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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072576
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
B65D81/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185228
(22)【出願日】2021-11-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和3年6月4日~令和3年8月5日 ウェブサイトのアドレス 別紙1のリスト参照 [刊行物等] 発行日 令和3年6月5日~令和3年8月16日 刊行物 別紙2のリスト参照 [刊行物等] 公開日 令和3年6月3日~令和3年7月10日 放送番組 別紙3のリスト参照 [刊行物等] 販売日 令和3年6月15日 販売場所 全国各地のコンビニエンスストア、スーパーマーケットなど
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308032699
【氏名又は名称】日清食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】村木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 直大
(72)【発明者】
【氏名】白澤 勉
(72)【発明者】
【氏名】谷内 友樹
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA06
3E013BB06
3E013BC12
3E013BC13
3E013BC14
3E013BD01
3E013BE02
3E013BH52
(57)【要約】
【課題】安定して且つ容易に容器を再封可能な蓋体を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る蓋体は、湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、容器の開口端部に貼合される本体部と、本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片とを有し、本体部を厚さ方向からみて本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、少なくとも2つの摘まみ片は、2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、本体部および少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、積層シートは、紙製の基材層と、基材層上に設けられた熱接着樹脂層とを有し、基材層の単位面積当たりの重量をG1とし、蓋体の単位面積当たりの重量をG2とした場合、G1およびG2が、0.75≦G1/G2を満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、
前記容器の開口端部に貼合される本体部と、
前記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、
を有し、
前記本体部を厚さ方向からみて前記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、前記少なくとも2つの摘まみ片は、前記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、
前記本体部および前記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、
前記積層シートは、
紙製の基材層と、
前記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、
を有し、
前記基材層の単位面積当たりの重量をG1とし、前記蓋体の単位面積当たりの重量をG2とした場合、前記G1および前記G2が式(1)を満たす、
蓋体。
0.75≦G1/G2・・・(1)
【請求項2】
前記G1および前記G2が式(2)を満たす、
請求項1に記載の蓋体。
0.9≦G1/G2・・・(2)
【請求項3】
湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、
前記容器の開口端部に貼合される本体部と、
前記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、
を有し、
前記本体部を厚さ方向からみて前記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、前記少なくとも2つの摘まみ片は、前記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、
前記本体部および前記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、
前記積層シートは、
紙製の基材層と、
前記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、
前記基材層と前記熱接着樹脂層との間に配置される金属層と、
を有し、
前記基材層の単位面積当たりの重量をG1とし、前記蓋体の単位面積当たりの重量をG2とし、前記金属層の単位面積当たりの重量をG3とした場合、前記G1、前記G2および前記G3が式(3)を満たす、
請求項1に記載の蓋体。
0.75≦{G1+(2×G3)}/G2・・・(3)
【請求項4】
前記G1、前記G2および前記G3が式(4)を満たす、
請求項3に記載の蓋体。
0.9≦{G1+(2×G3)}/G2・・・(4)
【請求項5】
湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、
前記容器の開口端部に貼合される本体部と、
前記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、
を有し、
前記本体部を厚さ方向からみて前記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、前記少なくとも2つの摘まみ片は、前記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、
前記本体部および前記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、
前記積層シートは、
紙製の基材層と、
前記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、
を有し、
前記積層シートは、前記積層シートと同じ層構成を有する矩形のサンプル片であって短辺方向の長さが15mmであり長辺方向の長さが100mmである前記サンプル片を、前記熱接着樹脂層が接するように長手方向の中央部で折り曲げた後に復元に伴う移動が停止した段階での前記サンプル片の復元角度を前記積層シートのデッドホールド値と定義した場合、前記デッドホールド値が5度以上25度以下である、
