IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073273
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】面状光源及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20230518BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20230518BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230518BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230518BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/58 ZNM
F21S2/00 419
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036829
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2020186783の分割
【原出願日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2020067099
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020097985
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家段 勝好
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 聡
(72)【発明者】
【氏名】江口 昌幸
(57)【要約】
【課題】輝度むらが少ない面状光源等を提供する。
【解決手段】面状光源100は、支持部材51と、支持部材51上に配置された配線層40と、を含む複合基板50と、複合基板50上に配置され、穴部56を複数有する遮光部材54と、遮光部材54の複数の穴部56内において、それぞれ配線層40に配置された複数の発光素子20と、穴部56内及び遮光部材54上に配置された透光性部材60とを備える。支持部材51が、配線層40の側面及び下面を覆い、穴部56の底面は、支持部材51の上面と配線層40の上面とで規定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、前記支持部材上に配置された配線層と、を含む複合基板と、
前記複合基板上に配置され、穴部を複数有する遮光部材と、
前記遮光部材の複数の穴部内において、それぞれ配線層に配置された複数の発光素子と、
前記穴部内及び前記遮光部材上に配置された透光性部材と、
を備え、
前記支持部材が、前記配線層の側面及び下面を覆い、
前記穴部の底面は、前記支持部材の上面と前記配線層の上面とで規定される面状光源。
【請求項2】
請求項1に記載の面状光源であって、
前記穴部内で表出される前記配線層の幅を、厚さよりも小さくしてなる面状光源。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の面状光源であって、
前記複数の発光素子が、前記複合基板の平面視において、行列状に配置されてなる面状光源。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の面状光源であって、
前記遮光部材で囲まれた前記配線層の一部が、前記発光素子を実装しない、端子部分を形成してなる面状光源。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の面状光源であって、
前記発光素子は、正負の素子電極を備える電極形成面と、電極形成面と反対側の光取り出し面とを有し、
前記素子電極が前記配線層の上面に対向するように配置される面状光源。
【請求項6】
請求項5に記載の面状光源であって、
前記支持部材が、前記素子電極の側面を被覆している面状光源。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の面状光源であって、
前記遮光部材が、前記穴部を断面視において、開口端を段差状に形成してなる面状光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状光源及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の発光素子を用いた発光装置は、液晶ディスプレイのバックライトやディスプレイ等の各種の光源として広く利用されている。このような発光装置としては、配線を有する基板の上に発光素子を載置した構造が提案されている。例えば特許文献1は、基板の上面に配線を有し、その配線に発光素子の下面の電極を接続した発光装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-100444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような多数の発光素子を平面状に並べた発光装置においては、正面視において発光素子を設けた位置の輝度が局所的に高くなることがある。このため、場所によらず輝度を一定に近付けた面状光源とすることが求められていた。
【0005】
本発明の目的の一は、輝度むらが少ない面状光源及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の形態に係る面状光源の製造方法によれば、支持部材と、前記支持部材に設けられた配線層と、を含む複合基板と、前記複合基板の前記配線層上で、互いに離隔して配置された複数の発光素子と、を備える中間体を準備する工程と、前記複数の発光素子の上面及び側面と前記複数の発光素子の周囲の前記複合基板を覆うように、複数の被覆部材をそれぞれ離隔して配置する工程と、前記被覆部材同士の間を埋めるように、遮光部材を配置する工程と、前記被覆部材を除去して複数の穴部を形成する工程と、前記複数の穴部内に、透光性部材を配置する工程とを含むことができる。
【0007】
