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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073317
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】粒子ビーム検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230518BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230518BHJP
   H01J 37/16 20060101ALI20230518BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20230518BHJP
   H01J 37/18 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 A
H01J37/16
H01J37/20 D
H01J37/20 E
H01J37/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023043722
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2020572986の分割
【原出願日】2019-07-11
(31)【優先権主張番号】62/699,643
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/869,986
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴーセン,ジェロエン,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】チェン,テ-ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン バニング,デニス,ハーマン,キャスパー
(72)【発明者】
【氏名】カダイク,エドウィン,コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン フーメン,マーティン,ペトルス,クリスチアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ワン,アーハン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス,ヨハネス,アンドレアス,ヘンリカス,マリア
(57)【要約】
【課題】改良された粒子ビーム検査装置、より具体的には、改良されたロードロックユニットを含む粒子ビーム検査装置を提供する。
【解決手段】改良されたロードロックシステムは、ウェーハを支持するように構成された複数の支持構造と、ウェーハの温度を調節するように構成された熱交換素子を含む調節プレートと、を含むことがある。ロードロックシステムは、調節プレートとウェーハとの間にガスを供給するように構成されたガス通気孔と、熱交換素子の制御を支援するように構成されたコントローラと、を更に含むことがある。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを支持するように構成された複数の支持構造と、
前記ウェーハの温度を調節するように構成された第1の熱交換素子を含む第1の調節プレートと、
前記第1の調節プレートと前記ウェーハとの間にガスを供給するように構成された第1のガス通気孔と、
プロセッサ及びメモリを含むコントローラであって、前記第1の熱交換素子の制御を支援するように構成されたコントローラと、
を含む、ロードロックシステム。
【請求項2】
前記第1の調節プレートは前記ウェーハの上方に配置される、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項3】
前記第1の調節プレートは前記ウェーハの下方に配置される、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項4】
前記複数の支持構造は前記第1の調節プレートに結合されている、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項5】
前記第1のガス通気孔は前記第1の調節プレートに取り付けられている、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、ウェーハステージの温度に基づいて前記第1の熱交換素子の前記制御を支援するように更に構成されている、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項7】
前記ウェーハの前記温度を調節するように構成された第2の熱交換素子を含む第2の調節プレートを更に含む、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項8】
ウェーハを支持するように構成された前記複数の支持構造は、前記第1の調節プレートと前記第2の調節プレートとの間に配置されている、請求項7に記載のロードロックシステム。
【請求項9】
前記第2の調節プレートと前記ウェーハとの間に前記ガスの一部を供給するように構成された第2のガス通気孔を更に含む、請求項7に記載のロードロックシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ウェーハステージの温度に基づいて前記第2の熱交換素子の制御を支援するように更に構成されている、請求項7に記載のロードロックシステム。
【請求項11】
前記第1の調節プレートと前記複数の支持構造と前記ウェーハとを封入するように構成されたロードロックチャンバを更に含む、請求項1に記載のロードロックシステム。
【請求項12】
前記ロードロックチャンバに接続された第2の真空ポンプを更に含む、請求項11に記載のロードロックシステム。
【請求項13】
前記コントローラは更に、
前記第1の真空ポンプが前記ロードロックチャンバ内部の圧力を第1の圧力レベルまで下げることを可能にし、
前記第2の真空ポンプが前記ロードロックチャンバ内部の圧力を第2の圧力レベルまで下げることを可能にするように構成され、前記第2の圧力レベルは前記第1の圧力レベルよりも低い、請求項12に記載のロードロックシステム。
【請求項14】
前記第2の真空ポンプは、メインチャンバに接続された第3の真空ポンプと排気経路を共有する、請求項13に記載のロードロックシステム。
【請求項15】
一組の命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記一組の命令は、コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であり、前記コントローラに、ウェーハの熱調節を行う方法を実施させ、前記方法は、
ウェーハがロードロックシステムのロードロックチャンバに装填された後で、前記ロードロックチャンバをポンプダウンするように第1の真空ポンプに指示することと、
前記ロードロックチャンバにガスを供給するようにガス供給部に指示することと、
前記ガスを介して前記ウェーハに熱を伝達するために、第1の調節プレートの温度を調節するように前記第1の調節プレート内の第1の熱交換素子に指示することと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年7月17日に出願された米国仮特許出願第62/699,643号及び2019年7月2日に出願された米国仮特許出願第62/869,986号の優先権を主張するものであり、これらの出願は両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供する実施形態は、粒子ビーム検査装置、より具体的には、改良されたロードロックユニットを含む粒子ビーム検査装置について開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、製造プロセスの間にウェーハ又はマスク上にパターン欠陥及び/又は招かれざる粒子(残留物)が不可避的に発生し、それによって歩留まりが大きく低下する。例えば、招かれざる粒子は、ICチップの一段とより高度化した性能要件を満たすために採用されてきた、重要フィーチャ寸法がより小さなパターンにとって、問題となり得る。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールを使用して、欠陥又は招かれざる粒子を検出してきた。これらのツールは通常、走査電子顕微鏡(SEM)を採用している。SEMでは、比較的高いエネルギーを有する一次電子のビームを減速させて、比較的に低いランディングエネルギーでサンプルに入射させ、集束させてサンプル上にプローブスポットを形成する。一次電子のこの集束したプローブスポットに起因して、表面から二次電子が生成される。サンプル表面に渡ってプローブスポットをスキャンさせ二次電子を収集することにより、パターン検査ツールはサンプル表面の画像を取得することができる。
【0005】
[0005] 検査ツールの動作中、ウェーハは通常、ウェーハステージによって保持される。検査ツールは、電子ビームに対してウェーハステージ及びウェーハを位置決めするためのウェーハ位置決めデバイスを含むことがある。これを使用して、ウェーハ上のターゲットエリア、即ち、検査されることになるエリアを、電子ビームの動作範囲内に位置決めすることがある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本明細書で提供する実施形態は、粒子ビーム検査装置、より具体的には、改良されたロードロックユニットを含む粒子ビーム検査装置について開示する。実施形態によっては、改良されたロードロックシステムは、ウェーハ及び第1の調節プレートを支持するように構成された複数の支持構造を含む。第1の調節プレートは、ウェーハの温度を調節するように構成された第1の熱交換素子を含む。改良されたロードロックシステムは、第1の調節プレートとウェーハとの間にガスを供給するように構成された第1のガス通気孔も含む。更に、改良されたロードロックシステムは、プロセッサとメモリとを含むコントローラを含む。コントローラは、第1の熱交換素子の制御を支援するように構成される。
【0007】
[0007] 実施形態によっては、ロードロックシステムにおいてウェーハの熱調節を行う方法が提供される。この方法は、ロードロックシステムのロードロックチャンバにウェーハを装填することと、ロードロックチャンバをポンプダウンすることと、を含む。この方法は、ロードロックチャンバにガスを供給することを更に含む。この方法は、第1の調節プレート内の第1の熱交換素子が、ガスを介してウェーハに熱を伝達するように、第1の調節プレートの温度を調節できるようにすることも含む。
【0008】
[0008] 実施形態によっては、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、一組の命令を含み、この一組の命令は、コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であり、コントローラに、ウェーハの熱調節を行う方法を実施させる。この方法は、ウェーハがロードロックチャンバに装填された後で、ロードロックシステムのロードロックチャンバをポンプダウンするように真空ポンプに指示することを含む。この方法は、ロードロックチャンバにガスを供給するようにガス供給部に指示することと、ガスを介してウェーハに熱を伝達するために、第1の調節プレートの温度を調節するように第1の調節プレート内の第1の熱交換素子に指示することと、も含む。