蓋体。
【請求項6】
前記デッドホールド値が10度以上20度以下である、
請求項5に記載の蓋体。
【請求項7】
前記デッドホールド値は、前記積層シートのMD方向のデッドホールド値およびTD方向のデッドホールド値の平均値である、
請求項5または6に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
即席食品(たとえば即席麺)は、容器に収納され、容器の開口を蓋体で封止された状態で提供される。この場合、ユーザは、蓋体の一部を容器から引き剥がし、容器の一部を開封する。ユーザは、その開封箇所から熱湯を容器内に注いだ後、蓋体で容器を再度塞ぐ。この際、蓋体で容器の開口を再封した状態を維持するため、粘着テープで蓋体を容器に固定することが知られている(特許文献1参照)。そして、蓋体で容器を再封した状態を一定時間維持した後、蓋体を容器から分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-105671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋体で容器を再封する際、粘着テープで蓋体を容器に固定する形態では、粘着テープを準備して止める必要があり、蓋体を容器に止めるための手間も生じるとともに、容器および蓋体とは別に粘着テープが必要である。一方、近年、環境負荷低減の観点から資源消費の削減が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、安定して且つ容易に容器を再封可能な蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓋体の一例は、湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、上記容器の開口端部に貼合される本体部と、上記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、を有し、上記本体部を厚さ方向からみて上記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、上記少なくとも2つの摘まみ片は、上記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、上記本体部および上記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、上記積層シートは、紙製の基材層と、上記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、を有し、上記基材層の単位面積当たりの重量をG1とし、上記蓋体の単位面積当たりの重量をG2とした場合、上記G1および上記G2が式(1)を満たす。
0.75≦G1/G2・・・(1)
【0007】
上記蓋体を上記容器に適用した場合、上記摘まみ片を折り曲げることで、蓋体で容器を容易に再封できる。更に、蓋体を形成する積層シートが上記式(1)の条件を満たすように構成されていることから、蓋体で容器を安定して再封できる。
【0008】
上記G1および上記G2は式(2)を満たしてもよい。
0.9≦G1/G2・・・(2)
【0009】
この場合、蓋体で容器をより安定して再封できる。
【0010】
本発明に係る蓋体の他の例は、湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、上記容器の開口端部に貼合される本体部と、上記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、を有し、上記本体部を厚さ方向からみて上記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、上記少なくとも2つの摘まみ片は、上記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、上記本体部および上記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、上記積層シートは、紙製の基材層と、上記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、上記基材層と上記熱接着樹脂層との間に配置される金属層と、を有し、上記基材層の単位面積当たりの重量をG1とし、上記蓋体の単位面積当たりの重量をG2とし、上記金属層の単位面積当たりの重量をG3とした場合、上記G1、上記G2および上記G3が式(3)を満たす。
0.75≦{G1+(2×G3)}/G2・・・(3)
【0011】
上記蓋体を上記容器に適用した場合、上記摘まみ片を折り曲げることで、蓋体で容器を容易に再封できる。更に、蓋体を形成する積層シートが上記式(3)の条件を満たすように構成されていることから、蓋体で容器を安定して再封できる。
【0012】
上記G1、上記G2および上記G3が式(4)を満たしてもよい。
0.9≦{G1+(2×G3)}/G2・・・(4)
【0013】
本発明に係る蓋体の他の例は、湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、上記容器の開口端部に貼合される本体部と、上記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、を有し、上記本体部を厚さ方向からみて上記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、上記少なくとも2つの摘まみ片は、上記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、上記本体部、上記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、上記積層シートは、紙製の基材層と、上記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、を有し、上記積層シートは、上記積層シートと同じ層構成を有する矩形のサンプル片であって短辺方向の長さが15mmであり長辺方向の長さが100mmである上記サンプル片を、上記熱接着樹脂層が接するように長手方向の中央部で折り曲げた後に復元に伴う移動が停止した段階での上記サンプル片の復元角度を上記積層シートのデッドホールド値と定義した場合、上記デッドホールド値が5度以上25度以下である。
【0014】
上記蓋体を上記容器に適用した場合、上記摘まみ片を折り曲げることで、蓋体で容器を容易に再封できる。更に、蓋体を形成する積層シートのデッドホールド値が上記角度範囲内であることから、蓋体で容器を安定して再封できる。
【0015】
上記デッドホールド値が10度以上20度以下でもよい。この場合、蓋体で容器をより安定して再封できる。
【0016】
上記デッドホールド値は、上記積層シートのMD方向のデッドホールド値およびTD方向のデッドホールド値の平均値でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安定して且つ容易に容器を再封可能な蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る蓋体の使用状態の模式図である。
