(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073059
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】粒状物冷凍用の冷却ドラム、及び回転式冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/06 20060101AFI20230518BHJP
F25D 13/00 20060101ALI20230518BHJP
A23L 3/36 20060101ALN20230518BHJP
【FI】
F25D13/06
F25D13/00 A
A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185878
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 純
(72)【発明者】
【氏名】高木 悠介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寛基
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 知亮
(72)【発明者】
【氏名】尾末 亘
【テーマコード(参考)】
3L045
4B022
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA03
3L045CA03
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA03
3L045PA04
4B022LA01
4B022LA05
4B022LA06
4B022LA07
4B022LN10
4B022LP10
(57)【要約】
【課題】凍結した粒状物が内部に残りにくい粒状物冷凍用の冷却ドラム、及び回転式冷凍装置を提供する。
【解決手段】粒状物冷凍用の冷却ドラム100は、粒状物を取り込むための入口111と、入口111とは反対側に位置し粒状物を排出するための出口122とを備える。また、粒状物冷凍用の冷却ドラム100は、第1材料によって形成された第1内表面115を有する第1筒部110と、第1筒部110よりも出口122側に配置され、第2材料によって形成された第2内表面124を有する第2筒部120と、を含む。第1材料の熱伝導率は、第2材料の熱伝導率よりも低い。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物を取り込むための入口と、前記入口とは反対側に位置し前記粒状物を排出するための出口とを備える粒状物冷凍用の冷却ドラムであって、
第1材料によって形成された第1内表面を有する第1筒部と、
前記第1筒部よりも前記出口側に配置され、第2材料によって形成された第2内表面を有する第2筒部と、を含み、
前記第1材料の熱伝導率は、前記第2材料の熱伝導率よりも低い
粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項2】
前記第1筒部は、前記第1内表面に設けられ、軸線方向に延在する突起をさらに含む
請求項1に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項3】
前記突起は、前記第1筒部の全長に亘って延在する
請求項2に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項4】
前記第2筒部の径方向断面において、前記第2筒部の中心から前記第2内表面までの距離が周方向に亘って一定である
請求項1乃至3の何れか1項に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項5】
前記第2筒部は、外側に形成された冷風の流路と前記第2筒部の内側とを連通させる連通口を含む
請求項1乃至4の何れか1項に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項6】
前記第2筒部は、前記連通口が形成されている形成領域と、前記連通口が形成されていない非形成領域とが、軸線方向に沿って並んで配置された筒壁を含む
請求項5に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項7】
前記連通口は、軸線方向に延在する長孔である
請求項5又は6に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項8】
前記第1材料は樹脂材料であり、
前記第2材料は金属材料である
請求項1乃至7の何れか1項に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の、横向きに配置された粒状物冷凍用の冷却ドラムと、
前記粒状物冷凍用の冷却ドラムの軸線を挟んで回転自在に設けられ、各々が前記粒状物冷凍用の冷却ドラムを下から支持する一対の支持ローラを備える
粒状物冷凍用の回転式冷凍装置。
【請求項10】
モータと、
前記モータに連結されたスプロケットと、
前記スプロケットと、前記粒状物冷凍用の冷却ドラムに形成された外歯とに噛み合うチェーンベルトと
をさらに備える
請求項9に記載の粒状物冷凍用の回転式冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粒状物冷凍用の冷却ドラム、及び回転式冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状物を冷凍する冷却ドラムを備えた回転式冷凍装置が知られている。例えば、特許文献1に開示される回転式冷凍装置は、出口側が下側に位置するよう傾斜した姿勢で配置される冷却ドラムを備える。冷却ドラムの内部は、回転方向に沿って複数の部屋に区分されており、冷却ドラムの入口からいずれかの部屋に粒状物が投入される。その後、粒状物は、冷却ドラムの回転に伴い出口側へ搬送される過程で、冷却ドラムの内部に供給される冷気によって凍結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記回転式冷凍装置では、冷却ドラムの入口から投入された粒状物が冷気により急激に冷却され、冷却ドラムの内表面に付着するおそれがある。この場合、例えば粒状物が冷却ドラムから排出されないといった不具合が生じうる。
【0005】
本開示の目的は、凍結した粒状物が内部に残りにくい粒状物冷凍用の冷却ドラム、及び
回転式冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る粒状物冷凍用の冷却ドラムは、
粒状物を取り込むための入口と、前記入口とは反対側に位置し前記粒状物を排出するための出口とを備える粒状物冷凍用の冷却ドラムであって、