【0009】
[0009] 実施形態によっては、ロードロックチャンバをポンプダウンする方法が提供される。この方法は、ガスを第1の排気システムに排気するように構成された第1の真空ポンプを用いてロードロックチャンバからガスを排気することと、ガスを第2の排気システムに排気するように構成された第2の真空ポンプを用いてロードロックチャンバからガスを排気することと、を含む。
【0010】
[0010] 本発明の他の利点が、添付の図面と併せて解釈される以下の説明から明らかになるであろう。添付の図面には、図示及び例示の目的で、本発明の特定の実施形態が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 本開示の上記の及び他の態様が、添付の図面と併せて解釈される例示的な実施形態の説明により、一層明らかになるであろう。
【0012】
図1A】[0012]本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
図1B】[0013]本開示の実施形態と一致した、図1Aの荷電粒子ビーム検査システムにおける例示的なウェーハ装填シーケンスを示す概略図である。
図1C】[0014]荷電粒子ビーム検査システムにおける例示的なウェーハ変形効果を示す概略図である。
図2】[0015]荷電粒子ビーム検査システムにおける経時的なウェーハ温度変化を示す例示的なグラフである。
図3A】[0016]本開示の実施形態と一致した、例示的なロードロックシステムを示す概略図である。
図3B】[0016]本開示の実施形態と一致した、例示的なロードロックシステムを示す概略図である。
図3C】[0017]本開示の実施形態と一致した、ロードロックシステムにおけるウェーハ温度の調節中の経時的なウェーハ温度変化を示す例示的なグラフである。
図3D】[0018]本開示の実施形態と一致した、例示的なロードロックシステムを示す概略図である。
図3E】[0018]本開示の実施形態と一致した、例示的なロードロックシステムを示す概略図である。
図3F】[0019]本開示の実施形態と一致した、ロードロックシステムにおけるガス圧力レベルに対する熱伝達効率の変化を示す例示的なグラフである。
図4】[0020]本開示の実施形態と一致した、機器フロントエンドモジュール(EFEM)内の例示的なプリアライナの概略図である。
図5】[0021]本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システムの例示的な構成を示す概略図である。
図6A】[0022]本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システムの例示的な構成を示す概略図である。
図6B】[0023]本開示の実施形態と一致した、図6Aのウェーハ調節システムの例示的な支持構造を示す概略図である。
図6C】[0024]本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システムにおける調節プロセス中の温度変化を示す例示的なグラフである。
図6D】[0025]本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システムの例示的な制御回路を示す概略図である。
図7】[0026]本開示の実施形態と一致した、ウェーハ温度を調節するための例示的な方法を示す流れ図である。
図8A】[0027]本開示の実施形態と一致した、真空ポンプシステムを備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
図8B】[0027]本開示の実施形態と一致した、真空ポンプシステムを備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
図9】[0028]本開示の実施形態と一致した、荷電粒子ビーム検査システムのメインチャンバにおける圧力変化を示す例示的なグラフである。
図10】[0029]本開示の実施形態と一致した、真空ポンプシステムを備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
図11】[0030]本開示の実施形態と一致した、図10の荷電粒子ビーム検査システムのロードロックチャンバの真空レベルを制御するための例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0031] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りのない限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実装は、本発明と一致する全ての実装を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。
【0014】
[0032] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路から構成される。多数の回路が、同じシリコン片上に一緒に形成されることがあり、集積回路又はICと呼ばれる。多数のより多くの回路を基板上に収めることができるように、これらの回路の寸法は劇的に減少された。例えば、スマートフォン内のICチップは、親指の爪程小さいことがありながら、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタの寸法は、人間の髪の毛の寸法の1/1000よりも小さい。
【0015】
[0033] これらの極端に小さなICを製造することは、複雑で時間がかかり高価なプロセスであり、しばしば数百にのぼる個別ステップを含む。たった1つのステップでのエラーが、完成したICにおける欠陥をもたらし、そのICを使い物にならなくする可能性がある。従って、製造プロセスの1つのゴールは、そのような欠陥を回避して、プロセスにおいて作製される機能的ICの数を最大化すること、即ち、プロセスの全体的歩留まりを向上させることである。
【0016】
[0034] 歩留まりを向上させる1つの構成要素は、チップ作製プロセスを監視して、十分な数の機能的集積回路が製造されていることを確認することである。プロセスを監視する1つの方法は、チップ回路構造を形成する様々な段階において、チップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して実行することができる。SEMを使用すると、これらの非常に小さな構造を撮像する、要するに、これらの構造の「写真」を撮ることができる。この画像を使用して、構造が適切に形成されたかどうか、及び構造が適切な位置に形成されたかどうかを判断することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再び発生する可能性が低くなるようにプロセスを調節することができる。
【0017】
[0035] ICチップ製造設備においては製造工程の歩留まりが高いことが望ましいが、1時間当たりに処理されるウェーハの数として定義されるウェーハスループットを高く維持することも必須である。高い製造工程の歩留まり及び高いウェーハスループットは、とりわけ欠陥を点検するためにオペレーターの介在がある場合には、欠陥の存在によって影響されることがある。従って、高い歩留まり及び低コストを維持するためには、検査ツール(SEMなど)によるミクロ及びナノサイズの欠陥の、高いスループットの検出及び特定が必須である。
【0018】
[0036] 本開示の一態様は、検査システム全体のスループットを高める改良されたロードロックシステムを含む。改良されたロードロックシステムは、従来の粒子ビーム検査システムと比較すると、検査プロセスを速める態様で、ウェーハを準備する。例えば、従来の粒子ビーム検査システムを使用してウェーハを検査しているオペレーターは、検査を開始する前に、ウェーハが温度安定化するのを待つ必要がある。温度が変化するとウェーハのサイズが変化し、それにより、ウェーハが膨張又は収縮するにつれて、ウェーハ上の素子が移動することになるので、この温度安定化は必要である。例えば、図1Cは、温度変化に起因してウェーハ160が膨張すると、素子180、182、184、及び186が、新しい位置170、172、174、及び178に移動することがあることを示す。ウェーハを検査するための精度がナノメートル単位である場合、この位置の変化は重大である。従って、オペレーターがウェーハ上の素子を正確に位置特定し検査するためには、オペレーターはウェーハが温度安定化するまで待たなければならない。
【0019】
[0037] 改良されたロードロックシステムは、ウェーハの温度が、ウェーハを保持することになる検査ウェーハステージの温度に近くなるように、ウェーハを調節する。改良されたロードロックシステムは、ウェーハがウェーハステージ上に配置される前に、ウェーハから又はウェーハへ熱を伝達する調節プレートを含むことにより、ウェーハを調節することができる。ウェーハがウェーハステージ上に配置される前にウェーハを調節することにより、はるかに少ない遅延を伴って検査を開始することができる。従って、オペレーターは、所与の期間内により多くのウェーハを検査することができ、それによって、スループットの向上を達成することができる。
【0020】
[0038] 図面における構成要素の相対的な寸法は、理解しやすいように誇張されていることがある。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指しており、個々の実施形態に関して異なる点のみが説明されている。本明細書で使用する場合、特段の断りがない限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、構成要素がA又はBを含むことがあると記載されている場合、特段の断りがない限り又は実行不可能でない限り、構成要素はA、又はB、又はA及びBを含むことがある。第2の例として、構成要素がA、B、又はCを含むことがあると記載されている場合、特段の断りがない限り又は実行不可能でない限り、構成要素はA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことがある。
【0021】
[0039] ここで図1Aを参照すると、図1Aは本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である。図1に示すように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、電子ビームツール40、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内部に配置されている。説明及び図面は電子ビームに関係しているが、実施形態は、本発明を特定の荷電粒子に制限するために使用されるのではないことが、理解されよう。電子ビームツール40は、単一の電子ビームを利用するシングルビームツールであるか、又は複数の電子ビームを利用するマルチビームツールであり得ることが、更に理解されよう。
【0022】