また、本発明の他の形態に係る面状光源によれば、支持部材と、前記支持部材上に配置された配線層と、を含む複合基板と、前記複合基板上に配置され、穴部を複数有する遮光部材と、前記遮光部材の複数の穴部内において、それぞれ配線層に配置された複数の発光素子と、前記穴部内及び前記遮光部材上に配置された透光性部材と、を備えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一の形態に係る面状光源の製造方法によれば、各穴部内に配置され、遮光部材で区画された複数の発光素子を有する小型の面状光源を得ることが可能となる。また本発明の他の形態に係る面状光源によれば、遮光部材で区画された複数の発光素子の発光を、隣接する発光領域同士で透光性部材を介して部分的に伝搬するようにして、輝度むらを低減して面発光に近付けた面状光源を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る面状光源を示す模式平面図である。
図2】変形例に係る面状光源を示す模式平面図である。
図3図1の面状光源の要部拡大模式断面図である。
図4】実施例に係る面状光源の穴部を示すSEM写真である。
図5】配線層の実装領域と延出領域を示す斜視図である。
図6】実施形態2に係る面状光源を示す要部拡大模式断面図である。
図7】実施形態3に係る面状光源の要部拡大模式断面図である。
図8】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図9】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図10】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図11】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図12】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図13】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図14】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図15】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図16】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図17】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図18】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図19】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図20】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図21】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図22】面状光源の製造工程を示す模式面図である。
図23】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図24】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図25】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図26】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図27】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図28】面状光源の製造工程を示す模式断面図である。
図29】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図30】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図31】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図32】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図33】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図34】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図35】遮光部材を形成する工程の一例を示す模式断面図である。
図36】実施形態4に係る面状光源の要部拡大模式断面図である。
図37】実施形態5に係る面状光源の要部拡大模式断面図である。
図38】実施形態6に係る面状光源の要部拡大模式断面図である。
図39図38のプリズムシートの断面図である。
図40図39のプリズムシートの部分拡大図付き平面図である。
図41図39のプリズムシートの部分拡大図付き底面図である。
図42図41のプリズムシートのプリズムを示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0011】
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための面状光源の製造方法を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
(面状光源100)
[実施形態1]
【0012】
本発明の実施形態1に係る面状光源100の模式平面図を図1に示す。この図に示す面状光源100は、矩形状の複合基板50上に、複数の発光素子20を行列状に配置している。なお発光素子の個数や配置パターンは、この例に限定されない。例えば発光素子を等間隔に配置するのみならず、発光素子同士の間隔を場所によって変化させてもよい。例えば図2に示すように、矩形状の複合基板50の中央部分は一定間隔としつつ、隅部が密になるように発光素子20の間隔を狭くしてもよい。多数の発光素子を配置する構成においては、中央部に比べて隅部が相対的に暗くなるため、このような配置とすることで、面状光源の隅部で暗くなることを避け、全体として輝度むらが少ない面状光源100を得ることが可能となる。また発光素子の配置は、二次元状に配置する他、行毎に一定間隔の位置からずらして配置してもよい。あるいは、ライン状としたり、放射状、渦巻き状など、任意の配置パターンが適宜利用できる。配置される発光素子の数や、行列の数等は、要求される仕様、例えば面状光源の大きさや密度、光量などに応じて設定される。
