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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072860
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】シート分離装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/48 20060101AFI20230518BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20230518BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B65H3/48 320B
B65H1/04 320A
G03G15/00 405
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185552
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】江戸 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
【テーマコード(参考)】
2H072
3F343
【Fターム(参考)】
2H072BA03
2H072BA08
3F343FA02
3F343FA08
3F343FA09
3F343FA10
3F343FB01
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343HA34
3F343HD16
3F343HE04
3F343HE07
3F343HE08
3F343HE11
3F343HE27
3F343JD03
3F343JD04
3F343JD09
3F343JD28
3F343JD32
3F343JD39
3F343KB03
3F343KB14
3F343KB17
3F343LB08
3F343LC04
3F343LC08
3F343LD07
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】1つの送風部材によって第1規制部材と第2規制部材の吹出口に送風可能にする。
【解決手段】給紙部20に収容したシート束(用紙束P)の最上層のシート材を一枚ずつ分離して搬送部によって所定の搬送方向に送り出すシート分離装置において、シート束Pの搬送方向の前端位置を規制すると共に、シート束Pの前端に対向した第1吹出口221a、221b、223a、223bを有する第1規制部材(フロントフェンス220)と、シート束Pの搬送方向と直交する幅方向の両側位置を規制すると共に、シート束Pの幅方向両側に対向した第2吹出口230aを有する第2規制部材(サイドフェンス230)と、第1吹出口と第2吹出口にエアを供給する送風部材(送風機250)と、を有することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部に収容したシート束の最上層のシート材を一枚ずつ分離して搬送部によって所定の搬送方向に送り出すシート分離装置において、
前記シート束の前記搬送方向の前端位置を規制すると共に、前記シート束の前端に対向した第1吹出口を有する第1規制部材と、
前記シート束の前記搬送方向と直交する幅方向の両側位置を規制すると共に、前記シート束の幅方向両側に対向した第2吹出口を有する第2規制部材と、
前記第1吹出口と前記第2吹出口にエアを供給する送風部材と、
を有することを特徴とするシート分離装置。
【請求項2】
前記送風部材の送風口に、前記第1吹出口に連通した第1ダクトと、前記第2吹出口に連通した第2ダクトがそれぞれ接続され、前記第1ダクトと前記第2ダクトの分岐部に、エアの供給を前記第1ダクト又は前記第2ダクトに切替える切替部材を配設したことを特徴とする請求項1のシート分離装置。
【請求項3】
前記給紙部は、小サイズのシート材を積層した第1シート束と、前記小サイズよりも幅方向が大きい大サイズのシート材を積層した第2シート束の少なくとも2種類のシート束を選択的に収容可能であり、
前記給紙部に前記第1シート束を収容したときに、前記第1規制部材の前記第1吹出口が前記第1シート束の幅方向両側よりも外側に位置することを特徴とする請求項1又は2のシート分離装置。
【請求項4】
前記給紙部に前記第1シート束を収容しているときに前記切替部材を第2ダクトに切替可能であり、前記給紙部に前記第2シート束を収容しているときに前記切替部材を第1ダクトに切替可能であることを特徴とする請求項3のシート分離装置。
【請求項5】
前記第2吹出口の大きさが可変であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項のシート分離装置。
【請求項6】
前記搬送部の幅方向の両側に前記第1規制部材の前記第1吹出口が配設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項のシート分離装置。
【請求項7】