第1材料によって形成された第1内表面を有する第1筒部と、
前記第1筒部よりも前記出口側に配置され、第2材料によって形成された第2内表面を有する第2筒部と、を含み、
前記第1材料の熱伝導率は、前記第2材料の熱伝導率よりも低い。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る粒状物冷凍用の回転式冷凍装置は、
上記記載の、横向きに配置された粒状物冷凍用の冷却ドラムと、
前記粒状物冷凍用の冷却ドラムの軸線を挟んで回転自在に設けられ、各々が前記粒状物冷凍用の冷却ドラムを下から支持する一対の支持ローラをさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、凍結した粒状物が内部に残りにくい粒状物冷凍用の冷却ドラム、及び
回転式冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍装置の概略的な斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る冷凍装置の左側を示す概略的な断面図である。
【
図3】
図2のA-A線矢視方向における概略的な断面図である。
【
図4】
図2のB-B線矢視方向における概略的な断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る冷凍装置の右側を示す概略的な断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る冷却ドラムの概略的な平面図である。
【
図7】他の実施形態に係る冷凍装置のケースの内部空間を模式的に示す断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る冷却ドラムの軸方向視における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の幾つかの実施形態に係る粒状物冷凍用の回転式冷凍装置(以下、単に「冷凍装置」と称す場合がある)を説明する。
以下の説明において、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
また、以下の説明では、図中に矢印によって示される左右、前後、上下を使用する。左右方向と前後方向はいずれも水平方向と平行な方向である。上下方向は鉛直方向と平行な方向である。
【0011】
<1.冷凍装置1の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る冷凍装置1の概略的な斜視図である。
図1では、冷凍装置1のケース4(後述)を二点鎖線によって図示し、ケース4の内部を実線または破線によって図示する。
【0012】
冷凍装置1は、粒状物冷凍用の冷却ドラム100(以下、単に「冷却ドラム100」と称す場合がある)に投入された粒状物5を、ケース4の内部を循環する冷風を利用してバラ冷凍するように構成される。バラ凍結は、粒状物5を分散させて個別に凍結することを指し、バラ凍結される粒状物5は互いに接着しない方が好ましい。
【0013】
本例の粒状物5は食用粒状物である。食用粒状物は、穀物または豆類などである。穀物は例えば米であり、炊きあがった白米、または、調理がなされた炒飯などでもよい。豆類は、グリーンピース、エンドウ豆、または大豆などである。
また、食用粒状物は、粒状の野菜、果物、または魚介類であってもよい。粒状の野菜は、一例として、みじん切りされた玉葱または人参などである。粒状の果物は一例として、ブルーベリー、ブドウ、イチゴ、またはサクランボなどである。粒状の魚介類は一例として、小エビまたはシラスなどである。食用粒状物は、粒状に切断等の加工がなされた肉などであってもよい。
【0014】
冷凍装置1は、ケース4と、ケース4の内側に設けられた冷却ドラム100とを備える。本実施形態では、一例として、冷却ドラム100はケース4の内側で横向きに設けられる。横向きとは、冷却ドラム100の軸線方向が水平方向と平行であること、または、冷却ドラム100の軸線と水平線とのなす鋭角が60度以下であることを指す。冷却ドラム100の軸線方向と水平線のなす鋭角は45度以下であることが好ましく、30度以下であることがさらに好ましい。図示される冷却ドラム100は、水平方向に延在する円筒体であり、一例として前後方向を軸線方向とする。以下、冷却ドラム100の軸線方向を単に「軸線方向」と称す場合がある。
冷却ドラム100の前端には粒状物5を取り込むための入口111が形成され、後端には粒状物5を排出するための出口122が形成される。図示されるように、出口122は入口111とは反対側に位置する。
本実施形態の冷却ドラム100は、入口111を有する第1筒部110と、出口122を有する第2筒部120とを含む。第1筒部110よりも出口122側に配置される第2筒部120の筒壁126には、少なくとも1つの連通口125が形成されており、冷気が入口111のみならず連通口125を経由して冷却ドラム100に流入できる構成が採用されている。
なお、他の実施形態に係る冷却ドラム100は、ケース4の内側で縦向きに設けられてもよい。縦向きとは、冷却ドラム100の軸線方向が鉛直方向と平行であること、または、冷却ドラム100の軸線と鉛直線とのなす鋭角が30度未満であることを指す。
【0015】
図1で例示されるケース4は、冷却ドラム100の軸線方向(前後方向)に沿って延在しており、正面側からみてケース4の内部は主に4つに区画されている。これらの区画のうち、左下の区画が冷却ドラム100を収容するドラム収容室15を形成し、左上の区画は後述の駆動部収容室35を形成する。また、右上の区画と右下の区画の各々には、冷却ドラム100から排出された冷風が冷却ドラム100に戻るための返送路88が形成される。詳細は後述するが、返送路88は、互いに並列な一対の並列路881と、一対の並列路881のそれぞれに設けられる一対の除湿器882(
図4参照)とを含む。
なお、
図1はケース4の一例を概略的に示しているに過ぎず、ケース4の内部が正面側からみて5つ以上に区画されていてもよいし(
図3、
図4参照)、全く区画されていなくてもよい。
【0016】
上記の各区画は、必ずしもケース4の長手方向の全長に亘り仕切られている必要はない。本実施形態では、ケース4の内部を左側と右側とに仕切る流路仕切壁85が、ケース4の後側には設けられておらず、冷却ドラム100の出口122は、一対の並列路881のそれぞれと連通する。また、右上の区画と右下の区画とを仕切る右仕切壁83Rは、ケース4の前後方向の中央部に設けられており、一対の並列路881のそれぞれの前側にある冷却流路89は上下に仕切られていない。