[0040] EFEM30は、第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bを含む。EFEM30は、追加のローディングポートを含むことがある。第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bは、例えば、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ばれる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取ることがある。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(例えば、図1Bに示すロボットアーム)が、ウェーハをロードロックチャンバ20に運ぶ。
【0023】
[0041] ロードロックチャンバ20は、チャンバ間にゲート弁(例えば、図1Bのゲート弁26)を備えて、メインチャンバ10に取り付けられることがある。ロードロックチャンバ20は、1つ又は複数のウェーハを保持することができるサンプルホルダー(図示せず)を含むことがある。ロードロックチャンバ20は、メインチャンバ10との間でウェーハを移動させるための機械式移送装置(例えば、図1Bのロボットアーム12)を含むこともある。ロードロックチャンバ20は、ロードロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されることがあり、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、ロードロックチャンバ20内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図1Bに示す)がウェーハをロードロックチャンバ20からメインチャンバ10に運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール40による検査にかけられる。
【0024】
[0042] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続されている。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を行うように構成されたコンピュータであり得る。図1Aでは、コントローラ50は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部にあるものとして示されているが、コントローラ50はこの構造の一部とすることもできることが理解されよう。本開示は、電子ビーム検査ツールを収容するメインチャンバ10の例を提供しているが、最も広い意味での本開示の態様は、電子ビーム検査ツールを収容するチャンバに限定されないことに、留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する他のツールにも適用され得ることが理解されよう。
【0025】
[0043] ここで図1Bを参照すると、図1Bは、本開示の実施形態と一致した、図1Aの荷電粒子ビーム検査システム100における例示的なウェーハ装填シーケンスを示す概略図である。実施形態によっては、荷電粒子ビーム検査システム100は、EFEM30内に配置されたロボットアーム11と、メインチャンバ10内に配置されたロボットアーム12とを含むことがある。実施形態によっては、EFEM30は、ウェーハをロードロックチャンバ20に運ぶ前にウェーハを正確に位置決めするように構成されたプリアライナ60を含むこともある。
【0026】
[0044] 実施形態によっては、第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bは、例えば、ウェーハを収容するウェーハFOUP(front opening unified pods)を受け取ることがある。EFEM30内のロボットアーム11は、位置決めを支援するために、ローディングポートの何れかからプリアライナ60へウェーハを運ぶことがある。プリアライナ60は、ウェーハを位置決めするために、機械式の又は光学式の位置合わせ方法を使用することがある。プリ・アライメントの後、ロボットアーム11は、ウェーハをロードロックチャンバ20に運ぶことがある。
【0027】
[0045] ウェーハがロードロックチャンバ20に運ばれた後、ロードロック真空ポンプ(図示せず)は、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、ロードロックチャンバ20内のガス分子を除去することがある。第1の圧力に達した後、ロボットアーム12は、ウェーハを、ロードロックチャンバ20からメインチャンバ10内の電子ビームツール40のウェーハステージ80に運ぶことがある。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツールによる検査にかけられることがある。
【0028】
[0046] 実施形態によっては、メインチャンバ10は、検査の前にウェーハを一時的に格納するように構成されたパーキングステーション70を含むことがある。例えば、第1のウェーハの検査が完了すると、第1のウェーハはウェーハステージ80から外されることがあり、次いで、ロボットアーム12は、第2のウェーハをパーキングステーション70からウェーハステージ80に運ぶことがある。その後、ロボットアーム12は、第3のウェーハをロードロックチャンバ20からパーキングステーション70に運んで、第2のウェーハの検査が終了するまで、一時的に第3のウェーハを格納することがある。
【0029】
[0047] ここで図2を参照すると、図2は、荷電粒子ビーム検査システムの経時的なウェーハ温度変化を示す例示的なグラフである。縦軸は温度変化を表し、横軸は時間の経過を表す。このグラフは、ウェーハ装填シーケンスの複数の段階を通じてウェーハが処理される間に、ウェーハの温度が時間と共に変化することを示す。図2に示す例示的なデータによれば、検査されることになるウェーハを収容するFOUPが、第1のローディングポート30a又は第2のローディングポート30bに装填されるとき、ウェーハの温度は約22.5度である。
【0030】
[0048] ウェーハがロードロックチャンバに運ばれた後、ロードロックチャンバが真空にポンプダウンされると、ウェーハ温度は、ほぼ1度急速に低下する。この急激な温度低下は、ポンプダウン効果と呼ばれることがある。その後、ウェーハがウェーハステージに運ばれ装填されるとき、ウェーハとウェーハステージは温度が異なることがある。例えば、図2のグラフは、ウェーハがウェーハステージに装填されるとき(図2では210と注釈をつけられている)、ロードロックチャンバに配置されたウェーハ(図2では220と注釈をつけられている)とメインチャンバ内に配置されたウェーハステージ(図2では230と注釈をつけられている)との間にはおよそ2.5度の温度差が存在することがあることを示している。そのような状況下では、ウェーハとウェーハステージとの間で熱伝達が発生し、それによって、ウェーハ(又はウェーハステージ)の変形(例えば、図1Cに示す熱膨張)が生じることがある。ウェーハステージ又はウェーハが熱変形を受けている間は、ターゲットエリアの検査はできないか、又は精度が低下することがある。従って、より正確な検査を実施するために、システムは、ウェーハの温度が安定化するまでかなりの期間待ってから、検査を開始することができる。この待ち時間により、検査システムのスループットが低下する。
【0031】
[0049] より迅速な温度安定化のためのウェーハステージの例が、2018年5月28日に出願され「PARTICLE BEAM APPARATUS」と題された欧州特許出願第EP18174642.1号にみられ、該特許出願はその全体が参照により組み込まれる。この長い安定化時間に対処する別の方法は、ウェーハがウェーハステージに装填される前に、ウェーハを予熱又は予冷してウェーハステージの温度と一致させることにより、ウェーハ温度を調節することである。そのような実施形態では、調節ステップは、前のウェーハがウェーハステージ上で検査されている間に行われることがあり、従って、ウェーハがウェーハステージに装填された後で調節が行われるシステムと比べると、検査システムの全体的なスループットが向上することがある。
【0032】
[0050] 実施形態によっては、温度調節機能がロードロックチャンバに実装されることがあり、これは、スループットの向上並びに将来に備えた柔軟性ももたらすことがある。ウェーハの温度調節がロードロックチャンバにおいて実施される場合、前のウェーハの検査の進行中に、パイプラインの次のウェーハをロードロックチャンバに装填することができる。例によっては、このシーケンスでは、ウェーハを調節するために利用可能な最大の時間は約5~10分間であると計算され、これは概ね、現在の範囲内の最短のユーザケースでの最小のウェーハ検査時間である。従って、ロードロックチャンバにおいてウェーハ温度調節を実施する利点の1つは、ウェーハ調節時間を検査時間の陰に隠すことができることである、というのも、次のウェーハの調節と現在のウェーハの検査を同時に行うことができるからである。これにより、粒子ビーム検査システムの全体的なスループットが改善することがある。
【0033】
[0051] 実施形態によっては、荷電粒子ビーム検査システム(図1Bの荷電粒子ビーム検査システム100など)は、粗い温度調節器及び細かい温度調節器を含むことがある。例えば、プリアライナ(図1Bのプリアライナ60など)は、粗い調節器を含むことがあり、一方、ロードロックチャンバ(ロードロックチャンバ20など)は細かい調節器を含む。粗い調節器は、例えば、2度の粗いオフセットから500mkまでウェーハを調節することがあり、一方、細かい調節器は、例えば、500mKの細かいオフセットから50mKまでウェーハを調節することができる。
【0034】
[0052] ここで図3Aを参照すると、図3Aは、本開示の実施形態と一致した、例示的なロードロックシステム300aを示す。実施形態によっては、ロードロックシステム300aは、ウェーハ320に熱を伝達するように構成された調節プレート315及び複数の支持構造325を含むことがある。他の実施形態では、調節プレート315は、追加的に又は代替的にウェーハ320から熱を伝達するように構成されることがある。調節プレート315に結合された支持構造325は、ウェーハ320と調節プレート315との間に空間ができるように、ウェーハ320を支持することがある。ウェーハ320が調節プレート315のより近くに配置されると、より効率的な熱伝達を達成できることが理解されるが、実施形態によっては、ロボットアームがウェーハ320を持ち上げたり又は運んだりするための空間を提供するために、ウェーハ320と調節プレート315との間に十分な距離を設けることが望ましいことがある。実施形態によっては、ウェーハ320と調節プレート315との間の距離は、ウェーハを持ち上げたり又は運んだりする際の様々なロボットアームのサイズに対応するための空間を提供するために、1.5mmから10mmの範囲内であることがある。実施形態によっては、ウェーハ320と調節プレート315との間の距離は、ロボットアームの運搬のために特別な処置を必要とすることなく、より効率的な熱伝達をもたらしながらも特定のタイプのロボットアームに対応するための空間を提供するために、3mmから5mmの範囲内であることがある。実施形態によっては、ウェーハ320を持ち上げるための特別な機構を使用して、この距離をより狭めることがある。
【0035】
[0053] 更に、2つの支持構造325が図3Aに示されているとしても、システム300aは任意の数の支持構造325を含むことがあることが理解されよう。実施形態によっては、ウェーハ320は、何らかの能動的な結合手段(例えば、静電クランプ)を用いることなく、支持構造325の上部に受動的に載置されることがある。他の実施形態では、ウェーハ320は、静電クランプなどの能動的な保持手段を使用して支持構造325上に保持されることがある。