図2図2は、図1に示した蓋体の平面図である。
図3図3は、図1に示した蓋体を形成する積層シートの層構成を示す模式図である。
図4図4は、図1の状態から蓋体の一部を容器から剥がした状態の模式図である。
図5図5は、図4の状態から蓋体を用いて容器を再封した状態の模式図である。
図6図6は、第2実施形態に係る蓋体の平面図である。
図7図7は、図6に示した蓋体を形成する積層シートの層構成を示す模式図である。
図8図8は、デッドホールド値を測定するために使用するサンプル片の平面図である。
図9図9は、デッドホールド値の測定方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る蓋体の使用状態の模式図である。図1は、蓋体の使用状態の側面図であり、説明の便宜のため、図1では、容器2および蓋体10の一部を切り欠いた図を示している。
【0021】
図1に示した蓋体10は、湯を注いで調理する即席食品1(たとえば即席麺)を収納する容器2の開口2aを封止する蓋体である。すなわち、蓋体10は、即席食品容器用蓋体である。
【0022】
蓋体10が適用される容器2は有底筒状を呈する。本実施形態において、容器2の底壁の厚さ方向からみた場合、容器2の形状は円形である。容器2において底壁と反対側に位置する開口端部2bは、外側に曲げられており、開口端部2bの一部はフランジ部を構成している。
【0023】
図2に示したように、蓋体10は、平面視において、本体部11と、少なくとも2つの摘まみ片12を有する。図2は、蓋体10の平面図であり、蓋体10の厚さ方向から見た場合を示している。
【0024】
本体部11は、蓋体10が容器2に使用された状態において容器2の開口2aを塞ぐ部分である。本体部11は、開口端部2bと同様の形状を有し、本実施形態では円形である。よって、本実施形態において、本体部11の中心11aは上記円の中心であり、開口端部2bの中心と一致する。本体部11の直径Dは、容器2のサイズに依存するが、たとえば、20mm以上200mm)以下であり、50mm以上180mm以下であってもよい。直径Dの例は、たとえば、96.5mm、80.5mm、166mmなどである。
【0025】
少なくとも2つの摘まみ片12は、本体部11の周縁から連続的に外側に張り出した部分である。少なくとも2つの摘まみ片12は、本体部11を厚さ方向からみて本体部11を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、2つの領域のうちの1つの領域(以下、「半周領域」とも称す))の外周縁に配置されている。少なくとも2つの摘まみ片12が配置される上記半周領域は、蓋体10を使用された容器2に湯を注ぐために容器2から剥がされる領域であり得る。摘まみ片12は、たとえばタブである。摘まみ片12は、図1に示したように、蓋体10を容器2に使用した場合、蓋体10のうち開口端部2bの外側に位置する。摘まみ片12は、蓋体10で閉じられた容器2をユーザが開封する際の開封開始端として使用されるとともに、蓋体10で容器2の開口2aを再度塞ぐ際に蓋体10を容器2に止めるための係止具としても使用される。
【0026】
本実施形態では、図2に示したように、蓋体10が2つの摘まみ片12を有する形態を説明する。2つの摘まみ片12を区別する場合、2つの摘まみ片12を第1摘まみ片121および第2摘まみ片122と称す。
【0027】
本実施形態において、第1摘まみ片121は舌片状または略三角形状を呈し、本体部11の外側に向けて(径方向において)最も離れた第1頂部121aを有する。蓋体10において、第1頂部121aと本体部11の中心11aを挟んで反対側の部分と第1頂部121aとの間の長さLの例は、25mm以上220mm以下であり、55mm以上200mm以下であってもよい。長さLは、蓋体10における最大長さである。
【0028】
第2摘まみ片122は、本体部11の中心11aの周りに第1摘まみ片121から所定角度範囲内に配置されている。図2に示したように、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122が第1頂部121aと第2頂部122aを有する形態を用いて、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の配置関係の例を具体的に説明する。
【0029】
第1摘まみ片121および第2摘まみ片122は、円形の本体部11における半円領域の外周縁に配置されている。第1摘まみ片121および第2摘まみ片122は、図2に示した仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度(本実施形態において中心角)θが上記所定角度範囲となるように、配置されている。仮想直線14aは、第1頂部121aと中心11aをとおる仮想直線であり、仮想直線14bは、第2頂部122aと中心11aをとおる仮想直線である。上記角度θの所定角度範囲は、180度未満であり、たとえば、45度以上105度以下であり、45度以上90度以下でもよい。以下、説明の便宜のため、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の配置関係の説明では、上記角度θを使用して説明する。
【0030】
図3に示したように、蓋体10は、紙製の基材層21および熱接着樹脂層23を含む積層シート20によって形成されている。図3は、蓋体10を形成する積層シート20の層構成を説明するための模式図である。基材層21および熱接着樹脂層23は、図1に示した使用状態において、外側(容器2と反対側)から基材層21および熱接着樹脂層23の順に積層されている。積層シート20の厚さ(μm)は、たとえば、50μm以上300μm以下であり、70μm以上250μm以下であってもよい。
【0031】
基材層21は、紙自体から構成される層である。本実施形態において、基材層21は、蓋体10における外層に相当する。基材層21を構成する紙は、例えば上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、和紙、模造紙、クラフト紙等である。基材層21は、再生紙によって構成されてもよい。基材層21の坪量は、たとえば、30g/m以上200g/m以下である。基材層21の坪量の下限値は、40g/mでもよいし、50g/mでもよい。基材層21の坪量の上限値は、180g/mでもよいし、160g/mでもよい。上記坪量は、たとえば、基材層21を構成する紙の水分量が3%以上7%以下の場合の値である。基材層21の厚さの例は、20μm以上230μm以下であり、30μm以上210μm以下であってもよい。基材層21の質量は、たとえば、積層シート20を構成する各層の合計質量(すなわち、蓋体10の総質量)における51%以上である。この場合、積層シート20は紙を主成分とするシートであり、蓋体10は紙製の蓋体である。
【0032】
基材層21には、商品説明、開封方法などの印刷が施されても良い。この場合、積層シート20は、基材層21上(たとえば、基材層21において熱接着樹脂層23と反対側の層)に印刷層を有する。
【0033】