上述したケース4の内部の左下の区画、右上の区画、及び右下の区画は、冷風がケース4の内部を循環するための循環路6を形成する。つまり、冷却ドラム100が設けられるドラム収容室15と、ドラム収容室15の右側に位置する返送路88及び冷却流路89は、循環路6を構成する。
【0017】
本実施形態の冷凍装置1は、循環路6の冷却流路89に設けられた冷却器9をさらに備える。冷却器9は、冷風を規定温度以下に冷却するように構成される。本例の冷却器9は、冷却流路89を貫通するように設けられた伝熱管である。この伝熱管は、図示外の冷凍サイクルの一部を構成しており、内部には冷媒が流れる。冷媒は、別の熱媒体との熱交換により冷却されてから伝熱管に流入し、冷風を規定温度以下に冷却する。
【0018】
本実施形態の冷凍装置1は、循環路6において冷風を循環させるための送風手段7をさらに備える。本例の送風手段7は、流路仕切壁85に設けられた2つのファン7Aと、2つのファン7Aに回転駆動するためのファン駆動部(図示外)とを含む。2つのファン7Aは、それぞれ、ドラム収容室15の前側空間15Fと後側空間15Rとに冷風を送るように構成される。なお、両空間は、
図1では例示されていない仕切板84(
図2参照)によって仕切られていてもよい。
【0019】
図1で示される冷凍装置1の動作概要は下記の通りである。
冷却器9と送風手段7が稼働することに伴い、冷風が循環路6を循環する。送風手段7によって送られる冷風の一部は、前側空間15Fを流れ入口111から冷却ドラム100に流入し、残る冷風は、後側空間15Rを流れ連通口125から冷却ドラム100に流入する。駆動部収容室35に収容される後述の駆動部40が駆動することに伴い、冷却ドラム100は軸線100Aを中心に回転する(矢印R)。
【0020】
その後、
図1では例示されていない投入装置18(
図2参照)が、冷却ドラム100の入口111に粒状物5を投入する。冷却ドラム100は、内部に流入した冷風によって粒状物5を入口111から出口122へ搬送しながら凍結させる(つまり、冷却ドラム100に流入する冷風が、粒状物5を搬送する機能と凍結させる機能の双方を担う)。冷却ドラム100を入口111から出口122へ流れる冷風の流速は、一例として、3m/s以上である。
【0021】
粒状物5は、回転する第1筒部110の内部で攪拌されながら搬送される。これにより、粒状物5は分散して浮遊し、粒状物5の各々が均等に冷風と当たり冷却される。粒状物5が第1筒部110の下流端に到達するときには、粒状物5の予冷がおおよそ完了しており、粒状物5の外周部は凍結し始めている。なお、このときの粒状物5の温度は一例として0~5℃である。
【0022】
第2筒部120の内部を通過する粒状物5は、第1筒部110から流入する冷風と、連通口125から流入する冷風とによって冷却される。連通口125から流入する冷風は、粒状物5との熱交換を行っていないので比較的低温である。
2つの供給路から流入する冷風が第2筒部120の内部で合流して粒状物5を冷却するので、粒状物5の凍結が促進され、各々の粒状物5は、内部まで凍結される。そして、冷却ドラム100の出口122からバラ凍結された状態で粒状物5は排出される。出口122から排出される冷風は、返送路88にある一対の並列路881を経由して冷却流路89まで流れ(矢印A、B)、冷却器9によって冷却されてから送風手段7まで戻る。
【0023】
なお、バラ凍結された粒状物5をケース4から取り出す方法は、種々の方式が採用されてよい。例えば、バラ凍結された粒状物5は、出口122側に設けられたトレイ(図示外)に貯められ、任意のタイミングでオペレータまたはロボットアームが取り出してもよいし、ベルトコンベアなどの排出装置によってケース4から外部に排出されてもよい。
【0024】
以上、冷凍装置1の概略的な説明をしたが、上記の実施形態はあくまで一例に過ぎない。例えば、返送路88は、ケース4の右上の区画と右下の区画とに仕切られていなくてもよい。この場合、右仕切壁83Rは設けられない。また、ファン7Aは、冷却流路89または返送路88に設けられてもよい。さらに、ファン7Aの個数は1個でもよい。この場合、ファン7Aによって送られる冷風は、入口111のみを介して冷却ドラム100に流入してもよい。従って、ドラム収容室15に仕切板84(
図2参照)が設けられなくてもよいし、連通口125は冷却ドラム100に設けられなくてもよい。
【0025】
上記構成によれば、送風手段7によって送られる冷風が、粒状物5を凍結させる機能と、粒状物5を冷却ドラム100の出口122に搬送する機能とを兼ね備える。これにより、粒状物5を冷却ドラム100の入口111から出口122に搬送するための例えばベルトなどの構成が不要となり、冷凍装置1のコンパクト化が実現する。
【0026】
<2.ドラム収容室15の構成の詳細>
図2~
図4を参照し、ドラム収容室15の構成の詳細を説明する。
図2は、本開示の一実施形態に係る冷凍装置1の左側を示す概略的な断面図である。
図3は、
図2のA-A線矢視方向における概略的な断面図である。
図4は、
図2のB-B線矢視方向における概略的な断面図である。
【0027】
図2で例示されるように、循環路6の構成要素であるドラム収容室15は、仕切板84によって前側空間15Fと後側空間15Rとに仕切られる。同図の例では、仕切板84が、冷却ドラム100の軸線方向中心よりも入口111側に配置される。より具体的な一例として、仕切板84は、第1筒部110の前端と後端との間に設けられる。第1筒部110の前端である入口111から仕切板84までの軸線方向距離は、第1筒部110の軸線方向長さの2分の1以下であり、
図2の例では3分の1以下である。
図3で例示されるように、軸線方向と直交して延在する仕切板84は、第1筒部110の外周面を周方向に亘って囲む円形状の内側縁部84Aを有する。内側縁部84Aと第1筒部110の外周面は、冷風が通過困難な程度に互いに近接している。これにより、仕切板84は、ドラム収容室15の後側空間15Rと前側空間15Fとを流体的に隔離する。換言すると、仕切板84は、冷却ドラム100の外側空間のうち出口122側の空間である後側空間15Rを、入口111から流体的に隔離する。
なお、内側縁部84Aと第1筒部110は互いに接触していてもよいが、回転する第1筒部110が内側縁部84Aに対して擦れないよう、わずかな隙間を隔てて両者が互いに対向している方が好ましい。
【0028】
図2に戻り、ドラム収容室15の前側空間15Fには、冷却器9によって冷却された冷風を冷却ドラム100の入口111に導くための第1供給路10が形成される。また、後側空間15Rには、冷却された冷風を連通口125を介して冷却ドラム100(第2筒部120)の内部に導くための第2供給路20が形成される。