【0013】
このような面状光源100の要部拡大模式断面図を、図3に示す。この図に示す面状光源100は、複合基板50と、遮光部材54と、発光素子20と、透光性部材60を備える。複合基板50は、支持部材51と、支持部材51上に配置された配線層40とを含む。また遮光部材54は、複合基板50上に配置され、穴部56を複数有している。穴部56は、遮光部材54の内側面と、複合基板50の上面とで規定される部分である。穴部56の底面は、支持部材51の上面と配線層40の上面とで規定される。各穴部56内においては、発光素子20が配線層40と接続されている。以下、各部材の詳細について説明する。
(発光素子20)
【0014】
発光素子20は、遮光部材54の複数の穴部56内において、配線層40に配置されている。発光素子20は、正負の素子電極21を備える電極形成面20aと、電極形成面20aと反対側の光取り出し面20bとを有する。この発光素子20は、素子電極21が配線層40の上面に対向するように、直接又はバンプ等の接合部材を介して配置される。
【0015】
発光素子20には、半導体発光素子を利用することができる。本実施形態においては、発光素子20として発光ダイオードを例示する。発光素子20は、例えば青色光を出射する。発光素子20には、青色以外の光を出射する素子も使用できる。また、複数の発光素子20として異なる色の光を発する発光素子を用いることができる。発光素子20から出射される光の少なくとも一部は、波長変換部材70を用いることによって外部に出射される発光色を調整することができる。また、面状光源100に波長変換部材70が含まれていない場合は、発光素子からの青色光を面状光源100からの光として出射することができる。
【0016】
発光素子20は、例えば、青色、緑色の光を出射する素子としては、窒化物系半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)またはGaPを用いた発光素子を用いることができる。また、赤色の光を出射する素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体を含む発光素子を用いることができる。さらに、これら以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。半導体層の材料およびその混晶度を変更することによって発光波長を変化させることができる。用いる発光素子の組成、発光色、大きさ、個数などは、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0017】
このような発光素子20は、複数が支持部材51の上面において、複数の行と列に二次元状に配列されている。
(支持部材51)
【0018】
複合基板50は、支持部材51と、配線層40とを含む。支持部材51は、この上面に発光素子20を支持する。支持部材51は、好適には光反射性樹脂51bで構成できる。光反射性樹脂51bは、耐熱性および耐光性に優れた熱硬化性の樹脂とすることが好ましい。例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等が好適に利用できる。例えば、シリコーン樹脂に対して、光反射性のフィラーであるTiO2を60%混入したものを用いることができる。また支持部材51の厚さは、例えば15μm~300μmとする。
(配線層40)
【0019】
配線層40は、支持部材51上に設けられ、複数の発光素子20を電気的に接続する。図3の例では、配線層40は、第一金属層41及び第二金属層42を積層して構成されている。第一金属層41の例としては、例えば、支持部材51側からAl/Ti/Cuの積層構造が挙げられる。また第二金属層42としては、例えばCuが挙げられる。第一金属層41の厚さは、0.1μm~1μmとする。第二金属層42の厚さは、1μm~50μmとする。配線層40は、さらに第三金属層や第四金属層を積層することができる。
【0020】
配線層40は、遮光部材54の穴部56内で表出されている。いいかえると、穴部56の底面に表出された配線層40は遮光部材54で囲まれている。また穴部56の底面に表出された配線層40に、発光素子20が配置されている。実施例に係る面状光源100において、発光素子20を実装した穴部56の一例を、図4のSEM写真に示す。
【0021】
また配線層40の幅は、その厚さよりも小さくすることができる。配線層40の内、発光素子20の素子電極21を実装する実装領域45と、この実装領域45から延出された延出領域46を、図5に示す。図において、支持部材51は図示を省略している。この図に示すように、配線層40の延出領域46の厚さを、延出方向の幅よりも厚くすることで、電気抵抗を下げて電気導電性を高めることができるとともに、穴部56の底面において発光素子から露出する領域における支持部材51の占める面積を大きく確保することができる等の利点が得られる。
【0022】
さらに配線層40は、発光素子20を実装しない部分において、外部と電気接続する端子部分43を有することができる。端子部分43は、例えばフレキシブル基板44を介して外部の部材、例えば電源回路と接続する。フレキシブル基板44は、例えば、半田ペースト等の接着層62を用いて接合することができる。
(補強基板52)
【0023】
また複合基板50は、補強基板を含んでもよい。補強基板は、支持部材51の裏面側に配置されて、支持部材51を支持する。支持部材51が薄くなると、反りやしわが発生することがある。一方で、面状光源の薄型化の要求は強く、特に液晶ディスプレイでも、300μm以下の薄さが求められている。そこで、支持部材51のみで発光素子20を支持するのでなく、補強基板52をさらに設けることで、このような反りを抑制して補強する。このため補強基板52は、補強層として機能する。これにより、補強基板52では複合基板50を補強させ、支持部材51では光を反射させるという機能分離をすることができる。補強基板52の厚さは、25μm~200μmとする。この補強基板52は、絶縁性の基板であると、取り扱いやすくなるため好適に利用できる。補強基板52としては、例えば利昌工業株式会社製のCS3305A、ポリイミド含侵ガラスクロスである株式会社プリンテック社製のBN基板(商品名)等が、反りやしわが発生し難いため好適に用いることができる。補強基板52として、光反射性の部材を用いる場合は、支持部材51を省略することができる。