前記第2規制部材が昇降可能に配設されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項のシート分離装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項のシート分離装置を備え、前記搬送部で送り出された前記シート材に画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート束の最上層のシート材を一枚ずつ分離するシート分離装置と、分離されたシート材に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機やオフセット印刷機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置は、シート材としての用紙を供給する給紙部を備える。給紙部の給紙トレイには多数枚の用紙が積層された用紙束が収容され、用紙束の最上層の用紙を一枚ずつ分離して画像形成装置の画像形成部に搬送するようにしている。
【0003】
用紙を一枚ずつ分離するのにシート分離装置が使用される。シート分離装置は複数の方式があり、FRR方式、エアアシスト方式、エア吸着方式などが知られている。エアアシスト方式は、FRR方式の複数のコロ(ピックアップコロ、フィードコロ、セパレーションコロ)を備える他、フロントフェンス(第1規制部材)やサイドフェンス(第2規制部材)に設けた吹出口から用紙束の前端部や側端部に向けてエアを吹出して用紙を浮き上がらせるエアブロー機構を有する(特許文献1、2参照)。
【0004】
FRR方式のコロは、通常、フロントフェンスの長手方向中央の直上に配設される。当該コロは、経時的に紙粉の付着等によりコロ表面のゴム性能が劣化するので、定期的に点検・交換しないと用紙搬送不良(ジャム)が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、フロントフェンス(第1規制部材)の長手方向中央には、コロの点検・交換を容易にするための作業スペースが設けられている。したがって、フロントフェンスの吹出口は、フロントフェンスの長手方向中央を避けた両端側に分散して配設されていた。
【0006】
このため、フロントフェンスの左右の吹出口の間に収まる小サイズ紙の用紙束には、フロントフェンスからエアを吹き付けることができないので、サイドフェンス(第2規制部材)からエアを吹付けるようにしている。このため、フロントフェンスとサイドフェンスの双方に送風部材を配設しなければならず、フェンスの構造複雑化、大型化、高コスト化といった課題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、1つの送風部材によって第1規制部材と第2規制部材の吹出口に送風可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明のシート分離装置は、給紙部に収容したシート束の最上層のシート材を一枚ずつ分離して搬送部によって所定の搬送方向に送り出すシート分離装置において、前記シート束の前記搬送方向の前端位置を規制すると共に、前記シート束の前端に対向した第1吹出口を有する第1規制部材と、前記シート束の前記搬送方向と直交する幅方向の両側位置を規制すると共に、前記シート束の幅方向両側に対向した第2吹出口を有する第2規制部材と、前記第1吹出口と前記第2吹出口にエアを供給する送風部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1つの送風部材で第1規制部材と第2規制部材の吹出口に送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の全体構成図である。
図2A】シート分離装置の斜視図である。
図2B】用紙束とエンドフェンスを除いたシート分離装置の斜視図である。
図2C】サイドフェンスを狭めたシート分離装置の斜視図である。
図3】シート分離装置の側面図である。
図4A】大サイズの用紙束にエアを吹付けるときのシート分離装置の平面図である。
図4B】小サイズの用紙束にエアを吹付けるときのシート分離装置の平面図である。
図5】フロントフェンスの斜視図である。
図6】サイドフェンスの変形例を示す側面図である。
図7】本発明をインクジェット式画像形成装置に適用した実施形態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(●画像形成装置)
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置を電子写真方式のカラー複写機を例に図面を参照して説明する。カラー複写機は画像形成装置の一例であり、当該画像形成装置はカラー複写機に限定されないことは勿論である。すなわち、画像形成装置はモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、及びインクジェット記録装置のいずれか一つ、またはこれらの少なくとも2つ以上を組み合わせた複合機として構成することも可能である。
【0012】
なお、各図中の同一または相当する部分には同一の符号を付し、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0013】
以下の実施形態では記録媒体としてのシート材を「用紙」として説明するが、記録媒体は紙(用紙)に限定されない。記録媒体は紙(用紙)だけでなくOHPシートや布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。
【0014】
現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべて「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