本例では、第1供給路10と第2供給路20の各々に対応して上述の2つのファン7Aが設けられており、また、第1供給路10と第2供給路20は仕切板84によって仕切られている。従って、第1供給路10と第2供給路20は互いに並列に設けられており、送風手段7によって送られる冷風の一部が第1供給路10を流れ、残る冷風は第2供給路20を流れる。
【0029】
上記構成によれば、冷却器9によって冷却された冷風の一部のみが第1供給路10を流れ、冷却ドラム100の入口111から流入するので、第1筒部110において粒状物5が急激に冷却されるのを抑制できる。これにより、粒状物5の外周部が十分な水分を保有した状態で凍結されることなどに起因して発生する、粒状物5の冷却ドラム100への付着を抑制できる。また、入口111に流入する冷風が低減されることで、冷却ドラム100の入口111側における粒状物5の搬送速度が抑えられ、冷却ドラム100内での粒状物5の滞留時間を確保でき、粒状物5を十分に凍結できる。さらに、冷却ドラム100の出口122側である第2筒部120には、粒状物5との熱交換を行っていない比較的低温の冷風が連通口125から流入し、入口111から流入した冷風と合流する。よって、第2筒部120の内部においても粒状物5を十分に凍結することができる。
【0030】
図2を参照して、第1供給路10の構成を詳説する。
ドラム収容室15は、冷却ドラム100の入口111と隙間Sを挟んで軸線方向に対向する対向壁17を有する。対向壁17は一例としてケース4の前壁の一部を構成し、冷却ドラム100に粒状物5を投入するための投入装置18が設けられる。本実施形態では、冷却ドラム100がケース4の内部で回転するため、冷却ドラム100と対向壁17との間となる軸線方向位置には上記の隙間Sが不可避的に形成される。なお、概略図としての
図2では図面を見やすくする都合、隙間Sを実際よりも大きく図示している。
このような構成において、第1供給路10は、ドラム収容室15の前側空間15Fのうちで、ファン7Aから隙間Sを経由して入口111に至るまでの空間である。但し、ファン7Aから前側空間15Fに送られる冷風は、第1供給路10の上流端から下流端までを正確にたどる必要はなく、例えば、前側空間15F内の第1供給路10から外れた場所で一時的に滞留した後に第1供給路10の途中地点から入口111に向かって流れてもよい。この場合、滞留する冷風は、第1筒部110を冷却することができるので、第1筒部110の温度を規定温度以下に維持することができる。
なお、上述した投入装置18は、前後方向を軸方向として回転するスクリュー羽18Aを備える。回転するスクリュー羽18Aは、投入装置18に供給された粒状物5を、入口111に向けて搬送する。
【0031】
上記構成によれば、投入装置18が設けられる対向壁17と、回転する冷却ドラム100との間に不可避的に形成される隙間Sが冷風の第1供給路10として活用されるので、冷凍装置1をさらにコンパクト化できる。
【0032】
次に、
図2、
図4を参照して、第2供給路20の構成を詳説する。
図2で例示されるように、第2供給路20は、軸線方向に延在する後側空間15Rの少なくとも一部に形成されている。具体的には、後側空間15Rのうちで、後側のファン7Aから第2筒部120の連通口125に至るまでの空間が第2供給路20に該当し、既述の仕切板84は第2供給路20の一部である前端を画定する。
また、第2供給路20のうち連通口125よりも入口111側には、循環路6の構成要素としての調整板25が設けられる。本例の調整板25は、第1筒部110と第2筒部120との境目と同じ軸線方向位置に設けられる。調整板25は、第2供給路20内で連通口125に向かう冷風の流れを冷却ドラム100の周方向において密集させるように構成される。これにより、調整板25よりも下流側では、冷却ドラム100の周方向における一部範囲に冷風が集まり、勢いよく流れることができる。例えば、冷却ドラム100の下側に冷風が密集すれば、冷風は下側にある連通口125から冷却ドラム100の第2筒部120に流入し、粒状物5を浮き上がらせることができる。これにより、粒状物5は分散した状態で凍結することができる。
【0033】
図4で例示されるように、調整板25は、第2供給路20の流路断面において、冷却ドラム100の軸線100Aよりも下側に冷風の流れを密集させるように構成される。より具体的には、調整板25は、冷却ドラム100の周方向の一部範囲のみに、冷風が通過する調整流路77を形成する。
調整板25の構造の一例を説明する。調整板25は、冷却ドラム100を囲む半円形状の内側縁86と、外側縁87と、内側縁86及び外側縁87に接続される第1接続部81及び第2接続部82とを備える。周方向において第1接続部81と第2接続部82は空間を隔てて対向しており、この空間が、第2供給路20を構成する調整流路77に該当する。
図4の例では、調整流路77は、冷却ドラム100の軸線100Aに対して右下に形成されており、軸線100Aを基準に第1接続部81から調整流路77を経由して第2接続部82に至る角度(以下、調整流路77の形成角度ともいう)は90度である。
ファン7Aによって後側空間15Rに送られる冷風は、調整板25を通過するときに、調整流路77に集まる。これにより、調整板25よりも下流側では、冷却ドラム100の周方向の一部範囲に集まった、勢いの強い冷風が生じる。
なお、調整流路77の形成角度は90度であることに限定されない。例えば、第2接続部82が、内側縁86と外側縁87の各々の左端を接続するとき、調整流路77の形成角度は180度であり、調整流路77は調整板25の略下半分に形成される。また、調整流路77は、調整板25の略左半分または略左下部に形成されてもよい。
【0034】
上記構成によれば、第2供給路20の少なくとも一部は仕切板84によって画定されるので、循環路6の構成を簡易化できる。
また、第2供給路20を流れる冷風の流れが調整板25によって周方向の一部範囲に密集するので、冷風が流入する冷却ドラム100(第2筒部120)の周方向範囲に偏りをもたせることができる。冷風が第2筒部120に流入する周方向範囲を規定の一部範囲に収めることができるので、冷却ドラム100における冷却性能と粒状物5の搬送性能とを意図通りに発揮させることができる。
具体的な一例として、調整流路77が軸線100Aよりも下側に形成されている場合、冷風が第2筒部120に流入する周方向範囲を軸線100Aよりも下側にすることができる。結果、連通口125から流入する冷風は粒状物5に当たりやすく、また、この冷風が上向きであるため、粒状物5を適度に浮き上がらせながら搬送させることができる。従って、粒状物5が出口122に向かう速度を調整することができると共に、第2筒部120における粒状物5の滞留時間が適正化される結果、第2筒部120は粒状物5の冷却性能を十分に発揮することができる。
