロードロック室130を真空雰囲気から大気雰囲気へと切り替える。
【0030】
制御部160は、ドアバルブ133を開ける。制御部160は、搬送装置(図示せず)を制御して、ロードロック室130の載置台131に載置された基板Wを取り出し、ロードポート150のキャリアに収容する。基板Wがロードロック室130の載置台131から取り出され、搬送装置(図示せず)がロードロック室130から退避すると、制御部160は、ドアバルブ133を閉じる。
【0031】
なお、基板処理システム100において、基板搬送装置125は、ロードロック室130の載置台131に載置された基板Wを処理室110の載置台111に搬送し、処理済の基板Wを処理室110の載置台111からロードロック室130の載置台131に搬送する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。基板搬送装置125は、一の処理室110の載置台111に載置された基板Wを他の処理室110の載置台111に搬送する構成であってもよい。
【0032】
<基板搬送装置125>
次に、基板搬送装置125について、更に説明する。基板搬送装置125は、真空搬送室120に配置される平面モータ10と、平面モータ10上を移動可能な搬送ユニット30と、を有する。
【0033】
図2は、一実施形態に係る搬送ユニット30の一例を示す斜視図である。搬送ユニット30は、ムーバー31と、アーム32とを有する。ムーバー31は、平面モータ10上を磁気浮上して移動することが可能に構成されている。アーム32は、一端側がムーバー31に固定され、他端側に基板Wを保持することが可能に構成されている。また、搬送ユニット30は、真空搬送室120内に複数台設けられていてもよい。
【0034】
平面モータ10及び搬送ユニット30のムーバー31について、図3を用いて更に説明する。図3は、基板搬送装置125の駆動原理を説明する斜視図である。
【0035】
平面モータ10は、複数のコイル15が配列されている。コイル15は、電流が供給されることにより、磁場を発生する。制御部160(図1参照)は、各コイル15に通電する電流値を個別に制御可能に構成されている。
【0036】
ムーバー31は、複数の永久磁石35が配列されている。コイル15が生成する磁場によって、ムーバー31は、平面モータ10上で磁気浮上することができる。また、コイル15が生成する磁場によって、ムーバー31は、平面モータ10上を移動することができる。
【0037】
この様な構成により、制御部160(図1参照)は、平面モータ10の各コイル15の電流値を制御することで、ムーバー31の位置、向き、傾き、浮上量を制御することができるように構成されている。
【0038】
また、平面モータ10には、ムーバー31の位置等を検出するセンサが設けられている。センサは、平面モータ10内に設けられ、ムーバー31の永久磁石35の磁場を検出する磁場センサであってもよい。これにより、制御部160(図1参照)は、センサの検出値に基づいて、ムーバー31の位置等を検出することができる。
【0039】
図4は、搬送ユニット30が処理室110に基板Wを搬送する動作の一例を示す平面図である。図4(a)に示すように、搬送ユニット30は、平面モータ10上を自由に移動することができる。これにより、破線で図示するように搬送ユニット30は、アーム32の向きを真空搬送室120の長手方向に対して傾け、搬送ユニット30を回転させながら真空搬送室120の長手方向に移動する。これにより、実線で図示するように搬送ユニット30は、基板Wを保持したアーム32をゲートバルブ112から処理室110内に挿入することができる。そして、搬送ユニット30を回転させながら移動することにより、基板Wを載置台111に受け渡す位置まで移動することができる。このように、搬送ユニット30(ムーバー31)の位置、向きを制御することにより、アーム32で保持した基板Wを真空搬送室120と処理室110の間で搬送(搬入、搬出)することができる。
【0040】