【0015】
図1は本実施形態に係る画像形成装置100における画像形成部全体の概略構成図である。この画像形成装置100は、画像読取部から画像情報である画像データを受け取って電子写真方式により画像形成処理を行う。この画像形成装置100には、図1に示すように、イエロー(以下、「Y」と省略する。)、マゼンタ(以下、「M」と省略する。)、シアン(以下、「C」と省略する。)、ブラック(以下、「Bk」と省略する。)の各色用の4個の回転体としての潜像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが並設されている。
【0016】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの上側に、各ドラムの表面に静電潜像を形成するための光書込装置7が配設されている。当該光書込装置7から投射する光によって各ドラムの表面が露光されることで、前記画像データに対応した静電潜像がドラム表面に形成される。
【0017】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの下側には、駆動ローラ12A、対向ローラ12B、テンションローラ12C、従動ローラ12D、12Eを含む回転可能な複数のローラによって支持された無端ベルト状の中間転写ベルト8が配設されている。そして各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト8の水平パス部分に接触するように、そのベルト移動方向に並んで配置されている。
【0018】
各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの周りには、イエローYで代表して説明すると、帯電器2Y、各色対応の現像装置9Y、クリーニング装置4Y、除電ランプ3Y等の電子写真プロセス用部材がプロセス順に配設されている。中間転写ベルト8の下方には、多数の用紙を積層状態で蓄えた給紙部20、レジスト装置を構成する用紙状体搬送装置30、2次転写ローラ40、定着装置50が配設されている。給紙部20と用紙状体搬送装置30の間には、上流側から、ピックアップコロ21、用紙捌き機構22、搬送ローラ23~25が配設されている。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置100でフルカラー画像を形成する場合、まず、感光体駆動装置により、感光体ドラム1Yを図中矢印の方向に回転駆動しながら帯電器2Yで一様帯電した後、光書込装置7からの光ビームを照射して感光体ドラム1Y上にY静電潜像を形成する。このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーにより現像される。現像時には、現像ローラと感光体ドラム1Yとの間に所定の現像バイアスが印加され、現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム1Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。
【0020】
このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム1Yの回転に伴い、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト8とが接触する1次転写位置に搬送される。この1次転写位置において、中間転写ベルト8の裏面には、1次転写ローラ6Yにより所定のバイアス電圧が印加される。そして、このバイアス印加によって発生した1次転写電界により、感光体ドラム1Y上のYトナー像を中間転写ベルト8側に引き寄せ、中間転写ベルト8上に1次転写する。以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像も、中間転写ベルト8上のYトナー像に順次重ね合うように1次転写される。
【0021】
中間転写ベルト8上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト8の回転に伴い、2次転写位置に搬送される。一方、給紙部20からピックアップコロ21により繰り出された用紙が、用紙捌き機構22を経由して、各搬送ローラ23~25で搬送されて用紙状体搬送装置30(レジスト装置)に送られる。この用紙状体搬送装置30は上下一対で構成される挟持ローラ31を有し、挟持ローラ31で挟まれた用紙がレジスト(スキューと横レジ)補正され、中間転写ベルト8のトナー像とタイミングを合わせて2次転写位置に搬送される。
【0022】
そして、この2次転写位置において、2次転写ローラ40により用紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加され、そのバイアス印加により発生した2次転写電界及び2次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト8上のトナー像が用紙上に一括して2次転写される。2次転写されたトナー像は、その後、定着装置50による加熱・加圧によって用紙に定着される。画像が定着された用紙は、定着装置50から送出された後に、画像形成装置100から排出される。こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0023】
(●シート分離装置)