なお、粒状物5は第2筒部120の上流端に到達する時点で予冷がなされており、粒状物5に含まれていた水分の一部が冷風に吸収されている。従って、粒状物5は投入時より軽くなっているので、連通口125から流入する冷風によって浮き上がりやすく、分散した状態で冷風によって凍結される。これにより、粒状物5の冷却ムラを抑制することができる。また、ベルトによって搬送される粒状物5を冷風で凍結する方式が採用される場合、粒状物5を浮き上がらせるためには、ベルトに振動を付与する振動付与部材が必要になる。しかし、この方式では、振動付与部材がベルト(またはベルトに連結する連結部材)に対して繰り返し当たる必要があるので、高い耐久性が発揮されないおそれがある。この点、上記構成によれば、粒状物5を浮き上がらせるのが冷風であるので、上記のような振動付与部材が不要となり、高い耐久性を有する冷凍装置1を実現できる。
【0035】
<3.冷却ドラム100の駆動機構の詳細>
図2~
図4を参照し、冷却ドラム100の駆動機構の詳細を例示する。
図2で例示されるように、ドラム収容室15の上側には、駆動部40を収容した駆動部収容室35が設けられる。駆動部40は、冷却ドラム100に対して回転動力を付与するように構成され、一例としてモータである(以下では、駆動部40をモータ40と称す場合がある)。
冷凍装置1は、モータ40に連結されたスプロケット41、及び、スプロケット41と冷却ドラム100に形成された外歯(図示外)とに噛合うチェーンベルト42を備える。チェーンベルト42は、駆動部収容室35とドラム収容室15との双方に配置される。従って、ドラム収容室15と駆動部収容室35を仕切る左仕切壁83Lには、チェーンベルト42が内側に配置される、上下に開放された孔(図示外)が設けられている。
上記構造によって、モータ40の駆動力がチェーンベルト42を介して冷却ドラム100に伝達され、冷却ドラム100は回転することができる。
【0036】
冷凍装置1は、冷却ドラム100の軸線100Aを挟んで回転自在にドラム収容室15に設けられる一対の支持ローラ45を備える。図示される実施形態では、一対の支持ローラ45は、第1筒部110の下側と第2筒部120の下側にそれぞれ設けられる。つまり、本例の支持ローラ45の総数は4個である(
図3、
図4参照)。一対の支持ローラ45はそれぞれ、冷却ドラム100を下から支持する。これにより、モータ40の駆動に伴う冷却ドラム100の回転に追従して、一対の支持ローラ45はそれぞれ回転することができる。
【0037】
上記構成によれば、一対の支持ローラ45が冷却ドラム100を下から支持することで、冷却ドラム100をより安定的に回転させることができる。
また、冷却ドラム100を回転させるための機構が、モータ40、スプロケット41、及びチェーンベルト42によって実現されるので、簡易な構成で冷却ドラム100を回転させることができる。
【0038】
<4.返送路88の構成の詳細>
図5を参照し、返送路88の詳細を例示する。
図5は、本開示の一実施形態に係る冷凍装置1の右側を示す概略的な断面図である。
上述したように、循環路6の構成要素である返送路88は、冷却ドラム100の出口122から排出された冷風を冷却ドラム100の入口111または連通口125に戻すよう構成される。図示される実施形態では、返送路88は軸線方向に延在している。また、返送路88の少なくとも一部は、軸線方向において冷却ドラム100と重なる位置に設けられる。
【0039】
冷凍装置1にとって必須の構成要素である冷却ドラム100は、粒状物5を搬送しながら凍結させる機能を備えており、ある程度の軸線方向長さを要する。上記構成によれば、返送路88が、この冷却ドラム100と軸線方向にオーバラップするので、冷凍装置1の全体の軸線方向長さを、冷却ドラム100の軸線方向の長さに近づけることができる。よって、冷凍装置1をさらに小型化できる。
【0040】
本実施形態の返送路88は、軸線方向に延在する上述の流路仕切壁85によって、ドラム収容室15及び駆動部収容室35と仕切られている(
図1参照)。上記構成によれば、流路仕切壁85が、ドラム収容室15及び駆動部収容室35と返送路88との双方を画定する機能を担うので、ドラム収容室15及び駆動部収容室35と、流路仕切壁85は左右方向に互いに近づくことができる。よって、冷凍装置1をさらに小型化できる。
【0041】
図5で例示される実施形態では、返送路88は、一対の並列路881と、一対の並列路881のそれぞれに設けられた一対の除湿器882と、一対の並列路881を交互に冷却ドラム100の出口122と連通させるように構成された切替弁884とを備える。冷却ドラム100に投入される粒状物5が比較的多くの水分を含んでいる場合、粒状物5を凍結させた冷風は、比較的高い湿度を有して冷却ドラム100から排出される。例えば、入口111に投入される粒状物5が、炊き上がって間もない白米または調理を終えて間もない炒飯である場合、冷却ドラム100に投入された粒状物5は凍結されるまでに比較的多くの水蒸気を排出するため、出口122から排出される冷風は高い湿度を有している。この冷風は、返送路88を通過するときに、除湿器882によって除湿される。これにより、返送路88よりも下流側に位置する冷却器9に霜が発生することが抑制され、冷却器9の冷却性能が低下するのを抑制できる。
【0042】
上述した一対の返送路88は上下に並んで設けられており、互いに並列である。また、各々の除湿器882は、内部に冷媒が流れる伝熱管と、伝熱管に設けられたヒータと、ドレンパンとを含む。除湿器882の伝熱管は、冷却器9の伝熱管と同様の構成である。除湿器882を通過する冷風が冷却されることにより、伝熱管には霜が付着する。霜は、ヒータの加熱によって液化し、ドレンパンを経由して冷凍装置1の外部に排出される。
本例の切替弁884は、各除湿器882の下流側と上流側のそれぞれに設けられた開閉弁である。以下、説明の便宜上、上側の除湿器882に対応する2つの切替弁884を上切替弁884と称し、下側の除湿器882に対応する2つの切替弁884を下切替弁884と称す。
【0043】
例えば、上側の除湿器882が稼働する場合、2つの上切替弁884は開き、上側の返送路88は冷却ドラム100の出口122と連通状態になる。このとき、2つの下切替弁884は閉じ、下側の並列路881は出口122と非連通状態になる。従って、冷却ドラム100から排出される冷風は上側の並列路881へ流れ、上側の除湿器882によって除湿される。やがて、上側の除湿器882に霜が堆積すると、2つの上切替弁884は閉じ、2つの下切替弁884が開く。冷却ドラム100からの冷風は、下側の並列路881に流れて、稼働する下側の除湿器882によって除湿される。このとき、上側の除湿器882は稼働しておらず、ヒータとドレンパンによって、霜は液化して排出される。