熱接着樹脂層23は、蓋体10における内層であり、蓋体10を容器2の開口端部2bに貼り合わせるための層である。熱接着樹脂層23は、たとえばシーラント層である。熱接着樹脂層23の厚さの例は、5μm以上70μm以下である。熱接着樹脂層23の厚さの下限値は、10μmでもよいし、15μmでもよい。熱接着樹脂層23の厚さの上限値は、45μmでもよいし、40μmでもよい。
【0034】
熱接着樹脂層23の材料の例は、ポリオレフィン系樹脂である。熱接着樹脂層23の材料として、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。熱接着樹脂層23は、たとえば、熱接着樹脂層23となるべき樹脂を押し出す方法(押出しラミネート法)によって形成され得る。
【0035】
積層シート20は、基材層21および熱接着樹脂層23に加えて他の層を有してもよい。たとえば、積層シート20は図3に示したように基材層21と熱接着樹脂層23との間に金属層22を有してもよい。
【0036】
金属層22は、基材層21上に積層されている。金属層22は、積層シート20(蓋体10)にバリア性を付与する。金属層22は、たとえば、金属箔であり、金属箔の例は、アルミニウム箔である。金属層22の厚さの例は、3μm以上30μm以下であり、5μm以上20μm以下でもよい。
【0037】
金属層22は、図3に示したように、熱可塑性樹脂層24を介して基材層21に接着されてもよい。この場合、熱可塑性樹脂層24は、接着層として機能している。熱可塑性樹脂層24の例は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、エチレン-不飽和エステル共重合樹脂、又はポリエステル系共重合樹脂等である。熱可塑性樹脂層24の厚さの例は、3μm以上40μm以下であり、5μm以上35μm以下でもよい。
【0038】
金属層22が熱可塑性樹脂層24を介して基材層21に接着されている形態では、基材層21と金属層22との間に熱可塑性樹脂層24となるべき樹脂をTダイなどから押し出す方法(押出ラミネート法)によって、基材層21と金属層22とがラミネートされ得る。基材層21と金属層22は、たとえば、本技術分野において用いられる接着剤を用いて接着されてもよい。
【0039】
上記積層シート20は、たとえば、押出ラミネート法、ドライラミネート法等によって製造され得る。
【0040】
積層シート20は、以下の条件Iを満たすように構成されている。
[条件I]
基材層21の単位面積当たりの重量をG1[g/m]とし、積層シート20の単位面積当たりの重量をG2[g/m]とし、金属層22の単位面積当たりの重量をG3[g/m]とした場合、上記G1、上記G2および上記G3が式(A)を満たす。本実施形態において、G1は、基材層21を構成する紙の坪量である。G2は、蓋体10の単位面積当たりの重量に相当する。
0.75≦{G1+(2×G3)}/G2・・・(A)
上記G1は、たとえば、基材層21を構成する紙の水分率が3%以上7%以下の場合の値とし得る。
【0041】
積層シート20は、上記G1、G2およびG3が、以下の式(B)を満たすように構成されていてもよい。
0.9≦{G1+(2×G3)}/G2・・・(B)
【0042】
式(A)および式(B)の上限値の例は、1.3でもよいし、1.1でもよい。
【0043】
積層シート20が金属層22を有しない場合、式(A)においてG3=0である。よって、積層シート20が金属層22を有しない場合、条件Iは、以下の条件IIに相当する。
[条件II]
上記G1および上記G2が式(A1)を満たす。
0.75≦G1/G2・・・(A1)
【0044】
積層シート20が金属層22を有しない場合、積層シート20は、上記G1およびG2が、以下の式(B1)を満たすように構成されていてもよい。
0.9≦G1/G2・・・(B1)
【0045】
積層シート20の層構成(蓋体10の層構成)などは、上記条件I(または条件II)を満たすように設定されている。上記層構成は、層数、各層の材料、厚さなどを含む。
【0046】
次に、図1図4および図5を用いて蓋体10の作用効果を説明する。蓋体10は、図1に示したように、即席食品1を収納した容器2の開口端部2bに貼合される。これによって、容器2が蓋体10によって閉じられる。開口端部2bへの蓋体10の貼合は、ヒートシールによってなされ得る。
【0047】
ユーザが、容器2内の即席食品1を食す場合、ユーザは、図4に示したように、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の少なくとも一方を用いて蓋体10を半分程度、容器2から剥がす。これにより生じた開口を利用して、ユーザは、湯供給部(やかん、ポットなど)から熱湯3を容器2内に注ぐ。その後、ユーザは、図5に示したように、蓋体10のうち容器2から剥がされた部分を容器2側に戻し、熱湯3を注ぐための開口を再度塞ぐ。この場合、第1摘まみ片121を開口端部2bの外縁に沿って折り曲げることによって、第1摘まみ片121を容器2に止める。同様に、第2摘まみ片122を開口端部2bの外縁に沿って折り曲げることによって、第2摘まみ片122を容器2に止める。これにより、蓋体10のうち容器2から引き剥がされた部分が、容器2に2箇所で再度止められ、熱湯3を注ぐために形成された開口が閉じられる。この状態で一定時間(たとえば3分)経過した後、ユーザは、蓋体10を容器2から分離する。
【0048】
蓋体10を構成する積層シート20が上記条件I(または条件II)を満たすことから、蓋体10で容器2を再封した場合に、蓋体10がめくれにくい(すなわち、容器2が開封されにくい)。すなわち、粘着テープなどのように蓋体10とは別の部品を用いなくても蓋体10の構成自体で、安定して且つ容易に容器2を再封できる。このように粘着テープなどが不要であることから、粘着テープなどを準備する手間も省ける。粘着テープなどが不要であることから、資源消費を低減でき、蓋体10の構成は環境負荷の低減に寄与する。蓋体10で容器2を安定して再封できることから蒸気漏れなどが生じにくい。その結果、蒸気漏れによる湯温の低下、湯量の減少等を抑制できるので、即席食品1を熱湯3で適切に保温することが可能である。
【0049】
蓋体10を構成する積層シート20が上記式(A1)または式(B1)を満たす形態では、蓋体10で容器2を再封した場合に、容器2内に注がれた湯の影響によって蓋体10がめくれることなどが抑制され易い。すなわち、蓋体10でより安定して容器2を再封可能である。
【0050】
蓋体10が2つの摘まみ片12(第1摘まみ片121および第2摘まみ片122)を有することから、蓋体10で容器2を再封する場合、2箇所で蓋体10を止めることができる。そのため、容器2内に注がれた湯の影響で蓋体10がめくれることによって容器2が一部開封されてしまうことをより抑制できる。
【0051】
蓋体10が有する基材層21が紙製である形態では、基材層にたとえばプラスチックフィルムを使用する場合に比べて環境負荷を低減可能である。
【0052】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る蓋体10Aの平面図である。蓋体10Aは、蓋体10の代わりに図1に示した容器2に適用され得る。蓋体10Aは、蓋体10と同様に、本体部11と、少なくとも2つの摘まみ片12とを有する。第2実施形態でも、蓋体10Aが2つの摘まみ片12を有する形態を説明する。2つの摘まみ片12を区別する場合、2つの摘まみ片12を第1摘まみ片121および第2摘まみ片122と称すことは第1実施形態の 場合と同様である。