【0036】
[0054] ロードロックシステム300aは、図1Aのロードロックチャンバ20などのロードロックチャンバ310を含むことがある。実施形態によっては、ロードロックチャンバ310は、大気圧と真空との間で内圧を変化させるように構成されることがある。ターボポンプ(図示せず)などのポンプをロードロックチャンバ310に接続して、ウェーハ320の温度を調節するための適切なレベルに真空レベルを維持することがある。このポンプがロードロックチャンバ310内に真空を確立するのに適している限り、このポンプはターボポンプとは異なるタイプのポンプであってもよいことが理解されよう。
【0037】
[0055] 実施形態によっては、調節プレート315は、調節プレート315の温度を変えるように構成された熱交換素子340を含むことがあり、これは、次いで、ウェーハ320の温度に影響を及ぼす。熱交換素子340は、ヒーター/クーラー360に結合されることがある。実施形態によっては、ヒーター/クーラー360は、ロードロックチャンバ310の外部に配置されることがある。他の実施形態では、ヒーター/クーラー360は、ロードロックチャンバ310の内部に配置されることがある。
【0038】
[0056] ロードロックシステム300aは、ヒーター/クーラー360又は熱交換素子340を調節して調節プレート315の温度を変化させるように構成されたコントローラ350を更に含むことがあり、これは次いで、ウェーハ320の温度に影響を及ぼす。実施形態によっては、コントローラ350は、メインチャンバ390内のウェーハステージ395の温度に関するステージ温度データを受け取ることがある。例えば、実施形態によっては、コントローラ350は、ウェーハステージ395の温度を測定するように構成された温度センサ396から、ステージ温度データを伝える電気信号を受け取ることがある。そのような実施形態では、コントローラ350は、ウェーハステージ395の温度に関するステージ温度データに基づいて、調節プレート315の温度を調節するように、ヒーター/クーラー360を制御することがある。
【0039】
[0057] 実施形態によっては、コントローラ350は、ヒーター/クーラー360の出力の温度に関するヒーター温度データを受け取ることがある。そのような実施形態では、コントローラ350は、ヒーター温度データに基づいて、調節プレート315の温度を調節するように、ヒーター/クーラー360を制御することがある。例えば、実施形態によっては、ヒーター/クーラー360は温水装置又は冷水装置であり得る。そのような実施形態では、加熱された又は冷却された水が、調節プレート315内の熱交換素子340を通って流れ、コントローラ350は、ヒーター/クーラー360の出力における水の温度に関するヒーター温度データを受け取ることがある。コントローラ350は、水の温度に基づいてヒーター/クーラー360を調節することがある。実施形態によっては、コントローラ350は、水の温度を測定するように構成された温度センサ365から、ヒーター温度データを伝える電気信号を受け取ることがある。実施形態によっては、コントローラ350は、ステージ温度データとヒーター温度データの両方を使用して、調節プレート315の温度を調節することがある。そのような実施形態では、例えば、コントローラ350は、ヒーター温度(例えば、ヒーター/クーラー360の出力における水の温度)をウェーハステージ395の温度に一致させるように、ヒーター/クーラー360を調節することがある。
【0040】
[0058] 実施形態によっては、コントローラ350は、追加の温度センサを用いて更に最適化されることがある。例えば、実施形態によっては、システムは、ウェーハ320及び調節プレート315の温度を測定するように構成された1つ又は複数の追加のセンサを含むことがある。
【0041】
[0059] 実施形態によっては、ロードロックシステム300aは、1つ又は複数のガス通気孔(例えば、ガス通気孔330又は335)を含んで、ガス供給部からロードロックチャンバ310へガス338を供給することがある。そのような実施形態では、ガス338がウェーハ320と調節プレート315との間の熱伝導を高め、ウェーハ320が安定温度に達するための時間を短縮することにつながることがある。例えば、ウェーハ320と調節プレート315との間の熱伝達は、放射及びガス338によって生じることがある。ガス338は、窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、CO2、又は圧縮乾燥空気であり得る。ガス338は、熱伝達に適した他の任意のガスであってもよいことが理解されよう。ガス供給部とロードロックチャンバ310との間には、弁370及び375が配置されることがある。ガス通気孔330及び335は、ガス供給部から孔330及び335まで延びるガス管を介して、ガス供給部に接続されることがあり、これらの孔は、ロードロックチャンバ310へと通じており、ウェーハ320と調節プレート315との間にガスを供給することができる。実施形態によっては、ガス通気孔330及び335は、ロードロックチャンバが真空レベルまでポンプダウンされた後に開かれることがある。実施形態によっては、ガス338がロードロックチャンバ310に供給されている間に、ロードロック真空ポンプ(例えば、ターボポンプ)を有効にして、ガス338分子の一部を連続的に除去し、ウェーハ調節プロセス中に真空レベルを維持することがある。
【0042】
[0060] 図3Fに示すように、ガス圧が増加すると、熱伝達の効率が高まる。しかしながら、ガス圧が一定の水準、例えば図3Fでは100Pa以上に近づくと、効率はそれほど向上しないことがある。従って、実施形態によっては、ウェーハ320と調節プレート315との間の空間におけるガス圧を、ウェーハ320の調節中は50Paから5,000Paの範囲内にして、ガス圧力レベルを十分に低く保ちながら、効率的な熱伝達を提供することがある。実施形態によっては、ガス圧を、ウェーハ320の調節中は100Paから1,000Paの範囲内にして、ガス圧を真空に近い状態に保ちながら、熱伝達効率の間でバランスをもたらすことがある。
【0043】
[0061] 実施形態によっては、ガス338は、ガス分子自体がウェーハ320への熱伝達を提供することができるように温度調節されることがある。例えば、ガス供給部、ガス弁370及び375、又はロードロックシステム300aの任意の他の部分は、ヒーターを含んで、ガス338の温度を予備調節してからガス338をチャンバ310に提供することがある。
【0044】
[0062] 実施形態によっては、1つ又は複数のガス通気孔330及び335は、図3Aに示すようにロードロックチャンバ310内に含まれることがある。図3Bに示すロードロックシステム300bなどの他の実施形態では、ガス通気孔のうちの少なくとも1つ(例えば、図3Bのガス通気孔330)は、調節プレート315内に含まれ、ウェーハ320と調節プレート315との間の空間にガス338を直接的に供給することがある。例えば、そのような実施形態では、ガス通気孔330は調節プレート315内に含まれ、ウェーハ320の中央又はその近辺に配置されることがある。ガス通気孔は、通気孔がロードロックチャンバ310内のウェーハ320と調節プレート315との間の空間にガス338を供給するのに適している限り、他の任意の場所に配置されてもよいことが理解されよう。ロードロックシステム300a及び300bは、任意の数のガス通気孔を含むことがあることも、理解されよう。実施形態によっては、コントローラ350は、ロードロックチャンバ310へのガス流量を変化させるようにガス通気孔330又は335を調節するように構成されることがある。
【0045】
[0063] 図3Cは、ロードロックシステムでのウェーハ温度調節中の、経時的なウェーハ温度変化を示す例示的なグラフを示す。熱がウェーハに伝達されるにつれて、ウェーハの温度(Twafer)は、ウェーハステージの温度(Twafer stage)に徐々に近づく。ウェーハの温度が安定温度(Tstable)に達したとき、調節プロセスは完了することがある。実施形態によっては、Tstableは、ウェーハステージの温度と同じであることがある。他の実施形態では、Tstableを、ウェーハステージ温度よりも約100mK低い点(Twafer stage-100mK)に設定して、効率的なスループットの改善をもたらすことがある。実施形態によっては、Tstableは約22℃での設定値であり得る。他の例では、Tstableは20~28℃の範囲内の設定値であり得る。
【0046】
[0064] 実施形態によっては、図6Cに示すように、TwaferがTstableに近づくと、コントローラ(図3Aのコントローラ350など)は、調節プレート温度を徐々に低減してウェーハ温度のオーバーシュートを防止できるように、ヒーター(図3Aのヒーター/クーラー360など)を調節することがある。
【0047】
[0065] ウェーハ320がTstableに達した後、調節ステップは終了し、その後、ガス通気孔(図3Aのガス通気孔330及び335など)を通るガス流は停止されることがある。実施形態によっては、ガス流を停止した後、ロードロック真空ポンプは、ロードロックチャンバ(図3Aのロードロックチャンバ310など)内の圧力がメインチャンバ(図3Aのメインチャンバ390など)内の圧力又はその近傍になるまで、動作し続けることがある。ロードロックチャンバ内部の圧力は、既に真空(例えば、10~10,000Pa)に近い状態に維持されていることがあるので、ロードロックチャンバとメインチャンバとの間の圧力差は比較的に小さいことがある。実施形態によっては、ヒーター(図3Aのヒーター/クーラー360など)は、調節プレートからの残留放射が、ポンプダウン中にウェーハの温度を保つのに役立つことができるように、調節プレートの温度を維持することがある。
【0048】
[0066] ロードロックチャンバ内のガス圧がメインチャンバ内の圧力又はその近傍に達すると、実施形態によっては、ウェーハは検査のためにウェーハステージ(図3Aのウェーハステージ395など)まで運ばれることがある。ウェーハの温度は、ウェーハステージの温度又はその近傍であり得るので、検査は最小の待機期間で開始することができる。他の実施形態では、ウェーハは、パーキングステーション(図1Bのパーキングステーション70など)に運ばれ、前のウェーハの進行中の検査が完了するまで、一時的に格納されることがある。
【0049】
[0067] ここで図3Dを参照すると、図3Dは、本開示の実施形態と一致した、別の例示的なロードロックシステム300dを示す。実施形態によっては、ロードロックシステム300dは、ウェーハ320に熱を伝達するように構成された調節プレート315及び複数の支持構造325を含むことがある。実施形態によっては、調節プレート315は、熱交換素子340を含むことがある。
【0050】
[0068] 実施形態によっては、図3Dに示すように、調節プレート315はウェーハ320の上方に配置されることがある。そのような実施形態では、ウェーハ320は、支持プレート319に結合された支持構造325によって支持される。ウェーハ320が調節プレート315のより近くに配置されると、より効率的な熱伝達を達成できることが理解されるが、実施形態によっては、ロボットアームがウェーハ320を持ち上げたり又は運んだりするための空間を提供するために、ウェーハ320と調節プレート315との間に十分な距離を設けることが望ましいことがある。しかしながら、図3Dに示す構成では、調節プレート315はウェーハ320の上方に配置されるので、調節プレート315をウェーハ320のはるかにより近くに配置することができる。実施形態によっては、ウェーハ320と調節プレート315との間で、距離は約1mmまで減らすことができる。