このように、上側の除湿器882と下側の除湿器882が交互に稼働し、稼働していない除湿器882ではデフロストが実行されるので、冷風の除湿を継続的に安定して行うことができる。
なお、他の実施形態では、切替弁884は、上記のような開閉弁に限定されず、例えば単一の三方弁によって実現されてもよい。三方弁であっても、一対の並列路881を交互に冷却ドラム100の出口122と連通させる構造は実現可能である。
【0044】
上記構成によれば、一対の除湿器882のうちで、冷却ドラム100の出口122と連通状態になった除湿器882は稼働し、出口122と非連通状態となった除湿器882は除湿を休止し除霜することができる。これにより、一対の除湿器882が交互に除湿をすることができるので、冷却ドラム100の出口122から排出される冷風を継続的に安定して除湿することができる。
【0045】
また、本実施形態では、下側の並列路881はドラム収容室15と側面視で重なり、上側の並列路881は駆動部収容室35と側面視で重なる(
図1参照)。換言すると、ドラム収容室15は下側の並列路881と鉛直方向に重なる位置に設けられ、駆動部収容室35は、上側の並列路881と鉛直方向に重なる位置に設けられる。
上記構成によれば、駆動部40及び冷却ドラム100の配置スペースである駆動部収容室35及びドラム収容室15と、一対の並列路881の配置スペースが鉛直方向に重なるので、冷凍装置1の上下の長さを短くできる。よって、冷凍装置1をさらに小型化できる。
【0046】
<5.冷却ドラム100の構成の詳細>
図6を参照し、冷却ドラム100の構成の詳細を例示する。
図6は、本開示の一実施形態に係る冷却ドラム100の概略的な平面図である。
本実施形態に係る冷却ドラム100は、上述したように、第1筒部110と、第1筒部110よりも出口122側に配置された第2筒部120とを含む。第1筒部110と第2筒部120は互いに同軸となるよう配置されており、且つ、互いに同じ内径を有する。本実施形態では、第1筒部110と第2筒部120は、互いに同じ軸線方向長さを有する。
【0047】
第1筒部110は、第1材料によって形成された第1内表面115を有し、第2筒部120は、第2材料によって形成された第2内表面124を有する。第1材料の熱伝導率は、第2材料の熱伝導率よりも低い。
例えば、第1材料は樹脂材料である。樹脂材料は、好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMW)またはポリアセタール(POM)である。他方、第2材料は金属材料である。金属材料は、好ましくはステンレス鋼(SUS)である。これにより、第1内表面115と粒状物5との熱交換は、第2内表面124と粒状物5との熱交換に比べて制限される。
【0048】
なお、他の実施形態では、第2筒部120は、第1筒部110よりも短くてもよい。例えば、第2筒部120の軸線方向長さは、第1筒部110の軸線方向長さに対して、半分以下でもよいし、1/3以下でもよいし、1/4以下でもよい。また、第2筒部120の内径は第1筒部110よりも大きくてもよい。
【0049】
冷却ドラム100に投入された直後の粒状物5は、凍結温度に至っていないため、液相の水を比較的多く含んでいる。このため、粒状物5を急激に冷却すると、冷却ドラム100の内表面に粒状物5が付着するおそれがある。この点、上記構成によれば、第1内表面115を構成する第1材料の熱伝導率が低いため、粒状物5と第1内表面115との間の熱交換が制限され、粒状物5が第1内表面115に付着することを抑制できる。よって、凍結した粒状物5が内部に残りにくい冷却ドラム100が実現する。
また、第1材料が樹脂材料であることで、粒状物5と第1内表面115との熱交換を適度に制限でき、第2材料が金属材料であることで、粒状物5と第2内表面124との熱交換を良好に促進できる。
【0050】
また、本実施形態の第1筒部110は第1内表面115に設けられ、軸線方向である前後方向に延在する突起117をさらに含む。冷却ドラム100の回転時、突起117は、入口111から投入された粒状物5を掻き上げる。
突起117は一例として、冷却ドラム100の軸線方向において、第1筒部110の全長に亘って延在する。本例の突起117は、冷却ドラム100の周方向と平行な厚さ方向を有する板状である。また、突起117の材質は、第1内表面115の材質と同じである。本例では、複数の突起117が周方向に沿って等間隔に配置される。突起117の個数は一例として4個である(
図3参照)。なお、突起117は第1内表面115と別体に構成されてもよい。従って、突起117の材質は、第1内表面115の材質とは異なってもよい。
【0051】
上記構成によれば、回転する突起117が第1筒部110の内部で粒状物5を掻き上げることで、粒状物5が冷却ドラム100の内部で分散した状態で浮遊できる。これにより、粒状物5は分散した状態で冷風と接触し、凍結し始めることができるので、粒状物5が集合した状態で凍結されることを抑制できる。また、突起117によって掻き上げられる粒状物5は、第1内表面115との接触が抑制されるので、粒状物5が第1内表面115に付着するのをさらに抑制できる。さらに、掻き上げにより分散した状態で浮遊する粒状物5の各々が、入口111から流入する冷風に当たるので、粒状物5はムラなく冷却される。よって、粒状物5を良好にバラ凍結することができる。
また、突起117が第1筒部110の全長に亘って軸線方向に延在するので、粒状物5は第1筒部110の内側を通過する間に亘って継続的に突起117によって掻き上げられる。よって、粒状物5をさらに良好にバラ凍結することができる。
【0052】
本実施形態の第2筒部120の径方向断面において、第2筒部120の中心から第2内表面124までの距離(
図4の寸法D2)が周方向に亘って一定である。つまり、第2内表面124には、突起117のような構成要素が設けられていない。
上記構成によれば、第2筒部120の内側では、粒状物5の過度な掻き上げが抑制されるので、粒状物5は第2内表面124に対して接触しながら出口122側へと向かう。これにより、粒状物5が第2筒部120を通過する時間を長くでき、第2内表面124と粒状物5との熱交換を促進できる。よって、粒状物5を内部まで十分に凍結させることができ、粒状物5をさらに良好にバラ凍結することができる。
また、調整流路77が調整板25の少なくとも下側に設けられる実施形態では、冷風が連通口125を下から上に通過して粒状物5に当たる。上述のように第2筒部120にある粒状物5は投入時より軽くなっているので、突起117を用いなくても、連通口125を通過する上向きの冷風によって適度に粒状物5を浮遊させることができる。
【0053】
本実施形態の連通口125は、外側に形成された冷風の流路である第2供給路20と、第2筒部120の内側とを連通させる。連通口125は、一例として、軸線方向に長い長孔である。連通口125は、円形状または方形状の孔であってもよい。