(遮光部材54)
【0024】
遮光部材54は、複合基板50上に配置されており、穴部56を複数有している。この遮光部材54は、発光素子20が発する光に対して遮光性を有する材質で構成される。例えば光反射性を有する材質、あるいは光を吸収する材質などが利用できる。好適には光反射性樹脂51bで構成できる。光反射性樹脂51bは、耐熱性および耐光性に優れた熱硬化性の樹脂とすることが好ましい。例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等が好適に利用できる。光を吸収する材質としては、黒色の樹脂を用いることができる。黒色に着色された樹脂でも遮光性能を発揮できる。また遮光部材54は、支持部材51と同様の材質で構成することもできる。これにより、遮光部材54を複合基板50上に配置する際の、樹脂同士の接続を良好に行える。
【0025】
遮光部材54の厚さは、10μm~450μmとすることで、光取り出し効率を高めることができる。
【0026】
遮光部材54の穴部56の形状は、円柱、または、四角柱、六角柱等の多角柱、あるいは円錐台、多角錐台等とすることができる。
(透光性部材60)
【0027】
透光性部材60は、穴部56内及び遮光部材54上に配置されている。このように、遮光部材54で区画された複数の発光領域における発光素子20の発光を、隣接する発光領域同士で透光性部材60を介して部分的に伝搬するようにして、輝度むらを低減した面状光源を得ることが可能となる。
【0028】
透光性部材60は、波長変換部材70を、発光素子20と光学的に結合する部材である。この透光性部材60は透光性を有し、波長変換部材70と発光素子20とを光学的に結合した状態に固定する。このような透光性部材60には、透光性の樹脂、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂、ガラス等が利用できる。
(波長変換部材70)
【0029】
透光性部材60及び遮光部材54の上には、波長変換部材70が配置される。波長変換部材70は、発光素子20が発する光を異なる波長の光に変換する波長変換物質を含有する。この波長変換部材70は、波長変換物質を母材に分散させてシート状としたものが利用できる。波長変換物質としては、蛍光体が挙げられる。例えば、YAG蛍光体、βサイアロン蛍光体またはKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体などが挙げられる。波長変換部材70は、一種類又は複数の異なる種類の波長変換物質が含有され得る。複数の波長変換物質を含有する場合は、例えば、波長変換部材70が緑色系の発光をするβサイアロン蛍光体と赤色系の発光をするKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体とを含むことができる。これにより、面状光源100の色再現範囲を広げることができる。
【0030】
青色系の光を出射する発光素子20を用いた際に、面状光源として赤色系の光を得たい場合は、波長変換部材にKSF系蛍光体(赤色蛍光体)を60重量%以上、好ましくは90重量%以上含有させることが好ましい。つまり、特定の色の光を出射する波長変換物質を波長変換部材に含有させることで、特定の色の光を出射することができる。また、波長変換物質は量子ドットであってもよい。波長変換部材内において、波長変換物質は例えば、略均一に分布させることができる。また、一部に偏在してもよい。また、波長変換物質をそれぞれ含有する複数の層が積層されて設けられていてもよい。
【0031】
また波長変換物質を分散させる母材は、樹脂等が利用できる。樹脂材料には、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂、またはガラスなどの透光性材料を用いることができる。波長変換部材70の耐光性および成形容易性の観点からは、母材としてシリコーン樹脂を選択すると有益である。
(光拡散層)
【0032】
また波長変換部材70の他に、発光素子20が発する光を拡散、あるいは散乱させる光拡散層を設けることができる。これにより、複数の発光素子20を配置した面状光源の光取り出し面において、局部的に光が集中することを避け、輝度ムラが少ない面状発光が得られる。光拡散層は、光拡散材を樹脂に分散させて構成されている。光拡散材には、TiO2、SiO2、Al23又はガラスフィラー等の無機粒子が好適に利用できる。また光拡散材には、光反射部材である白色系の樹脂や金属を微粒子状に加工したものを使用することもできる。これらの光拡散材は、母材の内部に不規則に含有されることで、光拡散層の内部を通過する光を不規則に、かつ繰り返し反射させて、多方向に拡散することで、面状光源の光取り出し面において、光が局部的に集中するのを抑制して、輝度ムラが生じるのを防止する。また光拡散層を構成する樹脂には、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂が好適に利用できる。光拡散部は、発光素子20から出射される光に対して60%以上の反射率を有し、好適には90%以上の反射率を有することが望ましい。なお、この光拡散層は、面状光源の構成や用途によっては省略することもできる。
[実施形態2]
【0033】
遮光部材54は、穴部56を、図3に示すように遮光部材54の厚さ方向において開口幅が一定の形状にする他、穴部56の内面を傾斜させてもよい。
【0034】
また、穴部56の内面に段差を設けることができる。このような例を、実施形態2に係る面状光源200として、図6に示す。この図に示す面状光源200は、開口端を段差状にした穴部56Bを有している。このようにすることで、光の取り出し効率を向上させることができる。
[実施形態3]