【0051】
[0069] 実施形態によっては、ロードロックシステム300dは、ガス通気孔330及び335を含んで、ウェーハ320と調節プレート315との間の空間にガス338を供給することがある。実施形態によっては、少なくとも1つのガス通気孔が、調節プレート315内に含まれて、その空間にガス338を供給することがある。ガス通気孔330又は335は、ロードロックシステム300dの他の場所がロードロックチャンバ310内のウェーハ320と調節プレート315との間の空間にガス338を供給するのに適している限り、それらの他の場所に配置されてもよいことが理解されよう。ロードロックシステム300dは、任意の数のガス通気孔を含むことがあることも、理解されよう。
【0052】
[0070] ここで図3Eを参照すると、図3Eは、本開示の実施形態と一致した、別の例示的なロードロックシステム300eを示す。ロードロックシステム300eは、複数の方向からウェーハ320に熱を伝達するように構成された複数の調節プレートを含むことがある。例えば、ロードロックシステム300eは、下方向に熱を伝達するように構成された上側調節プレート317と、上方向に熱を伝達するように構成された下側調節プレート318と、を含むことがある。実施形態によっては、上側調節プレート317は、熱交換素子340を含むことがある。実施形態によっては、下側調節プレートは、熱交換素子340を含むことがある。下側調節プレート318は、ウェーハ320を支持するように構成された支持構造325に結合されることがある。ロードロックシステム300eは、ガス通気孔330及び335を含んで、ウェーハ320と調節プレート317及び318との間の空間にガス338を供給することがある。実施形態によっては、少なくとも1つのガス通気孔が、上側調節プレート317内に含まれることがある。実施形態によっては、少なくとも1つのガス通気孔が、下側調節プレート318内に含まれることがある。
【0053】
[0071] ここで図4を参照すると、図4は、本開示の実施形態と一致した、機器フロントエンドモジュール(EFEM)内の例示的なプリアライナの概略図である。実施形態によっては、プリアライナは、ウェーハ420を支持するように構成された1つ又は複数の支持構造425と、1つ又は複数の空気通気孔440からの加熱された圧縮空気を介して熱を伝達するように構成された調節プレート415と、を含むことがある。実施形態によっては、調節プレート415は、空気を除去するように構成された1つ又は複数の真空チャネル450を更に含む。そのような実施形態では、ウェーハ420と調節プレート415との間の熱伝達は、主に、1つ又は複数の空気通気孔440を介して供給される温度調節された圧縮空気を介した対流によって、生じることがある。ウェーハの調節が、温度調節された圧縮空気の強制対流を通じて行われるので、熱がウェーハ420との間で効率的に伝達され、従って、ウェーハ温度を安定温度に素早く安定化することができる。
【0054】
[0072] ここで図5を参照すると、図5は、本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システム500の例示的な構成を示す概略図を示す。実施形態によっては、ウェーハ調節システム500は、ウェーハ520に熱を伝達するように構成された調節プレート515及び複数の支持構造525を含むことがある。調節プレート515に結合された支持構造525は、ウェーハ520を支持し、熱をウェーハ520に伝導することがある。支持構造525は、支持及び熱の伝導に適した任意の形状であり得ることが、理解されよう。実施形態によっては、調節プレート515は、調節プレート515の温度を変えるように構成された熱交換素子540を含むことがあり、これは、次いで、ウェーハ520の温度に影響を及ぼす。熱交換素子540は、ヒーター560に結合されることがある。実施形態によっては、ヒーター560は、真空チャンバ510の外部に配置されることがある。他の実施形態では、ヒーター560は、真空チャンバ510の内部に配置されることがある。
【0055】
[0073] 実施形態によっては、調節プレート515は、静電クランプ570を更に含むことがある。静電クランプ570は、電荷を介してウェーハ520を調節プレート515に留めることがある。電源(図示せず)が、ウェーハ520を静電クランプ570に接続する電荷を供給する。例えば、静電クランプ570は、調節プレート515の一部であるか、又は調節プレート515内に含まれていることがある。他の例では、静電クランプ570は、調節プレート515とは別個であり得る。実施形態によっては、調節プレート515は、ウェーハ520を持ち上げて、ウェーハ520を運ぶためのロボットアーム(図示せず)に対応するように構成された昇降構造526を含むことがある。
【0056】
[0074] 実施形態によっては、真空チャンバ510は、真空チャンバ510の温度を変化させるように構成された熱交換素子545を含むことがある。そのような実施形態では、(図5に示すように)放射を介して真空チャンバ510の内面からウェーハ520に熱が伝達されることがある。真空チャンバ510は、図1Bのロードロックチャンバ20、図1Bのパーキングステーション70の一部、又は図1Bのメインチャンバ10であり得る。
【0057】
[0075] ここで図6Aを参照すると、図6Aは、本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システム600の別の例示的な構成を示す概略図を示す。システム600は、真空チャンバ610と、ウェーハ620を支持するように構成された1つ又は複数の支持構造625と、を含むことがある。実施形態によっては、ウェーハ調節システム600は、複数の方向からの放射を介して熱をウェーハ620に伝達するように構成された、1つ又は複数の加熱デバイスを含むことがある。例えば、図6Aに示すように、システム600は、上側加熱デバイス617及び下側加熱デバイス618を含むことがある。
【0058】
[0076] 実施形態によっては、加熱デバイス617又は618は、調節プレート、1つ若しくは複数の管、又はウェーハ620に熱を放射するように構成された1つ若しくは複数のコイルであり得る。実施形態によっては、システム600は、単一の加熱デバイスを含むことがあり、この加熱デバイスは、ウェーハ620の上方又は下方に配置されることがある。実施形態によっては、システム600は、ウェーハ620を基準にして配置される上側加熱デバイス617及び下側加熱デバイス618を含むことがある。実施形態によっては、システム600は、3つ以上の加熱デバイスを含むことがある。実施形態によっては、システム600は、加熱デバイス617又は618に熱を供給するように構成されたヒーター660を含むことがある。実施形態によっては、ヒーター660は、温水装置、又は加熱デバイス617若しくは618に熱を供給することができる任意の他のタイプのヒーターであり得る。
【0059】
[0077] 実施形態によっては、支持構造625は、ウェーハ620の温度を測定するように構成された温度センサ627を含むことがある。温度センサ627は、熱電対(TC)、NTCサーミスター、PTCサーミスター、抵抗温度計、赤外線温度計、又はウェーハ620の温度を測定するのに適した任意の他のデバイスを含むことがある。例えば、図6Bに示すように、支持構造625は、ウェーハ620の温度を測定するように構成された熱電対を含むことがある。ウェーハの温度を測定できるようにするために、支持構造625は、熱電対を押してウェーハ620と接触させるようにするためのばね状構造を含むことがある。実施形態によっては、熱電対及びばね状構造は、支持構造625によって囲まれることがある。
【0060】
[0078] システム600は真空チャンバ610内で動作するので、ウェーハ温度を測定するための、ウェーハから熱電対への熱伝達は、伝導及び放射を介することがある。一部の実施形態の場合、ウェーハ620の温度をより正確に測定するために、熱電対への熱放射を最小限に抑えることが望ましいことがある。従って、熱電対がウェーハ620から伝導を介して熱を受け取ることができるように、ウェーハ620に接触する表面を除いて、熱電対の表面は、熱を伝達しない材料でできた1つ又は複数の構造体によって覆われていることがある。実施形態によっては、支持構造625は、熱伝達を防止する材料から作製されることがある。実施形態によっては、システム600は、ウェーハ620の複数の部分から温度情報を収集するために、複数の熱電対を含むことがある。そのような実施形態では、コントローラ(図6Eに示すコントローラ650など)は、ウェーハ620の温度分布特性を決定することがある。
【0061】
[0079] ここで図6Cを参照すると、図6Cは、調節プロセス中の温度変化を示す例示的なグラフである。ウェーハ調節システムは、制御機構を含んで、ウェーハ調節が進行している間に加熱デバイスの温度をその場で変化させることがある。更に、実施形態によっては、ウェーハ調節システムは、システムの様々な部分の温度を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサを含むことがある。実施形態によっては、ウェーハ調節システムは、ウェーハ自体の温度を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサを含むことがある。図6Cは、そのような実施形態の一例における経時的な温度変化を示す。そのような実施形態では、加熱デバイスを高温(所望の安定温度、Tstableよりいっそう高い)にして調節プロセスを開始し、その後、TwaferがTstableに近づくにつれて、温度を所望の安定温度まで徐々に下げることが可能である。そのような実施形態では、このプロセスは、センサからの温度情報によって更に最適化されることがある。図6Cに示すように、そのような態様で温度を制御することにより、調節時間を大幅に短縮することができる。
【0062】
[0080] ここで図6Dを参照すると、図6Dは、本開示の実施形態と一致した、ウェーハ調節システムの例示的な制御回路を示す概略図である。実施形態によっては、図6Aのシステム600などのウェーハ調節システムは、コントローラと、システムの様々な部分を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサと、を含むことがある。実施形態によっては、ウェーハ調節システムは、ウェーハの温度を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサを含むことがある。例えば、コントローラ650は、機器フロントエンドモジュール(図1AのEFEM30など)内の温度センサ696から、入ってくるウェーハの温度に関する温度データを受け取ることがある。コントローラ650は、温度センサ627から、ウェーハの温度に関するウェーハ温度データを受け取ることがある。コントローラ650は、温度センサ665から、ヒーター660の出力(例えば、温水装置の出力における水)の温度に関するヒーター温度データを受け取ることがある。実施形態によっては、コントローラ650は、センサ696、627、及び665からの温度データのうちの少なくとも1つに基づいて、ヒーター660を制御することがある。例えば、ヒーター660は、熱を水に伝達するように構成された電気温水装置を含むことがある。温度フィードバックを用いて、コントローラ650は、ヒーター660に供給される電流を調節することがあり、それによって、熱交換素子(例えば、図6Aの加熱デバイス617又は618)の温度の変化がもたらされる。実施形態によっては、コントローラ650は、ウェーハのタイプ又は状態に基づいて、較正されることがある。