【0054】
連通口125の形成範囲について説明する。本実施形態における第2筒部120の筒壁126には、連通口125が形成されている形成領域127と、連通口125が形成されていない非形成領域128とが、軸線方向に沿って並んで配置されている。
図6の例では、複数の形成領域127と複数の非形成領域128が軸線方向に沿って交互に配置されている。
本例では、形成領域127と非形成領域128は互いに同じ軸線方向長さを有する。また、周方向に亘って形成される形成領域127の開口率は一例として50%以下であり、より好ましくは30%以下である。
【0055】
上記構成によれば、粒状物5と熱交換を行う前の比較的低温の冷風が連通口125を介して第2筒部120の内側に流入する。この冷風は入口111から流入した冷風と合流し、第2筒部120の内側にある粒状物5を凍結させる。よって第2筒部120は粒状物5を十分に凍結させることができる。
また、粒状物5は、非形成領域128においては第2内表面124と接触しながら搬送され、形成領域127においては連通口125を通過する冷風によって浮き上がりながら搬送される。これにより、第2筒部120での粒状物5の滞留時間を確保できると共に、粒状物5を分散した状態で冷風に当てることもできる。よって、第2筒部120は、粒状物5を良好にバラ凍結させることができる。
また、連通口125が軸線方向に長い長孔であることで、連通口125を介して第2筒部120に流入する冷風は、フィルム状となって粒状物5に当たる。これにより、第2筒部120内で軸線方向に分散している粒状物5に冷風がより確実に当たることができる。よって、第2筒部120の内側にある粒状物5を十分に凍結することができる。
【0056】
<6.他の実施形態に係る冷凍装置2の例示>
図7、
図8を参照し、他の実施形態に係る冷凍装置2を説明する。以下、冷凍装置1と同様の構造を有する構成要素については、図面中で同じ符号を付与し、その詳細な説明については省略または簡略化する。
図7は、他の実施形態に係る冷凍装置2のケース44の内部空間を模式的に示す断面図である。
図8は、他の実施形態に係る冷却ドラム101の軸方向視における概略図である。
【0057】
図7では、ケース44の左側空間のみを図示する。ケース44の右側空間は、ケース4(
図1参照)と同様の構成を有するので、図示及び詳細な説明はいずれも省略する。
ケース44の左側空間には、ドラム収容室154が設けられる。ドラム収容室154には、水平方向に対して傾斜した姿勢で冷却ドラム101が横向きに設けられる。冷却ドラム101は、下流側である後側に向かうほど下側に位置するよう傾斜している。冷却ドラム101の入口111には、例えばベルトコンベアなどの投入装置188によって粒状物5が投入される。なお、冷却ドラム101の構造は冷却ドラム100と同様であり、両者の違いは配置姿勢のみである。
【0058】
図8に示すように、冷却ドラム101の下側には、冷却ドラム101と平行に延在する駆動軸135、136にそれぞれ固定された駆動ローラ145、146が設けられている。
本例では、駆動ローラ145、146は、第1筒部110と第2筒部120のそれぞれの下方に設けられている。駆動軸135は、チェーンベルト159を介して、冷却ドラム101の下側に設けられたモータ40(
図7参照)と連結し、駆動軸135、135は別のチェーンベルト(図示外)を介して互いに連結している。
さらに、冷却ドラム101の上側には、冷却ドラム101と平行に延在する固定軸155、156に回転自在に設けられた従動ローラ165、166が配置される。従動ローラ165、166は、冷却ドラム101の軸線方向において、駆動ローラ145、146と同じ位置に設けられる。
上記構成において、モータ40の駆動に伴い駆動ローラ145、146が回転駆動され、
冷却ドラム101は回転することができ、従動ローラ165、166は冷却ドラム101の回転を補助する。この場合であっても、冷凍装置2が備える送風手段7によって送られる冷風の一部が入口111から冷却ドラム101の内部に流入し、粒状物5を下流側に向けて搬送する。
【0059】
以下、幾つかの実施形態に係る粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)、粒状物冷凍用の回転式冷凍装置(1、2)を説明する。
【0060】
1)本開示の一実施形態に係る粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)は、
粒状物(5)を取り込むための入口(111)と、前記入口(111)とは反対側に位置し前記粒状物(5)を排出するための出口(122)とを備える粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
第1材料によって形成された第1内表面(115)を有する第1筒部(110)と、
前記第1筒部(110)よりも前記出口(122)側に配置され、第2材料によって形成された第2内表面(124)を有する第2筒部(120)と、を含み、
前記第1材料の熱伝導率は、前記第2材料の熱伝導率よりも低い。
【0061】
粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)に投入された直後の粒状物(5)は、凍結温度に至っていないため、液相の水を比較的多く含んでおり、この粒状物(5)が急激に冷やされると、粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)の内表面に粒状物(5)が付着するおそれがある。この点、上記1)の構成によれば、第1内表面(115)を構成する第1材料の熱伝導率が低いため、凍結し始めた粒状物(5)と第1内表面(115)との間の熱交換が制限され、粒状物(5)が第1内表面(115)に付着することを抑制できる。よって、凍結した粒状物(5)が内部に残りにくい粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)が実現する。
【0062】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記第1筒部(110)は、前記第1内表面(115)に設けられ、軸線方向に延在する突起(117)をさらに含む。
【0063】