次に、本発明の実施形態に係るシート分離装置について説明する。図2A図2Cに示すように、給紙部20は、左右一対の固定側板210と、当該固定側板210の相互間に配設され用紙束PL、PSの前端位置を規制する第1規制部材としてのフロントフェンス220と、用紙束PL、PSの左右両側位置を規制する第2規制部材としての左右一対のサイドフェンス230と、用紙束PL、PSの後端位置を規制するエンドフェンス240を有する。サイドフェンス230は用紙束PL、PSの幅方向に移動調節可能とされ、またエンドフェンス240は前後方向に移動調節可能とされている。
【0024】
フロントフェンス220は、図5で後述するように複数部分に分割されている。本実施形態ではフロントフェンス220が左右のフェンス部221、223と中間のフェンス部222に3分割されている。
【0025】
左右のフェンス部221、223の上端部に、用紙束PLの前端部に対向する第1吹出口221a、221b、223a、223bが形成されている。これら第1吹出口は矩形状に開口し、用紙束PLの前端部に対して斜め上方に向けてエアを吹付け可能なように傾斜して形成されている。用紙束PLの前端部に対して斜め上方にエアを吹付けることにより、用紙束PLの最上層を効果的に捌いて一枚ずつの用紙に分離することができる。
【0026】
第1吹出口221a、221b、223a、223bの開口面積は、スライド式に開閉可能なシャッタ板等を第1吹出口221a、221b、223a、223bに取付けることで可変に構成することができる。そしてシャッタ板を所定位置に移動することにより、用紙サイズや用紙厚(坪量)に適した風量を第1吹出口221a、221b、223a、223bから吹出すことができる。
【0027】
一方、左右一対のサイドフェンス230の互いに対向した内側面に、第2吹出口230aが形成されている。第2吹出口230aの形状は図2A図2Cでは横長矩形状であるが、図6で後述するように縦長矩形状であってもよい。
【0028】
第2吹出口230aの位置は、フロントフェンス220に近いサイドフェンス230の前端部に形成するのが望ましい。第2吹出口230aからのエアでシート束の最上層を捌いて一枚ずつに分離した用紙を、ピックアップコロ21と用紙捌き機構22の複数のコロ21、22a、22bでスムーズに順次搬送方向前方に送り出すことができる。
【0029】
第2吹出口230aの開口面積は、スライド式に開閉可能なシャッタ板等を第2吹出口230aに取付けることで可変に構成することができる。そしてシャッタ板を所定位置に移動することにより、用紙サイズや用紙厚(坪量)に適した風量を第2吹出口230aから吹出すことができる。
【0030】
フロントフェンス220の幅方向中央に位置する中央フェンス部222の上方に、搬送部としてのピックアップコロ21と、FRR方式の用紙捌き機構22が配設されている。用紙捌き機構22は、フィードコロ22aとセパレーションコロ22bを上下に配置したものである。フィードコロ22aとセパレーションコロ22bの当接部分は、フロントフェンス220の下流側に隣接する水平なガイド板280の切欠穴280aに収容されている。
【0031】
ピックアップコロ21とフィードコロ22aは、中間のアイドラギヤGによって同一方向に回転可能に構成されている。一方、セパレーションコロ22bは重送防止のため一定トルクでフィードコロ22aとは逆方向に回転可能に構成されている。ピックアップコロ21とフィードコロ22aは上下方向に揺動可能なアームAで支持され、当該アームAを上下方向に揺動させることで、ピックアップコロ21を用紙束PL、PSの上面に切離可能に構成されている。
【0032】
フロントフェンス220の第1吹出口221a、221b、223a、223bは、図3のように、第1ダクト260を通して送風部材としての送風機250の送風口250aと接続されている。図3はフェンス部221の第1吹出口221aを図示するが、他の第1吹出口221b、223a、223bも同様である。
【0033】
送風機250は、フロントフェンス220の下流側であって、セパレーションコロ22bの下方に配設されている。この送風機250は、シロッコファン、ターボファン、プロペラファンなど各種型式が可能である。
【0034】
送風機250の風量は固定式でもよいが可変式が望ましい。風量を可変式にすることで用紙サイズや用紙厚(坪量)に適した風量を送風口250aから吹出すことができる。
【0035】
サイドフェンス230の第2吹出口230aは、第2ダクト270を通して送風機250の送風口250aと接続されている。本実施形態ではサイドフェンス230に送風機を配設しないで済むので、コストダウンを図れると共に、サイドフェンス230の設計自由度を増大し、レイアウトの最適化を容易にすることができる。
【0036】
第1ダクト260と第2ダクト270は、図3のようにフロントフェンス220とサイドフェンス230の内部に形成する他、フロントフェンス220、サイドフェンス230とは別体の管部材によって構成することも可能である。このような部材として、例えばゴム製ホースなどの可撓性管部材を使用することができる。
【0037】
第1ダクト260と第2ダクト270の分岐部に、切替部材としての仕切板290が配設されている。この仕切板290は、支点291を中心として上下方向に回動可能に構成され、第1ダクト260又は第2ダクト270の一方の入口部分を仕切板290で閉塞可能に構成されている。仕切板290はソレノイド等を利用して回動することができる。
【0038】