【0063】
[0081] 制御機構が、機能を説明するために図6Aのシステム600の文脈で説明されたとしても、同じ制御機構を、本開示に示すウェーハ調節システムの実施形態の何れにも適用することができることが、理解されよう。
【0064】
[0082] ここで図7を参照すると、図7は、本開示の実施形態と一致した、ウェーハ温度を調節するための例示的な方法を示す流れ図である。この方法は、電子ビームシステム(例えば、図1Aの荷電粒子ビーム検査システム100)のロードロックシステム(例えば、図3A図3Dのロードロックシステム300a、300b、300d、及び300e)によって実施されることがある。
【0065】
[0083] ステップ710では、ウェーハが、調節プレートを基準にしてロードロックチャンバ内に、ロボットアームによって装填される。実施形態によっては、ウェーハは、調節プレートの上方に配置されることがある。他の実施形態では、ウェーハは、調節プレートの下方に配置されることがある。実施形態によっては、ウェーハは、2つの調節プレートの間に配置されることがある。
【0066】
[0084] ステップ720では、ウェーハがロードロックチャンバ(例えば、図1Aのロードロックチャンバ20)に装填された後、コントローラ(例えば、図1Aのコントローラ50)は、真空ポンプをオンにしてロードロックチャンバから空気を除去する。
【0067】
[0085] ステップ730では、ウェーハステージ(例えば、図3Aのウェーハステージ395)の温度が決定され、コントローラに提供される。
【0068】
[0086] ステップ740では、ガス供給部(例えば、図3Aのガス供給部)が、調節プレートとウェーハとの間の熱伝達のために、ロードロックチャンバにガスを供給する。ガスは、より効率的な熱伝達をもたらすために、ウェーハステージの測定温度と一致するように温度調節されることがある。
【0069】
[0087] ステップ750では、コントローラは、ウェーハステージ温度データを受け取り、ウェーハステージの決定された温度に基づいて、加熱温度を調節する。
【0070】
[0088] ステップ760では、ウェーハ調節が完了した後、ウェーハ調節システムは、ロードロックチャンバからメインチャンバ(例えば、図3Aのメインチャンバ390)又はパーキングステーション(例えば、図3Bのパーキングステーション70)に、調節されたウェーハを移送する。実施形態によっては、ウェーハの温度を測定するために温度センサが存在する場合、コントローラは、ウェーハ温度を監視し、ウェーハ調節が完了したかどうかを判断することがある。
【0071】
[0089] ウェーハ調節システムのコントローラは、ソフトウェアを使用して上述した機能を制御することができることが理解されよう。例えば、コントローラは、熱交換素子の温度を変えるように前述のヒーターに指示を送ることができる。コントローラは、ヒーターへの入力電圧又は電流を調節するための指示を送ることもできる。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されることがある。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記録媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、クラウドストレージ、FLASH-EPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたもの、が挙げられる。
【0072】
[0090] ここで図8A及び図8Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、真空ポンプシステムを備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システム800を示す概略図を示す。実施形態によっては、荷電粒子ビーム検査システム800は、メインチャンバ890及びロードロックチャンバ810を含むことがある。実施形態によっては、システム800は、ガス供給部811、ガス通気孔弁812、及びロードロックチャンバ810に接続されたガス通気孔拡散器813を含むことがある。ガス供給部811は、ウェーハ調節プロセス中にロードロックチャンバ810にガス(例えば、図3Aのガス338)を供給して、ウェーハ(例えば、図3Aのウェーハ320)と調節プレート(例えば、図3Aの調節プレート315)との間の熱伝導率を高めることがある。ガスは、窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、CO2、又は圧縮乾燥空気であり得る。ガスは、熱伝達に適した他の任意のガスであってもよいことが理解されよう。
【0073】
[0091] 実施形態によっては、ロードロックチャンバ810の真空化は、2つの別々の経路を介して2段階で行われることがある。この第1の経路は、粗引き経路と呼ばれ、ロードロック粗引きライン816及びロードロック粗引き弁853を含むことがある。粗引き段階の間、ロードロックチャンバ810は大気状態から「粗い」真空レベル(例えば、5×10-1Torr)までポンプダウンされる。第1段階では、ロードロック粗引き弁853は、他の経路が閉じている間にロードロック粗引きライン816を介してロードロックチャンバ810を初めにポンプダウンするように開かれている。
【0074】
[0092] 第2の経路は、ターボポンプ経路と呼ばれ、ロードロックターボ弁814、ロードロックターボポンプ815、ロードロックターボポンプライン817、及びロードロックターボポンプバッキング弁851を含むことがある。ロードロックチャンバ810の粗引きが完了した後、ロードロックターボポンプ815が引き継いで、ロードロックチャンバ810をより深い真空レベル(例えば、1.5×10-6Torr未満)までポンプで排気する。この第2の段階では、ロードロック粗引き弁853がまず閉じられる。次いで、ロードロックターボ弁814及びロードロックターボポンプバッキング弁851が開かれ、その結果、ロードロックターボポンプ815がロードロックチャンバ810をポンプダウンする。
【0075】
[0093] メインチャンバ890は、同様の方法で真空化されることがある。まず、メインチャンバ890は、メインチャンバ粗引き経路(メインチャンバ粗引きライン896及びメインチャンバ粗引き弁854を含む)を介して、大気状態から「粗い」真空レベル(例えば、5×10-1Torr)までポンプダウンされる。粗引き段階が完了した後、メインチャンバターボポンプ895が引き継いで、メインチャンバターボポンプ経路(メインチャンバターボ弁894、メインチャンバターボポンプ895、メインチャンバターボポンプライン897、及びメインチャンバターボポンプバッキング弁852を含む)を介して、より深い真空レベル(例えば、1.5×10-6Torr未満)まで更にポンプダウンする。実施形態によっては、メインチャンバターボポンプ895は、ウェーハ検査が完了するまで、動作し続けることがある。
【0076】
[0094] 図8Aは、システム800が、ロードロックチャンバ810のための1つの粗引き経路及び1つのターボポンプ経路を有する様子を示しているが、システムは、任意の数の粗引き経路及びターボポンプ経路を利用して、ロードロックチャンバ810を真空化することがあることが、理解されよう。例えば、システム800は、ロードロックチャンバ810に並列に接続された2つ以上の粗引き経路を有することがある。粗引き経路の数に関わらず、システム800は、ロードロックチャンバ810に並列に接続された2つ以上のターボポンプを有することがある。同様に、システムは、任意の数の粗引き経路及びターボポンプ経路を利用して、メインチャンバ890をポンプダウンすることがあることが理解されよう。
【0077】
[0095] 実施形態によっては、システム800は、全ての粗引きライン(例えば、ロードロック粗引きライン816及びメインチャンバ粗引きライン896)及び全てのポンプライン(例えば、ロードロックターボポンプライン817及びメインチャンバターボポンプライン897)が一つにまとめられる、中央マニホールドボックス850を含むことがある。中央マニホールドボックス850は、真空化プロセスを制御するための複数の弁を収容することがある。例えば、中央マニホールドボックス850は、ロードロック粗引き弁853、メインチャンバ粗引き弁854、ロードロックターボポンプバッキング弁851、及びメインチャンバターボポンプバッキング弁852を含むことがある。これらの個々の弁の後方で、全てのラインは前部ライン858に結合される。乾式真空ポンプ860を介した最終的な排気は、乾式真空ポンプ860の前に配置されることがある前部ライン弁859によって制御される。
【0078】
[0096] 図3Aに関して前の章で説明したように、実施形態によっては、ウェーハ温度調節プロセス中に、ロードロックチャンバ810を粗引きライン816又はターボポンプ815を介して連続的にポンプダウンしてガス分子(例えば、図3Aのガス338)の一部を連続的に除去し、ウェーハ調節が完了するまでロードロックチャンバ810の真空レベルを維持することがある。
【0079】
[0097] 図8Bに示すように、実施形態によっては、ロードロックチャンバ810のこの連続的なポンプダウンにより、共有された前部ライン(例えば、前部ライン858)内に一時的な圧力ジャンプが持ち込まれ、それにより、メインチャンバ890における検査プロセスが中断されることがある。例えば、前の章で説明したように、前のウェーハがメインチャンバ890において検査されるのと同時に、ウェーハ温度調節プロセスがロードロックチャンバ810において実施されることがある。しかしながら、ロードロック粗引き弁853を開いて連続的なポンプダウンプロセスを開始すると、前部ライン858内部の圧力が高くなることがある、というのも、ロードロック粗引きライン816を介して確立されたオープン接続に起因して、ロードロックチャンバ810内の高圧状態が前部ライン858に曝されるからである。前部ライン858内の圧力が増加すると、メインチャンバターボポンプ895に対してより高い背圧が生成されることがある。実施形態によっては、メインチャンバターボポンプ895は、ロードロックチャンバ810においてウェーハ温度調節が行われているときに、前のウェーハの検査中に、メインチャンバにおいて低圧レベルを維持するために同時に動作していることがあるので、背圧の突然の増加は、ターボポンプ895の動的挙動に影響を及ぼすことがある。結果として、システム800で突然の振動が発生することがある。この突然の振動は、検査エラーを引き起こすことがある。従って、振動レベルが検査エラーのマージンよりも高い場合、背圧がなくなり振動が静まるまで、検査プロセスを中断する必要があることがある。検査プロセスのこの中断により、システムのスループットが損なわれることがある。また、背圧が増加すると、ターボポンプ895の実効ポンプ速度が低下し、それによってメインチャンバ890内の圧力が一時的に上昇することがある。このメインチャンバ圧力の一時的な上昇は、システムのスループット及びシステム性能全体に影響を及ぼすこともある。これらの影響については、図9に関して次章でより詳細に説明する。