また、図4(b)に示すように、真空搬送室120には、第1通路121を有するトンネル状の磁気シールド200が設けられている。磁気シールド200は、搬送ユニット30が処理室110へ基板Wを搬送(搬入、搬出)する際の妨げとならない位置に設けられている。具体的には、磁気シールド200は、真空搬送室120の長手方向において隣接する2つのゲートバルブ112の間に配置されている。これにより、破線で図示するように、搬送ユニット30は、アーム32の向きを真空搬送室120の長手方向に向けて第2通路122を移動し、搬送ユニット30を回転させながら真空搬送室120の長手方向に移動する。これにより、実線で図示するように、基板Wを保持したアーム32をゲートバルブ112から処理室110内に挿入することができる。そして、搬送ユニット30を回転させながら移動することにより、基板Wを載置台111に受け渡す位置まで移動することができる。
【0041】
図5は、ムーバー31内に配列される永久磁石35の配置を示す断面図の一例である。なお、図5において、磁束を矢印で示す。図5に示すように、永久磁石35は、永久磁石35のN極35N及びS極35Sの向きを変えて複数配列するハルバッハ配列で配置されている。これにより、平面モータ10と対向する面の側であるムーバー31の下面側領域41に磁界を集中させ、ムーバー31と平面モータ10との間に強い磁場を形成することができる。また、ムーバー31の上面側領域42における磁場を弱くすることができる。
【0042】
ここで、図5に示すように、ムーバー31の側面側領域43において、漏れ磁束が生じている。このため、一の搬送ユニット30Aと他の搬送ユニット30Bとが逆向きに高速移動して近傍ですれ違う際、一の搬送ユニット30Aによって搬送される基板Wは、他の搬送ユニット30Bの側面側領域43を通過する。このため、搬送ユニット30Aによって搬送される基板Wにおいて磁場が変化することにより、基板W内に形成された素子に誘導起電力が生じるおそれがある。同様に、搬送ユニット30Bによって搬送される基板Wにおいて磁場が変化することにより、基板W内に形成された素子に誘導起電力が生じるおそれがある。
【0043】
また、基板W内の素子に生じる誘導起電力は、搬送ユニット30A,30Bがすれ違う際の距離が近いほど誘導起電力が大きくなる。また、基板W内の素子に生じる誘導起電力は、すれ違う搬送ユニット30A,30Bの相対速度が速いほど誘導起電力が大きくなる。
【0044】
このため、真空搬送室120のY方向の幅を狭くして小型化するほど、2つの搬送ユニット30がすれ違う際の距離が近くなり、基板W内の素子に生じる誘導起電力が大きくなる。また、搬送ユニット30の移動速度を速くするほど、2つの搬送ユニット30がすれ違う際の相対速度が速くなり、基板W内の素子に生じる誘導起電力が大きくなる。
【0045】
これらの課題に対し、図1に示すように、本実施形態の基板処理システム100は、磁気シールド200を有している。
【0046】
磁気シールド200は、例えばFe系の強磁性体材料で形成されてもよい。また、磁気シールド200は、Al系の反強磁性体材料で形成されてもよい。また、磁気シールド200は、強磁性体のシールドと反強磁性体のシールドの二重シールド構造であってもよい。磁気シールド200の材料は、搬送ユニット30A,30Bがすれ違う際の基板Wに生じる磁場変化の周波数特性に応じて、好適に磁気を遮蔽する材料を適宜選択してもよい。換言すれば、磁気シールド200の材料は、搬送ユニット30A,30Bがすれ違う際の相対速度に基づいて、好適に磁気を遮蔽する材料を適宜選択してもよい。
【0047】
図6は、搬送ユニット30の進行方向にみた真空搬送室120の断面模式図の一例である。図1及び図6に示すように、真空搬送室120には、搬送ユニット30(30A,30B)が通行可能な第1通路121及び第2通路122が形成されている。また、第1通路121は、トンネル状の磁気シールド200で覆われている。第1通路121と第2通路122との間には、磁気シールド200の側壁210が配置されている。制御部160は、互いに逆向きに移動する2つの搬送ユニット30(30A,30B)が真空搬送室120内ですれ違う際、一方の搬送ユニット30Bが磁気シールド200で覆われた第1通路121を通過中に、他方の搬送ユニット30Aが第2通路122を通過するように制御する。これにより、第1通路121を通過する搬送ユニット30Bの側面側の漏れ磁場は、磁気シールド200によって遮蔽され、第2通路122を通過する搬送ユニット30Aに保持される基板Wの素子に誘導起電力が生じることを防止することができる。また、第2通路122を通過する搬送ユニット30Aの側面側の漏れ磁場は、磁気シールド200によって遮蔽され、第1通路121を通過する搬送ユニット30Bに保持される基板Wの素子に誘導起電力が生じることを防止することができる。
