(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072730
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】冷却ロールおよび冷却ロールの製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/56 20060101AFI20230518BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C23C14/56 D
F16C13/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185339
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 吉幸
【テーマコード(参考)】
3J103
4K029
【Fターム(参考)】
3J103AA02
3J103AA14
3J103AA24
3J103AA33
3J103AA35
3J103AA47
3J103AA69
3J103AA80
3J103AA81
3J103AA85
3J103BA13
3J103CA03
3J103CA62
3J103CA78
3J103EA05
3J103EA11
3J103FA01
3J103GA02
3J103GA52
3J103HA04
3J103HA05
3J103HA15
3J103HA19
3J103HA33
3J103HA37
3J103HA52
4K029AA11
4K029AA25
4K029BA07
4K029BA08
4K029BA12
4K029BA25
4K029BB02
4K029BC03
4K029BD02
4K029CA05
4K029DA04
4K029DC03
4K029DC04
4K029JA10
4K029KA03
(57)【要約】
【課題】インナドラムとアウタパイプとの間の熱伝達を改善した冷却ロールを提供する。
【解決手段】冷却ロールAAは、内部に冷媒循環路12を有するインナドラム10と、インナドラム10の外周に焼き嵌めされたアウタパイプ20と、インナドラム10の外周面とアウタパイプ30の内周面との間に設けられた伝熱シート30とを有する。インナドラム10の外周面およびアウタパイプ30の内周面の凹凸に沿って伝熱シート30が変形することで、インナドラム10とアウタパイプ20との間の隙間がなくなり、熱が伝わりやすくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒循環路を有するインナドラムと、
前記インナドラムの外周に焼き嵌めされたアウタパイプと、
前記インナドラムの外周面と前記アウタパイプの内周面との間に設けられた伝熱シートと、を備える
ことを特徴とする冷却ロール。
【請求項2】
前記伝熱シートは、銅、アルミニウム、銀または金で形成された金属箔、または炭素繊維シートである
ことを特徴とする請求項1記載の冷却ロール。
【請求項3】
前記伝熱シートの厚さは1~30μmである
ことを特徴とする請求項1または2記載の冷却ロール。
【請求項4】
前記インナドラムと前記アウタパイプとの間に設けられたガス導入路と、
前記アウタパイプに形成され前記ガス導入路に通じるガス放出孔と、を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の冷却ロール。
【請求項5】
内部に冷媒循環路を有するインナドラムの外周面を伝熱シートで覆う被覆工程と、
前記インナドラムの外周にアウタパイプを焼き嵌める焼き嵌め工程と、を備える
ことを特徴とする冷却ロールの製造方法。
【請求項6】
前記伝熱シートは、銅、アルミニウム、銀または金で形成された金属箔、または炭素繊維シートである
ことを特徴とする請求項5記載の冷却ロールの製造方法。
【請求項7】
前記伝熱シートの厚さは1~30μmである
ことを特徴とする請求項5または6記載の冷却ロールの製造方法。
【請求項8】
前記被覆工程の前に、前記インナドラムの外周面にガス導入路用の溝を形成する溝形成工程と、
前記焼き嵌め工程の後に、前記アウタパイプに前記ガス導入路に通じるガス放出孔を形成する孔形成工程と、を備える
ことを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の冷却ロールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ロールおよび冷却ロールの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、スパッタリング装置のキャンロールなどとして用いられる冷却ロール、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、焼き嵌め法によるキャンロールの製造方法が開示されている。具体的には、まず、インナドラムと、内径がインナドラムの外径よりも若干小さいアウタパイプとを準備する。アウタパイプを加熱して熱膨張させた状態で、その内部にインナドラムを挿入する。アウタパイプの温度が低下して収縮すると、インナドラムとアウタパイプとが強固に結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