【0080】
[0098] ここで図9を参照すると、図9は、荷電粒子ビーム検査システム(例えば、図8A及び図8Bの荷電粒子ビーム検査システム800)のメインチャンバ(例えば、図8A及び図8Bのメインチャンバ890)における圧力の変化を示す例示的なグラフである。図8Aに関して上述したように、メインチャンバは2つの段階、粗引き段階911及びターボポンプダウン段階912に渡って、ポンプダウンされる。粗引き段階911の間、メインチャンバは、粗引き経路を介して、大気状態から「粗い」真空レベル910(例えば、5×10-1Torr)までポンプダウンされる。メインチャンバ圧力が「粗い」真空レベル910に達した後、粗引き弁(例えば、図8Aのメインチャンバ粗引き弁854)が閉じられ、メインチャンバターボポンプ(例えば、メインチャンバターボポンプ895)が引き継いで、メインチャンバ圧力をより深い真空レベルまで更に下げる。メインチャンバ圧力が「検査準備のできた」真空レベル920(例えば、1.5×10-6Torr)よりも低くなると、ウェーハ検査プロセスを開始することができる。実施形態によっては、メインチャンバターボポンプ895は、メインチャンバ圧力レベルを「検査準備のできた」レベル920の近くに維持するように動作し続けることがある。
【0081】
[0099] 第1のウェーハの検査が完了すると、実施形態によっては、期間923でウェーハ交換が行われることがある。ウェーハ交換の間、メインチャンバ圧力は一時的に上昇することがある、というのも、ロードロックチャンバ(例えば、図8Aのロードロックチャンバ810)とメインチャンバ(例えば、図8Aのメインチャンバ890)との間のゲート弁(例えば、図1Bのゲート弁26)が開かれるからである。ウェーハ交換の後、一旦メインチャンバターボポンプがメインチャンバ圧力を「検査準備のできた」真空レベル920まで戻すと、検査プロセスが再開することがある。
【0082】
[00100] ウェーハ交換の前、第1のウェーハがメインチャンバ内で検査されている間に、第2のウェーハがウェーハ温度調節プロセスにかけられることがあり、上述したように、メインチャンバ圧力が、メインチャンバターボポンプに印加される背圧に起因して、一時的に上昇することがある。一時的な圧力ジャンプ950の例がグラフに示されている。
【0083】
[00101] 一時的な圧力ジャンプ950が依然として「検査準備のできた」真空レベル920を下回っている場合、第1のウェーハの検査は、振動レベルがエラーのマージン内に留まる限り、中断することなく継続することができる。しかしながら、メインチャンバ圧力が一時的なジャンプ950の間に「検査準備のできた」真空レベル920よりも高くなった場合、メインチャンバ圧力が「検査準備のできた」レベルまで戻るまで、第1のウェーハの検査を中断する必要があり得る。結果として、システムのスループットがこの中断によって影響を受けることがある。
【0084】
[00102] ここで図10を参照すると、図10は、本開示の実施形態と一致した、改良された真空ポンプシステムを備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システム1000を示す概略図を示す。実施形態によっては、メインチャンバ890における振動及び圧力ジャンプを防止するために、ロードロックチャンバ810に別個のポンプ経路を追加することがある。例えば、実施形態によっては、荷電粒子ビーム検査システム1000は、ロードロックブースター粗引き弁1010、ロードロックブースター粗引きポンプ1011、及び補助排気システム1012を含むことがある。システム1000の他の全ての部分は、図8Aのシステム800と同じである。
【0085】
[00103] そのような実施形態では、ウェーハ温度調節の間、ロードロックブースター粗引きポンプ1011は、連続的に動作して、ガス分子(例えば、図3Aのガス338)を除去することがある。しかしながら、ロードロック粗引き弁853及びロードロックターボポンプバッキング弁851はこの期間中は閉じたままであるので、前部ライン858には圧力上昇はなく、従って、メインチャンバターボポンプ895には背圧が生じないことがある。
【0086】
[00104] 従って、実施形態によっては、ロードロックチャンバ810のためのポンプダウンプロセスは、3つの段階に分類することができる。第1に、ロードロックブースター粗引きポンプ1011は、ウェーハ温度調節のために、(EFEM(例えば、図1AのEFEM30)から新しいウェーハの組を受け取った後)大気状態から真空レベルまで動作することがある。第2に、(ロードロック粗引きライン816を介した)正規のロードロック粗引き経路は、ウェーハ温度調節真空レベルから「粗い」真空レベルまで動作することがある。最後に、ロードロックターボポンプ815が、「粗い」真空レベルからより深い真空レベルまで動作することがある。大気状態の近くでポンピングを開始する際に、前部ライン858が粘性領域に曝されるときに、背圧の問題が最も大きくなる。結果として、ロードロックチャンバ圧力レベルが別個のブースターポンプ(例えば、ロードロックブースター粗引きポンプ1011)によってウェーハ温度調節真空レベルまで引き下げられた後、正規のポンプ機構(例えば、ロードロック粗引きライン816又はロードロックターボポンプ815)を、過剰な背圧を生成することなく、使用することができる。
【0087】
[00105] ここで図11を参照すると、図11は、本開示の実施形態と一致した、図10の荷電粒子ビーム検査システムのロードロックチャンバの真空レベルを制御するための例示的な方法を示す流れ図である。この方法は、図10の荷電粒子ビーム検査システムによって実施することができる。
【0088】
[00106] ステップ1110では、ウェーハ(又は複数のウェーハ)が、ロボットアーム(例えば、図1Bのロボットアーム11)によって、ロードロックチャンバ(例えば、図10のロードロックチャンバ810)に装填される。
【0089】
[00107] ステップ1111では、ガス供給部(例えば、図10のガス供給部811)が、ウェーハ温度調節のために、ロードロックチャンバへのガス(例えば、図3Aのガス338)の供給を開始する。
【0090】
[00108] ステップ1112では、全てのゲート(例えば、図1Bのゲート弁25及び26)を、真空化プロセスの準備として閉じる。実施形態によっては、ステップ1111は、ステップ1112で全てのゲートが閉じられた後で行われることがある。
【0091】
[00109] ステップ1113では、ブースターポンプ弁(例えば、ロードロックブースター粗引き弁1010)が開かれ、ブースターポンプ(例えば、ロードロックブースター粗引きポンプ1011)は、ロードロックチャンバのポンプダウンを開始する。図10に関して上述したように、この第1の段階では、ロードロックチャンバは、大気状態からウェーハ温度調節に適した真空レベルまでポンプダウンされる。ブースターポンプラインは別個の排気システム(例えば、図10の補助排気システム1012)に接続されており、マニホールドボックス(例えば、図10の中央マニホールドボックス850)内の共有前部ライン(例えば、図10の前部ライン858)を形成するために正規の粗引き経路に結合されてはいないので、ブースターポンピングは、前部ラインにおける背圧を引き起こさない。従って、システムのスループットには影響を及ぼさないことがある。
【0092】
[00110] ステップ1114では、ウェーハ調節フローが開始する。このステップは、メインチャンバ(例えば、図10のメインチャンバ890)内のウェーハステージ(例えば、図3Aのウェーハステージ395)の決定された温度に基づいて、調節プレート(例えば、図3Aの調節プレート315)の加熱温度を調節することを含むことがある。ウェーハ温度調節が行われている間、ブースターポンプは、ウェーハ温度調節に適した真空レベルを維持するように、動作し続ける。ステップ1115では、ウェーハの温度が安定温度(例えば、図3CのTstable)に達したとき、調節プロセスは完了する。
【0093】
[00111] ステップ1116では、ウェーハ温度調節が完了した後、ガス通気孔弁(例えば、図10のガス通気孔弁812)が閉じられ、ガス供給部が停止する。ステップ1117では、ポンプダウンプロセスの第1の段階が完了し、ブースター弁(例えば、ロードロックブースター粗引き弁1010)が閉じられる。
【0094】
[00112] ステップ1118では、ポンプダウンプロセスの第2の段階が、ロードロック粗引き弁(例えば、図10のロードロック粗引き弁853)を開くことにより、開始する。この第2の段階の間、実施形態によっては、ロードロックチャンバは、ウェーハ調節真空レベルから「粗い」真空レベル(例えば、5×10-1Torr)までポンプダウンされることがある。「粗い」真空レベルに達した後、ステップ1119で、ロードロック粗引き弁が閉じられる。
【0095】
[00113] ステップ1120では、ポンプダウンプロセスの第3の段階が開始し、ターボポンプ(例えば、ロードロックターボポンプ815)が引き継いで、ロードロックチャンバ810を、メインチャンバ圧力に近いより深い真空レベルまでポンプで排気する。
【0096】
[00114] ステップ1121では、前のウェーハのウェーハ検査が完了した後、前のウェーハはメインチャンバから取り除かれ、温度調節済ウェーハがロードロックチャンバからメインチャンバに移送される。ステップ1122では、ウェーハ交換が完了すると、ロードロックターボポンプ弁が閉じられる。
【0097】
[00115] ステップ1122の後、ステップ1110を実施して、新しいウェーハの組をロードロックチャンバに装填することができる。未調節で未検査のウェーハがロードロックチャンバ内に依然として存在する場合、システムはステップ1111に進んで、検査プロセスの準備として別のウェーハを調節することがある。
【0098】
[00116] ウェーハ調節システムのコントローラは、ソフトウェアを使用して上述した機能を制御することができることが理解されよう。例えば、コントローラは、前述の弁及びポンプに指示を送って、ポンプダウン経路を制御することができる。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されることがある。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記録媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、クラウドストレージ、FLASH-EPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたもの、が挙げられる。
【0099】
[00117] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
条項1.ロードロックシステムであって、
ウェーハを支持するように構成された複数の支持構造と、
ウェーハの温度を調節するように構成された第1の熱交換素子を含む、第1の調節プレートと、
第1の調節プレートとウェーハとの間にガスを供給するように構成された第1のガス通気孔と、
プロセッサ及びメモリを含むコントローラであって、第1の熱交換素子の制御を支援するように構成されたコントローラと、を含むロードロックシステム。