【0053】
蓋体10Aが有する本体部11、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の形状、配置関係などは蓋体10の場合と同様である。したがって、第2実施形態においても、本体部11は、中心11aを有する直径Dの円形である。第1摘まみ片121および第2摘まみ片122は第1頂部121aおよび第2頂部122aを有する舌片状または略三角形状の摘まみ片である。第1摘まみ片121および第2摘まみ片122は、仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度θが第1実施形態の場合と同様に所定角度範囲であるように配置されている。仮想直線14aおよび仮想直線14bの定義は、第1実施形態の場合と同様である。
【0054】
図7に示したように、蓋体10Aは、紙製の基材層31および熱接着樹脂層33を含む積層シート30によって形成されている。図7は、蓋体10Aを形成する積層シート30の層構成を説明するための模式図である。積層シート30は、図7に示したように、金属層32および熱可塑性樹脂層34を有してもよい。
【0055】
基材層31、金属層32、熱接着樹脂層33および熱可塑性樹脂層34は、第1実施形態で説明した基材層21、金属層22、熱接着樹脂層23および熱可塑性樹脂層24に相当する。基材層31、金属層32、熱接着樹脂層33および熱可塑性樹脂層34の配置関係および構成例(材料の例、厚さの例などを含む)は、第1実施形態における対応する層と同様であるため説明を省略する。
【0056】
積層シート30は、以下の条件IIIを満たすように構成されている。
[条件III]
積層シート30と同じ層構成を有する矩形のサンプル片であって短辺方向の長さが15mmであり長辺方向の長さが100mmであるサンプル片を、熱接着樹脂層33が接するように長手方向の中央部で折り曲げた後、復元に伴う移動が停止した段階でのサンプル片の復元角度(或いは開き角)を積層シート30のデッドホールド値と定義した場合、デッドホールド値が5度以上25度以下である。
【0057】
上記条件IIIを図8および図9を利用して更に説明する。図8は、デッドホールド値を測定するために使用するサンプル片Sの平面図であり、図9は、デッドホールド値の測定方法を説明する図面である。
【0058】
図8に示したように、短辺方向の長さが15mmであり長辺方向の長さが100mmであるサンプル片Sを準備する。サンプル片Sの層構成は、積層シート30と同じである。サンプル片Sは、積層シート30から切り出されることで準備され得る。
【0059】
上記サンプル片Sを、図9に示したように長手方向における中央部の位置で半分に折り曲げる。この際、熱接着樹脂層33が内側になるように(換言すれば、対向するように)、サンプル片Sを折り曲げる。このようにサンプル片Sを折り曲げた後に、サンプル片Sのうち折り曲げられた領域の復元に伴う移動が停止した段階におけるサンプル片Sの復元角度α(度)を測定し、その復元角度αをデッドホールド値と定義する。条件IIIは、復元角度αが5度以上25度以下であることを規定している。上記「停止」の意味は、3秒の間、3度以下の角度変動である場合を含む。
【0060】
デッドホールド値(復元角度α)は、10度以上20度以下でもよい。
【0061】
積層シート30のMD方向(流れ方向)とTD方向(幅方向であり、MD方向に直交する方向)のデッドホールド値に違いが生じる場合には、MD方向およびTD方向のデッドホールド値の平均値を上記積層シート30のデッドホールド値として採用してもよい。
【0062】
積層シート30によって構成される蓋体10Aを容器2(図1参照)に適用した場合の蓋体10Aの使用方法は、蓋体10の場合と同様である。よって、蓋体10Aでも容器2を再封する場合、摘まみ片12を折り曲げることで蓋体30Aを容器2に止めることが可能である。そのため、蓋体10Aによって容器2を容易に再封できる。
【0063】
蓋体10Aでは、積層シート30のデッドホールド値(復元角度α)が5度以上25度以下であることから、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122を折り曲げた場合、その折り曲げ状態が維持され易い。そのため、蓋体10Aが容器2に止められた状態を維持できることから、安定して容器2を再封できる。すなわち、蓋体10Aがめくれることなどによって容器2の一部が開封されることが抑制される。したがって、粘着テープなど蓋体10Aとは別の部品を用意することなく、蓋体10A自体で容器2を再封できる。その結果、資源消費を低減できるので、蓋体10Aの構成も環境負荷の低減に資する構成である。蓋体10Aがめくれたりして、容器2が部分的に開封されることが抑制されていることから、容器2に注がれた熱湯3の温度が低下しにくく、また、熱湯3の量も減少しにくい。その結果、即席食品1を適切に保温することが可能である。
【0064】
デッドホールド値(復元角度α)が大きい場合、形状維持の効果は低減する一方、シワの入り難さ(外観)は向上する。デッドホールド値(復元角度α)が10度以上20度以下である場合、摘まみ片12の折り曲げ状態を維持しながら美粧性も確保できる。
【0065】
蓋体10Aが2つの摘まみ片(第1摘まみ片121および第2摘まみ片122)を有することから、蓋体10Aで容器2を再封する場合、2箇所で蓋体10を止めることができる。そのため、蓋体10Aによって容器2をより安定して再封可能である。
【0066】
蓋体10Aが有する基材層21が紙製である形態では、第1実施形態の場合と同様に、基材層にたとえばプラスチックフィルムを使用する場合に比べて環境負荷を低減可能である。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれること、および、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0068】
摘まみ片の数は、3個以上でもよい。
【0069】
上記実施形態および変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。したがって、たとえば、第1実施形態の積層シート(または蓋体)が第2実施形態で説明した条件IIIを更に満たすように構成されていてもよい。
【実施例0070】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0071】
(1)実施例1~8および比較例1,2の説明
(実施例1)
実施例1では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。以下の層構成において、積層シートを用いて構成される蓋体を容器に貼り付ける場合、熱接着樹脂層が最も容器側に位置する層である。後述する実施例2~8、比較例1および比較例2における層構成においても同様である。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0072】
基材層は、坪量が79.1g/mの片面アート紙であった。基材層の単位面積当たりの重量G1は、上記坪量であり79.1g/mであった。