【0048】
これにより、真空搬送室120に形成される第1通路121及び第2通路122を近づけることができる。即ち、真空搬送室120の幅を狭くして小型化することができ、基板処理システム100を小型化することができる。また、2つの搬送ユニット30が真空搬送室120内ですれ違う際の速度を高くすることができる。これにより、基板搬送装置125の搬送時間を短縮し、基板処理システム100の生産性を向上させることができる。
【0049】
また、磁気シールド200は、真空搬送室120の長手方向において、中間領域に設けることが好ましい。真空搬送室120の長手方向の端に近い領域において、搬送ユニット30は停止状態からの加速開始または停止するための減速をしており、移動速度は、抑えられている。これに対し、真空搬送室120の長手方向の中間領域において、搬送ユニット30の移動速度が最大となる。このため、すれ違う搬送ユニット30A,30Bの相対速度が高くなる真空搬送室120の長手方向の中間領域に磁気シールド200を設けることにより、大きな誘導起電力の発生を防止することができる。
【0050】
なお、磁気シールド200の形状は、これに限られるものではない。第1通路121と第2通路122との間に配置される磁気シールド200の側壁210は、矩形に屈曲していてもよい。
【0051】
図7は、搬送ユニット30の進行方向にみた真空搬送室120の断面模式図の一例である。磁気シールド200の側壁210は、段部211を有している。これにより、第1通路121は、上側において第2通路122に向かって突出する突出空間121aが形成される。また、第2通路122は、突出空間121aよりも下側において第1通路121に向かって突出する突出空間122aが形成される。突出空間121aと突出空間122aとは、上下に重なって形成される。
【0052】
制御部160は、第1通路121を通過する搬送ユニット30Bの浮上量を増加させるように制御する。これにより、第1通路121を通過する搬送ユニット30Bに支持される基板Wは、突出空間121aを通過する。また、制御部160は、第2通路122を通過する搬送ユニット30Aの浮上量を減少させるように制御する。これにより、第2通路122を通過する搬送ユニット30に支持される基板Wは、突出空間122aを通過する。これにより、真空搬送室120の幅(Y方向)を狭め、装置をより小型化することができる。
【0053】
図8は、搬送ユニット30の進行方向にみた真空搬送室120の断面模式図の一例である。磁気シールド200の側壁210は、段部212を有している。これにより、第1通路121は、下側において第2通路122に向かって突出する突出空間121bが形成される。また、第2通路122は、突出空間121bよりも上側において第1通路121に向かって突出する突出空間122bが形成される。突出空間121bと突出空間122bとは、上下に重なって形成される。
【0054】
また、第1通路121を通過する搬送ユニット30Bと第2通路122を通過する搬送ユニット30Aとで、基板Wを保持する高さが異なっている。即ち、搬送ユニット30Aと搬送ユニット30Bは、アーム32の構造・取付位置が異なっている。これにより、第1通路121を通過する搬送ユニット30に支持される基板Wは、突出空間121bを通過する。また、第2通路122を通過する搬送ユニット30に支持される基板Wは、突出空間122bを通過する。これにより、真空搬送室120の幅(Y方向)を狭め、装置をより小型化することができる。
【0055】
図9は、搬送ユニット30の進行方向にみた真空搬送室120の断面模式図の一例である。磁気シールド200の側壁210は、傾斜する段部213を有している。これにより、第1通路121は、下側において第2通路122に向かって突出する突出空間121cが形成される。また、第2通路122は、突出空間121cよりも上側において第1通路121に向かって突出する突出空間122cが形成される。突出空間121cと突出空間122cとは、上下に重なって形成される。
【0056】