【0035】
上述した図3の例では、透光性部材60を、遮光部材54で区画された穴部56の内面と、遮光部材54の上面にそれぞれ配置される部材を一体的に設けている。ただ本発明は、この構成に限られず、透光性部材を複数備えることができる。このような例を実施形態3に係る面状光源300として、図7に示す。この図において、上述した実施形態1や2と同様の部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。図7に示す透光性部材60は、遮光部材54Cで区画された穴部56の内部に配置される透光性部材60aと、この透光性部材60a及び遮光部材54Cの上面を覆う透光性部材60bとを分けて配置している。これら透光性部材60aと透光性部材60bは、同じ材質を用いることが好ましい。ただ、屈折率の近似した異なる材質を用いてもよい。
[面状光源の製造方法]
【0036】
次に、面状光源の製造方法を、図8図28に基づいて説明する。まず、図21に示す中間体2を準備する。
(中間体2を準備する工程)
【0037】
図21に示す中間体2は、支持部材51と、支持部材51上に配置された配線層40を含む複合基板50と、この複合基板50の配線層40に実装された発光素子20を備える。以下、まず第一中間体1を準備する工程を、図8図16に基づいて説明する。
(発光素子20を配置する工程)
【0038】
まず図8に示すように、支持部10上に、第二透光性部材13を介して、発光素子20を配置する。発光素子20は、電極形成面20aを上に向け、かつ光取り出し面20bを下に向けた状態で配置する。発光素子20は、一部が第二透光性部材13に埋まるように配置することができる。発光素子20の光取り出し面には、凹凸を形成することが好ましい。
【0039】
なお第一中間体1において、複数の発光素子20を所定の間隔を空けて配置することができる。この場合、後述する配線層40を形成する工程において、各発光素子20の素子電極21同士を配線層40によって電気的に接続することができる。
【0040】
支持部10は、発光素子20を載置することが可能なものである。例えばガラス基板やサファイア基板等が支持部10として好適に利用できる。また、支持部10として両面(上面及び下面)を研磨したサファイア基板を好適に用いることができる。支持部10の形状は、特に限定されないが、上面が平坦であることが好ましい。支持部10と発光素子20とは、第二透光性部材13により貼り合わされている。第二透光性部材13としては、例えば新日鉄化学社製のVPA等を用いることができる。
【0041】
支持部10の上面には、剥離層11として、感光性樹脂層が配置されている。剥離層11の上面には、保護層12を介して第二透光性部材13が配置されている。剥離層11は、後に、光を照射することにより、支持部10から発光素子20を分離するためのものである。
【0042】
次に、図9に示すように、発光素子20の載置領域以外の領域の第二透光性部材13を、エッチングにより除去する。エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)が好適に利用できる。保護層12は、剥離層11がエッチングされるのを防ぐ役割を果たす。保護層12の材料としては、金属を用いることが好ましい。保護層12の金属としては、Ti等を用いることができる。
(第一被覆層30を形成する工程)
【0043】
次に、図10に示すように、支持部10上であって、発光素子20の周囲に、第一被覆層30を形成する。第一被覆層30は、支持部10上に第一被覆層30の材料を塗布して設ける。塗布方法は、スピンコータによるスピンコート法、ディスペンサによる吐出など特に限定されない。第一被覆層30は、有機物で構成される部材を用いることが好ましい。これにより、後述する第一被覆層30を除去する工程において、エッチングにより容易に除去することができる。有機物としては、例えばポリイミド(PI)、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0044】
第一被覆層30としてレジストを用いる場合は、図10に示すように、支持部10及び発光素子20を覆うようにレジストを設けた後、発光素子20の上方を覆う形状に設けられたマスクMを介して露光し、現像する。これにより、図11に示すように発光素子20の電極形成面20aが露出する開口部を形成する。図10及び図11に示す例では、露光して現像した後に露光部分が残る、いわゆるネガ型を使用した例を示したが、露光して現像した後に露光部分が除去されるポジ型のレジストを用いてもよい。このようなレジストとしては、ポリイミド、アクリル樹脂等を主成分とする材料を用いることができる。
(配線層40を形成する工程)
【0045】
次に、発光素子20の素子電極21から第一被覆層30の上にわたって、配線層40を形成する。配線層40は、第一金属層41及び第二金属層42を積層して形成する。
【0046】
配線層40を形成する工程においては、まず、図12に示すように、発光素子20の素子電極21と第一被覆層30上の略全面に、第一金属層41をスパッタ等で形成する。第一金属層41は、後工程である第二金属層42を形成する工程において、第二金属層42を電解めっき法で形成する際のシード層として用いられる。第一金属層41の積層構造としては、例えば、支持部10側からAl/Ti等が挙げられる。
【0047】
次に、図13に示すように、第一金属層41の上にレジストRSを設ける。レジストRSは、複数の開口部を有する。平面視において、レジストRSの開口部と素子電極21の少なくとも一部が重なる。また、平面視において、レジストRSの開口部は、素子電極21よりも大きい。一つの発光素子20の上に設けられる開口部同士の間隔は、正負の素子電極同士の間隔よりも広い。
【0048】
次に、図14に示すように、レジストRSの開口部内に、電解めっき法によって第二金属層42を形成する。第二金属層42は、第一金属層41を電解めっきのシード層、すなわち電流経路として用い、レジストRSの開口部内でめっき成長させることで形成される。第二金属層42としては、例えば、Cuが挙げられる。
【0049】
次に、図15に示すように、レジストRSを除去する。これにより、第二金属層42が、配線層40の一部として形成される。
【0050】