熱可塑性樹脂層は、ポリエチレン(PE)(押出ラミネート用LDPE)を基材層と金属層との間に厚さが13μmとなるように押し出すことによって形成された層であった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法によって形成された厚さ13μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さ6μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。金属層の単位面積当たりの重量G3は、16.2g/mであった。
熱接着樹脂層は、ポリエチレン(PE)を金属層上に厚さが40μmとなるように押し出すことによって形成された層であった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ40μmのポリエチレン層であった。熱接着樹脂層に用いたポリエチレンは、熱可塑性樹脂層のポリエチレンと同じであった。
【0073】
積層シートの重量を電子天秤(型番:UW4200H)で測定した。測定結果である重量を、積層シートの面積(厚さ方向からみた場合の面積)で除することによって得られた積層シートの単位面積当たりの重量G2は、145g/mであった。
【0074】
上記積層シートを、図2または図6に示した形状に加工して蓋体を得た。実施例1の蓋体において、本体部(図2または図6の本体部11に相当する部分)は円形であり、本体部の直径(図2または図6の直径Dに相当)は96.5mmであった。蓋体は、本体部から外側に張り出した第1摘まみ片および第2摘まみ片を有していた。第1摘まみ片および第2摘まみ片は図2または図6に示した第1摘まみ片121および第2摘まみ片122に対応する部分である。第1摘まみ片および第2摘まみ片は第1頂部および第2頂部を有する舌片状を呈していた。実施例1の蓋体において蓋体の最大長(図2または図6の長さLに相当)は106.5mmであった。更に、図2または図6に示した仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度θ(中心角)は90度であった。
【0075】
(実施例2)
実施例2では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0076】
基材層は、実施例1の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が79.1g/mの片面アート紙であった。基材層の単位面積当たりの重量G1は、上記坪量であり、79.1g/mであった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが15μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ15μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さ7μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。金属層の単位面積当たりの重量G3は、18.9g/mであった。
熱接着樹脂層は、厚さが35μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ35μmのポリエチレン層であった。
【0077】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、141g/mであった。
【0078】
実施例2で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例2の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0079】
(実施例3)
実施例3では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/中間樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0080】
基材層は、坪量が127.9g/mの片面アート紙であった。基材層の単位面積当たりの重量G1は、上記坪量であり、127.9g/mであった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが20μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。実施例3では、熱可塑性樹脂層を形成するポリエチレンは、基材層と中間樹脂層との間に押し出された。
中間樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)であった。
金属層は、実施例2の金属層と同じであった。すなわち、金属層は、厚さが7μmのアルミニウム箔であった。そのため、金属層の単位面積当たりの重量G3も実施例2の場合と同じであった。金属層は、接着剤gを用いて中間樹脂層に貼合された。接着剤gは、ウレタン系接着剤(二液硬化型ポリエステルポリウレタン接着剤)であった。
熱接着樹脂層は、厚さが30μmのポリエチレンフィルム(PP容器用イージーピールフィルム)であった。熱接着樹脂層は、接着剤gを用いて金属層に貼合された。
【0081】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、210g/mであった。
【0082】
実施例3で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例3の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0083】
(実施例4)
実施例4では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
最外樹脂層/基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0084】
最外樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)であった。
基材層は、坪量が104.7g/mの片面アート紙であった。基材層の単位面積当たりの重量G1は、上記坪量であり、104.7g/mであった。基材層は、接着剤gを用いて最外樹脂層に貼合された。
熱可塑性樹脂層は、実施例2の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ15μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さが15μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。金属層の単位面積当たりの重量G3は、40.5g/mであった。
熱接着樹脂層は、厚さが25μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ25μmのポリエチレン層であった。
【0085】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、200g/mであった。
【0086】