制御部160は、第1通路121を通過する搬送ユニット30B及び第2通路122を通過する搬送ユニット30Aの左右の浮上量を調整して搬送ユニット30A,30Bを傾斜させる。即ち、制御部160は、搬送ユニット30A,30Bの進行方向(X方向)を回転軸とする搬送ユニット30A,30Bの傾きを制御する。これにより、第1通路121を通過する搬送ユニット30Bに支持される基板Wは、突出空間121cを通過する。一方、第2通路122を通過する搬送ユニット30Aに支持される基板Wは、突出空間121cの上方に配置される突出空間122cを通過する。これにより、真空搬送室120の幅(Y方向)を狭め、装置をより小型化することができる。
【0057】
なお、突出空間121aと突出空間122aとの上下関係、突出空間121bと突出空間122bとの上下関係、突出空間121cと突出空間122cとの上下関係は、図7から図9に示す関係に限られるものではなく、逆であってもよい。
【0058】
また、第1通路121と第2通路122との間に配置される磁気シールド200の側壁210は、開閉可能に構成されていてもよい。例えば、側壁210を昇降する機構を有していてもよい。処理室110に基板Wを搬送する際は、側壁210を真空搬送室120内から退避させる。これにより、側壁210と搬送ユニット30との干渉を防ぐことができる。また、2つの搬送ユニット30A,30Bがすれ違う際は、側壁210を真空搬送室120内に配置する。これにより、第1通路121に磁気シールド200を形成して、基板Wの素子に誘導起電力が生じることを防止することができる。
【0059】
また、搬送ユニット30は、ムーバー31とアーム32とを備え、アーム32で基板Wを支持するものとして説明したが、これに限られるものではない。図10は、他の搬送ユニット30Cの側面図の一例である。図11は、真空搬送室120の平面図の他の一例である。
【0060】
搬送ユニット30Cは、ムーバー31の上に基板Wを載置して搬送する構成であってもよい。真空搬送室120には、平面モータ10と、搬送ユニット30Cと、搬送アーム125Aと、を備える。搬送アーム125Aは、搬送ユニット30Cの上に基板Wを受け渡す、及び、搬送ユニット30Cの上に載置された基板Wを受け取ることができるように構成されている。また、搬送アーム125Aは、処理室110の載置台111、ロードロック室130の載置台131に基板Wを受け渡す、載置台111、載置台131から基板Wを受け取ることができるように構成されている。そして、搬送ユニット30Cは、基板Wを載置して真空搬送室120内を移動することができる。これにより、搬送ユニット30Cは、真空搬送室120内を長手方向に移動して、他の搬送アームまで基板Wを搬送することができる。
【0061】
真空搬送室120には、真空搬送室120の長手方向(X方向)に伸びる第1通路121及び第2通路122が設けられている。第1通路121と第2通路122とは、隣接して並行に設けられている。また、第1通路121には、トンネル状の磁気シールド200が設けられている。磁気シールド200は、真空搬送室120の長手方向(X方向)に開口するように設けられている。搬送ユニット30Cは、実線矢印で示すように、基板Wを載せた状態で磁気シールド200内を長手方向(X方向)に移動することができる。また、搬送アーム125Aは、二点鎖線で示すように、磁気シールド200の開口から磁気シールド200内にアクセスすることにより、磁気シールド200内の搬送ユニット30Cに基板Wを受け渡す、磁気シールド200内の搬送ユニット30Cから基板Wを受け取ることができる。
【0062】
以上、基板処理システム100について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 平面モータ
15 コイル
30,30A~30C 搬送ユニット
31 ムーバー
32 アーム
35 永久磁石
100 基板処理システム
110 処理室
120 真空搬送室
121 第1通路
122 第2通路
130 ロードロック室
140 大気搬送室
150 ロードポート
160 制御部
200 磁気シールド
210 側壁
211~213 段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11