続いて、図16に示すように、エッチングにより第二金属層42の一部を除去して第二金属層42を薄膜化するとともに、第二金属層42が形成されていない領域の第一金属層41を除去する。第二金属層42の一部と第一金属層41を同時に除去することで、マスク等を設けずにエッチングを行うことができる。これによって、発光素子20の素子電極21から第一被覆層30の上にわたって、第一金属層41と第二金属層42が積層された配線層40が形成される。第二金属層42を形成する工程において、第二金属層42を薄く形成する場合、第二金属層42を薄膜化する工程を省略することができる。この場合、第二金属層42を形成しない領域の第一金属層41を除去する工程は、第二金属層42を形成する工程の前または後に行うことができる。なお、配線層40の上に、さらに第三金属層および第四金属層を積層して第二の配線層を形成することができる。
【0051】
このように、配線層40は、発光素子20の素子電極21に対して形成するため、発光素子20を配置する工程において発光素子20の位置ズレが生じたとしても、配線層40を設ける位置を調整することができる。これにより、基板上の配線層に対して発光素子を配置する場合と比較して、発光素子20の素子電極21と配線層40の位置ズレによる接続不良を抑制することができる。
【0052】
以上のようにして第一中間体1を準備する。このような第一中間体1は、購入により準備してもよいし、第一中間体1を準備する工程の一部又は全部を行うことで準備してもよい。
【0053】
第一中間体1を準備する一方で、光反射性樹脂51bを塗布した補強基板52を準備する。そして図17に示すように、この光反射性樹脂51bに、第一中間体1を反転させ、配線層40側の面を光反射性樹脂51bに対向させた姿勢でプレスする。ここでは、上面に離型シートを設けた下地用ガラス基板等のウエハと、この上に載置したBN基板等の補強基板52に、支持部材51で第一中間体1を貼り合わせる。好ましくは、真空中でプレスして貼り合わせる。これにより、支持部材51及び補強基板52を一括して第一中間体1に接合することができるため、支持部材51を薄くしても反りやしわの発生を抑制することができる。ここでは、未硬化または半硬化状態の光反射性樹脂51bに対し、第一中間体1をプレスする。本明細書において、「半硬化」とは、樹脂の硬化を途中段階で停止させた状態で、「半硬化状態の光反射性樹脂」とは、その硬化過程において加熱により、さらに硬化を進めることが可能な状態の光反射性樹脂をいう。未硬化または半硬化状態の光反射性樹脂51bを用いることによって、配線層40の側面及び下面(第一被覆層30と対向する面と反対側の面)を支持部材51で覆うことができる。図17に示す例では、プレス用にガラス基板を用いている。これらのプレス用ガラス基板PGは、表面に離型用のPETシート等を設けておくことが好ましい。
【0054】
次に、光反射性樹脂51bを硬化させて支持部材51を形成する。まず、図18に示すように、プレスした状態で光反射性樹脂51bを硬化させる。上述の通り光反射性樹脂51bは、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂であるため、加熱する。例えば150℃に数時間加熱する。そして図19に示すように、プレス用ガラス基板PGを離型した後、余分な光反射性樹脂等を除去する。なお、この例では予め補強基板52上に支持部材51を塗布しているが、逆に第一中間体1側に光反射性樹脂51bを塗布した上で、この光反射性樹脂51bに補強基板52を貼り付けてもよい。
【0055】
次に、図20に示すように支持部10を除去する。支持部10の除去は、レーザリフトオフ等により行うことができる。支持部10を剥離させ易いように、支持部10には予め剥離層11が設けられている。
【0056】
さらに剥離層11等、不要な部分を除去する。ここでは、図21に示すように第一被覆層30のポリイミド樹脂を、RIEにより、除去している。以上のようにして、複数の発光素子20を複合基板50上に配列した中間体2が得られる。このような中間体2は、購入により準備してもよいし、中間体2を準備する工程の一部又は全部を行うことで準備してもよい。
(被覆部材31を配置する工程)
【0057】
このようにして得られた中間体2に対し、図22に示すように、複数の被覆部材31をそれぞれ離隔して配置する。各被覆部材31は、発光素子20の上面及び側面と、発光素子20の周囲の複合基板50を覆うように配置する。被覆部材31は、レジストが好適に利用できる。レジスト材料としては、アクリル系の樹脂等を用いることができる。未硬化のレジスト材料を、複合基板50の上面で、発光素子20を埋設するように塗布し、これを硬化させることで、被覆部材31が形成される。
【0058】
被覆部材31の形状は、円柱、または、四角柱、六角柱等の多角柱、あるいは円錐台、多角錐台等であってもよい。平面視において、被覆部材31の中心に発光素子20が配置されることが好ましい。
【0059】
また配線層40の、外部と接続する端子部分43についても、被覆部材31で覆うように上面に配置する。
(遮光部材を配置する工程)
【0060】
このようにして形成された被覆部材31同士の間を埋めるように、遮光部材54を配置する。図23に示す例では、被覆部材31同士の間から連続して、被覆部材31の上面を覆うように遮光部材54を形成しているが、遮光部材54を被覆部材31と同じ高さで形成してもよい。遮光部材54の形成には、光反射性物質を含有する樹脂を用いる。例えば未硬化のシリコーン樹脂を、被覆部材31同士の間に充填して硬化させることで、複数の被覆部材31の周囲を囲むように遮光部材を形成することができる。
(被覆部材31を表出させる工程)
【0061】
次に、図24に示すように、遮光部材54の表面の一部を除去して、被覆部材31を表出させる。例えば、被覆部材31が遮光部材54から露出させるまで、遮光部材54の上面から切削する。これにより、遮光部材54の上面を平坦にできる利点が得られる。遮光部材を配置する工程において、遮光部材54を被覆部材31と同じ高さで形成し、被覆部材31の上面を覆わない場合は、被覆部材31を表出させる工程を省略することができる。
(被覆部材31を除去する工程)
【0062】
さらに、図25に示すように、被覆部材31を除去することで、遮光部材54で囲まれた複数の穴部56を形成する。被覆部材31の除去は、例えばドライエッチングにより行われる。