焼き嵌め法による結合後はインナドラムの外周面とアウタパイプの内周面とが接触することになる。これらの表面が粗いとインナドラムとアウタパイプとが密着せず、それらの間で熱が伝わりにくくなる。これによりキャンロールの冷却能力が低下する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、インナドラムとアウタパイプとの間の熱伝達を改善した冷却ロール、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷却ロールは、内部に冷媒循環路を有するインナドラムと、前記インナドラムの外周に焼き嵌めされたアウタパイプと、前記インナドラムの外周面と前記アウタパイプの内周面との間に設けられた伝熱シートと、を備えることを特徴とする。
本発明の冷却ロールの製造方法は、内部に冷媒循環路を有するインナドラムの外周面を伝熱シートで覆う被覆工程と、前記インナドラムの外周にアウタパイプを焼き嵌める焼き嵌め工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インナドラムの外周面およびアウタパイプの内周面の凹凸に沿って伝熱シートが変形することで、インナドラムとアウタパイプとの間の隙間がなくなり、熱が伝わりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る冷却ロールの縦断面図である。
【
図2】図(A)は、一態様に係るインナドラム、伝熱シートおよびアウタパイプの分解斜視図である。図(B)は、他の態様に係るインナドラム、伝熱シートおよびアウタパイプの分解斜視図である。
【
図3】インナドラム、伝熱シートおよびアウタパイプの接触部位の模式図である。
【
図5】第2実施形態に係る冷却ロールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る冷却ロールは、種々の処理装置に組み込むことができる。冷却ロールは、特に、長尺帯状の処理対象物をロールツーロールで搬送しつつ処理を施す装置に好適に用いられる。冷却ロールは、例えば、成膜装置、プラズマ処理装置、イオンビーム処理装置などに用いられる。成膜装置として、蒸着装置、スパッタリング装置などがある。また、蒸着装置として、電子ビーム蒸着装置、抵抗加熱蒸着装置、高周波誘導加熱蒸着装置などがある。
【0010】
例えば、スパッタリング装置SPは
図6に示す構成を有している。
図6に示すスパッタリング装置SPは、ロールツーロールにより長尺帯状の被成膜品F1を搬送しつつ、スパッタリングにより被成膜品F1に成膜して成膜品F2を連続的に製造する装置である。
【0011】
スパッタリング装置SPは真空チャンバー90を有する。真空チャンバー90の内部には、巻出部91と、巻取部93とが配置されている。巻出部91は被成膜品F1をロール状に巻回した被成膜品ロールから被成膜品F1を巻き出す。巻取部93は成膜品F2を巻き取って成膜品ロールを形成する。
【0012】
被成膜品F1は巻出部91から巻取部93に向かって搬送される。真空チャンバー90の内部には、被成膜品F1の搬送経路を画定する各種のロールが設けられている。この種のロールとして、フリーロール、張力センサロール、フィードロールなどが挙げられる。被成膜品F1はこれらのロールに巻きつけられて搬送される。また、被成膜品F1の搬送経路にはキャンロール92が配置されている。
【0013】
キャンロール92の外周面に対向する位置には、被成膜品F1の搬送経路に沿って複数のスパッタリングカソード94~97が設けられている。各スパッタリングカソード94~97には、キャンロール92の外周面に対向する面にターゲットが取り付けられている。ターゲットから叩き出されたスパッタ粒子が被成膜品F1の表面上に堆積することで成膜が行なわれる。
【0014】
キャンロール92はスパッタリング処理により熱せられる被成膜品F1を冷却する機能を有する。本実施形態の冷却ロールは、例えば、このキャンロール92として用いられる。
【0015】
スパッタリング装置SPの用途は特に限定されないが、例えば、銅張積層板の製造に用いられる。この場合、被成膜品F1として樹脂フィルムなどのベースフィルムを用いる。最も上流のスパッタリングカソード94にニッケルクロム合金のターゲットを取り付け、下流のスパッタリングカソード95~97に銅のターゲットを取り付ける。スパッタリング処理を行なうと、ベースフィルムの表面にニッケルクロム合金層および銅層が積層される。必要に応じて湿式めっき法により銅層を厚膜化する。これにより銅張積層板が得られる。銅張積層板はフレキシブルプリント配線板の製造に用いられる。
【0016】
(冷却ロール)
つぎに、本実施形態の冷却ロールAAの構成を説明する。
図1に示すように、冷却ロールAAは、内部空間を有する円柱状のインナドラム10と、インナドラム10の外周に焼き嵌めされた円筒状のアウタパイプ20とを有する。インナドラム10およびアウタパイプ20は金属製である。インナドラム10およびアウタパイプ20の素材として、例えば、ステンレス鋼を用いることができる。また、インナドラム10をアルミニウム製とし、アウタパイプ20をステンレス製とするなど、これらを異種金属で構成してもよい。