実施例4で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例4の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0087】
(実施例5)
実施例5では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0088】
基材層は、実施例3の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が127.9g/mの片面アート紙であった。よって、基材層の単位面積当たりの重量G1も実施例3の場合と同じであった。
熱可塑性樹脂層は、実施例3の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さ12μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。金属層の単位面積当たりの重量G3は、32.4g/mであった。
熱接着樹脂層は、厚さが20μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。
【0089】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、200g/mであった。
【0090】
実施例5で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例5の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0091】
(実施例6)
実施例6では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/中間樹脂層/熱接着樹脂層
【0092】
基材層は、坪量が150g/mの片面アート紙であった。基材層の単位面積当たりの重量G1は、上記坪量であり、150g/mであった。
熱可塑性樹脂層は、実施例5の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。実施例6では、熱可塑性樹脂層を形成するポリエチレンは、基材層と中間樹脂層との間に押し出された。
中間樹脂層は、厚さ9μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)であった。
熱接着樹脂層は、実施例5の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。
【0093】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、200g/mであった。
【0094】
実施例6で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例6の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0095】
(実施例7)
実施例7では、実施例1と同じ積層シートを準備した。そのため、基材層の単位面積当たりの重量G1および積層シートの単位面積当たりの重量G2は、実施例1の場合と同じであった。
【0096】
実施例7で準備した上記積層シートを用いて蓋体を作製した。実施例7の蓋体は、図2または図6に示した仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度θ(中心角)が120度である点以外は実施例1と同じ平面視形状を有していた。すなわち、実施例7の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片は角度θ(中心角)が120度であるように配置されていた。
【0097】
(実施例8)
実施例8では、実施例1と同じ積層シートを準備した。そのため、基材層の単位面積当たりの重量G1および積層シートの単位面積当たりの重量G2は、実施例1の場合と同じであった。
【0098】
実施例8で準備した上記積層シートを用いて蓋体を作製した。実施例8の蓋体は、本体部の直径が180mmである点で主に実施例1と異なっていた。実施例8の蓋体は、実施例1と同様に、円形の本体部と、第1摘まみ部と、第2摘まみ部を有していた。実施例8において、上記本体部の直径(図2または図6の直径Dに相当)は180mmであった。実施例8の蓋体の最大長(図2または図6の長さLに相当)は190mmであった。実施例9の蓋体において、図2または図6に示した仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度θ(中心角)は実施例1の場合と同様に90度であった。
【0099】
(比較例1)
比較例1では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0100】
基材層は、実施例1の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が79.1g/mの片面アート紙であった。よって、基材層の単位面積当たりの重量G1も実施例1の場合と同じであった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが17μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ17μmのポリエチレン層であった。
金属層は、実施例1の金属層と同じであった。すなわち、金属層は、厚さ6μmのアルミニウム箔であった。よって、金属層の単位面積当たりの重量G3も実施例1の場合と同じであった。
熱接着樹脂層は、厚さが45μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ45μmのポリエチレン層であった。
【0101】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、155g/mであった。
【0102】
比較例1で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、比較例1の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0103】
(比較例2)
比較例2では、以下の層構成を有する積層シートを準備した。
最外樹脂層/基材層/熱可塑性樹脂層/中間樹脂層/熱接着樹脂層
【0104】
最外樹脂層は、実施例4の最外樹脂層と同じであった。すなわち、最外樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであった。
基材層は、実施例3および実施例5の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が127.9g/mの片面アート紙であった。よって、基材層の単位面積あたりの重量G3も実施例3および実施例5の場合と同様であった。基材層は、実施例4の場合と同様に、接着剤gを用いて最外樹脂層に貼合された。
熱可塑性樹脂層は、実施例3および実施例5の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。比較例2においても、熱可塑性樹脂層を形成するポリエチレンは、基材層と中間樹脂層との間に押し出された。