条項2.第1の調節プレートはウェーハの上方に配置される、条項1に記載のロードロックシステム。
条項3.第1の調節プレートはウェーハの下方に配置される、条項1に記載のロードロックシステム。
条項4.複数の支持構造は第1の調節プレートに結合されている、条項3に記載のロードロックシステム。
条項5.第1のガス通気孔は第1の調節プレートに取り付けられている、条項1~4の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項6.コントローラは、ウェーハステージの温度に基づいて第1の熱交換素子の制御を支援するように更に構成されている、条項1~5の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項7.コントローラは、第1のガス通気孔を通るガス流量を制御するように更に構成されている、条項1~6の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項8.ウェーハの温度を調節するように構成された第2の熱交換素子を含む第2の調節プレートを更に含む、条項1~7の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項9.ウェーハを支持するように構成された複数の支持構造は、第1の調節プレートと第2の調節プレートとの間に配置されている、条項8に記載のロードロックシステム。
条項10.第2の調節プレートとウェーハとの間にガスの一部を供給するように構成された第2のガス通気孔を更に含む、条項9に記載のロードロックシステム。
条項11.第2のガス通気孔は第2の調節プレートに結合されている、条項10に記載のロードロックシステム。
条項12.コントローラは、ウェーハステージの温度に基づいて第2の熱交換素子の制御を支援するように更に構成されている、条項8~11の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項13.コントローラは、第2のガス通気孔を通るガス流量を制御するように更に構成されている、条項10~12の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項14.ガスは窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、CO2、又は圧縮空気を含む、条項1~13の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項15.第1の調節プレートと複数の支持構造とウェーハとを封入するように構成されたロードロックチャンバを更に含む、条項1~14の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項16.ロードロックチャンバに接続された第1の真空ポンプを更に含む、条項15に記載のロードロックシステム。
条項17.コントローラは、第1の真空ポンプを制御してウェーハ調節プロセス中にガスをポンプで排気するように更に構成される、条項16に記載のロードロックシステム。
条項18.コントローラは、ウェーハ調節プロセス中に、ロードロックチャンバ内部の圧力を50~5,000Paの範囲内に維持するように更に構成される、条項17に記載のロードロックシステム。
条項19.ロードロックチャンバに接続された第2の真空ポンプを更に含む、条項16~18の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項20.コントローラは更に、
第1の真空ポンプがロードロックチャンバ内部の圧力を第1の圧力レベルまで下げることを可能にし、
第2の真空ポンプがロードロックチャンバ内部の圧力を第2の圧力レベルまで下げることを可能にするように構成され、第2の圧力レベルは第1の圧力レベルよりも低い、条項19に記載のロードロックシステム。
条項21.第2の真空ポンプは、メインチャンバに接続された第3の真空ポンプと排気経路を共有する、条項20に記載のロードロックシステム。
条項22.第1の真空ポンプが有効になっている間、第2の真空ポンプは無効になっている、条項20及び21の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項23.第1の真空ポンプと第3の真空ポンプが同時に有効にされる、条項20~22の何れか一項に記載のロードロックシステム。
条項24.ロードロックシステムにおいてウェーハの熱調節を行う方法であって、
ロードロックシステムのロードロックチャンバにウェーハを装填することと、
ロードロックチャンバをポンプダウンすることと、
ロードロックチャンバにガスを供給することと、
第1の調節プレート内の第1の熱交換素子が、ガスを介してウェーハに熱を伝達するために、第1の調節プレートの温度を調節できるようにすることと、を含む方法。
条項25.ロードロックチャンバにガスを供給することは、ロードロックチャンバにガスを供給する前に、ガスの温度を調節することを更に含む、条項24に記載の方法。
条項26.ロードロックチャンバにガスを供給することは、第1の調節プレートとウェーハとの間の空間にガスを供給することを更に含む、条項24及び25の何れか一項に記載の方法。
条項27.メインチャンバ内のウェーハステージの温度を決定することを更に含む、条項24~26の何れか一項に記載の方法。
条項28.第1の熱交換素子が第1の調節プレートの温度を調節できるようにすることは、ウェーハステージの決定された温度に基づいて、第1の熱交換素子を調節することを更に含む、条項24~27の何れか一項に記載の方法。
条項29.第2の調節プレート内の第2の熱交換素子が、ガスを介してウェーハに熱を伝達するために、第2の調節プレートの温度を調節できるようにすることを更に含む、条項24~28の何れか一項に記載の方法。
条項30.ガスは窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、CO2、又は圧縮空気を含む、条項24~29の何れか一項に記載の方法。
条項31.ロードロックチャンバをポンプダウンすることは、ロードロックチャンバに接続された第1の真空ポンプを使用してロードロックチャンバからガスを排気することを含む、条項24~30の何れか一項に記載の方法。
条項32.ロードロックチャンバをポンプダウンすることは、更に、
第1の真空ポンプがロードロックチャンバ内部の圧力を第1の圧力レベルまで下げることを可能にすることと、
ロードロックチャンバに接続された第2の真空ポンプがロードロックチャンバ内部の圧力を第2の圧力レベルまで下げることを可能にすることと、を含み、第2の圧力レベルは第1の圧力レベルよりも低い、条項31に記載の方法。
条項33.第2の真空ポンプは、メインチャンバに接続された第3の真空ポンプと排気経路を共有する、条項32に記載の方法。
条項34.第1の真空ポンプが有効になっている間、第2の真空ポンプは無効になっている、条項32及び33の何れか一項に記載の方法。
条項35.第1の真空ポンプと第3の真空ポンプが同時に有効にされる、条項32~34の何れか一項に記載の方法。
条項36.非一時的なコンピュータ可読媒体であって、一組の命令を含み、この一組の命令は、コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であり、コントローラに、ウェーハの熱調節を行う方法を実施させ、この方法は、
ウェーハがロードロックチャンバに装填された後で、ロードロックシステムのロードロックチャンバをポンプダウンするように第1の真空ポンプに指示することと、
ロードロックチャンバにガスを供給するようにガス供給部に指示することと、
ガスを介してウェーハに熱を伝達するために、第1の調節プレートの温度を調節するように第1の調節プレート内の第1の熱交換素子に指示することと、を含む、コンピュータ可読媒体。
条項37.コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であり、コントローラが、更に、
メインチャンバ内のウェーハステージの温度を決定するように温度センサに指示するようにする、一組の命令である、条項36に記載のコンピュータ可読媒体。
条項38.第1の調節プレート内の第1の熱交換素子に指示することは、ウェーハステージの決定された温度に基づいて、第1の熱交換素子を調節することを更に含む、条項37に記載のコンピュータ可読媒体。
条項39.コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であり、コントローラが、更に、
ガスを介してウェーハに熱を伝達するために、第2の調節プレートの温度を調節するように第2の調節プレート内の第2の熱交換素子に指示するようにする、一組の命令である、条項36~38の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項40.第2の調節プレート内の第2の熱交換素子に指示することは、ウェーハステージの決定された温度に基づいて、第2の熱交換素子を調節することを更に含む、条項39に記載のコンピュータ可読媒体。
条項41.コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であり、コントローラが、更に、
ロードロックチャンバを第1の圧力レベルまでポンプダウンするように第1の真空ポンプに指示し、
ロードロックチャンバを第2の圧力レベルまでポンプダウンするように第2の真空ポンプに指示するようにする、一組の命令であり、第2の圧力レベルは第1の圧力レベルよりも低い、条項36~40の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項42.ロードロックチャンバをポンプダウンする方法であって、
ガスを第1の排気システムに排気するように構成された第1の真空ポンプを用いてロードロックチャンバからガスを排気することと、
ガスを第2の排気システムに排気するように構成された第2の真空ポンプを用いてロードロックチャンバからガスを排気することと、を含む方法。
条項43.第1の真空ポンプがロードロックチャンバ内部の圧力を第1の圧力レベルまで下げることを可能にすることと、
第2の真空ポンプがロードロックチャンバ内部の圧力を第2の圧力レベルまで下げることを可能にすることと、を更に含み、第2の圧力レベルは第1の圧力レベルよりも低い、条項42に記載の方法。
条項44.第2の真空ポンプは、メインチャンバをポンプダウンするように構成された第3の真空ポンプと第2の排気システムを共有する、条項43に記載の方法。
条項45.第1の真空ポンプが有効になっている間、第2の真空ポンプは無効になっている、条項42~44の何れか一項に記載の方法。
条項46.第1の真空ポンプと第3の真空ポンプが同時に有効にされる、条項44~45の何れか一項に記載の方法。
【0100】
[00118] 開示される実施形態について、好ましい実施形態に関係して説明してきたが、以降で特許請求される主題の趣旨及び範囲を逸脱することなく、他の修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを支持するように構成された複数の支持構造と、
前記ウェーハの温度を調節するように構成された第1の熱交換素子を含む第1の調節プレートと、
前記第1の調節プレートと前記ウェーハとの間にガスを供給するように構成された第1のガス通気孔と、
プロセッサ及びメモリを含むコントローラであって、前記第1の熱交換素子の制御を支援するように構成されたコントローラと、
を含む、ロードロックシステム。
【外国語明細書】