(透光性部材60を配置する工程)
【0063】
そして、複数の穴部56内に、透光性部材60を配置する。ここでは、図26に示すように、穴部56及び遮光部材54の上面を埋めるように、透光性部材60を配置する。透光性部材としては、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。このように、遮光部材54で区画された複数の発光素子20の発光を、隣接する発光領域同士で透光性部材60を介して部分的に伝搬するようにして、輝度むらを低減して面発光に近付けた面状光源を得ることが可能となる。
(配線層40の端子部分43に必要な配線を行う工程)
【0064】
さらに、配線層40の端子部分43に必要な配線を行う。図27に示す例では、端子部分43にフレキシブル基板44を接続している。
【0065】
以上のようにして、各穴部56内に配置され、遮光部材54で区画された複数の発光素子20を有する小型の面状光源を得ることが可能となる。
(波長変換部材70を配置する工程)
【0066】
さらに、透光性部材60及び遮光部材54の上に、波長変換部材70を配置することができる。波長変換部材70を設けることで、発光素子20が発する光を波長変換部材70で異なる波長の光に変換し、これらの混色光を出射できる。例えば、発光素子として青色発光ダイオードを、波長変換部材70として、青色光で励起されて黄色の蛍光を発するYAG蛍光体を用いることで、白色発光可能な面状光源が得られる。
【0067】
波長変換部材70を配置するには、例えば、透光性部材60を構成する透光性樹脂が未硬化の状態で、図28に示すように、上面に波長変換部材70を載置する。そして、透光性樹脂を硬化させて、波長変換部材70を透光性部材と接着させる。
【0068】
波長変換部材70は、予め母材となる樹脂材料に波長変換材料を分散させてシート状にしたものを準備しておく。また波長変換部材70は、多層構造とすることができる。多層構造の波長変換部材は、異なる種類の蛍光体等の波長変換材料を各層に含めることができる。あるいは、波長変換材料を含まない透光性の層を含めてもよい。
(遮光部材54の穴部56の内面に段差を形成する工程)
【0069】
上述の通り、遮光部材54は、穴部56の内面を平面状とする他、図6に示すように段差を設けてもよい。ここで、遮光部材54の穴部の内面に段差を形成する工程を、図29図33に基づいて説明する。まず、上述した工程と同様に、被覆部材31を形成し、遮光部材54を配置し、被覆部材31を除去して、図29に示すように穴部56Aを形成する。ここでは、説明のため一の穴部56Aのみを図示しているが、実際には複合基板50に複数の穴部56Aを形成する。以下、図示は一つのみとするが、同様に複数の部材が複合基板50上に形成、あるいは除去されるものとして説明する。
【0070】
次に、図30に示すように、第二被覆部材32を形成する。ここでは第二被覆部材32を、穴部56Aから連続して、遮光部材54の上面の内、穴部56Aの周囲まで覆う。このような第二被覆部材32を、穴部56A毎に、それぞれ離隔して形成する。第二被覆部材32は、上述した第一被覆層30や被覆部材31と同様の材質が利用できる。
【0071】
さらに、図31に示すように、第二遮光部材54Bを配置する。ここでは、第二被覆部同士の間を埋めるように、第二被覆部材32の上面まで第二遮光部材54Bを形成する。そして、図32に示すように、第二遮光部材54Bの上面を削除して、第二被覆部材32を露出させる。第二遮光部材54Bも、上述した遮光部材54と同様の材質が利用できる。
【0072】
そして第二被覆部材32を除去する。このようにして、図33に示すように、穴部56Aの開口端に段差を設けた穴部56Bが形成される。
【0073】
また、同様の工程を繰り返すことで、段差の数を増やすことも可能となる。
【0074】
あるいは、RIEなどのエッチングに際し、露光強度と露光パターンを変えて段差を形成することができる。このような例を図34図35に基づいて説明する。まず、上述した図20までの工程と同様に、複数の発光素子20を複合基板50上に配列した中間体2を準備した状態で、全面に遮光部材54となる光反射性樹脂を塗布する。この状態で、図34に示すように第一マスクM1を介して1回目の露光(第一露光)を行う。第一マスクM1の開口面積は、穴部56Aの開口面積となるように設計しておく。また第一露光の露光強度は、エッチングで複合基板50上の光反射性樹脂(遮光部材54)をすべて除去できる強度、すなわち相対的に強い露光強度に設定する。
【0075】
次にマスクを第二マスクM2に変更して連続露光を行う。2回目の露光(第二露光)に用いる第二マスクM2の開口面積は、図35に示すように穴部56Aよりも大きい穴部56Bの開口面積となるように設計しておく。また第二露光の露光強度は、穴部56Aが形成されるように、すなわち穴部56Aの厚さ分の遮光部材54が残るように、第一露光の露光強度よりも弱く設定される。このようにして、遮光部材54に穴部56Aと穴部56Bが形成されるので、図32に示すような段差状の遮光部材54を有する面状光源200が得られる。
[実施形態4]
【0076】
図36に示す実施形態4に係る面状光源400の例では、面状光源400は、発光素子20の正負の素子電極21のそれぞれに接続される第一配線層40Aと第二配線層40Bが絶縁部材48を介して立体的に交差する交差部を有している。絶縁部材48は、少なくとも上面視において第一配線層40Aと第二配線層40Bが重なる領域であって、第一配線層40Aと第二配線層40Bとの間に配置すればよい。絶縁部材48としては、多層配線用の層間絶縁膜として一般的な感光性絶縁樹脂、例えば感光性アクリル樹脂、感光性シリコーン樹脂(例えば、信越化学工業株式会社製のSINR-3170)、感光性エポキシ樹脂、感光性ポリイミド等を用いることができる。支持部材51、絶縁部材48、第一配線層40A及び第二配線層40Bの上面を覆うように、遮光部材54が配置されている。遮光部材54は、穴部56を複数有している。穴部56内において、発光素子20が配線層40と接続されている。図36においては、透光性部材60を図示していないが、穴部56内に透光性部材60を設けてもよい。本実施形態によれば、第一配線層40Aと第二配線層40Bとが交差するような配線レイアウトを実現可能であるので、ローカルディミングに必要な回路を容易に形成することが可能になる。