中間樹脂層は、実施例3の中間樹脂層と同じであった。すなわち、中間樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであった。
熱接着樹脂層は、実施例3の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、厚さ30μmのポリエチレンフィルムであった。熱接着樹脂層は、実施例3の場合と同様に、接着剤gを使用して中間樹脂層に貼合された。
【0105】
実施例1の場合と同様にして算出した積層シートの単位面積当たりの重量G2は、210g/mであった。
【0106】
比較例2で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、比較例2の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0107】
上記実施例1~8および比較例1,2に示した単位面積当たりの重量G1,G2およびG3に基づいて、以下の式(C)で表されるGを算出した。算出結果は、表1のとおりであった。
G={G1+(2×G3)}/G2・・・(C)
実施例6および比較例2の積層シートは金属層を有しない。そのため、G3=0として上記Gを算出した。
【0108】
<再封性評価試験1>
実施例1~8および比較例1,2における蓋体を用いた容器の再封性評価試験を実施した。試験方法は次のとおりであった。
【0109】
(試験方法)
準備した蓋体を図1に示したように容器にヒートシールしたサンプルを10個準備した。容器には、市販の即席麺用容器として用いられている縦型容器を使用した。容器の開口端部側の直径は96.5mmであった。
【0110】
サンプルの蓋体の半分を容器から引き剥がし、容器を半分開封した。その後、開封箇所から熱湯を300ml注いだ。次いで、蓋体のうち容器から剥がされた部分を容器側に戻し、蓋体が有する摘まみ片を容器の開口端部の外縁に沿って折り曲げることによって蓋体を容器に止めた。このようにして再封した状態を3分間経過観察した。この観察結果を次の基準で評価した。実施例1~8および比較例1,2の再封性評価試験では第1摘まみ片および第2摘まみ片を容器の開口端部の外縁に沿って折り曲げることによって容器を蓋体で再封した。
10個のサンプル全てにおいて、容器が開封しなかった(すなわち、蓋体がめくれなかった)場合を「A」と評価し、それ以外を「B」と評価した。
【0111】
(評価結果)
実施例1~8の蓋体および比較例1,2の蓋体に対する上記再封性評価試験1の結果それぞれは表1および表2のとおりであった。
【0112】
【表1】

【表2】
【0113】
表1に示したように、実施例1~8では再封性の評価結果が「A」であった。これに対して、表2に示したように、比較例1,2では再封性の評価結果が、何れも「B」であった。そのため、式(C)で表されるGが0.75以上である場合、容器が開封されずに安定して蓋体で再封できることが理解され得る。式(C)で表されるGは、式(A)の右辺に相当する。実施例6のように、G3=0である場合、式(C)で表されるGは、式(A1)の右辺に相当する。したがって、蓋体を構成する積層シート(或いは蓋体)が条件Iまたは条件II(条件IにおいてG3=0の場合)を満たすことで、容器を蓋体で再封した場合、容器が開封されない。すなわち、安定して蓋体で容器を再封できる。表には示されていないが、再封性評価試験1を実施した場合の観察に基づけば、実施例4,5においてより安定して再封できていた。そのため、上記表1におけるGが0.9以上(換言すれば、条件(B)または条件(B1)を満たすこと)でより安定して再封し易い。
【0114】
(2)実施例1a,2a,3a,4a.5a,6a,7a,8aおよび比較例1a,2aの説明
実施例1aでは実施例1と同じ積層シートを準備し、実施例1と同じ蓋体を作製した。
実施例2aでは実施例2と同じ積層シートを準備し、実施例2と同じ蓋体を作製した。
実施例3aでは実施例3と同じ積層シートを準備し、実施例3と同じ蓋体を作製した。
実施例4aでは実施例4と同じ積層シートを準備し、実施例4と同じ蓋体を作製した。
実施例5aでは実施例5と同じ積層シートを準備し、実施例5と同じ蓋体を作製した。
実施例6aでは実施例6と同じ積層シートを準備し、実施例6と同じ蓋体を作製した。
実施例7aでは実施例7と同じ積層シートを準備し、実施例7と同じ蓋体を作製した。
実施例8aでは実施例8と同じ積層シートを準備し、実施例8と同じ蓋体を作製した。
【0115】
比較例1aでは比較例1と同じ積層シートを準備し、比較例1と同じ蓋体を作製した。同様に、比較例2aでは比較例2と同じ積層シートを準備し、比較例2と同じ蓋体を作製した。
【0116】
<デッドホールド値の測定>
実施例1a~8aおよび比較例1a,2aにおいて準備した積層シートのデッドホールド値を、第2実施形態において図8および図9を用いて説明した方法に従って測定した。測定では、実施例1a~8aおよび比較例1a,2aにおいて準備した積層シートそれぞれからMD方向およびTD方向に沿ったサンプル片S(図8参照)を切り出し、各積層シートのMD方向およびTD方向のデッドホールド値(図9に示した復元角度α)を得た。測定において、図9に実線で示したようにサンプル片Sを折り曲げた状態から、サンプル片Sが開いて停止するまでの時間は約1分であった。すなわち、デッドホールド値の測定では、サンプル片Sを折り曲げてから約1分後の復元角度αが測定された。測定結果は表2のとおりであった。表3および表4に示すように、MD方向およびTD方向にデッドホールド値の平均値を算出し、積層シートのデッドホールド値として採用した。
【0117】
<再封性評価試験2>
実施例1a~8aおよび比較例1a,2aにおける蓋体を用いた容器の再封性評価試験を実施した。試験方法および評価基準は、再封性評価試験1と同じであった。実施例1a~8aの評価結果は、表3のとおりであった。比較例1a,2aの評価結果は、表4のとおりであった。
【表3】

【表4】
【0118】
表3に示したように、実施例1a~8aでは再封性の評価結果が「A」であった。これに対して、表4に示したように、比較例1a,2aでは再封性の評価結果は何れも「B」であった。そのため、積層シート(或いは蓋体)のデッドホールド値(MD方向およびTD方向の平均値)が5度以上25度以下である場合、すなわち、積層シート(蓋体)が上記条件IIIを満たす場合、容器が開封されずに安定して蓋体で再封できることが理解され得る。表には示されていないが、再封性評価試験2を実施した場合の観察に基づけば、実施例4a,5aにおいてより安定して再封できていた。そのため、デッドホールド値が10度以上20度以下である場合、より安定して再封し易い。
【符号の説明】
【0119】
1…即席食品、2…容器、2a…開口、2b…開口端部、3…熱湯(湯)、10…蓋体、11…本体部、11a…中心、12…摘まみ片、121…第1摘まみ片、121a…第1頂部、122…第2摘まみ片、122a…第2頂部、14a,14b…仮想直線、20…積層シート、21…基材層、22…金属層、23…熱接着樹脂層、24…熱可塑性樹脂層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9