仕切板290の実線で示す下降位置又は鎖線で示す上昇位置によって、送風機250のエアを第1吹出口221a、221b、223a、223b又は第2吹出口230aに供給可能に構成されている。また、仕切板290の位置を上下方向中立位置に保持することで、送風機250のエアを第1吹出口221a、221b、223a、223b及び第2吹出口230aの双方に供給することも可能である。
【0039】
(●シート分離装置の作動)
シート分離装置は、以下のように作動する。図4Aのように、例えばA3、A4サイズのような大サイズの第2シート束としての用紙束PLを給紙部20にセットした場合、図3の仕切板290を下側の実線位置に回動し、送風機250のエアを第1吹出口221a、221b、223a、223bから矢印方向(用紙搬送方向と反対方向)に吹出す。これにより、用紙束PLの最上層が図3に示すように一枚ずつに捌かれる。
【0040】
その後、最上層の一枚の用紙がピックアップコロ21で図3の左方向に送り出される。ピックアップコロ21で二枚以上の用紙が重送されると、二枚目の用紙がセパレーションコロ22bによって一枚目の用紙から分離され、フィードコロ22aによって最上層の一枚の用紙のみが図3で左方向に送り出される。
【0041】
一方、図4Bのように、例えばA5、A6サイズのような小サイズの第1シート束としての用紙束Psを給紙部20にセットした場合、フロントフェンス220の第1吹出口221a、223aの前にサイドフェンス230が位置する。この状態では第1吹出口221a、223aからエアを吹出しても用紙束の前端にエアを効果的に当てることができない。
【0042】
そこで、図3の仕切板290を上側の鎖線位置に回動し、送風機250のエアを第2吹出口230aから矢印方向(用紙搬送方向と直角な方向)に吹出す。これにより、小サイズの用紙束PSの最上層が図3に示すように一枚ずつに捌かれる。
【0043】
その後、最上層の一枚の用紙がピックアップコロ21で左方向に送り出される。ピックアップコロ21で二枚以上の用紙が重送されると、二枚目以下の用紙がセパレーションコロ22bによって一枚目の用紙から分離され、フィードコロ22aによって最上層の一枚の用紙のみが左方向に送り出される。ここで、前記第1シート束としての用紙束Psのサイズよりも幅方向が大きい大サイズの用紙を積層したものが第2シート束としての用紙束PLである。
【0044】
また、図3の仕切板290を中立位置に保持することにより、第1吹出口221a、221b、223a、223bと第2吹出口230aの双方からエアを吹出すことも可能である。図4において、A3やA4などの大サイズで坪量も大きい紙を送り出す場合は、最上層の用紙を効果的に捌くために、第1吹出口221a、221b、223a、223bと第2吹出口230aの双方からエアを吹出すのが望ましい。
【0045】
(●コロの点検・交換)
ピックアップコロ21、フィードコロ22a、セパレーションコロ22bは、経時的に紙粉の付着等によりコロ表面のゴム性能が劣化する。このため、定期的に点検・交換することで用紙搬送不良(ジャム)を未然に防止することができる。図5は、3つのコロ21、22a、22bを交換するときの状態を示す。
【0046】
コロ21、22a、22bを交換するには、周囲にある程度の大きさの作業スペースを確保する必要がある。そこで、本実施形態では、フロントフェンス220の長手方向中央部にあるフェンス部222を、他のフェンス部221、223から分割して取外し可能に構成してある。
【0047】
中央フェンス部222を図5の矢印のように手前側に取外すことにより、3つのコロ21、22a、22bの下方に十分な作業スペースを形成することができる。したがって、コロ21、22a、22bの点検・交換の作業がしやすくなる。コロ21、22a、22bを矢印方向に取外して点検・交換した後は、中央部のフェンス部222を元通りにして連続したフロントフェンス220にする。
【0048】
(●サイドフェンスの吹出口の変形例)
前述した実施形態では、サイドフェンス230の吹出口230aを横長矩形状にしたが、吹出口230aの形状は横長矩形状に限られない。図6はサイドフェンス230の内面に縦長矩形状の吹出口230aを平行二列で形成したものである。これにより、用紙束Pの最上層に高さ方向で十分なエアを吹付けることで用紙捌き効果を高めることができる。
【0049】
また、給紙部20のトレイ底板245は後端部の支点245aを中心にして上下方向に揺動可能に構成(片支持昇降)することが多い。サイドフェンス230を底板245と別体で固定配置した場合、用紙残量に合わせて底板245が昇降すると用紙束Pの最上層に対するエアの吹付位置が変わる。吹出口230aを縦長形状にすることで用紙束Pの最上層の高さ変動に対応することができる。
【0050】
なお、底板245の昇降に対応してサイドフェンス230を図2Bの矢印のように上下移動可能に構成することも可能である。こうすることで、吹出口230aの形状に関わらず用紙束Pの最上層の高さ変動に対応することができる。
【0051】
(●インクジェットプリンタ)
(インクジェット式画像形成装置)
本発明は前述した電子写真方式の画像形成装置100に限られない。図7は本発明をインクジェット式画像形成装置300に適用した実施形態である。以下、当該インクジェット式画像形成装置300について簡単に説明する。
【0052】
同図に示すように、給紙部310に収容された用紙束Pの最上層から、エアを利用したシート分離装置312によって用紙が一枚ずつ分離され、前述したピックアップコロ21等によってピックアップされる。ピックアップされた用紙は、画像形成部301の方向に向けて、搬送ローラ25によって搬送方向下流側の位置ズレ補正部320に搬送される。