上記2)の構成によれば、回転する突起(117)が第1筒部(110)の内部で粒状物(5)を掻き上げることで、粒状物(5)が分散した状態で浮遊できる。これにより、粒状物(5)は分散した状態で冷風と接触し、凍結し始めることができので、粒状物(5)が集合した状態で凍結されることを抑制できる。また、突起(117)によって掻き上げられる粒状物(5)は、第1内表面(115)との接触が抑制されるので、粒状物(5)が第1内表面(115)に付着するのをさらに抑制できる。さらに掻き上げにより分散した状態で浮遊する粒状物(5)の各々が、入口(111)から流入する冷風に当たるので、粒状物(5)をムラなく冷却することができ、粒状物(5)の急激な凍結に起因する粒状物(5)の割れを抑制できる。よって、粒状物(5)を良好にバラ凍結することができる。よって、粒状物(5)を良好にバラ凍結することができる。
【0064】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記突起(117)は、前記第1筒部(110)の全長に亘って延在する。
【0065】
上記3)の構成によれば、粒状物(5)は第1筒部(110)の内側を通過する間に亘って継続的に掻き上げられるので、粒状物(5)をさらに良好にバラ凍結することができる。
【0066】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)のいずれかに記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記第2筒部(120)の径方向断面において、前記第2筒部(120)の中心から前記第2内表面(124)までの距離(寸法D)が周方向に亘って一定である。
【0067】
上記4)の構成によれば、第2筒部(120)の内側では、粒状物(5)の過度な掻き上げが抑制されるので、粒状物(5)は第2内表面(124)に対して接触しながら第2筒部(120)の出口(122)側へと向かう。これにより、粒状物(5)が第2筒部(120)を通過する時間を長くできると共に、粒状物(5)と第2内表面(124)との熱交換を促進できる。よって、粒状物(5)を内部まで十分に凍結させることができる。
【0068】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記第2筒部(120)は、外側に形成された冷風の流路(第2供給路20)と前記第2筒部(120)の内側とを連通させる連通口(125)を含む。
【0069】
上記5)の構成によれば、粒状物(5)との熱交換を行う前の比較的低温の冷風が連通口(125)を介して第2筒部(120)の内側に流入し、入口(111)から流入した冷風と合流することで、第2筒部(120)の内側にある粒状物(5)を十分に凍結させることができる。
【0070】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記第2筒部(120)は、前記連通口(125)が形成されている形成領域(127)と、前記連通口(125)が形成されていない非形成領域(128)とが、軸線方向に沿って並んで配置された筒壁(126)含む。
【0071】
上記6)の構成によれば、粒状物(5)は非形成領域(128)では第2内表面(124)と接触しながら出口(122)に向かって搬送され、形成領域(127)では浮き上がりながら搬送される。これにより、第2筒部(120)での粒状物(5)の滞留時間を確保できると共に、粒状物(5)を分散した状態で冷風に当てることもできる。よって、第2筒部(120)は粒状物(5)を良好にバラ凍結させることができる。
【0072】
7)幾つかの実施形態では、上記5)または6)に記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記連通口(125)は、軸線方向に延在する長孔である。
【0073】
上記7)の構成によれば、長孔である連通口(125)を通過する冷風がフィルム状となって第2筒部(120)に流入できるので、第2筒部(120)の内部で軸線方向に分散している粒状物(5)に冷風をより確実に当てることができる。よって、第2筒部(120)の内側にある粒状物(5)を十分に凍結することができる。
【0074】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から7)のいずれかに記載の粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)であって、
前記第1材料は樹脂材料であり、
前記第2材料は金属材料である。
【0075】
上記8)の構成によれば、1材料が樹脂材料であることで、粒状物(5)と第1内表面(115)との熱交換を適度に制限できる。また、第2材料が金属材料であることで、粒状物(5)と第2内表面(124)との熱交換を良好に促進できる。
【0076】
9)本開示の一実施形態に係る粒状物冷凍用の回転式冷凍装置(1、2)は、
上記1)から8)のいずれかに記載の、横向きに配置された粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)と、
前記粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)の軸線(100A)を挟んで回転自在に設けられ、各々が前記粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)を下から支持する一対の支持ローラ(支持ローラ45、駆動ローラ145)を備える。
【0077】
上記9)の構成によれば、より安定的に粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)を回転させることができる粒状物冷凍用の回転式冷凍装置(1、2)が実現する。
【0078】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載の粒状物冷凍用の回転式冷凍装置(1、2)であって、
モータ(40)と、
前記モータ(40)に連結されたスプロケット(41)と、
前記スプロケット(41)と、前記粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)に形成された外歯とに噛み合うチェーンベルト(42)と
をさらに備える。
【0079】
上記10)の構成によれば、簡易な構成で粒状物冷凍用の冷却ドラム(100、101)を回転させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0081】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0082】
1、2 :冷凍装置
5 :粒状物
40 :モータ
41 :スプロケット
42 :チェーンベルト
45 :支持ローラ
100、101 :冷却ドラム
110 :第1筒部
111 :入口
115 :第1内表面
117 :突起
120 :第2筒部
122 :出口
124 :第2内表面
125 :連通口
126 :筒壁
127 :形成領域
128 :非形成領域