【0017】
インナドラム10の両端部には回転軸11が設けられている。また、インナドラム10の内部には冷媒循環路12が設けられている。冷媒循環路12は冷却ロールAAの外部に設けられた冷媒冷却装置(図示せず)に接続されている。冷媒冷却装置で冷却された冷媒を冷媒循環路12に循環させることで、冷却ロールAAを冷却できる。冷媒として、例えば、冷却水などを用いることができる。
【0018】
インナドラム10とアウタパイプ20との間には、冷却ロールAAの軸方向に沿ったガス導入路41が円周方向に所定間隔で複数設けられている。アウタパイプ20には内周面と外周面とを連通する多数のガス放出孔42が形成されている。ガス放出孔42は一端がガス導入路41に通じ、他端がアウタパイプ20の外周面に開口している。ガス導入路41はロータリージョイント43を介してガス供給源(図示せず)に接続されている。ガス供給源から供給されたガスはガス導入路41を通り、ガス放出孔42から放出される。
【0019】
処理対象物は冷却ロールAAの外周面(アウタパイプ20の外周面)に巻き付けられて搬送される。冷却ロールAAの外周面には細かな凹凸が存在するため、処理対象物との間に隙間が生じる。この隙間の存在により処理対象物の熱が冷却ロールAAに伝わりにくくなる。冷却ロールAAの外周面と処理対象物との間の隙間にガスを導入することで、これらの間の熱伝達を改善できる。
【0020】
インナドラム10とアウタパイプ20とは焼き嵌め法により結合されている。すなわち、組み立て前の状態においては、アウタパイプ20の内径はインナドラム10の外径よりも若干小さく設定されている。アウタパイプ20を加熱して熱膨張させた状態で、その内部にインナドラム10を挿入する。アウタパイプ20の温度が低下して収縮すると、インナドラム10とアウタパイプ20とが強固に結合される。
【0021】
焼き嵌め法により結合された状態では、インナドラム10の外周面とアウタパイプ20の内周面とが接触する。これらの表面が粗いとインナドラム10とアウタパイプ20とが密着せず、それらの間で熱が伝わりにくくなる。これにより冷却ロールAAの冷却能力が低下する。
【0022】
そこで、本実施形態の冷却ロールAAは、
図2(A)に示すように、インナドラム10の外周面とアウタパイプ20の内周面との間に伝熱シート30が設けられている。伝熱シート30はインナドラム10の外周面の全体を覆うように設けられてる。伝熱シート30で覆われたインナドラム10の外周にアウタパイプ20を焼き嵌めする。そうすれば、インナドラム10の外周面とアウタパイプ20の内周面との間に伝熱シート30が挿入された状態となる。
【0023】
インナドラム10の外周面にはガス導入路41用の溝が複数形成されている。隣り合う溝の間の短冊状の面13がアウタパイプ20の内周面と係合する。インナドラム10とアウタパイプ20との間の熱伝達は、面13とアウタパイプ20の内周面との密着具合に影響される。したがって、伝熱シート30は、少なくとも、面13とアウタパイプ20の内周面との間に挿入されていればよい。
図2(A)に示すように、伝熱シート30はガス導入路41用の溝を跨いでインナドラム10の外周面の全体を覆えばよい。これに代えて、
図2(B)に示すように、伝熱シート30は面13のみを覆う複数の短冊状部材から構成されてもよい。
【0024】
図3に示すように、インナドラム10の外周面10Sおよびアウタパイプ20の内周面20Sには切削などに起因する細かな凹凸がある。これらの間に伝熱シート30を挿入すると、インナドラム10の外周面10Sおよびアウタパイプ20の内周面20Sの凹凸に沿って伝熱シート30が変形する。そうすると、インナドラム10と伝熱シート30とが密着するとともに、伝熱シート30とアウタパイプ20とが密着する。これにより、インナドラム10とアウタパイプ20との間の隙間がなくなり、熱が伝わりやすくなる。その結果、冷却ロールAAの冷却能力が高くなる。
【0025】
冷却ロールAAの冷却能力が高くなることから、処理対象物を効率よく冷却できる。例えば、スパッタリング装置SPでは、被成膜品F1の到達温度を低くできる。そのため、被成膜品F1として熱変形しやすいフィルムを用いても、フィルムの変形を抑制できる。
【0026】
なお、
図3は、インナドラム10、伝熱シート30およびアウタパイプ20の接触部位を模式的に示したものである。インナドラム10、伝熱シート30およびアウタパイプ20の間には不可避的に隙間が生じることがある。インナドラム10とアウタパイプ20との間の隙間が伝熱シート30を挿入することにより少なくなればよい。すなわち、これらの間の隙間が厳密な意味で完全になくならなくてもよい。
【0027】
伝熱シート30は、熱伝導率が高く、また、インナドラム10の外周面およびアウタパイプ20の内周面に存在する細かな凹凸に追従して変形するシートであればよい。伝熱シート30として金属箔が好適に用いられる。金属箔の素材としては、熱伝導率が高い、銅、アルミニウム、銀、金などが好ましい。また、伝熱シート30として炭素繊維シートを用いることもできる。
【0028】