【0053】
用紙が位置ズレ補正部320に達すると、位置ズレ補正部320の用紙状体搬送装置30の挟持ローラ31によって、用紙のスキュー補正と横レジ補正が行われる。位置ズレ補正部320で位置ズレ補正された用紙は、所定のタイミングで画像形成部301に搬送される。
【0054】
レジスト補正されて画像形成部301に搬送された用紙は、円筒形状ドラム303の表面に設けられた用紙状体グリッパ304によって先端が挟まれて、円筒形状ドラム303の表面に位置決めされる。また、円筒形状ドラム303には、その表面に無数のエア吸引孔が形成されており、用紙の全体を裏面からエア吸引して円筒形状ドラム303の表面に密着させて保持することができる。そして、円筒形状ドラム303の表面に用紙状体グリッパ304で位置決めされ、エア吸引で密着保持された用紙は、円筒形状ドラム303が図7中矢印方向に回転することにより、吐出ヘッド302の方向に搬送される。
【0055】
画像形成部301には、円筒形状ドラム303の円周の表面に沿って吐出ヘッド302のユニットが所定のインク色を充填した状態で順に配設されている。この各色の吐出ヘッド302の下部に、円筒形状ドラム303の表面に保持された用紙が搬送され、所定のタイミングで吐出ヘッド302から各色のインクが印射されることにより、用紙の表面に画像が形成される。
【0056】
上記円筒形状ドラム303には、円周上の表面の3ヶ所に用紙の先端をくわえる用紙状体グリッパ304が取り付けられている。これにより、円筒形状ドラム303が1回転する間に、3枚の用紙に画像形成を行うことができるようになっている。
【0057】
画像形成部301によって画像が形成された用紙は、乾燥部330に搬送される。乾燥部330には乾燥ユニット331が設けられており、この乾燥ユニット331の下側を用紙が通過することによってインク中の水分を蒸発させ、用紙のカールを防止することができる。
【0058】
乾燥部330を通過した用紙は排紙部340に搬送され、用紙が整然と揃えた状態で排紙部340に積載される。乾燥部330には、用紙状体反転部351と用紙状体反転搬送部350が設けられている。
【0059】
両面印刷時は用紙を当該用紙状体反転部351で反転し、用紙状体反転搬送部350で搬送方向を切り換えて画像形成部301に再度搬送する。用紙は、円筒形状ドラム303に達する前に挟持ローラ31によってスキュー補正と横レジ補正が行われる。当該位置ズレ補正された用紙は、円筒形状ドラム303に搬送され、用紙状体グリッパ304に挟まれて、画像が形成されていない裏面を表にして円筒形状ドラム303の表面に保持される。
【0060】
そして、画像形成部301では、吐出ヘッド302により、前述と同様に円筒形状ドラム303の表面に保持された用紙の画像が形成されていない裏面に画像形成が行なわれる。乾燥部330を通過した両面印刷された用紙は、片面印刷時と同様にして、排紙部340に搬送され、用紙が整然と揃えられた状態で排紙部340に積載される。
【0061】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されない。例えば本発明は図1の電子写真方式の画像形成装置100や、図7のインクジェット式画像形成装置300の他、オフセット印刷機など他の方式の画像形成装置にも適用可能である。また、用紙束は大サイズと小サイズの2種類で説明したが、3種類以上のサイズの用紙束を給紙部20に収容可能に構成することも可能であり、その場合にフロントフェンス220の吹出口の数を用紙サイズに対応して増加してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1Y,1M,1C,1K:感光体ドラム 2Y,2M,2C,2K:帯電器
3Y,3M,3C,3K:除電ランプ 4Y,4M,4C,4K:クリーニング装置
6Y,6M,6C,6K:1次転写ローラ 7:光書込装置
8:中間転写ベルト 9Y,9M,9C,9K:現像装置
12A:駆動ローラ 12B:対向ローラ
12C:テンションローラ 12D、12E:従動ローラ
20:給紙部 21:ピックアップコロ
22:用紙捌き機構 22a:フィードコロ
22b:セパレーションコロ 23~25:搬送ローラ
30:用紙状体搬送装置 31:挟持ローラ
40:2次転写ローラ 50:定着装置
100:画像形成装置 210:固定側板
220:フロントフェンス 221~223:フェンス部
230:サイドフェンス 230a:吹出口
240:エンドフェンス 245:トレイ底板
245a:支点 250:送風機
250a:送風口 280:ガイド板
280a:切欠穴 290:仕切板
291:支点 300:画像形成装置
301:画像形成部 302:吐出ヘッド
303:円筒形状ドラム 304:用紙状体グリッパ
310:給紙部 312:シート分離装置
320:位置ズレ補正部 330:乾燥部
331:乾燥ユニット 340:排紙部
350:用紙状体反転搬送部 351:用紙状体反転部
A:アーム G:アイドラギヤ
P、PL、PS:用紙束
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2002-104679号公報
【特許文献2】特開2009-084052号公報
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7