【0077】
図37に示す実施形態5に係る面状光源500の例では、透光性部材60が、発光素子20、支持部材51、第一配線層40A及び第二配線層40Bの上に配置される。図36及び図37に示す面状光源400、500においては、第一配線層40A及び第二配線層40Bのそれぞれの側面及び下面が支持部材51に埋設され、支持部材51、絶縁部材48、第一配線層40A及び第二配線層40Bのそれぞれの上面が略同一面上に配置されている。この上に設けられる透光性部材60の下面は、概ね平坦な面である。これにより、発光素子20から出射する光を透光性部材60内に広げることができる。
[実施形態6]
【0078】
また、図36に示す面状光源400の上面に、導光板を付加してもよい。このような例を実施形態6に係る面状光源600として、図38の断面図に示す。この図に示す面状光源600は、上述した実施形態4に係る面状光源400の上面に、導光板80と、波長変換部材70と、プリズムシート90を配置している。このような構成によって、面状光源400の発光面から発される光を上方に反射させて、面状光源500の正面からの輝度を向上させることができる。図38において、上述した部材と同等の部材は、同じ符号を付して詳細説明を省略する。また同図においては、面状光源400を模式化して図示している。
【0079】
導光板80の断面図を図39に、その部分拡大図付き平面図を図40に、部分拡大図付き底面図を図41に、それぞれ示す。これらの図に示す導光板80は、上面に複数の第一凹部81を有する。各第一凹部81は、発光素子20の概ね直上の位置に配置される。第一凹部81は、例えば逆円錐台形状とすることができる。
【0080】
導光板80の上面のうち第一凹部81と重ならない領域に、複数の凸部82が配置されている。複数の凸部82は、均等な間隔で配置されていることが好ましい。各凸部82は、図40の部分拡大図に示すように、上面視が円形状である。円形状の凸部82の直径は、例えば10μm以上300μm以下とすることができる。凸部82は、導光板80の内部での全反射を抑制することにより、上面から取り出される光を増大する効果を発揮し得る。このような凸部82の垂直断面形状は、半球形状、円錐形状、角錐形状、角錐台等の種々の形状を採ることができる。また、凸部82に代えて凹部を配置してもよい。この場合、凹部の上面視の形状は円形とすることができる。また、凹部の断面形状は、半球形状、円錐形状、角錐形状、角錐台等の種々の形状を採ることができる。
【0081】
また導光板80の下面には、図41の底面図に示すように、その全面に発光素子20の配置ピッチよりも微小な複数の第二凹部83が配置されている。各第二凹部83は、図42の拡大斜視図に示すように、四角錐台形状としている。このような第二凹部83の底面の正方形を、45°回転させて図41の部分拡大図に示すように、斜めの姿勢で多数を並べて配置している。第二凹部83の開口幅は、0.5μm以上10μm以下程度とすることができる。
【0082】
このような複数の凸部82、第一凹部81及び第二凹部83を有する導光板80を付加することで、面状光源400からの光を拡散させることが可能となる。
【0083】
波長変換部材70は、図3等で示したものと同じ構成が利用できる。図38の例では、波長変換部材70として、シート状の第一波長変換部材71と第二波長変換部材72の積層体の両面を透光性の保護膜73a、73bで被覆した積層シートとしてもよい。保護膜73a、73bとしては、例えば、PET等を用いることができる。さらに第一波長変換部材71の下面側にダイクロイックミラーを付加してもよい。ダイクロイックミラーは、第一波長変換部材71と保護膜73aとの間に設けることができる。また、保護膜73aの代わりにダイクロイックミラーを設けてもよい。このようにダイクロイックミラーを付加することで、波長変換部材からの光(例えば黄色の蛍光)が光源側に戻るのを抑制して、光取り出し効率の向上や色ムラの抑制に寄与できる。
【0084】
図38の例では、第一波長変換部材71に含有させる波長変換物質として、KSF系蛍光体等の赤色蛍光体を用い、第二波長変換部材72に含有させる波長変換物質として、βサイアロン蛍光体等の緑色蛍光体を用いている。
【0085】
プリズムシート90は、液晶ディスプレイの正面輝度を向上させる複合型のプリズムフィルムである。このようなプリズムシート90には、例えば3M社製の輝度上昇フィルム(ASOC4、DBEF、BEF)等を使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示に係る面状光源は、テレビやタブレット、液晶ディスプレイ装置のバックライトとして、テレビやタブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルサイネージ、掲示板などに好適に利用できる。また、照明用の光源としても利用でき、非常灯やライン照明、あるいは各種のイルミネーションや車載用のインストールなどにも利用できる。
【符号の説明】
【0087】
100、200、300、400、500、600…面状光源
1…第一中間体
2…中間体
10…支持部
11…剥離層
12…保護層
13…第二透光性部材
20…発光素子
20a…電極形成面
20b…光取り出し面
21…素子電極
30…第一被覆層
31…被覆部材
32…第二被覆部材
40…配線層;40A…第一配線層;40B…第二配線層
41…第一金属層
42…第二金属層
43…端子部分
44…フレキシブル基板
45…実装領域
46…延出領域
48…絶縁部材
50…複合基板
51…支持部材
51b…光反射性樹脂
52…補強基板
54…遮光部材;54B…第二遮光部材
56…穴部
56A…穴部;56B…穴部
60、60a、60b…透光性部材
62…接着層
70…波長変換部材
71…第一波長変換部材
72…第二波長変換部材
73a、73b…保護膜
80…導光板
81…第一凸部
82…凸部
83…第二凹部
90…プリズムシート
M…マスク;M1…第一マスク;M2…第二マスク
RS…レジスト
PG…プレス用ガラス基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42