伝熱シート30はインナドラム10の外周面およびアウタパイプ20の内周面に存在する細かな凹凸を吸収できる厚さがあればよい。伝熱シート30はインナドラム10の外周面およびアウタパイプ20の内周面の表面粗さ(最大高さRz)よりも厚ければよい。例えば、鏡面仕上げの表面粗さは最大高さRzが0.05~0.8μmである。この場合、伝熱シート30の厚さは1μm以上であればよい。また、微鏡面仕上げの表面粗さは最大高さRzが1.6~6.3μm、並仕上げの表面粗さは最大高さRzが12.5~25μmである。したがって、伝熱シート30の厚さは30μmあれば充分である。すなわち、伝熱シート30の厚さは1~30μmが好ましい。また、伝熱シート30として金属箔を用いる場合、入手のしやすさから、厚さ9~20μmがより好ましい。
【0029】
(冷却ロールの製造方法)
つぎに、
図4に基づき、本実施形態の冷却ロールAAの製造方法を説明する。
(1)溝形成工程
まず、インナドラム10の外周面に溝切り加工を行ない、ガス導入路41用の溝を形成する。
【0030】
(2)被覆工程
つぎに、インナドラム10の外周面を伝熱シート30で覆う。ここで、伝熱シート30はインナドラム10の外周面の全体を覆ってもよいし(
図2(A)参照)、ガス導入路41用の溝の間の面のみに設けてもよい(
図2(B)参照)。伝熱シート30として金属箔を用いる場合には、インナドラム10の外周面に金属箔を巻き付けた後、金属箔をゴムハンマーで叩けば、インナドラム10の外周面に金属箔を貼り付けることができる。粘着テープなどを用いて伝熱シート30をインナドラム10に貼り付けてもよい。
【0031】
(3)焼き嵌め工程
つぎに、インナドラム10の外周にアウタパイプ20を焼き嵌める。アウタパイプ20の内径はインナドラム10の外径よりも若干小さく設定されている。アウタパイプ20をバーナー、電気炉などで加熱して熱膨張させる。必要に応じてインナドラム10を冷却して収縮させてもよい。その状態で、アウタパイプ20の内部にインナドラム10を挿入する。アウタパイプ20の温度が低下して収縮すると、インナドラム10とアウタパイプ20とが強固に結合される。
【0032】
(4)孔形成工程
つぎに、アウタパイプ20にガス導入路41に通じるガス放出孔42を形成する。ガス放出孔42は伝熱シート30を貫通するよう形成される。ガス放出孔42はマイクロドリル、レーザドリルなどを用いて形成できる。
【0033】
なお、必要に応じて、アウタパイプ20の外周面を研磨してもよい。アウタパイプ20の外周面に傷付き防止のためのコーティングを施してもよい。また、インナドラム10の端部に側板を取り付けてもよい。
【0034】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係る冷却ロールBBを説明する。
図5に示すように、本実施形態の冷却ロールBBは、第1実施形態の冷却ロールAAにおいてガス導入路41およびガス放出孔42を有さない構成である。このように、ガスを放出する構成はなくてもよい。その余の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
冷却ロールBBはガス導入路41およびガス放出孔42を有さないため、その製造には溝形成工程および孔形成工程が不要である。インナドラム10の外周面を伝熱シート30で覆い(被覆工程)、インナドラム10の外周にアウタパイプ20を焼き嵌めればよい(焼き嵌め工程)。
【実施例0036】
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
図1に示す構成の冷却ロールを作成した。つまり、冷却ロールはガス導入路およびガス放出孔を有する。インナドラムおよびアウタパイプはステンレス製(SUS304)である。インナドラムの外径は390mmである。アウタパイプの板厚は5mmである。
【0037】
冷却ロールの外周面の温度を測定するため、冷却ロールの中央部に50mm幅の黒色ポリイミドテープを1周分貼り付けた。温度測定は、冷却ロールに熱流を加えて5分後に、黒色ポリイミドテープの表面温度を放射温度計で測定することにより行なった。
【0038】
(実施例1)
インナドラムとアウタパイプとの間に伝熱シートとして厚さ12μmの銅箔を挿入した。インナドラムの内部の冷媒循環路に水温5℃の冷却水を循環させた状態で、冷却ロールの外部から10W/m2の熱流を加えた。その結果、冷却ロールの外周面の表面温度は17.5℃であった。
【0039】
(実施例2)
インナドラムとアウタパイプとの間に伝熱シートとして厚さ30μmのアルミニウム箔を挿入した。インナドラムの内部の冷媒循環路に水温5℃の冷却水を循環させた状態で、冷却ロールの外部から10W/m2の熱流を加えた。その結果、冷却ロールの外周面の表面温度は18.6℃であった。
【0040】
(比較例1)
インナドラムとアウタパイプとの間に伝熱シートを挿入しなかった。インナドラムの内部の冷媒循環路に水温5℃の冷却水を循環させた状態で、冷却ロールの外部から10W/m2の熱流を加えた。その結果、冷却ロールの外周面の表面温度は22.5℃であった。
【0041】
以上より、インナドラムとアウタパイプとの間に伝熱シートを挿入すれば、冷却ロールの冷却能力が高くなることが確認された。